https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171205-00000031-sasahi-pol

 大阪地検に補助金詐取などの容疑で7月末に逮捕されて以降、森友学園前理事長の籠池泰典被告と妻の諄子被告の勾留が長期化している。検察は証拠品の押収や関係者の聴取を終えたが、起訴後も身柄を拘束されたままだ。しかも家族との接見も禁止。手紙のやり取りも弁護人を通じてしかできないという。

 元刑事裁判官の安原浩弁護士が疑問を呈する。

「証拠隠滅の恐れという理由が考えられますが、この事件はずっとメディアも含めて大騒ぎしてきましたからね。籠池さん夫妻はあちこちからさんざんたたかれたりつつかれたりしながら、ようやく逮捕されたわけですから、証拠隠滅の対象になるものはもう何も残っていないと思われます。検察は収集した証拠で十分と判断したから起訴したのだろうし、接見禁止まで付いているのは理解できません。逆に検察官が証拠隠滅の可能性が高い理由を説明できなければ、勾留請求は認められないはずです」

 籠池夫妻は容疑に対して完全黙秘を続けたという。勾留請求の却下率は、裁判員制度がスタートした2009年まで1%以下だったが、現在は3%台にまで上昇している。近年飛躍的に伸びたとはいえ、まだまだ低水準だ。黙秘や容疑を否認している者は、いつまでたっても拘束され続けるという「人質司法」はいまだ解消されていない。

 森友学園をめぐって国有地が格安に払い下げられた問題を追及している著述家・菅野完氏はこう語る。

「国有地取引について、財務省や国土交通省などは資料はない、資料は捨てたと国会で答弁し続けてきました。いま行政の側が明確に証拠を隠滅しているから、首相も首相夫人も平然としていられる」

 現在、大阪拘置所で籠池泰典氏は窓のない新館の独居房に入れられ、諄子氏のほうは窓はあるがエアコンのない旧館に収容されているという。

「窓がないから時間がまったくわからない。取り調べがある間は警察官が来るので、朝9時から夜6時の間はおおよその見当はつくといいます。いま朝と夜を分かつのは看守が点灯する天井の蛍光灯だけ。時間が止まった感覚といいます。それ自体が拷問です」(前出の菅野氏)

 一方、会計検査院から国有地を8億2千万円値引きした根拠が不十分と指摘された問題で、安倍首相は何の説明もできない始末だ。(本誌・亀井洋志)