太陽のなかで膨大なエネルギーを生む核融合の仕組みを使った発電の実用化に向け、文部科学省の委員会は14日、原型炉を国内に建設するか、2030年代に政府に判断を求める基本指針案をまとめた。

【写真】実験炉を建設中の国際熱核融合実験炉(ITER)計画=1月撮影、ITER公式サイトから

 核融合エネルギーによる発電を目指し、日米欧などは現在、南仏に国際熱核融合実験炉(ITER)を作る計画を進めている。基本指針は国の今後の核融合政策を決めるもので今秋に正式決定する。

 基本指針案では、原型炉の開発について「技術的成熟と国民の信頼の醸成が不可欠」として、ITERで得た基礎的な技術を委員会で検証しながら、次の段階に当たる「原型炉」を国内に建設するかを30年代に判断するよう求めた。国民の信頼を得るためには安全性の説明だけでなく、国民の不安や疑問に丁寧答える活動が必要だとまとめた。

 ただ、前提となるITERが計画通り進められるか分からない。英国がEUの単一市場から離脱した場合、ITER計画からも離脱するおそれがある。米国もトランプ政権がITER関連予算を約4割削減。今年末にもエネルギー省が連邦議会に今後の対応を説明する予定だという。(杉本崇)


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 〈核融合〉 通常は融合しない重水素とトリチウムを超高温状態にしてくっつけ、別の原子核に変えると膨大なエネルギーが生まれる。1グラムの重水素とトリチウムで、石油8トン相当のエネルギーになる。

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