2018年1月24日
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/221819

国民生活は苦しくなるばかりだ。日銀は23日の金融政策決定会合で、現行の金融緩和策の継続を賛成多数で決めた。

 安倍政権と黒田日銀が政策協定を結び、物価上昇率「2%」を掲げて「異次元緩和」と称した大規模緩和を始めたのが13年4月。だが、4年8カ月経っても「2%」は一度も達成されず、時期は6回も先送りされた。

 昨年11月の消費者物価上昇率(生鮮食品を除く)は前年同月比0・9%で、日銀内でも大規模緩和に対する懐疑的な見方が支配的だ。にもかかわらず、黒田総裁は「達成に向け、(緩和を)粘り強く続ける」「変更の必要はない」と言い切っていたから唖然ボー然だ。

 経済評論家の斎藤満氏がこう言う。

「金融緩和の目的は、ざっくり言うと『経済の成果を上げるため』です。企業収益が過去最高となり、(政府の言う通り)完全雇用状態になったのであれば、本来は手段である金融緩和を続ける必要はないはず。しかし、黒田日銀は目的と手段が入れ替わり、物価本位主義となってしまった。金融緩和というのは本来、短期で行うもの。長期に実施すれば経済に“歪み”を生じさせるからです。

今やゼロ金利、マイナス金利によって90年代に30兆円ほどあった個人の金利資産はほぼ失われ、金融機関では行員の大規模リストラに加え、ATM廃止論さえ出てきている。すでに大きな副作用が出始めているのです。もはや2%達成は絶望的で、金融緩和の維持は日本経済にとってダメージを与えるだけなのに、黒田総裁は悪びれる様子もない。失望を通り越して怒りすら覚えますね」

 金融緩和で円安が進み、輸出企業を中心に大企業はボロ儲けしたものの、低賃金は相変わらず。黒田日銀が「2%」にこだわり続けるほど、庶民生活が圧迫されることになるのだ。安倍政権に水面下で「総裁続投」をほのめかされて黒田総裁が強気になっているのだとすれば、なお許し難い。