12/8(金) 21:04配信 毎日
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 第195特別国会は8日、会期末(9日)を前に事実上閉会した。学校法人「森友学園」と「加計学園」を巡る疑惑の解明が焦点だったが、安倍晋三首相は同じ答弁の繰り返しも目立った。自民党の要求で野党の質問時間が削られたことも、真相解明を妨げた。与党ペースの国会運営の下、首相が丁寧な説明を十分に果たしたとは言い難い。

 「政府は非常に丁寧な答弁だった」。自民党の森山裕国対委員長は8日の記者会見で、今国会を振り返り、政権の対応を評価した。公明党の山口那津男代表も記者団に「短期間だったが、しっかり中身を整えた内容だった」とアピールした。

 だが、審議が充実したかには疑問符が付く。首相の11月17日の所信表明演説は、平成で2番目に短かった。21日の衆院本会議での代表質問では岡田克也氏(無所属の会)に「相手の主張にも謙虚に耳を傾ける」と答え、低姿勢に向き合う場面もあった。しかし、27日から始まった衆参両院の予算委員会では、丁寧さを欠く答弁も散見されるようになった。

 野党側は予算委で、森友学園への国有地売却価格の算定を「ずさん」と指摘した会計検査院の報告書を足がかりに「大幅値下げの背景に首相の関与があったのでは」などと追及。大幅値下げの根拠となった、ごみの埋設量の再調査も迫った。

 首相は、報告書については「真摯(しんし)に受け止める」と繰り返しながら、再調査は否定した。28日の衆院予算委で「売却手続きは適切」とした過去の答弁との整合性を問われると「財務省から報告を受けて答弁した。私が調べて適切だと申し上げたことはない」などと反論した。

 立憲民主党の長妻昭代表代行は27日の衆院予算委で「部下が適切だと言ったから自分も言ったと。この姿勢こそが全然直っていない」と述べ、「丁寧な姿勢」から程遠いと反発したが、首相の答弁が変わることはなかった。

 今年の通常国会、臨時国会、特別国会の会期は合計で190日間で、過去20年間で最も短い。野党からの追及をなるべく避けたい政権の姿勢が顕著になっている。来年通常国会も「与党ペース」は続く恐れがあり、希望の党の玉木雄一郎代表は8日、記者団に「数の力に物を言わせた強引な国会運営だ。野党の先にある国民の声を聞く姿勢が薄い」とけん制した。

 特別国会の政府提出新規法案9本のうち、改正旅館業法など8本が成立した。成立率で見ると88.9%だった。【水脇友輔】