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 希望の党、大失速―。堅調な予測で定評のある選挙プランナーの三浦博史氏(66)と松田馨氏(36)が各党の獲得議席を分析した。小選挙区と比例代表を合わせ、前回より10議席減の465議席を争う。両氏ともに、自民・公明で290〜310議席前後とし、自民党は単独過半数(233)を上回るとした。注目を浴びた東京都の小池百合子知事(65)が代表を務める希望の党は伸び悩み、松田氏は30〜55議席とした。両氏が予測の根拠を語った。(久保 阿礼)

 ■候補選定乱暴…三浦博史氏

 結論から言えば、政権交代は難しいでしょう。自民党は単独過半数を獲得し、自民・公明で290議席は超えると思います。

 最大の注目点は小池知事が出馬するか。何があるかは分かりませんが、出馬はなくなったとみます。都民の7〜8割は「都知事に専念すべき」という声で占められています。これまでの知事は短い期間で次々と辞めていきました。小池知事を選んだのは「都知事の任期を全うしてくれるだろう」という期待もあったからです。2020年には五輪・パラリンピックがあります。不祥事で知事が代わるのならともかく「もういい加減にして!」というのが有権者の本音ではないでしょうか。

 さて、衆院選直前に民進党が分裂し、希望の党がその多くの議員の受け皿となりました。希望の党公認候補もほぼ出そろいましたが、候補者をよく見ますと、これまで熊本県にいた人が東京に移ったりしています。“代議士”というのは住民票を選挙区に移し、自らの選挙権を持つことは必須と考えています。候補者選定の経緯はあまりにも乱暴ではないでしょうか。

 希望の党では小池代表を支える幹事長や政調会長らの顔が見えません。これは組織論としてもおかしな話です。都議会の「都民ファースト」の主要都議2人も、堪忍袋の緒が切れて会派を離脱しました。希望の党は自民党票を一定程度奪うでしょうが、自民党のコアな支持層は希望の党に対して疑心暗鬼のままです。公示後に希望の党がブレイクすることもなさそうです。

 【注】希望の党などの野党は今後、候補者の取り下げなどが予想され、正確を期すため予測を保留した。

 ◆三浦 博史(みうら・ひろし)1951年3月24日、東京都生まれ。66歳。慶大法学部卒業後、秘書を経て米国で選挙事情を研究。89年選挙コンサルティング会社「アスク」を設立。元東京都知事の石原慎太郎氏、丸川珠代参院議員、千葉県知事の森田健作氏らの選挙担当。いずれも当選に導く。

 ■有権者しらけ…松田馨氏

 予想外の解散総選挙となりました。超短期決戦となりますが、やはり与党が有利でしょう。自公で300議席を超えるとみています。安倍首相は今年7月の都議選の街頭演説で「安倍辞めろ」コールを浴びて、「こんな人たちに負けるわけにはいかない」などとやり返してしまい批判を浴びました。今回の選挙でも、一部日程を公開しないなど対策を取っているようです。ただ、私は日程を公開し、堂々と街頭で訴える方が良いと思います。演説を妨害している人々に逆に批判が集まる利点もあるからです。

 衆院選前に話題を集めた希望の党は「顔」である小池都知事が出馬しないと明言しています。そのため、党への勢いにつながらず、また小池氏自身の支持率も大きく減っています。過半数を超える候補者を擁立するとしていますが、全国で30〜55議席程度にとどまるとみています。小池氏のおひざ元である東京の小選挙区でも1〜3議席程度。比例も伸び悩みそうです。無党派層の動向がカギとなりますが、政局の混乱を受け、有権者には戸惑いや政治への不信感、しらけムードが蔓延(まんえん)しています。投票率は過去最低となった2014年の52・66%を下回る可能性もあると思います。

 そうなると、希望の党は非常に苦しい。都議選の際は連合や公明党の組織票もありましたが、民進党議員の合流を受け、野党共闘の形もリセットされてしまいました。逆に民進党から分裂した立憲民主党は存在感を発揮します。共産党とがっちり組んで反安倍政権の受け皿となるでしょう。

 ◆松田 馨(まつだ・かおる)1980年5月5日、広島県生まれ。37歳。大学卒業後、企業PRなどを担当。2006年の滋賀県知事選から選挙プランナーとして活動。100以上の選挙を手掛けた。今年7月の都議選では「都民ファーストの会」の躍進を予想した。