しずく「侑先輩を勢いで押し倒しちゃった……///」
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しずく「………///」ドキドキドキ
侑「……しずく、ちゃん?」
放課後、2人きりの部室。
ソファの上で私の体は先輩に覆いかぶさり、所謂押し倒した状態になっている。
心臓が爆発しそうなくらいドキドキして動揺する私とは裏腹に、先輩はきょとんとした顔をして翠色の瞳をまっすぐ私に向ける。
どうしてこんなことになったのっ!?─── ───遡ること……🕕
しずく「予定より時間かかっちゃったな……」
最終下校時刻前の放課後、同好会の部室へと向かう。
今日は急遽演劇部の助っ人に呼ばれて同好会の参加が出来なかった。いつもならもうみんな帰ってる時間だろうし、荷物だけを取りにと部室の扉を開けると……
しずく「え、侑先輩……?」
侑「あ、しずくちゃんおかえり」
そこには侑先輩が1人。ソファの上で座りスマホで動画でも見ていたのだろうか。 しずく「どうしたんですか? 皆さんはもう帰りましたよね?」
侑「うん、今日はもう終わってみんな帰ったんだけど……」
侑「私だけ、しずくちゃんに会いたかったからここで待ってたんだ♪」ニコッ
しずく「え……///」ドキッ
待っていた? 私を……?
屈託の無い笑顔を向ける先輩に、私の胸は高鳴る。 しずく「えっと……何か、私に用事でもあったんですか?///」
侑「あ、いや別に用事があった訳じゃないんだけど……」
侑「ただ、しずくちゃんに会いたかったから」ニコッ
しずく「そう、ですか……///」ドキドキ
嬉しかった。『会いたかった』その一言だけでどうしてこうも頭を撫でられる様に心が躍りだすのだろう。 ……だけど
しずく「……あ、あのっ」
侑「?」キョトン
しずく「……どうして、私に会いたかったんですか?」
嬉しかった。だけど……先輩が口にするその言葉の"意味"を、私は知りたくなってしまった。 侑「え? どうしてって……うーん、そう言われると難しいな……」
侑「ただ、しずくちゃんに会いたいなって思ったから……かな?」
しずく「………」
知ってた。分かっていたはずだった。
侑先輩は、特別を持たない人だ。 『会いたかった』その一言は、何よりも嬉しい言葉。
だけど私にとっては特別なその言葉も、先輩にとっては……
しずく「………」スタスタ
侑「……?」
分かっている。先輩の好きは、私の好きとは違う。
私にとっては特別な好きも、先輩には届かない。
目の前に見えるのに、手を伸ばせば触れられるのに、私の想いは届かない……
───だったらいっその事……
侑「わわっ!?」
ドサッ!
しずく「………///」ドキドキドキ
侑「……しずく、ちゃん?」
気付けば私はソファの上で先輩に覆いかぶさり、所謂押し倒した状態になっている。 心臓が爆発しそうなくらいドキドキして動揺する私とは裏腹に、先輩はきょとんとした顔をして翠色の瞳をまっすぐ私に向ける。
しずく「……侑先輩が、悪いんですよ?」
しずく「いつもそんな言葉で私を惑わして……」
しずく「だから……っ」
侑「ぇ……」
私の言葉に、少し驚くように双眸を揺らす先輩。
私はそのまま、重なるようにゆっくりと先輩の顔に近づいて…… 侑「し、しずくちゃんちょっと待ってっ!?」
ドンッと先輩から手で引き離されて我に返る。
しずく「ぁ……」
侑「えと、その……急すぎて……///」
なに……やってるんだ私……
拒絶された。先輩に。嫌われた。なんで?私今何した?寒い。演技。もう戻れない。キス。なんて言えば。好き。分からない。先輩。だってもう。私は……
しずく「ごめん、なさいっっ!!」ダッ!!
侑「え、しずくちゃんっ!?」
色んな考えが頭をよぎって、やがて頭が真っ白になって飛び出すように部室を出た。
息が切れるのも忘れるくらい無我夢中で走った。
何も聞こえなくて、何もかも忘れたくて。
気が付けば、帰りの電車に乗りこんでいた─── ───ピコン
しずく「っ! 侑、先輩……」
揺れる電車の中で、スマホが震える。
もちろん送り主は、誰よりも通知が来たら嬉しい人。
だけど今は……今だけは見たくなかった……
侑先輩:ごめんねしずくちゃん。今、電車の中?
侑先輩:急に走り出すから慌てて追いかけたけど追いつけなくて……
侑先輩:(焦りスタンプ) 画面に表示される通知を眺めて、数秒。
張り付くような冷たくなった息を吸って、吐いて。
心臓に手を当てて、心音を整える。
意を決してメッセアプリを開く。
……今なら、まだ間に合うかな?
侑先輩:あ
侑先輩:しずくちゃん、さっきの事だけど
しずく:ごめんなさい侑先輩
しずく:実は
しずく:さっきのは演技なんです
侑先輩:え
しずく:急に説明もなく始めちゃって本当にごめんなさい
しずく:実は急遽演劇部の代役を演じることになって
しずく:主人公が告白するシーンの演技をしていたんです
しずく:だから気にしないでください
我ながら苦しい言い訳だ。
だけど、不思議と手は止まらなかった。 侑先輩:そっか、そうだったんだね
侑先輩:急だったからびっくりしちゃったけどそういうことだったんだね
侑先輩:ごめんね、私もびっくりしちゃって
侑先輩:それならまたいつでも演技の相手になるから言ってね!
しずく:はい、ありがとうございます!
しずく:(感謝スタンプ)
しずく「……これで、よかったんだよね?」
これで明日からも、きっといつも通りの関係でいられる。
……なんであんなことしちゃったんだろう。 本当に自分が嫌になる……
分かっていたはずなのに。
どんなに先輩の事が好きでも、
どんなに手を伸ばしても、
先輩は……
そういう特別な好きは、持ってないはずなのに─── ───心配だった日常は、何事も無かったように戻ってきた。
翌日からも先輩はいつも通り変わらず接してくれて
普通にスクールアイドルの話や演劇の話をしたり。
まるであの出来事すらなんでもない日常の一コマだったかのように。
……もしかしたら、私の気にしすぎなのかな? あのくらいの出来事なら先輩は他の皆ともしてるのかも。
しずく「………」
……勝手に自分で想像しておいて、嫌な気持ちになるのはよくないと思う…… でも、それなら別にそれでいいのかな……
きっとそれでいいんだよね。
気にしなければ、もう苦しむことも無いはずなんだから……
……
…………
それでも、あの日からずっと……
ずっと、心が苦しいと感じるのは、どうしてなんだろう?─── ───最終下校時刻前の放課後、同好会部室へと向かう。
今日も演劇部の代役に呼ばれて同好会の参加が出来なかった。
いつもならもうみんな帰ってる時間だろうし、荷物だけを取りにと部室の扉を開けると……
しずく「………」
そこには、誰もいなかった。
そう……だよね。何期待してたんだろう。
謎の期待と緊張をしてた自分が馬鹿らしくなって力が抜ける。
ぺたんと倒れ込むようにソファに座った。
しずく「侑先輩……」 侑「呼んだ?」
しずく「えっ!?」ビクッ!
侑「おかえりしずくちゃん。待ってたんだけどお手洗に行きたくなっちゃって、入れ違いにならなくてよかったよ」
しずく「ぁ……そう、でしたか……」
侑「今日も演劇部お疲れ様。しずくちゃんは本当に頑張り屋さんで凄いなって思うよ」
しずく「いえ、そんな……///」
侑「………」
しずく「………」
始まる沈黙。
少し真剣な顔をした先輩は、意を決した様に口を開いた。
侑「しずくちゃん、この前の演技をもう一度演じてくれないかな?」
しずく「え?」 侑「あえっと、この前はなんか私も変な反応しちゃったからさ……」
侑「今度はしずくちゃんの演技を真剣に受け止めるから」
しずく「えっと……」
まっすぐ私を見つめる先輩。
もう一度……?また私が先輩を押し倒してそれで……
鼓動が早くなって、息が詰まる。
そんなの、出来るわけが…… しずく「………」
侑「どうしたの……?」
しずく「……いえ、なんでもないです」
しずく「よろしくお願いします。侑先輩」
でも、やらなくちゃ。
そうしなきゃ、あれが演技じゃなかったってバレてしまう。
演じればいい。舞台に立つ時と変わらない、恋をする少女を演じれば…… ドサッ!
しずく「………///」ドキドキドキ
侑「………」
意を決して先輩をソファに倒す。
ゆっくりと先輩に覆いかぶさり、先輩を見つめる。
……だけど、前は無意識だったのに対して今回は意図的だ。前よりも心臓はうるさいし、真っ直ぐ見つめる先輩を直視出来ない。思わず目を逸らしてしまった。 しずく「……っ///」ドキドキ
侑「しずくちゃん?」
侑「……どうして目を逸らしてるの?」
侑「この前はもっと真剣だったよ?」
しずく「っ!」
そうだ。今は演技をしているんだ。
私は桜坂しずくではなく、先輩に恋する少女……
しずく「先輩……///」
先輩に恋する、少女…… しずく「………」
侑「? しずく、ちゃん?」
しずく「……やっぱり、出来ません」
侑「え?」
しずく「嘘なんです」
しずく「この前の出来事が演技だなんて、嘘なんですっ……!」
しずく「……好きなんです。侑先輩の事が……///」
しずく「私の好きは、侑先輩がいつも皆さんに言う好きとは違う、好きなんです……っ!」
しずく「だからこの前は演技じゃなくて私のわがままで先輩を押し倒して……っ」
しずく「拒絶されて、振られるのが怖くて演技と誤魔化して……」
しずく「でも、やっぱり誤魔化しきれないんです……」
しずく「誤魔化して、演技だって自分を騙しても……」
しずく「……胸が、苦しいんです」
しずく「初めてなんです……演じている方が心が苦しい事なんて……!」
しずく「だから例え叶わない恋だとしても……届かない想いだとしても……っ!」
しずく「この気持ちだけは、偽りたくない……」 侑「………」
侑「……そう、だったんだ」
しずく「っ……」
言ってしまった。
隠したかった想いは、張り裂けるように言葉から溢れた。
人生で初めての告白。
心臓が破裂しそうって表現は、本当なんだ。
苦しくて、切なくて、期待と不安が入り混じる不思議な気持ち。
たけど、この想いの結末はきっと…… 侑「ありがとうしずくちゃん」
侑「………」
しずく「………」
侑「……ごめんね」
しずく「……はい」
分かってた。
きっとこうなるって。
もしかしたら、なんて勝手な妄想をしちゃう時もあったけど……
でも、好きになったからこそ先輩を見ていればわかる。
先輩は私とは違って特別を持ってなくて……
この想いは多分、先輩を困らせるだけで……
……やっぱりダメだな、私って しずく「そう、ですよね……」
しずく「急にこんなこと言われたら、侑先輩も困っちゃいますよね……」ハハ…
しずく「うん、これでキッパリ諦められます」
しずく「これからはもう、こんな事はしないので」
しずく「だから、気にしないで忘れてください」ニコ
しずく「これからも……私の夢を応援してくれますか?」
侑「うん、それは勿論応援するよ。むしろ私がさせて欲しいくらい」
しずく「ふふっよかったです」 しずく「それじゃあ、そろそろ帰りましょうか?」
侑「待って」ガシッ
そそくさと帰ろうとする私を後ろから手を引く先輩。
しずく「……なんですか?」
侑「応援はするよ、これからもずっとしずくちゃんのこと」
侑「だけど、しずくちゃんのその好きな気持ちは、諦めなくてもいいんじゃないかな?」
しずく「え?」
侑「私にとってしずくちゃんは、可愛い後輩で、大好きなスクールアイドルで、しずくちゃんの想う好きとは違うけど……」
侑「それでも、しずくちゃんが好きって告白してくれたのは、嬉しかった」
侑「私はそういう好きを持った事がないから分からないけど……」
侑「でも、演技って嘘をついてまで苦しんでるしずくちゃんをもう見たくない」
侑「諦めるって言いながら悲しい顔をするしずくちゃんを見たくない」
しずく「っ!」 侑「今はまだ分からないけど、私もしずくちゃんの事をそういう好きで考えるようにするから……」
侑「だから……」
ギュッ!
侑「っ!」
しずく「……いいんですか?」
しずく「これからも、好きでいて……」
侑「……うん、私の方こそ、そうは言ってもしずくちゃんの気持ちに答えられるかは分からないけど……」
しずく「いいんですっ! 好きでいさせてくださいっ……!」ギュッ
しずく「絶対に……侑先輩にも好きって言わせてみせますから……っ」
侑「……あはは、それは楽しみだ♪」
しずく「……侑先輩、好きです」
侑「っ!」
しずく「私が必ずなってみせます……」
しずく「"あなたの理想のヒロイン"に───」
────
── しずく「好きです、侑先輩♡」
侑「っ!/// あ、あはは……///」
放課後、2人きりの部室。
今日も私は大好きな侑先輩に、自分の素直な気持ちを伝える。
しずく「侑先輩は、私の事をどう思っていますか……?///」
侑「えぇっ!? えぇっとぉ……///」
侑「か、可愛いと思ってる……よ?///」
しずく「……むぅ」
あの日以来、好きを隠さなくなった私とは裏腹に、侑先輩は"好き"という言葉を私に言わなくなった。
きっと、侑先輩なりの配慮なんだろうけどそれはそれで寂しい。 しずく「……まだ、私は侑先輩のヒロインにはなれませんか……?」
侑「う、うーんどうだろう……///」アハハ
しずく「………」
しずく「えいっ♪」
ドサッ
侑「わわっ!?」
しずく「それならもっと、侑先輩に好きって言われるようにドキドキさせますね♡」
侑「し、しずくちゃん……///」
しずく「えへへ……///」
しずく「侑先輩を勢いで押し倒しちゃった……///」 jΣミイ˶ᵕ ᴗᵕ˶リあなたを落とすヒロイン…
jΣミイ˶^ ᴗ^˶リそういうのもありですね💙 ₍₍⁽⁽jΣミイ˶^ ᴗ^˶リ₎₎⁾⁾こういうのでいいんですよ💙 攻め攻めな後輩しずくちゃんの破壊力よ…
素敵なゆうしずをありがとう jΣミイ˶- ᴗ-˶リこういうSSを求めていたんです⋯⋯
jΣミイ˶- ᴗ-˶リ神SSをありがとうございます これさあ
押し倒してもらう為に曖昧な態度取ってるよね ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています