安倍首相は再登板後、「地球儀を俯瞰する外交」を掲げ、延べ129の国・地域を訪問し、
国内外で各国首脳との会談を550回以上重ねてきた。特に朝鮮半島情勢が「戦後最大の危機」を迎えている中、
米国との同盟深化を果たした意義は大きい。

 この11月、米大統領に就任後、初来日したトランプ氏は皇居・御所に招かれた際、天皇陛下にこう話しかけたという。

 「日米関係はかつてなく良好です」

 安倍首相とトランプ氏は今年、電話会談を含め20回以上会談し、ゴルフも2度、一緒にプレーした。
首相はトランプ氏との間に「事実上のホットラインをつくるほどの信頼関係を構築した」(外務副大臣経験者)とされる。

 トランプ氏が9月の国連総会の演説で、米大統領として初めて日本人拉致事件に言及したのも、
安倍首相が折に触れて拉致問題解決の必要性を直接、トランプ氏に訴えてきたからだ。

 米メディアは安倍首相を「トランプ大統領の忠実な相棒」(ウォールストリート・ジャーナル)と評した。
意味不明の東アジア共同体構想を唱えた揚げ句、米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の移設問題で迷走し、
日米関係を悪化させた鳩山由紀夫元首相時代とは隔世の感がある。

 トランプ氏が推進する「自由で開かれたインド太平洋戦略」は、もともと安倍首相が5年前から温めていた外交方針だ。
米国が日本主導の外交戦略に追随したのはおそらく初めてだが、これも両首脳の信頼関係あっての現象だろう。

もっとも、良好な日米関係を支えているのは、首脳同士の信頼だけではない。

 政府は平成26年7月、限定的な集団的自衛権行使を認めるための憲法解釈変更を臨時閣議で決定し、
27年9月には安全保障関連法が成立した。これにより日米同盟の双務性は高まり、自衛隊と米軍の有機的な連携が可能になった。

 それに先立ち25年12月に成立した国の機密を漏らした公務員らに罰則を科す特定秘密保護法も
「北朝鮮対応を含め、日本の安全に非常に有効に機能している」(小野寺五典防衛相)。

 いずれも当時は反対派の強い批判を浴び、内閣支持率の低下を招いた施策だった。
だが、もし整備していなければ、現下の北朝鮮情勢に対しても、米国はじめ諸外国と十分な連携は難しかった。(原川貴郎)

http://www.sankei.com/politics/news/171226/plt1712260013-n2.html
http://www.sankei.com/politics/news/171226/plt1712260013-n1.html