学校法人加計学園(岡山市)が愛媛県今治市に計画している獣医学部新設問題をめぐり、文部科学省の前川喜平前事務次官(62)が25日の記者会見で、
文科省が「確認できない」と否定した文書を「確実に存在する」などと覆す主張を展開した。教育行政の事務方トップによる異例の“内部告発”は波紋を広げそうだ。

 前川氏は東大法学部卒業後、昭和54年に旧文部省に入省。義務教育など初等中等教育の専門家として、省内では早くから事務次官候補といわれていた。

 省内では「一言居士で、歯にきぬ着せぬものいいで知られた」(文科省幹部)。
その名が一気に知れ渡るようになったのは平成17年、公立小中学校の教職員給与の国負担分を2分の1から3分の1に引き下げた小泉純一郎政権の三位一体改革で、名前をもじった「奇兵隊、前へ!」と題したブログで政府方針への批判を展開したことだ。
文言も「義務教育費の削減は道理が通らない」「クビと引き換えに義務教育が守れるなら本望」などと過激だった。

 当時は初等中等教育局の筆頭課である初等中等教育企画課長で、省内外で物議を醸したが、その後も順調に昇進した。

 関係者によると、初等中等教育担当の審議官時代には、当時の民主党政権の意向を受け、朝鮮学校にも高校無償化が適用されるよう旗振り役となった。
関係者によると、前川氏は当時、「生徒に罪はない。個人に対する支援だから、(補助金を)出すべきだ」といった趣旨の発言をしていたという。

 24年1月から務めた官房長時代には、東日本大震災で多くの犠牲者を出した宮城県石巻市の市立大川小学校について、避難状況などを文科省主導で調査した事故検証委員会を担当。ただ遺族はメンバーに含まれず、委員構成などについて疑問が呈された。

 25年7月に初等中等教育局長に就任、28年6月から事務次官となったが、29年1月に発覚した違法な組織的天下り斡旋問題に関与したとして引責辞任した。

 前川氏の功績への評価は分かれる。故与謝野馨文相(当時)の秘書官を務めたこともあり、文科省幹部は「省内だけでなく、国会議員からも信頼され、手痛い辞任だった」と評する声もあれば、別の幹部は「ゆとり教育に理解を示し、児童生徒の学力低下問題とも無関係ではない」との見方を示す。

 一方、前川氏は援助交際の交渉現場になっている東京都新宿区歌舞伎町の出会い系バーに、約2年前から出入りしていたことを記者会見で認めた。
店に出入りした理由については「女性の貧困を知るための実地の視察だった」と述べ、省内の施策の検討にも「役に立った」と総括した。

http://www.sankei.com/smp/affairs/news/170525/afr1705250035-s1.html