民進党の野田佳彦幹事長は九日、名古屋市中区の中日新聞社で本紙の単独取材に応じた。東京都議選の敗因や、党勢回復の兆しが見えない党の再建策を語った。

 −都議選で、民進は反自民票の受け皿にならなかった

 街頭でも、自民のおごりに対する嫌悪感は充満していた。二〇〇九年(政権交代時の衆院選)よりも体感は良かった。普通は勝ちパターンだが、都議選は都議選。(争点は)小池都政への評価で、受け皿は都民ファーストになり、民進は埋没した。

 −かつての民主党政権への失望感が、尾を引いているのではないか

 受け皿にならなかったことは猛省しなければならない。今週初めからブロックごとに都議選を総括する会議を丁寧にやりたい。

 −蓮舫、野田執行部の責任は

 地方選とはいえ、党を挙げて応援し、結果は五議席。離党者も出て、党の存在感は示せなかった。責任はもちろんあるし、ひしひし感じる。だからこそ、きちっと総括する。

 −二〇一五年の大阪府議選でも、わずか一議席と惨敗した。地方選とはいえ東京、大阪で全く勝負にならず、二大政党の一翼と言えるか

 先の通常国会で、政府提出法案に対する党の賛成率は78%。議員立法は五十九本提出した。われわれは「何でも反対」ではなく、提案型の野党。チェック機能も果たす。この姿勢をもっと理解してもらうことが必要だ。再び政権を託すことができるのか、信任、信用を得るには、骨太の政策の旗印をしっかり立てるしかない。

 −民主、民進への失望、不信感は容易に拭えないだろう

 都民ファーストが全国政党を目指せるのか、維新がもう一回、そういう力になりえるのか。(衆院選で)各都道府県の1区(に擁立)は可能かもしれないが、全区でポスターを貼り、運動して、人材発掘して。無理だろう。野党第一党のわれわれが頑張るしかない。

 −仏マクロン大統領のように、ほとんどゼロからの政権交代もあり得る

 特定の一人が突然出てきて、国民政党として根付くのか。危うさもある。地方議員や党員サポーターを増やし、地域に根差した政治活動をして、自民に対峙(たいじ)する国民政党を作る。僕はあきらめない。

 −大村知事は「民進は歴史的な使命を終えた」とも

 小選挙区比例代表並立制では、政権与党が崩れたら、野党第一党が上がる。現時点では、われわれの使命は終わっていない。

 −安倍政権への対立軸に何を据えるか

 「お友達優遇」「上から目線」ではなく、われわれは「声なき声」を拾い上げる生活者、納税者の政党。立ち位置の違いを政策として打ち出していく。

 −具体的な政策が見えない

 PR力がないのかもしれない。そこは反省しているが、五十九本の議案にも既に盛り込まれている。われわれの理念は「自由」「共生」「未来への責任」。いずれも自民が忘れ、軽視していること。この理念に誤りは無いはずだ。

 −理念だけで選挙は絶対、勝てない

 絶対はないよ(笑)。トップを替え、モデルチェンジする。それで(政権交代が)できれば、そんな簡単なことはない。奇をてらったやり方では(勝っても)信頼されていることにならない。理念を明確にし、愚直に政策を訴えるしかない。

 −来年末までに総選挙はある

 政権構想は、あらためて政策にメリハリを付けて打ち出す。

http://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20170711/CK2017071102000046.html