東京都議選の投開票日翌日の3日、「二元代表制への懸念があることを想定し知事に専念する」として、小池百合子都知事(64)が「都民ファーストの会」代表を退いたため、代表に再就任した野田数(かずさ)氏(43)。これまで、小池氏の側近中の側近としてさまざまな局面で存在感を発揮してきた。現職都議ではないにも関わらず、新たな構成でスタートする都議会のキーマンにもなりそうな野田氏とはどんな人物なのか。(社会部 大泉晋之助)

衆院補欠選や千代田区長選でも戦略

 「1年間、ずっと選挙ばかりだよ。さすがに疲れた」

 都議選での都民大勝を受け、満足げな表情を浮かべつつこう語った野田氏。昨年6月には事実上スタートしていた都知事選で、野田氏は小池氏の選対責任者を務めた。その後は、小池氏の知事転身に伴う衆院東京10区補欠選挙での若狭勝氏支援、今年2月に行われた“都議会のドン”こと内田茂氏のおひざ元の千代田区長選、今回の都議選と、小池氏が深く関与する選挙が続いた。その裏には必ず野田氏の姿があった。

「選挙は告示前に終わっている」と語る野田氏。各選挙で小池氏サイドの陣営に入り、“小池人気”を支える無党派層の動向を分析し、選挙戦の戦略を練ってきた。対立する自民票の切り崩しに向けて、普段は自民支援だった業界・団体の小池氏サイドへの“宗旨変え”も実現させたといわれる。

候補者選定や公明などとの連携も

 野田氏は東京都東村山市議を経て、平成21年7月から24年12月まで都議も務めた。小池都政誕生後は都知事の政務担当特別秘書として小池氏と議会各会派のパイプ役も担ってきた。

 野田氏は1月に都民が政党活動を開始するのと同時に代表に就任。小池氏とともに都民の候補者選定を進めたほか、公明党などとの都議選での連携も実現させた。都議選を控えた6月に小池氏が都民代表に就任すると、野田氏は党幹事長として現場を取り仕切ってきた。

 「野心家だと思う。あれだけ強かった都議会自民党を本気で獲りに行った。その野心が面白いと思って乗ることにした」。民進党を離党し都民推薦で都議選に当選したある都議は、野田氏をこう評する。

55人の都議を率いる手腕に注目

 また、選挙協力したベテラン公明都議は「いくら人気があるといっても、小池知事だけでは都民ファーストはここまでの勢力にならなかった。野田氏の手腕があってのことだ」と賛辞を贈る。

 一方、ある都庁幹部は、「小池氏の選挙・政局を担当しているイメージ。政策立案に関して知事に助言する特別秘書とは、少し違った位置で仕事をしているのかもしれない」と指摘。ただ、小池氏が初めて編成した予算が都議会としては44年ぶりの全会一致で可決されるなど、「都議会各会派対策は相当しっかりと進めていたはずだ」ともみている。

 39人と多くの新人が初当選し、自民・民進など各政党の現・元職も集まった都民の総数は55人。新人都議の議員としての能力は当然未知数だ。路線によっては、他党からの離党組との対立が生じる懸念もある中、新党を今後どのようにまとめあげていくのか。野田氏の手腕が一層注目を集めそうだ。

http://www.sankei.com/premium/news/170710/prm1707100003-n3.html
http://www.sankei.com/premium/news/170710/prm1707100003-n2.html
http://www.sankei.com/premium/news/170710/prm1707100003-n1.html