侑「菜々ちゃん、入るよー。風邪の具合はどう?少しは良くなった?」
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菜々「侑さん……けほっけほっ」
侑「うん、少しは咳も落ち着いたのかな。びっくりしたよ、お昼に菜々ちゃんが熱を出して早退したって聞いて。心配で午後の授業は全然集中できなくてさ」アハハ
菜々「ごめんなさい……心配をお掛けしてしまって……」
侑「あ、ううん!そういうつもりで言ったわけじゃないの!こっちこそごめん!」 侑「そうだ、差し入れ持ってきたよ。はい、冷えピタとスポーツドリンク。ちゃんと水分補給してる?脱水症状にならないように、少し辛くてもちゃんと飲むんだよ」
菜々「あ……ありがとうございます……」
侑「熱は今どれくらいあるの?」
菜々「薬を飲む前が39℃だったから……今は38℃くらいかも……」
侑「うわぁ、そんなに熱があったんだね。苦しかったよね。でも大丈夫だよ、すぐに良くなるから」 菜々「でも……来週は、ソロライブが……」
侑「大丈夫、大丈夫。あと10日もあるんだよ?2日くらいでパパっと治しちゃおうよ。1週間ちゃんと練習できれば、すっごくいいライブにさせられるよ。菜々ちゃんならできるって、私は信じてるから」
菜々「うん……」
菜々(侑さんの言葉、あったかい。気持ちが楽になっていく……) 侑「ほら、じゃあ冷えピタ貼ろっか。おでこ借りるね」スッ
菜々「!!」
侑「……はいっ、これでよしっと」ペタペタ
菜々「……(何を期待してるんだろう、私は……馬鹿だな……)」
侑「えへへ、ひんやりして気持ちいいね」ピトッ
菜々「!?!?!?(おでこ、くっつけて……!?顔、近すぎ……!!)」
侑「それじゃあ次は、スポドリ飲もっか。……あれ?菜々ちゃん?」
菜々「〜〜〜〜っ!!」
侑「布団に潜ると息苦しくなっちゃうよ。私はコップ持ってくるから、ちょっと待っててね」 菜々「うぅ……」
菜々(侑さん、それは反則です……こんな顔、見せられない……!)
菜々(こんなことされたら、勘違いしちゃいます……)モゾモゾ
侑「菜々ちゃん、お待たせ。身体、起こせる?」
菜々「……」コクン 侑「はい、どうぞ。コップ、自分で持てそう?」
菜々「…………も、持てない、かも……」
侑「うん、わかった。じゃあ……」スッ
菜々「あっ、やっぱり大丈夫、自分でやります……!」
侑「ほんと?無理しなくていいんだよ?」
菜々「いいえ、本当に大丈夫です……!(また顔が真っ赤になっちゃうところだった……!)」
侑「そう?ならいいけど……」 菜々「いただきますっ」
侑「待って菜々ちゃん、落ち着いてゆっくり飲まないと――」
菜々「んくっ、んくっ、んくっ……ぐっ!?」
侑「あっ!」
菜々「ゴボッゴボッ!ごほごほっ!げほっげほっげほっ!!」 侑「大丈夫だよ、菜々ちゃん。ちょっと飲み物が気管に入っちゃっただけだから。こぼしちゃったのは私が拭いてあげるね。菜々ちゃんはこのタオルを口に当てておいてね」
菜々「げほっ!げほげほっげほっ……」
侑「大丈夫、大丈夫。背中さすってあげるからね。すぐに楽になるよ」
菜々「げほっ……はぁはぁ……」
侑「落ち着いて呼吸するんだよ。そう、その調子、その調子」
菜々「はぁ、はぁ……ふぅ……」 侑「落ち着いたかな?消耗しちゃっただろうから、飲み物はもうしばらく経ってからにしよっか」
菜々「う……うぅ……」ポロポロ
侑「よしよし、苦しかったね」
菜々(情けない……よりによって侑さんに、こんな姿を見せるだなんて……。体調管理もできない、一人で飲み物をまともに飲めない私に、失望しただろうな……)
菜々「ご、ごめ……げほっ!(うっ!喉、痛い……!)」
侑「喉痛いよね。喋らなくても大丈夫だよ。ちゃんと伝わってるから」
菜々「……」ゴシゴシ 侑「熱があるときって、苦しいし不安だし……辛いよね。私なんかはさ、なんで風邪なんか引いちゃったんだろうとか、なんにも上手くいかなくてみんなに迷惑掛けちゃったりして、情けなかったり、がっかりしたり……」
菜々「……」
侑「でもね。たぶん、みんなそうなんだよ。だって、あの菜々ちゃんが、飲み物こぼしちゃったんだよ?普段しっかり者で元気いっぱいの、菜々ちゃんでさえ……。そう思ったらさ、私が失敗しちゃうのもしょうがないかなって、勝手に勇気貰っちゃった」アハハ
菜々(侑さん……)
侑「それにさ、弱ってる菜々ちゃんも、なんだか新鮮で可愛かったよ。でも、元気いっぱいの菜々ちゃんも大好きだから、早く元気になってね!」 菜々(ああ……侑さんは、私が欲しい言葉を全部くれる。足りないのは、ひとつだけ。あなたの、その『大好き』は……)
侑「呼吸も落ち着いてきたね。あとでちゃんと飲み物飲んでね。ゆっくり、だよ」
菜々「……」コクン
侑「それじゃ、私は帰るね。何かあったら――」
菜々「ま、まって」ギュ 侑「菜々ちゃん?」
菜々「もう少し……そばにいてほしい……」
侑「……!!」
菜々「だめ、かな……?」
侑「……もちろん、いいよ。それじゃ、菜々ちゃんが眠れるまで、こうして手を握っててあげる」
菜々「うん……ありがとう……」
侑「おやすみ……」 菜々「……」
菜々(侑さん……どうして私はこんなにもあなたに焦がれるの?今日だけじゃなくて、もっとずっと、独り占めしたい……)
菜々(侑さん……私は、あなたのことが――)
菜々「すぅ……すぅ……」
侑「……もう寝ちゃった。ゆっくり休んで、早く元気になってね。私の大好きな、菜々ちゃん……」 〜〜ソロライブ当日〜〜
侑「せつ菜ちゃん、いよいよだね!」
せつ菜「はい!準備はバッチリ!最高のライブにしてみせます!!」
侑「うん!その意気だよ!!」
せつ菜「……」
侑「……?せつ菜ちゃん?どうかした?」
せつ菜「いえ……私は幸せ者だな、と……。こんなにもたくさんの人が応援してくれて、そして、一番近くで、私を支えてくれる人がいる……。こんなに幸せなことはありません!」
侑「せつ菜ちゃん……」 せつ菜「先日、私が体調を崩したとき……侑さんが看病してくれなかったら、私は今日こんなにも自信を持ってステージに立てなかったかもしれません」
せつ菜「あのとき……それくらい私は救われたんです。改めて……ありがとうございました、侑さん」
侑「えへへ……こうして面と向かってお礼を言われると、なんだか照れちゃうね……」
せつ菜「うふふ。……ねぇ、侑さん。今日は、誰よりも大きな声で、応援してくれますか?」
侑「もちろん!どんなファンの子にだって、負けないよ!」
せつ菜「頼もしいです!それじゃあ……」 侑「えっ――」
ちゅっ!
せつ菜「行ってきます!ちゃんと見ててくださいね!私の大好きな、侑さん!!」タッタッタッ!
侑「あ……」カァァ
侑「せ、せつ菜ちゃん、私も大好きーー!!ずっとずっと、応援してるよーーっ!!」
おしまい 菜々/せつ菜ちゃん、誕生日おめでとうございます。
僕は昨日コロナに罹ったので、こんな形でしかお祝いできなくてごめんなさい。
僕も侑ちゃんに看病してもらいてぇんですが、侑ちゃんの隣にはあなたがいるべきだと思うので、布団から応援してます。 グッド、読みやすくも濃厚なゆうせつが感じられる作品だった
シンプルイズベストって感じだ、良き ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています