地方から政治を変える取り組みを行っている早稲田大学マニフェスト研究所は7月2日に迫った東京都議選投開票を前に、都議会への提言をまとめた。

問題は豊洲市場ではない。東京都議選・西多摩選挙区、奥多摩町の現実

 都議選について有権者意識調査を実施したところ、「都議会は必要」という声が4割弱ある一方、「議員は役に立っている」(12%)、「都議会は役に立っている」(13%)の答えは1割強と判明。「地域をみている身近な存在」の評価も9%しかなかった。

 こうした結果を受け、同研究所は「都民に開かれた」「都民の役に立つ」議会になるため、都議選公約の着実な実現と、議会が自ら議会運営の基本原則を定める「議会基本条例」の制定などの議会改革による議会機能向上を呼びかけている。
「議員は都民の役に立っている」12%、早大マニ研「都議会への提言」公開

都議選前に都議会への提言をまとめた早稲田大学マニフェスト研究所のホームページ
重視するのは「政策・提言」 政策は「医療・社会福祉」

 有権者意識調査は都民2000人を対象に、ローカルマニフェスト推進地方議員連盟が5月末から6月19日までの期間に2回に分け、インターネットで実施した。

 その結果、投票で重視する議員の資質について尋ねたところ、「政策・提言」(35%)、「実行力・行動力」(32%)が高く、「思想・信条」(18%)、「人柄」(16%)を大きく上回った。

 また「最も重視する政策・課題」は、「医療・社会福祉」(28.8%)で、次いで「安心安全・防災」(26.3%)、「景気対策」(25.0%)、「少子化・子育て支援」(21.4%)となり、争点とされる「都政改革・五輪予算適正化など」、「築地市場の豊洲移転」はどちらも15.6%にとどまった。

 選挙後の役割への期待を尋ねたところ、「都政に民意を反映」(75.9%)、「知事や行政へ厳しい監視」(70.7%)、「政治・議会不信打破」(70.3%)、「東京都議会の改革」(69.9%)、「政策や条例を提案し地域課題解決」(67.2%)など。住民の声を反映した議会運営や、議会が持つ行政の監視機能、政策立案といった議会本来の役割の発揮、都議会が遅れていると指摘されている議会改革の推進を望んでいることがうかがえる結果となった。


会派マニフェストもチェック 都民提案のプロセスなどの視点で低評価

 また同研究所は、今回の都議選で各会派の掲げるマニフェストについて、「理念・ビジョン」、「政策の体系性・一貫性・独自性」、「政策の具体性・実現可能性」、「市民起点度」、「議会機能能力」の5つの観点からできばえチェックを実施。

 特に住民が手にとってわかりやすいか、配布・周知の工夫がされているか、マニフェスト策定過程に都民の提案を組み込むプロセスをいれているかという視点で設けている「市民起点度」の観点では、どの会派も10点中平均3点と低い評価になっている。
任期中になかった「議員による政策提案」など議会改革で7つ提言

 こうした意識調査の結果分析などから同研究所は、都民の期待値が低い議会から「都民の役に立つ都議会」になるための提言を29日ホームページ上で公表。

 特に同研究所の最新の「議会改革度調査2016」都道府県ランキングで36位とふるわなかった議会改革については、「議会基本条例の制定」、「新議長の選出の透明化」、「議会活動のロードマップ作成(4年間、1年間)」、「議会独自の調査分析機能の強化」、「討議環境の整備(自由討議、一問一答、反問権など)」、「住民の意見を聴取する場の設定(請願者の意見陳述、参考人招致・公聴会、住民との意見交換会など)」、任期中1つも制定がなかった「議員による政策提案」の7つに取り組むよう呼びかけている。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170630-00000014-wordleaf-pol&;p=2