政治家は失言すると、たびたび「誤解を招きかねない発言だった」などと釈明する。最近では、東京都議選の演説での発言を問題視された稲田朋美防衛相が、記者会見で30回以上「誤解」を連発した。聞く方のせいなのか、開き直っているのか、けむに巻こうとしているのか。政治家の言葉は頻繁に「誤解」されるほど軽くないはずだが――。(田玉恵美)

「誤解」受け手が悪いのか 食い下がる記者に稲田氏は…

 稲田氏は6月27日、東京都議選の応援演説で、自民候補について「防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いしたい」などと述べた。自衛隊や防衛省を政治利用していると批判されると、夜になって記者会見し、「誤解を招きかねない発言だった」として発言を撤回した。30日の記者会見でも「防衛省、自衛隊、防衛大臣としてお願いしているんじゃないかという誤解を招きかねない。自民党として応援しているという真意について誤解を招きかねない」などと弁明した。

 国語辞典編纂(へんさん)者の飯間浩明さんは「稲田氏は『誤解』の意味を誤解している」と指摘する。三省堂国語辞典によると、「誤解」とは「まちがえてちがった意味に受けとること」。飯間さんは、メガネ屋で店員から「ムショクですね」と言われた客が、「俺は公務員だ!」と怒った場合を例に挙げる。「無色」のレンズでいいか確認したいという真意が、間違って客に「無職」と伝わってしまった。飯間さんは「この例のように真意を納得させられないのに、誤解と言ってはいけない」という。

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