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都議会議員選挙の速報が大方の予想を超えて都民ファーストの大勝、自民党の惨敗となりました。

象徴的だったのは、豊洲移転延期で巨大な損失を垂れ流した小池知事への批判票が自民党に行かなかったことです。

多くの有権者は政策の細かなことには関心がないし、実際に起きた赤字の請求書が家庭に送られてこなければ負担感はありません。それよりも、何かやってくれそうな都民ファーストへの期待のほうが大きかったのでしょう。

小池都知事がアンシャン・レジームの象徴としたのは都議会自民党であり、石原都政でした。この政治ショーに理屈など必要なく、「対立を見せつけてテレビに都知事が毎日映れば勝ち」というおよそ常人には見当のつかない戦略で見事小池女史は選挙に勝ちました。

自民党の国政での不人気(これもマスコミがでっち上げたものが多数ですが)も自民党の敗因でした。政策以外で責められるのは反省すべきとは言えつらい、と、自民党の代議士が漏らしていたのを聞きます。

しかし、安倍政権は真面目に政策遂行してきたといえるのでしょうか?不人気でもやらねばならない政策、その一番は財政再建と社会保障改革であったはずですが、どちらも野田前総理との約束を反故にして潰してしまったのが実情です。

その代わりとして人気のある政策にばかり安倍総理は腐心してきました。財政拡張による景気対策と、その後ろ盾としてのリフレ理論です。外部要因の幸運もあって見た目の景気は回復し、支持率は高止まりしてきました。

しかし、みんなの党ですら分裂するほど未熟な高橋リフレ理論が国の中枢の政策に掲げられるとは、当時は驚いたものです。いずれこの精算をせねばならないのでしょうが、後悔先に立たずですね。

考えてみれば、小池都知事が政局のてこにした築地移転延期も、知事が就任した当時は日本共産党だけが騒いでいたもので、まさか都知事が公約にもないちゃぶ台返しをするとは誰も思わなかったでしょう。

経済失策は私的スキャンダルと違って見えにくく、効果が現れるまでタイムラグがあるので、政治家の詭弁とマスコミの援護射撃でどうにでもなってしまう。

何の事はない、都政も国政も経済学者に一笑に付されるような有害無益なヘボ政策で国民を欺いているというわけです。

政治とは大局観に立って「全体の勝利のために部分を切り捨てる」作業だと思うのですが、それを敢えてする政治家は現れないし、そもそも日本人が全員一致の美しい社会を当然と考えてる以上無理なんでしょうね。

やはり日本はもうしばらく政治三流国のまま漂流を続けていくようであります。