「おかしな領収書 取材してみると…」
日本放送協会:2017年7月10日 16時48分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170710/k10011052081000.html
(全文は掲載元でどうぞ)

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去年、全国の地方議会で相次いだ議員の政務活動費をめぐる問題。
「あれだけ批判されたのだからさすがに襟を正しているだろう」そう思いながら長崎市議会の政務活動費の領収書を調べてみると、おかしな点があることに気付きました。
取材を進めていると、その議員本人から「会えないか」という連絡が…。
不正が明らかになるまでの取材記録です。(長崎局/富田良)

長崎市議会で政務活動費をめぐる問題がクローズアップされたのは、2年前の8月。
裁判で、市議会議員49人の政務活動費の使い方が「合理的な説明ができない」と認定され、1人当たり9万円から130万円、合わせておよそ3190万円もの多額の返金を命じられました。
その後も全国で次々と政務活動費の不正が発覚し、使い方や公開の在り方が問われ、見直す動きが広がりました。

長崎市議会の意識も変わっているだろうと思いつつ、行政取材を担当している私は、政務活動費について、収支報告書や領収書の写しを調べてみることにしました。

■長崎でも問題になっていた政務活動費

長崎市議会で政務活動費をめぐる問題がクローズアップされたのは、2年前の8月。
裁判で、市議会議員49人の政務活動費の使い方が「合理的な説明ができない」と認定され、1人当たり9万円から130万円、合わせておよそ3190万円もの多額の返金を命じられました。
その後も全国で次々と政務活動費の不正が発覚し、使い方や公開の在り方が問われ、見直す動きが広がりました。

長崎市議会の意識も変わっているだろうと思いつつ、行政取材を担当している私は、政務活動費について、収支報告書や領収書の写しを調べてみることにしました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170710/K10011052081_1707101625_1707101636_01_03.jpg

■「この支出はなんだ?」

およそ500枚にも上る領収書を1枚1枚チェックしていくと、1人の議員が仕事で使ったという車のガソリン代におかしな点があることに気付きました。

この議員は、去年4月12日、最初に30リットル近く給油し、そのわずか7分後にまた、同じガソリンスタンドで40リットル以上給油していたのです。
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領収書を書き写した記者のノート

この議員のすべての領収書を調べてみると、去年4月から10月にかけて、同じ日に同じ場所で2回も給油したケースが合わせて11回あることがわかりました。
しかも、ほとんどが、1回目の給油から10分以内に2回目の給油をしていました。

「目的は何なのか? 本当に自分で給油したのか?」

私は、議員に直接聞こうと何度も接触を試みましたが、「不在」や「議会開会中の多忙」を理由に会えない日が続きました。

そうこうしているうちに、先月17日、このガソリン代について不正の疑いがあると地元の新聞社が報じました。
記事は「2回に分けて給油した記憶はある」という議員のコメントを伝えていましたが、2回給油した理由については触れられていませんでした。

■議会事務局はチェックしているのか

私は、議員への接触を引き続き試みるとともに、議会事務局にも話を聞きに行きました。
議員が提出した領収書などをチェックするのは、議会事務局の仕事だからです。

ところが事務局の担当者は「疑問には思ったが、議員に尋ねたところ、『自分で2回給油したので間違いない』と説明され、そのまま通した」と答えました。
政務活動費に厳しい目が向けられているにもかかわらず、あまりにも危機感のない対応でした。事務局のチェック機能には疑問を抱かざるを得ませんでした。

全国の議会では、相次いだ不正を受けて、収支報告書や領収書をインターネット上で公開する取り組みを始めるところが相次いでいます。透明性を確保して「第三者の目」にさらす、つまり、市民にもチェックしてもらおうという取り組みです。

(以下省略)