<自民・稲田氏>「再起」に党内冷ややか 1年ぶり勉強会
12/11(月) 23:36配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171211-00000118-mai-pol

自民党の稲田朋美元防衛相は11日、自身が会長を務める党内の勉強会「伝統と創造の会」を約1年ぶりに再開した。この間、防衛相在任中の不用意な言動で物議を醸し続けただけに、あいさつでは反省と再起を口にしたが、党内の冷ややかな視線は消えていない。

 同会は2006年に結成され、8月15日の終戦記念日に靖国神社を参拝するなど、党内保守派の集まりとして一定の存在感を発揮してきた。

 11日に国会内で開いた総会には16人の議員が参加。稲田氏は「この1年間、防衛相として、非常に厳しく困難な試練の時を迎えたが、有意義な1年でもあったと思っている」と振り返った。

 具体的には言及しなかったものの、安倍晋三首相から防衛相に抜てきされた16年8月以降、稲田氏にはまさに「試練」が続いた。

 防衛相就任時には海外出張を理由に信条の靖国参拝を見送ったのに、16年12月、米ハワイで戦没者を慰霊した後すぐに参拝し、安倍政権内からも疑問の声が上がった。

 学校法人「森友学園」の問題を巡る今年3月の国会では、民事訴訟に学園側の弁護士として「出廷したことはない」という答弁を翻し、野党の批判を浴びた。不安定な発言は改まらず、東京都議選中の6月には自民党候補の応援演説で「防衛省、自衛隊としてもお願いしたい」と述べ、同党が都議選で惨敗した要因の一つになった。

 南スーダン国連平和維持活動(PKO)に派遣した陸上自衛隊部隊の日報隠蔽(いんぺい)問題でも対応が後手に回り、稲田氏の関与を示す証言が出るに及んで、7月末に辞任に追い込まれた。

 稲田氏は12年末の第2次安倍内閣発足に伴い、当選3回で行政改革担当相に就任。14年には党政調会長に就くなど安倍首相の「秘蔵っ子」として順調に階段を上り、将来の首相候補と言われた時期もあった。

 稲田氏は総会で「経験不足や至らなさを反省し、この経験をもとに政治の原点に立ち戻る」と表明した。同時に「行動する主体、戦う政治家として活動したい。北朝鮮の核・ミサイルの脅威、憲法改正、慰安婦問題など重要な局面を迎えている」と述べ、勉強会を足場にした再起に意欲をにじませた。

 ただ、日報問題を巡る防衛省の特別防衛監察結果では、稲田氏の関与の有無はあいまいにされ、野党が求めた同氏の国会招致も実現していない。総会出席者の一人は「党内の風当たりは強い。原点に戻って前に進むしかない」と信頼回復の難しさを指摘した。