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 衆院在職50年を狙う自由党代表小沢一郎氏(75)=岩手3区=の地盤に自民党が攻勢を仕掛けている。衆院選(10日公示、22日投開票)を前に一部首長が「小沢離れ」を示唆。地元貢献度を疑う声も上がる。政界での影響力低下が指摘される中、連続17選に死角はないか。

 「私が推進したい政策と一致するかどうかで応援する候補を決めたい。一番はやはりILCだ」。記者会見で衆院選対応を尋ねられ、一関市の勝部修市長が踏み込んだ。

 「ILC」は超大型加速器「国際リニアコライダー」の略。岩手、宮城両県にまたがる北上山地が国内候補地に挙がっており、政府は近く誘致の可否を判断する。

 仮に誘致が決まれば建設費用だけで1兆円。国際研究施設の立地も見込まれ、地元への波及効果は計り知れない。「東日本大震災からの復興のためにもILC誘致を」との声もある。

 だが、ILC誘致を担当する文部科学省の幹部は「政権与党にとって小沢さんは怨念の対象。その地元に本当に巨費を投入するだろうか」と打ち明ける。

 こうした事情を知る自民党岩手県連は、勝部一関市長の発言を「小沢氏への決別宣言であり、政府与党への秋波」と受け止めた。

 岩手3区で小沢氏に挑む自民党前議員の藤原崇氏(34)=比例東北=は公約のトップが「ILC誘致実現」。2日に北上市であった講演会でも「ILC誘致は与党議員がいないと実現しない」と畳み掛けた。

 地の利を生かして企業集積が進む岩手3区。輸送幹線の国道4号拡幅など公共インフラの整備が課題だが、地元の企業幹部は「進出企業から、自民党との距離は近い方がいいと言われる」と嘆息する。

 1993年に自民党を離党して以来、小沢氏は非自民の立場で結党や解党を繰り返してきた。支持基盤だった建設業界の関係者も「小沢さんに今、何を期待するのか」と手厳しい。

 他党の支援を期待する戦術とはいえ、ついに無所属となった小沢氏。「衆院選は全国に応援に行った後、地元を回り始める」。後援会は従来と変わらない小沢流選挙の準備を粛々と進める。