学校法人「加計学園」の問題を巡り、自民党が衆参の予算委員会開催に慎重なのは、安倍晋三首相が出席して質疑を受けても、野党の追及や世論の反発が収まる見通しが立たないためだ。

党執行部は、10日の閉会中審査に続いて質疑は平行線をたどるとみており、「首相が集中砲火を浴びる姿がテレビ放映され、世論の批判を強めかねない」(党関係者)と懸念する。

自民党の竹下亘国対委員長は11日の党役員連絡会で、閉会中審査を踏まえ「首相の関与を示す事実は出てこなかった。首相出席の予算委は必要ない」と明言した。

菅義偉官房長官も記者会見で「国会で決めることだが、閉会中審査は繰り返しの質問が大部分だったのではないか」と否定的な見解を示した。

与党関係者は「首相が何を説明しても、野党は『疑惑が深まった』と言うだろう。開いても意味がない」と説明する。与党内には「信なくば立たず。

疑われている首相が自ら説明する必要がある」(公明党幹部)と予算委開催を容認する声もあるが、大きく広がってはいない。

一方、欧州訪問から11日に帰国した首相は、すぐに首相官邸に赴き、九州北部豪雨に関する関係閣僚会議を開催。

「被災地の方々に心を寄せて安倍内閣一丸となり全力を挙げて対策を進めよう」と指示した。12日に福岡、大分両県を視察することも決めた。

これまで安倍内閣は危機管理への適切な対応を政権のアピール材料にしてきた。内閣支持率が急落する中、

帰国を1日早めて災害対応に取り組む姿勢を強調し、政権への信頼の回復を図ろうとしている。【光田宗義、竹内望】

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