ミャンマーを訪れている河野外務大臣は、就任後初めて、アウン・サン・スー・チー国家顧問と会談し、隣国に避難している少数派、ロヒンギャの人権状況の改善を求め、帰還後の生活を後押しするため、3億3000万円の緊急無償資金協力を行う考えを伝えました。

河野外務大臣とミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問との会談は、日本時間の12日午後行われ、河野大臣は、ミャンマーの少数派、ロヒンギャの住民の多くが隣国バングラデシュに避難している問題をめぐって、人道状況の改善や安全で自発的な帰還などを求めました。

そのうえで、帰還後の生活を後押しするため、生活に必要な物資の供与などに300万ドル、日本円にして3億3000万円の緊急無償資金協力を行うことや、国際機関を通じて、人道状況の改善のため、およそ2000万ドル規模の支援を行うことを伝えました。

これに対し、スー・チー氏は「避難民の帰還の受け入れに向けて、バングラデシュ政府との合意に沿って進めたい。地元コミュニティの間の融和や報道の自由などさまざまな側面を考慮しながら取り組んでいきたい」と述べました。

さらに河野大臣は、ミャンマー軍が去年、ロヒンギャの住民10人を殺害したと認めたことに関連し、信頼性と透明性をもった調査を行ったうえで、適切な措置を実施するよう求めたほか、現地の警察に逮捕されたロイター通信の記者2人についても解放するよう働きかけました。

また、北朝鮮情勢をめぐり、河野大臣が、あらゆる手段で北朝鮮への圧力を最大限まで高めていくよう働きかけたのに対し、スー・チー氏は「国連決議にしたがって取り組み、日本に協力したい」と述べました。

河野大臣は、終了後の共同記者会見で、今後予定されるロヒンギャの帰還について「分断を作り出すのではなく、融和を進めながら、細心の注意を払って進める必要がある。日本として最大限支えていきたい」と述べました。

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