前川喜平・前文部科学事務次官は十日の参院閉会中審査で、次官在職中の文科省の天下り問題を巡り、同省が省内だけでなく他府省の職員もあっせんした証拠となるメールを確認しながら、杉田和博官房副長官から政府の第三者機関、再就職等監視委員会に提出しないよう指示されたと説明した。

 前川氏によると、杉田氏から昨年十二月末、官邸に呼び出され、天下り問題の調査に関する相談を受けた。文科省に加え、他府省職員の再就職あっせんに関与したことを示すメールも監視委に提出せざるを得ないと考えていたが、杉田氏から「他府省にかかわるものは出すなと指示があった」と語った。民進党の蓮舫代表の質問に答えた。

 これに対し、菅義偉(すがよしひで)官房長官は記者会見で「事実は一切ない」と否定。当時の文科省の対応を「監視委の調査に組織的な隠蔽(いんぺい)を行っていた」と批判した。

 文科省の天下り問題を巡っては、監視委が今年一月二十日、国家公務員法違反に当たる組織的なあっせんをしていたと認定する報告書を公表。前川氏は同日付で次官を引責辞任した。

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