沖縄県宜野湾(ぎのわん)市の佐喜真(さきま)淳(あつし)市長は3日、市役所で記者会見し、市中心部に位置する米軍普天間飛行場の返還後の跡地開発に活用するための「普天間未来基金」を1日付で創設したと発表した。

 全国から寄付を募って財源を確保するとともに、飛行場返還と辺野古(同県名護市)への移設の機運をオール・ジャパンで高めていく狙い。建設大手の国場組(那覇市、玉城徹也代表取締役社長)は3日、同基金への寄付の第1号として1千万円を贈呈した。

 佐喜真市長は「貴重な寄付金は跡地利用に伴う将来の財源需要に備えるとともに、大きな可能性を秘めた基地跡地のフィールドで活躍することとなる未来を担う人材の育成に活用していきたい」と強調した。

 そのうえで「県内外の多くの方々に宜野湾市の応援団としてお力添えをたまわり、基地跡地が日本の宝となるよう取り組みを進めたい」と述べ、市長自身が広告塔となって全国にPRしていく考えを示した。

 国場組の玉城社長は「基地返還は通過点でありゴールではないという市長の考えに100%同意した。今回の寄付が呼び水になればと思っている」と語った。

 普天間飛行場の返還時期は日米合意で「平成34年度またはその後」とされているが、その前提として政府が進める辺野古移設への反対も根強く、見通しは立っていない。

 ただ約480ヘクタールある敷地の約9割は私有地で、跡地開発には行政による大規模な土地収用や区画整理が必要となるため、返還後を見据えて今から広く協力を呼び掛けて資金を積み立てることにした。

 沖縄県の試算によると、跡地開発による経済効果は年間3866億円で、地代など現在の基地関連収入の約32倍に上るという。このため、普天間飛行場の返還が遅れれば経済的損失も大きくなる。

http://www.sankei.com/politics/news/170703/plt1707030079-n2.html