“読売新聞に相当詳しく書いてある”

 安倍総理が国会でそう太鼓判を押し、物議を醸した憲法改正に関する読売のインタビュー記事(5月3日朝刊)が、今度は社内で波紋を呼んでいる。

 読売新聞記者の話。

「あの記事が6月に社内表彰されたんです。しかも、表彰の中でも最も格上の『社長賞』。副賞が100万円と高く、うちの記者なら誰もが目指す憧れの賞だったのですが、あんな安倍政権の提灯記事が獲るなんて、仰天しました」

 過去の受賞例はというと、

「2015年の2月に、前年の衆院解散総選挙がらみの記事で政治部の記者3人が受賞しています。その前は14年。オバマ大統領への単独インタビューで、アメリカ総局長とワシントン支局員が獲っています。かつてはちゃんとした記事が受賞していたんですけどね」(同)

 ちなみに今回表彰を受けるのは記者ではなく、政治部長ただひとり。

「下に与えて、現場の記者を鼓舞するのが表彰の本来の役割なのに、なんの意味があるのか疑問です」(同)

 もっとも記事自体は、明かされることのなかった総理の“野望”が書かれ、インパクトこそあったものの、

「安倍さんはインタビューの中で、憲法9条の改正について、これまでの自民党の方針と全く違うことを喋っているのに、そこにツッコミを入れず、そのまま載せている。批評精神の欠片もない」(別の読売記者)

 今回の授与を、他紙の政治部デスクが分析する。

「この記事の後に、前川(前文科事務次官)の出会い系バー通いの記事を掲載し、“一体どこまで政権寄りなのか”と、さらなる批判を受け、不買運動まで起きた。後に引けなくなったナベツネ主筆が、意地になって決断したのでは」

 当の部長はきっと、部下と祝杯を挙げたのだろう。

「週刊新潮」2017年7月6日号 掲載

デイリー新潮 2017年7月11日 05時59分 (2017年7月11日 07時50分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20170711/DailyShincho_523489.html

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