かのん「セカイの狭間の真ん中で」
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⚠︎『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』とのクロスオーバー要素を含みます。
ストーリーは『25時、ナイトコードで。』のストーリーを主に沿って行きます。
全体的に暗め。そして長編になる予感がします。 【かのんの部屋】
カタカタッ…… カタッ…
かのん「……ふぅ」
カタンッ…
かのん「よし、動画無事アップロード出来たよ」
『遅くまでお疲れ様です。それと、動画投稿ありがとうございます!』
『今回はだいぶ時間掛かっちゃったねぇ』
かのん「うん、でもその分良い出来になったんじゃないかな」
『……そうだね』
『ね、あいす。今回は私のイラストだったから、前回のあんたのイラストとどっちが伸びるか勝負しましょ!』
『!…………不要比较……』ボソ
『え?なんて?』
『いえ、なんでも』
『ねぇさっきのって中国語よね?あんた作業中とかも偶に中国語話すけど、あいすって中国の人なの?』
『どうでもいいデス』
『何でそんなこと言うのよ!てか冷たくない!?』 『ふ、二人とも、喧嘩は良くないですよ』
『そうだよ〜、koiちゃんが心配してるんだから喧嘩は、めっ!』
かのん「せっかく新曲上げられたんだし、雰囲気はそのままで行きたいなぁって思ってたんだけど……」
『ったく、あんたの所為でkoiにも千にも焼きりんごにも怒られたじゃない!』
『自業自得デスね』
『ちょっとー!』
『ぁ……そういえば、焼きりんごは歌を歌わないのデスか?』
かのん「えっ!?わ、私ぃ!?」
『言われてみれば……今まで私達が歌うことはありましたが、焼きりんごさんが歌っているところは見たことないかもしれません』
『そうね、デモも毎回バーチャル・シンガーに歌わせてるし。折角歌詞書いてるんだから歌ったらいいのに』
かのん「わ、私はいいよ〜っ……」
『どうせ恥ずかしいからとかそんな理由でしょ!良いじゃない歌ってみるくらい!』
かのん「あはは、本当に大丈夫だから」
『そう言わずに〜っ!』 『…………ねぇ、無理して歌わせない方がいいんじゃないかな』
『んー、まあ千が言うなら……』
かのん「ありがとう、千ちゃん」
『……うん、どういたしまして。焼きりんごちゃん』
『ふあぁ……っ、……ねむ……』
『あ、もう4時になってしまいそうですね』
『いつの間にそんな時間が経っていたのデスか……』
かのん「ほんとだね。それじゃ、今日は解散にしよっか」
『おやすみ〜』
『おやすみなさい』
『うん、また』
『ふわぁ……くぅ、……あいすも眠くなってきマシタ……おやすみなサイ』
かのん「うん、あいすちゃんもおやすみ」
かのん「じゃあ皆、また──」 かのん「………………」ギシッ…
かのん「……私、どうして曲を作ってるんだろう……」
かのん「前はギターを弾いてたみたいだけど、……どんな曲を引いてたのか、どんな風に、歌っていたのか思い出せないや」
ピコンッ…
『焼きりんごちゃん、まだ起きてる?』
かのん「あれ、千ちゃんからチャットの通知……?どうしたんだろ……」
『起きてるよ。どうしたの?』
『まだ眠れなくって……少し話したいなと思ってさ』
『そうだったんだ。私で良ければお話しよう』
『ねぇ焼きりんごちゃんさえ良ければ通話繋げてもいい?』
かのん「……何かあったのかな。私から掛けてみよう」 かのん「……もしもし。千ちゃん、聞こえる?」
『わっ!焼きりんごちゃんから掛けてくれたんだ。返信無かったからもう寝ちゃったかと思った』
かのん「まだ寝ないから大丈夫だよ。それで……どうして通話?」
『……あのね、さっき皆で話したことなんだけど……』
かのん「えっと、何の話だっけ」
『……歌の話』
かのん「あー、それがどうかしたの?」
『無理して歌わなくていいよって。それだけ言いたくて』
かのん「?……どういうこと……?」
『……ううん。何でもない』
『──ごめんね、かのんちゃん』
かのん「えっ……ちょちょ!なんで私の名前知って──」
ブツンッ…
かのん「わ、私、千ちゃんに名前言ったことあったっけ……?」 かのん「それに、千ちゃんは何を謝ってたの?」
かのん「んん……分かんない……一体何だったんだろう……って、なにこれ新しいファイル……?」
かのん「……『Untitled』?」
かのん「こんな曲作ったっけ?koiちゃんとかが間違えて共有フォルダに保存しちゃったのかな?……取り敢えず、ちょっと見てみよ」カチッ
チカッ!
かのん「え!?な、何!?眩しっ……!」
o,+:。☆.*・+。 【???】
かのん「……っ、……あ、あれ!?なにここ!?」キョロキョロ
かのん「私、自分の部屋に居たはずじゃ……」
??「ここは、セカイだよ」
かのん「だ、誰ぇっ!?」バッ
??「わたしは、ミク」
かのん「ミク、ちゃん……?」
かのん「それにその声……もしかしてだけど、バーチャル・シンガーの、初音ミクちゃん……?」
ミク「うん」コクリ
かのん「(……私が知ってる姿とはだいぶ違うみたいだけど……)」
かのん「(というか、何でミクちゃんと話せてるの?これは夢?……ここは一体何処なの?)」
かのん「(頭が、痛くなる……)」
ミク「大丈夫?」
かのん「う、うん!平気だよ」 ミク「……かのん。わたしはここでずっと、あなたを待ってた」
かのん「私を?」
ミク「ここは、あの子の想いで出来たセカイだよ。誰もいないセカイ」
かのん「誰もいないセカイ……」
ミク「わたしは、あの子が本当の想いを見つけるためにここに居るの。本当の想いが見つかった時、それは歌になるから」
ミク「でも……この空っぽのセカイじゃ、あの子は変わらない。想いを見つけられない」
ミク「だから……かのん。あの子を助けて」
かのん「……あの子っていうのは……」
ミク「今は分からなくていい。きっとこのセカイで出会えるから」
ミク「だから、傍に居るあの子を──」
チカッ!
かのん「っ!」ギュッ
「──救ってあげて」
o,+:。☆.*・+。 【かのんの部屋】
かのん「っ……あ、あれ……自分の部屋……」
かのん「何だったんだろう……あれ……」
かのん「って、もうこんな時間!?やっぱり私寝ちゃってた!?」
かのん「──あの子を、救ってあげて。か……」
かのん「あの子って、誰のことなんだろう……」
かのん「……変な夢……」 **
【千砂都の部屋】
千砂都「(……やっぱり、覚えてないんだ。私のこと)」
千砂都「…………はぁ……」ポスッ
千砂都「……分かってたけど、悔しいな」
千砂都「……くやしい、くやしい……」
千砂都「(あれだけ追い詰められてたかのんちゃんを、救えなかった自分が)」
千砂都「(かのんちゃんがもう一度歌えるようになるかもしれないチャンスを、奪おうとしている自分が)」
千砂都「(かのんちゃんにはもう二度と、あんな目に遭って欲しくないから。なんて言いながら、自分が傷つくことが一番怖くて勝手なこと言って、自分を守ろうとしてしまう私が)」
千砂都「(自分が、大嫌いだ)」
ザザッ…
ミク『……千砂都、大丈夫……?』
千砂都「……ミクちゃん、私、もう疲れちゃった」
千砂都「……私、ずっとセカイに居たい」 ****
一週間後
ピコンッ
『お疲れ様。作業進んでる?』
『ああ、なんだ。Sデスか』
『私で悪かったわね。他の人は?』
『焼きりんごはご飯食べに行きに落ちマシタ。koiと千はまだ見てないデス』
『ふぅん?で、あんたは何してたの?』
『あいすは今ラフの色塗りに取り掛かったところデス』
『随分早いわね。書き溜めてたりしてたの?』
『ま、そんなところデスね。Sは作業遅いデスし、その合間に』
『一言余計なんだけど……』 ピコンッ
『遅れてしまってすみません、お待たせしました』
『あっ、koiお疲れ様。ご飯?』
『いえ、少しお父様と電話をしていまして』
『……koiって絶対お嬢様よね』
『え?』
『だってお父さんのことお父様って呼ぶし、自分のことも、わたくしって言うでしょ?だからそんな感じして』
『決めつけは良くないデスよ』
『決めつけじゃなくて私が勝手に思ってるだけだから』
『それを決めつけというのデハ……?』
『だってさ、あいすも考えてみてよ?お嬢様だったら家とか絶対豪邸じゃない?それに、執事とかメイドとか家に沢山居るんだろうな〜って考えたら羨まし──』
『……そんなこと、無いです』
『ご、ごめん……』 ピコンッ
かのん「ただいま〜」
『焼きりんご、お疲れ様デス。今日のご飯は何デシタか?』
かのん「今日はナポリタンだったよ」
『ナポリタン!あいす、ナポリタン大好きデス!』
かのん「美味しいよねぇナポリタン!」
かのん「──あれ、千ちゃんは今日もログインしてないの?」
『ええ。ここ一週間はずっとログインしてないわよね……』
『少し心配ですね。何かあったのでしょうか……』
かのん「うーん……どうだろう……」
『普通に忙しいだけじゃなくて?』
『自撮りばっかりしている誰かさんよりは皆忙しいデスよ』
『うっさい。誰か心当たりある人いないの?』
『いえ……私は新曲を投稿した日から千さんとは話していませんでしたから』
『あいすも三日前くらいに心配でチャットを送りマシタけど、返事は無いままデスね』 かのん「どうしちゃったんだろ……何かあった──」ハッ
かのん「……そういえば……」
『──ごめんね、かのんちゃん』
かのん「……ごめんね、かのんちゃん……か」
『?……今何か言いマシタ?』
かのん「う、ううん!」
『……あら……焼きりんごさん、あいすさん、Sさん、見てください。共有フォルダに何が入っていますよ』
『あ、本当だ。音楽ファイルっぽいけど……』
かのん「タイトルは……『Untitled』……?」
『こんなの誰が入れたんデスか……?』
『管理者は、千さんですね』
『何で千が音楽ファイルなんて作って……っ!見て!この『Untitled』の更新日!』
かのん「丁度一週間前……ということは、千ちゃんと連絡が取れなくなった日……」
『何かありそうですね……』
かのん「取り敢えず見てみよう。何か手掛かりがあるかもしれない」
カチッ……
チカッ!
『うわっ!?何これ!?何かモニターが光ってんだけど!』
『ぅわっ……あいすもデスっ……!』
『ま、眩しっ……一体なんですかこれ……っ』
かのん「っ!」
o,+:。☆.*・+。 【???】
かのん「……っ……」
かのん「ここ、何処?……一面真っ白で、何も無い……静かで、冷たくて……」
かのん「……でも、何だか来たことあるような……」
「ちょっと!何ここ!どうなってるの!?誰か居ないの!?」
かのん「……あの声……もしかして……」
「だ、誰か居たら返事してくださーいっ!」
「……って言っても、だぁれも居ないデスね……何も無い場所デスし……」
「何か映画とかであるわよね。こういう部屋に連れてかれてデスゲームとかさせられるやつ」
「何馬鹿なこと言ってるんデスか。縁起悪いデス」
「そうですよ、Sさん……とにかく帰り方を探さないと……」
かのん「ね、ねぇ!」
「うわビックリした!誰!?」
かのん「もしかして……あいすちゃんに、Sちゃんにkoiちゃん……?」
「その声……焼きりんごさんですか!?」
かのん「そうだよ」
「よ、良かった……一安心デス……」ホッ
「ちょちょちょ、あんた私と会った時もっと冷めてたじゃない!全然態度違うんだけど!」
「……ふん」
「な、何でそっぽ向くのよ……」
かのん「け、喧嘩しないで?」 かのん「……一旦状況を確認しよう。三人はここまでどうやって来たの……?」
「私は共有フォルダに入ってた『Untitled』を開いたの。そしたら突然モニターが明るくなるから……目を瞑って耐えてたらいつの間にかここに来てたわ」
「あいすも同じデス」
「私もお二人と同じですね。焼きりんごさんもですか?」
かのん「うん、私も皆と同じだよ」
「スマートフォンさえあればGPSを使って助けが呼べたかもしれないのですが……」
「あいす達、ここから出られるのデショウか……」
かのん「……取り敢えず、この辺りを歩いてみよう。もしかしたら出口が見つかるかもしれないし」
「そうね。焼きりんごの言う通りにした方が良いかも。仮にここが本当にデスゲームの会場だとしたら、そんなのに参加させられるなんて御免だし」 *
「本当に何も無いのですね……ここは……」
「だいぶ歩き回ったと思うけど……出口らしきものは見つからないわね」
「あいす、もう帰りたいデス……」
「なに、もしかしてあんた怖いの?」
「っ!怖いに決まってマス!こんな何も無くて誰も居なくて静かで冷たい場所に来ただけでも怖いのに!貴女が余計なこと言うから……っ!」
「わ、悪かったわよ!私だって楽しみにしてた初のオフ会がこんな形で最悪だっての!」
「オフ会……?オフ会というのは一体……?」
かのん「オフラインミーティングのことだよ。SNSじゃなくてリアルで会うことをオフ会っていうんだ」
「そうなのですね、ひとつ勉強になりました……」
「あーあ、私は皆でお洒落なカフェとか行って、ハンドルネームじゃない本当の名前を教え合って……名前で呼び合って、色んな話したかったのに……あ、この機会だし、今名前教え合いましょ。ずっとハンドルネームってのもなんか……厨二病みたいじゃない?」
かのん「そ、そうだねっ、今教え合お!」 すみれ「私は平安名すみれ。リアルで会う時はすみれって呼んで」
恋「すみれさん!私は葉月恋と申します。こんな形にはなってしまいましたが、改めてよろしくお願いしますね」
かのん「私は澁谷かのんだよ。すみれちゃん、恋ちゃんよろしくね。それから……」
可可「ぁ、えっと……た、唐可可、デス……」
すみれ「……たん、くぅくぅ?……って、あんた顔真っ赤だけど大丈夫?」
可可「ううぅ……まさかこのタイミングで名前言うとは思っていなかったノデ……」
可可「あ、改めてよろしくお願いシマス。すみれ、恋、かのん」
恋「な、何だか照れてしまいますね……」
かのん「でも……何か安心したね。いつも通りの私達が戻ってきたって感じで」
すみれ「それもそうね。まぁ……顔見て話すのはまだ少し緊張するけど……」
可可「すみれの顔は皆知ってマシタけどね」
すみれ「皆して人の自撮り垢覗いてんじゃないわよ」 かのん「──あれ、誰かいる……」
「「「えぇっ!?」」」
すみれ「だ、誰!?」
恋「分かりませんが……段々此方へ近付いてきていませんか……?」
??「…………」チョコン
かのん「……えっと……あ、あなたは……」
ミク「わたしは、ミク」
すみれ「えっミク……ミク!?!?バーチャル・シンガーの初音ミク!?いやでもこんな真っ白なミク見たことないし……!」
可可「は、初音ミクって……バーチャル・シンガーなのにどうしてここに?……というか、何故可可達はミクと話せているのデス!?」
恋「皆さんはミクさんの知り合いですか?」
すみれ「知り合いも何も!ウチのサークルで使ってるデモ音声歌ってんのが初音ミクよ!!」
恋「えっ!?ええぇっ!?一体どういうことですか!?」 ミク「……わたしは、あなた達を待ってた」
かのん「待ってた……?……じゃあもしかして、私達をここに呼んだのも……」
ミク「多分、そう」
すみれ「多分って……」
ミク「呼んだのはわたし。でもひとりだけじゃない。わたしと、あの子」
かのん「あの子……?」
ミク「うん。ここは、あの子の想いで出来たセカイ。セカイは、あなた達が暮らしている場所とは少し違う」
ミク「このセカイと、あなた達の居た場所は、『Untitled』で繋がってる」
恋「だから『Untitled』を再生した私達はここに……」
可可「あ、頭がぐるぐるしてきマシタ……誰か可可のほっぺた抓ってくだサイ……」
かのん「ねぇ、どうやったらここから出られるの?」
ミク「『Untitled』を、曲を止めないといけない」
すみれ「止めるも何も、再生したパソコンが無いじゃない!どう帰りゃいいってのよ!?」 ミク「──お願い、あの子を見つけて」
ミク「あの子がこのままになってしまうと、あの子は……きっと、壊れてしまう」
ミク「どうか……どうか、あの子を救って欲しい」
かのん「……救う……」
「──ミクちゃん」
可可「その声……もしかして……千デスか……?」
「……ねぇミクちゃん。どうしてここに人が居るのかな?」
ミク「…………」
すみれ「……嘘でしょ、本当に千っぽいじゃない……」
恋「……でも、何処か違いませんか? ナイトコードで話している時の千さんは、もっと穏やかでほんわかしていて……」 かのん「……千ちゃん」
「焼きりんごちゃんに、Sちゃん、あいすちゃん、koiちゃんまで……」
可可「よ、良かったぁ……連絡取れなかったので心配していたんデスよ。千が無事で安心しマシタ……」
すみれ「千はずっとこんな不気味な場所に居たわけ?帰り方が分かんなくて困ってたの?」
「…………」
恋「千さん、大丈夫ですか?もしかして……気分が優れないとか……」
「……うるさいなぁ……」
可可「え?」
「……このセカイには、誰も来ないで。ひとりになりたいの」
すみれ「は、はぁ?どういう意味?」 「今言った通りだよ。私はひとりになりたくてこのセカイに居るの。誰からも干渉されずに、誰からも責められず自分の後悔を押し付けず、見る度に胸が痛む相手の顔も見なくて済むここに、ひとりで居たいの」
可可「……もう、ワタシ達と曲を作る気は無いのデスか……?」
「……そうだよ」
可可「……っ……」
恋「そ、そんな急に言われても……」
かのん「……千ちゃん」
「……なぁに、"焼きりんご"ちゃん」
かのん「どうして、……どうしてこうなっちゃったの?……私が出来ることなら、何でもするから、だから……!」
「無意味だったからだよ」
かのん「……え?」 「無意味だったの。何もかも。私が必死になって足掻いてもがいていたものが、全部無意味だって分かったの。ねぇ。それを知った時、"かのん"ちゃんならどうする?」
すみれ「な、何でかのんの名前知ってんのよ!?」
可可「……かのん……」
かのん「……ううん、千ちゃんに教えたことはないよ」
可可「じゃあ、どうして……」
「……ミクちゃん、もうこれ以上この人達と話すことは無いよ。今すぐここから追い出して」
ミク「……本当に、ひとりぼっちで良いの……?」
ミク「本当にこのまま、追い出してしまっても、良いの?」
「……私に残されたことは、もう何も無い。きっと"あの子の記憶"では、もう私は居ないんだから。意味無いよ。その記憶が無いなら、私はもういっそこのまま消えた方がいい」
かのん「"あの子"の、記憶……」
すみれ「ちょっと。さっきから何に言ってんだかさっぱり分かんないんだけど」
すみれ「突然サークル辞めます、曲作る気ありませんって言われて、挙句の果てには無意味でした?消えた方がいい?ふざけんじゃないわよ!」
恋「一度きちんと話しましょう?冷静になっていないからこそ、正常な判断が出来ていないだけかもしれませんし……」 可可「そうデスよっ……千、さっきから何か変デスよ……?」
「……変?私が変なら、皆もそうじゃない?」
かのん「……え?」
「だって、Sちゃんもkoiちゃんもあいすちゃんも──誰よりも消えたがってるくせに」
「「「っ!」」」
「私だけが変、なんてそんな事ないよね?皆だってそうでしょ?」
可可「……あ、ぅ……」
すみれ「……それは……」
恋「せ、千さん!本当にどうしたのですか?私は素敵な仲間に恵まれて、毎日とっても楽しいですよ!消えたいなんて、そんなこと……」
「そういうの、もういいよ。ねぇkoiちゃん。koiちゃんは、私の言ってること、全部理解出来ているのにどうしてそんな嘘を吐くのかな?」
恋「…………っ」 「もう、疲れちゃったの。だから誰も要らない。このセカイには、私ひとりで十分」
「ミクちゃん、今すぐ追い出して」
ミク「……わかった」
すみれ「ちょ、ちょっと!追い出すってどうやって……!」
ミク「……」スッ…
すみれ「な、何して──」
o,+:。☆.*・+。
可可「すみれ!?き、消えた……っ!?」
恋「ミクさんがすみれさんに触れたら……」
ミク「……あなた達も」スッ…
「「わっ!?」」
o,+:。☆.*・+。 かのん「すみれちゃん!可可ちゃん、恋ちゃん!!」
ミク「……あなたも」スッ…
かのん「!」
ミク「……さよなら」
o,+:。☆.*・+。
「でもどうか、あの子を……千砂都を──」 【かのんの部屋】
かのん「っ……わ、私の、部屋……」
すみれ『かのん!かのん!!大丈夫!?』
可可『無事戻ってきていマスか!?』
恋『かのんさん!返事をしてください!』
かのん「三人とも……!皆も無事だったんだ……!」
すみれ『ええ、何とかね』
恋『でも、私達何をされたのでしょうか……ミクさんに触れられたと思ったら、いつの間にか自分の部屋に帰ってきていました……』
可可『あのセカイという場所も引っ掛かりマス……ミクも、千も難しいことを言っていマシタし……』 すみれ『……千って、あんな子だったのね』
かのん「すみれちゃん、流石にその言い方は無いんじゃ……」
すみれ『でもそうでしょ?……少なくとも私はもっと元気で優しい子だと思ってた。ボイチャだけで本当の性格なんて分かんないけど、でも……』
可可『……これからどうしマスか……?あの調子では、戻って来ない確率の方が高そうデスけど……』
恋『取り敢えず今日はお開きにしましょう。知らない場所に行って皆さん自分が思っているより疲れているはずですし』
恋『……これからのことは、また明日考えましょう』
すみれ『……はぁ、それもそうね。私、もう落ちるわ』
可可『可可も落ちマスね。取り敢えずまた明日』
恋『ええ、また明日。かのんさん、私も失礼しますね』
かのん「うん、皆おやすみ」 【すみれの部屋】
パタンッ…
すみれ「……ふぅ……」
すみれ「………………」
すみれ「………………」スッ スッ…
【すみれちゃん、今日も可愛い!】
【ビジュ良過ぎ。ファンになった】
【メイク似合ってる!メイク動画出して欲しい!】
【その服何処のですか!?】
すみれ「……っふふ、また自撮り伸びてる」
【このすみれって、グソクムシやってた平安名すみれ?】
【芸能界から消えたと思ったら自撮り垢なんてやってたんだ】
すみれ「…………っ」ピタッ…
すみれ「また過去のこと掘り出してる人居るし……いい加減ブロックしようかしら……」
「だって、Sちゃんもkoiちゃんもあいすちゃんも──誰よりも消えたがってるくせに」
すみれ「……何も、知らないくせに……」 プロセカは知らないけどミクは知ってる
どういう展開になっていくか期待 【一週間後】
カタカタッ… カタッ……
かのん「………………」カタカタッ…
可可『……最近自撮り垢の方、頻繁に自撮り上げてマスね』
すみれ『……うっさい』
可可『それにkoiはずっとログインしてマス。ちゃんと休んでマスか……?』
恋『ぁ……はい、皆さんと居た方が落ち着くので……』 可『……千が居ないと、寂しいデスね』
すみれ『…………』
恋『…………』
すみれ『……ねぇ、今日ももうお開きにしない?ずっとこんな調子だし……』
恋『そうですね……このまま作業が進むわけでも無さそうですし……』
可可『そうしまショウ。焼きりんご!聞こえてマスか?』
かのん「──ぁ、ごめん。ぼーっとしてて……」
可可『……そうデスか……』
すみれ『あんまり気にしない方がいいわよ。ひょっとしたら、正気に戻って突然戻ってくるかもしれないし』
恋『そうですね!信じましょう、焼きりんごさん』
かのん「……うん、そうだね」 >ストーリーは『25時、ナイトコードで。』のストーリーを主に沿って行きます。
といいましたが、『ワンダーランズ×ショウタイム』『Vivid BAD SQUAD』のストーリーも同時に沿っていくことにします。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています