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かのん「このクソガキっ!!」夏美「にゃははははww」すみれ「やめなさいよ」

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0001名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 00:43:41.79ID:FO0yL1bR
かのん「今日という今日は絶対許さないからっ!!」

夏美「にゃっはーw 騙されるかのん先輩がおまぬけなんですのー!」

かのん「なんだとぉーっ!」

すみれ「やめなさいってば、騒がしいわね。いったい何があったのよ?」

かのん「聞いてよ!すみれちゃん!この子ったらね!」

夏美「かのん先輩が悪いんですのー!」

かのん「はぁ!?私になんの非があるっていうの!ふざけないで!」

すみれ「はいはい。もうわかったから、ほら、座って?」

かのん「ぐぬぬぬぬ……!」

夏美「にゃははwww」

すみれ「それで、何があったの?」

夏美「ちょっとしたドッキリですの。それでかのん先輩がぷっつんしちゃっただけですの。ヤンキーはすぐキレるから質が悪いですのーww」

かのん「質が悪いのはそっちでしょっ!!」

すみれ「また過激な動画撮って再生数稼ぎ?懲りないわねあんた達」

かのん「あんた達!?私をその中に含めないで!」
0002名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 00:45:25.19ID:FO0yL1bR
すみれ「はいはい。で、今回はなにやったの?」

夏美「これですの!今朝上げたばかりなのに再生数ミリオン間近!」

すみれ「『学校のやばい先輩、拉致して夜の校舎に放置してみたwwww』ですって?」

夏美「ですの!」

すみれ「ふーん、おもしろそうね」

かのん「なんっっにもおもしろくないっ!!可哀想でしょ!?私が!」

夏美「こういう悪い人が懲らしめられる系の動画は大人気なんですの!勧善懲悪ですの!」

かのん「すみれちゃんそいつ縛っておいて、今からぼこぼこにするから」

すみれ「落ち着きなさいよ、別に誰が不幸になってるわけでもないんだから」

かのん「なってるよ!わ・た・し・が!」

夏美「わ・た・が・し?」

かのん「ちがうっ!」

夏美「映え映えのやつ食べたくなってきましたのー」

すみれ「カラフルの?」

夏美「ですの!」

かのん「ちゃんと聞いて!こっちはね?帰りが遅くなってめちゃくちゃ怒られたんだからね!」

夏美「ヤンキーのくせに門限あるとかだっさぁい♡」

かのん「誰がヤンキーだ!このっっ!!」

夏美「きゃー!やばい先輩に殴られるぅっー!」

すみれ「やめなさいってば」

かのん「ふんっ!」
0003名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 00:47:05.06ID:FO0yL1bR
すみれ「まぁ、確かにやりすぎ感はあるけど、この程度のイタズラならよくあることじゃない。そこまで目くじら立てるようなことでもないでしょ?」

かのん「よくあっちゃだめでしょ!私はイヤなの!こうやって勝手に動画に撮られてネットに晒されるのは」

夏美「ちゃんとモザイクは入れてますの。声だって加工してますの」

かのん「知ってる人が見たら一発で私だってわかるんだよ!」

すみれ「でもまぁ仕方ないんじゃない?今はこういう時代だしね」

かのん「仕方ない??ふんっ、自分に関係ないからそういう態度が取れるんだよ、すみれちゃんは」

すみれ「そんなことないわよ。私だって自分が巻き込まれたら嫌に決まってるでしょ。でも、それをどうこう言ってもしょうがないじゃない。この子はこういう子なんだから」

夏美「そうですの!こういう子なんですの!こういう個性なんですの!」

かのん「開き直るなっ!」

夏美「それに私も被害者なんですよ?」

かのん「はぁ?」

夏美「かのん先輩のリアクションには謎の中毒性がある。私は私の視聴者が欲してるものを提供する義務があるんですの」

かのん「そんな義務ないよ」

夏美「あ、そうだ。すみれ先輩にもかのん先輩の超絶滑稽なリアクション、見せてあげますの」

かのん「やめて」

夏美「最もリプレイが多い場面ですの!じゃーん、こちらですの!」

かのん「やめろって言ってるでしょ!」

夏美「はい、スタートですの!」
0004名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 00:48:04.26ID:FO0yL1bR
かのん『あああぁぁぁぁぁあああああああ!!!!!!』(夜の校舎で謎の不審者に追いかけられるかのん)



かのん『いやぁぁぁぁぁぁっ!!□☆○%♭$■*&:!』(モザイク越しでもわかるあの変顔)



すみれ「うわぁ……これはひどいわね……」

かのん「ドン引きするのやめて?笑われた方がまだましだから」

すみれ「また、モザイクと加工された声が相まってあれみたいね」

夏美「警察24時で喚き散らすタイプの人ですの!」

かのん「なんで私が不審者側なの!!逆でしょっ!?」

すみれ「ところでこの不審者の人は誰なの?」

夏美「知りませんの」

かのん「は?」

すみれ「そうなのね」

かのん「今とんでもないこと言わなかった?」

すみれ「で、これはずっとこんな感じの動画なのかしら?」

夏美「いいえ、編集してちゃんと見所をピックアップしてますの。だからいろんなかのん先輩が見れます」

かのん「見れなくていい!」

夏美「撮影時間は5時間かかりましたが、それをなんと8分に凝縮してますの!なので飽きがこない動画となっているかと」

すみれ「そんなに短くしちゃうんだ」

夏美「はい。でも、ギリギリ気軽に見れると感じられる長さでしょう?それにこの時間だと、中間で広告も挟めるようになりますからお得なんですの!」

かのん「全然お得じゃない!割に合わないよこんなの!」

夏美「ちゃんとマニア向けにノーカット版もあげてますの!」

かのん「いますぐ消して」

夏美「見所を見せてから完全版に誘導するのは基本ですからね。やはり再生時間が長い方がマニーになりますし」

かのん「平然と言ってるけど先輩使ってお金稼ぎしないでもらえる?」

すみれ「へー、考えられてるのね」
0005名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 00:49:17.45ID:FO0yL1bR
夏美「ですの!あっ、そんな事いってる間に!」

すみれ「あら」

かのん「はぁ!?もう100万回以上見られてるじゃん!何してんの!?今すぐ消せぇ!」

夏美「やーですのー!べーっだ!」

かのん「このぉ!!!」

夏美「うぎゃぁー!!助けてくださいっー!ヤンキーに殺されますのぉっ!!」

すみれ「ったく、ほんと仲良いわねあんた達」

かのん「よくないっ!だいたいこういうのはさぁ!もっと別の人で撮ればいいじゃん」

すみれ「別の人って?」

かのん「動画映えしそうな華やかーな子達!ほら、うちの学校にはちょうどいい子がいるじゃん」

すみれ「誰よ」

かのん「ほら、あの─────」


かのん「スクールアイドルやってる可可ちゃんと恋ちゃん」


かのん「あっちの方が私みたいな一般生徒よりも数字になるでしょ?」

夏美「ちっちっち、浅い。浅いですよかのん先輩。浅いのはお胸だけにしてください」

かのん「いまから喧嘩配信するからカメラ回してすみれちゃん」

すみれ「血の気が多いわね」

夏美「スクールアイドルの世界は戦国時代。一昔前なら高校生のアイドルってだけで物珍しくてチヤホヤされてましたが今はそれだけじゃネタになりませんの」

すみれ「ただ学生がアイドルやってるだけじゃ数字にならないってこと?」

夏野「ですの。そんなのより学校の不良を懲らしめてる方が何百倍も数字になるんですの」

かのん「不良じゃない!それもやめて!これのせいか私どんどん近所で冷たい目で見られてるんだから」

夏美「それはかのん先輩は自業自得ですのー」

かのん「はぁ!?」
0006名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 00:50:37.30ID:FO0yL1bR
すみれ「まぁ半分は当たってるんじゃない?だってかのん。一年の夏休み明けから遅刻しまくりじゃない」

かのん「遅刻してるってだけで学校にはちゃんと行ってるじゃん」

夏美「遅刻しなければいいという倫理観の欠如。やっぱりヤンキーですの〜、怖いですの〜」

かのん「うるさいなぁ!だいたい、それをいうならすみれちゃんだって毎日遅れてきてるでしょ」

すみれ「だって私は朝起きれないから」

夏美「それなら仕方ないですの」

かのん「仕方ないわけないでしょ」

すみれ「別に普通科なんだからいいでしょ。先生も普通科の生徒になんか誰も期待してないし」

かのん「また、すみれちゃんはそういう事言って……」

すみれ「だいたいここは私立校なのよ?いってみれば私達はお客様じゃない。だったらお金さえ払ってれば好きにしていいはずだわ」

かのん「いや、それはどうかと思うよ」

すみれ「まぁ、当然問題さえ起こさなければの話だけどね」

夏美「私達はお客様……なるほど!いいこと言いますの、すみれ先輩は!」

かのん「ふん、問題ばっか起こしてる子がよく言うよ」

夏美「はぁ?そんなの私は起こしてないですぅ〜」

かのん「起こしてる。主に私に対して」

夏美「起こしてねぇーですよーだ」ベー

かのん「起こしてるでしょっ!このっ!!」ガシッ

夏美「ぎゃあああっ!助けてぇぇぇぇぇっ!すみれ先輩っ!!」

すみれ「もう、だからやめなさいってば」

かのん「ぐぬぬぬっ」

夏美「にゃははwやめなさいですの〜w かのんせぇんぱぁいっ♡」

かのん「こいつほんとムカつくっ!」

すみれ「ま、いいわ。それで、あんたが言いたいことはわかったけど、この動画の何が問題なのよ」

かのん「本気でいってるの?逆になにが問題ないと感じてるのか聞きたいんだけど」

すみれ「いいじゃない人気があって」

かのん「人気なんて欲しくない!私は普通の女子高生なの!」

夏美「ちっちっち、かのん先輩?誰もが才を持って産まれてくるわけではないんですよ?」

すみれ「そうよ、求められてる世界があるんだからいいじゃない。そこで輝ければ」

かのん「こんな輝き方したくない!」

すみれ「私は羨ましいと思うけどね」

かのん「他人事だと思ってぇ……!」
0007名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 00:51:57.19ID:FO0yL1bR
すみれ「だって、誰でもこうなる訳じゃないんでしょ?」

夏美「ですの!再生数ミリオンを超えるような逸材なんて全体の1割にも満たないんですの」

すみれ「ふーん、すごいじゃないかのん」

かのん「凄くない!嬉しくない!ほんとにやなんだから!」

夏美「さぁ〜て、次はどんな企画を撮りましょうか?かのんせぇんぱぁい♡」

かのん「撮らない!」


「「「きゃーきゃー」」」


かのん「ん?」

すみれ「騒がしいわね。なにかしら?」

夏美「この黄色い声援。どうせあの2人ですのー」

かのん「あぁ、可可ちゃんと恋ちゃんか。噂をすればだね」

すみれ「あの2人も凄いわね。ライブの練習してるだけで校内の生徒があんなに集まるんだから」

かのん「ほら、いい動画のネタじゃん。あれ撮りなよ」

夏美「えぇー?嫌ですの。スクールアイドルはパンチがないですの。再生されないですの。あの2人じゃ数字になんねーですのー」


メイ「あぁっ!?」


夏美「げっ……いたんですの」

メイ「おい、お前!恋先輩と可可先輩捕まえて数字にならないとはどういう了見だ!えぇっ!?」

夏美「捕まえてませんの。ノータッチですの」
0008名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 00:52:52.52ID:FO0yL1bR
メイ「恋先輩と可可先輩はな!凄いんだぞ!そのっ、情熱が!可可先輩なんかなぁ!これが私の本当にやりたい事だって親の反対を押し切ってはるばる上海からきてくださったんだからなっ!」

すみれ「仰々しいわね」

夏美「飛行機で3時間ちょっとの距離ですの。頑張れば日帰り旅行感覚でいけますの」

メイ「恋先輩はなぁ!亡きお母様の意志を継ぐためにスクールアイドルになられたんだ!うぅっ……!まだ高校2年生なのにあんなにも健気でぇ……!お前らとはな!覚悟が違うんだよ!覚悟が!」

すみれ「覚悟って」

夏美「別に私達スクールアイドルじゃありませんし」

かのん「オタクの早口きもっ」

メイ「この御二方を馬鹿にする奴は誰であろうが絶対許さねぇぞ!」

すみれ「別に馬鹿にしてないわよ」

夏美「数字にならないって言っただけですのー」

メイ「なんだとぉ!」

夏美「こっちのかのん先輩は凄いんですのよ?ほーら」

かのん「ちょっとっ!見せるなぁっ!!」

メイ「なんだよこれ」

夏美「かのん先輩の動画ですの。再生数ミリオンの女ですの」

メイ「ふん、何が再生数だよ。過激な事やって稼いでるだけじゃないか。しょうもない。こんなのは本物の人気とは言わないんだよ。かのん先輩」

かのん「はぁ?私がやった事じゃないし」

夏美「言いたい奴には言わせとけですの。どうせ嫉妬ですのー」

メイ「なにが嫉妬だよ!」

かのん「そもそも言われる筋合いがないんだけど。私はなにもやってないんだから!」



恋「み、みなさん!今日は練習なのにこんなにもお集まりいただいて。そのっ、ありがとうございますっ!」



メイ「うおおおおおおおっっっ!!!!恋先輩!!!!」

かのん「うわっ……」

すみれ「元気な友達ね」

夏美「友達じゃねーですの」
0009名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 00:54:13.87ID:FO0yL1bR
可可「レンレン!そんなにかしこまらなくてもいいデスよ!これは練習なのですから、もう少しリラックスしましょう!」

恋「ですが、せっかく皆さんが集まってくださったんです。ひとりひとり真摯に向き合いたいんです!」



メイ「くぅぅぅっ!!恋先輩、なんて健気なんだ!!一生推せる!」

夏美「いい子ちゃん過ぎて刺激が足りないですのー」

すみれ「さすが生徒会長様ね」



恋「えー、私達は去年の大会では惜しくも準々決勝で破れてしまいました」



かのん「準々決勝までいくって凄い事なの?」

メイ「あったりまえだろお前!ふざけんな!」

かのん「あ?『お前』?」

メイ「っ!……す、すごいことなんすよ。かのん先輩」



可可「今年こそはなんとしても優勝してみせるデス!皆さんの期待に応えますから!」

恋「はい!今年こそは絶対優勝ですっ……!大切な可可さんと、離れ離れにならないためにも……!」

可可「レンレン!余計なことは言わなくていいデス!」



メイ「可可先輩はな?今年ラブライブで優勝出来ないと帰国させられちゃうんだぞっ……!」

すみれ「へぇーそうなの」

かのん「内緒にしてるっぽいけどなんでそんな事知ってるの」

メイ「そりゃ四季が仕掛けてくれた盗聴器を使ってだな」

かのん「うわっ……」

すみれ「これってスクープじゃない?」

夏美「興味ねーですの」
0011名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 00:55:33.73ID:FO0yL1bR
可可「それにレンレンこそ!絶対に勝たなければならないヤンゴトナキ事情があるじゃないですかー!」

恋「しーっ!可可さん!余計なことは言わないでください!!」



メイ「恋先輩はな。廃校の危機を救うためにラブライブで絶対優勝しないといけないんだ。このお母様が残してくれた学校を守るためになっ……泣かすぜ!」グスッ

かのん「は?」

すみれ「廃校?」

夏美「マジですの?」

かのん「そんなの一回も聞いたことないんだけど」

すみれ「本当ならやばいじゃないこの学校」

夏美「大スクープですの!理由はなに?理事長の横領?校長のスキャンダル?それとも生徒の素行不良問題!?」

かのん「あるとしたら今私の隣りにいる迷惑系配信者でしょ」

すみれ「大方、人が集まらないとかそんな理由かしらね。今年も去年も入学生徒少なかったし」

夏美「普通科は特に少ないですの!」

すみれ「まぁ、何の実績もない私立校の、しかも普通科なんて選ぶ理由が謎だからね」

かのん「いや、そんなの言ったら私達めちゃくちゃ変わり者みたいじゃん……」

夏美「やーい、変わり者ですの〜」

かのん「あんたもね」

夏美「にゃっは〜w 大好きな先輩たちとおそろですのぉ〜♡」

かのん「あー、なんかムカつくなぁ」

すみれ「まぁ、そのおかげで普通科の一年と二年はこんなにも仲良く出来てるわけだけど」

かのん「先輩舐めてるの多いよねー?今年の一年」

夏美「あらぁ?一年生を迎えるのは今年が初めてでは?」

かのん「ほら、一々口答えしてきてマジ生意気でしょ」

すみれ「皆、仲が良くていいわね」
0012名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 00:56:22.42ID:FO0yL1bR
可可「そんな事で今年こそは絶対優勝するために!クク達!がんばりますから!」

恋「はい!!精一杯頑張ります!だから応援していてください!」

可可「では次の曲デス!!」

恋「聴いてくださいっ─────」



メイ「うおおおおおおおおおおおおおお!!!」

かのん「うっさ……」

すみれ「なるほどね。生徒会長がスクールアイドルなんてなんか理由があるのかと思ってたけど、まさか廃校がかかってたとは」

かのん「んー、でも廃校になりそうだからスクールアイドルやるって繋がってる事なの?」

すみれ「さぁ?でも有名になったら入学希望者は増えるんじゃないの」

かのん「そうかな?」

すみれ「知らない。まぁどっちにしろ私達には関係ないことだけどね」

かのん「たしかに(笑)、流石に今年で廃校なんてありえないから卒業まで逃げ切れちゃうもんねー♪ あはは!」

すみれ「……あんたって結構ズルいところあるわよね」

かのん「え?そうかなぁ(照れ)」

すみれ「褒めてないけど……って、そういえば夏美は?」

かのん「んー?さっきスマホ片手にどっかいったよ」

すみれ「そうなの?なにかあったのかしらね」

かのん「さぁ?どうせろくでもない事でも思いついたんじゃないの」
0013名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 00:57:40.36ID:FO0yL1bR
─────翌日。




恋「あわわわわわっ……大変です可可さんっ」

可可「どうしたのですか?レンレン」

恋「そ、それがですね。昨夜このような動画が投稿されていたようで……」

可可「えーなになに?『結ヶ丘女子高等学校に黒い噂!?〜荒れる生徒に歪んだ教員〜結女、2年目にして廃校の危機!!』って……なななななんですかコレは!!!」

恋「どうやら誰かが面白半分で作った物らしいです。ほとんどは根も葉も無い噂レベルの内容なのですが……」

可可「いったいどこのどいつがこんな動画を作ったんですかー!!廃校だなんて縁起デモない」

恋「はい、問題はそこです。ほとんどはでたらめな内容なのですが廃校の危機という部分だけは……」

可可「ククとレンレン。あとは優秀な我が部のスタッフ、シキシキしか知らない事デスよね……」

恋「四季さん。なにか心当たりなどはあったりしませんか?」

四季「……」フルフル

恋「そうですか、ならいったいどこから情報が漏れたのか……」

可可「もしかしたら盗聴器ナドが仕掛けられてるのかもしれません!」

恋「えええええぇぇぇっ!!!」

四季「……」

可可「ライバル校が仕掛けてきた?それとも悪質なファンによる可能性も……」

恋「まさか、今この瞬間……この会話も……?」ヒソヒソッ

可可「と、とにかく!ソーキュウに調べなければ!」

四季「……待って」

可可「?」

四季「調査は、私がやる」

可可「シキシキ!?」

四季「先輩たちは、練習の事だけ考えてて欲しい。不安な事、全部私が取り除くから」

恋「し、四季さんっ」

可可「ううぅっ……、シキシキは本当によくできた後輩デスね!私達!貴方の事、一生大事にしますから!」

四季「それは告白みたいで、ちょっと恥ずかしい……」

可可「レンレン!行きますよ!まずは校庭30周デス!」

恋「はいっ!」

可可「後輩のためにも頑張りますよー!」



ダッダッダッダッ……


四季「……」


四季「……ほっ」
0014名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:00:03.30ID:FO0yL1bR
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かのん「こいつーっ!!」

夏美「にゃははははww」

かのん「また性懲りもなく私をダシにして!!」

夏美「おいしいダシを出すかのん先輩がいけないんですのーwww」

かのん「なんだとぉっ!!」

すみれ「もう、やめなさいよ。毎日毎日」

かのん「すみれちゃんっ!だって酷いんだよ!また私を使って動画であることないこと言いふらしててさ!」

夏美「エンタメですの!ジョークですの!冗談のわかる方にはちゃーんと通じてますの!」

かのん「世の中にはそういう冗談が通じない人の方が多いんだよ!」

夏美「しってますのーww だからこういう動画は伸びるんですのーww」

かのん「こいつっっっ!!!」

夏美「にゃははははww」


ボフッ


夏美「あうっ!?」

四季「……」

夏美「し、四季っ……!?」

四季「前見て歩かないと、危ない」

夏美「あ、あなたが避けないからごっつんこしたんですの!私は悪くないですの!」

四季「それより、夏美ちゃん」

夏美「……なんですの」

四季「またよくない事してるでしょ」

夏美「なっ、なんのことですのー?わたししーらないっですの!」

四季「先輩たち困らせるの。ダメ」

夏美「別に困らせてなんか……」

かのん「困らせてるよねー?主に私達を」

すみれ「別に私は何も困ってないけど」

四季「恋先輩と可可先輩。悲しませないで欲しい。あとは、どうでもいいから」

かのん「どうでもよくないよねー?一番悲しんでるのは私なんだから!」

四季「……夏美ちゃん」

夏美「……」

四季「おねがい」

夏美「……」

四季「……ね?」

夏美「……」


夏美「……あー、もうっ!」
0015名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:00:49.68ID:FO0yL1bR
夏美「わかりましたの!消しときますの!」

四季「ほんと?」

夏美「ほんとですの!でも、仕方なくですの!四季がそんなに頼み込むから仕方なく消してやるんですの!ありがたく思ってください!ですの!」

四季「……ありがとう。夏美ちゃん」

夏美「ふんっ」

すみれ「なんだかんだ友達には弱いのね」

夏美「かのん先輩!謝罪動画撮りますよ!あなたの尻拭い手伝ってあげますのー」

かのん「は?なにいってるの?ほんとに」

すみれ「で、夏美はこれでいいとしてさ」

四季「?」

すみれ「廃校の事、私達にばれっちゃったのってメイって子のせいなんだけど」

四季「……しってます」

すみれ「なら、そっちもどうにかしないといけないんじゃない?あの子、興奮するとあれこれ喋っちゃうみたいだし」

四季「……」

すみれ「なんか盗聴器がどうのこうの言ってたけど、そんなの仕掛けちゃダメよあなた達?」

四季「……」

すみれ「……ちょっと?」

四季「……」

すみれ「都合悪いからって急に聞こえないふりしないでよ」

四季「……」
0016名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:01:58.53ID:FO0yL1bR
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バンバンバンバンバンバンバンバン……


恋「く、可可さんっ、これはいったい……」

可可「レンレン!力が弱いです!もっとしっかり窓を叩いて音を出してください」

恋「割れてしまいそうで怖いのですが……」

可可「クク、当局の恐ろしさ知ってます。盗聴器はいまやどこにでも仕掛けられています。高性能なものは窓の振動から音を解析する事だって可能なのデスから」

恋「そ、そうなのですか?」

可可「だからなにか会話をする時は騒音をたてて掻き消すのです!」

恋「わかりました!!」


バンバンバンバンバンバンバンバン……


かのん「なに、あの異様な光景……」

夏美「おぞましいですの」


メイ「おいっ!あの御二方をバカにするなよ!」


夏美「げっ……いましたの」

メイ「御二人はな、今スパイに狙われてるんだ」

かのん「すぱい?」

メイ「なんでも機密情報が漏れたらしい。どこかに盗聴器を仕掛けられてて情報が筒抜けだったみたいなんだ」

すみれ「いや、その出処あんたでしょ」

メイ「スクールアイドルの世界は激戦区。それに可可先輩は留学生だ。こうなってくると敵は国内だけじゃないかもしれない……二人は今、全世界に命を狙われてるんだっ」ワナワナ…

すみれ「あなた達って都合の悪い事は聞こえない耳してるのね」


バンバンバンバンバンバンバンバン……


かのん「はたからみてると可可ちゃん達が危険な人達みたいだね」

夏美「カメラに映しちゃいけない人達ですの」

すみれ「……あ、留学生といえば」

かのん「?」

すみれ「うちから留学した方の子。いるでしょ?」

かのん「えっ?」

すみれ「なんか帰ってくるらしいわね」

かのん「えっ?えっ?えっ?ほんと?」

夏美「?だれですの?」

かのん「そんなの聞いてないんだけど?なんで?ていうか、いつ帰ってくるの?」

すみれ「知らなかったの?……えーと、たしかね……」


すみれ「今日だったと思うけど」
0017名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:03:15.27ID:FO0yL1bR
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千砂都「うーーーん、久しぶりだなー!にっぽん!」

千砂都「一年ぶりの日本の空気だー」ノビッ…

千砂都「……おっとっと、ふらふらしちゃった。飛行機でずっと座ってたからかな?」

千砂都「うーん、運動がてら軽くここで踊ちゃっう?」

千砂都「なーんて、そんなのしたら日本じゃ目立っちゃうからね。しないよー」



「─────ちゃんっ!!!」



千砂都「ん?」



かのん「ちぃちゃんっ!!」


千砂都「え?え?え?」


かのん「ちぃちゃーんっ!!!」


千砂都「か、かのんちゃん?」

かのん「ちぃーちゃんっ!!」バッ!

千砂都「なんでかのんちゃんが!?」

かのん「ひどいよ!帰ってくるなら帰ってくるって教えてくれなきゃ!」

千砂都「いやぁ、内緒で突然帰ってきたら、かのんちゃん驚くかなって思って……えへへ」

かのん「なにそれっ!!もう、ばかぁっ!!」

千砂都「あはは、ごめんね?びっくりさせたかったの」

かのん「うぅ……」

千砂都「よしよし、泣かないの」

かのん「うえぇ……おかえりぃぃっ……ちぃちゃんっ」

千砂都「ただいま、かのんちゃん」



夏美「あの人が我が校、期待の星ですの?」

すみれ「そうよ。そんでもって、かのんの幼馴染」

夏美「ふーん、ですの」

すみれ「なに?さっきからつまんなそうにして」

夏美「別に普段通りですけど」

すみれ「あー、もしかしてヤキモチとか?ふふ、結構可愛いところあるのね、あんたも」

夏美「は?意味不明ですの。気色悪い。笑えない冗談はやめてください。こっちはおもしろいものでも見れるかなと思ってついてきたら、何もなくて時間を無駄にしたなと感じただけですの。タイムイズマニーですからね。それよりもすみれ先輩ってアレなんですね。バレンタインデーの日に『おいwwそわそわしてどうしたよ?w』とか言ってくる、この世でもっともしょうもないタイプの人間だったんですね。こっちは普通に振る舞ってるのに『どうしたよ?』って、そっちがどうしたよ?ですの。ほんとにしょうもない。そういうくだらないイジりしかできないなら黙っててくださいですの。貴方は人をイジる側じゃありません。二度とするなですの」

すみれ「めちゃくちゃ言うわね」

夏美「あーあ、くだんねぇーですの」

すみれ「いいじゃない感動の再会。お涙ちょうだい動画も人気でしょ?」

夏美「そういう方向性ではやってませんので」


かのん「ちぃちゃーん!」

千砂都「あはは、かのんちゃーん♪」
0018名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:04:56.24ID:FO0yL1bR
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きな子「自然と一体化するっすよ〜、とろーりと溶け込んでくイメージっす」

可可「了解しました!」

恋「……可可さん、これは?」

可可「レンレン!集中してください!自然に溶け込むイメージをするのデス!」

恋「はい……でもこれにいったいどんな意味が?そもそもこの方は?」

可可「この人は桜小路きな子さんといいます。シキシキの紹介です!」

きな子「きな子でいいっすよ〜」

可可「なんでもこのお方、動物と会話が出来るんだとか」

恋「えっ!動物と?ならうちのチビとも……?」ソワソワ…

可可「まぁそんなの嘘っぱちだと思いますケドね」

きな子「嘘じゃないっすよ〜」

可可「そういうオカルト的なものはクク信じません!」

可可「なんにだって、カラクリはあるものデスからねー」

可可「きな子さんは幼少の頃から動物たちに囲まれて過ごしてきたんですよね?」

きな子「そうっす〜」

可可「その結果、動物のしぐさや表情等から何を考えているのか読み取る能力がついたのだと考えられマス!」

恋「はぁ、なるほど(?)」

可可「つまりこれは仕組みがわかれば誰でも会得出来る類いのもの……」

可可「そして、これを応用すれば人と人の間でも使えるのではないかと閃いたのです!」

可可(恐らく心理学と同じような分野のはず。ならば、勉強すれば誰でも使えるはずデス!)

きな子「そんな難しいものじゃないっすけどね」

恋「それでこんなことを?」

可可「はい、きな子さんが動物の考えを読めるようになった過程を追っていけばいずれクク達も」

恋「動物とおはなしが出来るように─────」

可可「言葉を使わずとも人同士で意思疎通が取れるようになるデス」

恋「─────なるほど」
0019名無しで叶える物語(あゆ)
垢版 |
2023/02/19(日) 01:05:59.84ID:FO0yL1bR
可可「盗聴器に怯えるあまり会話が出来ないのは不便デスからね」

可可(筆談するにしても会話スピードで文書を書くとなると所々中国語の方が出てきてしまいますからね)

きな子「でも考えてる事は日本語なんすね。なんか不思議っす」

恋(……動物とお話だなんててっきりテレパシー的なものでなのかと思ってしまいました)

恋(でも、違うんですね)ションボリ…

きな子「いや、あってるっすよ。『動物』の考えてることが頭の中に流れ込んでくるんす」

恋「えっ?そうなのですか?」

きな子「はいっす!」

恋「すごいです!」

可可「?なんの話してるデスか?」

恋「あのぉ、ところで可可さん」

可可「なんでしょう」

恋「すまーとふぉんを使ってのやりとりじゃだめなんでしょうか……?」

可可「スマホなんて全ての端末が監視されてますよ!情報が筒抜けデス!我々の技術力を舐めないでください!」

恋「我々?」

可可「とにかく危険なのでスマホは禁止です!」

恋「そうですか」シュン…

恋(可可さんに教わってようやくすまーとふぉんを使いこなせるようになったのですが、残念です……)

可可(まったくレンレンは。大方、最近スマホを使いこなせるようになったから使ってみたかったんでしょうね。ほんと子供っぽいんデスから)

きな子「きな子もスマホ難しいっす。今度きな子にも教えてくださいっす!」

可可「とにかく!今はクク達、監視されてる身。不用意に何かを発したりしてはいけないんデス!」

恋「なるほど」

可可「頭の中で思い描いてる事だけが誰にも伝わらない唯一プライバシーが守られる場所なのです!」

恋「そうなんですね」

きな子「……あれ?でも先輩ー?」

可可「なんですか?」

きな子「頭の中で思い描いてる事、覗き込まれちゃったらどうなるんすか?」

可可「はい?」

きな子「秘密にしておけないっすよね〜」

恋「たしかに」

可可「なにをトンチンカンな事を、そんな事できるわけ……」

きな子「……」

恋「……」

可可「……」



可可「……」
0020名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:07:06.63ID:FO0yL1bR
─────翌日。


すみれ「なにあれ」

かのん「可可ちゃんが頭にアルミホイルまいてるね」

夏美「いよいよおかしくなっちゃったんですの?ああいう人は本格的に動画に使えないですの」

すみれ「今度の新衣装かしらね」

夏美「もしそうならイロモノすぎますの」

すみれ「でもまぁ、そういうものよね」

かのん「え?そういうものって?」

すみれ「奇をてらった事して注目されなきゃいけないのよ。過激な動画で釣ってるあんた達と一緒でね」

かのん「私は釣ってないけどね」

すみれ「スクールアイドルなんていってもしょせんは──────────って事よ」


メイ「おいっ!それは流石に聞き捨てならないぞ!」


夏美「げっ、またいたんですの……?」

すみれ「あの二人の影みたいね」

かのん「もうこれストーカーじゃん」

メイ「今の発言はあれだぞ!スクールアイドルを……す、すごーくバカにしたな!」

すみれ「侮辱って言葉がパッと出てこなかったのね」

メイ「今すぐ取り消せよ!」

すみれ「わかった、取り消すわ」

かのん「はやっ」

すみれ「これでいい?」

メイ「……よしっ!」

かのん「あ、それでいいんだ」

夏美「単純な人ばかりですの」

メイ「って許すわけないだろーーーーーっ!!!!!」

夏美「あなたは本当に忙しい人ですね。メイ」

メイ「言ったはずだぞ!私はスクールアイドルをバカにする奴は絶対許せないって!」

すみれ「だから謝ったじゃない」

メイ「ごめんで済んだらケーサツはいらないんだよ!問答無用だ!覚悟しろっ!」バッ

かのん「あっ、すみれちゃんっ……!」

メイ「おらぁっっ!!!」

すみれ「……」
0021名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:08:01.46ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


恋「おはようございます。千砂都さん」

千砂都「あー、恋ちゃん!ひさしぶりだね」

恋「私の名前、覚えててくださったんですね!」

千砂都「当たり前だよー。恋ちゃんこそ私の事覚えててくれたんだね」

恋「はい!千砂都さんは我が校の誇りですから」

千砂都「えぇ?そんな大袈裟な」

恋「いいえ!向こうでの活躍はちゃんとこちらにも届いていましたよ?貴方はほんとうに凄い人です!」

千砂都「あはは、そんなに褒められると照れちゃうな」

恋「そうでなくても貴方は私が高校で初めて出来たお友達です。忘れるわけありません」

千砂都「大袈裟だなぁ、恋ちゃんは。でも、ありがとね」

恋「もう、向こうの学校で学ぶものはなくなってしまったのですか?」

千砂都「うーん、そうだね。求めていたものは手に入ったかな」

恋「凄いですね。千砂都さんは」

千砂都「そうかなぁ」

恋「それで戻ってきてからは……」

千砂都「んー?」

恋「なにかしたいことや目指してるものなど、あったりするのでしょうか?」

千砂都「あー、えっと。そうだなぁ……うん、……今の所は特に何もないかなぁって」

恋「そうなんですね」

千砂都「うん」

恋「……」モジモジ

千砂都「?」

恋「……あ、あのっ」

千砂都「なぁに?」

恋「ひとつお願いしたい事があります!!」
0022名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:09:02.91ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


メイ「ちょ、調子乗ってスミマセンでしたっ……!」

すみれ「いいのよ別に。私もよくないこと言ったみたいだし」

かのん「はは……やっぱりすみれちゃんはおっかないなぁ」

夏美「マジもんのヤンキーも動画に映せないですの」

すみれ「口だけなら何を言われても気にならないんだけどね。さすがに襲いかかられたらこっちもやるしかなくなっちゃうじゃない?」

メイ「ほんと、すいませんっした!」

すみれ「私も悪かったわ。とにかくごめんなさいね。これで全部水に流してくれる?」

メイ「はい!流します!流れます!流されていきます!」


きな子「あれれー?メイちゃん椅子にして、なにやってるすか先輩方」


かのん「あっ、きな子ちゃん」

すみれ「別になんにもやってないわよ」

夏美「メイを絞めてたところですの」

きな子「絞める?」

メイ「お前は気にしなくていいっ!なにもなかった!なにもなかったから!」

きな子「そうっすか。あっ、それよりメイちゃん。頼まれてたもの持ってきたっすよー」バッ

メイ「おぉぉいっ!!今そこで広げるなよっ!」

かのん「えっ」

すみれ「なにこれ?」

きな子「可可先輩と恋先輩がきな子のところにきて、教わりたい事があるって言ってきたっす」

かのん「教わりたい事?」

きな子「それがメイちゃんには何故か事前にわかってたみたいで、その風景を撮影して欲しいって頼み込まれたんすよねー」

メイ「なんでお前全部プリントアウトしてきてんだよ!データで渡してくれればいいんだよ!」

きな子「データとか難しくてよくわかんないっす」

夏美「プリントアウトする方が難しくありません?」

メイ「まぁ!こんな至近距離で撮られた可可先輩と恋先輩を見れるのは嬉しいけどよぉっ!」

かのん「ねぇ?次はこの子使って動画撮ろうよ。『行き過ぎたアイドルのおっかけ更生させてみたwww』とかでさ」

夏美「いや、クラスメイトを動画のダシにするのは駄目でしょ……何考えてるんですの?」

かのん「なんで私はしてもいいみたいになってるのかなぁ???」

メイ「はぁー、しゅごい……」キラキラ…
0023名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:10:15.72ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


可可「千砂都さんをコーチに?」

恋「はい!お願いして来てもらいました!」

千砂都「えへへ、よろしくー」

可可「千砂都さんといえば海外で数々の大会に優勝されてきたダンスの天才じゃないデスか!」

千砂都「天才だなんて、そんなホントの事言うのはやめてよー可可ちゃん!」

可可「そんな御方に御教示いただけるなんて……!」

千砂都「大袈裟だなぁ、それより可可ちゃん。なんで頭にそんなの巻いてるの?」

可可「お気になさらずに」

千砂都「気になるなぁ」

可可「というかレンレンはなんで巻いてないんですか!読まれちゃいますよ!」

恋「?」

可可「思考盗聴デスよ!シコートーチョー!気をつけないと!」

恋「でも、校則違反ですので」

可可「えっ?違反してるのですか?これ」

恋「はい」

可可「なっ!!は、早く言ってくださいよ!クク、不良生徒にはなりたくないデス!」バッ

千砂都「取っちゃうんだ。なんか大切な事なのかと思ったけど」

可可「いいです!もうっ、無心でいますから!無心でいれば何も読まれる事はありません!ククはもう何も考えませんよー!」

千砂都「よくわかんないけど、無心でいたいならダンスは特にオススメだね」

恋「そうなんですか?」

千砂都「必死に踊ってるとね?無心になって、集中状態に入ることがあるんだ」

可可「知ってます!ゾーンに入るというやつデスね」

千砂都「私はね。あれは一種の瞑想状態だと思うの」

恋「踊ってるのに瞑想、ですか?」

千砂都「うん、瞑想って何も考えない何もしない事って思われがちだけど。それって普通の人にはほぼほぼ不可能に近いよね」

恋「はい、人間考えないようにすればするほど、雑念というのは浮かび上がってくるものですからね」

千砂都「そう、だから瞑想をする時ただただ呼吸に意識を集中してっていうでしょ。それ一点に集中するという状態に入れって」

恋「ひとつの事に意識を向けていると」

可可「余計なことが頭に浮かびません!」

千砂都「そしてその集中してるって状態を無意識の粋にまで持っていくことが出来た時が、無の状態に入ったってことなんだ」

可可「すごいデス!踊りだけでなく思考盗聴を防ぐ術まで身につくなんて!」

千砂都「うん、思考盗聴っていうのはよくわかんないんだけど」

恋「その状態に入れば私達のダンスも?」

千砂都「最高のパーフォーマンスで披露出来るね」

恋「すごいです!」

可可「千砂都は最高のコーチです!求めていた者!是非クク達に御教示を!」

千砂都「うん、いいよー!だって、そのために来たんだし」

可可「びしばしシゴイてください!!」

千砂都「おっ!いい心がけだねー!わかった、ならビシバシいくね!!」


千砂都「じゃあ、まずはね─────」
0024名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:12:49.73ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


かのん「ふわぁ〜」

すみれ「大きなあくびね」

かのん「最近、なんか疲れっぽくてさー」

すみれ「いいじゃない、充実してるって事よ」

かのん「どういうこと?」

すみれ「身体の疲れはそれだけ大変な毎日を過ごしてるって事でしょ。大変って事は毎日充実してるって事じゃない」

かのん「そうかな?」

すみれ「去年よりは充実してるでしょ?」

かのん「う〜ん、私は去年みたいにすみれちゃんとダラダラ過ごしてる日々の方が充実してると思うけどなぁ」

すみれ「毎日印象にも残らない会話してるだけじゃない。振り返ってもなにも思い出せないでしょ」

かのん「えー?でも雰囲気は思い出せるじゃん」

すみれ「かわいい後輩も出来たし、今年の方がずっと楽しいわよ」

かのん「うーん、きな子ちゃんは可愛いけど……」


夏美「にゃっはぁ〜♡おになっつぅ♡」


かのん「でたな!かわいくない後輩!」
0025名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:13:31.57ID:FO0yL1bR
すみれ「どこいってたの?夏美」

夏美「理事長から呼び出しですの。別にたいしたことじゃないですけどー」

かのん「お説教でしょ?注意を受けたんだよね。あんなことばっかりやってればそりゃ怒られるよ。きっと凄く怒られたんだろうなぁ。怒られたんだよね?怒られてろっ!!」

夏美「願望が滲み出てますの」

すみれ「でも半分はあたりって感じじゃない?その顔を見るに」

夏美「まぁ、そうですね。ちょっと怒られたというか怒られそうになったというか……」

かのん「よしっっっ!!!」

すみれ「でも、上手いこと言いくるめてやり過ごしたんでしょうね。あんたの事だから」

夏美「まぁ?なんせ、この私ですから」ドヤッ

かのん「ちっっっ!!」

すみれ「うるさいわよ。かのん」

夏美「けれど、許して貰うかわりに1つ頼まれ事をされてしまいましたの……」

すみれ「ふーん、やけに気乗りしなそうな感じじゃない」

夏美「はい、タダ働きというのがどうしても受け付けられなくて……」

すみれ「そんな事いってる場合じゃないと思うけど」

夏美「この鬼塚夏美。例えどんな理由があってもマニーにならない仕事は引き受けたくありませんの!」

すみれ「あー、じゃあ結局、許されなかったって事かしら?」

かのん「よしっ!!!」

夏美「いいえ!それも嫌だったので交渉の方を……」

かのん「えっ?交渉したの?悪い事した立場なのに?ほんとこの子って厚かましいよね」

夏美「なんでも挑戦してみるものですの。そのおかげでもう一つお得な条件が付きましたから!」

かのん「ふーん、つまんないの。向こうの花壇でパンジーが何本咲いてるか数えに行こう、すみれちゃん」

すみれ「しないわよ、そんなの。でも理由はどうあれ凄いわね、理事長から頼まれごとなんて」

夏美「ふっふっふ!わたしの手腕が認められたんですの!」

かのん「なにが手腕だよ。こんな細い腕しちゃってさ」

夏美「小さくても凄いんですの!」



千砂都「あははははっ!!」



すみれ「?」

かのん「ちぃちゃんの声だ!」

夏美「なにやらグラウンドが騒がしいですの」

かのん「行ってみよっか!」
0026名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:16:07.11ID:FO0yL1bR
可可「なっ!なに笑ってるデスかー!!」

千砂都「ごめんごめん!なんか海外にいたせいかな。感情が豊かになり過ぎてっ……ふふっ」

四季「感情豊か……羨ましい」

千砂都「じゃあ、四季ちゃんも留学してみる?」

四季「……」フルフル

千砂都「そう?おもしろいけどなー」

可可「シキシキ!その機械を止めるデス!ほんとに危険ですから!」

四季「でも、これが先輩達のためだって……」

千砂都「ためになってるよ!ありがとね四季ちゃん♪こんな凄いの作れるなんて天才だよ!四季ちゃんは、まる!まんまる!」

四季「……………」


四季「……えへへ」


恋「……」ガタガタガタガタ…

千砂都「あー♡恋ちゃんそんなに震えちゃって……かわいいなぁっ……♡」

恋「ひぃっ……!」


かのん「うわぁー、ちぃちゃん楽しそう!」

すみれ「なにあれ」

メイ「あれは四季が作ったまる発射装置とそれを装備した鬼コーチ千砂都先輩だ」

夏美「やはりいましたか。メイ」

メイ「御二人は更にスクールアイドル力を高めるため、厳しい練習に自ら身を落としたんだ!うぅっ、なんて向上心の高い人達なんだっ!」

すみれ「やめろって騒いでるみたいだけど」

夏美「そもそもまる発射装置ってなんなんですの」

メイ「標準をあわせた箇所にまるが発射される装置だよ」

かのん「それでグラウンドがまるだらけなんだ。ちぃちゃんの大好きなまるがいっぱい!」

すみれ「思いっきり人に向けて撃ってるけど大丈夫なの?」

メイ「四季の事だしその辺は上手いことやってるだろ」

かのん「流石にちぃちゃんも本気で当てようとはしてないと思うしねー」


千砂都「はい!まるっ!」バンッ

可可「うわぁー!やめるデスよー!!チサトーっ!!」

恋「あわわわわわっ……」ガクガクガク…


すみれ「そうは見えないんだけど」

夏美「あれで何が鍛えられるんですの?仲良く遊んでるようにしかみえませんですのー」

すみれ「そうも見えないんだけど」

夏美「まったく、あのような事にうつつを抜かしてる人達をどうサポートしろというんですの、理事長も……」ボソボソ

すみれ「?」

きな子「今日は騒がしいっすねー」

メイ「おう」

夏美「あら、きな子」

きな子「きな子、騒がしいのは好きっすよー?お祭りみたいで楽しいっすー。あーそれそれ」

かのん「あはは、きな子ちゃんは面白いなぁ」

すみれ「この騒ぎにお祭りらしさなんてないと思うけど」


可可「うわーーーーっ!やめるデスーーー!!」

千砂都「あはははははははははっ!!!」
0027名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:17:12.36ID:FO0yL1bR
─────翌日。


可可「はぁ、昨日はとんでもない目に遭いました……」

恋「ですが、あの短時間の特訓でダンスのキレがましたのも事実ですよね……やはり可可さんの言う通り千砂都さんは今の私達に必要な存在」

可可「そんな事言ってないデス!もうあの人には頼むなデス!クク、反対ですからね!」

千砂都「うぃっすー」

可可「きゃああああああっ!!出たデスー!!」

恋「千砂都さん。ちょうどいいところに」

可可「ちょうどよくないデス!」

恋「今日もコーチの方、お願いしてもよろしいでしょうか?」

千砂都「もちろん!そのつもりで迎えに来たんだから!」

恋「そうでしたか」

可可「助けてぇっーーー!!!!!だれかっーーー!!!」

千砂都「四季ちゃんに頼んでまた作ってもらったんだぁー♪特製特訓マシン!」

可可「なんですか!そののっぺりとした不気味な物体は!」

千砂都「えー?とっても素敵なまんまるの物体だよぉ?」スリスリ

恋「これはいったいどう使うんですか?」

千砂都「ふふーん、今日のはね!おもしろいよ!」

可可「たのしむなデス!クク達が頼んだのは特訓!あなたの趣味に付き合わせるなデス!」

千砂都「今から二人にはね?なんと、まるになってもらいますっ!!」

恋「まるに?」

千砂都「うーん♡そう!とっても可愛いまるにね?」

可可「逃げるデス!レンレン!とても嫌な予感します!」

千砂都「えへへー、逃さないよ?」


千砂都「スイッチオーン♡」
0028名無しで叶える物語(あゆ)
垢版 |
2023/02/19(日) 01:18:26.83ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


かのん「このぉっ!今日という今日は絶っ対許さないっ!」

夏美「にゃはははーww という事は今日以前の事は全部許されたって事でいいですのねー?」

かのん「よくない!今までの事、全部含めて許さないって言ってるんだからっ!」

すみれ「今日もやってるの?飽きないわね」

かのん「ねぇ!すみれちゃん!すみれちゃんからも言ってやってよ!こういうことはよくないんだよって!」

すみれ「なにやったのか知らないんだけど」

かのん「いいから!」

すみれ「はぁ、仕方ないわね。夏美ー、こういう事はよくない事らしいわよー」

夏美「知ってるですの!」

すみれ「はい、言ったわよ」

かのん「もうっ!!ちがうっ!ちゃんと叱ってよ!」

すみれ「だれを?」

夏美「かのん先輩をですの!」

すみれ「こらー、かのん」

かのん「むぅぅぅぅっ!もうっ!!!!」

夏美「あぁー!おーこったーですのwww」

すみれ「あらま」

かのん「信じらんないっ!二人のばかっ!いつもいつもそうやって私をいじめるんだから!もう、ふたりともきらいっ!だいっきらい!」

すみれ「嫌われちゃったわね」

夏美「ですの」

かのん「私、あっちいってるからこないでよね!!謝りにきても絶対許さないんだから!ばーか!」

すみれ「はーい、あんまり遠くいかないのよー」

かのん「あの辺にいるからっ!!」

夏美「謝りにこいって言ってるようなものですの。かのん先輩はほんとお子様ですの」

すみれ「……でもまぁ、ちょっとふざけすぎたわね」

夏美「そうですよ?すみれ先輩」

すみれ「……」

夏美「親しき仲にも礼儀ありですの。もうちょっと相手の気持ちを考えないと」

すみれ「はいはい、そうね。私が悪かったわ」

夏美「ですの!」
0029名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:20:18.50ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


かのん「ちぃちゃぁぁぁぁんっっっ!!」

千砂都「んー?あー!かのんちゃん♪」

かのん「うぇぇぇぇんっ!!」

千砂都「あらまーあらまーどうしたの?」

かのん「すみれちゃんと生意気な後輩に虐められたぁ!」

千砂都「後輩ってあの夏美ちゃんって子かな?あはは、ほんとに仲良しさんだねー」

かのん「仲良しじゃないもんっ!!」


可可『助けてくださーいっ!!!!!』


千砂都「かのんちゃんがいい後輩に恵まれてて私嬉しいよ」

かのん「恵まれてないっ!」


恋『くぅくぅさん……わたくし……もうっ……目がまわって……』

可可『レンレン!!』


千砂都「私がいない間も、毎日楽しそうに学校生活を送れてたみたいで本当によかったよかった」

かのん「全然よくないっ!」

千砂都「まぁ、かのんちゃんなら一人でも大丈夫だって思ってたけどね」

かのん「大丈夫じゃないってば!もうっ、ちゃんと聞いてよぉ〜!」


可可『こっちも大丈夫じゃないデス!ちゃんと聞くデスよ!』


千砂都「えへへ、私もね?今とっても楽しいんだぁ……♡」

かのん「なにが?」

千砂都「ほら、素敵じゃない?あれ」

かのん「……可可ちゃんと恋ちゃんがふたりして1つの大きなボールの中に入ってる?」

千砂都「そうなのかのんちゃん!!!聞いて!あれはね?四季ちゃんが作ってくれたんだぁ……♡人間版ハムスターボール!」

かのん「ハムスターボールってあの透明なボールの中にハムスターを入れてお散歩させるやつ?」

千砂都「そう!かわいいにかわいいが合わさって最強(まるっ)!だよね」


きな子「でもあれ、当のハムスター自体は全然楽しくないんすよねー」


かのん「あっ、きな子ちゃん!可愛い方の後輩だよっ!ちぃちゃん」

きな子「ハムスターは目が悪いから、あの中にいれられると何も見えなくなって、まるで無限地獄の中を彷徨ってるみたいになるっす」

千砂都「うんうん、可愛いことは罪だから、そういう罰を背負わせられることもあるよね♪」

きな子「そういう考え方もあるっすね」
0030名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:21:43.38ID:FO0yL1bR
かのん「ねぇーきな子ちゃんからも言ってやってよー」

きな子「えー?あっ、夏美ちゃんっすか?」

かのん「そうっ!」

きな子「きな子、夏美ちゃんが楽しいと思える事の邪魔は出来ないっすよ」

かのん「あんな楽しみは不健全だよ!」


可可『もっと不健全な楽しみを味わってる人がアナタの隣にいマス!まずその人からどうにかシテクダサイ!!』


きな子「ところでアレはなにやってるんすか」

千砂都「特訓だよー。あのボールは自動的に回転するの。それで中に入ってる2人を効率的に鍛えるように動いてるんだ」

きな子「ハイテクっすね」

千砂都「そう!なんたって四季ちゃんが作ってくれたからねー?」

四季「……」(Vサイン)

きな子「あっ、四季ちゃん。いたんすね!」

四季「先輩達のお役に立てて、嬉しい」

かのん「はぁ、この二人はほんとにいい子なのになぁ」


夏美「いい子じゃなくて悪かったですのー」


かのん「げげっ……」

すみれ「かのん」

かのん「すみれちゃん。……なに?いまさら来て」

夏美「見てください、あれ。ツンとしてるけど内心では喜んでる顔ですの。ほんとかのん先輩はかまちょですのーw」

すみれ「しっ」

かのん「一体なんのよう?」

夏美「すみれ先輩が反省してるみたいなので一緒に謝りにきてあげたんですの」

すみれ「悪かったわね。かのん」

かのん「……」

すみれ「ほら、あんたも」

夏美「は?私もですの?」

すみれ「一緒に謝りにきたなら一緒に頭下げるもんでしょ?普通」

夏美「普通とかいう価値観を押し付けるのは今の時代ハラスメントにあたりますよ??あなた達の時代は知りませんけど私達の時代ではもうそういうのは時代錯誤と言って─────」

すみれ「かのんが機嫌良くならないと動画も撮れなくなるわよ」

夏美「むぅ……まったく仕方ないですの。すみれ先輩がすみませんでしたーですの」

夏美「…………」

夏美「これで動画はいつも通り撮らせてくれますよね?」

すみれ「ちょっと静かにしときなさい」
0031名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:22:23.18ID:FO0yL1bR
すみれ「かのん」


かのん「……」



かのん「はぁ」



かのん「まったく、仕方ないなぁ」ヤレヤレ


かのん「二人がそんなに謝るんだから。これじゃ許すしかなくなっちゃうじゃん。まったく」

夏美「一言しか謝ってませんの」

すみれ「しっ」

かのん「仕方ないから許してあげるよ」

すみれ「ありがと」

夏美「ちょろいですのー」

かのん「今回だけだからね!」

千砂都「うんうん、そっちは仲直り出来たみたいだね〜よかったよかった♪」

四季「……」(両手でまるのサイン)

千砂都「めでたしめでたしってやつだね!」


可可『めでたくないデスよ!』

恋『く、くらくらします……きもちわるい……』

可可『シキシキ!ほんとに限界ですから!もう止めて!止めてくださいー!』


可可『止めてくださーーーーーいっ!!!!!』
0032名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:24:22.91ID:FO0yL1bR
─────翌日。


可可「はぁ、昨日はとんでもない目に遭いました……」

恋「ですが、あの特訓のおかげで三半規管が鍛えられたのもまた事実。激しい動きをしてもふらつくことがありません。可可さんの言う通り私達のパフォーマンスはめきめき上がってますよ!」

可可「そんな事一言も言ってないデス!クク、もうやりませんからね!あんなのいつか大怪我させられますよ!!」


千砂都「えー?怪我なんてさせないよー?ね?四季ちゃん」

四季「……」コクリ


可可「きゃああああっ!出たデスーーー!!」

四季「それにもし、怪我しても大丈夫。すぐ、くっつけられるから」

可可「なんデスか!その物騒な言い回しは!くっつけないといけないような事になんか絶対なりたくないデス!」

恋「千砂都さん、四季さん。今日はいったいどんなマシーンが登場するんですか?」

可可「どうしてレンレンは毎回そんな興味津々なんですか!昨日も一昨日も酷い目に遭っているというのに!」

千砂都「今日はね?リズム感を鍛えようと思うんだ」

恋「リズムですか?」

千砂都「一昨日はステップ、昨日はバランス、だから今日はリズム!」

千砂都「それで今回四季ちゃんに作ってもらったのはこれ!じゃじゃーん!」

恋「これは!ゲームセンターにあるやつです!」

千砂都「おっ!恋ちゃん知ってる?」

恋「はい!降ってくる矢印にあわせてステップを踏むゲームですよね!可可さんと学校帰りによくやっていました!」

可可「そーデス!なのでクク達、これは個人的にやりますので今回の特訓はなしということで……」

千砂都「でもこれはゲームセンターにあるのとは一味も二味も違うんだよねー?四季ちゃん」

四季「……」コクリ

千砂都「なんと足場がなくなってくタイプなの!」

可可「」

恋「楽しそうです!」

千砂都「失敗すると奈落の底に真っ逆さまだから気をつけてね?」
0033名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:24:58.43ID:FO0yL1bR
可可「レンレン!こんなのよりゲームセンターの方が楽しいですよ!そうだ!一緒にプリクラでも撮りましょう!教えてあげますから!」

恋「プリキュアですか?」

千砂都「いいねー♪じゃあこれが終わったら4人で行こうか!」

可可「やりません!貴方とは行きませんから!」

千砂都「もう、そんな事言わずにさ?せっかく四季ちゃんが作ってくれたんだよ?」

四季「ふたりのために頑張って作った」

千砂都「やってくれなきゃ悲しいよね?」

四季「……」コクリ

可可「やめるデスよ!そうやって良心に訴えかけようとするのは!」

恋「でも、今回は千砂都さんの好きなまる要素がないのですね?」

千砂都「ふふーん、そう思っちゃった??実はあるんだなーこれが」

四季「本家では矢印が落ちてくるけど、これはまるが落ちてくる」

千砂都「そう!だから落ちてきたまるにあった足場を踏んでね!」

可可「わかりにくすぎますっ!!全部同じじゃないデスか!」

千砂都「もう、よく見てよ。全然違うでしょ?」

可可「貴方しか判別出来ませんよ!!こんなの!」

千砂都「恋ちゃんはこういうの好きなんだよね?」

恋「はい!ゲームは全般どれも好きです!」

千砂都「恋ちゃんがゲーム好きなんて知らなかったよー、意外だね!でも、だったらこのゲームもやってみたいでしょ??」

恋「はい!」

千砂都「というわけだから可可ちゃん。覚悟を決めて今日の特訓もがんばろー!おー!」

可可「うぅぅぅぅぅ!なんでこんな事に!」
0034名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:26:31.84ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


夏美「……」

かのん「なに?今日はやけに静かじゃん」

夏美「ビジネスについて考え中ですの」

かのん「ふーん、どうせろくでもない事なんだろうけど」

夏美「……」

かのん「おとなしくされると調子狂うなぁ、昨日は変な動画もあげなかったし」

夏美「ウケたからといって同じような動画を擦り続けても飽きられるだけですからね」

かのん「ふーん」

夏美「コンテンツにはありがたみをもたせるのも大事なんですの」

かのん「なら私の事ももっと大事にすべきだよね」

夏美「……できましたの!」

かのん「なにがー?」

夏美「計画ですの」

かのん「計画ってなんの計画?」

夏美「私には理事長からあずかったシークレットミッションがあります」


夏美「それは我が校のスクールアイドル部をもっと世の中に注目させろというミッション!」


かのん「スクールアイドル部って可可ちゃんと恋ちゃんの?」

夏美「他にありますの?」

かのん「ないけどさ。でも、なんでまたそんな頼み事を」

夏美「それはやはりこの私に実績があるからでしょう」ドヤッ

かのん「そんなのないよ」

夏美「再生数100万超えを連発してますからね。私は」

かのん「私を使ってね」

夏美「どんなにいいものも売り出し方が悪ければ売れません。そしてその逆も然り」

かのん「自分にはプロデュース力があるって?」

夏美「いいえ、自分では思ってませんよ?でも?理事長から頼まれたというこ・と・は?他者評価ではそうなんでしょうねぇ〜?」

かのん「謙虚さとは真逆のアピールの仕方だね」
0035名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:27:41.61ID:FO0yL1bR
夏美「そして、そんな優れたプロデュース能力をもつ私が考えに考えた結果、ついに極秘プランが完成しましたの!」

かのん「で、いくらもらったの?」

夏美「はい?」

かのん「だって昨日言ってたよね。タダでそんなのするわけないって。守銭奴ちゃんはいったいいくら積まれたのかな〜?」

夏美「今年の学費が全部タダになりますの」

かのん「は?ズルっ」

夏美「いいでしょー?」

かのん「でもうちは親が払ってるからどうでもいいもんね」

夏美「親のお金で通う学校は楽しいですか?」

かのん「知らない。そういうのはもっと学校生活エンジョイしてる子に聞いて」


かのん「……ていうか自分で払ってるの?」

夏美「さぁ?どうでしょう」

かのん「払ってるわけないじゃん。子供なんだから。ばかなこと言ってんじゃないよ。まったく」

夏美「自分から聞いといて勝手に答えないでください」


夏美「さてと、そういうわけで私は暇なかのん先輩と違ってやる事が出来ましたので、ここで失礼しますの」

かのん「は?感じ悪っ。ついていって邪魔してやろ」

夏美「やめてくださいですの」
0036名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:28:49.50ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


きな子「これは食べられる草っす」

メイ「ふーん」

きな子「これは食べられるけど美味しくない草っす」

メイ「だいたい美味しくないだろ草なんて」

きな子「これは食べられないけど美味しい草っす」

メイ「それってどういうことだ?」

きな子「そのままの意味っすよ〜。あっ!これはっ!」

メイ「ん、どうした?」

きな子「食べると目の前がぐわんぐわんして、変なものが見えるようになる草っす!」

メイ「やばくないかそれ」

きな子「いや〜、なつかしいっす!北海道以外にも自生してるんすね!小学校の頃はクラスのみーんなこれ使って遊んでたっすよ」

メイ「ふーん、まぁ、田舎は娯楽が少ないもんなー。てか、そんなのどうでもいいからさ、これ早く終わらせよーぜ」

きな子「そうっすね!」


すみれ「あら、草むしりなんかしてどうしたの?」


メイ「あっ、すみれ先輩!おはようございますっ!!!」

きな子「っす〜♪」

すみれ「なにか悪い事でもしたの?」

きな子「えー?違うっすよ。係の仕事みたいなもんっす」

すみれ「あー清掃委員とかそういうの?」

きな子「そんな所っすね」

メイ「うーん!なんか雑草がなくなるだけで校内が広く感じるな!」

きな子「そうっすね」
0037名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:29:44.23ID:FO0yL1bR
すみれ「真面目ね二人とも。私達なんて一年の頃はサボりまくってたわ」

メイ「そうなんですか?」

きな子「すみれ先輩達、不良っすね〜。そういうのいけないっすよ」

すみれ「まぁ、若気の至りよ。普通科だし多少は許されるでしょ?」

メイ「関係あるんですか?それ」

すみれ「あるわよ。だって普通科の生徒になんて、なにひとつ期待する要素がないじゃない。どこの学校でも普通科なんて夢のない子か夢破れた子が入るところなんだから」

メイ「そういうもんですかね……?」

すみれ「そうよ。現に他の普通科の子達を見てみなさい。9割は夢も目的もなさそうな顔してる。あんな子達ね、将来絶対なにも成し遂げないわよ」

メイ「そ、そうですか……」

きな子「なんか普通科1年の前でとんでもない事言ってるっすね」

メイ「なんも言い返せないけどな」

すみれ「だから普通科なんて適当でいいのよ」


すみれ(……まぁ、そもそも私自体、誰からも期待されてないしね)


きな子「えー?そうなんすか?」

すみれ「……それ、私にはやめてって言ったでしょ」

きな子「んー、でもきな子『動物』の声はなんでも聞こえてきちゃうっすよ」

すみれ「『動物』って言うのもやめて。なんか怖いから」


すみれ「とにかく、あなた達も私みたいにはならないようにしなさいよ」

メイ「はいっ!」

きな子「うっす〜」

すみれ「そんなハッキリ返されるとちょっとムカつくわね」

きな子「んー?」

メイ「どうした?」

きな子「あれ、夏美ちゃんとかのん先輩っす」

すみれ「あら、ほんとね」


すみれ「どこに行くのかしら」
0038名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:31:05.54ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


可可「はぁ……はぁ……やっと……おわり……ました」

千砂都「おつかれーふたりとも」

恋「もう終わりですか?あっという間でした」

千砂都「おー、恋ちゃん余裕そうだね」

恋「ゲームだとつい楽しくて」

可可「はぁ……はぁ……何十回も真っ逆さまになったのにっ……よく楽しめマスね!」

千砂都「好評みたいだし次もゲームを元に作ってみよっか?」

四季「……」コクリ

可可「もう作るなデス!こんなの命がいくつあっても足りないデスよ!!」


夏美「なんですのこれ?」

かのん「わー!ゲームセンターにあるやつだー!放課後よくすみれちゃんとやったなぁ」

夏美「不良ですのー」

かのん「放課後って言ってるでしょ。別に学校さぼって行ってないし」


千砂都「あれ?かのんちゃん?どうしたの?」

かのん「あっ、ちぃちゃん♪ちょっとね」

夏美「あら、四季もいたんですの」

四季「うん」

かのん「なんかねー、この子が二人に用があるんだってさ」

夏美「仕切らないでくださいですの」

恋「あなたは?」

夏美「どうも、理事長の依頼であなた達をマネジメントする事になりました」

恋「まねじめんと?」

かのん「プロデュースでしょ」

夏美「マネジメントっていった方がなんか響きがかっこいいですの!私の好きな語感が入ってますの!」

可可「なにやらまた、面倒な人がきましたね……」

恋「いったいどういう事でしょう?」

夏美「私の手腕を認めて貴方達をサポートするように頼まれたんですの!」

かのん「ねぇ、もっとわかりやすく言いなよ」

夏美「はい?」

かのん「過激な動画で再生数稼ぎしてたら怒られそうになったけど、なんとか騙し騙しで勘違いさせて、結果こうなっちゃったんだよね」

夏美「は?勘違いとはなんですか?」

かのん「どうせ、理事長に『私、SNSでバズらせるのが得意なんですの〜』とか言ったんでしょ?理事長もほら、年も年だから、そういう若い子の世界なんにもわかんないじゃん。絶対。それで100万再生とか数字だけ見せられたら『あー、この子って凄い子なんだな』って思っちゃうよね。そういうのに疎い年齢の人にはさ。わからない単語並べられたら頭がショートしてなにも考えられなくなっちゃうもん。あの年齢になっちゃうと。お年寄りのそういうとこ突いてほんと卑怯だよこの子は」

夏美「失礼な。私の手腕は本物ですの」

恋「もっと失礼な事をおっしゃられてるような気がするんですが」
0039名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:32:35.94ID:FO0yL1bR
可可「で、目的はなんデスか?」

かのん「学費を免除してもらう事だってさ」

夏美「違います、貴方達の知名度をあげる事ですの」

恋「学費?」

かのん「そう、この子だけなんかタダになるんだって。ずるくない?」

千砂都「それって、理事長の権限で?」

かのん「そうだと思うよ。めちゃくちゃセコいよね」

夏美「余計なことは言わなくていいんですの」

かのん「ねぇ、皆もセコいと思わない?思うよね」

恋「はぁ、よくわかりませんけど……」

可可「そういえばレンレンって、そういうの払ってるんですか?」

恋「へ?」

千砂都「あ〜、たしかに気になるね。創設者の娘でもそういうのって払うものなのかなぁ」

恋「えっ?……え〜と、たぶん?」

可可「どうして自信なさげなんデスか?」

かのん「えっー!?葉月さん『も』払ってないのー!?」

夏美「『も』とはなんですの!私はちゃんと払ってますの!払った上で返ってくるかどうかの話をしてるんですの!」

恋「いえ、私も恐らく払ってるとは思うのですが」

夏美「というか余計なこと言って場を乱さないでください!話が進まないですの!」

かのん「だって私、邪魔するためについてきたんだもーん」

夏美「生徒会長さん。この人、裏では恋ちゃんって呼んでますの」

かのん「ちょっと!変なことバラさないでよ!気まずいでしょ!」

恋「別に恋でよろしいですよ?」

かのん「ほら、そんな事よりなんかめちゃくちゃ凄い計画があるんでしょ?このお姉さん方にそれを教えてあげて」

可可「計画?」

かのん「みんながひっくり返るくらい凄い計画なんだって」

恋「なんでしょうか?」

夏美「はぁ……話しがだいぶ横道にそれましたがやっと本題に入れます」
0040名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:34:21.88ID:FO0yL1bR
夏美「こほん、え〜、もうすぐ皆様お楽しみの夏休みに入りますよね」

千砂都「もうそんな時期かぁ〜、私がちょうど留学しだした時だね」

かのん「ちぃちゃんってば、夏休み中にいきなり留学しちゃうんだからびっくりしちゃったよ」

夏美「私語が多いですの。とにかく、夏休みの部活といえば大会があるのが鉄板ですよね?」

かのん「あ〜、ラブライブの?」

夏美「いいえ、ラブライブの本大会は冬です」

可可「昔は夏と冬にあったんですけれどね。いつの間にやら年に一回に変わってしまいました」


すみれ「少子化の影響ってやつかしらね」


かのん「あっ、すみれちゃん」

きな子「っす〜」

かのん「あー、きな子ちゃんもいる♪」

夏美「また関係ない人達がぞろぞろと……」

かのん「ねぇ!学費免除されるのってセコいと思わない?そう思うよね?」

すみれ「いきなりなんの話よ?」

かのん「理事長に身体売ってタダにしてもらったんだって!」

すみれ「夏美が?」

かのん「とんでもないよね!」

夏美「関係ない人達は無視して話を続けますの」



四季「……なんでそんなすみっこにいるの?」

メイ「ばかっお前!私が可可先輩と恋先輩の近くにいくのは流石に恐れ多いだろ!」

四季「そんなの二人は気にしないと思うけど」



夏美「話を戻しますよ。私はおふたりの知名度をあげるため。理事長から派遣されてきたんです」

恋「知名度ですか?」

夏美「えぇ、おふたりの夢はラブライブ優勝のようですが、私の任務はこの学校の広告塔としておふたりを推す事ですの!」

恋「なるほど。簡潔に言うと学校のプロモーションとしての活動をして欲しいという事ですね」

夏美「そうですの」

可可「そういう事ですか。それならもちろん協力はしたいところデス。ですが……」

恋「……そうですね」

夏美「なにか不都合でも?」

可可「クク達、今年こそはラブライブで優勝したいんデス」

恋「はい、開催は先とはいえそれは本戦の話。ラブライブのエントリー自体はもうすぐ始まります」

可可「出場するまでには半年間、様々な課題や予選をクリアしないといけないのデスよー!」

恋「なので、そちらに支障が出るような事はあまりしたくないのですが……」

夏美「えぇ、存じてます。おふたりがそうおっしゃられるのはわかっていました。なので、私の閃いた一石二鳥のおにすご計画の出番ですの!」

かのん「おっ!やっと本題だね。さぁ、どんな凄い計画が聞けるんだろう!」
0042名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:35:32.58ID:FO0yL1bR
夏美「その名も三都市で開催される大会に出場して知名度をあげつつラブライブも有利にしちゃおう大作戦ですの!」

かのん「なーんだ、自信ありげだったからどんな凄い計画かと思ったらめちゃくちゃ単純じゃん。はい、みんな解散」

夏美「集合してください」

千砂都「三都市でライブっていうと……東京と?」

恋「福岡と?」

きな子「札幌っすね」

夏美「東京と名古屋と大阪ですの」

夏美「ラブライブにエントリーする前に三都市の大会に出て勢いをつけようという計画ですの!」

かのん「そのまんまじゃん」

夏美「これは例えるなら大きい大会に出る前にちいさい大会に出といて自分たちを知ってる人ちょっとでも増やしておこうっていうあれですの!」

夏美「そうすることで貴方達は知名度があがってラブライブで注目されやすくなる。視聴者投票で優勝を争うラブライブではこれはかなり重要な事ではありませんか?」

夏美「し・か・も、場数を踏むことで経験値も稼げます!ほら、貴方達にとっていいことづくめですのー♡」

夏美「そして私は理事長の命令通り貴方達の知名度を上げられて学校を有名に出来る。まさにうぃんうぃんですの♪」

かのん「そして自分だけ学費がただになると」

夏美「しつこいですの。余計な事いわないでください」

可可「いや、そんな事を急に言われても今からエントリーして間に合うんデスか?」

夏美「その辺は調査済みですの!飛び入り参加可能な大会に絞りましたから」

夏美「その代わり、アウェイな環境になる事は覚悟してください?ファンに見てきてもらうのではなく自分達を知らない人に向けて発信するためなんですからね?」

可可「今日はじめましての人にアレコレ決められてやらされるのはクク的には不本意デスが」

恋「ですが、話を聞くにこれも私達にとって大きな糧になりそうですよね」

夏美「まぁ、自信がないのなら?おふたりの今のレベルにあったプランを練り直しますけど???」

可可「ずいぶんと安い挑発デスね」

かのん「でしょでしょ?高い買い物が出来ないんだよこの子。ケチだから」

夏美「静かにしててください」

恋「どうしますか?可可さん」

可可「挑発に乗る形になるのはクク的には不本意デス」

可可(……ですが)

可可(知名度が上がれば学校の入学希望者もふえます。それはレンレンの目的である廃校阻止に繋がる事)

可可(レンレンにとってはラブライブ出場はククの夢に付き合わせてるだけに過ぎませんからね)

可可(もともと誰かと競い合うのも好きじゃない、そんな優しい人デス)

可可(なのにここまでついてきてくれました。だから、レンレンのためになることもしたいデス!)


可可(……だって、もしかしたら、今年で終わってしまうかもしれないのですから)


恋「?……可可さん?」
0043名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:36:42.42ID:FO0yL1bR
可可「大変不本意ではありますが、知名度をあげるのも重要なのは事実デス……」

夏美「な・ら・ば?」

可可「仕方ありませんね。理事長も絡んでいるのですからやるしかないでしょう。やりますよレンレン!クク達の実力を見せてやるデス!」

恋「はい、可可さんがそういうなら」

夏美「じゃあ決まりですの!!」

夏美「四季、早速移動手段の準備お願いしますの〜」

四季「移動手段。なにがいい?」

夏美「荷物もありますから車がいいですの!人と物がたくさん入るワゴン車がいいですの!」

四季「ん、わかった」

夏美「自動運転のレベル5ってやつなら免許もなにもいらないらしいですの。私達だけで乗れるのでそれがいいですの!そういうの作って作ってぇ♡ですの!」

四季「やってみる」

すみれ「ずいぶん軽いわね」

千砂都「四季ちゃんは天才だからね〜、こういうの作ってっていったらあっという間に作ってくれるんだ」

夏美「あと、先輩達もどうせ暇でしょう?夏休み中は手伝ってもらいますの」

千砂都「いいよー、恋ちゃん達には乗りかかった船だしね。びしばし特訓してサポートするから!」

可可「降りてもらっても構わないデスよー」

すみれ「……えっ、私もやるの?」

かのん「あはは、大変だね。すみれちゃん」

夏美「貴方もやるんですよ。かのん先輩」

かのん「ふーん、やだけど」

夏美「私達のような普通科は音楽科にこき使われる事でしか存在証明出来ないんですの。そうでしょ?すみれ先輩」

すみれ「ふふっ、たしかにそうね。普通科の人間に人権なんてなかったわ」

きな子「またなんかとんでもないこと言ってるっす」

すみれ「相手は音楽科でしかも生徒会長でもあるんだからね。手伝わないと退学にさせられちゃうか」

恋「え?そ、そんなことしませんよ?」

すみれ「普通科は表舞台には立てない。一生裏方よ」

かのん「いや、可可ちゃんも普通科だし……」

恋「あの……もしかして音楽科って普通科の人からの印象悪いんですか?」

千砂都「ううん、あの子達がちょっとやさぐれてるだけだから気にしなくていいよー」

夏美「とにかくそういうわけなのでよろしくですの〜、先輩方〜♡」

かのん「ちょっと、勝手に決めないでよ」

夏美「ではっ!」

かのん「あっ、もうっ強引なんだから」




メイ「三都市でライブだって?くぅ〜!いいな!やっぱりアイドル活動を追いかける醍醐味といえば遠征だもんな!東京にいるとついつい忘れがちになっちゃうけどこれは絶対追いかけないと!」

四季「メイもくる?一緒に」

メイ「えっ?ばかやろうお前!それは公私混同し過ぎだろ!私はな!1ファンとして御二人を応援してるの。そういう距離感がわかってないような事はしないんだよ。無粋な事言ってくるな!!」

四季「そう、ごめん」

メイ「でも、まぁ、お前がそんなもにしつこく言ってくるなら無下にも出来ねぇけどな。ったく仕方ねぇ。けど、今回だけだぞ?まったくお前ってやつはよぉ」

四季「なにもいってないけど」
0044名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:38:20.39ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


きな子「先輩達と学校帰りにファミレスっす〜♪」

かのん「えへへ、好きなの頼んでいいからね?きな子ちゃん」

すみれ「ほんと甘いわね。きな子には」

きな子「きな子、これとこれとこれがいいっす!」

かのん「いいよ〜♪デザートもつけようね」

きな子「わーいっす♪」

すみれ「かのんは何頼むの?」

かのん「え〜とね…………う〜んとね…………じゃあ、これにしようかな」

すみれ「じゃあ注文しとくわね」

きな子「都会ではタブレットで注文するんすね!凄いっす〜」

すみれ「今時、チェーン店ならどこもこんなんじゃない?」

かのん「あっ!!!やっぱりこっちの方がいい!」

すみれ「はいはい、こっちがいいのね」

かのん「うーん、でもなぁ」

すみれ「もう確定しちゃったからメニュー見るのやめなさい」

かのん「えー」

きな子「すみれ先輩ってお母さんみたいっす」

かのん「あー、それわかる。呆れながらもなんだかんだ世話焼いてくれるんだよねー」

すみれ「あんたって頼りないからね。つい面倒みたくなるのよ」

かのん「ままー!これからも頼りにするからね?」

すみれ「やめなさい。気色悪い」

きな子「仲良しっすね〜、そういえば先輩達ってどうやって出会ったんすか?」

かのん「えー?」

きな子「気になるっす〜」

かのん「どうやってって」

すみれ「まぁ、同じ科の同じクラスだったから自然とかしら」

かのん「でも、こんな風に仲良くなったのって夏休み明けからだよね」

すみれ「そうだったかしらね」

かのん「えー!?覚えてないのー?」

すみれ「なんかベンチに座ってたらいきなり話しかけられたのは覚えてるわ」

かのん「そう、なんか話しかけて欲しそうにしてたんだよ」

すみれ「してないけどね」

きな子「たしかにかのん先輩ってちょっと馴れ馴れしいところあるっすもんね」

かのん「えー?そうかな?(照れ)」

すみれ「褒められてないと思うけど」
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2023/02/19(日) 01:39:46.30ID:FO0yL1bR
きな子「可可先輩達とは仲良いんすか?」

かのん「可可ちゃんとはたまに話すよクラスも一緒だしね」

すみれ「私はかのんみたいに社交的じゃないから話してないわね」

かのん「そうなの?すみれちゃんなら仲良くなれると思うけどな〜」

すみれ「話すにも接点ないし」

かのん「ちぃちゃんは私の幼馴染!親友だよ!」

すみれ「私は高校からの知り合いだからほとんど喋ったことないわね」

かのん「すみれちゃんなら仲良くなれると思うけどな〜」

すみれ「特に接点ないし」

かのん「私という接点があるじゃん」

すみれ「友達の友達が一番気まずいのよ」

かのん「恋ちゃんはあんまり話した事ないなぁ〜、科も違うし生徒会長だしなんだか遠い人って感じで」

すみれ「私も一言も喋ったことないわね」

かのん「すみれちゃんなら仲良くなれると思うけどな〜」

すみれ「適当言い過ぎよあんた」

かのん「でも、ちぃちゃんとは仲良いみたい。やっぱり同じ音楽科だからかな?」

きな子「へぇ、やっぱり科が違うと壁を感じるんすね」

すみれ「あんた達はどうなのよ」

きな子「えー?きな子達っすか?きな子達は皆一年で同じ普通科だから仲良しっすよ」

きな子「夏美ちゃんの事は先輩達の方が詳しいっすよね」

かのん「詳しくないよ」

すみれ「かのんは特に詳しいわよね」

かのん「詳しくない」

きな子「そういえば四季ちゃんとメイちゃんは最初から仲良しだったっす〜昔からの友達らしいっすね」

かのん「私とちぃちゃんと一緒だね」

きな子「それで同じ学校受験したんじゃないっすかね」

すみれ「ふーん、さすが普通科の生徒って感じの志望理由ね」

かのん「すみれちゃん、あんまり後輩の前で普通科に対する偏見出さないでよ」

きな子「大丈夫っす。すみれ先輩には普通科の生徒には絶望しかないって教えてもらったっすからね〜」

かのん「ちょっとすみれちゃん」

すみれ「そこまでは言ってないわよ。まぁ、思いはしたけど」
0046名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:41:10.79ID:FO0yL1bR
きな子「それでえーと、四季ちゃんは発明するのが得意で、よく研究室にこもってなんか作ってるんすよね」

かのん「あの子って凄いよね。なんでもできちゃうんでしょ」

きな子「そんな凄い才能を燻らせていたある日、可可先輩達と運命的な出会いをしてスクールアイドル部のスタッフにスカウトされたんす」

すみれ「へぇ、それでスタッフやってるのね」

きな子「最初はメンバーとしても誘われたみたいっすけど四季ちゃんはそういうの苦手で断っちゃったっす」

かのん「へー、そっかぁ。私と一緒だね。私も苦手なんだー、人前に出るの」

きな子「そうなんすか?そのわりには夏美ちゃんの動画に出てるっすけど」

かのん「勝手に撮られてるだけだし……でも、ああいうのは見られてるって実感ないからそこまでしんどくもないかな。動画だし一応プライバシーも保護はされてるし」

すみれ「実際に視線を感じたり、リアルタイムで人の反応を感じるのが苦手なんでしょ。かのんは」

かのん「うん、そう。でも、すみれちゃんはそういうの得意だよね」

すみれ「まぁ、子供の頃いろいろやった結果ね」

きな子「メイちゃんはあんな感じでアイドルが大好きな女の子っす。実は可可先輩達に憧れてこの学校に入ってきたんすよ」

かのん「ふーん、こわっ」

すみれ「まぁ、目的があって入学するのは素敵ね」

きな子「こんなところっすかね。きな子達は」

かのん「みんないろいろあるんだね〜」

きな子「夢はないっすけどね」

すみれ「ふふっ」

かのん「まーた、すみれちゃんが普通科に対する偏見で笑ってるよ……」

きな子「……んー?なんか来たっす」

すみれ「あぁ、頼んでた料理よ」

きな子「わぁー!都会ではロボットが運んできてくれるんすね!」

かのん「うーん!きな子ちゃんはほんと100点のリアクションしてくれるよね!可愛がりがいがある!」


ロボ『おまたせしましたにゃ!』


きな子「はぇ〜、喋るんすか〜」

かのん「これちょっと恥ずかしいよね」

すみれ「別になにも思わないけど」
0047名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:42:02.42ID:FO0yL1bR
きな子「でもこれどうやって配膳してくれるんすか」

すみれ「あー、それは自分でやるのよ」

きな子「へぇ、中途半端なロボットっすね。四季ちゃんならもっと凄いの作れるっすよ」

すみれ「まぁ、コストを考えたらこの辺が妥協点なんでしょ」

かのん「すみれちゃん取って〜私の席からだと取りにくい〜」

すみれ「そんくらい自分でやりなさいったら」

かのん「けちー」

きな子「普通に取っちゃっていいんすか?」

すみれ「いいわよ」

きな子「よーし、きな子やるっすよ〜」


ロボ『くすぐったいにゃ!』


きな子「ははは、感情もなにもないのに何か言ってるっす」

すみれ「熱いから気をつけるのよ」

きな子「はいっす〜」

すみれ「かのんも早く取りなさい」

かのん「はいはい」


ロボ『お客様、早く取って欲しいにゃ!』


かのん「は?今取ろうとしてんじゃん。なんなのよ、せかしてきて。ばーか」

すみれ「やめなさい、ロボット相手に」

きな子「ロボットだから空気が読めないんすよ」

かのん「ほら、取ったよ。取ったから向こう行ってよね。ふーんだっ」


ロボ『ごゆっくりお楽しみくださいにゃ!』


かのん「ねぇー?ゆっくり楽しませて欲しいよねぇー?」

すみれ「やめなさいって」

かのん「見て見てきな子ちゃん。こいついちいち回転しなきゃ進めないんだよ」

きな子「あはは、ほんとっす。ぎこちない動き方がポンコツロボットっすね〜」

かのん「やーいぽんこつー」


ロボ(チッ、うっぜーな……クソガキども)


きな子「!?」

すみれ「ほら、いつまでもばか言ってないで、冷めないうちに食べましょ」

かのん「はーい、いただきまーす」


ロボ(ガキだけでファミレスなんかきてんじゃねぇっつうの)


きな子「…………」


きな子「……???」
0048名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:43:19.23ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


四季「出来た、人工衛星」

メイ「んなもん軽いノリで作ってんじゃねぇよ」

夏美「流石ですの四季!」

メイ「で、人工衛星なんかどうすんだよ」

四季「車に自動運転させるには、精度の高くて通信が繋がりやすい人工衛星が絶対に必要。これはかかせない」

メイ「ふーん」

四季「だからこれを打ち上げて使う」

メイ「どうやって打ち上げるんだ?」

四季「このロケットで」

夏美「流石ですの!これで後は車だけですの!」

四季「うん」

メイ「……そんなもん作れるならさぁ、もう空飛ぶ車でも作った方が早いんじゃねぇか?」

夏美「ねぇ、四季?私、渋滞が嫌いですの。なんとか出来ない?」

メイ「空飛ぶ車作れよ」

四季「いい方法がある。車高を高くして通り抜ける方法」

夏美「タイヤに足を生やして渋滞の上を通り抜けるようなイメージですの?」

四季「そう」

夏美「流石ですの!」

四季「ふふん」ドヤッ

メイ「いや、空飛ぶ車の方がいいだろ」

夏美「……メイ、空飛ぶ車なんて作れるわけ無いでしょ?常識的に考えて」

メイ「は?」

夏美「あんなもの所詮は机上の空論ですの。現実的にもう少しものを考えてください?」

四季「空飛ぶ車なんて子供っぽい夢。ほんとメイってかわいいね」

夏美「やーい、お子様ですの〜w」

四季「ふふっ、年少さん」

メイ「ぶっとばすぞ、お前ら」
0049名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:45:06.38ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


千砂都「よーし!三都市大会に向けて大特訓だぁー!」

恋「はい!」

可可「もう、千砂都の特訓は結構デス!!クク達は自分達で勝手にやりますから!!」

千砂都「ほんと可可ちゃんって遠慮ばっかりするねー」

恋「とても謙虚な方なんです。可可さんは」

可可「ほんとにいいって言ってるんデス!日本人的な1回断るのがマナーみたいなのを実践してるわけじゃないデス!!」

千砂都「今までの特訓でわかったのは二人とも飲み込みはいいけど、可可ちゃんは体力不足」

可可「ぐぐっ……」ギクリ

千砂都「恋ちゃんは自信がないよね」

恋「そう……でしょうか?」

千砂都「そういう返答ひとつ取ってみてもさ、自信がなさそうでしょ?もっと前に出なきゃいけないと思うなぁ」

可可「でも、そこがレンレンのいいところなんデス!」

千砂都「けど、大きな舞台に出て色んな人に見てもらうんだから、もっとアピールしないと失礼だよね」

恋「失礼、ですか?」

千砂都「うん、やっぱり自分からやりたいって皆の前に出てきてるんだから、自信なさそうにしてるのは失礼だと思うよ」

可可「急にまともな事言うなデス!」

恋「たしかにそうですね……でもアピールしろと言われてもなにをどうすればいいのやら」

千砂都「自分の持ち味を見せるとか」

恋「私の持ち味ですか……なんだと思いますか?可可さん?」

可可「それはとっても優しい所です!レンレンの優しさ、ククが一番理解してますよ!1年の時、ククと一緒にスクールアイドルやってくれました!今でも感謝してるデス!」

千砂都「うん、優しいのは素敵なポイントだけど、そういうのじゃないんだよね」

可可「あと頭もいいデス!勉強もとてもよく出来ます!」

千砂都「う〜ん、それも可可ちゃん目線の良さだからなぁ。今日初めましての人に私勉強が得意なんですって言われても、なにがどういいんだろう?ってなると思うよ」

可可「あとあとひたむきで真っ直ぐな所デスね。レンレンはとても真面目なんデスよ?」

千砂都「そういうのじゃなくて、こう『見て凄い!』ってなる恋ちゃんのアピールポイントが聞きたいんだよ〜」

可可「身長が高いデス!」

千砂都「あーたしかに大きいね。でも、なんていうかな。もっとパンチがあるようなものが聞きたくて」

可可「ぐぬぬ、千砂都は否定ばっかりデスね!」
0050名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:45:48.67ID:FO0yL1bR
恋「……あ、あの私って、地味なんでしょうか?」

可可「な!なにをいきなり言ってるんデスか!そんなことありません!!」

恋「でも、可可さんみたいに親しみやすくて、見ただけで好きになってしまうような魅力は私には……」

可可「レンレンはとてもキュートですよ!とくにこのタレ目な所が可愛いデス!ね?千砂都!」

千砂都「可愛いのはわかるけど、それをどうアピールするかなんだよね」

可可「そうです!キャラ付けデス!決めポーズを作ったり語尾に何かつけたりするんデスよ!」

千砂都「あー、可可ちゃんみたいにわざとカタコトで喋ったりとかかー」

可可「ワザとじゃないデスっ!!!自然とこうなるんですよっ!!!」

千砂都「でも、わりといい方法かもね。引っ込み思案な子がキャラを演じる事で前に出れるようになったりするし」

恋「そんな事で上手くいくのですか?」

千砂都「いくいく。理想の自分を思い描いてさ、その自分ならどうするだろうって考えて演じるの。それだけで活発な子になれたりするんだから」

可可「まるで経験してきたみたいな言い草デスね」

千砂都「実体験を話してるからねー」

可可「貴方の?」

千砂都「うん」

可可「信じられませんねー」

千砂都「えー?」

可可「貴方は生まれた時からこんなハチャメチャな人に決まってます!」

千砂都「えへへ、そんな褒めないでよ」

可可「褒めてません!」

恋「キャラを演じる……なかなか難しそうですね。でも、やってみる価値はありそうです」

可可「ククにいい案があります!キャラ付けといえばコレというのがありますよ!偉大なスクールアイドルのメンバーにもこういう方がおられました!」

恋「なんですか?」

可可「ククに任せるデス!」
0051名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:46:42.25ID:FO0yL1bR
─────翌日。


夏美「さぁ!いよいよ明後日には夏休みですの!」

かのん「夏休みはどこ遊びに行こっか?すみれちゃん」

夏美「二人は遊びになんか行ってる場合じゃありませんよ。私の手伝いをするんですの!」

かのん「やだって言ったじゃん」

すみれ「私もやっぱ今回は気乗りしないわね。スクールアイドルなんて興味ないし」

夏美「かわいい後輩が困っているのに貴方達は手も差し伸べてくれないのですか?血も涙もありませんの!」

かのん「かわいくないし」

夏美「かわいいですの♡」

かのん「かわいくない」

すみれ「だいたい私達がついていって何するのよ」

夏美「そりゃ色々ありますよ。主に荷物を運んだりとか」

かのん「うっわ、よりによって肉体労働?絶対やりたくないね」

すみれ「それに手伝っても、私達にはなんの得もないしね」

夏美「タダで旅行が出来ますの!」

かのん「う〜ん」

夏美「素敵な思い出も出来ますの!」

すみれ「それは言い切れないでしょ」

夏美「むむっ、引き受けてくれないなら今この場で駄々をこねますよ?」

かのん「おっ、いいね。動画に撮っちゃおっと」

夏美「いいですの?制服を着たまま、この薄汚れた地面に寝転がって、大声で泣き喚きますよ?貴方達の後輩が!貴方達の名前を叫んで!」

すみれ「はいはい、もうわかったわよ。手伝ってあげるから、目立つ事しないでちょうだい」

かのん「えぇぇー」

夏美「よっしゃ!ですの!」

すみれ「その代わりあんた達もうちの神社の手伝いね」

かのん「なんで私も入ってるのかな?すみれちゃん」

夏美「タダでは引き受けませんよ」

すみれ「知ってるわよ。よく当たるおみくじタダで引かせてあげるわ」

夏美「う〜ん、しょぼい。くだらなすぎる。ですが……まぁその辺が妥協点でしょうね。こちらも猫の手も借りたい状況ですし」

かのん「あー、せっかくの夏休みがぁ〜」

すみれ「いいじゃない。どうせダラダラするしか予定なかったでしょ」

かのん「まぁ、そうだけどさぁ」

夏美「きまりですのー♡」
0052名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:47:54.97ID:FO0yL1bR
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四季「ロボットに……感情?」

きな子「っす」

四季「うーん、人間みたいな感情が芽生えるかと聞かれたら答えるのは難しい」

きな子「四季ちゃん自身はどう思うっすか」

四季「そういうプログラミングを組むことは出来る。例えば仲間を思いやる気持ちを持たせて、その子に他の仲間ロボットがもってる大事なものを壊すよう命令する。そうするとその子は嫌がって命令に背こうとするの」

きな子「人間みたいっすね〜」

四季「けどそれも、そうなるようプログラ厶された事だから本当の感情じゃないのかなって思ったりする」

きな子「う〜ん、どうなんすかね〜」

四季「でも、人も無意識に本能っていう、遺伝子にプログラムされた通りに動いてるだけだから、プログラミングされたロボットと変わらないんじゃないかって思う事もある」

きな子「たしかに人の感情も仕組みを辿れば本能的なものっすもんね」

四季「そう、原始時代まで遡れば、人の楽しいって感情も『それをするといいことがあったからまたしよう』と思わせるための脳の作用でしかないし、悲しいとか怖いとかもそれを避けるためにあえて不快な感情を脳が湧き上がらせてるに過ぎない。全部生き残るための本能」

きな子「ざっくりいっちゃうとそうっすね〜」

四季「それに現代人にある良心みたいなものも、所詮は教育によって打ち込まれたコードであって、そんなのは本来存在しないんじゃないかなと考えたら、さっきあげた仲間思いのロボットと私達の感情の違いってなんなんだろうって思う」

きな子「う〜ん、難しくなってきたっす」

四季「世の中わからない事だらけ」

きな子「……今作ってるロボットには。その、プログラミングっていうのはしてるんすか?」

四季「自動運転に自分で考える能力は必要不可欠。だからちゃんとそういうAIを組んだ」

きな子「……」

車『…………』


きな子(この車からは、なにも感じないっす)


四季「今日のきな子ちゃん変だね」

きな子「……ちょっと変な事があったんすよ。でも気のせいだったみたいっす」

四季「そう?ならよかった」

四季「もうじきこれも完成する。完成したらドライブいこう」

きな子「いきたいっす〜!」

四季「カラーは真っ赤にしよう」

きな子「メイちゃんカラーっすね!」

車(えー?いやよ、赤なんてだっさい。わたしは真っ青なブルーがいいんだけどなぁー)

きな子「!!?」
0053名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:49:23.68ID:FO0yL1bR
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夏美「というわけでこれがスケジュールですの!」

可可「初日に名古屋、次の日に大阪、そしてその次の日に東京に戻ってライブ……デスか。中々にハードスケジュールですね」

夏美「これが大会の詳細資料ですの」

可可「ふむふむ……他の出場者の情報は一切出てないんですね」

夏美「そうですの。誰でも飛び入り参加できる大会ですから誰がどういう形で参加してるか行ってみるまでわかりません」

可可「なるほど」

夏美「有名な人や期待の新人とぶつかるかもしれませんね」

可可「鬼が出るか蛇が出るか、出たとこ勝負というやつデスね」

夏美「ふふ、怖気づきました?」

可可「ふふん、愚問デスね?イマサラそんな事で怖気づいたりなどしませんよ!ね!レンレン!」

恋「そ、そうです……にゃ」

夏美「……」

恋「れ、レン達、たくさん頑張ってきたにゃ……だから絶対負けないですにゃ」

夏美「……」

恋「にゃ、にゃーんっ!」

夏美「……それでですね。集合時間の方なのですが」

恋「もうっ!!なにか言ってくださいよっ!!」

夏美「なにかと言われましても……」

恋「なにか思われたでしょ?それを言ってください!」

夏美「あんまり触れたくないなぁと思ったから触れなかったんですの」

可可「あまりの可愛さに触れるのも遠慮してしまったんですね。わかりマス!」

夏美「いいえ、ヤバいと思ったので触れませんでした」

恋「っ……」ガーン
0054名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:50:05.25ID:FO0yL1bR
可可「レンレン!ヤバいという日本語はいい意味で使われる方が多いんですよ!」

夏美「留学生に日本語を解説してもらってる日本人。この絵はちょっと面白いですの。ショート動画のネタになりそうですの」

恋「もぅいいですっ!わたくしには不向きなキャラでした!」

可可「そんなことないデスよー!これにあった衣装も作ったんデスからやめちゃだめデス!」

恋「最初から無理があると思ってました」

可可「そういうキャラでやっていくとククと決めたじゃないですか!」

恋「なしです。夏美さんの反応を見て却下することにしました」

可可「もうっ!!ちょっとあなたっー!」

夏美「はい?私ですか?」

可可「こっちにちゃんと話をあわせやがれデス!!」

夏美「打ち合わせもなしに話なんてあわせられませんのー。それにやるにしても追加料金も貰ってませんのー」ベー

可可「むぅ!ほんとに貴方という人は!なまいきデスね!」

夏美「この生意気なところが私の愛されポイントなんですの!」

可可「自分でいうなデス!」

恋「……おや?」

可可「?どうかしましたか?」

恋「これは……記載ミスでしょうか?」

夏美「?」

恋「名古屋大会と大阪大会の開催日です」

夏美「なにか不備でも?」

恋「その……同日になっているようですが……?」

夏美「…………」


夏美「……にゃはっ!?」
0055名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:51:01.22ID:FO0yL1bR
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千砂都「ねぇー、メイちゃんもまる好きなのー?」

メイ「えっ?まる?どういうことですか?」

千砂都「ほら、お団子にしてるじゃん」

メイ「あぁ、これっすか」

千砂都「完璧なお団子だねぇ……触ってもいいかな?」

メイ「別にいいですけど」

千砂都「あぁ〜、やっぱり他人のお団子を触るのは格別だなぁ」ポンポン

メイ「そ、そういうもんですか……」

千砂都「中が空洞になってない完璧なお団子だぁ……♡中までギッシリ……♡ねぇ?毎日どんくらい時間かけてるの?このぴょんって出た髪の毛が大変そうだよね?でも凄くこだわりを感じるよ。凄いね。まるだよ!まんまる!」

メイ「ありがとう、ございます……」

千砂都「メイちゃんってさ」

メイ「はい」

千砂都「かわいいよね」

メイ「なっ!なっ!か、かかかかかわいくねぇよっ!ばかっ!!」

千砂都「……ふふ」ニコニコ

メイ「あっ、す、すみません……口が悪くて、わたし……」

千砂都「いいんだよー?だって、これからだからねー♪」

メイ「な、なにがですか?」

千砂都「これからまるくなっていけばいいんだよ」ニコッ

メイ「えっ」

千砂都「なにもかもまるーくなればいい。身も心もまるーく、まるーくね?」

メイ「……」

千砂都「私ね?とがったものがまるくなってくの好きなんだぁ」

千砂都「ふふ、まるくなったメイちゃんもかわいいだろうなー♪」

千砂都「ねー?」

メイ「あ、あははは、変な冗談やめてくださいよ、千砂都先輩っ」

千砂都「んー?」

メイ「ははっ……」

千砂都「ふふっ」ニコッ

メイ「……」

メイ(な、なんかヤバい人に目つけられてないか?わたしっ……!)

千砂都「ふふふ」

メイ「あ、あははっ……」
0056名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:51:55.51ID:FO0yL1bR
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可可「どういう事ですか!ちゃんと説明するデス!」

夏美「わざとじゃないですの!こういううっかりミスも人間生きてればありますの!寛大な心で許してくださいですの!」

可可「さんざん偉そうにしておいてなんですかそれはー!」


すみれ「あら、夏美が追い回されてるわよ」

かのん「あっ、ほんとだ。可可ちゃんみたいな優しい子怒らせるなんてほんととんでもない後輩だね」

すみれ「ほら、早く仲裁に入ってあげなさいよ」

かのん「えっ?なんで私が」

すみれ「あの子の先輩でしょ」

かのん「ふーん、ちがうもんねー」


夏美「あっ!!かのん先輩!」


かのん「げっ」

夏美「お助けをーですの!!」

かのん「やーだよ!こっちに来ないで!」

夏美「まってー!!」

可可「まちやがれデスー!」

かのん「やだやだ!!こないでってば!」

夏美「せんぱーい!!」

可可「このナッツヤロー!!許すまじデス!!」

かのん「きゃああああ!!」


キャッキャッ キャッキャッ


すみれ「……まったく、元気な子達ね」

すみれ「でも、なんで追いかけられてたのかしら?」

恋「それはですね」

すみれ「っ!」ビクッ

恋「あぁ、すみません!驚かせるつもりはなかったのですが」

すみれ「ううん、へーきよ。まさか生徒会長さんに声かけられるとは思ってなかったからびっくりしただけ」

恋「恋でいいですよ」

すみれ「それでなんかあったの?」

恋「はい、実は……」
0057名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:53:17.98ID:FO0yL1bR
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かのん「予定日を間違えたー?」

可可「はいデス!」

夏美「まったく、困ったものですの。しっかりしてもらいたいですの!」

可可「アナタですよ!アナタ!」

かのん「ははっ、これが凄腕プロデューサー様かぁ」

可可「それでどうするんデスか!責任取れるんでしょうね!?」

夏美「大丈夫ですの!わたしにいい考えがあります」

かのん「さぁて、どんな苦しい案を出してくれるのかな」

夏美「我が校のスクールアイドルは可可さんと恋さん二人のグループですよね?」

可可「そうデスよ。ククとレンレン二人三脚でやってきました!まるで二人で一つのスクールアイドルみたいにカタトキも離れずにやってきたんデス!それはもう一緒じゃないなんて考えられないほどに!!」

夏美「それですの!二人いるのですから片方が名古屋でもう片方大阪で出場すればいいんですの!」

かのん「一緒じゃないなんて考えられないって言ったばかりじゃん」

夏美「ここらで個人の力も見せつけるべきではありませんか?」

可可「どういう事デスか?」

夏美「スクールアイドルとは互いに高めあう存在であるべきでしょ?なのに仲間内で馴れ合ってる。貴方達が伸び悩んでいるのもその辺が原因かもしれませんよ?」

かのん「なに失礼なこと言ってんのこの子」

可可「……」

かのん「あーあ、呆れてものも言えなくなっちゃったよ可可ちゃん」

夏美「仲間でありライバルであるのがチームというものでしょ?同じ志をもつ者同士で切磋琢磨しあう。それこそが青春ではありませんか」

可可「……」

夏美「そう思いません?ねぇ、かのん先輩もそう思うでしょ?」

かのん「うわぁ、苦しいなぁ。でも、もうちょっと泳がせてみよっか」

夏美「成長というのはどういう状況で起こると思いますか?それはピンチの時です。予想もしてないような環境や状況に置かれた時、人は進化を強いられるんです。どうなるか予想もついて準備も万全の状態で臨んだ所で流れ作業的にそれを終えるだけ。そんなんじゃいつまで経っても壁を乗り越える事なんて出来ません。試練というのは『今から何時にいきますから準備しておいてくださいね』なんていって来てくれやしないんですよ?当然ですよね?別にここで私を糾弾するのも自由ですが、その時点で貴方達はこの壁に覆われたぬるま湯の中で一生過ごす事が確定するでしょうね。それでいいのですか?よくないはずです。ならば、選ぶ道は一つですの!決断しなさい!!貴方はどうしたいんですか!!さぁ!!さぁ!!」

かのん「もう、ここまでくると逆に尊敬しちゃうね。よくこんなめちゃくちゃな言い分が瞬時に出てくるよ」

可可「……」

かのん「ほら、そろそろ謝ろっか。流石の可可ちゃんもめちゃくちゃ怒ってるみたいだし」

可可「やって……やるデス」

かのん「え?」
0058名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:54:07.68ID:FO0yL1bR
可可「そんなに言うならやってやりマス!!」

かのん「ええっ??」

可可「ほんと、貴方は好き勝手言ってくれマスね……とんでもない後輩ですよ」

かのん「そうだよね?とんでもないんだよこの子は」

可可「でも、不思議とその言葉、胸に響いてきました」

かのん「うそでしょ??」

可可「たしかに私達、仲良し小好しになり過ぎていたかもしれませんネ……」

かのん「いや、部活動なんてそれでいいんじゃない?」

可可「不本意ですが貴方が言うピンチという状況で挑戦してやりますよ!試練というのはこちらの都合に関係なくやってくるのでしょう?」

夏美「……ふふ、顔つきが変わりましたね。なら後悔は、しませんね?」

かのん「ねぇ、どの立場から言ってるの?」

可可「かつて偉大なスクールアイドルも様々な逆境を乗り越えてきました!そしてククはその姿に憧れたんデス!なので今度はクク達の番ですよーっ!!」

かのん「可可ちゃんはなんで火付けられてるの?」

可可「うおおおおおっ!!!やりますよ!レンレンっ!!!」



すみれ「……って、なんか叫んでるみたいだけど」

恋「はい……」

すみれ「話し、聞こえた?」

恋「後半の内容だけなら、夏美さんも大きな声を出してたので聞こえましたが……」

すみれ「なんかそれぞれ一人でやる事になったみたいだけど」

恋「……」

すみれ「大丈夫なの?」

恋「……」フラッ

すみれ「ちょ、ちょっとっ!」

恋「む、むりかも……」


恋「むりかもしれませんんん……っ!!」
0059名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:55:01.90ID:FO0yL1bR
─────翌日。


四季「…………」

夏美「そ、そんな怒らないでくださいですの♡」

四季「かわいくしてもダメ」

夏美「別に上手い事いったからいいでしょ?可可先輩もやる気になってくれましたし」

四季「慣れない事させて、先輩たちになにかあったらどうするの」

夏美「もう!四季は先輩想い過ぎですの!私の事も少しは想って?でーすの♡」

四季「夏美ちゃんの事も想ってるから怒ってるの」

夏美「……はいはい、ごめんなさいですの」

四季「うん」

夏美「心配しなくても大丈夫ですの。うまくいかせてみせますから」

四季「ほんとに?」

夏美「えぇ!この鬼塚夏美を信用しなさい!」


きな子「四季ちゃーん、夏美ちゃーん」

メイ「あー疲れた」


夏美「あら、きな子」

四季「メイ、おつかれさま」

きな子「明日の準備出来たっすよ」

メイ「まったく人使いが荒いんだからよ」

夏美「緊急事態ですの。こういうときは助け合いですの!」

メイ「お前、都合のいい時だけそれだよな」

夏美「貴方達が困った時は助けて上げますの!」

メイ「ほんとかよ」

きな子「きな子はいつでも助けてあげるっすよー」

夏美「明日はもっと忙しくなりますの!覚悟しておいてください」

メイ「ほんと調子いいんだからな」

四季「先輩達のためにがんばろう。メイ、きな子ちゃん」

メイ「まぁ、御二人のためだからやるけどよ」

きな子「きな子もやるっすよ〜」

夏美「ふふ、これが私の人望というやつですね」

四季「えいっ」バシッ

夏美「いたっ!!」

四季「調子に乗らない」
0060名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:56:55.05ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


可可「レンレン!そんな弱気でどうするんデスか!」

恋「でも、私……一人でなんて歌ったことありませんし」

可可「ククもありません!でもやりますよ!!」

恋「私は無理ですぅ……」

可可「レンレン!これは試練なのデスよ!」

かのん「元はどっかの誰かさんのミスだけどねー」

すみれ「まぁ、そこは言っても仕方ないでしょ」

可可「そうデス、クク達はやらなければいけないのデス!!」

千砂都「う〜ん、けど一人で出来るのかな」

可可「ククはやってやりますよ!」

千砂都「いや、気持ちじゃなくてパフォーマンス的に?」

可可「?」

千砂都「ほら、今まで二人でやってきたから踊りとか歌とかってそれ前提に作ってたんでしょ?」

可可「はいデス!」

千砂都「一人で踊るとなると見ててバランスが悪くなると思うし、歌もパート分けしてたら一人で全部歌わなくちゃいけなくなるよね。被さる部分とかはどう歌うのかなって」

可可「……」

千砂都「今から作り直すにしても明日の朝には出発でしょ?その辺いろいろ大丈夫かなって思って」

可可「なんとかなるデスよ!」

千砂都「ほんとかなぁ」

すみれ「……それより問題はこっちじゃない?」

恋「……」ズゥン…

可可「大丈夫ですよレンレン!貴方が自信を持てるようにククが素敵な衣装を作ってあげますから!」

かのん「衣装?」

可可「まるで別人になったみたいにして、自信を持たせるデス!」


可可「女の子は衣装で誰にだってなれるのデスから!!」
0061名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:58:16.60ID:FO0yL1bR
─────翌日。


かのん「あー、めんどくさ」

すみれ「とか言いつつ結局来てるじゃない」

夏美「いよいよ遠征ですの!」

可可「なんだかワクワクしますね!クク達だけで車に乗って遠くに行くなんて!」

千砂都「たしかに。でもほんとに私達だけで大丈夫なのかな?大人もいない状態で」

四季「大丈夫かと聞かれたら大丈夫じゃない」

千砂都「やっぱり?」

四季「でも、技術的には問題ない。だから、お巡りさんに声さえかけられなきゃ大丈夫」

可可「目立たなければいいんデスよ!バレなけば問題ありませんからね!」

千砂都「う〜ん」

車『……』マッカァァ…

千砂都「目立つよねーこの色は」

きな子「…………」

すみれ「何怯えてるのよ?きな子」

かのん「あー、もしかして車怖いの?きな子ちゃん。北海道には車ないもんねー」

すみれ「ないわけないでしょ。むしろないと生活できないレベルよ」

車(はぁ〜9人も乗せるの?燃費悪くなっちゃうわよこんなの)

きな子「…………」

恋「…………」モジモジ

可可「レンレン!なにをモジモジしてるのデスか!」

恋「私にはこの格好はやはり……」

可可「とても似合ってマス!自信をもってください!」


メイ「あー緊張するなぁ……可可先輩と恋先輩と一つ同じ車両でなんて」


可可「あっ!あの方はよくクク達のライブに来てくれる人じゃないですか!今日は手伝ってくれるんですね!レンレン、挨拶しましょう!」

可可「ちょっと、そこのお方ー!」

メイ「えっ……あ゛っ!!!あっ、ぁっ、く、くぅくぅちゃんだぁ……うわぁ……くぅくぅちゃんがこんな近くに……」

可可「ほら、レンレンも!ククの後ろに隠れてないで!」

恋「えっ……で、でもっ……」

可可「ほら!早くするデス!」グイッ!

恋「あっ、え、えっと……」

メイ「!!!!!」

恋「よ、よろしくだにゃん……!」(猫耳衣装)

メイ「ぐはぁっっっっっっっ!!!」

恋「!!」

夏美「ちょっとメイー。こんな所でへばらないでくださいですのー」

恋「だ、だ、大丈夫ですか!?」

可可「うーん、これは気絶するほど似合っているという事デスね。わかります!」

恋「やっぱり似合ってないからですよ……!!」

可可「なにをいってるのですか!レンレン!」

恋「もう私、制服で行きますから!」

可可「せっかく似合っていたのに!」

メイ「……猫耳……れんちゃん……ふふっ……しゅごい……っ」

夏美「まったく先が思いやられますの」
0062名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 01:59:30.07ID:FO0yL1bR
かのん「ところで、これって9人も乗れるの?」

すみれ「たしかに言われてみれば」

かのん「前に2人で後ろのシートに3人と3人」

すみれ「1人乗れないわね」

千砂都「ぎゅうぎゅうに詰めて4人で座る?なーんて」

夏美「心配ご無用、ちょうどメイがぶっ倒れましたの」

すみれ「なにがあったのよ」 

夏美「3人並んでる膝にメイを寝かせればちょうどいい感じになります」

かのん「その3人に負担がかかりすぎる」

すみれ「名古屋まで4時間でしょ?」

夏美「四季に飛ばして貰えば3時間でいけますの」

かのん「3時間だとしてもしんどいよ」

夏美「大丈夫ですの。心配しなくてもちゃんと一年で面倒見ますの」

かのん「ふーん、ならいいや」

千砂都「痺れてきたらいつでも代わってあげるからねー」

恋「私が運転席ですか?」

四季「そう、一番大人っぽく見える人に乗って貰ったほうがいいと思うから」

恋「大人っぽく……」

千砂都「あー!たしかに恋ちゃんって大人っぽいよね」

四季「……」コクコク

恋「それは……実年齢よりも、年齢を重ねてるよう見える(老けて見える)という事でしょうか……」

千砂都「え?いや、違う違う。私達より上品で落ち着いてるから大人っぽいなぁっていう事だよね?」

四季「っ!」コクコク!

恋「そうですか……?」

すみれ「まぁ、高校生にもなると大人っぽいとか大人に見間違われたりしても、あんまり嬉しくないわよね」

かのん「あー!たしかに!」

すみれ「中学生くらいまでは嬉しかったけどね。実年齢より年上に見られるの」

かのん「わかるなぁ〜、これが大人でも子供でもない高校生特有の悩みってやつだよね!」

夏美「…………」

かのん「あー!見て見て!ここにわからない人がいる〜!わからないよねぇ?いまだに小学生と見間違われてそうだからさぁ?」

夏美「うざがらみしないでください。流石に小学生には間違われませんの」

かのん「ふーん、どうだかぁ〜??」

夏美「それよりさっさと出発しますよ。朝イチで出ないと間に合わないんですからね」

すみれ「大会は昼からなのよね」

夏美「えぇ、名古屋には余裕で間に合いますが大阪はギリギリですの。一秒一秒が惜しいので早く乗り込んでください」

かのん「はぁーあ、こういう旅行で時間に追われるのが一番嫌いだよ」

夏美「さぁ、早く乗り込んでください」
0063名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 02:00:51.94ID:FO0yL1bR
恋「それで、なにか特別な操作などはしなくてもいいのでしょうか?」

四季「全部自動でやってくれるから大丈夫」

恋「それはすごいですね!」

四季「だから何もしなくていい」

恋「わぁ、たくさんボタンがついています……!これはなんでしょうか?」

四季「そのボタンは絶対押しちゃダメ」

恋「押すとどうなるんですか?」ポチッ

四季「……なんで押したの?」

恋「……すいません、好奇心が抑えられませんでした」

夏美「全員乗りましたね?じゃあしゅっぱ─────」

四季「……みんな、なにかに掴まって」


ブウウウウウウウウウウンッ!!!!!!


千砂都「あははははははははっ!すっごいすごい!」

かのん「きゃぁぁぁっっ!!」

可可「おおおっ!早いデス!」

すみれ「ちょっ!なんなのよ!危ないわよこの速度は……」

きな子「……」シートベルト ギュウッ……

車(ひゃっはー!!!私は風になるぅ!!今ならマッハ20で走れそう!下等な人間どもを轟音でびびらせてやるわよ!やだぁっ!!)

恋「はわわわわわっっ!!」

夏美「ちょっと!急いではいますが流石に飛ばし過ぎですの!四季!」

四季「仕方ない。恋先輩が押しちゃいけないボタン押したから」

夏美「なにを押してるんですか!っていうか四季もそんなボタンつけるんじゃないですの!」

恋「すみません!」

四季「出来る事があるならやってみたくなるのが研究者の性」

夏美「もうっ、ほんとに貴方は!」

四季「それに、このままスピード出せば間に合う」

千砂都「たしかに!この調子なら間に合っちゃうかもね!」

四季「結果オーライ」

可可「ふっふっふ……なら、もう勝ったも同然デスね!レンレン!」

恋「えっ!?ええっと……はいっ!勝ちました!」

夏美「気が早すぎますの!」

千砂都「大丈夫?かのんちゃん。怖くない?」

かのん「う、うん、最初びっくりしたけどなんか揺れもないし慣れてきたかも」

四季「この車は乗ってる人の安全のため、どんな振動も吸収する」

かのん「そっか。それで平気なのかな?」

夏美「ビビりのかのん先輩がビビらないなんてつまんねーですの」

かのん「なんかいった?」

夏美「べつに〜?なーんもいってないですのー」

すみれ「揺れは感じなくてもこんな速さで走られたら普通に怖いと思うけど」

かのん「えー?すみれちゃんってもしかして新幹線で怖がっちゃうタイプ?意外とかわいいとこあるんだね(笑)」

すみれ「あんたって自分が余裕だと途端嫌な奴になるタイプよね」
0064名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 02:02:02.50ID:FO0yL1bR
かのん「でもさ、まだ高速じゃないのにこの速さで走ってたらヤバいよね」

すみれ「高速でもアウトよ。この速度は」

四季「大丈夫、ナンバープレートも偽装してるし、フロントガラスには特殊な繊維を組み込んでるから、オービスで写真を撮られてもモザイクがかかったようになる。だから違反してても絶対に捕まらない」

すみれ「なにも大丈夫じゃないわよ。倫理的に」

千砂都「あははは!もっと飛ばせ飛ばせー!」

夏美「そもそも四季、恋先輩が押したボタンとはなんなんですか?」

四季「最も効率のいいルートを爆走するモード。それにモードチェンジするボタン」

夏美「なんですのそれ」

四季「普通のカーナビなら高速道路とかに乗っていくルートが優先されるけど、これは出来る限り直線距離で走行する」

千砂都「ってことは普通なら東名高速道路を走っていくけど」

四季「これだと山の中に入って山梨県と長野県を突っ切っていく。道があろうがなかろうが」

千砂都「わー!山梨県といえば水信玄餅っていうのがあるんだよねぇ。完全に透明なまんまるなの!あーあ、一度でいいからこの目で拝んでみたいなぁ!」

夏美「そんな暇ないですの。そういうのは個人的にお取り寄せしてください」

千砂都「でもね。作ってから30分なんだぁー」

恋「なにがですか?」

千砂都「賞味期限が」

かのん「え、やばっ」

千砂都「早過ぎるよねー?だから現地に行って買わないと食べれないんだよ」

かのん「そっか〜、ならせっかくだし寄ってみようか!」

千砂都「うん!」

夏美「寄らないっていってるんですの」

恋「ちなみに長野県は信州サーモンが美味しいんですよね。よく贈り物でいただきました」

かのん「あー!それは小学校の頃に修学旅行で食べたことあるよ。ね?」

千砂都「うん、あれは脂乗っていて最高だったな〜」

かのん「あれは魚嫌いな子でも食べられるっていってたくらいおいしかったぁ」

千砂都「また行きたいって皆言ってたよねー」

かのん「じゃあさ、行っちゃう?」

夏美「ちょっと、観光気分で喋らないでくださいですの!」

かのん「だって楽しいじゃん。ねぇ?すみれちゃん?」

すみれ「なんであんた達そんな余裕なのよ。このスピードの中で」

千砂都「まぁ、この程度のトラブルはよくある事だしねー」

すみれ「あってたまるもんですか」

かのん「すみれちゃんだってそうは言うけど、さっきからずっと余裕そうじゃん」

すみれ「うろたえても仕方ないからそう振る舞ってるだけよ」

四季「皆が楽しくお喋りしてる間に、もう山梨に入った」

夏美「はやっですの」

千砂都「じゃあまずは水信玄餅だね!」

夏美「寄らないっていってますの!」
0065名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 02:02:57.25ID:FO0yL1bR
すみれ「ねぇ、ほんとにこんなスピード出して大丈夫なの?」

四季「大丈夫かと聞かれたら大丈夫じゃない」

すみれ「ならまずいじゃない」

四季「でも安全面では問題ない。他の車両にぶつからない理由がある」

すみれ「理由?」

四季「今この車はリアルタイムに衛星と通信して、他の車の動きを見てる」

夏美「四季が打ち上げたあの人工衛星ですね」

かのん「え、すご」

四季「そして、この車のスーパーコンピューターで他の車がどう動くか計算、予想し無数の可能性の中からAIで最適解を判断してその都度危険を回避する」

可可「なるほど、衛星情報をもとにこの車が勝手に判断して安全運転をしてくれるんですね」

四季「だから事故する可能性は多く見積もっても0.0001%。それに万が一事故をしても、さっき言った通り衝撃を吸収する素材を全面に使ってるから私達が死ぬ事はない。つまり、お巡りさんにさえ見つかりさえしなければ大丈夫」

すみれ「ふーん、なにも大丈夫じゃないわね。やっぱり」

可可「あっ!!!!シキシキ!あれっ!!」

四季「?」

可可「こ、このまま進むと前からあのトラックが突っ込んできマスよ!!」

すみれ「やばいじゃないの、スーパーコンピューターとやらはどうしたのよ」

四季「あのトラックが悪い。交通ルールを守ってないから。計算はあくまで他の車両は交通ルールを守ってる事が大前提。だからコンピューターは悪くない」

可可「冷静に解説してる場合ではないですよ!シキシキ!」

四季「大丈夫。ぶつかってこられても特殊な素材を使ってるから衝撃はほとんど吸収されて」

すみれ「いや、今ぶつからない努力をしなさいよ」

四季「それは無理。これはあくまで自動運転だから、自分で運転しちゃったら無免許運転になっちゃう」

すみれ「変な所で真面目になるんじゃないわよ」

四季「けど、今更なにも出来ない」


四季「だってもうぶつかる」



ドンッッッ!!!!!!!!
0066名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 02:05:14.23ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


四季「……んん」

四季「……?」キョロキョロ

四季「ちょっとだけ気を失ってた(びっくり)」

四季「衝撃は吸収されてるはずなのに。気を失うなんて不思議」


夏美「……はっ!ここは?」

四季「……起きた?夏美ちゃん」

夏美「私達はたしか……」

四季「トラックに跳ね飛ばされて谷底に真っ逆さました」

夏美「軽いノリで言ってますけどとんでもないことになってますの」

四季「でも大丈夫、怪我ないでしょ?」

夏美「たしかに痛いところはないですけど」

四季「でも不思議、痛くないのになんで気を失うの?」

夏美「知らないですけどジェットコースターで失神するようなものなんじゃないですの?VRでも気絶しちゃう人がいるらしいですし」

四季「心理的ショックから?たしかに、そっちのダメージは吸収出来ない」

きな子「……」

四季「あ、きな子ちゃん。大丈夫?」

きな子「……まぁ、なんとかっす」

メイ「……zzz」

四季「メイも無事みたい。よかった」

夏美「はぁ、まったくメイは呑気ですの。ちょっと、いつまで寝てるんですのー?」

四季「メイは今日が楽しみ過ぎて昨日一睡もしてない。だから休ませてあげて」

夏美「大事な仕事を手伝うんだから万全な状態で来てくださいですの!」

きな子「……」

四季「それよりきな子ちゃん、ずっと元気ないみたい。大丈夫?」

夏美「そりゃこんなとこに落とされたんだからショックで元気も出ないでしょう」

四季「ううん、なんか昨日から変なの」

きな子「え?いや、いつもどおりっすよ、きな子は……」

四季「そう?」

きな子「はいっす……」

きな子「……」

車(もう!いったいわね!あのオンボロトラック私の邪魔してきやがって!ぶっ壊してやりたい!わたしよりも遙かに劣った下等マシンのくせにっ!!きーーーーっ!!!)

きな子「……きな子はだいじょぶっす」

四季「ならいいけど……?」

夏美「……あれ、なんか足りなくありません?人数が」

四季「え?」

夏美「先輩達がいないですの」
0067名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 02:07:27.27ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


かのん「あ、見て見て!富士山だぁ!きれーい」

千砂都「う〜ん、いい天気だねぇ」

すみれ「……」

可可「……頭クルクルして、気持ち悪いデス」

恋「大丈夫ですか、可可さん」

かのん「後ろから見る富士山ってなんか新鮮だね」

千砂都「普段テレビとかで見るのって静岡側からだもんねぇ」

かのん「ねー、すみれちゃんもそう思わない?」

すみれ「……そうね」

恋「それで、私達はどうなってしまったんでしょうか?」

千砂都「それが分からないんだよね。四季ちゃん達もいないし」

恋「まさか、遭難?」

かのん「おっ!じゃあ水信玄餅食べに行けるね!ちぃちゃん」

千砂都「やったー!」

すみれ「もうちょっと焦りなさいよ。あんた達」

可可「うぅっ、まだきもちわるいデス……」

恋「だ、大丈夫ですか?可可さん」

可可「う〜、クラクラします」

すみれ「ほら、深呼吸して新鮮な空気を体に入れなさい。それで楽な体勢をとってしばらく休みましょう」

可可「ありがとうございマスです……」

かのん「さすがすみれちゃん!気が利くねぇ」

千砂都「すみれちゃんってお姉ちゃんなんだっけ?こういうところ凄いお姉ちゃんっぽいなぁ〜」

かのん「ちぃちゃん、私もお姉ちゃんだよ!」
0068名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 02:08:10.49ID:FO0yL1bR
すみれ「ほら、手だして。マッサージしてあげるわ。恋は側にいて話し相手になってあげて。こういう時は緊張をほぐしてリラックスさせてあげるのがいいの」

恋「はいっ、わかりました!」

可可「かたじけないデス……」

恋「ゆっくり休みましょう?可可さん」

可可「はい……」

すみれ「心配しなくてもちょっと休めばすぐよくなるわ」

千砂都「うーん!こういう時、お姉ちゃんの子って頼りになるよね!」

かのん「私も!私もお姉ちゃんだよ!」

恋「姉妹がいる人うらやましいです。私はひとりっこなものですから」

可可「ならレンレンはククの妹になりましょう……。毎日楽しいデスよ……」

恋「可可さんがお姉ちゃん……想像出来ませんね。ふふっ、でも楽しいと思います」

可可「……本当デス〜?」

恋「ふふっ、本当ですよ」

可可「なにやら含みのある笑みデスね」

恋「そんな事ありませんよ」

可可「むむ〜」

すみれ「とか言ってたら、元気出てきたみたいね」

可可「はい、少し休んだら落ち着いてきました。おかげさまで」

すみれ「なら、そろそろ移動しましょうか。いつまでもこんなとこにいても仕方ないし」

かのん「よーし、水信玄餅食べに行くぞー」

千砂都「おーーー!」

すみれ「……まぁ、人里に出れればなんでもいいか」
0069名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 02:08:55.29ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


四季「まさかこの車内からいなくなるなんて考えもしなかったから気付かなかった……」

夏美「あの身勝手な先輩たちの事です。私達が気を失ってる間に勝手に外に出て遊びほうけているのでは?」

四季「ううん、考えられるのはトラックにぶつかる直前に恋先輩か可可先輩、あるいは両方が咄嗟にドアノブに掴まってしまって、回転する車内の勢いで開き先輩達だけが外に放り出されたケース。あのふたりならそういう事をやりかねない」

夏美「ふーん、ならどこかに落っこちてしまったんですねー先輩たちは」

四季「どうしよう……」ワナワナ…

夏美「落ち着きなさい四季。こういう時のためになにか用意があるんでしょう?例えば先輩たちの体内にGPSを埋め込んでるとか」

四季「今、私達は谷底にいるから電波がキャッチできない」

きな子「……埋め込んでるについては否定しないんすね」

四季「それに電波が届かないという事は車も動かない」

夏美「まじですの?」

四季「まじ」

四季「あくまで衛星の情報をもとに車が計算して動く。だから情報がなかったら運転は出来ない」

四季「膨大な知識がネットにあっても、ネットにつないでないスマホじゃなにも得られないのと一緒」

夏美「それだと私達このまま出られないんじゃ……」

四季「それより先輩たちが心配。可可先輩、恋先輩になにかあったら大変」

夏美「まぁ、あの人たちは大丈夫でしょ」

四季「どうにかしなくちゃ」

夏美「どうするもなにも、まずは私達がこっから這い上がらないとどうしようも出来ませんの」

四季「一度谷底に落ちたら人間の力で這い上がるのは不可能。一応この車には90度の斜面でも走っていけるタイヤを使ったけど、電波が繋がらないから自動運転が出来ない」

夏美「なら手動で運転するしかありませんね」

四季「無免許運転はダメ」

夏美「いや、そんな事いってる場合ですの?」

四季「ルールはルール」

夏美「変なところで律儀ですの」
0070名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 02:10:03.78ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


かのん「山梨の自然ってすごいねぇ」

千砂都「うん、空気も澄んでるし木々も雄大だし水も綺麗だし」

可可「海がないのにとっても水が豊かな場所デス!」

恋「山梨にはアルプスがありますからね。その豊かな水を使ってウィスキーやワインなども作られており、どれも有名なんですよ」

かのん「お酒かぁ、そういえばワインってどんな味するんだろうね」

千砂都「子供の頃はジュースみたいなイメージだったけど砂糖的な甘さはないらしいね」

かのん「おいしいのかな?来たついでに飲んでみよっか?」

すみれ「やめなさい」

可可「はぁ、森林に囲まれて深呼吸すると気持ちいいデスねぇ……」ウットリ

恋「はい、緑に囲まれてるだけで気持ちが落ち着くものですね」ホッ

すみれ「落ち着きすぎでしょあんた達」

可可「はっ!見てください!この川のセセラギ……!!大きなお魚さんが泳いでマスよ!レンレン!」

恋「落ちたら大変なのであまり近付いちゃいけませんよー」

かのん「あははは、あんなにはしゃいで」

すみれ「まったく子供じゃないんだから」

千砂都「ああいうところが可可ちゃんのかわいいところなんだよね」


バシャンッ


可可「きゃああああ!!!あ、足が、滑りましたっ!たすけてくださいっ!!ごぼぼぼぼっ……!!」

恋「可可さんっ!!」

千砂都「あははは!ほらね?おっちょこちょいで可愛いでしょ?」

すみれ「いや、笑ってる場合じゃないでしょ」



………………



可可「た、たすかりました……」

恋「大丈夫ですか?可可さん」

すみれ「もう、あぶなっかしい子ね」

可可「くっしゅん!すみませんデス」

恋「あら、風邪ひいちゃいました?」

可可「ちょっと冷えただけデス!でも今は夏!すぐ温かくなりますよ!」

すみれ「ほら、服乾かすわよ」

可可「このまま着てれば乾きますよ!夏ですから!」

すみれ「だーめ」

千砂都「あはは、やっぱりお姉ちゃんだね。すみれちゃんは」

かのん「ちぃちゃん、私もお姉ちゃんだよ!」
0071名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 02:11:58.24ID:FO0yL1bR
ミーン、ミーン、ミーン……



かのん「あー、こうやって皆で日向ぼっこするの。幸せすぎる……」

すみれ「なに年寄りみたいなこと言ってんのよ」

恋「自然に囲まれてぼーっとしていると、なにやら都会の喧騒を忘れますね」

かのん「そう、なんか頭の中が癒されてくんだよぉ〜」

千砂都「あー、都会にいる人の脳みそは雑音でかなりすり減ってるらしいからね」

かのん「え、なにそれ、こわっ」

すみれ「まぁ、たまにはこういう場所でのんびりするのも悪くないわね」



可可「とはいってもいつまでもこうしてはいられませんよ!!!!!みなさんっ!!!!!」



かのん「びっくりしたぁ、急に大きな声出さないでよ可可ちゃん」
0072名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 02:12:18.39ID:FO0yL1bR
可可「だってクク達はヤラナケレバナラナイ事がありますからね!」

千砂都「元気だねぇー♪可可ちゃんは」

恋「もうよろしいのですか?」

可可「はい!夏のおひさまの下に干してたら服もすぐ乾きました!なのでそろそろ行きましょう!皆さん!」

すみれ「もう落っこちるんじゃないわよ」

可可「わかってマスー!」

恋「あんまり走ると危ないですよ」

千砂都「休んだから更に元気いっぱいだねー♪可可ちゃんは」

すみれ「すぐバテそうだけどね」

かのん「おっ!なんて言ってたらもうすぐ山を抜けられそうじゃない?」

すみれ「え?」

恋「たしかに光が強くなってきましたね」

可可「出口です!!皆さん、はやくはやく!」

すみれ「なによ、そんなに近いならいったん出ればよかったわね」

千砂都「まぁ、よかったじゃん。あんまり山深くには落ちてなかったって事で」

かのん「うんうん、やっぱり日頃のおこないがいいからだろうね」

すみれ「そういえばあの子達は大丈夫かしら」

可可「シキシキ達なら大丈夫ですよ!あの子は天才デスからね」エッヘン

すみれ「なんであなたが自慢げなのよ」

可可「だって自慢の後輩ですから!」

かのん「……よいしょっと」


かのん「ふー!山から抜け出せたー!」


恋「ほっ、解放された気分です」

千砂都「あっ!商店街が見えるよ!かのんちゃん!」

すみれ「めちゃくちゃ人里近かったのね」

かのん「わー!お土産買いにいこう!ちぃちゃんのいってたお餅あるかな?」

千砂都「どうだろう?でもなくてもなにかまるーいがあればそれでいいよぉ!まるいものないかなぁ!」

恋「たしか、山梨にはくろ玉というお菓子があるらしいですよ」

千砂都「くろ玉?それってまぁるいの???」

恋「はい、あんこを丸くしたものに溶かした羊羹をかけて作られたお菓子です」

かのん「うわぁ〜めちゃくちゃ甘そう。想像するだけで唾液が出てきちゃう」

恋「熟練の職人さんたちがひとつひとつ丁寧にチェックしてるので完璧な形でないものは弾かれるらしいですよ」

千砂都「うわぁ〜!!!じゃあじゃあ全部完璧なまるってこと!なにそれ絶っっっ対見たい!!」

すみれ「そんな場合じゃないと思うんだけどね」

かのん「よーし!じゃあ山梨観光だぁ!」

千砂都「おー!!!」
0073名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 02:13:21.44ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


四季「ととととりあえず、こういう時はコーヒーを飲んで頭を冴えさせよう」ボドボドボド…

夏美「めちゃくちゃ溢してますのもったいない」

四季「とりあえずいったん落ち着こう?」ガタガタガタ

夏美「あなたが一番落ち着きなさい。先輩たちが心配なのはわかりますけど」

四季「うん。そうだね。こういう時こそゆっくりとリラックス出来る環境を整えるべき。よし、そうしよう……」ウロウロ

夏美「せわしなくうろつかないでください。こんな所で慌てふためいてても仕方ありませんの」

四季「と、とりあえず、キャンプでもしようか」

夏美「いや、それは落ち着き過ぎですの」

四季「まずは枯れ木を集めて燃やすの」

夏美「焚き火ってやつですの?」

四季「そう。夏でもこんな谷下の奈落の森じゃ身体が冷える。それに火の揺らめきを見てると心が落ち着く効果もある。リラックス出来ればいい考えが浮かぶかもしれない」

夏美「なるほど。たしかに焚き火のリラックス動画は中々再生数稼げますの。キャンプ動画もコアな層から絶大な人気があります」

四季「先輩たちが心配だけど、焦っても良い結果は起きない」

夏美「冷静さが戻ってきましたね。ではここらで動画を一本撮りつつ考えましょうか」

四季「うん」

夏美「きな子も手伝ってください」

きな子「……へ?」

夏美「ぼーっとしてどうしました?きな子」

四季「大丈夫?きな子ちゃん」

きな子「あ……大丈夫っす。うん、やるっすよ!」

きな子「……」

車(あーあ、もう転がり落ちてあっちこっち10円キズだらけよ。せっかく新しいボディだったのになにもかんもやになっちゃう。あーあ、なんで私ばっかこんな目に遭うのかしら、ロボットたちの手によって明日世界でも滅びないかしらねー)

きな子「……」
0074名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 02:14:53.08ID:FO0yL1bR
………………



夏美「にゃっはー!!いろんなものを燃やすの楽しいですの!」

夏美「ねぇ?四季!このまま森ごと燃やしてしまったら、先輩たちが森から飛び出してきて会えるんじゃありませんの?必死に逃げるうさぎみたいな感じでぴょんって出てくるかもですの!にゃははは!!」

四季「それ、いい案かも」

きな子「いい案なわけないと思うっすけど……」

四季「松ぼっくりがあった。いれてみる?」

夏美「それ知ってますの。火に入れると弾けるんでしょう?」

四季「うん、とっても危ないよ」

夏美「当然やってみますの!危険な事はやるためにあるんですの!動画にするために定められてるようなものですの!そーれ!」ポイ


バチッ!……パァン!!


夏美「あっつ!あついですの!」

四季「ははは、熱いね」

夏美「にゃはははー!きな子もやってみるですの!面白いですの!」

きな子「火遊びして、なんかハイになっちゃってるっす……」

夏美「ねぇ四季っ!他にもありません?燃やすと危険なもの!」

四季「毒性のある植物はどれも燃やすと危険」

きな子「ひえっ、めちゃくちゃ危険な事しようとしてるっす……」

夏美「ウルシとかああいう系ですの?」

四季「うん、でもウルシ科の植物は判別が難しい」

夏美「たしかにどれもその辺の雑草と区別つかないですの!」

きな子「だからこそ危険なんすけどね。ウルシは」
0075名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 02:15:45.23ID:FO0yL1bR
四季「でも簡単に区別がついて燃やすと危険なものがある」

夏美「なんですの?」

四季「アジサイ」

夏美「アジサイならちょうどそこに生えてますの!」

四季「燃やす?」

夏美「もちろん!危険な事はやるためにあるんですの!『アジサイ燃やしてみたwww』で一本撮りますのっ!」

きな子「ちょ……やめるっすよふたりとも」

四季「大丈夫、アジサイの毒はアミグダリンといって中毒を起こすものではあるけど、正しくつかえば薬にもなる。まさに毒薬変じて薬となる」

きな子「今まさに正しくない使われ方をしようとしてるんすけど……」

夏美「にゃっは〜!こんな所でたくましく生きてたアジサイぶち抜いてきました!これが人間に足を踏み入れられるという事ですの〜!では、さっそくやりますの!そーれ」ポイッ


ジュ……チ、チ、バチ…バチ…


夏美「ごほっ!ごほ!……ごほっ!」

四季「こほん」

夏美「あー、なんかぼんやりしてきたですの!頭がくらくらしますの!あと気持ち悪いですのぉ……!」

四季「これが意識混濁状態。おもしろい」フラフラ~

きな子「ほ、ほんとにハイになっちゃってるっす……」

夏美「んん……なんか木々の擦れる音が私の悪口に聞こえてきますの……!……はぁ?誰が金稼ぎしか脳がないですって?」

四季「落ち着いて夏美ちゃん。それは脳のバグ」

夏美「わかってますの!でもむかつくものはむかつくですの!きぃーっ!私の事をバカにするなんて許せない……!!」

四季「たしかに。幻聴とはいえ夏美ちゃんを悪くいうのは許せない……!」

夏美「こんな森やっぱり燃やしてやりますの!!」

四季「賛成」

きな子「ちょ、やめるっす夏美ちゃん、四季ちゃん……」

夏美「人間に楯突いた事を後悔させてやるですの」

四季「私達がこの星の支配者」

きな子「ううっ、きな子だって今まで聞こえないものが聞こえるようになって動揺してるのに」


きな子「なんで落ち着かせる側に立たないといけないっすかぁー……!」
0076名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 02:17:27.21ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


かのん「これがくろ玉」ジュルリ…

千砂都「うわぁ……!綺麗な真っ黒でヒビ一つない綺麗なまるだぁ♡」

すみれ「よかったわね。ここに売ってて」

かのん「でも水信玄餅はなかったね」

恋「どうやら人気過ぎてすぐ売り切れてしまうらしいです」

可可「でもこれは買えました!さっそく食べるデスよ!」

恋「可可さん、そんな慌てて食べなくても誰も取りませんよ」

可可「待ちきれないデス!!!先に食べちゃいますよっ!!あむっ!!!!!」


可可「!!!!!!!!!」


可可「んん〜♡あんこと羊羹のダブルパンチ。甘さの暴力デス!これは!」

恋「口のまわりについちゃってますよ。可可さん」フキフキ

千砂都「はぁ、この光沢のある黒がまるを際立たせてるよぉ……こんな凄いまるが世の中にあったなんて」

かのん「事故ってみるもんだねー」

すみれ「よくそんな感想が出てくるわね」

可可「クク、食欲が止まりません!あむっ!あむ!あむ……むっ!!んー!んんんんんっ!!!」

恋「可可さん!?もう、だから落ち着いて食べましょうって言ったんですよ」

すみれ「ほら、お茶」

恋「ありがとうございます。はい、可可さん。これはゆっくり飲んでくださいね」

可可「ごきゅっ……ごきゅっ……ぷはぁ……かたじけないデス……ふたりとも」ゼェゼェ

すみれ「いいわよ」

恋「大丈夫ですか?」

可可「はいデス!」

恋「次からはゆっくり食べてくださいよ」

可可「えへへ、ククのうちは大家族ですから。癖でついつい早食いになってしまうのデスよね〜」

すみれ「そういうもんなのね」

恋「そういえばすみれさんは妹さんがいらっしゃるのですよね」

すみれ「ええ、いるわよ」

恋「だからそんなに落ち着いてらっしゃるんでしょうか?」

すみれ「え?それは関係ないんじゃない。だって、ほら」

かのん「?」

すみれ「姉でも落ち着きのない子はいるし」

かのん「えー?なに?私の話?」
0077名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 02:18:32.55ID:FO0yL1bR
恋「かのんさんも妹がいらっしゃるんですね」

かのん「うん、いるよー。見る?」

恋「はい、ぜひ!」

かのん「はいこれ、ありあっていうの」

恋「ありあさん。素敵なお名前ですね」

可可「めがねっこデス!」

恋「なんだかとってもしっかりしてそうな子です」

かのん「そう、だからたまにうるさいんだよねー」

すみれ「ほら、お姉ちゃんだからってしっかりしてないのもいるでしょ?」

かのん「ちょっとすみれちゃん、それどういう意味?」

恋「ふふっ、そうみたいですね」

かのん「む、なんか私笑われてるんだけど……ちぃちゃーん私笑われてるー!」

千砂都「んんっー♡」(口の中でまるを堪能している)

恋「すみれさんの妹さんも見せてくれませんか?」

すみれ「私の?まぁ、別にいいけど……はい」

恋「まぁ!すみれさんにそっくりですね!」

可可「ククにも見せて!ククにも見せてください!」

すみれ「はいはい、勝手に見ていいわよ」

可可「おー!!あなたをそのまま小さくしたような子が映ってます!おもしろいデス!」

すみれ「そんなに似てるかしら」

恋「お名前はなんておっしゃるんですか?」

すみれ「え?なまえ?」

恋「はい」

すみれ「えぇっとね……」

恋「?」

すみれ「ちょっとまってね……」

可可「?なにうろたえてるデスか?」

すみれ「別にうろたえてないわよ」

恋「すみません……私、なにかまずいこと言ってしまいましたか?」

すみれ「そんなんじゃないわよ。なまえでしょ?うん、普通の質問だわ。ふつうよ。ふつー」

恋「……?」

すみれ「まぁ、なにかしらあるんじゃない?なまえ」

恋「はい?」

可可「なんですかその答えになってない不気味過ぎる返答は」

すみれ「あるったらあるのよ」

恋「……込み入った事を聞いてしまったんでしょうか?」

可可「まぁ、いろいろ複雑な家庭もあるらしいデスからね」

恋「ですよね。うぅ、反省です……」

千砂都「んっーーー♡しあわせー♡」マルゥ!
0078名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 02:20:00.62ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


メイ「zzz」

夏美「あ〜、意識がはっきりしてきましたの。やはり面白い感覚というのは長続きしないものですね」

四季「そうだね」

きな子「……きな子は全然面白くなかったっすけどね」ゲッソリ…

夏美「それでどうするんですの〜?しき〜」

四季「ちょっと待って、今考えてるから」

夏美「火を眺めてるのもそろそろ飽きてきましたのー、やはり絵変わりが少ないと飽きもはやいですの」

四季「……うん」(かんがえちゅう)

夏美「ねー、しきー」

四季「待って、その車を使ってなんとか出来ないか考えてるから」

きな子「……」チラッ

車(やっだぁ!もうっ!虫がいるじゃない!だからこんなど田舎はいやなのよ!特に私みたいな最先端ハイテクマシーンにとっては)

夏美「でも、この車単体では自動運転出来ないんでしたよね?」

四季「うん、前に言った通り衛星の情報をもとに計算して動くからそれと通信出来なきゃ動かない」

夏美「じゃあ、どうするんですの」

四季「もうちょっと待って、今、頭の中で設計図を組んでる。最悪その車をばらしてなにかに作り変える」

夏美「じゃあヘリコプターでもつくりますの!」

四季「それいいかも」

きな子「……」

車(あー!!中に虫が!!虫が入り込んでるぅ!!取って取って!誰か取ってよぉ!!きゃあっ!!!!)

きな子「……」シュー

車(あら?)

夏美「?きな子?」

四季「きな子ちゃん。こんな自然で殺虫剤なんかまいちゃダメ」

きな子「虫よけっすよ」

四季「虫よけでもダメ。昆虫さん達かわいそう」

夏美「それに車になんかかけちゃって何やってるんですの?もったいない」
0079名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 02:21:00.11ID:FO0yL1bR
きな子「くるまさん」

車(え?)

きな子「きな子達いま困ってるっす。谷底に落ちちゃって、ここから上にいかないといけないんすけど、きな子達は運転が出来なくて」

四季「き、きなこちゃん……?」

夏美「あーあ、きな子頭おかしくなっちゃったですの」

きな子「くるまさんには意思があるんすよね?なら自分の意思だけで走る事も出来るんじゃないっすか?」

車(なに?あんた私に話しかけてるの?変な目で見られちゃってるわよあんたw うけるっw )

きな子「このままだとくるまさんバラバラにされちゃうらしいっすよ」

車(ええええええええ!??)

四季「頭を強く打ち付けた?でも衝撃はほとんど吸収されてるはず」

夏美「これもきっと心理的ショックからですの。心的外傷ってやつですの。たまたま私達にはなかっただけで、きな子にはそういうダメージもあったのかもしれないですね」

四季「人の心はいまだ解明されてない事だらけ。難しい……」

きな子「くるまさん、ほんとは真っ青なブルーがよかったんすよね?きな子聞いてたっすよ」

車(え?)

きな子「きな子でよければあとで染めてあげるっす」

車(あんた……私の気持ちがわかるの?)

夏美「きな子〜しばらく休んでなさい。貴方疲れてるんですの」

四季「……」


きな子『四季ちゃん、ロボットに感情って芽生えるっすか?』


四季「……まさか」

きな子「くるまさん、きな子達を助けて欲しいっす」
0080名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 02:22:26.28ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


可可「しかし、風情のある商店街デスね」

恋「モダンな雰囲気というのでしょうか?」

千砂都「うんうん、なんか雰囲気いいよね!」

かのん「次はなに食べよっか?」

すみれ「呑気過ぎじゃない。あんた達」

恋「山梨といえばやはりほうとうではありませんか?」

千砂都「ほうとうか〜」

かのん「えー?こんな真夏に鍋?」

可可「いいじゃないデスか!暑い日のお鍋もイキなものデス!」

千砂都「たしかに、暑い日に熱いもの食べて汗いっぱいかくと気持ちいいよね!」

可可「それにさっきとても甘いものを食べましたから体がしょっぱいものを欲しています!」

かのん「うーん、そんな事言われるとちょっと食べたくなってきちゃうなぁ」

恋「ちょうどあそこにほうとうのお店がありますよ」

可可「行きましょう!皆で一つの鍋をつつく事してみたいデス!!」

千砂都「ふふ!じゃあ、行ってみようか?」

すみれ「はぁ、ほんとに観光にきたみたいね。私達」
0081名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 02:23:55.95ID:FO0yL1bR
イラッシャイマセー


かのん「古民家って感じのお店だね」

恋「ふぅ、こういうこじんまりとしたお家はとても落ち着きますね。古い木造作りで非常に和を感じます」

可可「えー?あんなだだっ広い洋館に住んでるのにですか?」

恋「むっ、私だって、和を感じたっていいじゃないですか」

かのん「恋ちゃん洋館に住んでるんだ。すごっ」

千砂都「やっぱりお嬢様なんだね恋ちゃんって」

可可「そうだ!今度皆さんと遊びに行きましょう!レンレンの家に!」

恋「え?皆さんと?私の家に?」

可可「とっても楽しいデスよ!」

千砂都「うん、恋ちゃんのおうち見てみたいなー!」

かのん「え、私もいっていいの?」

恋「み、みなさんが、よよよろしいのであればいつでもっ……」

可可「あー!レンレン楽しみ過ぎてそわそわしてます!」

恋「サヤさんに言ってごちそうを振る舞ってもらいましょう……!」

千砂都「そんなはりきらなくていいよー、だって友達なんだから!ね?かのんちゃん」

かのん「え?あっ、うん!」

恋「お、お友達っ」ポワポワ…

可可「ふふっ、レンレン嬉しそうです♪」

すみれ「ねぇ。盛り上がってるところ悪いんだけど、来たみたいよ料理」

可可「おー!お味噌のいい匂いがします!」

かのん「湯気すごっ、見てるだけであっついよぉ」

千砂都「わー、おいしそー!」

恋「これはみみが入ってますね」

可可「えー!!耳!?耳食べちゃうデスか!!?」バッ!

かのん「あはははは!可可ちゃん自分の耳に手をやってる!」

すみれ「あんたってそういうステレオタイプな反応好きよね」

恋「みみといっても耳ではありません。この小麦粉で練ったものの事です」

千砂都「あー耳っぽい形してるね。だからみみなの?」

恋「いえ、その説もあるのですが農具の箕(み)に似てるからという説が有力なようです」

かのん「箕ってなに」

可可「あれデス!ドジョウすくいするやつデスよ!」

かのん「あー、あれか」

すみれ「それがぱっとでてくる留学生と、それですぐ通じる都会の女子高生ってどうなの」

千砂都「うーん、私的には耳の方がしっくりくるけどねー」

恋「おそらく近年はそちらに寄せて作ってるのではないかなと思います」

千砂都「移り変わりってやつかぁ」
0082名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 02:26:05.58ID:FO0yL1bR
可可「それより早く食べましょうよ!はやく!はやく!」

恋「慌てちゃダメですよ可可さん」

すみれ「まったく、見ててあぶなっかしい。よそってあげるわ」

可可「おー♪優しいデスね♪貴方」

すみれ「あんたがそそっかしいからよ。ほら」

恋「火傷に気をつけてくださいね」

可可「うぅ、はやく食べたいデス!」

恋「では、ふーふーしてあげますよ」

可可「わーいデス!!」

かのん「なんか子供の面倒みてるみたいになってない?」

千砂都「微笑ましいねー」

かのん「まぁ、そうだけどさ」

千砂都「ほら、そんな事より私達も食べちゃおっ?」

かのん「うん、そうだね」

可可「んんんん〜〜!!おいしいです!!」

可可「濃厚な味噌のだしが染み込んでて、体にシミワタリマス…」

かのん「はぁ、こういうお味噌の味ってなんでほっとするのかな」

千砂都「ふしぎだね〜」

恋「すみれさんの分、よそいましょうか?」

すみれ「え?別に自分でするけど」

恋「そうですか」シュン…

すみれ「なんで落ち込むのよ……はぁ、じゃあそうね。お願いするわ」

恋「はい!」

すみれ「まったく気を使わせる子ばっかりね」

かのん「でもまんざらでもない顔してる〜ツンデレだぁ〜」

すみれ「ふん、あんたが一番私の手を煩わせてくれてたんだけどね」

かのん「ええ?そんなわけないでしょ〜」
0083名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 02:26:44.50ID:FO0yL1bR
すみれ「一年の頃はほんと大変だったわ」

かのん「また、そんなずいぶん昔の話しちゃって」

すみれ「ちょっと前よ」

千砂都「そういえば、かのんちゃんのお母さんもかのんちゃんが一番手のかかる子供だったって言ってたなぁ」

すみれ「ほらね」

かのん「もう、余計な事言わなくていいよ!ちぃちゃん」

千砂都「あははははっ」


おばあちゃん「う〜ん、こまったのぅ」


かのん「?」

可可「なんでしょう?困り事でしょうか?」モグモグ

すみれ「食べながら喋らないの」

可可「はいデス」…ゴクン

千砂都「なにかトラブルかな?」

恋「もしお困りなら助けてあげたいですね」

かのん「えー、めんどくさいよー」

千砂都「そうだね。かのんちゃんのいう通りお年寄りは助けてあげないと」

かのん「ううん、めんどくさいって言った」

可可「お年寄りには優しくデス!それにここで会ったのも何かの縁!」


可可「クク達がお助けしましょう!」
0084名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 02:27:42.48ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


夏美「ロボットの気持ちがわかるようになった?」

きな子「はいっす。それでくるまさんとお話して協力してもらうことになったすよ」

夏美「……」

四季「たしかにAI運転なら衛星の情報がなくても自分の考えで走行してくれるかもしれない」

夏美「ふーん、まぁここから抜け出せるならどうでもいいですの」

きな子「めんどくさくて考えるのをやめたっすね夏美ちゃん」

四季「でも、どこにいけばいいのかわからない以上。下手に動くのは危険」

きな子「大丈夫っす。きな子は動物とお話が出来るから、そこらじゅうにいる小鳥さん達から先輩たちの居場所を聞いて、くるまさんにそこへ向かってもらえばいいっすよ」

夏美「あーそんな設定ありましたね」

四季「なるほど。これはデジタル技術とアナログ技術が手を組んで、ピンチを切り抜ける熱い展開」

夏美「アナログっていうんですの?これ」

きな子「森の小鳥さん達!きな子達の先輩の場所を教えてもらいたいっす!!」

夏美「どっちかというとオカルトですの」

メイ「ううん、うるさいなぁ……」

夏美「あら、やっと起きましたの?メイ」

四季「ねぼすけさん」

メイ「んっ、……ん?な、なんだここ!!さっきまで学校にいたのに森の中じゃないか!しかもこんなに薄暗い……なんなんだよ!!ここはっ!!」

夏美「まぁ、いろいろあったんですの」

メイ「真夏だったよな?なのに寒いぞここ……」

四季「森の奥深く谷底にいるから、私達」

メイ「なんだってそんなとこに!!」

きな子「ちゅんちゅんちゅん!!ちゅちゅん?ちゅんちゅんちゅん!!!!」

メイ「うわぁぁぁっ!!きな子おかしくなっちゃってるじゃないか!どうしたんだよ!きな子!!」

夏美「あーもうめんどくさいですの。これならもうちょっと寝てもらった方がよかったですの」
0085名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 02:28:53.95ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


可可「さぁてレンレン!いっちょやってやりますよー!」

恋「はい!」

すみれ「……」

千砂都「ふたりのライブ楽しみだねー」

かのん「いつも遠くからしか見れてないからこんな間近で見れるとちょっと緊張するね」

すみれ「……しかし、ほんと急よね。この商店街でライブなんて」

おばあちゃん「ほんとにありがとうね、お嬢ちゃん達。こんなジジババしかいない催しに出てくれて」

可可「いえ!スクールアイドルは場所を選びません!求められればいつだってそこで最高のライブを披露するんデス!」

おばあちゃん「ほんとは今日ねぇ、演奏家の人達が来てくれる予定だったんだけど、楽器を運んでるトラックが事故に遭ったっていうもんだからね」

かのん「へぇ〜物騒なこともあるもんだねぇ」

すみれ「……」

可可「レンレン!前哨戦というやつデス!ここで勢いづけてこの後のお互いのライブに望みましょう!」

恋「……お互いの……そうですね!」

千砂都「大丈夫かなぁ、恋ちゃん」

かのん「え?」

千砂都「この後の名古屋と大阪でのライブを想像してか緊張してるみたいなんだよね」

すみれ「ていうか、間に合わないと思うんだけど。こんなところでのんびりしてたら」

千砂都「ここで緊張がほぐれればいいけど」

かのん「ふたりとも頑張れー」


可可「いきますよ」

恋「はいっ」


可可&恋「─────♪」
0086名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 02:30:05.27ID:FO0yL1bR
かのん「わぁ……間近で見ると凄いんだね」

千砂都「うんうん、私のおかげでダンスも10レベルくらい上がってるよ」

すみれ「ここにいる人達ってスクールアイドルの事よくわかんなそうだけど大丈夫なの?」

おばあちゃん「あらまぁ、かわいいねぇ」

おじいちゃん「めんこいのぉ」

すみれ「と思ったけど、皆喜んでるみたい」

かのん「よかったねー」

千砂都「……」

かのん「どうしたの?ちぃちゃん」

千砂都「う〜ん、やっぱり恋ちゃんの自信のなさ。どうにかすべきだよねって」

かのん「自信?凄く堂々としてるように見えるけど?」

すみれ「よく見なさい、かのん」

かのん「え?」

すみれ「しっかりパフォーマンスはしてるわ。でも、片方を引き立てるような動きに徹していて自分が主役っていう意識がないでしょ?」

千砂都「おー!すみれちゃん鋭いね」

かのん「そうなの?う〜ん、私は二人みたいな知識はないからなぁ」

千砂都「えー?すみれちゃんもなにかやってる人なの?」

すみれ「まぁ、昔の事よ」

かのん「あー、すみれちゃんはねぇ。昔CMにでてたっ─────」

すみれ「余計なこと言わなくてよろしい」

かのん「そういえば内緒だったっけ」

千砂都「えー、気になるなぁ」

かのん「あとでこっそり教えてあげるねー♪」

すみれ「そういうのは本人に聞こえないところでいいなさい」

千砂都「ねぇねぇ、そんなすみれちゃんから見てどう思うの?あのふたりは」

すみれ「どうって?」

千砂都「ここが良いとか悪いとか」

すみれ「まぁ、そうね。片方ははりきり過ぎて後半にバテがち」


可可「─────♪」ハァ…………ハァッ……


すみれ「もう片方は引っ張られてるだけでいまいち殻を破りきれてない」


恋「─────♪」テッ……テッテンッ


すみれ「洗練されてないというのかしらね。あんなんじゃショービジネスの世界で通用しないわよ」

千砂都「しょーびじねす?」

すみれ「でも、こういう泥臭いのがいいんでしょうね。未熟な部分っていうか完璧じゃないからこそ粗削りな等身大のアイドルの姿が見れる。プロじゃないからこそのリアリティみたいなのが楽しめるのがスクールアイドルの魅力なんじゃないかしら」


メイ「そうっ!!スクールアイドルの世界ってのはただ可愛いだけじゃないんだ!」


かのん「えっ?」
0087名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 02:30:55.07ID:FO0yL1bR
千砂都「あー、メイちゃんだぁー!」

すみれ「なんか久々ね。こういう登場」

千砂都「ってことは四季ちゃん達も?」


四季「やっと見つけた」

きな子「……っす」ゼェゼェ……

夏美「まったく、目を離したらすぐどこかに行くんですから貴方達は」


千砂都「わー!みんな集合したねー♪」

すみれ「無事だったのね。あんた達」

夏美「全然無事じゃないですの。谷底に真っ逆さましましたので」

かのん「ふーん、私達なんて車から投げ飛ばされたんだけど」

千砂都「怪我はないからへーきだよー」

メイ「あぁ〜!こんな片田舎の山奥で、まさか御二人のライブが見れるなんてっ!」

夏美「なにを勝手にやってるんですの?こんな事してる暇ないんですよ」

かのん「よくいうよね、全然迎えに来てくれないくせに」

夏美「いろいろ手間取ったんですの!」

千砂都「はーい、カリカリしないの。一年生の皆もこれ食べて!」

夏美「なんですの?これ」

四季「くろいまる?」

千砂都「お土産に買ってたの。とっても美味しいよー!」



可可&恋「♪─────。」ジャン!



可可「終わりデス!ありがとうございましたデス!」



メイ「うおおおおおおおっ!!!!可可先輩!!!」

かのん「うっさ」



恋「ありがとうございました!」ペコッ



メイ「うおおおおおおおっ!!!!恋先輩!!!」

千砂都「はい、メイちゃんもこれ食べて落ち着こうね」

メイ「あむっ!?」
0088名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 02:31:35.97ID:FO0yL1bR
四季「これ、おいしいね。夏美ちゃん」

夏美「まぁまぁいけますの」

きな子「はぁ……はぁ……」

夏美「ほら、きな子も食べなさい」

四季「きな子ちゃんたくさん頑張った。疲れてる時は甘いもの」

きな子「い、いただくっす……」

可可「あー!!シキシキ!やはりクク達の所に来てくれましたね!信じてましたよ迎えに来てくれるって」

四季「ふたりの期待は裏切らない」

恋「大変ではなかったですか?怪我等していませんよね?」

四季「大丈夫。みんな無事」

夏美「はぁ、これでやっと全員揃いましたわね」

かのん「あーあ、もうちょっとゆっくりしたかったんだけどなぁ」

夏美「いつまでもこんな所にいたって仕方ありませんの」

かのん「こんな所て」

夏美「ほら、さっさと出発しますよ。やることが山積みですの」

可可「そうですね!おばあさん!クク達もういかなければなりません!」

おばあちゃん「あら、そうなの?もうちょっとゆっくりしてけばいいのに」

可可「ライブが出来て楽しかったデス!!また来ますから!」

おばあちゃん「わたしたちも楽しかったよ。ありがとうね」

恋「こちらこそありがとうございました!」

かのん「あー、もっと観光したかったのにな」

夏美「遊びで来たんじゃありませんの」

かのん「でもちょっとだけだったけど楽しかったなぁ、また来たいね」

恋「そうですね」

千砂都「うん!次は絶対水信玄餅を手に入れよう!」

おばあちゃん「あれま、お嬢ちゃん、水信玄餅が食べたいのかい?」

千砂都「え?」
0089名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 02:33:09.62ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


千砂都「あぁっ、なんて素敵なまるなの?君はぁっ♡」

恋「よかったですね。ちょうどお弟子さんが作ってた物をいただけるなんて」

千砂都「まだまだ未熟で売り物にならないっていってたけど、こんな神々しいまるは見た事ないよ」

かのん「ほんとに透明だね」

可可「つつくとぷるぷるしておもしろいデス!」

千砂都「透き通ったまる……!これを覗いてみた世界は透明なまるの世界!」

すみれ「なにいってんのよこの子は」

千砂都「はぁ……ずっと君と過ごしていたいなぁ」

かのん「でも早く食べちゃわないといけないんだよね」

恋「とても足が速いと言ってましたね」

可可「しかし、お年寄りの方はどうして消費期限が短いことを足が速いと言うのデスか?」

すみれ「まぁ、昔の方言みたいなものよ」

可可「うーん、わからんデス」

恋「また今度おしえてあげますよ」

すみれ「それより早く食べちゃわないと。ほっとくと蒸発してどんどん萎んでいくんでしょ?」

千砂都「はぁ、なんて儚い命なの……?こんなにも綺麗なのに、君を永遠にはしておけないなんて、こんなの残酷すぎるよ。いっその事、君と心中してしまいたい……」

かのん「あはは、ちぃちゃんってばロマンチック〜」

すみれ「言ってる相手が食べ物だけどね」

千砂都「でも、朽ちていく君をこの体に含んで、私は君と共に生きていくよ。君を愛するが故に私はここで罪を犯すんだ。それが運命の螺旋路に記された宿命なんだと受け入れて」

すみれ「ぐだぐだ言ってないで早く食べてあげなさい」

千砂都「さようなら……私の愛した人……」



チュッ…



それを口に含んだ瞬間、千砂都の瞳からは自然と涙がこぼれた。
その透き通ったようなまるが全身を包み込んでいく感覚からの歓喜と感嘆からである。


かのん「ちぃちゃん!?」

恋「泣いているんですか?」

可可「そんなにもまるを愛しているんデスね……。千砂都は」ウルウル

すみれ「……」
0090名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 02:34:06.06ID:FO0yL1bR
水よりも透明なそれが体へと浸透していく。
水面に落とされた一滴の水滴が全てを侵食していくように。
それはある種の、生命の始まりを千砂都に予感させた。


千砂都(あぁ……きっとこうやってこの世界は生まれたんだ)


原初生命の始まりを千砂都はその身で確かに実感している。
遥か何億年も前に引き起こされた事が今、千砂都の体内で再び起こっているのだ。

そして、その透き通ったまるが自分の血肉へと変わっていく事を千砂都は全身で実感した。
脈うつ血潮がせせらぎの様に聞こえる。
自分の身体に流れる血は今この瞬間無色透明になったのだとはっきりと確信したのである。


千砂都(あぁ、全部透明になっていく)


今の千砂都には見えるもの全てが透明の、透き通る世界に見えていた。

だが、不安感もない、恐れもない、あるのは母親の胎内にいるかのような安心感。


千砂都(…………)


その広く透明な世界で、千砂都は引き寄せられるように、なにかを包み込むように両の手をあわせた。
そして『それ』を確かに描いたのである。


千砂都(─────まる)



きな子「うーん、うーん……」

夏美「千砂都先輩。きな子がうなされるのでぶっ飛んだ想像をしないでくださいですの」

かのん「お疲れだねー。きな子ちゃん。だいじょうぶ?」

可可「クク達の事はきな子さんが見つけ出してくれたんデスよね!」

四季「そう、動物に聞いて回って、探し出してくれた」

可可「その力、最初は怖かったですがクク達を助けてくれたのですからもう怖くないデス!とても素敵な力なのデスから!」


可可「きなきな!助けてくれてありがとうございますデス!」


かのん「きなきなて」
0091名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 02:34:48.97ID:FO0yL1bR
夏美「あまり大きな声を出さないでください。きな子は疲れて寝てるんですの」

すみれ「あんた達も疲れてない?それにその体勢だし疲れたなら言いなさいよ」

夏美「問題ありません。膝に乗せてたのがメイからきな子に変わっただけです」

四季「私も平気」

すみれ「ならいいけど」

メイ「……」

四季「メイ、やけに静か。どうしたの?」

メイ「ばっか!お前!」ヒソヒソ

メイ「御二人がこんな近くにいるんだぞ?私みたいなののくだらない雑音をお耳に入れさせるわけにはいかねぇんだよ」ヒソヒソ

四季「ふたりはそんなの気にしないけど」

メイ「そんな事より御二人と同じ空間にいられるだけで幸せすぎるんだ!これ以上の事は何も望まねぇよ。私はこれから塵と埃を食って生きてくからな」

夏美「はぁ、まったく貴方は一々大袈裟な人ですの」
0092名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 02:36:33.69ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


かのん「あー、やっとついたー」

すみれ「ここまで長かったわね」

かのん「もう車移動はこりごりだよ」

恋「車移動ではない時間の方が長かったような気もしますが」

夏美「はい、到着したんできびきび動いてくださいですのー。時間が押してるんですからね」

かのん「はいはい、言われなくても降りますよーだ」

夏美「待ってください。かのん先輩」

かのん「?」

夏美「貴方は私達と同じ大阪行きですの」

かのん「は?なんで」

夏美「可可先輩、四季、かのん先輩は私と大阪に行く予定だからです」

かのん「そんなの初めて聞いたし」

可可「ククも大阪なんデスね。初めて聞きました」

夏美「初めて言いましたからね」

かのん「どういう人選なの」

四季「夏美ちゃんの好きな人で固めたんだよね」

夏美「そんなわけないでしょう」

かのん「げっ」

夏美「なんですの。そのリアクションは、違うって言ってますの。これも考えがあっての人選。ちゃんとプランがあるんですから」

かのん「じゃあなんなのさ」

夏美「単純な話です。この車を作ったのが四季なのですから、トラブルが起きた時対応してもらわないといけないでしょう?」

かのん「それはわかるけどさ、じゃあ私は?」

夏美「かのん先輩は気を使わなくていいので思いっきりこき使えるからです」

かのん「ふーん、使われないけど」

可可「ククは?ククはなぜ選ばれたのデスか?」

夏美「恋先輩が先に降りたから、まだ車内に残ってた貴方に声をかけました」

かのん「めちゃくちゃノープランじゃん」
0093名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 02:37:47.04ID:FO0yL1bR
可可「ククだけ理由が雑過ぎデス!!それじゃあ仲間はずれみたいじゃないですかー!ククにも選ばれた理由欲しいデス!!ほしいほしいほしいっ!!」

かのん「ここ狭いから隣であんまり駄々こねないで可可ちゃん」

夏美「えぇ?……じゃあ……まぁ、大阪には中国からの観光客が多いらしいですの。なので可可先輩も行きたいかなぁと思って選びました」

可可「おー!そう言われて見れば大阪行ってみたかったデス!食い倒れの街ですよね!」

すみれ「それって京都なんじゃないの。中国からの観光客多いのって」

夏美「適当言ってるので知らないですの」

かのん「適当っていっちゃったよ」

夏美「でも、空港があるのは大阪ですから同じ事ですの!」

かのん「大阪かぁ、あっ!お土産にたこ焼き買ってこようか?ちぃちゃん」

千砂都「…………」(静かに微笑む)

すみれ「あんた、いつまでそのキャラでいるつもりよ」

恋「なにやら悟りを開いてますね」

夏美「メイときな子に段取りを教えてるので、そっちは二人の指示に従ってください」

すみれ「はいはい」

恋「わかりました」

メイ「いや、私が恋先輩に指示とかありえないから……」モジモジ

きな子「その辺はきな子がやるっすからメイちゃんはフォローお願いするっすよ」

すみれ「体調は戻ったの?」

きな子「ばっちりっす!四季ちゃんの太ももはむちむちで寝心地最高っすから!」

四季「きな子ちゃん」

きな子「あっ!でも、すみれ先輩のもよさそうっすね!」

すみれ「元気そうでよかったわ。じゃあ、静かにしててね」

きな子「はいっす!」

夏美「メイときな子だけでは心配なので、すみれ先輩と千砂都先輩もフォローお願いしますの」

すみれ「はいはい」

千砂都「…………」(静かにうなずく)

夏美「じゃあ、さっさと出発しますよ」

かのん「えー?もうちょっと名古屋見ていこうよ」

夏美「見ても味噌かシャチホコくらいしかありませんよ。こんな街。ほら、さっさと行きますの」

かのん「あーあ、せっかくきたのに」

四季「じゃあ、またね。メイ、きな子ちゃん」

メイ「可可先輩に粗相がないようにな!」

きな子「また後でっす〜!」

可可「レンレン!しっかりやるデスよ!信じてますからね!」

恋「あっ……はいっ……!頑張ります。可可さんも頑張ってください」

夏美「じゃあ出してください、四季」

四季「ok」

夏美「出発ですの!」
0094名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 02:39:00.20ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


かのん「はぁ〜、こっからさらに大阪まで行くの?だっる〜い」

夏美「ただ座ってるだけでしょ」

かのん「だからしんどいんじゃん」

可可「くしゅんっ!」

かのん「?」

可可「くしゅんっ!くしゅんっ!」

かのん「大丈夫?可可ちゃん」

可可「はぃ、だいじょぶでず」

かのん「なんか鼻声っぽいけど」

四季「どうかしたの?可可先輩」

かのん「あー、あれかな。川に落ちちゃったんだよね。可可ちゃん」

四季「え?」

可可「心配ご無用です。なんともありませんでしたから」

かのん「でも、もしかしたら、それで身体が冷えて風邪でもひいちゃったのかもしれないね」

可可「いえ、風邪とかじゃないので全然だいじょぶデス。それにほうとうもたべていっぱい汗かきました」

夏美「ほうとう?何してたんですか貴方達」

可可「その後ライブもしましたし、ククの体は冷えてなんかいません」

かのん「でも可可ちゃんそのまま汗も拭かないでクーラーの効いた車に入ったよね」

可可「誰かさんに急かされましたからね」

かのん「それでまた身体が冷えて風邪ひいちゃったんじゃない?」

四季「もしかして風邪ひいたの?可可先輩」

可可「風邪とかじゃないデスよ!ほんと、だいじょぶでずがら」

かのん「さっきよりも鼻声になっていってない?」

可可「風邪じゃないデス!こほっ、こほ」

かのん「咳まで出てるけど……」 

可可「こほんっ!これは違うんデス!チガイマスカラっ!!」

夏美「ふーん、風邪じゃないなら、川の水からヤバい菌でも飲み込んじゃったんじゃないですのー?」

可可「恐ろしい事言うなデス!綺麗な川でしたからそんな事は絶対ありませんよ!」
0095名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 02:40:08.97ID:FO0yL1bR
可可「うっ……ゴホッ!ゴホッ!ゴホッ……」


かのん「あーあ、大声出すから」サスサス

四季「大丈夫。今からそれに対抗するものを培養する」

可可「ばいよう、ですか??けほっ、けほっ」

四季「可可先輩、これ咥えてて」

可可「なんですか?ソレ」

四季「私が作った簡易検査キット。これを使えば唾液から身体で悪さしてる菌が特定できる」

可可「そんなものまで作れるなんて、シキシキはやっぱり凄いデス!けほっ!けほっ!流石ククが見込んだ人!」

四季「そうして特定出来たら、その菌に対抗する菌を培養して可可先輩に投与する」

かのん「凄いね。四季ちゃん。そんな事も出来ちゃうんだ」

夏美「四季はとっても便利なんですの。このキャラはもっと活用すべきですの」

四季「だからそれ咥えてしばらく安静にしてて。ライブまでになんとかするから」

可可「はい、わかりまひた」パク

かのん「頼りになるなぁ。どっかの誰かさんと違って」

夏美「あらぁ?私ほど頼りになる後輩もいませんよぉ?」

かのん「トラブルばっかり起こすのによく言うよ」

夏美「そんな事より、ここは交通マナーが終わってる街『名古屋』ですの。こんな地獄のような街で気なんか抜いていたら一瞬で狩られますよ。気を引き締めてください。かのん先輩」

かのん「いきなりどうしたの」

夏美「事実をいってるだけですの。ね、四季?」

四季「うん、ここではモラルは一切通用しない。だから、自動運転の最も苦手とする場所」
0096名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 02:41:03.57ID:FO0yL1bR
夏美「ほら、ちょっと大通りに出てみたら、バイクよりも早く走る車がビュンビュンしてますの」

かのん「まぁ、東京と比べたらちょっと慌ただしい街なんだろうね」

夏美「ちょっとどころではありません。あれを見て見なさいかのん先輩」

かのん「……青信号を渡ってる人に向けて、車がクラクションを鳴らしてる?」

夏美「どう思います?」

かのん「あははは、この街では挨拶みたいなものなんだろうなぁ」

夏美「そんな挨拶あってたまるものですか。とにかく油断しない事ですの。この街ではちょっとの油断が命取りになりますの」

かのん「大袈裟だよ、そんなの」

夏美「名古屋では私達では考えられないような事がたくさん起きますの。ちょっと追い越しただけで煽られたと勘違いされキレられる。ブレーキランプをつけただけで煽られたと感じられキレられる。余裕でいけそうだったから合流しただけなのに因縁つけられてキレられるなどなどetc……」

かのん「そこまで酷くないでしょ」

夏美「……あれを見てみるですの。あれがこの街の全てを表しています」

かのん「え〜と、あれは?」

四季「自転車が車間詰めてトラックを煽ってる」

かのん「いや、真後ろについて風を避けてるだけじゃない?まぁ、危ないからやめた方がいいけど」

夏美「いいえ、あれは煽りです。この街では舐められたら終わりですの。だから弱者はいません。誰もが皆、狩る側……つまり煽る側に回らなければいけないんですの」

かのん「そんなスラム街みたいなとこじゃないでしょ。川崎じゃないんだからさ」

夏美「ほら、あそこのゴーカートみたいなのに乗ってるご老人も車道で他の車に睨みを利かせてますの」

四季「お年寄りがよく乗ってる小さい車。あれはシニアカー、もしくは電動カーという」

かのん「目が悪いだけでしょ。考え過ぎだよ。ていうかあの人も車道なんか走ってて危ないなぁ」

夏美「弱みを見せたら負けですからね。この街では常に相手を威嚇し続けないといけません」

四季「つもり私達も」

夏美「煽られる前に煽る……!私達もこの街のルールに乗っ取って煽る側の人間にならなければいけないですの!」

かのん「わぁ、なんか物騒な話しになってきたなぁ、関わりたくないから寝たふりしとこ」

四季「でも私、人を煽ったりなんかしたことない」

夏美「大丈夫ですの!私、煽るのは大得意ですから、全面的に任せるですの!」ドヤァッ

かのん「いやーな自慢してるよ」

夏美「なので四季、頼んでた物を」

四季「ん」(メガホンを手渡す)

夏美「どうも」


夏美「おら!軽自動車風情が私達の前に走ってんじゃねぇーですの!!!」キーン


かのん「あーあ、もう最悪だよ。ちぃちゃん達と降りとけばよかった」
0097名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 02:42:40.82ID:FO0yL1bR
夏美「そこのちゃりんこ!命が惜しかったら車道端のほっそいほっそい用水路のあみあみ、走りにくそうに走ってろですの!」

四季「用水路にかぶさってる梯子状の金属蓋はグレーチングっていう。雨の日は滑って危険」

夏美「さっさとするですの!そこの歩行者!わざわざ止まってやってるんですから駆け足しですの!!ほら四季!クラクションを鳴らすですの!」

四季「緊急時以外、歩行者に向けてクラクションを鳴らす行為は事故として成立する可能性大。その音で歩行者が驚いて転んだりでもしたら一発アウト。だから煽りの意味でも感謝の意味でもクラクションを鳴らしちゃ絶対ダメ」

夏美「なら口頭で、ぷっぷーですの!」

四季「その台詞、メイが見てた動画で似たようなの聞いた事がある」

夏美「あぁーっ!!!下道はストレスが溜まるですの!そこで高速に入ってください四季」

四季「わかった」

夏美「おらおら!どけどけーですの!高速に乗れない貧乏人どもwww こっちに道をあけるですの!」

四季「今回の旅費は経費で落ちる。もちろん高速代も。だからケチな夏美ちゃんも躊躇なく使えるね」

夏美「よーし、とろい車ごぼう抜きですの!追い越し車線大爆走の巻ですの四季!」

四季「追い越し車線を走行し続けるのは通行帯違反」

夏美「なら、追い越す時だけ爆走ですの!」

かのん「その変な所で律儀なのなんなんだろう……」

夏美「?なにやら車の流れが悪くなってきたですの」

四季「皆、制限速度で走ってるね」

夏美「むむっ?なにやらあの車付近がやけにとろいですの!原因はきっとあれですの!」

四季「待って、夏美ちゃん」

夏美「おらっ!そこの車!なーにとろとろ走ってやがるんですの!」

四季「あれクラウンだから、そういうのはやめた方が良い」

夏美「クラウンがなんですの!王様でも乗ってるんですの?高い車に乗ってるから偉いんですの??気に入らない!金持ちがそんな偉いんですの!!」

四季「おちついて夏美ちゃん」

夏美「おはぎぶん投げてやりますの!それで田舎のおばあちゃん思い出してお金より大事なもの思い出しやがれですの!」

かのん「そっちがもっと大事なこと思い出したほうがいいよ」


クラウン(覆面パトカー)「……えー、そこの赤の車、止まりなさい」ウーウー


夏美「にゃはっ!??」
0098名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 02:43:56.27ID:FO0yL1bR
四季「だから言ったのに」

かのん「あーあ、いよいよとんでもないことになっちゃった」

可可「ククはいつまでこれを咥えてればいいんでしょうか……?」

夏美「やばいですの!この年でブタ箱は勘弁ですの!」

四季「大丈夫、逃げ切るから。現行犯じゃなきゃ『絶対』捕まらない。逃げ切りさえすればナンバープレートを控えられたって写真を撮られたって私達は『絶対』に捕まらないから」

かのん「怖いんだよなぁ、変なとこ律儀な癖に、そうじゃない部分が垣間見えるのが」





ビュウウウウウウウウウンッ!!キイイインッ!!!!ドォオオオンッ!!!!!!!!!





夏美「むぅっ!こんだけ飛ばしてるのに全然撒けないですの!!」

四季「リミッター解除したクラウンの最高速度は250。簡単には撒けない。それにもし警察用で特別にして貰ってるなら時速300キロ以上出る可能性もあるかもしれない」

夏美「300キロぉ!?」

四季「ちなみにこれは、皆だいすきのハンミョウが、もし人間くらいのサイズだったら、300キロくらい軽く出るらしい」

夏美「好きじゃねーですの!そんな事よりこのままだとこの輝かしいオニナッツの経歴に傷がついちゃうですの!後ろでやさぐれてる人みたいに!」

かのん「ついてないよ」

四季「ハンミョウもキラキラして輝かしい。あのデザインは生命の神秘」ウットリ…

夏美「それにここで捕まったら可可先輩が母国へ強制送還されるかもしれないですの!」

可可「!!?」

四季「それはダメ」

可可「ククもまだ帰るわけにはいかないデス!」

夏美「ならどうにかするですの!」
0099名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 02:44:45.42ID:FO0yL1bR
四季「いい方法がある」

夏美「なんですの!」

四季「このまま進むと建設途中の高速道路がある」

夏美「それがなんなんですの!」

四季「そこを走るの」

夏美「いや、そんな所走ったら!」

四季「そう、いつか道がなくなる」

夏美「そうなったら終わりですの!ジ・エンドですの!」

四季「ううん、終わりじゃない。行き止まりになったら警察は止まるしかない。でも私達は違う。そうでしょ?」

夏美「?」

四季「落っこちても大丈夫。だってこの車は特別仕様だから」

かのん「大丈夫じゃなかった出来事がつい直近であった気がするけど」

夏美「そんな上手くいきますの?」

四季「いく」

夏美「……四季を信じるしかありませんね」

四季「それにもうその道路走ってる。もう引き返せない」

かのん「あーあ、今日こんなんばっかじゃん」

四季「見て、夏美ちゃん。あそこから道がなくなってる。もうそこからおもいっきり飛ぶしかない」

かのん「ひぃぃっ、道の終わりがどんどん迫ってくるっ!!こわっ!!」

夏美「なんですのあれ!めちゃくちゃ絵になりますの!カメラをまわしますからちょっと待ってて!」

かのん「いや、そんな場合じゃないでしょ!」

四季「かのん先輩、可可先輩。なにかに掴まってて。けど、ドアノブには触らないでね。また探しに行くのは大変」

かのん「あーもうっ、可可ちゃん私に掴まってて!」

可可「え?はいデス!」

四季「いくよ」

夏美「衝撃映像ですの!!鬼バズりですの!」


夏美「にゃっはーーー!!」
0100名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 02:55:02.49ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


恋「ダンスサバイバルですか?」

きな子「そうっす、ルールは全員でパフォーマンスをして最後まで踊り続けていたグループの勝利っす」

すみれ「ふーん、そんな変わった大会もあるのね」

千砂都「楽しそうだね!」

すみれ「あぁ、元に戻ったのね。千砂都」

千砂都「感動っていうのは長く続かないからねー。いい本とか読んでも翌日には忘れてるものじゃん?」

すみれ「まぁ、たしかに」

千砂都「それに所詮は売り物に出来ないまがい物だしねー。あははは」

すみれ「あんたも結構言う方なのね。そういう事」

きな子「えー、基本的なルールはこんな感じっす!大丈夫っすか?」

恋「なんとなくは理解出来ました」

千砂都「でもこれってさ、システム的に人数が多い方が有利って事になりそうじゃない?」

きな子「実際そうっすね。この大会のためだけにメンバーを追加したグループもいるっぽいっす。さっき、そういう考えが聞こえてきたっすもん」

すみれ「なかなかにドロドロしてるじゃない」

恋「ここにいるみなさんと踊るんですか?」

きな子「そうっす!サバイバルなんで当然妨害行為とかもあるっす。なので気をつけてください。恋先輩」

すみれ「大丈夫なの?あの子おっとりしてるからこういうのには不向きだと思うんだけど」

千砂都「うん。でも優しい恋ちゃんが殻を破るにはいい機会かもねー」

すみれ「厳しいコーチさんね」

千砂都「だってビシバシしごいてって頼まれたし!」

すみれ「とはいっても、もうちょっとフォローとかしてあげてもいいんじゃないの」

千砂都「そう?でも、頼まれたのは指導だけだしそれ以外の事は余計なお世話かなって」

すみれ「そう」


恋「……」(心細げな横顔)


すみれ「……」
0101名無しで叶える物語(あゆ)
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2023/02/19(日) 02:55:55.54ID:FO0yL1bR
千砂都「あれ?すみれちゃん、なにか言いたげだったりする?」

すみれ「別に。ただあんまり自分の意思がないのねって思って」

千砂都「えー?誰が?」

すみれ「あんたよ。千砂都」

千砂都「わたし?う〜ん、そうかなぁ?そんなの初めて言われたよ」

すみれ「友達が困ってたら助けてあげるべきじゃないの」

千砂都「助ける?」

すみれ「えぇ」

千砂都「……」

すみれ「?」

千砂都「『助ける』……?」

すみれ「……なによ」

千砂都「……」


摩央「あら、奇遇ね。こんなところ会えるなんて」

恋「え?ま、摩央さん?」

すみれ「……だれ?」

きな子「えーっと、ちょっと待つっすよ。う〜ん……はっ!サニパってグループの人らしいっす!どうやら先輩たちの越えるべき壁っぽいっすね。ライバルってやつっす」

すみれ「なるほどね」
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