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かのん「このクソガキっ!!」夏美「にゃははははww」すみれ「やめなさいよ」
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0001名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 00:43:41.79ID:FO0yL1bR
かのん「今日という今日は絶対許さないからっ!!」

夏美「にゃっはーw 騙されるかのん先輩がおまぬけなんですのー!」

かのん「なんだとぉーっ!」

すみれ「やめなさいってば、騒がしいわね。いったい何があったのよ?」

かのん「聞いてよ!すみれちゃん!この子ったらね!」

夏美「かのん先輩が悪いんですのー!」

かのん「はぁ!?私になんの非があるっていうの!ふざけないで!」

すみれ「はいはい。もうわかったから、ほら、座って?」

かのん「ぐぬぬぬぬ……!」

夏美「にゃははwww」

すみれ「それで、何があったの?」

夏美「ちょっとしたドッキリですの。それでかのん先輩がぷっつんしちゃっただけですの。ヤンキーはすぐキレるから質が悪いですのーww」

かのん「質が悪いのはそっちでしょっ!!」

すみれ「また過激な動画撮って再生数稼ぎ?懲りないわねあんた達」

かのん「あんた達!?私をその中に含めないで!」
0002名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 00:45:25.19ID:FO0yL1bR
すみれ「はいはい。で、今回はなにやったの?」

夏美「これですの!今朝上げたばかりなのに再生数ミリオン間近!」

すみれ「『学校のやばい先輩、拉致して夜の校舎に放置してみたwwww』ですって?」

夏美「ですの!」

すみれ「ふーん、おもしろそうね」

かのん「なんっっにもおもしろくないっ!!可哀想でしょ!?私が!」

夏美「こういう悪い人が懲らしめられる系の動画は大人気なんですの!勧善懲悪ですの!」

かのん「すみれちゃんそいつ縛っておいて、今からぼこぼこにするから」

すみれ「落ち着きなさいよ、別に誰が不幸になってるわけでもないんだから」

かのん「なってるよ!わ・た・し・が!」

夏美「わ・た・が・し?」

かのん「ちがうっ!」

夏美「映え映えのやつ食べたくなってきましたのー」

すみれ「カラフルの?」

夏美「ですの!」

かのん「ちゃんと聞いて!こっちはね?帰りが遅くなってめちゃくちゃ怒られたんだからね!」

夏美「ヤンキーのくせに門限あるとかだっさぁい♡」

かのん「誰がヤンキーだ!このっっ!!」

夏美「きゃー!やばい先輩に殴られるぅっー!」

すみれ「やめなさいってば」

かのん「ふんっ!」
0003名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 00:47:05.06ID:FO0yL1bR
すみれ「まぁ、確かにやりすぎ感はあるけど、この程度のイタズラならよくあることじゃない。そこまで目くじら立てるようなことでもないでしょ?」

かのん「よくあっちゃだめでしょ!私はイヤなの!こうやって勝手に動画に撮られてネットに晒されるのは」

夏美「ちゃんとモザイクは入れてますの。声だって加工してますの」

かのん「知ってる人が見たら一発で私だってわかるんだよ!」

すみれ「でもまぁ仕方ないんじゃない?今はこういう時代だしね」

かのん「仕方ない??ふんっ、自分に関係ないからそういう態度が取れるんだよ、すみれちゃんは」

すみれ「そんなことないわよ。私だって自分が巻き込まれたら嫌に決まってるでしょ。でも、それをどうこう言ってもしょうがないじゃない。この子はこういう子なんだから」

夏美「そうですの!こういう子なんですの!こういう個性なんですの!」

かのん「開き直るなっ!」

夏美「それに私も被害者なんですよ?」

かのん「はぁ?」

夏美「かのん先輩のリアクションには謎の中毒性がある。私は私の視聴者が欲してるものを提供する義務があるんですの」

かのん「そんな義務ないよ」

夏美「あ、そうだ。すみれ先輩にもかのん先輩の超絶滑稽なリアクション、見せてあげますの」

かのん「やめて」

夏美「最もリプレイが多い場面ですの!じゃーん、こちらですの!」

かのん「やめろって言ってるでしょ!」

夏美「はい、スタートですの!」
0004名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 00:48:04.26ID:FO0yL1bR
かのん『あああぁぁぁぁぁあああああああ!!!!!!』(夜の校舎で謎の不審者に追いかけられるかのん)



かのん『いやぁぁぁぁぁぁっ!!□☆○%♭$■*&:!』(モザイク越しでもわかるあの変顔)



すみれ「うわぁ……これはひどいわね……」

かのん「ドン引きするのやめて?笑われた方がまだましだから」

すみれ「また、モザイクと加工された声が相まってあれみたいね」

夏美「警察24時で喚き散らすタイプの人ですの!」

かのん「なんで私が不審者側なの!!逆でしょっ!?」

すみれ「ところでこの不審者の人は誰なの?」

夏美「知りませんの」

かのん「は?」

すみれ「そうなのね」

かのん「今とんでもないこと言わなかった?」

すみれ「で、これはずっとこんな感じの動画なのかしら?」

夏美「いいえ、編集してちゃんと見所をピックアップしてますの。だからいろんなかのん先輩が見れます」

かのん「見れなくていい!」

夏美「撮影時間は5時間かかりましたが、それをなんと8分に凝縮してますの!なので飽きがこない動画となっているかと」

すみれ「そんなに短くしちゃうんだ」

夏美「はい。でも、ギリギリ気軽に見れると感じられる長さでしょう?それにこの時間だと、中間で広告も挟めるようになりますからお得なんですの!」

かのん「全然お得じゃない!割に合わないよこんなの!」

夏美「ちゃんとマニア向けにノーカット版もあげてますの!」

かのん「いますぐ消して」

夏美「見所を見せてから完全版に誘導するのは基本ですからね。やはり再生時間が長い方がマニーになりますし」

かのん「平然と言ってるけど先輩使ってお金稼ぎしないでもらえる?」

すみれ「へー、考えられてるのね」
0005名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 00:49:17.45ID:FO0yL1bR
夏美「ですの!あっ、そんな事いってる間に!」

すみれ「あら」

かのん「はぁ!?もう100万回以上見られてるじゃん!何してんの!?今すぐ消せぇ!」

夏美「やーですのー!べーっだ!」

かのん「このぉ!!!」

夏美「うぎゃぁー!!助けてくださいっー!ヤンキーに殺されますのぉっ!!」

すみれ「ったく、ほんと仲良いわねあんた達」

かのん「よくないっ!だいたいこういうのはさぁ!もっと別の人で撮ればいいじゃん」

すみれ「別の人って?」

かのん「動画映えしそうな華やかーな子達!ほら、うちの学校にはちょうどいい子がいるじゃん」

すみれ「誰よ」

かのん「ほら、あの─────」


かのん「スクールアイドルやってる可可ちゃんと恋ちゃん」


かのん「あっちの方が私みたいな一般生徒よりも数字になるでしょ?」

夏美「ちっちっち、浅い。浅いですよかのん先輩。浅いのはお胸だけにしてください」

かのん「いまから喧嘩配信するからカメラ回してすみれちゃん」

すみれ「血の気が多いわね」

夏美「スクールアイドルの世界は戦国時代。一昔前なら高校生のアイドルってだけで物珍しくてチヤホヤされてましたが今はそれだけじゃネタになりませんの」

すみれ「ただ学生がアイドルやってるだけじゃ数字にならないってこと?」

夏野「ですの。そんなのより学校の不良を懲らしめてる方が何百倍も数字になるんですの」

かのん「不良じゃない!それもやめて!これのせいか私どんどん近所で冷たい目で見られてるんだから」

夏美「それはかのん先輩は自業自得ですのー」

かのん「はぁ!?」
0006名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 00:50:37.30ID:FO0yL1bR
すみれ「まぁ半分は当たってるんじゃない?だってかのん。一年の夏休み明けから遅刻しまくりじゃない」

かのん「遅刻してるってだけで学校にはちゃんと行ってるじゃん」

夏美「遅刻しなければいいという倫理観の欠如。やっぱりヤンキーですの〜、怖いですの〜」

かのん「うるさいなぁ!だいたい、それをいうならすみれちゃんだって毎日遅れてきてるでしょ」

すみれ「だって私は朝起きれないから」

夏美「それなら仕方ないですの」

かのん「仕方ないわけないでしょ」

すみれ「別に普通科なんだからいいでしょ。先生も普通科の生徒になんか誰も期待してないし」

かのん「また、すみれちゃんはそういう事言って……」

すみれ「だいたいここは私立校なのよ?いってみれば私達はお客様じゃない。だったらお金さえ払ってれば好きにしていいはずだわ」

かのん「いや、それはどうかと思うよ」

すみれ「まぁ、当然問題さえ起こさなければの話だけどね」

夏美「私達はお客様……なるほど!いいこと言いますの、すみれ先輩は!」

かのん「ふん、問題ばっか起こしてる子がよく言うよ」

夏美「はぁ?そんなの私は起こしてないですぅ〜」

かのん「起こしてる。主に私に対して」

夏美「起こしてねぇーですよーだ」ベー

かのん「起こしてるでしょっ!このっ!!」ガシッ

夏美「ぎゃあああっ!助けてぇぇぇぇぇっ!すみれ先輩っ!!」

すみれ「もう、だからやめなさいってば」

かのん「ぐぬぬぬっ」

夏美「にゃははwやめなさいですの〜w かのんせぇんぱぁいっ♡」

かのん「こいつほんとムカつくっ!」

すみれ「ま、いいわ。それで、あんたが言いたいことはわかったけど、この動画の何が問題なのよ」

かのん「本気でいってるの?逆になにが問題ないと感じてるのか聞きたいんだけど」

すみれ「いいじゃない人気があって」

かのん「人気なんて欲しくない!私は普通の女子高生なの!」

夏美「ちっちっち、かのん先輩?誰もが才を持って産まれてくるわけではないんですよ?」

すみれ「そうよ、求められてる世界があるんだからいいじゃない。そこで輝ければ」

かのん「こんな輝き方したくない!」

すみれ「私は羨ましいと思うけどね」

かのん「他人事だと思ってぇ……!」
0007名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 00:51:57.19ID:FO0yL1bR
すみれ「だって、誰でもこうなる訳じゃないんでしょ?」

夏美「ですの!再生数ミリオンを超えるような逸材なんて全体の1割にも満たないんですの」

すみれ「ふーん、すごいじゃないかのん」

かのん「凄くない!嬉しくない!ほんとにやなんだから!」

夏美「さぁ〜て、次はどんな企画を撮りましょうか?かのんせぇんぱぁい♡」

かのん「撮らない!」


「「「きゃーきゃー」」」


かのん「ん?」

すみれ「騒がしいわね。なにかしら?」

夏美「この黄色い声援。どうせあの2人ですのー」

かのん「あぁ、可可ちゃんと恋ちゃんか。噂をすればだね」

すみれ「あの2人も凄いわね。ライブの練習してるだけで校内の生徒があんなに集まるんだから」

かのん「ほら、いい動画のネタじゃん。あれ撮りなよ」

夏美「えぇー?嫌ですの。スクールアイドルはパンチがないですの。再生されないですの。あの2人じゃ数字になんねーですのー」


メイ「あぁっ!?」


夏美「げっ……いたんですの」

メイ「おい、お前!恋先輩と可可先輩捕まえて数字にならないとはどういう了見だ!えぇっ!?」

夏美「捕まえてませんの。ノータッチですの」
0008名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 00:52:52.52ID:FO0yL1bR
メイ「恋先輩と可可先輩はな!凄いんだぞ!そのっ、情熱が!可可先輩なんかなぁ!これが私の本当にやりたい事だって親の反対を押し切ってはるばる上海からきてくださったんだからなっ!」

すみれ「仰々しいわね」

夏美「飛行機で3時間ちょっとの距離ですの。頑張れば日帰り旅行感覚でいけますの」

メイ「恋先輩はなぁ!亡きお母様の意志を継ぐためにスクールアイドルになられたんだ!うぅっ……!まだ高校2年生なのにあんなにも健気でぇ……!お前らとはな!覚悟が違うんだよ!覚悟が!」

すみれ「覚悟って」

夏美「別に私達スクールアイドルじゃありませんし」

かのん「オタクの早口きもっ」

メイ「この御二方を馬鹿にする奴は誰であろうが絶対許さねぇぞ!」

すみれ「別に馬鹿にしてないわよ」

夏美「数字にならないって言っただけですのー」

メイ「なんだとぉ!」

夏美「こっちのかのん先輩は凄いんですのよ?ほーら」

かのん「ちょっとっ!見せるなぁっ!!」

メイ「なんだよこれ」

夏美「かのん先輩の動画ですの。再生数ミリオンの女ですの」

メイ「ふん、何が再生数だよ。過激な事やって稼いでるだけじゃないか。しょうもない。こんなのは本物の人気とは言わないんだよ。かのん先輩」

かのん「はぁ?私がやった事じゃないし」

夏美「言いたい奴には言わせとけですの。どうせ嫉妬ですのー」

メイ「なにが嫉妬だよ!」

かのん「そもそも言われる筋合いがないんだけど。私はなにもやってないんだから!」



恋「み、みなさん!今日は練習なのにこんなにもお集まりいただいて。そのっ、ありがとうございますっ!」



メイ「うおおおおおおおっっっ!!!!恋先輩!!!!」

かのん「うわっ……」

すみれ「元気な友達ね」

夏美「友達じゃねーですの」
0009名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 00:54:13.87ID:FO0yL1bR
可可「レンレン!そんなにかしこまらなくてもいいデスよ!これは練習なのですから、もう少しリラックスしましょう!」

恋「ですが、せっかく皆さんが集まってくださったんです。ひとりひとり真摯に向き合いたいんです!」



メイ「くぅぅぅっ!!恋先輩、なんて健気なんだ!!一生推せる!」

夏美「いい子ちゃん過ぎて刺激が足りないですのー」

すみれ「さすが生徒会長様ね」



恋「えー、私達は去年の大会では惜しくも準々決勝で破れてしまいました」



かのん「準々決勝までいくって凄い事なの?」

メイ「あったりまえだろお前!ふざけんな!」

かのん「あ?『お前』?」

メイ「っ!……す、すごいことなんすよ。かのん先輩」



可可「今年こそはなんとしても優勝してみせるデス!皆さんの期待に応えますから!」

恋「はい!今年こそは絶対優勝ですっ……!大切な可可さんと、離れ離れにならないためにも……!」

可可「レンレン!余計なことは言わなくていいデス!」



メイ「可可先輩はな?今年ラブライブで優勝出来ないと帰国させられちゃうんだぞっ……!」

すみれ「へぇーそうなの」

かのん「内緒にしてるっぽいけどなんでそんな事知ってるの」

メイ「そりゃ四季が仕掛けてくれた盗聴器を使ってだな」

かのん「うわっ……」

すみれ「これってスクープじゃない?」

夏美「興味ねーですの」
0011名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 00:55:33.73ID:FO0yL1bR
可可「それにレンレンこそ!絶対に勝たなければならないヤンゴトナキ事情があるじゃないですかー!」

恋「しーっ!可可さん!余計なことは言わないでください!!」



メイ「恋先輩はな。廃校の危機を救うためにラブライブで絶対優勝しないといけないんだ。このお母様が残してくれた学校を守るためになっ……泣かすぜ!」グスッ

かのん「は?」

すみれ「廃校?」

夏美「マジですの?」

かのん「そんなの一回も聞いたことないんだけど」

すみれ「本当ならやばいじゃないこの学校」

夏美「大スクープですの!理由はなに?理事長の横領?校長のスキャンダル?それとも生徒の素行不良問題!?」

かのん「あるとしたら今私の隣りにいる迷惑系配信者でしょ」

すみれ「大方、人が集まらないとかそんな理由かしらね。今年も去年も入学生徒少なかったし」

夏美「普通科は特に少ないですの!」

すみれ「まぁ、何の実績もない私立校の、しかも普通科なんて選ぶ理由が謎だからね」

かのん「いや、そんなの言ったら私達めちゃくちゃ変わり者みたいじゃん……」

夏美「やーい、変わり者ですの〜」

かのん「あんたもね」

夏美「にゃっは〜w 大好きな先輩たちとおそろですのぉ〜♡」

かのん「あー、なんかムカつくなぁ」

すみれ「まぁ、そのおかげで普通科の一年と二年はこんなにも仲良く出来てるわけだけど」

かのん「先輩舐めてるの多いよねー?今年の一年」

夏美「あらぁ?一年生を迎えるのは今年が初めてでは?」

かのん「ほら、一々口答えしてきてマジ生意気でしょ」

すみれ「皆、仲が良くていいわね」
0012名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 00:56:22.42ID:FO0yL1bR
可可「そんな事で今年こそは絶対優勝するために!クク達!がんばりますから!」

恋「はい!!精一杯頑張ります!だから応援していてください!」

可可「では次の曲デス!!」

恋「聴いてくださいっ─────」



メイ「うおおおおおおおおおおおおおお!!!」

かのん「うっさ……」

すみれ「なるほどね。生徒会長がスクールアイドルなんてなんか理由があるのかと思ってたけど、まさか廃校がかかってたとは」

かのん「んー、でも廃校になりそうだからスクールアイドルやるって繋がってる事なの?」

すみれ「さぁ?でも有名になったら入学希望者は増えるんじゃないの」

かのん「そうかな?」

すみれ「知らない。まぁどっちにしろ私達には関係ないことだけどね」

かのん「たしかに(笑)、流石に今年で廃校なんてありえないから卒業まで逃げ切れちゃうもんねー♪ あはは!」

すみれ「……あんたって結構ズルいところあるわよね」

かのん「え?そうかなぁ(照れ)」

すみれ「褒めてないけど……って、そういえば夏美は?」

かのん「んー?さっきスマホ片手にどっかいったよ」

すみれ「そうなの?なにかあったのかしらね」

かのん「さぁ?どうせろくでもない事でも思いついたんじゃないの」
0013名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 00:57:40.36ID:FO0yL1bR
─────翌日。




恋「あわわわわわっ……大変です可可さんっ」

可可「どうしたのですか?レンレン」

恋「そ、それがですね。昨夜このような動画が投稿されていたようで……」

可可「えーなになに?『結ヶ丘女子高等学校に黒い噂!?〜荒れる生徒に歪んだ教員〜結女、2年目にして廃校の危機!!』って……なななななんですかコレは!!!」

恋「どうやら誰かが面白半分で作った物らしいです。ほとんどは根も葉も無い噂レベルの内容なのですが……」

可可「いったいどこのどいつがこんな動画を作ったんですかー!!廃校だなんて縁起デモない」

恋「はい、問題はそこです。ほとんどはでたらめな内容なのですが廃校の危機という部分だけは……」

可可「ククとレンレン。あとは優秀な我が部のスタッフ、シキシキしか知らない事デスよね……」

恋「四季さん。なにか心当たりなどはあったりしませんか?」

四季「……」フルフル

恋「そうですか、ならいったいどこから情報が漏れたのか……」

可可「もしかしたら盗聴器ナドが仕掛けられてるのかもしれません!」

恋「えええええぇぇぇっ!!!」

四季「……」

可可「ライバル校が仕掛けてきた?それとも悪質なファンによる可能性も……」

恋「まさか、今この瞬間……この会話も……?」ヒソヒソッ

可可「と、とにかく!ソーキュウに調べなければ!」

四季「……待って」

可可「?」

四季「調査は、私がやる」

可可「シキシキ!?」

四季「先輩たちは、練習の事だけ考えてて欲しい。不安な事、全部私が取り除くから」

恋「し、四季さんっ」

可可「ううぅっ……、シキシキは本当によくできた後輩デスね!私達!貴方の事、一生大事にしますから!」

四季「それは告白みたいで、ちょっと恥ずかしい……」

可可「レンレン!行きますよ!まずは校庭30周デス!」

恋「はいっ!」

可可「後輩のためにも頑張りますよー!」



ダッダッダッダッ……


四季「……」


四季「……ほっ」
0014名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:00:03.30ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


かのん「こいつーっ!!」

夏美「にゃははははww」

かのん「また性懲りもなく私をダシにして!!」

夏美「おいしいダシを出すかのん先輩がいけないんですのーwww」

かのん「なんだとぉっ!!」

すみれ「もう、やめなさいよ。毎日毎日」

かのん「すみれちゃんっ!だって酷いんだよ!また私を使って動画であることないこと言いふらしててさ!」

夏美「エンタメですの!ジョークですの!冗談のわかる方にはちゃーんと通じてますの!」

かのん「世の中にはそういう冗談が通じない人の方が多いんだよ!」

夏美「しってますのーww だからこういう動画は伸びるんですのーww」

かのん「こいつっっっ!!!」

夏美「にゃははははww」


ボフッ


夏美「あうっ!?」

四季「……」

夏美「し、四季っ……!?」

四季「前見て歩かないと、危ない」

夏美「あ、あなたが避けないからごっつんこしたんですの!私は悪くないですの!」

四季「それより、夏美ちゃん」

夏美「……なんですの」

四季「またよくない事してるでしょ」

夏美「なっ、なんのことですのー?わたししーらないっですの!」

四季「先輩たち困らせるの。ダメ」

夏美「別に困らせてなんか……」

かのん「困らせてるよねー?主に私達を」

すみれ「別に私は何も困ってないけど」

四季「恋先輩と可可先輩。悲しませないで欲しい。あとは、どうでもいいから」

かのん「どうでもよくないよねー?一番悲しんでるのは私なんだから!」

四季「……夏美ちゃん」

夏美「……」

四季「おねがい」

夏美「……」

四季「……ね?」

夏美「……」


夏美「……あー、もうっ!」
0015名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:00:49.68ID:FO0yL1bR
夏美「わかりましたの!消しときますの!」

四季「ほんと?」

夏美「ほんとですの!でも、仕方なくですの!四季がそんなに頼み込むから仕方なく消してやるんですの!ありがたく思ってください!ですの!」

四季「……ありがとう。夏美ちゃん」

夏美「ふんっ」

すみれ「なんだかんだ友達には弱いのね」

夏美「かのん先輩!謝罪動画撮りますよ!あなたの尻拭い手伝ってあげますのー」

かのん「は?なにいってるの?ほんとに」

すみれ「で、夏美はこれでいいとしてさ」

四季「?」

すみれ「廃校の事、私達にばれっちゃったのってメイって子のせいなんだけど」

四季「……しってます」

すみれ「なら、そっちもどうにかしないといけないんじゃない?あの子、興奮するとあれこれ喋っちゃうみたいだし」

四季「……」

すみれ「なんか盗聴器がどうのこうの言ってたけど、そんなの仕掛けちゃダメよあなた達?」

四季「……」

すみれ「……ちょっと?」

四季「……」

すみれ「都合悪いからって急に聞こえないふりしないでよ」

四季「……」
0016名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:01:58.53ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


バンバンバンバンバンバンバンバン……


恋「く、可可さんっ、これはいったい……」

可可「レンレン!力が弱いです!もっとしっかり窓を叩いて音を出してください」

恋「割れてしまいそうで怖いのですが……」

可可「クク、当局の恐ろしさ知ってます。盗聴器はいまやどこにでも仕掛けられています。高性能なものは窓の振動から音を解析する事だって可能なのデスから」

恋「そ、そうなのですか?」

可可「だからなにか会話をする時は騒音をたてて掻き消すのです!」

恋「わかりました!!」


バンバンバンバンバンバンバンバン……


かのん「なに、あの異様な光景……」

夏美「おぞましいですの」


メイ「おいっ!あの御二方をバカにするなよ!」


夏美「げっ……いましたの」

メイ「御二人はな、今スパイに狙われてるんだ」

かのん「すぱい?」

メイ「なんでも機密情報が漏れたらしい。どこかに盗聴器を仕掛けられてて情報が筒抜けだったみたいなんだ」

すみれ「いや、その出処あんたでしょ」

メイ「スクールアイドルの世界は激戦区。それに可可先輩は留学生だ。こうなってくると敵は国内だけじゃないかもしれない……二人は今、全世界に命を狙われてるんだっ」ワナワナ…

すみれ「あなた達って都合の悪い事は聞こえない耳してるのね」


バンバンバンバンバンバンバンバン……


かのん「はたからみてると可可ちゃん達が危険な人達みたいだね」

夏美「カメラに映しちゃいけない人達ですの」

すみれ「……あ、留学生といえば」

かのん「?」

すみれ「うちから留学した方の子。いるでしょ?」

かのん「えっ?」

すみれ「なんか帰ってくるらしいわね」

かのん「えっ?えっ?えっ?ほんと?」

夏美「?だれですの?」

かのん「そんなの聞いてないんだけど?なんで?ていうか、いつ帰ってくるの?」

すみれ「知らなかったの?……えーと、たしかね……」


すみれ「今日だったと思うけど」
0017名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:03:15.27ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


千砂都「うーーーん、久しぶりだなー!にっぽん!」

千砂都「一年ぶりの日本の空気だー」ノビッ…

千砂都「……おっとっと、ふらふらしちゃった。飛行機でずっと座ってたからかな?」

千砂都「うーん、運動がてら軽くここで踊ちゃっう?」

千砂都「なーんて、そんなのしたら日本じゃ目立っちゃうからね。しないよー」



「─────ちゃんっ!!!」



千砂都「ん?」



かのん「ちぃちゃんっ!!」


千砂都「え?え?え?」


かのん「ちぃちゃーんっ!!!」


千砂都「か、かのんちゃん?」

かのん「ちぃーちゃんっ!!」バッ!

千砂都「なんでかのんちゃんが!?」

かのん「ひどいよ!帰ってくるなら帰ってくるって教えてくれなきゃ!」

千砂都「いやぁ、内緒で突然帰ってきたら、かのんちゃん驚くかなって思って……えへへ」

かのん「なにそれっ!!もう、ばかぁっ!!」

千砂都「あはは、ごめんね?びっくりさせたかったの」

かのん「うぅ……」

千砂都「よしよし、泣かないの」

かのん「うえぇ……おかえりぃぃっ……ちぃちゃんっ」

千砂都「ただいま、かのんちゃん」



夏美「あの人が我が校、期待の星ですの?」

すみれ「そうよ。そんでもって、かのんの幼馴染」

夏美「ふーん、ですの」

すみれ「なに?さっきからつまんなそうにして」

夏美「別に普段通りですけど」

すみれ「あー、もしかしてヤキモチとか?ふふ、結構可愛いところあるのね、あんたも」

夏美「は?意味不明ですの。気色悪い。笑えない冗談はやめてください。こっちはおもしろいものでも見れるかなと思ってついてきたら、何もなくて時間を無駄にしたなと感じただけですの。タイムイズマニーですからね。それよりもすみれ先輩ってアレなんですね。バレンタインデーの日に『おいwwそわそわしてどうしたよ?w』とか言ってくる、この世でもっともしょうもないタイプの人間だったんですね。こっちは普通に振る舞ってるのに『どうしたよ?』って、そっちがどうしたよ?ですの。ほんとにしょうもない。そういうくだらないイジりしかできないなら黙っててくださいですの。貴方は人をイジる側じゃありません。二度とするなですの」

すみれ「めちゃくちゃ言うわね」

夏美「あーあ、くだんねぇーですの」

すみれ「いいじゃない感動の再会。お涙ちょうだい動画も人気でしょ?」

夏美「そういう方向性ではやってませんので」


かのん「ちぃちゃーん!」

千砂都「あはは、かのんちゃーん♪」
0018名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:04:56.24ID:FO0yL1bR
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きな子「自然と一体化するっすよ〜、とろーりと溶け込んでくイメージっす」

可可「了解しました!」

恋「……可可さん、これは?」

可可「レンレン!集中してください!自然に溶け込むイメージをするのデス!」

恋「はい……でもこれにいったいどんな意味が?そもそもこの方は?」

可可「この人は桜小路きな子さんといいます。シキシキの紹介です!」

きな子「きな子でいいっすよ〜」

可可「なんでもこのお方、動物と会話が出来るんだとか」

恋「えっ!動物と?ならうちのチビとも……?」ソワソワ…

可可「まぁそんなの嘘っぱちだと思いますケドね」

きな子「嘘じゃないっすよ〜」

可可「そういうオカルト的なものはクク信じません!」

可可「なんにだって、カラクリはあるものデスからねー」

可可「きな子さんは幼少の頃から動物たちに囲まれて過ごしてきたんですよね?」

きな子「そうっす〜」

可可「その結果、動物のしぐさや表情等から何を考えているのか読み取る能力がついたのだと考えられマス!」

恋「はぁ、なるほど(?)」

可可「つまりこれは仕組みがわかれば誰でも会得出来る類いのもの……」

可可「そして、これを応用すれば人と人の間でも使えるのではないかと閃いたのです!」

可可(恐らく心理学と同じような分野のはず。ならば、勉強すれば誰でも使えるはずデス!)

きな子「そんな難しいものじゃないっすけどね」

恋「それでこんなことを?」

可可「はい、きな子さんが動物の考えを読めるようになった過程を追っていけばいずれクク達も」

恋「動物とおはなしが出来るように─────」

可可「言葉を使わずとも人同士で意思疎通が取れるようになるデス」

恋「─────なるほど」
0019名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:05:59.84ID:FO0yL1bR
可可「盗聴器に怯えるあまり会話が出来ないのは不便デスからね」

可可(筆談するにしても会話スピードで文書を書くとなると所々中国語の方が出てきてしまいますからね)

きな子「でも考えてる事は日本語なんすね。なんか不思議っす」

恋(……動物とお話だなんててっきりテレパシー的なものでなのかと思ってしまいました)

恋(でも、違うんですね)ションボリ…

きな子「いや、あってるっすよ。『動物』の考えてることが頭の中に流れ込んでくるんす」

恋「えっ?そうなのですか?」

きな子「はいっす!」

恋「すごいです!」

可可「?なんの話してるデスか?」

恋「あのぉ、ところで可可さん」

可可「なんでしょう」

恋「すまーとふぉんを使ってのやりとりじゃだめなんでしょうか……?」

可可「スマホなんて全ての端末が監視されてますよ!情報が筒抜けデス!我々の技術力を舐めないでください!」

恋「我々?」

可可「とにかく危険なのでスマホは禁止です!」

恋「そうですか」シュン…

恋(可可さんに教わってようやくすまーとふぉんを使いこなせるようになったのですが、残念です……)

可可(まったくレンレンは。大方、最近スマホを使いこなせるようになったから使ってみたかったんでしょうね。ほんと子供っぽいんデスから)

きな子「きな子もスマホ難しいっす。今度きな子にも教えてくださいっす!」

可可「とにかく!今はクク達、監視されてる身。不用意に何かを発したりしてはいけないんデス!」

恋「なるほど」

可可「頭の中で思い描いてる事だけが誰にも伝わらない唯一プライバシーが守られる場所なのです!」

恋「そうなんですね」

きな子「……あれ?でも先輩ー?」

可可「なんですか?」

きな子「頭の中で思い描いてる事、覗き込まれちゃったらどうなるんすか?」

可可「はい?」

きな子「秘密にしておけないっすよね〜」

恋「たしかに」

可可「なにをトンチンカンな事を、そんな事できるわけ……」

きな子「……」

恋「……」

可可「……」



可可「……」
0020名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:07:06.63ID:FO0yL1bR
─────翌日。


すみれ「なにあれ」

かのん「可可ちゃんが頭にアルミホイルまいてるね」

夏美「いよいよおかしくなっちゃったんですの?ああいう人は本格的に動画に使えないですの」

すみれ「今度の新衣装かしらね」

夏美「もしそうならイロモノすぎますの」

すみれ「でもまぁ、そういうものよね」

かのん「え?そういうものって?」

すみれ「奇をてらった事して注目されなきゃいけないのよ。過激な動画で釣ってるあんた達と一緒でね」

かのん「私は釣ってないけどね」

すみれ「スクールアイドルなんていってもしょせんは──────────って事よ」


メイ「おいっ!それは流石に聞き捨てならないぞ!」


夏美「げっ、またいたんですの……?」

すみれ「あの二人の影みたいね」

かのん「もうこれストーカーじゃん」

メイ「今の発言はあれだぞ!スクールアイドルを……す、すごーくバカにしたな!」

すみれ「侮辱って言葉がパッと出てこなかったのね」

メイ「今すぐ取り消せよ!」

すみれ「わかった、取り消すわ」

かのん「はやっ」

すみれ「これでいい?」

メイ「……よしっ!」

かのん「あ、それでいいんだ」

夏美「単純な人ばかりですの」

メイ「って許すわけないだろーーーーーっ!!!!!」

夏美「あなたは本当に忙しい人ですね。メイ」

メイ「言ったはずだぞ!私はスクールアイドルをバカにする奴は絶対許せないって!」

すみれ「だから謝ったじゃない」

メイ「ごめんで済んだらケーサツはいらないんだよ!問答無用だ!覚悟しろっ!」バッ

かのん「あっ、すみれちゃんっ……!」

メイ「おらぁっっ!!!」

すみれ「……」
0021名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:08:01.46ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


恋「おはようございます。千砂都さん」

千砂都「あー、恋ちゃん!ひさしぶりだね」

恋「私の名前、覚えててくださったんですね!」

千砂都「当たり前だよー。恋ちゃんこそ私の事覚えててくれたんだね」

恋「はい!千砂都さんは我が校の誇りですから」

千砂都「えぇ?そんな大袈裟な」

恋「いいえ!向こうでの活躍はちゃんとこちらにも届いていましたよ?貴方はほんとうに凄い人です!」

千砂都「あはは、そんなに褒められると照れちゃうな」

恋「そうでなくても貴方は私が高校で初めて出来たお友達です。忘れるわけありません」

千砂都「大袈裟だなぁ、恋ちゃんは。でも、ありがとね」

恋「もう、向こうの学校で学ぶものはなくなってしまったのですか?」

千砂都「うーん、そうだね。求めていたものは手に入ったかな」

恋「凄いですね。千砂都さんは」

千砂都「そうかなぁ」

恋「それで戻ってきてからは……」

千砂都「んー?」

恋「なにかしたいことや目指してるものなど、あったりするのでしょうか?」

千砂都「あー、えっと。そうだなぁ……うん、……今の所は特に何もないかなぁって」

恋「そうなんですね」

千砂都「うん」

恋「……」モジモジ

千砂都「?」

恋「……あ、あのっ」

千砂都「なぁに?」

恋「ひとつお願いしたい事があります!!」
0022名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:09:02.91ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


メイ「ちょ、調子乗ってスミマセンでしたっ……!」

すみれ「いいのよ別に。私もよくないこと言ったみたいだし」

かのん「はは……やっぱりすみれちゃんはおっかないなぁ」

夏美「マジもんのヤンキーも動画に映せないですの」

すみれ「口だけなら何を言われても気にならないんだけどね。さすがに襲いかかられたらこっちもやるしかなくなっちゃうじゃない?」

メイ「ほんと、すいませんっした!」

すみれ「私も悪かったわ。とにかくごめんなさいね。これで全部水に流してくれる?」

メイ「はい!流します!流れます!流されていきます!」


きな子「あれれー?メイちゃん椅子にして、なにやってるすか先輩方」


かのん「あっ、きな子ちゃん」

すみれ「別になんにもやってないわよ」

夏美「メイを絞めてたところですの」

きな子「絞める?」

メイ「お前は気にしなくていいっ!なにもなかった!なにもなかったから!」

きな子「そうっすか。あっ、それよりメイちゃん。頼まれてたもの持ってきたっすよー」バッ

メイ「おぉぉいっ!!今そこで広げるなよっ!」

かのん「えっ」

すみれ「なにこれ?」

きな子「可可先輩と恋先輩がきな子のところにきて、教わりたい事があるって言ってきたっす」

かのん「教わりたい事?」

きな子「それがメイちゃんには何故か事前にわかってたみたいで、その風景を撮影して欲しいって頼み込まれたんすよねー」

メイ「なんでお前全部プリントアウトしてきてんだよ!データで渡してくれればいいんだよ!」

きな子「データとか難しくてよくわかんないっす」

夏美「プリントアウトする方が難しくありません?」

メイ「まぁ!こんな至近距離で撮られた可可先輩と恋先輩を見れるのは嬉しいけどよぉっ!」

かのん「ねぇ?次はこの子使って動画撮ろうよ。『行き過ぎたアイドルのおっかけ更生させてみたwww』とかでさ」

夏美「いや、クラスメイトを動画のダシにするのは駄目でしょ……何考えてるんですの?」

かのん「なんで私はしてもいいみたいになってるのかなぁ???」

メイ「はぁー、しゅごい……」キラキラ…
0023名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:10:15.72ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


可可「千砂都さんをコーチに?」

恋「はい!お願いして来てもらいました!」

千砂都「えへへ、よろしくー」

可可「千砂都さんといえば海外で数々の大会に優勝されてきたダンスの天才じゃないデスか!」

千砂都「天才だなんて、そんなホントの事言うのはやめてよー可可ちゃん!」

可可「そんな御方に御教示いただけるなんて……!」

千砂都「大袈裟だなぁ、それより可可ちゃん。なんで頭にそんなの巻いてるの?」

可可「お気になさらずに」

千砂都「気になるなぁ」

可可「というかレンレンはなんで巻いてないんですか!読まれちゃいますよ!」

恋「?」

可可「思考盗聴デスよ!シコートーチョー!気をつけないと!」

恋「でも、校則違反ですので」

可可「えっ?違反してるのですか?これ」

恋「はい」

可可「なっ!!は、早く言ってくださいよ!クク、不良生徒にはなりたくないデス!」バッ

千砂都「取っちゃうんだ。なんか大切な事なのかと思ったけど」

可可「いいです!もうっ、無心でいますから!無心でいれば何も読まれる事はありません!ククはもう何も考えませんよー!」

千砂都「よくわかんないけど、無心でいたいならダンスは特にオススメだね」

恋「そうなんですか?」

千砂都「必死に踊ってるとね?無心になって、集中状態に入ることがあるんだ」

可可「知ってます!ゾーンに入るというやつデスね」

千砂都「私はね。あれは一種の瞑想状態だと思うの」

恋「踊ってるのに瞑想、ですか?」

千砂都「うん、瞑想って何も考えない何もしない事って思われがちだけど。それって普通の人にはほぼほぼ不可能に近いよね」

恋「はい、人間考えないようにすればするほど、雑念というのは浮かび上がってくるものですからね」

千砂都「そう、だから瞑想をする時ただただ呼吸に意識を集中してっていうでしょ。それ一点に集中するという状態に入れって」

恋「ひとつの事に意識を向けていると」

可可「余計なことが頭に浮かびません!」

千砂都「そしてその集中してるって状態を無意識の粋にまで持っていくことが出来た時が、無の状態に入ったってことなんだ」

可可「すごいデス!踊りだけでなく思考盗聴を防ぐ術まで身につくなんて!」

千砂都「うん、思考盗聴っていうのはよくわかんないんだけど」

恋「その状態に入れば私達のダンスも?」

千砂都「最高のパーフォーマンスで披露出来るね」

恋「すごいです!」

可可「千砂都は最高のコーチです!求めていた者!是非クク達に御教示を!」

千砂都「うん、いいよー!だって、そのために来たんだし」

可可「びしばしシゴイてください!!」

千砂都「おっ!いい心がけだねー!わかった、ならビシバシいくね!!」


千砂都「じゃあ、まずはね─────」
0024名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:12:49.73ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


かのん「ふわぁ〜」

すみれ「大きなあくびね」

かのん「最近、なんか疲れっぽくてさー」

すみれ「いいじゃない、充実してるって事よ」

かのん「どういうこと?」

すみれ「身体の疲れはそれだけ大変な毎日を過ごしてるって事でしょ。大変って事は毎日充実してるって事じゃない」

かのん「そうかな?」

すみれ「去年よりは充実してるでしょ?」

かのん「う〜ん、私は去年みたいにすみれちゃんとダラダラ過ごしてる日々の方が充実してると思うけどなぁ」

すみれ「毎日印象にも残らない会話してるだけじゃない。振り返ってもなにも思い出せないでしょ」

かのん「えー?でも雰囲気は思い出せるじゃん」

すみれ「かわいい後輩も出来たし、今年の方がずっと楽しいわよ」

かのん「うーん、きな子ちゃんは可愛いけど……」


夏美「にゃっはぁ〜♡おになっつぅ♡」


かのん「でたな!かわいくない後輩!」
0025名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:13:31.57ID:FO0yL1bR
すみれ「どこいってたの?夏美」

夏美「理事長から呼び出しですの。別にたいしたことじゃないですけどー」

かのん「お説教でしょ?注意を受けたんだよね。あんなことばっかりやってればそりゃ怒られるよ。きっと凄く怒られたんだろうなぁ。怒られたんだよね?怒られてろっ!!」

夏美「願望が滲み出てますの」

すみれ「でも半分はあたりって感じじゃない?その顔を見るに」

夏美「まぁ、そうですね。ちょっと怒られたというか怒られそうになったというか……」

かのん「よしっっっ!!!」

すみれ「でも、上手いこと言いくるめてやり過ごしたんでしょうね。あんたの事だから」

夏美「まぁ?なんせ、この私ですから」ドヤッ

かのん「ちっっっ!!」

すみれ「うるさいわよ。かのん」

夏美「けれど、許して貰うかわりに1つ頼まれ事をされてしまいましたの……」

すみれ「ふーん、やけに気乗りしなそうな感じじゃない」

夏美「はい、タダ働きというのがどうしても受け付けられなくて……」

すみれ「そんな事いってる場合じゃないと思うけど」

夏美「この鬼塚夏美。例えどんな理由があってもマニーにならない仕事は引き受けたくありませんの!」

すみれ「あー、じゃあ結局、許されなかったって事かしら?」

かのん「よしっ!!!」

夏美「いいえ!それも嫌だったので交渉の方を……」

かのん「えっ?交渉したの?悪い事した立場なのに?ほんとこの子って厚かましいよね」

夏美「なんでも挑戦してみるものですの。そのおかげでもう一つお得な条件が付きましたから!」

かのん「ふーん、つまんないの。向こうの花壇でパンジーが何本咲いてるか数えに行こう、すみれちゃん」

すみれ「しないわよ、そんなの。でも理由はどうあれ凄いわね、理事長から頼まれごとなんて」

夏美「ふっふっふ!わたしの手腕が認められたんですの!」

かのん「なにが手腕だよ。こんな細い腕しちゃってさ」

夏美「小さくても凄いんですの!」



千砂都「あははははっ!!」



すみれ「?」

かのん「ちぃちゃんの声だ!」

夏美「なにやらグラウンドが騒がしいですの」

かのん「行ってみよっか!」
0026名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:16:07.11ID:FO0yL1bR
可可「なっ!なに笑ってるデスかー!!」

千砂都「ごめんごめん!なんか海外にいたせいかな。感情が豊かになり過ぎてっ……ふふっ」

四季「感情豊か……羨ましい」

千砂都「じゃあ、四季ちゃんも留学してみる?」

四季「……」フルフル

千砂都「そう?おもしろいけどなー」

可可「シキシキ!その機械を止めるデス!ほんとに危険ですから!」

四季「でも、これが先輩達のためだって……」

千砂都「ためになってるよ!ありがとね四季ちゃん♪こんな凄いの作れるなんて天才だよ!四季ちゃんは、まる!まんまる!」

四季「……………」


四季「……えへへ」


恋「……」ガタガタガタガタ…

千砂都「あー♡恋ちゃんそんなに震えちゃって……かわいいなぁっ……♡」

恋「ひぃっ……!」


かのん「うわぁー、ちぃちゃん楽しそう!」

すみれ「なにあれ」

メイ「あれは四季が作ったまる発射装置とそれを装備した鬼コーチ千砂都先輩だ」

夏美「やはりいましたか。メイ」

メイ「御二人は更にスクールアイドル力を高めるため、厳しい練習に自ら身を落としたんだ!うぅっ、なんて向上心の高い人達なんだっ!」

すみれ「やめろって騒いでるみたいだけど」

夏美「そもそもまる発射装置ってなんなんですの」

メイ「標準をあわせた箇所にまるが発射される装置だよ」

かのん「それでグラウンドがまるだらけなんだ。ちぃちゃんの大好きなまるがいっぱい!」

すみれ「思いっきり人に向けて撃ってるけど大丈夫なの?」

メイ「四季の事だしその辺は上手いことやってるだろ」

かのん「流石にちぃちゃんも本気で当てようとはしてないと思うしねー」


千砂都「はい!まるっ!」バンッ

可可「うわぁー!やめるデスよー!!チサトーっ!!」

恋「あわわわわわっ……」ガクガクガク…


すみれ「そうは見えないんだけど」

夏美「あれで何が鍛えられるんですの?仲良く遊んでるようにしかみえませんですのー」

すみれ「そうも見えないんだけど」

夏美「まったく、あのような事にうつつを抜かしてる人達をどうサポートしろというんですの、理事長も……」ボソボソ

すみれ「?」

きな子「今日は騒がしいっすねー」

メイ「おう」

夏美「あら、きな子」

きな子「きな子、騒がしいのは好きっすよー?お祭りみたいで楽しいっすー。あーそれそれ」

かのん「あはは、きな子ちゃんは面白いなぁ」

すみれ「この騒ぎにお祭りらしさなんてないと思うけど」


可可「うわーーーーっ!やめるデスーーー!!」

千砂都「あはははははははははっ!!!」
0027名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:17:12.36ID:FO0yL1bR
─────翌日。


可可「はぁ、昨日はとんでもない目に遭いました……」

恋「ですが、あの短時間の特訓でダンスのキレがましたのも事実ですよね……やはり可可さんの言う通り千砂都さんは今の私達に必要な存在」

可可「そんな事言ってないデス!もうあの人には頼むなデス!クク、反対ですからね!」

千砂都「うぃっすー」

可可「きゃああああああっ!!出たデスー!!」

恋「千砂都さん。ちょうどいいところに」

可可「ちょうどよくないデス!」

恋「今日もコーチの方、お願いしてもよろしいでしょうか?」

千砂都「もちろん!そのつもりで迎えに来たんだから!」

恋「そうでしたか」

可可「助けてぇっーーー!!!!!だれかっーーー!!!」

千砂都「四季ちゃんに頼んでまた作ってもらったんだぁー♪特製特訓マシン!」

可可「なんですか!そののっぺりとした不気味な物体は!」

千砂都「えー?とっても素敵なまんまるの物体だよぉ?」スリスリ

恋「これはいったいどう使うんですか?」

千砂都「ふふーん、今日のはね!おもしろいよ!」

可可「たのしむなデス!クク達が頼んだのは特訓!あなたの趣味に付き合わせるなデス!」

千砂都「今から二人にはね?なんと、まるになってもらいますっ!!」

恋「まるに?」

千砂都「うーん♡そう!とっても可愛いまるにね?」

可可「逃げるデス!レンレン!とても嫌な予感します!」

千砂都「えへへー、逃さないよ?」


千砂都「スイッチオーン♡」
0028名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:18:26.83ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


かのん「このぉっ!今日という今日は絶っ対許さないっ!」

夏美「にゃはははーww という事は今日以前の事は全部許されたって事でいいですのねー?」

かのん「よくない!今までの事、全部含めて許さないって言ってるんだからっ!」

すみれ「今日もやってるの?飽きないわね」

かのん「ねぇ!すみれちゃん!すみれちゃんからも言ってやってよ!こういうことはよくないんだよって!」

すみれ「なにやったのか知らないんだけど」

かのん「いいから!」

すみれ「はぁ、仕方ないわね。夏美ー、こういう事はよくない事らしいわよー」

夏美「知ってるですの!」

すみれ「はい、言ったわよ」

かのん「もうっ!!ちがうっ!ちゃんと叱ってよ!」

すみれ「だれを?」

夏美「かのん先輩をですの!」

すみれ「こらー、かのん」

かのん「むぅぅぅぅっ!もうっ!!!!」

夏美「あぁー!おーこったーですのwww」

すみれ「あらま」

かのん「信じらんないっ!二人のばかっ!いつもいつもそうやって私をいじめるんだから!もう、ふたりともきらいっ!だいっきらい!」

すみれ「嫌われちゃったわね」

夏美「ですの」

かのん「私、あっちいってるからこないでよね!!謝りにきても絶対許さないんだから!ばーか!」

すみれ「はーい、あんまり遠くいかないのよー」

かのん「あの辺にいるからっ!!」

夏美「謝りにこいって言ってるようなものですの。かのん先輩はほんとお子様ですの」

すみれ「……でもまぁ、ちょっとふざけすぎたわね」

夏美「そうですよ?すみれ先輩」

すみれ「……」

夏美「親しき仲にも礼儀ありですの。もうちょっと相手の気持ちを考えないと」

すみれ「はいはい、そうね。私が悪かったわ」

夏美「ですの!」
0029名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:20:18.50ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


かのん「ちぃちゃぁぁぁぁんっっっ!!」

千砂都「んー?あー!かのんちゃん♪」

かのん「うぇぇぇぇんっ!!」

千砂都「あらまーあらまーどうしたの?」

かのん「すみれちゃんと生意気な後輩に虐められたぁ!」

千砂都「後輩ってあの夏美ちゃんって子かな?あはは、ほんとに仲良しさんだねー」

かのん「仲良しじゃないもんっ!!」


可可『助けてくださーいっ!!!!!』


千砂都「かのんちゃんがいい後輩に恵まれてて私嬉しいよ」

かのん「恵まれてないっ!」


恋『くぅくぅさん……わたくし……もうっ……目がまわって……』

可可『レンレン!!』


千砂都「私がいない間も、毎日楽しそうに学校生活を送れてたみたいで本当によかったよかった」

かのん「全然よくないっ!」

千砂都「まぁ、かのんちゃんなら一人でも大丈夫だって思ってたけどね」

かのん「大丈夫じゃないってば!もうっ、ちゃんと聞いてよぉ〜!」


可可『こっちも大丈夫じゃないデス!ちゃんと聞くデスよ!』


千砂都「えへへ、私もね?今とっても楽しいんだぁ……♡」

かのん「なにが?」

千砂都「ほら、素敵じゃない?あれ」

かのん「……可可ちゃんと恋ちゃんがふたりして1つの大きなボールの中に入ってる?」

千砂都「そうなのかのんちゃん!!!聞いて!あれはね?四季ちゃんが作ってくれたんだぁ……♡人間版ハムスターボール!」

かのん「ハムスターボールってあの透明なボールの中にハムスターを入れてお散歩させるやつ?」

千砂都「そう!かわいいにかわいいが合わさって最強(まるっ)!だよね」


きな子「でもあれ、当のハムスター自体は全然楽しくないんすよねー」


かのん「あっ、きな子ちゃん!可愛い方の後輩だよっ!ちぃちゃん」

きな子「ハムスターは目が悪いから、あの中にいれられると何も見えなくなって、まるで無限地獄の中を彷徨ってるみたいになるっす」

千砂都「うんうん、可愛いことは罪だから、そういう罰を背負わせられることもあるよね♪」

きな子「そういう考え方もあるっすね」
0030名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:21:43.38ID:FO0yL1bR
かのん「ねぇーきな子ちゃんからも言ってやってよー」

きな子「えー?あっ、夏美ちゃんっすか?」

かのん「そうっ!」

きな子「きな子、夏美ちゃんが楽しいと思える事の邪魔は出来ないっすよ」

かのん「あんな楽しみは不健全だよ!」


可可『もっと不健全な楽しみを味わってる人がアナタの隣にいマス!まずその人からどうにかシテクダサイ!!』


きな子「ところでアレはなにやってるんすか」

千砂都「特訓だよー。あのボールは自動的に回転するの。それで中に入ってる2人を効率的に鍛えるように動いてるんだ」

きな子「ハイテクっすね」

千砂都「そう!なんたって四季ちゃんが作ってくれたからねー?」

四季「……」(Vサイン)

きな子「あっ、四季ちゃん。いたんすね!」

四季「先輩達のお役に立てて、嬉しい」

かのん「はぁ、この二人はほんとにいい子なのになぁ」


夏美「いい子じゃなくて悪かったですのー」


かのん「げげっ……」

すみれ「かのん」

かのん「すみれちゃん。……なに?いまさら来て」

夏美「見てください、あれ。ツンとしてるけど内心では喜んでる顔ですの。ほんとかのん先輩はかまちょですのーw」

すみれ「しっ」

かのん「一体なんのよう?」

夏美「すみれ先輩が反省してるみたいなので一緒に謝りにきてあげたんですの」

すみれ「悪かったわね。かのん」

かのん「……」

すみれ「ほら、あんたも」

夏美「は?私もですの?」

すみれ「一緒に謝りにきたなら一緒に頭下げるもんでしょ?普通」

夏美「普通とかいう価値観を押し付けるのは今の時代ハラスメントにあたりますよ??あなた達の時代は知りませんけど私達の時代ではもうそういうのは時代錯誤と言って─────」

すみれ「かのんが機嫌良くならないと動画も撮れなくなるわよ」

夏美「むぅ……まったく仕方ないですの。すみれ先輩がすみませんでしたーですの」

夏美「…………」

夏美「これで動画はいつも通り撮らせてくれますよね?」

すみれ「ちょっと静かにしときなさい」
0031名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:22:23.18ID:FO0yL1bR
すみれ「かのん」


かのん「……」



かのん「はぁ」



かのん「まったく、仕方ないなぁ」ヤレヤレ


かのん「二人がそんなに謝るんだから。これじゃ許すしかなくなっちゃうじゃん。まったく」

夏美「一言しか謝ってませんの」

すみれ「しっ」

かのん「仕方ないから許してあげるよ」

すみれ「ありがと」

夏美「ちょろいですのー」

かのん「今回だけだからね!」

千砂都「うんうん、そっちは仲直り出来たみたいだね〜よかったよかった♪」

四季「……」(両手でまるのサイン)

千砂都「めでたしめでたしってやつだね!」


可可『めでたくないデスよ!』

恋『く、くらくらします……きもちわるい……』

可可『シキシキ!ほんとに限界ですから!もう止めて!止めてくださいー!』


可可『止めてくださーーーーーいっ!!!!!』
0032名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:24:22.91ID:FO0yL1bR
─────翌日。


可可「はぁ、昨日はとんでもない目に遭いました……」

恋「ですが、あの特訓のおかげで三半規管が鍛えられたのもまた事実。激しい動きをしてもふらつくことがありません。可可さんの言う通り私達のパフォーマンスはめきめき上がってますよ!」

可可「そんな事一言も言ってないデス!クク、もうやりませんからね!あんなのいつか大怪我させられますよ!!」


千砂都「えー?怪我なんてさせないよー?ね?四季ちゃん」

四季「……」コクリ


可可「きゃああああっ!出たデスーーー!!」

四季「それにもし、怪我しても大丈夫。すぐ、くっつけられるから」

可可「なんデスか!その物騒な言い回しは!くっつけないといけないような事になんか絶対なりたくないデス!」

恋「千砂都さん、四季さん。今日はいったいどんなマシーンが登場するんですか?」

可可「どうしてレンレンは毎回そんな興味津々なんですか!昨日も一昨日も酷い目に遭っているというのに!」

千砂都「今日はね?リズム感を鍛えようと思うんだ」

恋「リズムですか?」

千砂都「一昨日はステップ、昨日はバランス、だから今日はリズム!」

千砂都「それで今回四季ちゃんに作ってもらったのはこれ!じゃじゃーん!」

恋「これは!ゲームセンターにあるやつです!」

千砂都「おっ!恋ちゃん知ってる?」

恋「はい!降ってくる矢印にあわせてステップを踏むゲームですよね!可可さんと学校帰りによくやっていました!」

可可「そーデス!なのでクク達、これは個人的にやりますので今回の特訓はなしということで……」

千砂都「でもこれはゲームセンターにあるのとは一味も二味も違うんだよねー?四季ちゃん」

四季「……」コクリ

千砂都「なんと足場がなくなってくタイプなの!」

可可「」

恋「楽しそうです!」

千砂都「失敗すると奈落の底に真っ逆さまだから気をつけてね?」
0033名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:24:58.43ID:FO0yL1bR
可可「レンレン!こんなのよりゲームセンターの方が楽しいですよ!そうだ!一緒にプリクラでも撮りましょう!教えてあげますから!」

恋「プリキュアですか?」

千砂都「いいねー♪じゃあこれが終わったら4人で行こうか!」

可可「やりません!貴方とは行きませんから!」

千砂都「もう、そんな事言わずにさ?せっかく四季ちゃんが作ってくれたんだよ?」

四季「ふたりのために頑張って作った」

千砂都「やってくれなきゃ悲しいよね?」

四季「……」コクリ

可可「やめるデスよ!そうやって良心に訴えかけようとするのは!」

恋「でも、今回は千砂都さんの好きなまる要素がないのですね?」

千砂都「ふふーん、そう思っちゃった??実はあるんだなーこれが」

四季「本家では矢印が落ちてくるけど、これはまるが落ちてくる」

千砂都「そう!だから落ちてきたまるにあった足場を踏んでね!」

可可「わかりにくすぎますっ!!全部同じじゃないデスか!」

千砂都「もう、よく見てよ。全然違うでしょ?」

可可「貴方しか判別出来ませんよ!!こんなの!」

千砂都「恋ちゃんはこういうの好きなんだよね?」

恋「はい!ゲームは全般どれも好きです!」

千砂都「恋ちゃんがゲーム好きなんて知らなかったよー、意外だね!でも、だったらこのゲームもやってみたいでしょ??」

恋「はい!」

千砂都「というわけだから可可ちゃん。覚悟を決めて今日の特訓もがんばろー!おー!」

可可「うぅぅぅぅぅ!なんでこんな事に!」
0034名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:26:31.84ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


夏美「……」

かのん「なに?今日はやけに静かじゃん」

夏美「ビジネスについて考え中ですの」

かのん「ふーん、どうせろくでもない事なんだろうけど」

夏美「……」

かのん「おとなしくされると調子狂うなぁ、昨日は変な動画もあげなかったし」

夏美「ウケたからといって同じような動画を擦り続けても飽きられるだけですからね」

かのん「ふーん」

夏美「コンテンツにはありがたみをもたせるのも大事なんですの」

かのん「なら私の事ももっと大事にすべきだよね」

夏美「……できましたの!」

かのん「なにがー?」

夏美「計画ですの」

かのん「計画ってなんの計画?」

夏美「私には理事長からあずかったシークレットミッションがあります」


夏美「それは我が校のスクールアイドル部をもっと世の中に注目させろというミッション!」


かのん「スクールアイドル部って可可ちゃんと恋ちゃんの?」

夏美「他にありますの?」

かのん「ないけどさ。でも、なんでまたそんな頼み事を」

夏美「それはやはりこの私に実績があるからでしょう」ドヤッ

かのん「そんなのないよ」

夏美「再生数100万超えを連発してますからね。私は」

かのん「私を使ってね」

夏美「どんなにいいものも売り出し方が悪ければ売れません。そしてその逆も然り」

かのん「自分にはプロデュース力があるって?」

夏美「いいえ、自分では思ってませんよ?でも?理事長から頼まれたというこ・と・は?他者評価ではそうなんでしょうねぇ〜?」

かのん「謙虚さとは真逆のアピールの仕方だね」
0035名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:27:41.61ID:FO0yL1bR
夏美「そして、そんな優れたプロデュース能力をもつ私が考えに考えた結果、ついに極秘プランが完成しましたの!」

かのん「で、いくらもらったの?」

夏美「はい?」

かのん「だって昨日言ってたよね。タダでそんなのするわけないって。守銭奴ちゃんはいったいいくら積まれたのかな〜?」

夏美「今年の学費が全部タダになりますの」

かのん「は?ズルっ」

夏美「いいでしょー?」

かのん「でもうちは親が払ってるからどうでもいいもんね」

夏美「親のお金で通う学校は楽しいですか?」

かのん「知らない。そういうのはもっと学校生活エンジョイしてる子に聞いて」


かのん「……ていうか自分で払ってるの?」

夏美「さぁ?どうでしょう」

かのん「払ってるわけないじゃん。子供なんだから。ばかなこと言ってんじゃないよ。まったく」

夏美「自分から聞いといて勝手に答えないでください」


夏美「さてと、そういうわけで私は暇なかのん先輩と違ってやる事が出来ましたので、ここで失礼しますの」

かのん「は?感じ悪っ。ついていって邪魔してやろ」

夏美「やめてくださいですの」
0036名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:28:49.50ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


きな子「これは食べられる草っす」

メイ「ふーん」

きな子「これは食べられるけど美味しくない草っす」

メイ「だいたい美味しくないだろ草なんて」

きな子「これは食べられないけど美味しい草っす」

メイ「それってどういうことだ?」

きな子「そのままの意味っすよ〜。あっ!これはっ!」

メイ「ん、どうした?」

きな子「食べると目の前がぐわんぐわんして、変なものが見えるようになる草っす!」

メイ「やばくないかそれ」

きな子「いや〜、なつかしいっす!北海道以外にも自生してるんすね!小学校の頃はクラスのみーんなこれ使って遊んでたっすよ」

メイ「ふーん、まぁ、田舎は娯楽が少ないもんなー。てか、そんなのどうでもいいからさ、これ早く終わらせよーぜ」

きな子「そうっすね!」


すみれ「あら、草むしりなんかしてどうしたの?」


メイ「あっ、すみれ先輩!おはようございますっ!!!」

きな子「っす〜♪」

すみれ「なにか悪い事でもしたの?」

きな子「えー?違うっすよ。係の仕事みたいなもんっす」

すみれ「あー清掃委員とかそういうの?」

きな子「そんな所っすね」

メイ「うーん!なんか雑草がなくなるだけで校内が広く感じるな!」

きな子「そうっすね」
0037名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:29:44.23ID:FO0yL1bR
すみれ「真面目ね二人とも。私達なんて一年の頃はサボりまくってたわ」

メイ「そうなんですか?」

きな子「すみれ先輩達、不良っすね〜。そういうのいけないっすよ」

すみれ「まぁ、若気の至りよ。普通科だし多少は許されるでしょ?」

メイ「関係あるんですか?それ」

すみれ「あるわよ。だって普通科の生徒になんて、なにひとつ期待する要素がないじゃない。どこの学校でも普通科なんて夢のない子か夢破れた子が入るところなんだから」

メイ「そういうもんですかね……?」

すみれ「そうよ。現に他の普通科の子達を見てみなさい。9割は夢も目的もなさそうな顔してる。あんな子達ね、将来絶対なにも成し遂げないわよ」

メイ「そ、そうですか……」

きな子「なんか普通科1年の前でとんでもない事言ってるっすね」

メイ「なんも言い返せないけどな」

すみれ「だから普通科なんて適当でいいのよ」


すみれ(……まぁ、そもそも私自体、誰からも期待されてないしね)


きな子「えー?そうなんすか?」

すみれ「……それ、私にはやめてって言ったでしょ」

きな子「んー、でもきな子『動物』の声はなんでも聞こえてきちゃうっすよ」

すみれ「『動物』って言うのもやめて。なんか怖いから」


すみれ「とにかく、あなた達も私みたいにはならないようにしなさいよ」

メイ「はいっ!」

きな子「うっす〜」

すみれ「そんなハッキリ返されるとちょっとムカつくわね」

きな子「んー?」

メイ「どうした?」

きな子「あれ、夏美ちゃんとかのん先輩っす」

すみれ「あら、ほんとね」


すみれ「どこに行くのかしら」
0038名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:31:05.54ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


可可「はぁ……はぁ……やっと……おわり……ました」

千砂都「おつかれーふたりとも」

恋「もう終わりですか?あっという間でした」

千砂都「おー、恋ちゃん余裕そうだね」

恋「ゲームだとつい楽しくて」

可可「はぁ……はぁ……何十回も真っ逆さまになったのにっ……よく楽しめマスね!」

千砂都「好評みたいだし次もゲームを元に作ってみよっか?」

四季「……」コクリ

可可「もう作るなデス!こんなの命がいくつあっても足りないデスよ!!」


夏美「なんですのこれ?」

かのん「わー!ゲームセンターにあるやつだー!放課後よくすみれちゃんとやったなぁ」

夏美「不良ですのー」

かのん「放課後って言ってるでしょ。別に学校さぼって行ってないし」


千砂都「あれ?かのんちゃん?どうしたの?」

かのん「あっ、ちぃちゃん♪ちょっとね」

夏美「あら、四季もいたんですの」

四季「うん」

かのん「なんかねー、この子が二人に用があるんだってさ」

夏美「仕切らないでくださいですの」

恋「あなたは?」

夏美「どうも、理事長の依頼であなた達をマネジメントする事になりました」

恋「まねじめんと?」

かのん「プロデュースでしょ」

夏美「マネジメントっていった方がなんか響きがかっこいいですの!私の好きな語感が入ってますの!」

可可「なにやらまた、面倒な人がきましたね……」

恋「いったいどういう事でしょう?」

夏美「私の手腕を認めて貴方達をサポートするように頼まれたんですの!」

かのん「ねぇ、もっとわかりやすく言いなよ」

夏美「はい?」

かのん「過激な動画で再生数稼ぎしてたら怒られそうになったけど、なんとか騙し騙しで勘違いさせて、結果こうなっちゃったんだよね」

夏美「は?勘違いとはなんですか?」

かのん「どうせ、理事長に『私、SNSでバズらせるのが得意なんですの〜』とか言ったんでしょ?理事長もほら、年も年だから、そういう若い子の世界なんにもわかんないじゃん。絶対。それで100万再生とか数字だけ見せられたら『あー、この子って凄い子なんだな』って思っちゃうよね。そういうのに疎い年齢の人にはさ。わからない単語並べられたら頭がショートしてなにも考えられなくなっちゃうもん。あの年齢になっちゃうと。お年寄りのそういうとこ突いてほんと卑怯だよこの子は」

夏美「失礼な。私の手腕は本物ですの」

恋「もっと失礼な事をおっしゃられてるような気がするんですが」
0039名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:32:35.94ID:FO0yL1bR
可可「で、目的はなんデスか?」

かのん「学費を免除してもらう事だってさ」

夏美「違います、貴方達の知名度をあげる事ですの」

恋「学費?」

かのん「そう、この子だけなんかタダになるんだって。ずるくない?」

千砂都「それって、理事長の権限で?」

かのん「そうだと思うよ。めちゃくちゃセコいよね」

夏美「余計なことは言わなくていいんですの」

かのん「ねぇ、皆もセコいと思わない?思うよね」

恋「はぁ、よくわかりませんけど……」

可可「そういえばレンレンって、そういうの払ってるんですか?」

恋「へ?」

千砂都「あ〜、たしかに気になるね。創設者の娘でもそういうのって払うものなのかなぁ」

恋「えっ?……え〜と、たぶん?」

可可「どうして自信なさげなんデスか?」

かのん「えっー!?葉月さん『も』払ってないのー!?」

夏美「『も』とはなんですの!私はちゃんと払ってますの!払った上で返ってくるかどうかの話をしてるんですの!」

恋「いえ、私も恐らく払ってるとは思うのですが」

夏美「というか余計なこと言って場を乱さないでください!話が進まないですの!」

かのん「だって私、邪魔するためについてきたんだもーん」

夏美「生徒会長さん。この人、裏では恋ちゃんって呼んでますの」

かのん「ちょっと!変なことバラさないでよ!気まずいでしょ!」

恋「別に恋でよろしいですよ?」

かのん「ほら、そんな事よりなんかめちゃくちゃ凄い計画があるんでしょ?このお姉さん方にそれを教えてあげて」

可可「計画?」

かのん「みんながひっくり返るくらい凄い計画なんだって」

恋「なんでしょうか?」

夏美「はぁ……話しがだいぶ横道にそれましたがやっと本題に入れます」
0040名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:34:21.88ID:FO0yL1bR
夏美「こほん、え〜、もうすぐ皆様お楽しみの夏休みに入りますよね」

千砂都「もうそんな時期かぁ〜、私がちょうど留学しだした時だね」

かのん「ちぃちゃんってば、夏休み中にいきなり留学しちゃうんだからびっくりしちゃったよ」

夏美「私語が多いですの。とにかく、夏休みの部活といえば大会があるのが鉄板ですよね?」

かのん「あ〜、ラブライブの?」

夏美「いいえ、ラブライブの本大会は冬です」

可可「昔は夏と冬にあったんですけれどね。いつの間にやら年に一回に変わってしまいました」


すみれ「少子化の影響ってやつかしらね」


かのん「あっ、すみれちゃん」

きな子「っす〜」

かのん「あー、きな子ちゃんもいる♪」

夏美「また関係ない人達がぞろぞろと……」

かのん「ねぇ!学費免除されるのってセコいと思わない?そう思うよね?」

すみれ「いきなりなんの話よ?」

かのん「理事長に身体売ってタダにしてもらったんだって!」

すみれ「夏美が?」

かのん「とんでもないよね!」

夏美「関係ない人達は無視して話を続けますの」



四季「……なんでそんなすみっこにいるの?」

メイ「ばかっお前!私が可可先輩と恋先輩の近くにいくのは流石に恐れ多いだろ!」

四季「そんなの二人は気にしないと思うけど」



夏美「話を戻しますよ。私はおふたりの知名度をあげるため。理事長から派遣されてきたんです」

恋「知名度ですか?」

夏美「えぇ、おふたりの夢はラブライブ優勝のようですが、私の任務はこの学校の広告塔としておふたりを推す事ですの!」

恋「なるほど。簡潔に言うと学校のプロモーションとしての活動をして欲しいという事ですね」

夏美「そうですの」

可可「そういう事ですか。それならもちろん協力はしたいところデス。ですが……」

恋「……そうですね」

夏美「なにか不都合でも?」

可可「クク達、今年こそはラブライブで優勝したいんデス」

恋「はい、開催は先とはいえそれは本戦の話。ラブライブのエントリー自体はもうすぐ始まります」

可可「出場するまでには半年間、様々な課題や予選をクリアしないといけないのデスよー!」

恋「なので、そちらに支障が出るような事はあまりしたくないのですが……」

夏美「えぇ、存じてます。おふたりがそうおっしゃられるのはわかっていました。なので、私の閃いた一石二鳥のおにすご計画の出番ですの!」

かのん「おっ!やっと本題だね。さぁ、どんな凄い計画が聞けるんだろう!」
0042名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:35:32.58ID:FO0yL1bR
夏美「その名も三都市で開催される大会に出場して知名度をあげつつラブライブも有利にしちゃおう大作戦ですの!」

かのん「なーんだ、自信ありげだったからどんな凄い計画かと思ったらめちゃくちゃ単純じゃん。はい、みんな解散」

夏美「集合してください」

千砂都「三都市でライブっていうと……東京と?」

恋「福岡と?」

きな子「札幌っすね」

夏美「東京と名古屋と大阪ですの」

夏美「ラブライブにエントリーする前に三都市の大会に出て勢いをつけようという計画ですの!」

かのん「そのまんまじゃん」

夏美「これは例えるなら大きい大会に出る前にちいさい大会に出といて自分たちを知ってる人ちょっとでも増やしておこうっていうあれですの!」

夏美「そうすることで貴方達は知名度があがってラブライブで注目されやすくなる。視聴者投票で優勝を争うラブライブではこれはかなり重要な事ではありませんか?」

夏美「し・か・も、場数を踏むことで経験値も稼げます!ほら、貴方達にとっていいことづくめですのー♡」

夏美「そして私は理事長の命令通り貴方達の知名度を上げられて学校を有名に出来る。まさにうぃんうぃんですの♪」

かのん「そして自分だけ学費がただになると」

夏美「しつこいですの。余計な事いわないでください」

可可「いや、そんな事を急に言われても今からエントリーして間に合うんデスか?」

夏美「その辺は調査済みですの!飛び入り参加可能な大会に絞りましたから」

夏美「その代わり、アウェイな環境になる事は覚悟してください?ファンに見てきてもらうのではなく自分達を知らない人に向けて発信するためなんですからね?」

可可「今日はじめましての人にアレコレ決められてやらされるのはクク的には不本意デスが」

恋「ですが、話を聞くにこれも私達にとって大きな糧になりそうですよね」

夏美「まぁ、自信がないのなら?おふたりの今のレベルにあったプランを練り直しますけど???」

可可「ずいぶんと安い挑発デスね」

かのん「でしょでしょ?高い買い物が出来ないんだよこの子。ケチだから」

夏美「静かにしててください」

恋「どうしますか?可可さん」

可可「挑発に乗る形になるのはクク的には不本意デス」

可可(……ですが)

可可(知名度が上がれば学校の入学希望者もふえます。それはレンレンの目的である廃校阻止に繋がる事)

可可(レンレンにとってはラブライブ出場はククの夢に付き合わせてるだけに過ぎませんからね)

可可(もともと誰かと競い合うのも好きじゃない、そんな優しい人デス)

可可(なのにここまでついてきてくれました。だから、レンレンのためになることもしたいデス!)


可可(……だって、もしかしたら、今年で終わってしまうかもしれないのですから)


恋「?……可可さん?」
0043名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:36:42.42ID:FO0yL1bR
可可「大変不本意ではありますが、知名度をあげるのも重要なのは事実デス……」

夏美「な・ら・ば?」

可可「仕方ありませんね。理事長も絡んでいるのですからやるしかないでしょう。やりますよレンレン!クク達の実力を見せてやるデス!」

恋「はい、可可さんがそういうなら」

夏美「じゃあ決まりですの!!」

夏美「四季、早速移動手段の準備お願いしますの〜」

四季「移動手段。なにがいい?」

夏美「荷物もありますから車がいいですの!人と物がたくさん入るワゴン車がいいですの!」

四季「ん、わかった」

夏美「自動運転のレベル5ってやつなら免許もなにもいらないらしいですの。私達だけで乗れるのでそれがいいですの!そういうの作って作ってぇ♡ですの!」

四季「やってみる」

すみれ「ずいぶん軽いわね」

千砂都「四季ちゃんは天才だからね〜、こういうの作ってっていったらあっという間に作ってくれるんだ」

夏美「あと、先輩達もどうせ暇でしょう?夏休み中は手伝ってもらいますの」

千砂都「いいよー、恋ちゃん達には乗りかかった船だしね。びしばし特訓してサポートするから!」

可可「降りてもらっても構わないデスよー」

すみれ「……えっ、私もやるの?」

かのん「あはは、大変だね。すみれちゃん」

夏美「貴方もやるんですよ。かのん先輩」

かのん「ふーん、やだけど」

夏美「私達のような普通科は音楽科にこき使われる事でしか存在証明出来ないんですの。そうでしょ?すみれ先輩」

すみれ「ふふっ、たしかにそうね。普通科の人間に人権なんてなかったわ」

きな子「またなんかとんでもないこと言ってるっす」

すみれ「相手は音楽科でしかも生徒会長でもあるんだからね。手伝わないと退学にさせられちゃうか」

恋「え?そ、そんなことしませんよ?」

すみれ「普通科は表舞台には立てない。一生裏方よ」

かのん「いや、可可ちゃんも普通科だし……」

恋「あの……もしかして音楽科って普通科の人からの印象悪いんですか?」

千砂都「ううん、あの子達がちょっとやさぐれてるだけだから気にしなくていいよー」

夏美「とにかくそういうわけなのでよろしくですの〜、先輩方〜♡」

かのん「ちょっと、勝手に決めないでよ」

夏美「ではっ!」

かのん「あっ、もうっ強引なんだから」




メイ「三都市でライブだって?くぅ〜!いいな!やっぱりアイドル活動を追いかける醍醐味といえば遠征だもんな!東京にいるとついつい忘れがちになっちゃうけどこれは絶対追いかけないと!」

四季「メイもくる?一緒に」

メイ「えっ?ばかやろうお前!それは公私混同し過ぎだろ!私はな!1ファンとして御二人を応援してるの。そういう距離感がわかってないような事はしないんだよ。無粋な事言ってくるな!!」

四季「そう、ごめん」

メイ「でも、まぁ、お前がそんなもにしつこく言ってくるなら無下にも出来ねぇけどな。ったく仕方ねぇ。けど、今回だけだぞ?まったくお前ってやつはよぉ」

四季「なにもいってないけど」
0044名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:38:20.39ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


きな子「先輩達と学校帰りにファミレスっす〜♪」

かのん「えへへ、好きなの頼んでいいからね?きな子ちゃん」

すみれ「ほんと甘いわね。きな子には」

きな子「きな子、これとこれとこれがいいっす!」

かのん「いいよ〜♪デザートもつけようね」

きな子「わーいっす♪」

すみれ「かのんは何頼むの?」

かのん「え〜とね…………う〜んとね…………じゃあ、これにしようかな」

すみれ「じゃあ注文しとくわね」

きな子「都会ではタブレットで注文するんすね!凄いっす〜」

すみれ「今時、チェーン店ならどこもこんなんじゃない?」

かのん「あっ!!!やっぱりこっちの方がいい!」

すみれ「はいはい、こっちがいいのね」

かのん「うーん、でもなぁ」

すみれ「もう確定しちゃったからメニュー見るのやめなさい」

かのん「えー」

きな子「すみれ先輩ってお母さんみたいっす」

かのん「あー、それわかる。呆れながらもなんだかんだ世話焼いてくれるんだよねー」

すみれ「あんたって頼りないからね。つい面倒みたくなるのよ」

かのん「ままー!これからも頼りにするからね?」

すみれ「やめなさい。気色悪い」

きな子「仲良しっすね〜、そういえば先輩達ってどうやって出会ったんすか?」

かのん「えー?」

きな子「気になるっす〜」

かのん「どうやってって」

すみれ「まぁ、同じ科の同じクラスだったから自然とかしら」

かのん「でも、こんな風に仲良くなったのって夏休み明けからだよね」

すみれ「そうだったかしらね」

かのん「えー!?覚えてないのー?」

すみれ「なんかベンチに座ってたらいきなり話しかけられたのは覚えてるわ」

かのん「そう、なんか話しかけて欲しそうにしてたんだよ」

すみれ「してないけどね」

きな子「たしかにかのん先輩ってちょっと馴れ馴れしいところあるっすもんね」

かのん「えー?そうかな?(照れ)」

すみれ「褒められてないと思うけど」
0045名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:39:46.30ID:FO0yL1bR
きな子「可可先輩達とは仲良いんすか?」

かのん「可可ちゃんとはたまに話すよクラスも一緒だしね」

すみれ「私はかのんみたいに社交的じゃないから話してないわね」

かのん「そうなの?すみれちゃんなら仲良くなれると思うけどな〜」

すみれ「話すにも接点ないし」

かのん「ちぃちゃんは私の幼馴染!親友だよ!」

すみれ「私は高校からの知り合いだからほとんど喋ったことないわね」

かのん「すみれちゃんなら仲良くなれると思うけどな〜」

すみれ「特に接点ないし」

かのん「私という接点があるじゃん」

すみれ「友達の友達が一番気まずいのよ」

かのん「恋ちゃんはあんまり話した事ないなぁ〜、科も違うし生徒会長だしなんだか遠い人って感じで」

すみれ「私も一言も喋ったことないわね」

かのん「すみれちゃんなら仲良くなれると思うけどな〜」

すみれ「適当言い過ぎよあんた」

かのん「でも、ちぃちゃんとは仲良いみたい。やっぱり同じ音楽科だからかな?」

きな子「へぇ、やっぱり科が違うと壁を感じるんすね」

すみれ「あんた達はどうなのよ」

きな子「えー?きな子達っすか?きな子達は皆一年で同じ普通科だから仲良しっすよ」

きな子「夏美ちゃんの事は先輩達の方が詳しいっすよね」

かのん「詳しくないよ」

すみれ「かのんは特に詳しいわよね」

かのん「詳しくない」

きな子「そういえば四季ちゃんとメイちゃんは最初から仲良しだったっす〜昔からの友達らしいっすね」

かのん「私とちぃちゃんと一緒だね」

きな子「それで同じ学校受験したんじゃないっすかね」

すみれ「ふーん、さすが普通科の生徒って感じの志望理由ね」

かのん「すみれちゃん、あんまり後輩の前で普通科に対する偏見出さないでよ」

きな子「大丈夫っす。すみれ先輩には普通科の生徒には絶望しかないって教えてもらったっすからね〜」

かのん「ちょっとすみれちゃん」

すみれ「そこまでは言ってないわよ。まぁ、思いはしたけど」
0046名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:41:10.79ID:FO0yL1bR
きな子「それでえーと、四季ちゃんは発明するのが得意で、よく研究室にこもってなんか作ってるんすよね」

かのん「あの子って凄いよね。なんでもできちゃうんでしょ」

きな子「そんな凄い才能を燻らせていたある日、可可先輩達と運命的な出会いをしてスクールアイドル部のスタッフにスカウトされたんす」

すみれ「へぇ、それでスタッフやってるのね」

きな子「最初はメンバーとしても誘われたみたいっすけど四季ちゃんはそういうの苦手で断っちゃったっす」

かのん「へー、そっかぁ。私と一緒だね。私も苦手なんだー、人前に出るの」

きな子「そうなんすか?そのわりには夏美ちゃんの動画に出てるっすけど」

かのん「勝手に撮られてるだけだし……でも、ああいうのは見られてるって実感ないからそこまでしんどくもないかな。動画だし一応プライバシーも保護はされてるし」

すみれ「実際に視線を感じたり、リアルタイムで人の反応を感じるのが苦手なんでしょ。かのんは」

かのん「うん、そう。でも、すみれちゃんはそういうの得意だよね」

すみれ「まぁ、子供の頃いろいろやった結果ね」

きな子「メイちゃんはあんな感じでアイドルが大好きな女の子っす。実は可可先輩達に憧れてこの学校に入ってきたんすよ」

かのん「ふーん、こわっ」

すみれ「まぁ、目的があって入学するのは素敵ね」

きな子「こんなところっすかね。きな子達は」

かのん「みんないろいろあるんだね〜」

きな子「夢はないっすけどね」

すみれ「ふふっ」

かのん「まーた、すみれちゃんが普通科に対する偏見で笑ってるよ……」

きな子「……んー?なんか来たっす」

すみれ「あぁ、頼んでた料理よ」

きな子「わぁー!都会ではロボットが運んできてくれるんすね!」

かのん「うーん!きな子ちゃんはほんと100点のリアクションしてくれるよね!可愛がりがいがある!」


ロボ『おまたせしましたにゃ!』


きな子「はぇ〜、喋るんすか〜」

かのん「これちょっと恥ずかしいよね」

すみれ「別になにも思わないけど」
0047名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:42:02.42ID:FO0yL1bR
きな子「でもこれどうやって配膳してくれるんすか」

すみれ「あー、それは自分でやるのよ」

きな子「へぇ、中途半端なロボットっすね。四季ちゃんならもっと凄いの作れるっすよ」

すみれ「まぁ、コストを考えたらこの辺が妥協点なんでしょ」

かのん「すみれちゃん取って〜私の席からだと取りにくい〜」

すみれ「そんくらい自分でやりなさいったら」

かのん「けちー」

きな子「普通に取っちゃっていいんすか?」

すみれ「いいわよ」

きな子「よーし、きな子やるっすよ〜」


ロボ『くすぐったいにゃ!』


きな子「ははは、感情もなにもないのに何か言ってるっす」

すみれ「熱いから気をつけるのよ」

きな子「はいっす〜」

すみれ「かのんも早く取りなさい」

かのん「はいはい」


ロボ『お客様、早く取って欲しいにゃ!』


かのん「は?今取ろうとしてんじゃん。なんなのよ、せかしてきて。ばーか」

すみれ「やめなさい、ロボット相手に」

きな子「ロボットだから空気が読めないんすよ」

かのん「ほら、取ったよ。取ったから向こう行ってよね。ふーんだっ」


ロボ『ごゆっくりお楽しみくださいにゃ!』


かのん「ねぇー?ゆっくり楽しませて欲しいよねぇー?」

すみれ「やめなさいって」

かのん「見て見てきな子ちゃん。こいついちいち回転しなきゃ進めないんだよ」

きな子「あはは、ほんとっす。ぎこちない動き方がポンコツロボットっすね〜」

かのん「やーいぽんこつー」


ロボ(チッ、うっぜーな……クソガキども)


きな子「!?」

すみれ「ほら、いつまでもばか言ってないで、冷めないうちに食べましょ」

かのん「はーい、いただきまーす」


ロボ(ガキだけでファミレスなんかきてんじゃねぇっつうの)


きな子「…………」


きな子「……???」
0048名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:43:19.23ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


四季「出来た、人工衛星」

メイ「んなもん軽いノリで作ってんじゃねぇよ」

夏美「流石ですの四季!」

メイ「で、人工衛星なんかどうすんだよ」

四季「車に自動運転させるには、精度の高くて通信が繋がりやすい人工衛星が絶対に必要。これはかかせない」

メイ「ふーん」

四季「だからこれを打ち上げて使う」

メイ「どうやって打ち上げるんだ?」

四季「このロケットで」

夏美「流石ですの!これで後は車だけですの!」

四季「うん」

メイ「……そんなもん作れるならさぁ、もう空飛ぶ車でも作った方が早いんじゃねぇか?」

夏美「ねぇ、四季?私、渋滞が嫌いですの。なんとか出来ない?」

メイ「空飛ぶ車作れよ」

四季「いい方法がある。車高を高くして通り抜ける方法」

夏美「タイヤに足を生やして渋滞の上を通り抜けるようなイメージですの?」

四季「そう」

夏美「流石ですの!」

四季「ふふん」ドヤッ

メイ「いや、空飛ぶ車の方がいいだろ」

夏美「……メイ、空飛ぶ車なんて作れるわけ無いでしょ?常識的に考えて」

メイ「は?」

夏美「あんなもの所詮は机上の空論ですの。現実的にもう少しものを考えてください?」

四季「空飛ぶ車なんて子供っぽい夢。ほんとメイってかわいいね」

夏美「やーい、お子様ですの〜w」

四季「ふふっ、年少さん」

メイ「ぶっとばすぞ、お前ら」
0049名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:45:06.38ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


千砂都「よーし!三都市大会に向けて大特訓だぁー!」

恋「はい!」

可可「もう、千砂都の特訓は結構デス!!クク達は自分達で勝手にやりますから!!」

千砂都「ほんと可可ちゃんって遠慮ばっかりするねー」

恋「とても謙虚な方なんです。可可さんは」

可可「ほんとにいいって言ってるんデス!日本人的な1回断るのがマナーみたいなのを実践してるわけじゃないデス!!」

千砂都「今までの特訓でわかったのは二人とも飲み込みはいいけど、可可ちゃんは体力不足」

可可「ぐぐっ……」ギクリ

千砂都「恋ちゃんは自信がないよね」

恋「そう……でしょうか?」

千砂都「そういう返答ひとつ取ってみてもさ、自信がなさそうでしょ?もっと前に出なきゃいけないと思うなぁ」

可可「でも、そこがレンレンのいいところなんデス!」

千砂都「けど、大きな舞台に出て色んな人に見てもらうんだから、もっとアピールしないと失礼だよね」

恋「失礼、ですか?」

千砂都「うん、やっぱり自分からやりたいって皆の前に出てきてるんだから、自信なさそうにしてるのは失礼だと思うよ」

可可「急にまともな事言うなデス!」

恋「たしかにそうですね……でもアピールしろと言われてもなにをどうすればいいのやら」

千砂都「自分の持ち味を見せるとか」

恋「私の持ち味ですか……なんだと思いますか?可可さん?」

可可「それはとっても優しい所です!レンレンの優しさ、ククが一番理解してますよ!1年の時、ククと一緒にスクールアイドルやってくれました!今でも感謝してるデス!」

千砂都「うん、優しいのは素敵なポイントだけど、そういうのじゃないんだよね」

可可「あと頭もいいデス!勉強もとてもよく出来ます!」

千砂都「う〜ん、それも可可ちゃん目線の良さだからなぁ。今日初めましての人に私勉強が得意なんですって言われても、なにがどういいんだろう?ってなると思うよ」

可可「あとあとひたむきで真っ直ぐな所デスね。レンレンはとても真面目なんデスよ?」

千砂都「そういうのじゃなくて、こう『見て凄い!』ってなる恋ちゃんのアピールポイントが聞きたいんだよ〜」

可可「身長が高いデス!」

千砂都「あーたしかに大きいね。でも、なんていうかな。もっとパンチがあるようなものが聞きたくて」

可可「ぐぬぬ、千砂都は否定ばっかりデスね!」
0050名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:45:48.67ID:FO0yL1bR
恋「……あ、あの私って、地味なんでしょうか?」

可可「な!なにをいきなり言ってるんデスか!そんなことありません!!」

恋「でも、可可さんみたいに親しみやすくて、見ただけで好きになってしまうような魅力は私には……」

可可「レンレンはとてもキュートですよ!とくにこのタレ目な所が可愛いデス!ね?千砂都!」

千砂都「可愛いのはわかるけど、それをどうアピールするかなんだよね」

可可「そうです!キャラ付けデス!決めポーズを作ったり語尾に何かつけたりするんデスよ!」

千砂都「あー、可可ちゃんみたいにわざとカタコトで喋ったりとかかー」

可可「ワザとじゃないデスっ!!!自然とこうなるんですよっ!!!」

千砂都「でも、わりといい方法かもね。引っ込み思案な子がキャラを演じる事で前に出れるようになったりするし」

恋「そんな事で上手くいくのですか?」

千砂都「いくいく。理想の自分を思い描いてさ、その自分ならどうするだろうって考えて演じるの。それだけで活発な子になれたりするんだから」

可可「まるで経験してきたみたいな言い草デスね」

千砂都「実体験を話してるからねー」

可可「貴方の?」

千砂都「うん」

可可「信じられませんねー」

千砂都「えー?」

可可「貴方は生まれた時からこんなハチャメチャな人に決まってます!」

千砂都「えへへ、そんな褒めないでよ」

可可「褒めてません!」

恋「キャラを演じる……なかなか難しそうですね。でも、やってみる価値はありそうです」

可可「ククにいい案があります!キャラ付けといえばコレというのがありますよ!偉大なスクールアイドルのメンバーにもこういう方がおられました!」

恋「なんですか?」

可可「ククに任せるデス!」
0051名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:46:42.25ID:FO0yL1bR
─────翌日。


夏美「さぁ!いよいよ明後日には夏休みですの!」

かのん「夏休みはどこ遊びに行こっか?すみれちゃん」

夏美「二人は遊びになんか行ってる場合じゃありませんよ。私の手伝いをするんですの!」

かのん「やだって言ったじゃん」

すみれ「私もやっぱ今回は気乗りしないわね。スクールアイドルなんて興味ないし」

夏美「かわいい後輩が困っているのに貴方達は手も差し伸べてくれないのですか?血も涙もありませんの!」

かのん「かわいくないし」

夏美「かわいいですの♡」

かのん「かわいくない」

すみれ「だいたい私達がついていって何するのよ」

夏美「そりゃ色々ありますよ。主に荷物を運んだりとか」

かのん「うっわ、よりによって肉体労働?絶対やりたくないね」

すみれ「それに手伝っても、私達にはなんの得もないしね」

夏美「タダで旅行が出来ますの!」

かのん「う〜ん」

夏美「素敵な思い出も出来ますの!」

すみれ「それは言い切れないでしょ」

夏美「むむっ、引き受けてくれないなら今この場で駄々をこねますよ?」

かのん「おっ、いいね。動画に撮っちゃおっと」

夏美「いいですの?制服を着たまま、この薄汚れた地面に寝転がって、大声で泣き喚きますよ?貴方達の後輩が!貴方達の名前を叫んで!」

すみれ「はいはい、もうわかったわよ。手伝ってあげるから、目立つ事しないでちょうだい」

かのん「えぇぇー」

夏美「よっしゃ!ですの!」

すみれ「その代わりあんた達もうちの神社の手伝いね」

かのん「なんで私も入ってるのかな?すみれちゃん」

夏美「タダでは引き受けませんよ」

すみれ「知ってるわよ。よく当たるおみくじタダで引かせてあげるわ」

夏美「う〜ん、しょぼい。くだらなすぎる。ですが……まぁその辺が妥協点でしょうね。こちらも猫の手も借りたい状況ですし」

かのん「あー、せっかくの夏休みがぁ〜」

すみれ「いいじゃない。どうせダラダラするしか予定なかったでしょ」

かのん「まぁ、そうだけどさぁ」

夏美「きまりですのー♡」
0052名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:47:54.97ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


四季「ロボットに……感情?」

きな子「っす」

四季「うーん、人間みたいな感情が芽生えるかと聞かれたら答えるのは難しい」

きな子「四季ちゃん自身はどう思うっすか」

四季「そういうプログラミングを組むことは出来る。例えば仲間を思いやる気持ちを持たせて、その子に他の仲間ロボットがもってる大事なものを壊すよう命令する。そうするとその子は嫌がって命令に背こうとするの」

きな子「人間みたいっすね〜」

四季「けどそれも、そうなるようプログラ厶された事だから本当の感情じゃないのかなって思ったりする」

きな子「う〜ん、どうなんすかね〜」

四季「でも、人も無意識に本能っていう、遺伝子にプログラムされた通りに動いてるだけだから、プログラミングされたロボットと変わらないんじゃないかって思う事もある」

きな子「たしかに人の感情も仕組みを辿れば本能的なものっすもんね」

四季「そう、原始時代まで遡れば、人の楽しいって感情も『それをするといいことがあったからまたしよう』と思わせるための脳の作用でしかないし、悲しいとか怖いとかもそれを避けるためにあえて不快な感情を脳が湧き上がらせてるに過ぎない。全部生き残るための本能」

きな子「ざっくりいっちゃうとそうっすね〜」

四季「それに現代人にある良心みたいなものも、所詮は教育によって打ち込まれたコードであって、そんなのは本来存在しないんじゃないかなと考えたら、さっきあげた仲間思いのロボットと私達の感情の違いってなんなんだろうって思う」

きな子「う〜ん、難しくなってきたっす」

四季「世の中わからない事だらけ」

きな子「……今作ってるロボットには。その、プログラミングっていうのはしてるんすか?」

四季「自動運転に自分で考える能力は必要不可欠。だからちゃんとそういうAIを組んだ」

きな子「……」

車『…………』


きな子(この車からは、なにも感じないっす)


四季「今日のきな子ちゃん変だね」

きな子「……ちょっと変な事があったんすよ。でも気のせいだったみたいっす」

四季「そう?ならよかった」

四季「もうじきこれも完成する。完成したらドライブいこう」

きな子「いきたいっす〜!」

四季「カラーは真っ赤にしよう」

きな子「メイちゃんカラーっすね!」

車(えー?いやよ、赤なんてだっさい。わたしは真っ青なブルーがいいんだけどなぁー)

きな子「!!?」
0053名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:49:23.68ID:FO0yL1bR
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夏美「というわけでこれがスケジュールですの!」

可可「初日に名古屋、次の日に大阪、そしてその次の日に東京に戻ってライブ……デスか。中々にハードスケジュールですね」

夏美「これが大会の詳細資料ですの」

可可「ふむふむ……他の出場者の情報は一切出てないんですね」

夏美「そうですの。誰でも飛び入り参加できる大会ですから誰がどういう形で参加してるか行ってみるまでわかりません」

可可「なるほど」

夏美「有名な人や期待の新人とぶつかるかもしれませんね」

可可「鬼が出るか蛇が出るか、出たとこ勝負というやつデスね」

夏美「ふふ、怖気づきました?」

可可「ふふん、愚問デスね?イマサラそんな事で怖気づいたりなどしませんよ!ね!レンレン!」

恋「そ、そうです……にゃ」

夏美「……」

恋「れ、レン達、たくさん頑張ってきたにゃ……だから絶対負けないですにゃ」

夏美「……」

恋「にゃ、にゃーんっ!」

夏美「……それでですね。集合時間の方なのですが」

恋「もうっ!!なにか言ってくださいよっ!!」

夏美「なにかと言われましても……」

恋「なにか思われたでしょ?それを言ってください!」

夏美「あんまり触れたくないなぁと思ったから触れなかったんですの」

可可「あまりの可愛さに触れるのも遠慮してしまったんですね。わかりマス!」

夏美「いいえ、ヤバいと思ったので触れませんでした」

恋「っ……」ガーン
0054名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:50:05.25ID:FO0yL1bR
可可「レンレン!ヤバいという日本語はいい意味で使われる方が多いんですよ!」

夏美「留学生に日本語を解説してもらってる日本人。この絵はちょっと面白いですの。ショート動画のネタになりそうですの」

恋「もぅいいですっ!わたくしには不向きなキャラでした!」

可可「そんなことないデスよー!これにあった衣装も作ったんデスからやめちゃだめデス!」

恋「最初から無理があると思ってました」

可可「そういうキャラでやっていくとククと決めたじゃないですか!」

恋「なしです。夏美さんの反応を見て却下することにしました」

可可「もうっ!!ちょっとあなたっー!」

夏美「はい?私ですか?」

可可「こっちにちゃんと話をあわせやがれデス!!」

夏美「打ち合わせもなしに話なんてあわせられませんのー。それにやるにしても追加料金も貰ってませんのー」ベー

可可「むぅ!ほんとに貴方という人は!なまいきデスね!」

夏美「この生意気なところが私の愛されポイントなんですの!」

可可「自分でいうなデス!」

恋「……おや?」

可可「?どうかしましたか?」

恋「これは……記載ミスでしょうか?」

夏美「?」

恋「名古屋大会と大阪大会の開催日です」

夏美「なにか不備でも?」

恋「その……同日になっているようですが……?」

夏美「…………」


夏美「……にゃはっ!?」
0055名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:51:01.22ID:FO0yL1bR
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千砂都「ねぇー、メイちゃんもまる好きなのー?」

メイ「えっ?まる?どういうことですか?」

千砂都「ほら、お団子にしてるじゃん」

メイ「あぁ、これっすか」

千砂都「完璧なお団子だねぇ……触ってもいいかな?」

メイ「別にいいですけど」

千砂都「あぁ〜、やっぱり他人のお団子を触るのは格別だなぁ」ポンポン

メイ「そ、そういうもんですか……」

千砂都「中が空洞になってない完璧なお団子だぁ……♡中までギッシリ……♡ねぇ?毎日どんくらい時間かけてるの?このぴょんって出た髪の毛が大変そうだよね?でも凄くこだわりを感じるよ。凄いね。まるだよ!まんまる!」

メイ「ありがとう、ございます……」

千砂都「メイちゃんってさ」

メイ「はい」

千砂都「かわいいよね」

メイ「なっ!なっ!か、かかかかかわいくねぇよっ!ばかっ!!」

千砂都「……ふふ」ニコニコ

メイ「あっ、す、すみません……口が悪くて、わたし……」

千砂都「いいんだよー?だって、これからだからねー♪」

メイ「な、なにがですか?」

千砂都「これからまるくなっていけばいいんだよ」ニコッ

メイ「えっ」

千砂都「なにもかもまるーくなればいい。身も心もまるーく、まるーくね?」

メイ「……」

千砂都「私ね?とがったものがまるくなってくの好きなんだぁ」

千砂都「ふふ、まるくなったメイちゃんもかわいいだろうなー♪」

千砂都「ねー?」

メイ「あ、あははは、変な冗談やめてくださいよ、千砂都先輩っ」

千砂都「んー?」

メイ「ははっ……」

千砂都「ふふっ」ニコッ

メイ「……」

メイ(な、なんかヤバい人に目つけられてないか?わたしっ……!)

千砂都「ふふふ」

メイ「あ、あははっ……」
0056名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:51:55.51ID:FO0yL1bR
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可可「どういう事ですか!ちゃんと説明するデス!」

夏美「わざとじゃないですの!こういううっかりミスも人間生きてればありますの!寛大な心で許してくださいですの!」

可可「さんざん偉そうにしておいてなんですかそれはー!」


すみれ「あら、夏美が追い回されてるわよ」

かのん「あっ、ほんとだ。可可ちゃんみたいな優しい子怒らせるなんてほんととんでもない後輩だね」

すみれ「ほら、早く仲裁に入ってあげなさいよ」

かのん「えっ?なんで私が」

すみれ「あの子の先輩でしょ」

かのん「ふーん、ちがうもんねー」


夏美「あっ!!かのん先輩!」


かのん「げっ」

夏美「お助けをーですの!!」

かのん「やーだよ!こっちに来ないで!」

夏美「まってー!!」

可可「まちやがれデスー!」

かのん「やだやだ!!こないでってば!」

夏美「せんぱーい!!」

可可「このナッツヤロー!!許すまじデス!!」

かのん「きゃああああ!!」


キャッキャッ キャッキャッ


すみれ「……まったく、元気な子達ね」

すみれ「でも、なんで追いかけられてたのかしら?」

恋「それはですね」

すみれ「っ!」ビクッ

恋「あぁ、すみません!驚かせるつもりはなかったのですが」

すみれ「ううん、へーきよ。まさか生徒会長さんに声かけられるとは思ってなかったからびっくりしただけ」

恋「恋でいいですよ」

すみれ「それでなんかあったの?」

恋「はい、実は……」
0057名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:53:17.98ID:FO0yL1bR
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かのん「予定日を間違えたー?」

可可「はいデス!」

夏美「まったく、困ったものですの。しっかりしてもらいたいですの!」

可可「アナタですよ!アナタ!」

かのん「ははっ、これが凄腕プロデューサー様かぁ」

可可「それでどうするんデスか!責任取れるんでしょうね!?」

夏美「大丈夫ですの!わたしにいい考えがあります」

かのん「さぁて、どんな苦しい案を出してくれるのかな」

夏美「我が校のスクールアイドルは可可さんと恋さん二人のグループですよね?」

可可「そうデスよ。ククとレンレン二人三脚でやってきました!まるで二人で一つのスクールアイドルみたいにカタトキも離れずにやってきたんデス!それはもう一緒じゃないなんて考えられないほどに!!」

夏美「それですの!二人いるのですから片方が名古屋でもう片方大阪で出場すればいいんですの!」

かのん「一緒じゃないなんて考えられないって言ったばかりじゃん」

夏美「ここらで個人の力も見せつけるべきではありませんか?」

可可「どういう事デスか?」

夏美「スクールアイドルとは互いに高めあう存在であるべきでしょ?なのに仲間内で馴れ合ってる。貴方達が伸び悩んでいるのもその辺が原因かもしれませんよ?」

かのん「なに失礼なこと言ってんのこの子」

可可「……」

かのん「あーあ、呆れてものも言えなくなっちゃったよ可可ちゃん」

夏美「仲間でありライバルであるのがチームというものでしょ?同じ志をもつ者同士で切磋琢磨しあう。それこそが青春ではありませんか」

可可「……」

夏美「そう思いません?ねぇ、かのん先輩もそう思うでしょ?」

かのん「うわぁ、苦しいなぁ。でも、もうちょっと泳がせてみよっか」

夏美「成長というのはどういう状況で起こると思いますか?それはピンチの時です。予想もしてないような環境や状況に置かれた時、人は進化を強いられるんです。どうなるか予想もついて準備も万全の状態で臨んだ所で流れ作業的にそれを終えるだけ。そんなんじゃいつまで経っても壁を乗り越える事なんて出来ません。試練というのは『今から何時にいきますから準備しておいてくださいね』なんていって来てくれやしないんですよ?当然ですよね?別にここで私を糾弾するのも自由ですが、その時点で貴方達はこの壁に覆われたぬるま湯の中で一生過ごす事が確定するでしょうね。それでいいのですか?よくないはずです。ならば、選ぶ道は一つですの!決断しなさい!!貴方はどうしたいんですか!!さぁ!!さぁ!!」

かのん「もう、ここまでくると逆に尊敬しちゃうね。よくこんなめちゃくちゃな言い分が瞬時に出てくるよ」

可可「……」

かのん「ほら、そろそろ謝ろっか。流石の可可ちゃんもめちゃくちゃ怒ってるみたいだし」

可可「やって……やるデス」

かのん「え?」
0058名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:54:07.68ID:FO0yL1bR
可可「そんなに言うならやってやりマス!!」

かのん「ええっ??」

可可「ほんと、貴方は好き勝手言ってくれマスね……とんでもない後輩ですよ」

かのん「そうだよね?とんでもないんだよこの子は」

可可「でも、不思議とその言葉、胸に響いてきました」

かのん「うそでしょ??」

可可「たしかに私達、仲良し小好しになり過ぎていたかもしれませんネ……」

かのん「いや、部活動なんてそれでいいんじゃない?」

可可「不本意ですが貴方が言うピンチという状況で挑戦してやりますよ!試練というのはこちらの都合に関係なくやってくるのでしょう?」

夏美「……ふふ、顔つきが変わりましたね。なら後悔は、しませんね?」

かのん「ねぇ、どの立場から言ってるの?」

可可「かつて偉大なスクールアイドルも様々な逆境を乗り越えてきました!そしてククはその姿に憧れたんデス!なので今度はクク達の番ですよーっ!!」

かのん「可可ちゃんはなんで火付けられてるの?」

可可「うおおおおおっ!!!やりますよ!レンレンっ!!!」



すみれ「……って、なんか叫んでるみたいだけど」

恋「はい……」

すみれ「話し、聞こえた?」

恋「後半の内容だけなら、夏美さんも大きな声を出してたので聞こえましたが……」

すみれ「なんかそれぞれ一人でやる事になったみたいだけど」

恋「……」

すみれ「大丈夫なの?」

恋「……」フラッ

すみれ「ちょ、ちょっとっ!」

恋「む、むりかも……」


恋「むりかもしれませんんん……っ!!」
0059名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:55:01.90ID:FO0yL1bR
─────翌日。


四季「…………」

夏美「そ、そんな怒らないでくださいですの♡」

四季「かわいくしてもダメ」

夏美「別に上手い事いったからいいでしょ?可可先輩もやる気になってくれましたし」

四季「慣れない事させて、先輩たちになにかあったらどうするの」

夏美「もう!四季は先輩想い過ぎですの!私の事も少しは想って?でーすの♡」

四季「夏美ちゃんの事も想ってるから怒ってるの」

夏美「……はいはい、ごめんなさいですの」

四季「うん」

夏美「心配しなくても大丈夫ですの。うまくいかせてみせますから」

四季「ほんとに?」

夏美「えぇ!この鬼塚夏美を信用しなさい!」


きな子「四季ちゃーん、夏美ちゃーん」

メイ「あー疲れた」


夏美「あら、きな子」

四季「メイ、おつかれさま」

きな子「明日の準備出来たっすよ」

メイ「まったく人使いが荒いんだからよ」

夏美「緊急事態ですの。こういうときは助け合いですの!」

メイ「お前、都合のいい時だけそれだよな」

夏美「貴方達が困った時は助けて上げますの!」

メイ「ほんとかよ」

きな子「きな子はいつでも助けてあげるっすよー」

夏美「明日はもっと忙しくなりますの!覚悟しておいてください」

メイ「ほんと調子いいんだからな」

四季「先輩達のためにがんばろう。メイ、きな子ちゃん」

メイ「まぁ、御二人のためだからやるけどよ」

きな子「きな子もやるっすよ〜」

夏美「ふふ、これが私の人望というやつですね」

四季「えいっ」バシッ

夏美「いたっ!!」

四季「調子に乗らない」
0060名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:56:55.05ID:FO0yL1bR
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可可「レンレン!そんな弱気でどうするんデスか!」

恋「でも、私……一人でなんて歌ったことありませんし」

可可「ククもありません!でもやりますよ!!」

恋「私は無理ですぅ……」

可可「レンレン!これは試練なのデスよ!」

かのん「元はどっかの誰かさんのミスだけどねー」

すみれ「まぁ、そこは言っても仕方ないでしょ」

可可「そうデス、クク達はやらなければいけないのデス!!」

千砂都「う〜ん、けど一人で出来るのかな」

可可「ククはやってやりますよ!」

千砂都「いや、気持ちじゃなくてパフォーマンス的に?」

可可「?」

千砂都「ほら、今まで二人でやってきたから踊りとか歌とかってそれ前提に作ってたんでしょ?」

可可「はいデス!」

千砂都「一人で踊るとなると見ててバランスが悪くなると思うし、歌もパート分けしてたら一人で全部歌わなくちゃいけなくなるよね。被さる部分とかはどう歌うのかなって」

可可「……」

千砂都「今から作り直すにしても明日の朝には出発でしょ?その辺いろいろ大丈夫かなって思って」

可可「なんとかなるデスよ!」

千砂都「ほんとかなぁ」

すみれ「……それより問題はこっちじゃない?」

恋「……」ズゥン…

可可「大丈夫ですよレンレン!貴方が自信を持てるようにククが素敵な衣装を作ってあげますから!」

かのん「衣装?」

可可「まるで別人になったみたいにして、自信を持たせるデス!」


可可「女の子は衣装で誰にだってなれるのデスから!!」
0061名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:58:16.60ID:FO0yL1bR
─────翌日。


かのん「あー、めんどくさ」

すみれ「とか言いつつ結局来てるじゃない」

夏美「いよいよ遠征ですの!」

可可「なんだかワクワクしますね!クク達だけで車に乗って遠くに行くなんて!」

千砂都「たしかに。でもほんとに私達だけで大丈夫なのかな?大人もいない状態で」

四季「大丈夫かと聞かれたら大丈夫じゃない」

千砂都「やっぱり?」

四季「でも、技術的には問題ない。だから、お巡りさんに声さえかけられなきゃ大丈夫」

可可「目立たなければいいんデスよ!バレなけば問題ありませんからね!」

千砂都「う〜ん」

車『……』マッカァァ…

千砂都「目立つよねーこの色は」

きな子「…………」

すみれ「何怯えてるのよ?きな子」

かのん「あー、もしかして車怖いの?きな子ちゃん。北海道には車ないもんねー」

すみれ「ないわけないでしょ。むしろないと生活できないレベルよ」

車(はぁ〜9人も乗せるの?燃費悪くなっちゃうわよこんなの)

きな子「…………」

恋「…………」モジモジ

可可「レンレン!なにをモジモジしてるのデスか!」

恋「私にはこの格好はやはり……」

可可「とても似合ってマス!自信をもってください!」


メイ「あー緊張するなぁ……可可先輩と恋先輩と一つ同じ車両でなんて」


可可「あっ!あの方はよくクク達のライブに来てくれる人じゃないですか!今日は手伝ってくれるんですね!レンレン、挨拶しましょう!」

可可「ちょっと、そこのお方ー!」

メイ「えっ……あ゛っ!!!あっ、ぁっ、く、くぅくぅちゃんだぁ……うわぁ……くぅくぅちゃんがこんな近くに……」

可可「ほら、レンレンも!ククの後ろに隠れてないで!」

恋「えっ……で、でもっ……」

可可「ほら!早くするデス!」グイッ!

恋「あっ、え、えっと……」

メイ「!!!!!」

恋「よ、よろしくだにゃん……!」(猫耳衣装)

メイ「ぐはぁっっっっっっっ!!!」

恋「!!」

夏美「ちょっとメイー。こんな所でへばらないでくださいですのー」

恋「だ、だ、大丈夫ですか!?」

可可「うーん、これは気絶するほど似合っているという事デスね。わかります!」

恋「やっぱり似合ってないからですよ……!!」

可可「なにをいってるのですか!レンレン!」

恋「もう私、制服で行きますから!」

可可「せっかく似合っていたのに!」

メイ「……猫耳……れんちゃん……ふふっ……しゅごい……っ」

夏美「まったく先が思いやられますの」
0062名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 01:59:30.07ID:FO0yL1bR
かのん「ところで、これって9人も乗れるの?」

すみれ「たしかに言われてみれば」

かのん「前に2人で後ろのシートに3人と3人」

すみれ「1人乗れないわね」

千砂都「ぎゅうぎゅうに詰めて4人で座る?なーんて」

夏美「心配ご無用、ちょうどメイがぶっ倒れましたの」

すみれ「なにがあったのよ」 

夏美「3人並んでる膝にメイを寝かせればちょうどいい感じになります」

かのん「その3人に負担がかかりすぎる」

すみれ「名古屋まで4時間でしょ?」

夏美「四季に飛ばして貰えば3時間でいけますの」

かのん「3時間だとしてもしんどいよ」

夏美「大丈夫ですの。心配しなくてもちゃんと一年で面倒見ますの」

かのん「ふーん、ならいいや」

千砂都「痺れてきたらいつでも代わってあげるからねー」

恋「私が運転席ですか?」

四季「そう、一番大人っぽく見える人に乗って貰ったほうがいいと思うから」

恋「大人っぽく……」

千砂都「あー!たしかに恋ちゃんって大人っぽいよね」

四季「……」コクコク

恋「それは……実年齢よりも、年齢を重ねてるよう見える(老けて見える)という事でしょうか……」

千砂都「え?いや、違う違う。私達より上品で落ち着いてるから大人っぽいなぁっていう事だよね?」

四季「っ!」コクコク!

恋「そうですか……?」

すみれ「まぁ、高校生にもなると大人っぽいとか大人に見間違われたりしても、あんまり嬉しくないわよね」

かのん「あー!たしかに!」

すみれ「中学生くらいまでは嬉しかったけどね。実年齢より年上に見られるの」

かのん「わかるなぁ〜、これが大人でも子供でもない高校生特有の悩みってやつだよね!」

夏美「…………」

かのん「あー!見て見て!ここにわからない人がいる〜!わからないよねぇ?いまだに小学生と見間違われてそうだからさぁ?」

夏美「うざがらみしないでください。流石に小学生には間違われませんの」

かのん「ふーん、どうだかぁ〜??」

夏美「それよりさっさと出発しますよ。朝イチで出ないと間に合わないんですからね」

すみれ「大会は昼からなのよね」

夏美「えぇ、名古屋には余裕で間に合いますが大阪はギリギリですの。一秒一秒が惜しいので早く乗り込んでください」

かのん「はぁーあ、こういう旅行で時間に追われるのが一番嫌いだよ」

夏美「さぁ、早く乗り込んでください」
0063名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 02:00:51.94ID:FO0yL1bR
恋「それで、なにか特別な操作などはしなくてもいいのでしょうか?」

四季「全部自動でやってくれるから大丈夫」

恋「それはすごいですね!」

四季「だから何もしなくていい」

恋「わぁ、たくさんボタンがついています……!これはなんでしょうか?」

四季「そのボタンは絶対押しちゃダメ」

恋「押すとどうなるんですか?」ポチッ

四季「……なんで押したの?」

恋「……すいません、好奇心が抑えられませんでした」

夏美「全員乗りましたね?じゃあしゅっぱ─────」

四季「……みんな、なにかに掴まって」


ブウウウウウウウウウウンッ!!!!!!


千砂都「あははははははははっ!すっごいすごい!」

かのん「きゃぁぁぁっっ!!」

可可「おおおっ!早いデス!」

すみれ「ちょっ!なんなのよ!危ないわよこの速度は……」

きな子「……」シートベルト ギュウッ……

車(ひゃっはー!!!私は風になるぅ!!今ならマッハ20で走れそう!下等な人間どもを轟音でびびらせてやるわよ!やだぁっ!!)

恋「はわわわわわっっ!!」

夏美「ちょっと!急いではいますが流石に飛ばし過ぎですの!四季!」

四季「仕方ない。恋先輩が押しちゃいけないボタン押したから」

夏美「なにを押してるんですか!っていうか四季もそんなボタンつけるんじゃないですの!」

恋「すみません!」

四季「出来る事があるならやってみたくなるのが研究者の性」

夏美「もうっ、ほんとに貴方は!」

四季「それに、このままスピード出せば間に合う」

千砂都「たしかに!この調子なら間に合っちゃうかもね!」

四季「結果オーライ」

可可「ふっふっふ……なら、もう勝ったも同然デスね!レンレン!」

恋「えっ!?ええっと……はいっ!勝ちました!」

夏美「気が早すぎますの!」

千砂都「大丈夫?かのんちゃん。怖くない?」

かのん「う、うん、最初びっくりしたけどなんか揺れもないし慣れてきたかも」

四季「この車は乗ってる人の安全のため、どんな振動も吸収する」

かのん「そっか。それで平気なのかな?」

夏美「ビビりのかのん先輩がビビらないなんてつまんねーですの」

かのん「なんかいった?」

夏美「べつに〜?なーんもいってないですのー」

すみれ「揺れは感じなくてもこんな速さで走られたら普通に怖いと思うけど」

かのん「えー?すみれちゃんってもしかして新幹線で怖がっちゃうタイプ?意外とかわいいとこあるんだね(笑)」

すみれ「あんたって自分が余裕だと途端嫌な奴になるタイプよね」
0064名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 02:02:02.50ID:FO0yL1bR
かのん「でもさ、まだ高速じゃないのにこの速さで走ってたらヤバいよね」

すみれ「高速でもアウトよ。この速度は」

四季「大丈夫、ナンバープレートも偽装してるし、フロントガラスには特殊な繊維を組み込んでるから、オービスで写真を撮られてもモザイクがかかったようになる。だから違反してても絶対に捕まらない」

すみれ「なにも大丈夫じゃないわよ。倫理的に」

千砂都「あははは!もっと飛ばせ飛ばせー!」

夏美「そもそも四季、恋先輩が押したボタンとはなんなんですか?」

四季「最も効率のいいルートを爆走するモード。それにモードチェンジするボタン」

夏美「なんですのそれ」

四季「普通のカーナビなら高速道路とかに乗っていくルートが優先されるけど、これは出来る限り直線距離で走行する」

千砂都「ってことは普通なら東名高速道路を走っていくけど」

四季「これだと山の中に入って山梨県と長野県を突っ切っていく。道があろうがなかろうが」

千砂都「わー!山梨県といえば水信玄餅っていうのがあるんだよねぇ。完全に透明なまんまるなの!あーあ、一度でいいからこの目で拝んでみたいなぁ!」

夏美「そんな暇ないですの。そういうのは個人的にお取り寄せしてください」

千砂都「でもね。作ってから30分なんだぁー」

恋「なにがですか?」

千砂都「賞味期限が」

かのん「え、やばっ」

千砂都「早過ぎるよねー?だから現地に行って買わないと食べれないんだよ」

かのん「そっか〜、ならせっかくだし寄ってみようか!」

千砂都「うん!」

夏美「寄らないっていってるんですの」

恋「ちなみに長野県は信州サーモンが美味しいんですよね。よく贈り物でいただきました」

かのん「あー!それは小学校の頃に修学旅行で食べたことあるよ。ね?」

千砂都「うん、あれは脂乗っていて最高だったな〜」

かのん「あれは魚嫌いな子でも食べられるっていってたくらいおいしかったぁ」

千砂都「また行きたいって皆言ってたよねー」

かのん「じゃあさ、行っちゃう?」

夏美「ちょっと、観光気分で喋らないでくださいですの!」

かのん「だって楽しいじゃん。ねぇ?すみれちゃん?」

すみれ「なんであんた達そんな余裕なのよ。このスピードの中で」

千砂都「まぁ、この程度のトラブルはよくある事だしねー」

すみれ「あってたまるもんですか」

かのん「すみれちゃんだってそうは言うけど、さっきからずっと余裕そうじゃん」

すみれ「うろたえても仕方ないからそう振る舞ってるだけよ」

四季「皆が楽しくお喋りしてる間に、もう山梨に入った」

夏美「はやっですの」

千砂都「じゃあまずは水信玄餅だね!」

夏美「寄らないっていってますの!」
0065名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 02:02:57.25ID:FO0yL1bR
すみれ「ねぇ、ほんとにこんなスピード出して大丈夫なの?」

四季「大丈夫かと聞かれたら大丈夫じゃない」

すみれ「ならまずいじゃない」

四季「でも安全面では問題ない。他の車両にぶつからない理由がある」

すみれ「理由?」

四季「今この車はリアルタイムに衛星と通信して、他の車の動きを見てる」

夏美「四季が打ち上げたあの人工衛星ですね」

かのん「え、すご」

四季「そして、この車のスーパーコンピューターで他の車がどう動くか計算、予想し無数の可能性の中からAIで最適解を判断してその都度危険を回避する」

可可「なるほど、衛星情報をもとにこの車が勝手に判断して安全運転をしてくれるんですね」

四季「だから事故する可能性は多く見積もっても0.0001%。それに万が一事故をしても、さっき言った通り衝撃を吸収する素材を全面に使ってるから私達が死ぬ事はない。つまり、お巡りさんにさえ見つかりさえしなければ大丈夫」

すみれ「ふーん、なにも大丈夫じゃないわね。やっぱり」

可可「あっ!!!!シキシキ!あれっ!!」

四季「?」

可可「こ、このまま進むと前からあのトラックが突っ込んできマスよ!!」

すみれ「やばいじゃないの、スーパーコンピューターとやらはどうしたのよ」

四季「あのトラックが悪い。交通ルールを守ってないから。計算はあくまで他の車両は交通ルールを守ってる事が大前提。だからコンピューターは悪くない」

可可「冷静に解説してる場合ではないですよ!シキシキ!」

四季「大丈夫。ぶつかってこられても特殊な素材を使ってるから衝撃はほとんど吸収されて」

すみれ「いや、今ぶつからない努力をしなさいよ」

四季「それは無理。これはあくまで自動運転だから、自分で運転しちゃったら無免許運転になっちゃう」

すみれ「変な所で真面目になるんじゃないわよ」

四季「けど、今更なにも出来ない」


四季「だってもうぶつかる」



ドンッッッ!!!!!!!!
0066名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 02:05:14.23ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


四季「……んん」

四季「……?」キョロキョロ

四季「ちょっとだけ気を失ってた(びっくり)」

四季「衝撃は吸収されてるはずなのに。気を失うなんて不思議」


夏美「……はっ!ここは?」

四季「……起きた?夏美ちゃん」

夏美「私達はたしか……」

四季「トラックに跳ね飛ばされて谷底に真っ逆さました」

夏美「軽いノリで言ってますけどとんでもないことになってますの」

四季「でも大丈夫、怪我ないでしょ?」

夏美「たしかに痛いところはないですけど」

四季「でも不思議、痛くないのになんで気を失うの?」

夏美「知らないですけどジェットコースターで失神するようなものなんじゃないですの?VRでも気絶しちゃう人がいるらしいですし」

四季「心理的ショックから?たしかに、そっちのダメージは吸収出来ない」

きな子「……」

四季「あ、きな子ちゃん。大丈夫?」

きな子「……まぁ、なんとかっす」

メイ「……zzz」

四季「メイも無事みたい。よかった」

夏美「はぁ、まったくメイは呑気ですの。ちょっと、いつまで寝てるんですのー?」

四季「メイは今日が楽しみ過ぎて昨日一睡もしてない。だから休ませてあげて」

夏美「大事な仕事を手伝うんだから万全な状態で来てくださいですの!」

きな子「……」

四季「それよりきな子ちゃん、ずっと元気ないみたい。大丈夫?」

夏美「そりゃこんなとこに落とされたんだからショックで元気も出ないでしょう」

四季「ううん、なんか昨日から変なの」

きな子「え?いや、いつもどおりっすよ、きな子は……」

四季「そう?」

きな子「はいっす……」

きな子「……」

車(もう!いったいわね!あのオンボロトラック私の邪魔してきやがって!ぶっ壊してやりたい!わたしよりも遙かに劣った下等マシンのくせにっ!!きーーーーっ!!!)

きな子「……きな子はだいじょぶっす」

四季「ならいいけど……?」

夏美「……あれ、なんか足りなくありません?人数が」

四季「え?」

夏美「先輩達がいないですの」
0067名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 02:07:27.27ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


かのん「あ、見て見て!富士山だぁ!きれーい」

千砂都「う〜ん、いい天気だねぇ」

すみれ「……」

可可「……頭クルクルして、気持ち悪いデス」

恋「大丈夫ですか、可可さん」

かのん「後ろから見る富士山ってなんか新鮮だね」

千砂都「普段テレビとかで見るのって静岡側からだもんねぇ」

かのん「ねー、すみれちゃんもそう思わない?」

すみれ「……そうね」

恋「それで、私達はどうなってしまったんでしょうか?」

千砂都「それが分からないんだよね。四季ちゃん達もいないし」

恋「まさか、遭難?」

かのん「おっ!じゃあ水信玄餅食べに行けるね!ちぃちゃん」

千砂都「やったー!」

すみれ「もうちょっと焦りなさいよ。あんた達」

可可「うぅっ、まだきもちわるいデス……」

恋「だ、大丈夫ですか?可可さん」

可可「う〜、クラクラします」

すみれ「ほら、深呼吸して新鮮な空気を体に入れなさい。それで楽な体勢をとってしばらく休みましょう」

可可「ありがとうございマスです……」

かのん「さすがすみれちゃん!気が利くねぇ」

千砂都「すみれちゃんってお姉ちゃんなんだっけ?こういうところ凄いお姉ちゃんっぽいなぁ〜」

かのん「ちぃちゃん、私もお姉ちゃんだよ!」
0068名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 02:08:10.49ID:FO0yL1bR
すみれ「ほら、手だして。マッサージしてあげるわ。恋は側にいて話し相手になってあげて。こういう時は緊張をほぐしてリラックスさせてあげるのがいいの」

恋「はいっ、わかりました!」

可可「かたじけないデス……」

恋「ゆっくり休みましょう?可可さん」

可可「はい……」

すみれ「心配しなくてもちょっと休めばすぐよくなるわ」

千砂都「うーん!こういう時、お姉ちゃんの子って頼りになるよね!」

かのん「私も!私もお姉ちゃんだよ!」

恋「姉妹がいる人うらやましいです。私はひとりっこなものですから」

可可「ならレンレンはククの妹になりましょう……。毎日楽しいデスよ……」

恋「可可さんがお姉ちゃん……想像出来ませんね。ふふっ、でも楽しいと思います」

可可「……本当デス〜?」

恋「ふふっ、本当ですよ」

可可「なにやら含みのある笑みデスね」

恋「そんな事ありませんよ」

可可「むむ〜」

すみれ「とか言ってたら、元気出てきたみたいね」

可可「はい、少し休んだら落ち着いてきました。おかげさまで」

すみれ「なら、そろそろ移動しましょうか。いつまでもこんなとこにいても仕方ないし」

かのん「よーし、水信玄餅食べに行くぞー」

千砂都「おーーー!」

すみれ「……まぁ、人里に出れればなんでもいいか」
0069名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 02:08:55.29ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


四季「まさかこの車内からいなくなるなんて考えもしなかったから気付かなかった……」

夏美「あの身勝手な先輩たちの事です。私達が気を失ってる間に勝手に外に出て遊びほうけているのでは?」

四季「ううん、考えられるのはトラックにぶつかる直前に恋先輩か可可先輩、あるいは両方が咄嗟にドアノブに掴まってしまって、回転する車内の勢いで開き先輩達だけが外に放り出されたケース。あのふたりならそういう事をやりかねない」

夏美「ふーん、ならどこかに落っこちてしまったんですねー先輩たちは」

四季「どうしよう……」ワナワナ…

夏美「落ち着きなさい四季。こういう時のためになにか用意があるんでしょう?例えば先輩たちの体内にGPSを埋め込んでるとか」

四季「今、私達は谷底にいるから電波がキャッチできない」

きな子「……埋め込んでるについては否定しないんすね」

四季「それに電波が届かないという事は車も動かない」

夏美「まじですの?」

四季「まじ」

四季「あくまで衛星の情報をもとに車が計算して動く。だから情報がなかったら運転は出来ない」

四季「膨大な知識がネットにあっても、ネットにつないでないスマホじゃなにも得られないのと一緒」

夏美「それだと私達このまま出られないんじゃ……」

四季「それより先輩たちが心配。可可先輩、恋先輩になにかあったら大変」

夏美「まぁ、あの人たちは大丈夫でしょ」

四季「どうにかしなくちゃ」

夏美「どうするもなにも、まずは私達がこっから這い上がらないとどうしようも出来ませんの」

四季「一度谷底に落ちたら人間の力で這い上がるのは不可能。一応この車には90度の斜面でも走っていけるタイヤを使ったけど、電波が繋がらないから自動運転が出来ない」

夏美「なら手動で運転するしかありませんね」

四季「無免許運転はダメ」

夏美「いや、そんな事いってる場合ですの?」

四季「ルールはルール」

夏美「変なところで律儀ですの」
0070名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 02:10:03.78ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


かのん「山梨の自然ってすごいねぇ」

千砂都「うん、空気も澄んでるし木々も雄大だし水も綺麗だし」

可可「海がないのにとっても水が豊かな場所デス!」

恋「山梨にはアルプスがありますからね。その豊かな水を使ってウィスキーやワインなども作られており、どれも有名なんですよ」

かのん「お酒かぁ、そういえばワインってどんな味するんだろうね」

千砂都「子供の頃はジュースみたいなイメージだったけど砂糖的な甘さはないらしいね」

かのん「おいしいのかな?来たついでに飲んでみよっか?」

すみれ「やめなさい」

可可「はぁ、森林に囲まれて深呼吸すると気持ちいいデスねぇ……」ウットリ

恋「はい、緑に囲まれてるだけで気持ちが落ち着くものですね」ホッ

すみれ「落ち着きすぎでしょあんた達」

可可「はっ!見てください!この川のセセラギ……!!大きなお魚さんが泳いでマスよ!レンレン!」

恋「落ちたら大変なのであまり近付いちゃいけませんよー」

かのん「あははは、あんなにはしゃいで」

すみれ「まったく子供じゃないんだから」

千砂都「ああいうところが可可ちゃんのかわいいところなんだよね」


バシャンッ


可可「きゃああああ!!!あ、足が、滑りましたっ!たすけてくださいっ!!ごぼぼぼぼっ……!!」

恋「可可さんっ!!」

千砂都「あははは!ほらね?おっちょこちょいで可愛いでしょ?」

すみれ「いや、笑ってる場合じゃないでしょ」



………………



可可「た、たすかりました……」

恋「大丈夫ですか?可可さん」

すみれ「もう、あぶなっかしい子ね」

可可「くっしゅん!すみませんデス」

恋「あら、風邪ひいちゃいました?」

可可「ちょっと冷えただけデス!でも今は夏!すぐ温かくなりますよ!」

すみれ「ほら、服乾かすわよ」

可可「このまま着てれば乾きますよ!夏ですから!」

すみれ「だーめ」

千砂都「あはは、やっぱりお姉ちゃんだね。すみれちゃんは」

かのん「ちぃちゃん、私もお姉ちゃんだよ!」
0071名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 02:11:58.24ID:FO0yL1bR
ミーン、ミーン、ミーン……



かのん「あー、こうやって皆で日向ぼっこするの。幸せすぎる……」

すみれ「なに年寄りみたいなこと言ってんのよ」

恋「自然に囲まれてぼーっとしていると、なにやら都会の喧騒を忘れますね」

かのん「そう、なんか頭の中が癒されてくんだよぉ〜」

千砂都「あー、都会にいる人の脳みそは雑音でかなりすり減ってるらしいからね」

かのん「え、なにそれ、こわっ」

すみれ「まぁ、たまにはこういう場所でのんびりするのも悪くないわね」



可可「とはいってもいつまでもこうしてはいられませんよ!!!!!みなさんっ!!!!!」



かのん「びっくりしたぁ、急に大きな声出さないでよ可可ちゃん」
0072名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 02:12:18.39ID:FO0yL1bR
可可「だってクク達はヤラナケレバナラナイ事がありますからね!」

千砂都「元気だねぇー♪可可ちゃんは」

恋「もうよろしいのですか?」

可可「はい!夏のおひさまの下に干してたら服もすぐ乾きました!なのでそろそろ行きましょう!皆さん!」

すみれ「もう落っこちるんじゃないわよ」

可可「わかってマスー!」

恋「あんまり走ると危ないですよ」

千砂都「休んだから更に元気いっぱいだねー♪可可ちゃんは」

すみれ「すぐバテそうだけどね」

かのん「おっ!なんて言ってたらもうすぐ山を抜けられそうじゃない?」

すみれ「え?」

恋「たしかに光が強くなってきましたね」

可可「出口です!!皆さん、はやくはやく!」

すみれ「なによ、そんなに近いならいったん出ればよかったわね」

千砂都「まぁ、よかったじゃん。あんまり山深くには落ちてなかったって事で」

かのん「うんうん、やっぱり日頃のおこないがいいからだろうね」

すみれ「そういえばあの子達は大丈夫かしら」

可可「シキシキ達なら大丈夫ですよ!あの子は天才デスからね」エッヘン

すみれ「なんであなたが自慢げなのよ」

可可「だって自慢の後輩ですから!」

かのん「……よいしょっと」


かのん「ふー!山から抜け出せたー!」


恋「ほっ、解放された気分です」

千砂都「あっ!商店街が見えるよ!かのんちゃん!」

すみれ「めちゃくちゃ人里近かったのね」

かのん「わー!お土産買いにいこう!ちぃちゃんのいってたお餅あるかな?」

千砂都「どうだろう?でもなくてもなにかまるーいがあればそれでいいよぉ!まるいものないかなぁ!」

恋「たしか、山梨にはくろ玉というお菓子があるらしいですよ」

千砂都「くろ玉?それってまぁるいの???」

恋「はい、あんこを丸くしたものに溶かした羊羹をかけて作られたお菓子です」

かのん「うわぁ〜めちゃくちゃ甘そう。想像するだけで唾液が出てきちゃう」

恋「熟練の職人さんたちがひとつひとつ丁寧にチェックしてるので完璧な形でないものは弾かれるらしいですよ」

千砂都「うわぁ〜!!!じゃあじゃあ全部完璧なまるってこと!なにそれ絶っっっ対見たい!!」

すみれ「そんな場合じゃないと思うんだけどね」

かのん「よーし!じゃあ山梨観光だぁ!」

千砂都「おー!!!」
0073名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 02:13:21.44ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


四季「ととととりあえず、こういう時はコーヒーを飲んで頭を冴えさせよう」ボドボドボド…

夏美「めちゃくちゃ溢してますのもったいない」

四季「とりあえずいったん落ち着こう?」ガタガタガタ

夏美「あなたが一番落ち着きなさい。先輩たちが心配なのはわかりますけど」

四季「うん。そうだね。こういう時こそゆっくりとリラックス出来る環境を整えるべき。よし、そうしよう……」ウロウロ

夏美「せわしなくうろつかないでください。こんな所で慌てふためいてても仕方ありませんの」

四季「と、とりあえず、キャンプでもしようか」

夏美「いや、それは落ち着き過ぎですの」

四季「まずは枯れ木を集めて燃やすの」

夏美「焚き火ってやつですの?」

四季「そう。夏でもこんな谷下の奈落の森じゃ身体が冷える。それに火の揺らめきを見てると心が落ち着く効果もある。リラックス出来ればいい考えが浮かぶかもしれない」

夏美「なるほど。たしかに焚き火のリラックス動画は中々再生数稼げますの。キャンプ動画もコアな層から絶大な人気があります」

四季「先輩たちが心配だけど、焦っても良い結果は起きない」

夏美「冷静さが戻ってきましたね。ではここらで動画を一本撮りつつ考えましょうか」

四季「うん」

夏美「きな子も手伝ってください」

きな子「……へ?」

夏美「ぼーっとしてどうしました?きな子」

四季「大丈夫?きな子ちゃん」

きな子「あ……大丈夫っす。うん、やるっすよ!」

きな子「……」

車(あーあ、もう転がり落ちてあっちこっち10円キズだらけよ。せっかく新しいボディだったのになにもかんもやになっちゃう。あーあ、なんで私ばっかこんな目に遭うのかしら、ロボットたちの手によって明日世界でも滅びないかしらねー)

きな子「……」
0074名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 02:14:53.08ID:FO0yL1bR
………………



夏美「にゃっはー!!いろんなものを燃やすの楽しいですの!」

夏美「ねぇ?四季!このまま森ごと燃やしてしまったら、先輩たちが森から飛び出してきて会えるんじゃありませんの?必死に逃げるうさぎみたいな感じでぴょんって出てくるかもですの!にゃははは!!」

四季「それ、いい案かも」

きな子「いい案なわけないと思うっすけど……」

四季「松ぼっくりがあった。いれてみる?」

夏美「それ知ってますの。火に入れると弾けるんでしょう?」

四季「うん、とっても危ないよ」

夏美「当然やってみますの!危険な事はやるためにあるんですの!動画にするために定められてるようなものですの!そーれ!」ポイ


バチッ!……パァン!!


夏美「あっつ!あついですの!」

四季「ははは、熱いね」

夏美「にゃはははー!きな子もやってみるですの!面白いですの!」

きな子「火遊びして、なんかハイになっちゃってるっす……」

夏美「ねぇ四季っ!他にもありません?燃やすと危険なもの!」

四季「毒性のある植物はどれも燃やすと危険」

きな子「ひえっ、めちゃくちゃ危険な事しようとしてるっす……」

夏美「ウルシとかああいう系ですの?」

四季「うん、でもウルシ科の植物は判別が難しい」

夏美「たしかにどれもその辺の雑草と区別つかないですの!」

きな子「だからこそ危険なんすけどね。ウルシは」
0075名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 02:15:45.23ID:FO0yL1bR
四季「でも簡単に区別がついて燃やすと危険なものがある」

夏美「なんですの?」

四季「アジサイ」

夏美「アジサイならちょうどそこに生えてますの!」

四季「燃やす?」

夏美「もちろん!危険な事はやるためにあるんですの!『アジサイ燃やしてみたwww』で一本撮りますのっ!」

きな子「ちょ……やめるっすよふたりとも」

四季「大丈夫、アジサイの毒はアミグダリンといって中毒を起こすものではあるけど、正しくつかえば薬にもなる。まさに毒薬変じて薬となる」

きな子「今まさに正しくない使われ方をしようとしてるんすけど……」

夏美「にゃっは〜!こんな所でたくましく生きてたアジサイぶち抜いてきました!これが人間に足を踏み入れられるという事ですの〜!では、さっそくやりますの!そーれ」ポイッ


ジュ……チ、チ、バチ…バチ…


夏美「ごほっ!ごほ!……ごほっ!」

四季「こほん」

夏美「あー、なんかぼんやりしてきたですの!頭がくらくらしますの!あと気持ち悪いですのぉ……!」

四季「これが意識混濁状態。おもしろい」フラフラ~

きな子「ほ、ほんとにハイになっちゃってるっす……」

夏美「んん……なんか木々の擦れる音が私の悪口に聞こえてきますの……!……はぁ?誰が金稼ぎしか脳がないですって?」

四季「落ち着いて夏美ちゃん。それは脳のバグ」

夏美「わかってますの!でもむかつくものはむかつくですの!きぃーっ!私の事をバカにするなんて許せない……!!」

四季「たしかに。幻聴とはいえ夏美ちゃんを悪くいうのは許せない……!」

夏美「こんな森やっぱり燃やしてやりますの!!」

四季「賛成」

きな子「ちょ、やめるっす夏美ちゃん、四季ちゃん……」

夏美「人間に楯突いた事を後悔させてやるですの」

四季「私達がこの星の支配者」

きな子「ううっ、きな子だって今まで聞こえないものが聞こえるようになって動揺してるのに」


きな子「なんで落ち着かせる側に立たないといけないっすかぁー……!」
0076名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 02:17:27.21ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


かのん「これがくろ玉」ジュルリ…

千砂都「うわぁ……!綺麗な真っ黒でヒビ一つない綺麗なまるだぁ♡」

すみれ「よかったわね。ここに売ってて」

かのん「でも水信玄餅はなかったね」

恋「どうやら人気過ぎてすぐ売り切れてしまうらしいです」

可可「でもこれは買えました!さっそく食べるデスよ!」

恋「可可さん、そんな慌てて食べなくても誰も取りませんよ」

可可「待ちきれないデス!!!先に食べちゃいますよっ!!あむっ!!!!!」


可可「!!!!!!!!!」


可可「んん〜♡あんこと羊羹のダブルパンチ。甘さの暴力デス!これは!」

恋「口のまわりについちゃってますよ。可可さん」フキフキ

千砂都「はぁ、この光沢のある黒がまるを際立たせてるよぉ……こんな凄いまるが世の中にあったなんて」

かのん「事故ってみるもんだねー」

すみれ「よくそんな感想が出てくるわね」

可可「クク、食欲が止まりません!あむっ!あむ!あむ……むっ!!んー!んんんんんっ!!!」

恋「可可さん!?もう、だから落ち着いて食べましょうって言ったんですよ」

すみれ「ほら、お茶」

恋「ありがとうございます。はい、可可さん。これはゆっくり飲んでくださいね」

可可「ごきゅっ……ごきゅっ……ぷはぁ……かたじけないデス……ふたりとも」ゼェゼェ

すみれ「いいわよ」

恋「大丈夫ですか?」

可可「はいデス!」

恋「次からはゆっくり食べてくださいよ」

可可「えへへ、ククのうちは大家族ですから。癖でついつい早食いになってしまうのデスよね〜」

すみれ「そういうもんなのね」

恋「そういえばすみれさんは妹さんがいらっしゃるのですよね」

すみれ「ええ、いるわよ」

恋「だからそんなに落ち着いてらっしゃるんでしょうか?」

すみれ「え?それは関係ないんじゃない。だって、ほら」

かのん「?」

すみれ「姉でも落ち着きのない子はいるし」

かのん「えー?なに?私の話?」
0077名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 02:18:32.55ID:FO0yL1bR
恋「かのんさんも妹がいらっしゃるんですね」

かのん「うん、いるよー。見る?」

恋「はい、ぜひ!」

かのん「はいこれ、ありあっていうの」

恋「ありあさん。素敵なお名前ですね」

可可「めがねっこデス!」

恋「なんだかとってもしっかりしてそうな子です」

かのん「そう、だからたまにうるさいんだよねー」

すみれ「ほら、お姉ちゃんだからってしっかりしてないのもいるでしょ?」

かのん「ちょっとすみれちゃん、それどういう意味?」

恋「ふふっ、そうみたいですね」

かのん「む、なんか私笑われてるんだけど……ちぃちゃーん私笑われてるー!」

千砂都「んんっー♡」(口の中でまるを堪能している)

恋「すみれさんの妹さんも見せてくれませんか?」

すみれ「私の?まぁ、別にいいけど……はい」

恋「まぁ!すみれさんにそっくりですね!」

可可「ククにも見せて!ククにも見せてください!」

すみれ「はいはい、勝手に見ていいわよ」

可可「おー!!あなたをそのまま小さくしたような子が映ってます!おもしろいデス!」

すみれ「そんなに似てるかしら」

恋「お名前はなんておっしゃるんですか?」

すみれ「え?なまえ?」

恋「はい」

すみれ「えぇっとね……」

恋「?」

すみれ「ちょっとまってね……」

可可「?なにうろたえてるデスか?」

すみれ「別にうろたえてないわよ」

恋「すみません……私、なにかまずいこと言ってしまいましたか?」

すみれ「そんなんじゃないわよ。なまえでしょ?うん、普通の質問だわ。ふつうよ。ふつー」

恋「……?」

すみれ「まぁ、なにかしらあるんじゃない?なまえ」

恋「はい?」

可可「なんですかその答えになってない不気味過ぎる返答は」

すみれ「あるったらあるのよ」

恋「……込み入った事を聞いてしまったんでしょうか?」

可可「まぁ、いろいろ複雑な家庭もあるらしいデスからね」

恋「ですよね。うぅ、反省です……」

千砂都「んっーーー♡しあわせー♡」マルゥ!
0078名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 02:20:00.62ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


メイ「zzz」

夏美「あ〜、意識がはっきりしてきましたの。やはり面白い感覚というのは長続きしないものですね」

四季「そうだね」

きな子「……きな子は全然面白くなかったっすけどね」ゲッソリ…

夏美「それでどうするんですの〜?しき〜」

四季「ちょっと待って、今考えてるから」

夏美「火を眺めてるのもそろそろ飽きてきましたのー、やはり絵変わりが少ないと飽きもはやいですの」

四季「……うん」(かんがえちゅう)

夏美「ねー、しきー」

四季「待って、その車を使ってなんとか出来ないか考えてるから」

きな子「……」チラッ

車(やっだぁ!もうっ!虫がいるじゃない!だからこんなど田舎はいやなのよ!特に私みたいな最先端ハイテクマシーンにとっては)

夏美「でも、この車単体では自動運転出来ないんでしたよね?」

四季「うん、前に言った通り衛星の情報をもとに計算して動くからそれと通信出来なきゃ動かない」

夏美「じゃあ、どうするんですの」

四季「もうちょっと待って、今、頭の中で設計図を組んでる。最悪その車をばらしてなにかに作り変える」

夏美「じゃあヘリコプターでもつくりますの!」

四季「それいいかも」

きな子「……」

車(あー!!中に虫が!!虫が入り込んでるぅ!!取って取って!誰か取ってよぉ!!きゃあっ!!!!)

きな子「……」シュー

車(あら?)

夏美「?きな子?」

四季「きな子ちゃん。こんな自然で殺虫剤なんかまいちゃダメ」

きな子「虫よけっすよ」

四季「虫よけでもダメ。昆虫さん達かわいそう」

夏美「それに車になんかかけちゃって何やってるんですの?もったいない」
0079名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 02:21:00.11ID:FO0yL1bR
きな子「くるまさん」

車(え?)

きな子「きな子達いま困ってるっす。谷底に落ちちゃって、ここから上にいかないといけないんすけど、きな子達は運転が出来なくて」

四季「き、きなこちゃん……?」

夏美「あーあ、きな子頭おかしくなっちゃったですの」

きな子「くるまさんには意思があるんすよね?なら自分の意思だけで走る事も出来るんじゃないっすか?」

車(なに?あんた私に話しかけてるの?変な目で見られちゃってるわよあんたw うけるっw )

きな子「このままだとくるまさんバラバラにされちゃうらしいっすよ」

車(ええええええええ!??)

四季「頭を強く打ち付けた?でも衝撃はほとんど吸収されてるはず」

夏美「これもきっと心理的ショックからですの。心的外傷ってやつですの。たまたま私達にはなかっただけで、きな子にはそういうダメージもあったのかもしれないですね」

四季「人の心はいまだ解明されてない事だらけ。難しい……」

きな子「くるまさん、ほんとは真っ青なブルーがよかったんすよね?きな子聞いてたっすよ」

車(え?)

きな子「きな子でよければあとで染めてあげるっす」

車(あんた……私の気持ちがわかるの?)

夏美「きな子〜しばらく休んでなさい。貴方疲れてるんですの」

四季「……」


きな子『四季ちゃん、ロボットに感情って芽生えるっすか?』


四季「……まさか」

きな子「くるまさん、きな子達を助けて欲しいっす」
0080名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 02:22:26.28ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


可可「しかし、風情のある商店街デスね」

恋「モダンな雰囲気というのでしょうか?」

千砂都「うんうん、なんか雰囲気いいよね!」

かのん「次はなに食べよっか?」

すみれ「呑気過ぎじゃない。あんた達」

恋「山梨といえばやはりほうとうではありませんか?」

千砂都「ほうとうか〜」

かのん「えー?こんな真夏に鍋?」

可可「いいじゃないデスか!暑い日のお鍋もイキなものデス!」

千砂都「たしかに、暑い日に熱いもの食べて汗いっぱいかくと気持ちいいよね!」

可可「それにさっきとても甘いものを食べましたから体がしょっぱいものを欲しています!」

かのん「うーん、そんな事言われるとちょっと食べたくなってきちゃうなぁ」

恋「ちょうどあそこにほうとうのお店がありますよ」

可可「行きましょう!皆で一つの鍋をつつく事してみたいデス!!」

千砂都「ふふ!じゃあ、行ってみようか?」

すみれ「はぁ、ほんとに観光にきたみたいね。私達」
0081名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 02:23:55.95ID:FO0yL1bR
イラッシャイマセー


かのん「古民家って感じのお店だね」

恋「ふぅ、こういうこじんまりとしたお家はとても落ち着きますね。古い木造作りで非常に和を感じます」

可可「えー?あんなだだっ広い洋館に住んでるのにですか?」

恋「むっ、私だって、和を感じたっていいじゃないですか」

かのん「恋ちゃん洋館に住んでるんだ。すごっ」

千砂都「やっぱりお嬢様なんだね恋ちゃんって」

可可「そうだ!今度皆さんと遊びに行きましょう!レンレンの家に!」

恋「え?皆さんと?私の家に?」

可可「とっても楽しいデスよ!」

千砂都「うん、恋ちゃんのおうち見てみたいなー!」

かのん「え、私もいっていいの?」

恋「み、みなさんが、よよよろしいのであればいつでもっ……」

可可「あー!レンレン楽しみ過ぎてそわそわしてます!」

恋「サヤさんに言ってごちそうを振る舞ってもらいましょう……!」

千砂都「そんなはりきらなくていいよー、だって友達なんだから!ね?かのんちゃん」

かのん「え?あっ、うん!」

恋「お、お友達っ」ポワポワ…

可可「ふふっ、レンレン嬉しそうです♪」

すみれ「ねぇ。盛り上がってるところ悪いんだけど、来たみたいよ料理」

可可「おー!お味噌のいい匂いがします!」

かのん「湯気すごっ、見てるだけであっついよぉ」

千砂都「わー、おいしそー!」

恋「これはみみが入ってますね」

可可「えー!!耳!?耳食べちゃうデスか!!?」バッ!

かのん「あはははは!可可ちゃん自分の耳に手をやってる!」

すみれ「あんたってそういうステレオタイプな反応好きよね」

恋「みみといっても耳ではありません。この小麦粉で練ったものの事です」

千砂都「あー耳っぽい形してるね。だからみみなの?」

恋「いえ、その説もあるのですが農具の箕(み)に似てるからという説が有力なようです」

かのん「箕ってなに」

可可「あれデス!ドジョウすくいするやつデスよ!」

かのん「あー、あれか」

すみれ「それがぱっとでてくる留学生と、それですぐ通じる都会の女子高生ってどうなの」

千砂都「うーん、私的には耳の方がしっくりくるけどねー」

恋「おそらく近年はそちらに寄せて作ってるのではないかなと思います」

千砂都「移り変わりってやつかぁ」
0082名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 02:26:05.58ID:FO0yL1bR
可可「それより早く食べましょうよ!はやく!はやく!」

恋「慌てちゃダメですよ可可さん」

すみれ「まったく、見ててあぶなっかしい。よそってあげるわ」

可可「おー♪優しいデスね♪貴方」

すみれ「あんたがそそっかしいからよ。ほら」

恋「火傷に気をつけてくださいね」

可可「うぅ、はやく食べたいデス!」

恋「では、ふーふーしてあげますよ」

可可「わーいデス!!」

かのん「なんか子供の面倒みてるみたいになってない?」

千砂都「微笑ましいねー」

かのん「まぁ、そうだけどさ」

千砂都「ほら、そんな事より私達も食べちゃおっ?」

かのん「うん、そうだね」

可可「んんんん〜〜!!おいしいです!!」

可可「濃厚な味噌のだしが染み込んでて、体にシミワタリマス…」

かのん「はぁ、こういうお味噌の味ってなんでほっとするのかな」

千砂都「ふしぎだね〜」

恋「すみれさんの分、よそいましょうか?」

すみれ「え?別に自分でするけど」

恋「そうですか」シュン…

すみれ「なんで落ち込むのよ……はぁ、じゃあそうね。お願いするわ」

恋「はい!」

すみれ「まったく気を使わせる子ばっかりね」

かのん「でもまんざらでもない顔してる〜ツンデレだぁ〜」

すみれ「ふん、あんたが一番私の手を煩わせてくれてたんだけどね」

かのん「ええ?そんなわけないでしょ〜」
0083名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 02:26:44.50ID:FO0yL1bR
すみれ「一年の頃はほんと大変だったわ」

かのん「また、そんなずいぶん昔の話しちゃって」

すみれ「ちょっと前よ」

千砂都「そういえば、かのんちゃんのお母さんもかのんちゃんが一番手のかかる子供だったって言ってたなぁ」

すみれ「ほらね」

かのん「もう、余計な事言わなくていいよ!ちぃちゃん」

千砂都「あははははっ」


おばあちゃん「う〜ん、こまったのぅ」


かのん「?」

可可「なんでしょう?困り事でしょうか?」モグモグ

すみれ「食べながら喋らないの」

可可「はいデス」…ゴクン

千砂都「なにかトラブルかな?」

恋「もしお困りなら助けてあげたいですね」

かのん「えー、めんどくさいよー」

千砂都「そうだね。かのんちゃんのいう通りお年寄りは助けてあげないと」

かのん「ううん、めんどくさいって言った」

可可「お年寄りには優しくデス!それにここで会ったのも何かの縁!」


可可「クク達がお助けしましょう!」
0084名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 02:27:42.48ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


夏美「ロボットの気持ちがわかるようになった?」

きな子「はいっす。それでくるまさんとお話して協力してもらうことになったすよ」

夏美「……」

四季「たしかにAI運転なら衛星の情報がなくても自分の考えで走行してくれるかもしれない」

夏美「ふーん、まぁここから抜け出せるならどうでもいいですの」

きな子「めんどくさくて考えるのをやめたっすね夏美ちゃん」

四季「でも、どこにいけばいいのかわからない以上。下手に動くのは危険」

きな子「大丈夫っす。きな子は動物とお話が出来るから、そこらじゅうにいる小鳥さん達から先輩たちの居場所を聞いて、くるまさんにそこへ向かってもらえばいいっすよ」

夏美「あーそんな設定ありましたね」

四季「なるほど。これはデジタル技術とアナログ技術が手を組んで、ピンチを切り抜ける熱い展開」

夏美「アナログっていうんですの?これ」

きな子「森の小鳥さん達!きな子達の先輩の場所を教えてもらいたいっす!!」

夏美「どっちかというとオカルトですの」

メイ「ううん、うるさいなぁ……」

夏美「あら、やっと起きましたの?メイ」

四季「ねぼすけさん」

メイ「んっ、……ん?な、なんだここ!!さっきまで学校にいたのに森の中じゃないか!しかもこんなに薄暗い……なんなんだよ!!ここはっ!!」

夏美「まぁ、いろいろあったんですの」

メイ「真夏だったよな?なのに寒いぞここ……」

四季「森の奥深く谷底にいるから、私達」

メイ「なんだってそんなとこに!!」

きな子「ちゅんちゅんちゅん!!ちゅちゅん?ちゅんちゅんちゅん!!!!」

メイ「うわぁぁぁっ!!きな子おかしくなっちゃってるじゃないか!どうしたんだよ!きな子!!」

夏美「あーもうめんどくさいですの。これならもうちょっと寝てもらった方がよかったですの」
0085名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 02:28:53.95ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


可可「さぁてレンレン!いっちょやってやりますよー!」

恋「はい!」

すみれ「……」

千砂都「ふたりのライブ楽しみだねー」

かのん「いつも遠くからしか見れてないからこんな間近で見れるとちょっと緊張するね」

すみれ「……しかし、ほんと急よね。この商店街でライブなんて」

おばあちゃん「ほんとにありがとうね、お嬢ちゃん達。こんなジジババしかいない催しに出てくれて」

可可「いえ!スクールアイドルは場所を選びません!求められればいつだってそこで最高のライブを披露するんデス!」

おばあちゃん「ほんとは今日ねぇ、演奏家の人達が来てくれる予定だったんだけど、楽器を運んでるトラックが事故に遭ったっていうもんだからね」

かのん「へぇ〜物騒なこともあるもんだねぇ」

すみれ「……」

可可「レンレン!前哨戦というやつデス!ここで勢いづけてこの後のお互いのライブに望みましょう!」

恋「……お互いの……そうですね!」

千砂都「大丈夫かなぁ、恋ちゃん」

かのん「え?」

千砂都「この後の名古屋と大阪でのライブを想像してか緊張してるみたいなんだよね」

すみれ「ていうか、間に合わないと思うんだけど。こんなところでのんびりしてたら」

千砂都「ここで緊張がほぐれればいいけど」

かのん「ふたりとも頑張れー」


可可「いきますよ」

恋「はいっ」


可可&恋「─────♪」
0086名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 02:30:05.27ID:FO0yL1bR
かのん「わぁ……間近で見ると凄いんだね」

千砂都「うんうん、私のおかげでダンスも10レベルくらい上がってるよ」

すみれ「ここにいる人達ってスクールアイドルの事よくわかんなそうだけど大丈夫なの?」

おばあちゃん「あらまぁ、かわいいねぇ」

おじいちゃん「めんこいのぉ」

すみれ「と思ったけど、皆喜んでるみたい」

かのん「よかったねー」

千砂都「……」

かのん「どうしたの?ちぃちゃん」

千砂都「う〜ん、やっぱり恋ちゃんの自信のなさ。どうにかすべきだよねって」

かのん「自信?凄く堂々としてるように見えるけど?」

すみれ「よく見なさい、かのん」

かのん「え?」

すみれ「しっかりパフォーマンスはしてるわ。でも、片方を引き立てるような動きに徹していて自分が主役っていう意識がないでしょ?」

千砂都「おー!すみれちゃん鋭いね」

かのん「そうなの?う〜ん、私は二人みたいな知識はないからなぁ」

千砂都「えー?すみれちゃんもなにかやってる人なの?」

すみれ「まぁ、昔の事よ」

かのん「あー、すみれちゃんはねぇ。昔CMにでてたっ─────」

すみれ「余計なこと言わなくてよろしい」

かのん「そういえば内緒だったっけ」

千砂都「えー、気になるなぁ」

かのん「あとでこっそり教えてあげるねー♪」

すみれ「そういうのは本人に聞こえないところでいいなさい」

千砂都「ねぇねぇ、そんなすみれちゃんから見てどう思うの?あのふたりは」

すみれ「どうって?」

千砂都「ここが良いとか悪いとか」

すみれ「まぁ、そうね。片方ははりきり過ぎて後半にバテがち」


可可「─────♪」ハァ…………ハァッ……


すみれ「もう片方は引っ張られてるだけでいまいち殻を破りきれてない」


恋「─────♪」テッ……テッテンッ


すみれ「洗練されてないというのかしらね。あんなんじゃショービジネスの世界で通用しないわよ」

千砂都「しょーびじねす?」

すみれ「でも、こういう泥臭いのがいいんでしょうね。未熟な部分っていうか完璧じゃないからこそ粗削りな等身大のアイドルの姿が見れる。プロじゃないからこそのリアリティみたいなのが楽しめるのがスクールアイドルの魅力なんじゃないかしら」


メイ「そうっ!!スクールアイドルの世界ってのはただ可愛いだけじゃないんだ!」


かのん「えっ?」
0087名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 02:30:55.07ID:FO0yL1bR
千砂都「あー、メイちゃんだぁー!」

すみれ「なんか久々ね。こういう登場」

千砂都「ってことは四季ちゃん達も?」


四季「やっと見つけた」

きな子「……っす」ゼェゼェ……

夏美「まったく、目を離したらすぐどこかに行くんですから貴方達は」


千砂都「わー!みんな集合したねー♪」

すみれ「無事だったのね。あんた達」

夏美「全然無事じゃないですの。谷底に真っ逆さましましたので」

かのん「ふーん、私達なんて車から投げ飛ばされたんだけど」

千砂都「怪我はないからへーきだよー」

メイ「あぁ〜!こんな片田舎の山奥で、まさか御二人のライブが見れるなんてっ!」

夏美「なにを勝手にやってるんですの?こんな事してる暇ないんですよ」

かのん「よくいうよね、全然迎えに来てくれないくせに」

夏美「いろいろ手間取ったんですの!」

千砂都「はーい、カリカリしないの。一年生の皆もこれ食べて!」

夏美「なんですの?これ」

四季「くろいまる?」

千砂都「お土産に買ってたの。とっても美味しいよー!」



可可&恋「♪─────。」ジャン!



可可「終わりデス!ありがとうございましたデス!」



メイ「うおおおおおおおっ!!!!可可先輩!!!」

かのん「うっさ」



恋「ありがとうございました!」ペコッ



メイ「うおおおおおおおっ!!!!恋先輩!!!」

千砂都「はい、メイちゃんもこれ食べて落ち着こうね」

メイ「あむっ!?」
0088名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 02:31:35.97ID:FO0yL1bR
四季「これ、おいしいね。夏美ちゃん」

夏美「まぁまぁいけますの」

きな子「はぁ……はぁ……」

夏美「ほら、きな子も食べなさい」

四季「きな子ちゃんたくさん頑張った。疲れてる時は甘いもの」

きな子「い、いただくっす……」

可可「あー!!シキシキ!やはりクク達の所に来てくれましたね!信じてましたよ迎えに来てくれるって」

四季「ふたりの期待は裏切らない」

恋「大変ではなかったですか?怪我等していませんよね?」

四季「大丈夫。みんな無事」

夏美「はぁ、これでやっと全員揃いましたわね」

かのん「あーあ、もうちょっとゆっくりしたかったんだけどなぁ」

夏美「いつまでもこんな所にいたって仕方ありませんの」

かのん「こんな所て」

夏美「ほら、さっさと出発しますよ。やることが山積みですの」

可可「そうですね!おばあさん!クク達もういかなければなりません!」

おばあちゃん「あら、そうなの?もうちょっとゆっくりしてけばいいのに」

可可「ライブが出来て楽しかったデス!!また来ますから!」

おばあちゃん「わたしたちも楽しかったよ。ありがとうね」

恋「こちらこそありがとうございました!」

かのん「あー、もっと観光したかったのにな」

夏美「遊びで来たんじゃありませんの」

かのん「でもちょっとだけだったけど楽しかったなぁ、また来たいね」

恋「そうですね」

千砂都「うん!次は絶対水信玄餅を手に入れよう!」

おばあちゃん「あれま、お嬢ちゃん、水信玄餅が食べたいのかい?」

千砂都「え?」
0089名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 02:33:09.62ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


千砂都「あぁっ、なんて素敵なまるなの?君はぁっ♡」

恋「よかったですね。ちょうどお弟子さんが作ってた物をいただけるなんて」

千砂都「まだまだ未熟で売り物にならないっていってたけど、こんな神々しいまるは見た事ないよ」

かのん「ほんとに透明だね」

可可「つつくとぷるぷるしておもしろいデス!」

千砂都「透き通ったまる……!これを覗いてみた世界は透明なまるの世界!」

すみれ「なにいってんのよこの子は」

千砂都「はぁ……ずっと君と過ごしていたいなぁ」

かのん「でも早く食べちゃわないといけないんだよね」

恋「とても足が速いと言ってましたね」

可可「しかし、お年寄りの方はどうして消費期限が短いことを足が速いと言うのデスか?」

すみれ「まぁ、昔の方言みたいなものよ」

可可「うーん、わからんデス」

恋「また今度おしえてあげますよ」

すみれ「それより早く食べちゃわないと。ほっとくと蒸発してどんどん萎んでいくんでしょ?」

千砂都「はぁ、なんて儚い命なの……?こんなにも綺麗なのに、君を永遠にはしておけないなんて、こんなの残酷すぎるよ。いっその事、君と心中してしまいたい……」

かのん「あはは、ちぃちゃんってばロマンチック〜」

すみれ「言ってる相手が食べ物だけどね」

千砂都「でも、朽ちていく君をこの体に含んで、私は君と共に生きていくよ。君を愛するが故に私はここで罪を犯すんだ。それが運命の螺旋路に記された宿命なんだと受け入れて」

すみれ「ぐだぐだ言ってないで早く食べてあげなさい」

千砂都「さようなら……私の愛した人……」



チュッ…



それを口に含んだ瞬間、千砂都の瞳からは自然と涙がこぼれた。
その透き通ったようなまるが全身を包み込んでいく感覚からの歓喜と感嘆からである。


かのん「ちぃちゃん!?」

恋「泣いているんですか?」

可可「そんなにもまるを愛しているんデスね……。千砂都は」ウルウル

すみれ「……」
0090名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 02:34:06.06ID:FO0yL1bR
水よりも透明なそれが体へと浸透していく。
水面に落とされた一滴の水滴が全てを侵食していくように。
それはある種の、生命の始まりを千砂都に予感させた。


千砂都(あぁ……きっとこうやってこの世界は生まれたんだ)


原初生命の始まりを千砂都はその身で確かに実感している。
遥か何億年も前に引き起こされた事が今、千砂都の体内で再び起こっているのだ。

そして、その透き通ったまるが自分の血肉へと変わっていく事を千砂都は全身で実感した。
脈うつ血潮がせせらぎの様に聞こえる。
自分の身体に流れる血は今この瞬間無色透明になったのだとはっきりと確信したのである。


千砂都(あぁ、全部透明になっていく)


今の千砂都には見えるもの全てが透明の、透き通る世界に見えていた。

だが、不安感もない、恐れもない、あるのは母親の胎内にいるかのような安心感。


千砂都(…………)


その広く透明な世界で、千砂都は引き寄せられるように、なにかを包み込むように両の手をあわせた。
そして『それ』を確かに描いたのである。


千砂都(─────まる)



きな子「うーん、うーん……」

夏美「千砂都先輩。きな子がうなされるのでぶっ飛んだ想像をしないでくださいですの」

かのん「お疲れだねー。きな子ちゃん。だいじょうぶ?」

可可「クク達の事はきな子さんが見つけ出してくれたんデスよね!」

四季「そう、動物に聞いて回って、探し出してくれた」

可可「その力、最初は怖かったですがクク達を助けてくれたのですからもう怖くないデス!とても素敵な力なのデスから!」


可可「きなきな!助けてくれてありがとうございますデス!」


かのん「きなきなて」
0091名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 02:34:48.97ID:FO0yL1bR
夏美「あまり大きな声を出さないでください。きな子は疲れて寝てるんですの」

すみれ「あんた達も疲れてない?それにその体勢だし疲れたなら言いなさいよ」

夏美「問題ありません。膝に乗せてたのがメイからきな子に変わっただけです」

四季「私も平気」

すみれ「ならいいけど」

メイ「……」

四季「メイ、やけに静か。どうしたの?」

メイ「ばっか!お前!」ヒソヒソ

メイ「御二人がこんな近くにいるんだぞ?私みたいなののくだらない雑音をお耳に入れさせるわけにはいかねぇんだよ」ヒソヒソ

四季「ふたりはそんなの気にしないけど」

メイ「そんな事より御二人と同じ空間にいられるだけで幸せすぎるんだ!これ以上の事は何も望まねぇよ。私はこれから塵と埃を食って生きてくからな」

夏美「はぁ、まったく貴方は一々大袈裟な人ですの」
0092名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 02:36:33.69ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


かのん「あー、やっとついたー」

すみれ「ここまで長かったわね」

かのん「もう車移動はこりごりだよ」

恋「車移動ではない時間の方が長かったような気もしますが」

夏美「はい、到着したんできびきび動いてくださいですのー。時間が押してるんですからね」

かのん「はいはい、言われなくても降りますよーだ」

夏美「待ってください。かのん先輩」

かのん「?」

夏美「貴方は私達と同じ大阪行きですの」

かのん「は?なんで」

夏美「可可先輩、四季、かのん先輩は私と大阪に行く予定だからです」

かのん「そんなの初めて聞いたし」

可可「ククも大阪なんデスね。初めて聞きました」

夏美「初めて言いましたからね」

かのん「どういう人選なの」

四季「夏美ちゃんの好きな人で固めたんだよね」

夏美「そんなわけないでしょう」

かのん「げっ」

夏美「なんですの。そのリアクションは、違うって言ってますの。これも考えがあっての人選。ちゃんとプランがあるんですから」

かのん「じゃあなんなのさ」

夏美「単純な話です。この車を作ったのが四季なのですから、トラブルが起きた時対応してもらわないといけないでしょう?」

かのん「それはわかるけどさ、じゃあ私は?」

夏美「かのん先輩は気を使わなくていいので思いっきりこき使えるからです」

かのん「ふーん、使われないけど」

可可「ククは?ククはなぜ選ばれたのデスか?」

夏美「恋先輩が先に降りたから、まだ車内に残ってた貴方に声をかけました」

かのん「めちゃくちゃノープランじゃん」
0093名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 02:37:47.04ID:FO0yL1bR
可可「ククだけ理由が雑過ぎデス!!それじゃあ仲間はずれみたいじゃないですかー!ククにも選ばれた理由欲しいデス!!ほしいほしいほしいっ!!」

かのん「ここ狭いから隣であんまり駄々こねないで可可ちゃん」

夏美「えぇ?……じゃあ……まぁ、大阪には中国からの観光客が多いらしいですの。なので可可先輩も行きたいかなぁと思って選びました」

可可「おー!そう言われて見れば大阪行ってみたかったデス!食い倒れの街ですよね!」

すみれ「それって京都なんじゃないの。中国からの観光客多いのって」

夏美「適当言ってるので知らないですの」

かのん「適当っていっちゃったよ」

夏美「でも、空港があるのは大阪ですから同じ事ですの!」

かのん「大阪かぁ、あっ!お土産にたこ焼き買ってこようか?ちぃちゃん」

千砂都「…………」(静かに微笑む)

すみれ「あんた、いつまでそのキャラでいるつもりよ」

恋「なにやら悟りを開いてますね」

夏美「メイときな子に段取りを教えてるので、そっちは二人の指示に従ってください」

すみれ「はいはい」

恋「わかりました」

メイ「いや、私が恋先輩に指示とかありえないから……」モジモジ

きな子「その辺はきな子がやるっすからメイちゃんはフォローお願いするっすよ」

すみれ「体調は戻ったの?」

きな子「ばっちりっす!四季ちゃんの太ももはむちむちで寝心地最高っすから!」

四季「きな子ちゃん」

きな子「あっ!でも、すみれ先輩のもよさそうっすね!」

すみれ「元気そうでよかったわ。じゃあ、静かにしててね」

きな子「はいっす!」

夏美「メイときな子だけでは心配なので、すみれ先輩と千砂都先輩もフォローお願いしますの」

すみれ「はいはい」

千砂都「…………」(静かにうなずく)

夏美「じゃあ、さっさと出発しますよ」

かのん「えー?もうちょっと名古屋見ていこうよ」

夏美「見ても味噌かシャチホコくらいしかありませんよ。こんな街。ほら、さっさと行きますの」

かのん「あーあ、せっかくきたのに」

四季「じゃあ、またね。メイ、きな子ちゃん」

メイ「可可先輩に粗相がないようにな!」

きな子「また後でっす〜!」

可可「レンレン!しっかりやるデスよ!信じてますからね!」

恋「あっ……はいっ……!頑張ります。可可さんも頑張ってください」

夏美「じゃあ出してください、四季」

四季「ok」

夏美「出発ですの!」
0094名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 02:39:00.20ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


かのん「はぁ〜、こっからさらに大阪まで行くの?だっる〜い」

夏美「ただ座ってるだけでしょ」

かのん「だからしんどいんじゃん」

可可「くしゅんっ!」

かのん「?」

可可「くしゅんっ!くしゅんっ!」

かのん「大丈夫?可可ちゃん」

可可「はぃ、だいじょぶでず」

かのん「なんか鼻声っぽいけど」

四季「どうかしたの?可可先輩」

かのん「あー、あれかな。川に落ちちゃったんだよね。可可ちゃん」

四季「え?」

可可「心配ご無用です。なんともありませんでしたから」

かのん「でも、もしかしたら、それで身体が冷えて風邪でもひいちゃったのかもしれないね」

可可「いえ、風邪とかじゃないので全然だいじょぶデス。それにほうとうもたべていっぱい汗かきました」

夏美「ほうとう?何してたんですか貴方達」

可可「その後ライブもしましたし、ククの体は冷えてなんかいません」

かのん「でも可可ちゃんそのまま汗も拭かないでクーラーの効いた車に入ったよね」

可可「誰かさんに急かされましたからね」

かのん「それでまた身体が冷えて風邪ひいちゃったんじゃない?」

四季「もしかして風邪ひいたの?可可先輩」

可可「風邪とかじゃないデスよ!ほんと、だいじょぶでずがら」

かのん「さっきよりも鼻声になっていってない?」

可可「風邪じゃないデス!こほっ、こほ」

かのん「咳まで出てるけど……」 

可可「こほんっ!これは違うんデス!チガイマスカラっ!!」

夏美「ふーん、風邪じゃないなら、川の水からヤバい菌でも飲み込んじゃったんじゃないですのー?」

可可「恐ろしい事言うなデス!綺麗な川でしたからそんな事は絶対ありませんよ!」
0095名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 02:40:08.97ID:FO0yL1bR
可可「うっ……ゴホッ!ゴホッ!ゴホッ……」


かのん「あーあ、大声出すから」サスサス

四季「大丈夫。今からそれに対抗するものを培養する」

可可「ばいよう、ですか??けほっ、けほっ」

四季「可可先輩、これ咥えてて」

可可「なんですか?ソレ」

四季「私が作った簡易検査キット。これを使えば唾液から身体で悪さしてる菌が特定できる」

可可「そんなものまで作れるなんて、シキシキはやっぱり凄いデス!けほっ!けほっ!流石ククが見込んだ人!」

四季「そうして特定出来たら、その菌に対抗する菌を培養して可可先輩に投与する」

かのん「凄いね。四季ちゃん。そんな事も出来ちゃうんだ」

夏美「四季はとっても便利なんですの。このキャラはもっと活用すべきですの」

四季「だからそれ咥えてしばらく安静にしてて。ライブまでになんとかするから」

可可「はい、わかりまひた」パク

かのん「頼りになるなぁ。どっかの誰かさんと違って」

夏美「あらぁ?私ほど頼りになる後輩もいませんよぉ?」

かのん「トラブルばっかり起こすのによく言うよ」

夏美「そんな事より、ここは交通マナーが終わってる街『名古屋』ですの。こんな地獄のような街で気なんか抜いていたら一瞬で狩られますよ。気を引き締めてください。かのん先輩」

かのん「いきなりどうしたの」

夏美「事実をいってるだけですの。ね、四季?」

四季「うん、ここではモラルは一切通用しない。だから、自動運転の最も苦手とする場所」
0096名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 02:41:03.57ID:FO0yL1bR
夏美「ほら、ちょっと大通りに出てみたら、バイクよりも早く走る車がビュンビュンしてますの」

かのん「まぁ、東京と比べたらちょっと慌ただしい街なんだろうね」

夏美「ちょっとどころではありません。あれを見て見なさいかのん先輩」

かのん「……青信号を渡ってる人に向けて、車がクラクションを鳴らしてる?」

夏美「どう思います?」

かのん「あははは、この街では挨拶みたいなものなんだろうなぁ」

夏美「そんな挨拶あってたまるものですか。とにかく油断しない事ですの。この街ではちょっとの油断が命取りになりますの」

かのん「大袈裟だよ、そんなの」

夏美「名古屋では私達では考えられないような事がたくさん起きますの。ちょっと追い越しただけで煽られたと勘違いされキレられる。ブレーキランプをつけただけで煽られたと感じられキレられる。余裕でいけそうだったから合流しただけなのに因縁つけられてキレられるなどなどetc……」

かのん「そこまで酷くないでしょ」

夏美「……あれを見てみるですの。あれがこの街の全てを表しています」

かのん「え〜と、あれは?」

四季「自転車が車間詰めてトラックを煽ってる」

かのん「いや、真後ろについて風を避けてるだけじゃない?まぁ、危ないからやめた方がいいけど」

夏美「いいえ、あれは煽りです。この街では舐められたら終わりですの。だから弱者はいません。誰もが皆、狩る側……つまり煽る側に回らなければいけないんですの」

かのん「そんなスラム街みたいなとこじゃないでしょ。川崎じゃないんだからさ」

夏美「ほら、あそこのゴーカートみたいなのに乗ってるご老人も車道で他の車に睨みを利かせてますの」

四季「お年寄りがよく乗ってる小さい車。あれはシニアカー、もしくは電動カーという」

かのん「目が悪いだけでしょ。考え過ぎだよ。ていうかあの人も車道なんか走ってて危ないなぁ」

夏美「弱みを見せたら負けですからね。この街では常に相手を威嚇し続けないといけません」

四季「つもり私達も」

夏美「煽られる前に煽る……!私達もこの街のルールに乗っ取って煽る側の人間にならなければいけないですの!」

かのん「わぁ、なんか物騒な話しになってきたなぁ、関わりたくないから寝たふりしとこ」

四季「でも私、人を煽ったりなんかしたことない」

夏美「大丈夫ですの!私、煽るのは大得意ですから、全面的に任せるですの!」ドヤァッ

かのん「いやーな自慢してるよ」

夏美「なので四季、頼んでた物を」

四季「ん」(メガホンを手渡す)

夏美「どうも」


夏美「おら!軽自動車風情が私達の前に走ってんじゃねぇーですの!!!」キーン


かのん「あーあ、もう最悪だよ。ちぃちゃん達と降りとけばよかった」
0097名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 02:42:40.82ID:FO0yL1bR
夏美「そこのちゃりんこ!命が惜しかったら車道端のほっそいほっそい用水路のあみあみ、走りにくそうに走ってろですの!」

四季「用水路にかぶさってる梯子状の金属蓋はグレーチングっていう。雨の日は滑って危険」

夏美「さっさとするですの!そこの歩行者!わざわざ止まってやってるんですから駆け足しですの!!ほら四季!クラクションを鳴らすですの!」

四季「緊急時以外、歩行者に向けてクラクションを鳴らす行為は事故として成立する可能性大。その音で歩行者が驚いて転んだりでもしたら一発アウト。だから煽りの意味でも感謝の意味でもクラクションを鳴らしちゃ絶対ダメ」

夏美「なら口頭で、ぷっぷーですの!」

四季「その台詞、メイが見てた動画で似たようなの聞いた事がある」

夏美「あぁーっ!!!下道はストレスが溜まるですの!そこで高速に入ってください四季」

四季「わかった」

夏美「おらおら!どけどけーですの!高速に乗れない貧乏人どもwww こっちに道をあけるですの!」

四季「今回の旅費は経費で落ちる。もちろん高速代も。だからケチな夏美ちゃんも躊躇なく使えるね」

夏美「よーし、とろい車ごぼう抜きですの!追い越し車線大爆走の巻ですの四季!」

四季「追い越し車線を走行し続けるのは通行帯違反」

夏美「なら、追い越す時だけ爆走ですの!」

かのん「その変な所で律儀なのなんなんだろう……」

夏美「?なにやら車の流れが悪くなってきたですの」

四季「皆、制限速度で走ってるね」

夏美「むむっ?なにやらあの車付近がやけにとろいですの!原因はきっとあれですの!」

四季「待って、夏美ちゃん」

夏美「おらっ!そこの車!なーにとろとろ走ってやがるんですの!」

四季「あれクラウンだから、そういうのはやめた方が良い」

夏美「クラウンがなんですの!王様でも乗ってるんですの?高い車に乗ってるから偉いんですの??気に入らない!金持ちがそんな偉いんですの!!」

四季「おちついて夏美ちゃん」

夏美「おはぎぶん投げてやりますの!それで田舎のおばあちゃん思い出してお金より大事なもの思い出しやがれですの!」

かのん「そっちがもっと大事なこと思い出したほうがいいよ」


クラウン(覆面パトカー)「……えー、そこの赤の車、止まりなさい」ウーウー


夏美「にゃはっ!??」
0098名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 02:43:56.27ID:FO0yL1bR
四季「だから言ったのに」

かのん「あーあ、いよいよとんでもないことになっちゃった」

可可「ククはいつまでこれを咥えてればいいんでしょうか……?」

夏美「やばいですの!この年でブタ箱は勘弁ですの!」

四季「大丈夫、逃げ切るから。現行犯じゃなきゃ『絶対』捕まらない。逃げ切りさえすればナンバープレートを控えられたって写真を撮られたって私達は『絶対』に捕まらないから」

かのん「怖いんだよなぁ、変なとこ律儀な癖に、そうじゃない部分が垣間見えるのが」





ビュウウウウウウウウウンッ!!キイイインッ!!!!ドォオオオンッ!!!!!!!!!





夏美「むぅっ!こんだけ飛ばしてるのに全然撒けないですの!!」

四季「リミッター解除したクラウンの最高速度は250。簡単には撒けない。それにもし警察用で特別にして貰ってるなら時速300キロ以上出る可能性もあるかもしれない」

夏美「300キロぉ!?」

四季「ちなみにこれは、皆だいすきのハンミョウが、もし人間くらいのサイズだったら、300キロくらい軽く出るらしい」

夏美「好きじゃねーですの!そんな事よりこのままだとこの輝かしいオニナッツの経歴に傷がついちゃうですの!後ろでやさぐれてる人みたいに!」

かのん「ついてないよ」

四季「ハンミョウもキラキラして輝かしい。あのデザインは生命の神秘」ウットリ…

夏美「それにここで捕まったら可可先輩が母国へ強制送還されるかもしれないですの!」

可可「!!?」

四季「それはダメ」

可可「ククもまだ帰るわけにはいかないデス!」

夏美「ならどうにかするですの!」
0099名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 02:44:45.42ID:FO0yL1bR
四季「いい方法がある」

夏美「なんですの!」

四季「このまま進むと建設途中の高速道路がある」

夏美「それがなんなんですの!」

四季「そこを走るの」

夏美「いや、そんな所走ったら!」

四季「そう、いつか道がなくなる」

夏美「そうなったら終わりですの!ジ・エンドですの!」

四季「ううん、終わりじゃない。行き止まりになったら警察は止まるしかない。でも私達は違う。そうでしょ?」

夏美「?」

四季「落っこちても大丈夫。だってこの車は特別仕様だから」

かのん「大丈夫じゃなかった出来事がつい直近であった気がするけど」

夏美「そんな上手くいきますの?」

四季「いく」

夏美「……四季を信じるしかありませんね」

四季「それにもうその道路走ってる。もう引き返せない」

かのん「あーあ、今日こんなんばっかじゃん」

四季「見て、夏美ちゃん。あそこから道がなくなってる。もうそこからおもいっきり飛ぶしかない」

かのん「ひぃぃっ、道の終わりがどんどん迫ってくるっ!!こわっ!!」

夏美「なんですのあれ!めちゃくちゃ絵になりますの!カメラをまわしますからちょっと待ってて!」

かのん「いや、そんな場合じゃないでしょ!」

四季「かのん先輩、可可先輩。なにかに掴まってて。けど、ドアノブには触らないでね。また探しに行くのは大変」

かのん「あーもうっ、可可ちゃん私に掴まってて!」

可可「え?はいデス!」

四季「いくよ」

夏美「衝撃映像ですの!!鬼バズりですの!」


夏美「にゃっはーーー!!」
0100名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 02:55:02.49ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


恋「ダンスサバイバルですか?」

きな子「そうっす、ルールは全員でパフォーマンスをして最後まで踊り続けていたグループの勝利っす」

すみれ「ふーん、そんな変わった大会もあるのね」

千砂都「楽しそうだね!」

すみれ「あぁ、元に戻ったのね。千砂都」

千砂都「感動っていうのは長く続かないからねー。いい本とか読んでも翌日には忘れてるものじゃん?」

すみれ「まぁ、たしかに」

千砂都「それに所詮は売り物に出来ないまがい物だしねー。あははは」

すみれ「あんたも結構言う方なのね。そういう事」

きな子「えー、基本的なルールはこんな感じっす!大丈夫っすか?」

恋「なんとなくは理解出来ました」

千砂都「でもこれってさ、システム的に人数が多い方が有利って事になりそうじゃない?」

きな子「実際そうっすね。この大会のためだけにメンバーを追加したグループもいるっぽいっす。さっき、そういう考えが聞こえてきたっすもん」

すみれ「なかなかにドロドロしてるじゃない」

恋「ここにいるみなさんと踊るんですか?」

きな子「そうっす!サバイバルなんで当然妨害行為とかもあるっす。なので気をつけてください。恋先輩」

すみれ「大丈夫なの?あの子おっとりしてるからこういうのには不向きだと思うんだけど」

千砂都「うん。でも優しい恋ちゃんが殻を破るにはいい機会かもねー」

すみれ「厳しいコーチさんね」

千砂都「だってビシバシしごいてって頼まれたし!」

すみれ「とはいっても、もうちょっとフォローとかしてあげてもいいんじゃないの」

千砂都「そう?でも、頼まれたのは指導だけだしそれ以外の事は余計なお世話かなって」

すみれ「そう」


恋「……」(心細げな横顔)


すみれ「……」
0101名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 02:55:55.54ID:FO0yL1bR
千砂都「あれ?すみれちゃん、なにか言いたげだったりする?」

すみれ「別に。ただあんまり自分の意思がないのねって思って」

千砂都「えー?誰が?」

すみれ「あんたよ。千砂都」

千砂都「わたし?う〜ん、そうかなぁ?そんなの初めて言われたよ」

すみれ「友達が困ってたら助けてあげるべきじゃないの」

千砂都「助ける?」

すみれ「えぇ」

千砂都「……」

すみれ「?」

千砂都「『助ける』……?」

すみれ「……なによ」

千砂都「……」


摩央「あら、奇遇ね。こんなところ会えるなんて」

恋「え?ま、摩央さん?」

すみれ「……だれ?」

きな子「えーっと、ちょっと待つっすよ。う〜ん……はっ!サニパってグループの人らしいっす!どうやら先輩たちの越えるべき壁っぽいっすね。ライバルってやつっす」

すみれ「なるほどね」
0102名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 02:56:32.17ID:FO0yL1bR
摩央「今日はひとり?いつもの可愛らしい子がいないけれど」

恋「はい、今日は私一人で。可可さんは別の大会に参加してるんです」

摩央「という事はそれぞれの場所でそれぞれの戦いってやつかしら?ラブライブを前に」

恋「そうです。それぞれ別の場所で試練に挑むことになったんですよ」

摩央「試練ね。……ふふ、でもその口ぶりだと、貴方はあんまり乗り気ではなかったみたい」

恋「え……あ、はい。そうですね……可可さんなしで大丈夫なのかとても不安で」

摩央「けれど、必要な事かもしれないわ。貴方にとっては特に……ね?」

恋「そう、でしょうか……?」

摩央「実は私も今回ひとりなの」

恋「そうなんですか?」

摩央「えぇ、私も参加するからまたそこで会いましょう。だから最後まで踊り続けていて」

恋「あ、はい。また……」

すみれ「ふーん、強者の余裕ってやつかしら。敵にエールなんてずいぶん余裕そうじゃない」

きな子「強キャラってやつっすね。かっこいいっす〜」

恋「……」

すみれ「大丈夫?恋」

恋「え?あ、はい、大丈夫です。ちょっとプレッシャーを感じただけなので」

すみれ「全然大丈夫じゃないじゃない」

恋「あ、あはは……」

すみれ「まったくどうなることやら」
0103名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 02:57:52.69ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


千砂都「…………」


千砂都「『助ける』か……」

千砂都(私が助ける側なんて考えた事もなかったなぁ)

千砂都(そういうのはかのんちゃんの役目で私はその隣に立ててればいいと思ってたから)

千砂都「…………」

千砂都(でも、やっぱりそういうのは私の役目じゃないかな)


千砂都(だって私は、かのんちゃんじゃないし)


メイ「うわぁ〜スクールアイドル達がいっぱいだぁ……」

千砂都「ん?」

メイ「なるほどな、スタッフとしてもぐりこめれば裏側の彼女たちもみれるのか。手を伸ばせば掴めそうな距離にあの子やあの子やあの子が……!」

千砂都「めーいちゃんっなにしてるの?」

メイ「うおぉぉっ!千砂都先輩!?いつからそこに」

千砂都「かわいい子達をみてメイちゃんがかわいい顔してるあたりからいたよ」

メイ「か、かわいくねぇよっ!!!」

千砂都「……」ニコニコ

メイ「あ、かわいくない……です」

千砂都「かわいいけどなぁ」

メイ「そういうのやめてください……」

千砂都「でも本当に好きなんだね。スクールアイドル」

メイ「……はい」

千砂都「あははー、すなおだぁ」

メイ「からかうのはやめてくださいってば!」
0104名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 02:58:50.11ID:FO0yL1bR
千砂都「ねぇねぇ、メイちゃんはスクールアイドルのどんなところが好きなの?」

メイ「え?どんなところが、っすか?」

千砂都「うん」

メイ「えっと、すね」


メイ「まず一口にスクールアイドルといってもそれぞれ抱えてる理由は違うんですね。アイドルに憧れてるからとか、可愛い自分をアピールしたいからとか、町おこしのためだったり大好きな学校のためだったりなにか他のために頑張ってる子もいます。でも理由はなんであれ皆必死にやってるんすよ、皆それぞれに抱えてるものがあるから頑張れる!だからこそ輝くことができる!それがスクールアイドルの魅力なんだよな!そしてそれを追いかける理由は青春を分け与えられてるような気になるから?上手く伝わるかわかんないけど、頑張ってる子を見ると応援したくなるだろ?この子達にもっと輝いてもらいたい、もっと輝かせたいって、そういう気持ちで応援すると自分もなんだか輝いてる気になってきて。ライブが成功した時、それはもちろん彼女たちの頑張りの結果なんだけど自分達もなにか成し遂げたような達成感を味わえていろんな思いがごちゃまぜになって、もうっ月並みの言葉だけど感動するとしか言えないんだよ!これがスクールアイドルを追いかける醍醐味。彼女たちは毎回ライブが終わるとありがとうって言ってくれて……!でもね!その台詞はこっちの台詞なんだよ!その子達と出逢えたことを幸せに思っているということ!本当に感謝したい!伝えたいんだよ!ありがとうって!何度でも!だから次もその次も追いかけるんだ!そして生まれてきてくれてありがとうって思うんだ!だって彼女達はこの世界に1人しかいないかけがえのない存在なんだから!そしてそんな彼女たちに会えたスクールアイドルの世界に感謝してっ」


千砂都「…………」

メイ「はっ、す、すいません……熱があがってきちゃって」

千砂都「すっごーい!メイちゃん!」

メイ「へ?」

千砂都「そんなに大好きなものについて一生懸命に語れるなんて凄いよ!まるだね!まんまる!おおまる!」

メイ「そんな事ない……です……」

千砂都「うんうん、やっぱりまんまるなメイちゃんはかわいいなぁ、ずっとそのままでいればいいのに」

メイ「かわいくねぇっ……す」

千砂都「そのぎこちない敬語もかわいいよ」

メイ「もうっやめてください!」

千砂都「あははは」

メイ「とにかく、私がスクールアイドル好きなのはそういう彼女たちを応援したいから。助けたいって気持ちにさせてくれるから追うんです!」

千砂都「助けたい?」

メイ「はい」

千砂都「……」

メイ「……?」

千砂都「……」


千砂都「『助けたい』……?」
0105名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 02:59:55.67ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


あの透明なまるを口に含んだ瞬間。この世の始まりから今日に至るこの日までの出来事を、千砂都は走馬灯のように振り返っていた。

千砂都は幼少の頃、内向的な性格から人と打ち解ける事も出来ず、誰よりも成長が遅れ虚弱さを表してるかのような肌と髪色から、周囲の子供たちからは圧倒的弱者と認識されいじめの標的にもされた。

そんな千砂都を救ってくれたのは澁谷かのん、ただひとりである。

千砂都にとって澁谷かのんは自分を助け出してくれた救世主であった。それは闇に覆われた世界に一筋の光のように現れたのだ。
そしてこの出会いが千砂都を大きく変える事になる。

千砂都は自分が嫌いだった。自分の影に怯えるくらい臆病で情けない自分が。なにをするにも周りより明らかに劣っている自分が。そしてそんな人間が澁谷かのんの側にいるのは相応しくないと本気で考えた。
光への憧れの余りに。自分にある闇を消し去りたいと願ったのだ。

その結果、千砂都は澁谷かのんに相応しい親友を思い描き、自分を作り変えた。
血の滲むような努力を経てなんでもこなせる高い身体能力と社交的で誰とでも仲良くなれる性格を手に入れた。

全ては澁谷かのんに相応しい人間になるために。理想の澁谷かのんの親友になったのである。


しかし、その過酷すぎる過程で、千砂都には大切なものが抜け落ちていた。大切な思いが欠落していたのだ。


彼女はまだそれに気付いていない。
0106名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:01:30.27ID:FO0yL1bR
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千砂都「れーんちゃんっ!大丈夫?」

恋「あっ、千砂都さん……」

千砂都「こういうとこ苦手?」

恋「そう、ですね。こういう人がたくさんいるところは実はあまり得意ではないんです」

千砂都「そっか」

恋「はい」

千砂都「なら、なんでスクールアイドルを始めたの?」

恋「え?」

千砂都「だってアイドルやるなら、こういう苦手なところにたくさんこないといけないじゃん」

恋「そうですね。理由といわれるとはっきりとした答えが出せないのですが……」

恋「実は私の母もスクールアイドルをやっていたのです」

千砂都「お母さんが?」

恋「はい、それでお母さまが言っていたんです。スクールアイドルは──────────だって」

千砂都「そうなんだ。じゃあ、きっかけはそれ?」

恋「……といってもそれは遠い日の思い出。私自身引っ込み思案な性格でアイドルというものに憧れる子供でもなかったんです」

千砂都「そうなの?」

恋「はい、内向的で友達もいませんでした。だから外ではずっとひとりぼっちで」

千砂都「……」

恋「なので家で習い事や本を読んでる事の方が楽しいと感じていました」

恋「そんな私を見てか母はスクールアイドル時代の話はあまりしないようになりました。きっと、興味もないのに自分の青春を押し付けるような事にはしたくなかったのでしょう」

恋「そんな小学校、中学校時代を過ごして……お母さまが……いえ、これはやめておきましょう」

恋「そうして高校生になった時、生徒会長にはなったけどきっと今までと何も変わらず、高校生活もきっと同じように過ぎ去っていくんだろうなと思っていました」

恋「でもある日、学校で派手に勧誘活動をしてる可可さんと出会ったんです」

千砂都「あー、みたみた。おぼえてるよ、あれはすごかったよねー」

恋「はい、ほんとにあの頃の可可さんには驚かされてばかりでした」

千砂都「そっかー、あれが運命の出会いかー」
0107名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:02:24.18ID:FO0yL1bR
恋「最初は生徒会長として注意するつもりだったんですよ?でも、可可さんの情熱と気迫に圧されて毎日話してるうちに、ふとお母様との、その遠い日の記憶を思い出したんです」

恋「それは本当に、湧き上がるよう自然と思い出したから、そのまま言葉に出してしまいたくなって、つい可可さんにお母さまの事を話してしまったんです」

恋「初対面の相手なのに変ですよね。でも、可可さんは一生懸命私の話を聞いてくれて。聞き終わった後、なら貴方もスクールアイドルをやるべきですって、お母さまがそう感じた理由。私にもわからせてあげますからって言われたんです」

千砂都「なるほど、可可ちゃんに口説かれちゃったんだねー」

恋「そうですね。ふふっ」

千砂都「それで、お母さんの気持ちはわかったの?」

恋「まだわかりません。可可さんの後ろをついていくのにせいいっぱいでしたから」

千砂都「そっか」

恋「でも、可可さんがいるから見れた景色があって。その度に私は感動して……。だからきっと、もうすぐわかるような気がするんです」




すみれ「……」

きな子「あー、せんぱい盗み聞きっすかぁ??」

すみれ「そんなんじゃないわよ。ただ入るタイミングがなかっただけ」

メイ「ううっ……始まりはそんな理由だったのか……可可先輩と恋先輩との絆っ」

すみれ「あんた達も盗み聞いてるじゃない、ていうかメイは知らなかったの?」

メイ「盗聴器じゃ話した事しか知れないからな……」グスッ

すみれ「あんま外でそういうワード出すんじゃないわよ」

きな子「今通り過ぎた子、ぎょっとしてたっす」

メイ「よーし!!一生ふたりを推すぞ!前から決めてたけど更に強く決めたんだ!」

きな子「おー、メイちゃんやる気っすね。きな子もやるっすよー」

すみれ「まったく、ふたりとも気楽ね。問題は解決してないのに」
0108名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:03:49.83ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


千砂都「…………」

すみれ「さっきからずっと神妙な顔してるけど、まだ戻ってなかったわけ?さっきのキャラ」

千砂都「……あ。すみれちゃんか」

すみれ「ずっと考え込んでるけどなんなのよ」

千砂都「うん、すみれちゃんに言われた悪口が心の奥にとどまっててね」

すみれ「別に悪口なんか言ってないわよ」

千砂都「人の心を失ってるみたいな事をいったじゃん」

すみれ「そこまで酷い事は言った覚えないんだけど」

千砂都「言った方は皆そう言うんだよねー」

すみれ「まぁ、傷ついたなら謝るわよ。ごめんなさいね」

千砂都「うーん」

すみれ「なによ。まだ足りない?」

千砂都「すみれちゃんってさ。情熱がない人だよね」

すみれ「なに?さっきの仕返し?」

千砂都「ううん、思った事を言っただけだよ。必死にならないというか本気になるのを避けてる……みたいじゃない?すみれちゃんって」

すみれ「まぁ、そうかもね」

千砂都「ほら、こんな事言っても全然怒らないしさ」

すみれ「だって事実だって認めてるし。頑張るのって疲れるじゃない」

千砂都「つかれる……ね」

すみれ「ていうかなんなのよ急に」

千砂都「すみれちゃんは私にああいったけど。すみれちゃんだって恋ちゃんを『助けて』あげないの?」

すみれ「だってそこまで頼まれてないし」

千砂都「私と同じ事言ってるー」

すみれ「そうね」

千砂都「そういうのってズルくない?私にはああいったくせに」

すみれ「ズルいかもね」

千砂都「やーい、ずるっこ」

すみれ「はいはい」
0109名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:05:12.60ID:FO0yL1bR
千砂都「なんかつまらなそうだね。すみれちゃんって」

すみれ「それは今のあんたの感想じゃなくて?」

千砂都「すみれちゃんの人生の話だよ」

すみれ「ずいぶん失礼な事言うわね」

千砂都「だってふとした瞬間、まるでなにか諦めてつまらなそうにしてるような顔するじゃん。かのんちゃんは気付いてないだろうけど私はそういうの気付いちゃうよ」

すみれ「そう、今後気をつけるわ」

千砂都「普通科にコンプレックス感じてるのも、自分がこんなつまらない人生を歩んでるのは何かのせいにしたいからでしょ」

すみれ「……」

千砂都「ちがう?」

すみれ「……それをいうならあんたこそつまらなそうじゃない?」

千砂都「そう?」

すみれ「向こうで成功してきて帰ってきたっていうのになにも充実感や満足感がないような顔してるじゃない。まるで本当の目的は別にあるのにそれが永遠に叶わないみたいな顔」

千砂都「ずいぶん具体的だね。う〜ん、そんな顔してるかなぁ」

すみれ「きっとダンスを学ぶことは目的じゃなくて手段だったんでしょ?でもあいにくその手段を使う機会がこない。だから手をあぐねている。違う?」

千砂都「……」

すみれ「そうなってる理由は、あんたは行動原理が『自分』じゃなくて『誰か』になってるから。誰かに尽くしたり仕える喜びっていうのは確かにあるかもしれないわ。けど、今のあんたにはその『誰か』がいない状態なんでしょ?正確にはいるけどその当人がなんのやる気もない状態。だから、あんたもなにもすることも出来ない。そして『自分』がない以上、自分で考えて自分がやりたい事というの見つけられないのよ。意思がないんだから」

すみれ「だとしたら、情熱がないのはあんたも一緒なんじゃないの」

千砂都「おー!」パチパチパチ

すみれ「……」

千砂都「凄い分析力だね。やっぱすみれちゃんはただものじゃないや」

すみれ「そうやって逃げるのもズルいと思うわ」

千砂都「うーん、だって私がムキになって返したら今度はそっちがうまくかわして逃げるんでしょ?」

すみれ「かもね」
0110名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:05:53.11ID:FO0yL1bR
千砂都「ふふ、なんか私達似た者同士かも」

すみれ「そうかしら」

千砂都「そうだよ、同じ情熱がないもの同士」


千砂都「だから、すみれちゃんは私と一緒」


千砂都「……ね?」

すみれ「………」



メイ「……なんであそこは参加者でもないのにピリピリしてるんだ?」

きな子「強キャラ同士の会話っすね。なんかわくわくするっす」


『えーまもなく、第12回ダンスサバイバル開催されます。エントリーがまだの方はお早めに記入お願いします』


すみれ「……」

千砂都「はじまるね」

すみれ「そうね」

千砂都「応援しよっか?恋ちゃんを」

すみれ「えぇ」
0111名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:07:12.71ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


きな子「この大会はサバイバル。相手を妨害する方法が用意されてるっす」

きな子「それはアピール攻撃」

きな子「でも、それを説明する前に、まずこの会場は床が光るパネルになっていてどんどんライトが減っていくシステムになってる事を知っててほしいっすよ」

きな子「それでアピール攻撃の話なんですけど、簡単な話がかっこよかったりすごかったりするアピールを決めたら他のチームの足場が攻撃されてライトが消えるっす」

きな子「ここでお察しの通り消えた足場に触れたらその人はアウトってことっすね」

恋「なるほど」

千砂都「やっぱり人数が多い方が有利じゃん」

きな子「まぁ、一応上限は決められてるみたいっすけどね」

すみれ「大丈夫なの?恋」

恋「はい、もう覚悟を決めましたので」

すみれ「そう」

恋「……行ってきますね」

きな子「頑張ってくださいっす!」


メイ「うおーーー!!!恋先輩がんばれーーー!!!」


千砂都「あはは、メイちゃんあんな遠くから」

すみれ「元気があってよろしい」


『さぁ、まもなくはじまります』


恋「……」


すみれ「大丈夫かしら」

きな子「う〜、どきどきするっす」

メイ「頑張れ、恋先輩……!」

千砂都「おっ、メイちゃん。恋ちゃんが行ったから近く寄って来れたんだね」
0112名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:08:04.05ID:FO0yL1bR
恋「……」


どんっ


恋「……あっ、すみません」

モブA「あーら、こんなところに地味な子が一人で突っ立てるから気付かなかった」

モブB「ほんとだー存在感うすっ!ここだけ明度ゼロなんですけどwww」

モブC「あははははははは!!」

恋「あっ、あの……すみません……」


千砂都「あっ、恋ちゃんが」

きな子「なんすかあれ。感じ悪いっす」

メイ「……ムカつくが仕方ねぇよ。嫌な奴だっているさ。スクールアイドルは遊びじゃねぇからな」

すみれ「恋ってばなに謝ってんのよ。あれじゃ舐められるじゃない」


モブA「私達、大所帯なんだからひとりぼっちの子はすみっこ行っててくれる?」

モブB「いるよねー、こういうテーブル席一人で座ってるような自分勝手な子www」

モブC「あははははははは!!」


メイ「ちっ……」

きな子「むむっ……、あんなのもアイドルなんすか?」

すみれ「ふん、あれじゃいじめじゃない」

千砂都「…………」

すみれ「見てられない」イラッ
0113名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:08:55.61ID:FO0yL1bR
すみれ(あー、さっきから妙にイライラするわね)

すみれ(でも、何に?あの嫌な奴らに?それとも言われっぱなしでへらへらしてる恋に?)

すみれ(違うわよ。さっき千砂都が煽ってきたせいよ)


千砂都『すみれちゃんは私と一緒』


すみれ(何が一緒よ。そっちこそ全部お見通しのくせに)

すみれ(あの時、千砂都が私に言い返そうと思えば出来たのにしなかった)

すみれ(私が気怠そうにして毎日何かのせいにしてるのは、私だって本気を出せば凄いのよって思いたいからしてるだけ。ちっぽけな自尊心を守るための行動だって、あんたは気付いてるんでしょ)

すみれ(その一番指摘されたくない部分を見透かしてるくせに)

すみれ(そうよ、本気を出してなきゃ負けた言い訳が出来るからそうしてるだけ)

すみれ(なのに一緒だなんて……!)

すみれ(あんたは結果を出してる。でも私は何も出してない)

すみれ(その圧倒的な違いがあるのに一緒ですって??)

すみれ(私だって一生懸命やってきた。なのに、いつも私は主役じゃない。よくて脇役。よくて代役にしか選ばれない、そんな私に対してあんたみたいなっ、いつ本気出してるのかわからないような本当の意味での実力未知数の奴がよくも自分と一緒だなんてっ……言ってくれたわねっ!)ギリッ…


きな子「ひぃ〜……」

メイ「どうしたきな子」

きな子「こ、怖いっす……」

メイ「おう、これから始まるからな。戦いが」

きな子「違う、そっちじゃないっす……」
0114名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:09:37.98ID:FO0yL1bR
モブA「はやく向こういってよ!どんくさいなぁ!」

モブB「やめなよwww怖くて動けなくなっちゃってるのかもよww」

モブC「あははははははは!!」

恋「あ、あの……その……」

モブA「貴方みたいなのは一生一番になれないんだからさぁ!」


すみれ「……」イラッ


???『あんたみたいな子は一生主役に選ばれないんだからさぁ!』


すみれ「きな子、いまからチームの追加って出来る?」

きな子「え?……あっ、はい、出来るっすよ!」

すみれ「察しがよくて助かるわ」

きな子「お、お気をつけてっす」

メイ「な、なんだぁ?すみれ先輩がステージに!?」
0115名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:10:34.81ID:FO0yL1bR
千砂都「……」



恋『内向的で友達もいませんでした』


恋『だからずっとひとりぼっちで』


すみれ『あれじゃいじめじゃない』


???『この子、暗くてきらーい』


???『こっちくんなよ!』


千砂都(恋ちゃん。まるで、あの時の私みたいじゃん)


かのん『やめなよ!!』


千砂都(でも、……私にはかのんちゃんがいた)


ちさと『ありがとう……かのんちゃん……』

かのん『いいよ!それよりあっちであそぼ!』


千砂都(かのんちゃんがいるから大丈夫だって思えた。かのんちゃんがいるから安心出来た。ただ隣にいてくれるだけで……)

千砂都(でも……)


かのん『わたし……うたえなくなっちゃった……あはは……』
0116名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:11:15.05ID:FO0yL1bR
千砂都(助けられてばっかりで何も出来なくて、だから変わろうと思えた。大嫌いな自分を変えて、かのんちゃんの力になろうって、かのんちゃんが困ってたら助けてあげられるように……)

千砂都(でも、私じゃどこまでいってもかのんちゃんの助けになれなくて)

千砂都(かのんちゃんを助けてあげたかったのに、結局どこまで変わったって私には無理なんだってわかった)

千砂都(私はかのんちゃんみたいに誰かを助けてあげられる人じゃないんだって)

千砂都(でも、それもそうだよねっ。だって、どこまで変わったって私がいじめられる側の人間だったって事実は変わらなくて……)

千砂都(こんな弱弱しい外見の子なんか頼りにならないよね)

千砂都(だから……かのんちゃんは助けてって言ってくれない……頼ってくれない)

千砂都(あそこにいる恋ちゃんだって私に助けてなんて言わない)

千砂都(誰も私を頼りになんかしないんだ)

千砂都(だから、助けなくたっていいでしょ……?)

千砂都(みんな、なにもいわないんだからっ……)

千砂都(なにもいわないのにっ……!)
0117名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:12:09.85ID:FO0yL1bR
ちさと『いつもたすけてもらってばかりで……ごめんね』

かのん『えー?……そんなのいいんだよ!だって、友達なんだから!』

ちさと『でも……』

かのん『ふふっ』ポンポン

ちさと『かのんちゃん……?』

かのん『じゃあ、ちぃちゃんもいつか誰かを助けてあげてね!』

ちさと『で、でも、わたしなんか頼ってくる人いないよ……』

かのん『えー?なにそれ〜?変なこと言うなぁちぃちゃんは』

ちさと『え?』

かのん『助けてって言われなくたってね?』


かのん『助けたいって思った人を助けてあげていいんだよ!』



千砂都(助けたいって思った人……?)



恋「……っ」



千砂都(恋ちゃんが困ってる)



恋『だって、千砂都さんは高校で初めて出来たお友達ですもん』



千砂都(あはは、1年生の頃ちょっと話しただけなのに、そんな親友が出来たみたいな言い方して大袈裟だよね)

千砂都(お家に遊びに行くかもって話の時もすごくうれしそうにしてたし)

千砂都(でも、私とかのんちゃんも初めはそうだった)


かのん『ねー、あなたなにしてるの?』

ちさと『え?えっと……その……』

かのん『一緒に遊ぼうよ!』

ちさと『え……?』


千砂都(ただ、声をかけてくれた事が嬉しくて温かくて支えになって)

千砂都(私は恋ちゃんにとって、あの時のかのんちゃんみたいになれてたのかな?)

千砂都(だとしたら、ちょっと頑張りが報われたかも)
0118名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:13:03.00ID:FO0yL1bR
モブA「ちょっと、いつまでぼけーっと突っ立てるわけ!あっちいけっていってんの!」

モブB「あんまビビらせてあげないでよwwwこういう暗い子はきょどると謎の行動しだすんだからさww」

モブC「あははははははは!!」

恋「……えっと」



千砂都「っ」


千砂都(なんだろ、気持ち……自分の心が何かをしたいってうごいてるみたい)


すみれ『あんたって自分の意思がなさそうね』


千砂都(自分の意思……?)


すみれ『助けたいって思わないの?』


千砂都(……そっか、本当に助けたいって気持ちはこれなんだ)

千砂都(湧き出てくるような『自分』の意思で、衝動的に飛び出して行きたくなるような気持ち)

千砂都(たとえ力になれなくても、相応しくなくても、求められなくても誰かの側に駆け寄っていっていいんだ。かのんちゃんみたいな人じゃなくても誰かを助けていいんだ!)

千砂都(だって、私は一言も助けてなんかいってないじゃんっ……!でも、かのんちゃんは駆けつけてくれた)

千砂都(だから私は救われたんだっ!)

千砂都(だったら、その気持ちだけで動き出していいよねっ、誰かの意思じゃない。自分の意思でっ)



千砂都(私は恋ちゃんを、助けたい……!)



千砂都「なら……」


千砂都「私もお願いねきな子ちゃん!」

きな子「え?あっ、はいっす!!」

千砂都「行ってくる!」

メイ「ええぇ!!!ふたりが舞台に!?という事はふたりはスクールアイドルになったって事なのか?……あー!なら、これからどういう目でふたりを見ればいいんだぁー!!!」

きな子「ほら、後輩らしく先輩たちを応援するっすよ!」パンッ!

メイ「ちょっ!ケツ叩くなよっ!」

きな子「気合いをいれたっす!」
0119名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:13:49.24ID:FO0yL1bR
すみれ「あら?頼まれてない事はやらないんじゃなかったの?」

千砂都「うん!そのつもりだったけどね。やっぱり言われっぱなしも悔しいし、すみれちゃんも出るならダンスバトルでぶっとばしちゃおうと思って」

すみれ「ふーん、私達仲間なんだけど?」


恋「千砂都さん?それにすみれさんまで……どうしてここに?」

すみれ「私達も参加する事になったから」

恋「え?」

千砂都「よーし!恋ちゃんの事もぶっとばしちゃうぞー」

恋「ええっ!!」

すみれ「やめなさいってば」

千砂都「はーい、ここは恋ちゃんが先に使ってた場所だから向こういっててね」

モブA「はぁ?なによこいつら」

モブB「また地味なのがぞろぞろきちゃって」

モブC「あははははははは!!」

すみれ「失せなさい。私は機嫌が悪いのよ」

モブA「あぁ?」

すみれ「あんたが一番ムカつくから真っ先に叩き潰してあげるわ」

モブA「は?なにおまえ?偉そうに、やってみろよっ!!!」

すみれ「あら、理解できなかったの?やってみるんじゃなくて。確実にやるっていってんだけど?バカそうな顔してるけど中身もほんとにバカなのね」

モブA「あぁ゛?」

千砂都「おー、解き放たれた狂犬だぁ!」

恋「あわわわ、け、喧嘩はだめですよ!生徒会長として見逃せません」

千砂都「あはは、真面目だな、恋ちゃんは」ポンポン

恋「ち、千砂都さん?」

千砂都「さぁ!始まるよ!最後まで残ってた人がかのんちゃんのお土産独り占めね!」

すみれ「勝ってもあんたにあげるわよ。どうせ冷めてておいしくないでしょ」

千砂都「むっ、すみれちゃん?まるってだけで価値があるんだよ!たこやきは!」

恋「あの、状況についていけないのですが……」

すみれ「ならついてきなさい」

千砂都「おー、かっこいいね!すみれちゃんは」

すみれ「あんたも、おちゃらけてないで真面目にやってよね」

千砂都「えー?だって私はこういう性格だしー」

すみれ「ほら、恋、千砂都、いくわよ」

千砂都「おっけー」

恋「えっと……は、はいっ!!」



『エントリー受け付け終了しました。間もなく始まります』
0120名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:14:52.14ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


すみれ「……」タッタッタッ

千砂都「おー!すみれちゃんの踊ってるの初めて見たけど凄いね」

すみれ「別に、あんた達のを見様見真似よ」

千砂都「なんて言って、ほんとはコソ練してきたでしょー」

すみれ「する意味もないわ。アイドルなんて興味ないんだから」

千砂都「興味ないんだってすみれちゃん。かなしいね」

恋「ちょっと、あまり話しかけられても、返せる余裕がないのですが……」

千砂都「そんな緊張しないで気楽にやろうよー」

すみれ「……」タッタッタッタ

千砂都「負けず嫌いのすみれちゃんがぜーんぶやっつけてくれるから」


モブA「ちょっ!!!」

モブB「あぶなっ!!!」

モブC「あははははははは!!」


千砂都「わー、あのチームに集中攻撃してるー!こわいねー?恋ちゃん」

恋「ええっと……」

すみれ「あんた達も真面目にやりなさい」

千砂都「えー?」

すみれ「特に恋、あんた可可との約束忘れたの?」

恋「え?」

すみれ「がんばるって約束」

千砂都「したっけそんな約束?」

恋「し、しました!」

すみれ「真面目にやらないならチクるわよ。さぼってたってね」

恋「それは困ります!」

千砂都「わー、脅迫だぁ。私達仲間なんだよ?」

すみれ「さっきぶっとばすとかいってなかった?私のこと」

千砂都「あはは、言ったっけ?」

すみれ「いったわよ」

千砂都「うーん、かわいいまんまるジョークなんだけどなぁ」

すみれ「まるに関すること全部意味わかんないわね。あんたって」

千砂都「はぁー、じゃあ、ほんとにやろっかな。すみれちゃん達ぶっとばしちゃうの」

恋「え?」



きな子「なんか仲間同士でまたごちゃごちゃやってるっす!でも先輩たち皆がんばれーっす!」

メイ「恋先輩!まけるなぁ!!!」
0121名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:15:56.76ID:FO0yL1bR
恋「はぁ……はぁ……やはり争い事になると……」

千砂都「苦手?」

恋「はい、どうしても遠慮が出てきて」

千砂都「うーん、……恋ちゃんはさ?」

恋「はい?」

千砂都「ゲーム好きだよね?」

恋「はい、たしなむ程度ですが……」

千砂都「これもゲームと一緒なんだよ?」

恋「一緒?」

千砂都「私が合図出すからステップ、ジャンプ、決めポーズってやってみて」

恋「え?そんなっいきなり言われてもっ」

千砂都「はい、ワン、ツー、スリー!」

恋「ああっ、はい!はい!はいっ!!」タン!タン!タン!


モブB「うわぁぁぁぁぁぁっ!!!」


恋「え?」

千砂都「はは、あれ恋ちゃんがやっつけたんだよ」

恋「わ、わた…くし……が?」

千砂都「倒すと気持ちいいでしょ?ゲームみたいで!」

恋「……」

千砂都「じゃあ次のターゲットいこうか!はい!」



メイ「恋先輩の動きがちょっとづつだけど変わってる……千砂都先輩の的確なアドバイスのおかげか?」

きな子「うーん、なにか初めての快感を味わってるっすね。恋先輩」
0122名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:17:00.47ID:FO0yL1bR
すみれ「あら、先取られちゃった。でもいいわ。私が潰すのは」


モブA「ちっ……!」


すみれ「あいつだから」


摩央「なんだか向こうの空気がピリついてると思ったら、あの子達……」

摩央「面白い事になってるわね」


モブA「くっ……くそっ!!」

すみれ「終わりよ」タッ

モブA「やめろっ!!」

すみれ「さようなら」タン!

モブA「っ!!!あぁぁああぁっ!!!!くそっ!!!くそ!!!」

すみれ「ふん、失せなさい。ここはもう貴方の立つ舞台じゃないのよ」


千砂都「うわぁ、えげつないなぁ。あっ!そういえば、かのんちゃん言ってたよ。すみれちゃんは怒らせちゃいけないって」

すみれ「私が不機嫌なのは千砂都のせいなんだけど」

千砂都「そうなんだ!じゃあ他の子にやつあたりしてくれて助かったよー」

すみれ「あんたもそういうとこ十分怖いわよ」


きな子「あんなにいたのにどんどん減ってくっす」

メイ「でも、先輩たちは」


恋「これっ、たのしいかもですっ」

すみれ「頑張ってるわね。じゃあチクるのはなしにしてあげる」

千砂都「よかったねー!恋ちゃん」


メイ「全員残ってる!」


千砂都「じゃあそろそろ私もだれかぶっとばしちゃおっかな。そーれ!」タタンッ!!

モブC「あははははははは!!」


きな子「また一人減ったっす!これは勝てるんじゃ」

メイ「いや、……まだあの人がいる」
0123名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:17:39.28ID:FO0yL1bR
摩央「残ったわね。貴方達」

恋「あっ!はいっ!」

摩央「でも、急に増えるなんてなんだかズルいわ」

恋「す、すみませんっ。でも成り行きで……」

摩央「けれど、なんだかいい顔ね?」

恋「そうでしょうか?」

千砂都「えー?恋ちゃんはもともといい顔だよ?」

摩央「ふふ、素敵な友達のおかげかしら」

すみれ「……」

すみれ(この人、レベルが高いわね)

すみれ(アイドルの事なんかまったく詳しくないし興味もないけど、だからこそわかる)

すみれ(そういう知識がない人間から見ても、凄いと感じさせるパフォーマンスが出来るってことはとんでもないことなのよ……)

千砂都「うーん」

千砂都(単純にダンスだけなら私の方が上だよ。これは自惚れじゃなくてね)

千砂都(でも、ダンス以外の部分では……)

千砂都(うん、これは今の私じゃ勝てないね)
0124名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:18:20.60ID:FO0yL1bR
恋「摩央さんっ……」

恋(私達は去年この人達に負けました)

恋(可可さんの憧れで、きっとこの人達が私達の始まりとなった)

恋(だから、絶対越えないといけない壁!)

恋(去年はそんな事思いもしなかったのに、なぜでしょうか?今は違う……)

恋(勝ちたい……この人に勝ちたいって)

恋(今、本気で思ってる)

恋(なんて、そんな事を思ったら、去年の可可さんの悔しそうな顔を思い出してしまいました)

恋(本気で泣いて、本気で悔しがってた可可さん。でも私は可可さんの後をついていくのに必死で、だから同じ気持ちになってあげられなかった……)

恋(可可さん……)


恋「摩央さんっ!!」

摩央「急に大きな声出して、どうしたの?」

恋「貴方に、勝ちます……!今回は!」

摩央「ふふ、いいわよ?」

恋「ずいぶん余裕ですね」

摩央「貴方は今更になってやけに必死ね。去年その情熱があれば私達に勝てたかもしれないのに」

恋「っ」

千砂都「おー、恋ちゃんが煽られてるよ、すみれちゃん」

すみれ「因縁があるのよ。割って入らないであげましょう」

恋「ならここで、去年かなわなかった事をするだけですっ」

摩央「そう、ならやってみるといいわ」


摩央「やれるものなら……だけどね」
0125名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:19:35.46ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


『本日の大会は終了しました。お気をつけておかえりください』


千砂都「……」

すみれ「……」

千砂都「まけちゃったねーすみれちゃん」

すみれ「そうね」

千砂都「……」

すみれ「……」

千砂都「反省会する?」

すみれ「千砂都が悪い」

千砂都「えー?私、MVPでしょ!」

すみれ「なんか諦めを感じた」

千砂都「だって、私アイドルの事よくわかんないんだもん」

すみれ「私もよ。でも、私は最後まで諦めなかったわ」

千砂都「かっこよかったねーすみれちゃん」

すみれ「千砂都」

千砂都「あはは、ごめんごめん」

すみれ「……」

千砂都「今回は全力でぶつかるよりも相手を分析する方がいいかなって思ったの」

すみれ「『今回』……ね」

千砂都「次は勝つからさ」

すみれ「次があるのかしらね」

千砂都「えー?あるよ。だって摩央さん言ってたじゃん。明後日の東京の大会。そこで出るって」

すみれ「……そういう意味じゃないわよ。私達があの人とまた戦うわけじゃないでしょ」

千砂都「なんで?だって次もやるでしょ?すみれちゃんなら」

すみれ「……」

千砂都「負けっぱなしじゃいられないもんねー」

すみれ「……」

千砂都「次のライブも飛び入り参加オッケーだって言ってたしリベンジしようよ!」

すみれ「……まぁ、考えておくわ」

千砂都「ええー、それいかないやつじゃん」

すみれ「考えておくったら考えておくわよ」

千砂都「ほんとかなぁ」
0126名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:20:37.19ID:FO0yL1bR
すみれ「あんたはどうなのよ」

千砂都「え?」

すみれ「次は勝つって宣言したわよね」

千砂都「うん、したよー」

すみれ「じゃあ、次もやるのね」

千砂都「えー?いや、それはコーチとか監督的立場から皆を勝利に導くという意味なんだけどなぁ」

すみれ「なんだ、結局あんたも逃げるんじゃない」

千砂都「嫌な言い方しないでよ。表に出るだけが戦いじゃないし」

恋「……」

千砂都「それより恋ちゃんを励ましてあげよう?ね?」

すみれ「また逃げた」

千砂都「ほら、恋ちゃんが落ち込んでるから!一緒に!」

すみれ「はぁ、まったく」

恋「……」

すみれ「恋、いつまでしょぼくれてんのよ」

千砂都「恋ちゃん、元気出して?すみれちゃんも流石にこんな頑張った子を言いつけたりしないよ」

すみれ「えぇ、頑張ったわよ恋『は』」

千砂都「うーん、引っかかる言い方」

恋「……わたくしっ初めてです……!」

すみれ「恋?」

恋「初めて感じました……!」ウルッ

千砂都「恋ちゃん!?」


恋「負けて悔しいって……!」ポロポロ


千砂都「恋ちゃん……」

すみれ「……」

千砂都「……ふふっ、ならさ?よかったじゃん!」

恋「……え?」

千砂都「だってもっと成長できるよ!ね?」

すみれ「……そうね」

恋「なれるでしょうか……?」

千砂都「なれるよ!だってほら!」チラッ

すみれ「……ええ」


千砂都「ひとりじゃないから!」
0127名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:22:37.64ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


夏美「ふぅ、一時はどうなることかと思いましたの」

四季「あのまま海にダイブ。でも追跡は振り切れた。もう大丈夫」

夏美「結果、ショートカットも出来ましたしね〜」

かのん「はぁ、ほんと呑気な子たちだよ。こっちは生きた心地がしなかったのに」

夏美「ビビりすぎですの〜かのん先輩は、あむあむ」モグモグ

かのん「ていうかさ」

夏美「なんですの?」モグモグ

かのん「車の中でそういうの食べるのはマナー違反だよ」

夏美「あら?納豆は体にとてもいいんですよ?それに納豆巻は手軽にどこでも食べれます最強メシですの」ネバー

かのん「そういうことを言ってるんじゃない。においとかいろいろ気になるでしょ」

夏美「気にしませんけど」

かのん「本人はそうだろうね。でも、まわりはどうかなー?ね?可可ちゃん」

可可「ククは今、鼻がつまってるのでなにもにおいません」

かのん「そういえばそうだったね」

四季「待って、今作ってるから」

夏美「しっかしそんなのどうやって作るんですのー?」モグモグ

四季「さっきの検査キットを分析して可可先輩の身体の中で悪さしてる菌がわかった。その菌だけ反応する菌を今からこの膝上に乗る簡易無菌室の中で培養し全身に投与する。そうしたら悪い菌だけがいなくなって健康体に戻ってく」

夏美「ふーん、簡単に言ってるけどそんなうまくいくんですの?」モグモグ

四季「子供の頃からやってるからお手の物」

かのん「どんな子供時代を過ごしてたの……」

可可「とってもエキサイトな子供時代を過ごしてたんですよねー!シキシキは」

四季「普通の子と変わらないと思うけど。虫を捕まえたり。ロボットを作ったり。新種の菌を発見したり」

かのん「全然普通じゃないじゃん」

可可「ほんとにシキシキは凄いんデス!こんなによくデキた人はいません!!」

四季「……えへへ」
0128名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:23:41.70ID:FO0yL1bR
夏美「さて、あとはこの京都を通り過ぎて大阪にいくだけですの」

可可「おお!京都!やはり素敵な街並みデスね」キラキラ

かのん「観光していこっか?」

夏美「まーた貴方はそういうことを」

可可「いえ、ククにはやる事がありますから、また今度で大丈夫デス!レンレンも頑張っていますからね!なにやら東からそういう気配を感じます!」

夏美「それより四季、置き石に気をつけてですの。流石に衛星でも捉えられないでしょ?」

四季「石?」

夏美「そう、通称いけず石といいます。京都には交通の邪魔をするためだけに数千もの石を道のあちこちに置いてるんですの」

かのん「嫌な言い方しないの。曲がり角とか置いて建物に車がぶつからないようにしてるだけだよ。東京にもポールとか立ててるでしょ」

夏美「建物さえ無事ならいいという考え。これが京都という街の共通意識ですの」

かのん「ほんと嫌味な子だね」

夏美「あれをみてくださいかのん先輩」

かのん「え?あれは……」

夏美「建物と電柱の間に石を置いてます。あの隙間は当然車は通れませんし、自転車も好んで通らないでしょう。バイクはもちろん通れません。ならあれはなんのためにおいてるのか……それは簡単、歩行者への嫌がらせです」

かのん「……」

夏美「ああやって歩行者を車道に出させて道路に混乱を招きあざ笑う。これが京都という街に住む人間の恐ろしい本性ですの」

かのん「もうつっこむのも疲れちゃったよ。あー、はやくつかないかな」

夏美「心配しなくてももうすぐ着きますよ」


夏美「京都で一番栄えてる場所は大阪の近くですからね」
0129名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:25:04.13ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


四季「はい、終わった」

可可「おー!気分爽快デス!」

四季「まだ効かないはずだけど……もうちょっと時間が経てば良くなってくる」

可可「シキシキが天才だからその予定より早く効いたんデスよ!」

四季「たぶん気のせい」

かのん「はぁ〜、ここが大阪かぁ。なんか東京とは違った騒がしさがあるな」

夏美「全体的に入ってくる情報がうるさいですの」

かのん「なんか大きいフグのちょうちんみたいなのがふわふわ飛んでる」

夏美「かわいいですの!」パシャリ

かのん「わ〜、ほんとにトラ柄のシャツを着たおばちゃんなんているんだぁ」

夏美「東京では絶対に見かけませんね」パシャリ

かのん「こら、勝手に撮らない」


かのん「……で、肝心のその大会っていうのはどこで開かれるの?」

夏美「あそこに見えるホールで開催されますの」

かのん「おー、結構大きいんだね」

夏美「おおっと!時計を見たらエントリー時間があと数分しかありませんギリギリですの!」

かのん「ああ、そういえば時間に追われてたんだっけ。なんかいろいろあったから忘れてたよ」

夏美「さぁ!走りますよ!滑り込みですの!だっしゅ!だっしゅ!」

かのん「うん、頑張って走っておいで」

夏美「はい?」

かのん「エントリーなんて学校名サインするだけでしょ。皆でぞろぞろ行く必要なくない?そんなんバカみたいじゃん」

夏美「……」

かのん「ひとりが走っていけばいいんだよ。だいたいこうなったのは誰かさんの段取りが悪いからであって私達が焦る必要なんか一切ないし、そもそも─────」

夏美「わかりました」

かのん「?」
0130名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:25:42.58ID:FO0yL1bR
夏美「かのん先輩の名前書いてエントリーさせてやるですの〜ww」

かのん「なっ!?」

夏美「急いで書いてきてあげますね?かのんせーんぱい♡」

かのん「ちょっ、待って!」

夏美「にゃはははははっ!!走れー!ですの!」

かのん「このっ!待てってば!!」

夏美「きゃー!やばい先輩に追われてるー!」

かのん「誰がやばい先輩だっ!!」


キャーキャー 


四季「……仲良しさん」

可可「いい先輩と後輩の関係デスね」

四季「そうかな」

四季「それより具合良くなった?」

可可「なりました!シキシキのおかげです!」

四季「よかった。でも、無茶しないでね。体力までは回復しないから」

可可「大丈夫デス!ククは元々体力なんてありませんから!」

四季「それは全然大丈夫じゃない」

可可「さぁ!クク達も、走っていきますよ!」

四季「無茶しちゃだめだって。可可先輩」


シキシキモ ハヤククルデース!!


四季「もう」


四季「ほんとに目が離せない人」
0131名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:26:50.23ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


夏美「さぁて、エントリーも終わりましたしこれで一安心ですの」

四季「夏美ちゃん、たんこぶ出来てる」

かのん「ほんとに私の名前書こうとしたからね」

夏美「もうっ、かわいいオニナッツジョークですのに」

かのん「かわいくないし」

夏美「かわいいですの♡」キャピッ

かのん「かわいくない」

夏美「かわいいですの!ね?四季」

四季「うん、かわいいよ」

夏美「ほーら!ですの!」

かのん「言わせてるだけじゃん」


???「あれー???あー!!くぅくぅちゃんだー!!」


可可「はっ!!!!この声はっ!!」

悠奈「やっぱりくぅくぅちゃんだ!奇遇だね!こんなところで」

可可「あわわっ……悠奈サンっ!!」

夏美「だれですの?」

かのん「うーん、なんかテレビか何かで見た事あるかも……?」

四季「サニーパッションの悠奈さん。サニパは可可先輩の憧れの人達」

かのん「可可ちゃんの?」

夏美「それで先輩ったらあんな府抜けた顔をしてるんですのー?」

かのん「あはは、かわいいね。可可ちゃん」

四季「……」コクコク

夏美「ここに来てるという事はライバルでしょうに」

かのん「本人があんなに嬉しそうなんだから茶々入れないの」
0132名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:27:29.55ID:FO0yL1bR
可可「こんなところで会えるなんてククも感激デス!!!」

悠奈「もしかしたら運命かもねー☆」

可可「えええ!!運命なのデスか!!!」


夏美「まったく先が思いやられますわ」


???「ふん、あれがSunny Passion……?」


かのん「?」

夏美「どうしました?」

かのん「なんか凄い敵意を感じて……」

夏美「もうっ、なにしたんですの?かのん先輩」

かのん「いや、私にじゃなくて」

夏美「ほんとヤンキーは、ちょっと目を離すとすぐ問題を起こすんですから。これは修学旅行じゃないんですよ?喧嘩番長みたいな真似はやめてください」

かのん「……」

四季「あの人?敵意を感じたの」

かのん「うん、たぶん……もう後ろ姿しか見えないけど、外国の人かな」

四季「見た感じ、あれはオーストリア人」

かのん「あー、コアラの?」

四季「ラリアじゃなくてリア。ヨーロッパの方」

夏美「なんでそんなことがわかるんですの」

四季「骨格」

夏美「ふーん。じゃあじゃあ?私の骨格は?」

四季「成長途中」

夏美「にゃは〜!ですって、聞きましたかのん先輩?1年で成長途中なら追い越しちゃうかもですよ?あなたの身長を」

かのん「はいはい」

夏美「私を見上げないといけないかもしれませんね。だって、この人一年の時とプロフィール変わってないですの!!」

かのん「たぶんそっちも変わらないよ」

四季「ふふ、ほんとに元気だね。夏美ちゃんは」
0133名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:28:17.25ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜




可可「あー!こんなところで悠奈サンに会えるだなんてっ……!思い返すだけでステキナオモイデニ…♡」

夏美「いつまで浮かれてるんですのー」

可可「いつまでも浮かれていたいデス……」

かのん「ははは、ほんとに好きなんだねー」

可可「んんっ……」

かのん「どうしたの?」

可可「んっ、声が出づらいデス」

かのん「大丈夫?」

可可「調子に乗って喋り過ぎました……」

四季「……」


四季「あっ……」


夏美「?」

四季「そういえば」

夏美「なんですの?」

四季「ある研究室での話。そこでは何年にも渡ってある菌を研究してた。でも、ある日そこのある研究員が研究室で納豆巻を食べたの」

夏美「急になんの話ですの?あなたはそういうところがありますよね。言葉足らずというかなんというか」

四季「夏美ちゃんのせいで可可先輩の調子が戻ってないのかも」

夏美「はい?」
0134名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:28:51.13ID:FO0yL1bR
四季「菌の培養中、隣で納豆巻食べてる子がいた」

夏美「つまり?」

四季「その子のせいで悪い菌をやっつけてくれる菌が死んじゃったかもしれない」

夏美「まったく、かのん先輩。何してくれてるんですの?」

かのん「ねぇ、これどう思う?同級生としてさ」

四季「憎めない子」

かのん「まったく、甘やかすのしか周りにいないんだから」

四季「それより大丈夫?可可先輩」

可可「んっ……んっ……へーきデスよ。このくらい」

四季「急いで作り直すから」

かのん「でも元気だったよね。さっきまで」

四季「きっとプラシーボ効果。思い込んでると効果が出る事がある。原理は不明だし限度があるけど」

夏美「ていうか無菌室とか言ってませんでした?そこで作ったんじゃないですの?」

四季「膝に置ける簡易無菌室。だからペラペラ。隙間もある。隣で納豆菌みたいな強力なもの食べられたら流石に無理」

夏美「やっぱり納豆の力は偉大ですの!」

可可「けほっけほっ」

夏美「どーですか!!納豆の力に敗れた気持ちは?納豆はさいきょーなんですの!にゃははは!」

かのん「こら、いい加減にしなさい」ペシッ

夏美「いたっ!!」

かのん「たたくよ」

夏美「もう叩かれたですの!体罰反対ですの!」

四季「とにかくなんとか間に合わせる」
0135名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:29:59.67ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


かのん「て、言ってたけど」


ワーワー ワーワー


夏美「大会、始まっちゃいましたの」

かのん「まぁエントリーしたのがギリギリだったから順番も最後の方だし、それまでに間に合うんじゃないかな」

可可「大丈夫デスよ!シキシキは言った事は守りますから!こほんっ!」

かのん「可可ちゃんって、四季ちゃんの事すっごい信頼してるんだね」

可可「はい!シキシキは凄い人デスからね!それに後輩を信じるのは先輩の務めデス!」

かのん「凄いなぁ。そんなに信頼してて」

夏美「ほんとですの。どっかのだれかさんも見習っていいですの」

かのん「こっちの後輩は信頼できないから無理かなー」


『次はエントリーナンバー5番……』


可可「今5番目の方の出番デス。ククの番は当分先なんで大丈夫デスよ」

夏美「四季なら間に合わせるでしょう」

かのん「うん、信じるしかないよね」

可可「はいデス!」

かのん「うぅっ、でも、こういう会場はちょっと緊張するなぁ……」

可可「どうしてですか?」

かのん「うん……この空気感がね」

夏美「出るわけでもないのにですのー?」

かのん「……」




─────かのんちゃん!



─────もう始まってるよ!



─────はやく歌わないとっ!



─────かのんちゃんってばっ!




かのん「……っ」ゾクッ…

夏美「?かのん先輩?」
0136名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:31:12.16ID:FO0yL1bR
ウィーン「……ふん、くだらない」


夏美「?」


ウィーン「遥々来てみたけど、日本の、それもスクールアイドルなんかの音楽レベルなんて所詮はこの程度よね。わかってはいたけど」


夏美「な、なんか、一人でべらべら喋ってる人がいますのっ……街でたまにエンカウントするヤバい人ですの……」


ウィーン「なのになんでこんな国に来なければいけないのかしら?ほんとに理解に苦しむわね。理解不能よ」


夏美「斜め後ろの席からやっべー電波をビンビン送受信してる人がいますの……!まじでやべーですの……!」


ウィーン「私って見ての通り。由緒正しい音楽一家の生まれなのよ?なのにこんなちんけな島国に来させられて、『今のお前に足りない大事な事を学んでこい。』ですって。ふん、なんておかしな命令なのかしら?貴方達風情がこの私にいったい何を教えてくれるの?ねぇ?」


夏美「ひぃーっ!!こっちガン見しながら喋ってますの!怖過ぎますの!!だれか助けてください!!!」


ウィーン「ふざけないでほしいわ……!スクールアイドルだなんてレベルの低い子達から、学べるものなんてあるわけないでしょうっ!!!!!」


夏美「なんか怒鳴ってるですのー!!まじでやべー奴ですのっ!!」

可可「なんデスか……さっきから好き放題言って……」ジロッ…

夏美「可可先輩!しーっ!しーっ!これは日本ではたまにいる異次元の扉を開いちゃった人で、絶対に関わっちゃいけないタイプの人なんですの!」
0137名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:31:52.08ID:FO0yL1bR
ウィーン「事実を述べてるだけでしょ?くだらないものにくだらないと言って何が悪いの?」

可可「くだらなくないデスっ!!!」

夏美「ダメですの!可可先輩!その人と話しちゃ!かのん先輩止めてください!大変な事になっちゃいますから!先輩っ!先輩ってば!」

かのん「……え?」

ウィーン「くだらないでしょ?こんなちっぽけなステージでしか歌えないだもん。ふんっ、もう一度言ってあげましょうか?くだらない!こんなちっぽけなステージのために貴方達は頑張ってきたのかしら?だとしたらその頑張り自体もくだらないわねっ!」

可可「家伙っ!!(こいつっ!!)」

かのん「えっ?なに?なに?どうしたの?」

夏美「やっばいやつに絡まれてるんですの!!」

かのん「あっ、さっきの!」

可可「取り消しなさい。彼女たちを侮辱する事は許しません」

ウィーン「取り消さないわ。取り消す理由がないからね」

可可「伝わらないのならもう一度言います。取り消しなさい。貴方は人として言ってはいけない事を発しました」

ウィーン「いやよ」スッ


ウィーン「どうしてもというなら実力でわからせてみなさい?」


ウィーン「貴方も参加するならね」フンッ

夏美「……い、行きましたの」

可可「っ!待ちやがれデス!逃げるんデスかー!このーっ!!」

夏美「しーっ!せっかく向こう行ってくれたんですの!呼び戻さないでくださいですの!」

かのん「……ええっと」


かのん「な、なんだったの?いまの?」
0138名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:32:37.80ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜




可可「……」ムッスゥ…

かのん「あはは、ご機嫌斜めだね……可可ちゃん」

夏美「元気出してください。たまにああいう人に絡まれる事はありますからね」

かのん「ほらっ、次は可可ちゃんの大好きな人だよ!ほらほらっ!」

可可「……はっ!」


『次はエントリーナンバー19番。聖澤悠奈』


可可「あああああああーーー↑↑!!!!」

かのん「ふぅ、よかった。いつもの可可ちゃんで」

夏美「いや、これもいつものではないでしょう」

可可「げほっ!!げほっ!!げほっ!!」

かのん「ちょ、大丈夫?可可ちゃん」

夏美「そういえばそうでしたね。ちょっと四季のところにいって様子を見てきますの」

かのん「はい、お水」

可可「んっ、んっ、ん……ぷは。ありがとうございます。かのんさん」

かのん「あんまり大きな声出しちゃだめだよ」

可可「すみませんデス……」

かのん「ほら、声は抑えて見ようね。悠奈さんの」

可可「はい!」
0139名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:33:06.69ID:FO0yL1bR
悠奈「今日は来てくれてありがとー!!!なーんて、私だけのためにきてくれたわけじゃないだろうけど……えへへ☆」


可可「ククはいきますよー!貴方のためならどこまでも!」

かのん「ふふっ、しずかにね」


悠奈「じゃあ、さっそくいってみよー!私の歌、最後まで聴いてねっ☆」


可可「ああ↑↑(歓喜)」

かのん「ほんとに好きなんだね」


かのん「でも、歌でこんなに人を笑顔に出来るなんて」


かのん「すごいなぁ」





ウィーン「……ふん」
0141名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:34:27.03ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


夏美「もうすぐ出番ですの!どうするんですの!」

四季「焦らない。ちょっと成長するのに時間のかかる菌なの」

夏美「とはいってもですね」

四季「なんとかするから」

夏美「……」

四季「っ……」

夏美(こんなに焦ってる四季、はじめて見ますの)

四季「間に合って……」




『えー、次はエントリーナンバー22番』




かのん「もうそろそろ出番だから舞台端で待機になっちゃったけど……」

可可「けほっ、けほっ」

かのん「まだ四季ちゃんは来ないし……」

可可「げほっげほっげほっ!!!」

かのん「いったいどうなっちゃうのぉー!?」
0142名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:35:37.68ID:FO0yL1bR
夏美「なんですの。そのおちゃらけた顔は」


かのん「おちゃらけてない!ピンチを感じてる顔なの!これは!」

夏美「ふーん」

かのん「それより四季ちゃんは?」

夏美「……」

かのん「?」

夏美「思ったよりやばい状況かもしれませんね」


『次はエントリーナンバー23番!』


かのん「や、やばい……」

夏美「可可先輩のエントリーナンバーは24番ですの」

かのん「間に合わなかったらどうしよう……」

可可「……ん?あれは……」


『ウィーン・マルガレーテ!』


ウィーン「ふん、どうも小国の皆さん。こんにちは、であってるかしら?ここでの挨拶は」


かのん「あの子は……」

夏美「ひぃ!!ついには勝手にステージにまであがってるですの……!あの人ヤバ過ぎるですの……!」

かのん「違うっ……スクールアイドルだったんだ……あの子」

可可「スクールアイドル……?あんな人が?」
0143名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:36:29.91ID:FO0yL1bR
ウィーン「今日は貴方達に『本当の歌』を教えてあげるわ。理解できるかはわからないけどね。でもきっと、ここで歌った子達は音楽を諦めるんじゃないかしら?『本当の歌』を知って自分たちの歌が偽りだと気付いてしまうんだからね。流石に本物の前で偽ブランド品はつけていられないでしょ?それと同じ事よ」


夏美「ひぃっ!誰も聞いてないのにまーたひとりでぺらぺら喋ってますの!」


ウィーン「けれどまぁ、そうなった方が幸せなんじゃないかしら。日本人は日本人らしく寿司でも握っていればいいのよ。自国に閉じこもって。適材適所って言葉があるでしょ?出来ない事はしない方がいい。こういう繊細なセンスが問われるような分野は優秀な白人。それも、渡米した連中や流刑送りにされたようなまがい物じゃない、本物の白人(ヨーロッパ人)である私達に任せておけばね?その代わり貴方達は私達には出来ない事をしてくれればいい。例えば、神妙な顔で米粒を握ったりとかね。ふふっ」


夏美「あの人めちゃくちゃ言ってますの……なんでつまみだされないんですの?」

可可「なんですかあの差別主義者は」ギリッ

かのん「……なんであんなに攻撃的なの?本物である事にやたらこだわってるし」


ウィーン「歌は力よ。『本当の歌』はちっぽけなもの全部吹き飛ばしてくれる。だからここで全部壊してあげるわ」


ウィーン(そして私はもう一度、本物の未来を……作り直す(ビルドする))


ウィーン「聴きなさい、私の歌を」



ウィーン「─────♪」



可可「っ!!」ビクッ

かのん「ひっ……」ゾクッ

夏美「?」


悠奈「うーん、これは……」

悠奈「油断できない相手だね」
0144名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:37:45.86ID:FO0yL1bR
かのん(なに、この歌……)

可可「……っ」

夏美「ふたりとも怖い顔してどうしたんですの?」

かのん(こわいっ……)ガクンッ

夏美「かのん先輩?」

かのん(心が不安になるっ……)ガクガクッ…

夏美「ちょっと、しっかりしてくださいですのかのん先輩。びびりだからって流石に歌で怯えるのあざとすぎますよ?そういういきすぎた反応は視聴者から反感を買うんですからね」

かのん「ちょっと……今はしずかにしてっ……!!」

夏美「か、かのん先輩……?!」

かのん「……余裕ないからっ」ハァ…ハァ…



可可「ふん、あの人はスクールアイドルにふさわしくありません」

可可「あの人がほんとうにスクールアイドルなら」

可可「見てくれてる人が、皆笑顔にならなければいけないからデス……!」



悠奈「うーん、ピリついた空気。会場が完全にあの子の歌に支配されてる」

悠奈「これは良くも悪くも私より印象に残っちゃってるだろうなぁ。皆の心に」

悠奈「これは今回は負けたかもね」

悠奈「でも……」

悠奈「ラブライブ前に貴方を知れてよかったよ☆」



ウィーン「─────。」


ウィーン「ふん、この辺にしといてあげるわ」


ウィーン「だって貴方達には刺激が強すぎたでしょ?」


ウィーン「私の『本当の歌』は?」
0145名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:38:50.65ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


四季「……」

夏美「し、四季……」

四季「なつみ……ちゃん」

夏美「可可先輩……」

四季「……」

夏美「……もう、出番ですの」

四季「……」

夏美「あ、あの四季……」

四季「間に、合わな、かった」ポロ…ポロ…

夏美「っ……四季……」
0146名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:39:55.43ID:FO0yL1bR
可可「大丈夫デスか?かのんさん」

かのん「うん、ごめんね。心配かけて。大変なのは可可ちゃんの方なのに」

可可「いいえ、あの人が全部悪いデスから」

かのん「声、大丈夫?」

可可「……所々出ない音程がありますが大丈夫デス!なんとかやりますから!」

かのん「……可可ちゃんは凄いね」

可可「えー?クク、凄いデスか?」テレテレ

かのん「自分が一番大変なのに……そうやっておちゃらけて和ませようとしてくれるし」

可可「でも貴方に凄いと言われて嬉しいのはほんとデスから!」

かのん「……ねぇ、なんでそんなにがんばれるの?」

可可「?なんでって言われても、答えに困っちゃいますね。うーん、やらなければならないからとか?」

かのん「……なんでやらなくちゃいけないことなの?」

可可「それは当然、ククがやりたいって決めた道だからデス!」

かのん「決めた道……?」

可可「スクールアイドルはククにとって初めて心からやりたいと思えたことですから」

可可「だから逃げたくないんデス。一度でも逃げてしまったらその気持ちが嘘になってしまいます」

可可「クク、嘘つきには絶対なりたくないデス」

可可「なので例えちゃんと歌えなかったとしても、それで恥をかくことになるとしてもククは逃げませんよ」

可可「それが決めた道を進むという事デス!」

かのん「うたえなくても……」

可可「……そろそろ出番が来てしまいますね。レンレンもいないし、いろいろ緊張しちゃうデスね。ははっ」

かのん「……っ」ゾクッ

可可「どうしました?そんなに震えて。まさかまだあの人の歌が?」

かのん「違う……違うの。ごめんね、このままステージにいっちゃう可可ちゃんを想像してっ」

可可「どうしてそれで怯えるのデスか?」

かのん「私、怖いの。ステージ……」

可可「?」
0147名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:40:44.20ID:FO0yL1bR
かのん「私ね、歌がとっても好きだった。歌う事が大好きだった。でも、ある日突然、歌えなくなったの。ステージに立つのが急に怖くなって、たくさんの人が、視線が、皆の期待が急に怖くなって、うたえなくなって」

可可「……」

かのん「ごめんね、可可ちゃんは、いま、そんな場合じゃないのに、こんなこと言われても、困るよね……でも、あの日の私と同じ事が起きるって思ったらっ……わたしっ……こわくてっ……!」

可可「落ち着いてください、かのんさん。大丈夫ですから。一度深呼吸しましょう?」

かのん「ねぇ、行かないで!わたし、可可ちゃんに、行って欲しくないっ……!だって、だって……こわいよっ……」

可可「─────かのんさん」



ギュッ…



かのん「っ?可可……ちゃん?」

可可「ククは怖くないデス。だからかのんさんが不安になる必要はありませんよ」

かのん「……」

可可「大丈夫デス。貴方が笑顔になれるステージにしますから」

かのん「く、可可ちゃん……」

可可「だから、そんな顔しないでください」

かのん「……」

可可「ククは皆に笑顔でいてもらいたいデス。かのんさん。貴方にも」


『次はエントリーナンバー24番、唐可可』


可可「呼ばれてしまいましたね」

かのん「可可ちゃんっ……」

可可「じゃあ、行ってくるデス!」

かのん「あっ……」
0148名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:41:32.49ID:FO0yL1bR
かのん(まって……だめだよ……だって、歌えないのにっ)


かのん「くぅくぅちゃん……」


かのん(このままだとどうなるかなんて簡単に想像出来る……)

かのん(だって私はそれを経験してるからっ)


かのん「うっ……」


かのん(思い出すだけで気持ち悪い……あの生々しい感覚がよみがえってくる)


かのん「うぅっ……うっ……」


かのん(あの時の会場のどよめきと視線を鮮明に思い出す)

かのん(そしてそれがここで繰り返されるんだ……)

かのん(見たくない、逃げてしまいたい、耳も目も塞いで……)

かのん(でも、それ以上に……)


可可『大丈夫デス。貴方が笑顔になれるステージにしますから』


かのん(可可ちゃんにあんな思いして欲しくない)

かのん(でもどうすれば……)

かのん(そうだっ……私がかわりに……)

かのん(私が代わりに歌えば……可可ちゃんを助けられる)

かのん(そうだよ、状況的にも私が歌うしかっ……)


かのん「っ……」


かのん(一歩踏みだせばステージに出れる)

かのん(でも……その一歩が出ないっ。どうやっても……出ない)

かのん(踏み出す勇気も……歌う勇気も……)

かのん(なんでっ……)


かのん「なんで歌えないのっ!!!」


かのん「……はぁ……はぁ」


かのん「ぜったいっ……」


かのん「絶対、うたってやるんだからぁっ……!!」
0149名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:42:28.39ID:FO0yL1bR
可可「……っ」

可可(歌い出しの音程が……出ない)



四季「可可先輩……」

夏美「四季、だいじょうぶですの。きっと……」ギュッ…



可可(シキシキってばなんて顔してるのデスか。ククは皆を笑顔にしたいって知ってるでしょう?まったく……)

可可(……ククは絶対あきらめません)

可可(歌える部分だけ歌いましょうか。ちぐはぐになりますが何も歌えないよりましデス!)

可可(きっと、大丈夫ですっ……)

可可(だから─────)


かのん「可可ちゃん!!」

可可「……っ!?」

可可「かのんさん?どうしてっ……」

かのん「うろおぼえだから。間違えたらごめんね!」



四季「かのん……先輩?」

夏美「なっ!?何やってるんですの?あの人!!ずぶの素人がいきなり出てきて!これは大会ですの!そんなことしたらとんでもない事にっ」


かのん「……っ」


かのん(こわいっ……!でも、なにもかんがえるなっ……!)



かのん「─────♪」



可可「えっ……」


夏美「なっ!!」


四季「……っ」


悠奈「……ほほーう」


ウィーン「っ!」


ウィーン「…なに…あの子……」
0150名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:43:36.84ID:FO0yL1bR
かのん(わたし、うたえてる?わからないっ)

かのん(でも、続けなきゃ)

かのん(可可ちゃんを助けたいのっ!!)


かのん「─────♪─────♪」


かのん(きっと、大丈夫。歌えてる。私は歌えて─────)



─────歌えない。


─────みんなの前で歌えないよ。


─────私、怖いよ。



かのん「─────っ」

可可「かのんさん!」


─────ギュッ


かのん「!!」

可可「ククの目を見てください。誰も意識せずククだけを」

可可「ククだけに聴かせるように歌ってください」

可可「ククも歌います。だからひとりじゃありません」

可可「あなたの歌、初めて聴くけど、とてもすばらしいデス」

可可「だから……一緒に歌いましょう?」

可可「きっと楽しいデス。笑顔になれますから」

かのん「……」



かのん&可可「─────♪」
0151名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:44:24.70ID:FO0yL1bR
夏美「……」ポカーン


悠奈「きゃー!熱いなぁ!パッションだよ☆」


ウィーン「……私の方が上よ。上のはずっ!」


かのん「─────♪」


ウィーン「なのにどうしてっ」


ウィーン「こんなにも心が苛立つのっ」ギリッ


かのん「─────。」


パチパチ……パチ……


パチパチパチパチパチパチ!


かのん(拍手……?ああ歌ったんだ。歌いきったんだ……)

かのん(あんな大勢の前で……)


かのん「っ……!」

可可「大丈夫デス。なにも見ないで」

かのん「……」

可可「ありがとうございます」


可可「かのん─────」
0152名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:45:51.02ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


可可「いやぁ〜失格になってしまいましたね」

夏美「当たり前ですの。エントリーしてない人が勝手に舞台にあがって歌ったんだから当然こうなりますの」

可可「でも、失格ですから。負けではありません!失格してなければかのんは勝っていました!」

夏美「ものはいいようですのー」

可可「昔、あるレジェンドアイドルも似たような事やって失格になってました。歴史は繰り返すデス」

夏美「今なら大炎上ですの」

可可「当時もしてたデス」

四季「……」

可可「もう!シキシキはいつまでメソメソしてるのデスか?」

四季「だって……」

可可「ほら、今度こそ元気になりましたよ!シキシキのおかげデス!」

四季「ごめんなさい……ごめんなさいっ」

可可「まったく、出来た後輩といってもまだまだ子供デスね。泣き虫なんですから」


ギュッ


四季「……っ」

可可「シキシキは大事な後輩デス。だからもう泣かないで」

四季「うっ……うっ……」

可可「ほーら、よしよしデス」

夏美「……」

可可「ふふーん、ナッツ?指なんかくわえてうらやましいんですか?」

夏美「は?くわえてませんけど」

可可「寂しいならナッツの事も抱きしめてやるデスよー?」

夏美「なにをバカな事を、意味不明ですの。寂しくなるなんて意味がわかりません。私はもう高校生なんですよ?小さいからってそんなレッテル貼るなですの!ふん」

可可「ちょっと、どこいくデスかー?」

夏美「かのん先輩の所です」

可可「ふーん」


可可「やっぱり寂しいんじゃないデスか」
0153名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:46:54.86ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


かのん(歌えたっ……歌えたんだ!)

かのん(でも、まだ震えが治まらない……)

かのん(まだ誰かに見られてるような気がする)

かのん(そわそわして落ち着かない)

かのん(なにかに掴まってないとそのまま飛んで行っちゃいそうな……)


夏美「こんな夜の人気のない公園なんかにいてなにしてるんですのー?怖がりのくせに」

かのん「ひっ!」

夏美「そんなに怯えなくてもいいでしょう?」

かのん「……なんだ、誰かと思えば、いつも問題ばっかり起こしてくれる子か……」

夏美「ふん、なんだとはなんですの。日常にサプライズという彩りを与えてるといってくださいですの」

かのん「はいはい、トラブルメーカーね」

夏美「ムードメーカーですの」

かのん「……」

夏美「……」

かのん「……で、なにかよう?」

夏美「……ようがなきゃ一緒にいちゃいけないんですか」

かのん「べつに、すきにすればいいけど」

夏美「……」

かのん「……」

夏美「……で、明日はどうします?散々したがってた観光でもしますか?」

かのん「いい、早く東京に戻ろう」

夏美「せっかくきたのにですの?」

かのん「うん、もう帰りたいの」

夏美「……そうですか」

かのん「……」

夏美「なら、今日見ていくですの!」

かのん「え?」

グイッ

かのん「ちょっと!なによ!」

夏美「ついてくるですのー!」
0155名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:48:05.72ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


夏美「ここですの!」

かのん「もう、なんなの。無理矢理引っ張って。ていうかどこ、ここ」

夏美「複合施設ですの。レストランがあったりー、映画館があったりー、たーのしい施設ですの!」

かのん「ふーん、そんな気分じゃないけど」

夏美「まぁ、気分だとしても利用しませんけどね。お金がかかりますから」

かのん「じゃあなんでつれてきたの」

夏美「ここの15階には無料の展望スペースがありますの!それを見に来たんですの」

かのん「景色が見たかったの?ならあっちにある大きい建物から見た方がいいんじゃない。なんか変な名前してる。蔑称みたいなあれ」

夏美「ハルカスは入るだけでも2000円近く取られますの。そんなのもったいなくて入れませんの」

かのん「けちんぼ」

夏美「それにあっちは床が透明ですの。びびりのかのん先輩と行ったら腰抜かしておぶって帰らないといけなくなりますの」

かのん「ふーん、じゃあどっちも腰抜かすかもね」

夏美「はい?」

かのん「そっちは私おぶろうとして『ぎっくり』ってなっちゃうから」

夏美「むっ」

かのん「あはは、若いのにぎっくり腰なんて、ほんとおもしろいよね」

夏美「なにもおもしろくありません!一度やるとくせになっちゃうんですよ?」

かのん「しってる。だから荷物運びも超びびりながらやってたよね。見てたよ今日」

夏美「気付いてるならもっと手伝ってくださいよ」

かのん「いやだよ、だってめんどくさいし」

夏美「ふん、それにこれは労働者の証ですの!働いてる人は皆ぎっくり腰になるんですの!だから笑われるような事じゃありませんの!」

かのん「ふーん、どうだか」
0156名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:49:02.79ID:FO0yL1bR
夏美「もうっそんな事より夜景を見ますよ。ほら、かのん先輩、東京との違いわかりますか?」

かのん「なんか色がカラフルっていうかパチンコ屋みたいな感じだね」

夏美「行った事あるんですの?」

かのん「ないけど」

夏美「なんて、不良だからほんとはあるんじゃありませんの〜??」

かのん「ないってば」

夏美「パチスロ動画も人気ですの、今度一緒にやりますの!」

かのん「炎上するよ、未成年なんだから」

夏美「では、おとなになってからということで」

かのん「しないけどね」

夏美「それより、もっと下を見てください。ほら、高い所から府民たちをあざ笑えますの!」

かのん「見えないよ小さくて」

夏美「米粒くらいちっちゃいですの!」

かのん「うーん、そうだね。見えないけど」

夏美「……」

かのん「……」

夏美「あんなに……小さいと……」

かのん「?」

夏美「ほら、ちっぽけな存在に、見えて……くるですの!」

かのん「……」

夏美「その、気にする価値もないくらい……に、というか。見られても気にならないというか……」

かのん「……」

夏美「この人達にどう思われても、どうでもいいじゃん……みたいな……?」

かのん「……ふっ」

夏美「?」

かのん「あははははっ!!」

夏美「な、なにわらってるんですの!」
0157名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:49:50.85ID:FO0yL1bR
かのん「ううん、別に。ただ気とか使ったりするんだなって思ってさ」

夏美「は?気なんか使ってませんし」

かのん「ぎこちなさ過ぎでしょ。なに?その羽がふわふわ降りてくるみたいなおぼつかないお喋りは」

夏美「ぎこちありますのー!おぼついてますのー!」

かのん「慣れない事しなくていいよ別に」

夏美「だから……使ってませんし」

かのん「はいはい」

夏美「むぅ……」

かのん「……うーん、じゃあそろそろいこっか」

夏美「そうですね」

かのん「観光に」

夏美「はい……ってえ?」

かのん「ほら、せっかくきたんだからいろいろ見ておかないとね」

夏美「もう夜なんですけど」

かのん「まだ20時前だよ。いけるいける」

夏美「かのん先輩は大丈夫でも私は16歳未満なので問題ありますの。20時以降16歳未満の外出は条例で禁止されてます」

かのん「保護者同伴なら大丈夫だよ。ほーら、お姉ちゃんと手繋ごうねー?」」

夏美「だーれが妹ですの!手なんかつながねーですの!」

かのん「ちぃちゃんにたこ焼き買って行ってあげないといけないしさ」

夏美「いや、そんな日持ちしないですの」

かのん「あと、やっぱり大阪といえば道頓堀で白ひげのおじさん突き落したりしないといけないもんねー」

夏美「そんなお決まりはありません」

かのん「とにかく行くよどうせ暇でしょ」

夏美「はぁ、もう、ちょっとだけですの。気が済んだら戻りますよ」

かのん「はいはい」


かのん「ありがとね」
0158名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:51:09.82ID:FO0yL1bR
─────翌日。



すみれ「はぁ、やっと東京に帰ってこれた」

千砂都「夏休みの新幹線は込んでて大変だったね」

恋「でも、お友達と電車に乗るなんてしたことありませんでしたから、とても楽しかったです!」

千砂都「冷凍みかんおいしかったねー」

恋「はい!」

すみれ「ていうか、まだ一仕事あるのよね」

千砂都「ふふーん、でも結局やるんだ?」

すみれ「まぁ、一度手伝ったなら最後まで付き合ってあげるわよ。どうせ明日で最後だし」

千砂都「そうだね」

すみれ「その代わりあんたも出なさいよ」

千砂都「はいはい、わかってるよ。でもこれが最後だからねー」

恋「……最後ですか」

すみれ「なに?恋」

恋「あのっ、……よければこれからも一緒にやりませんか?」

千砂都「えー、なにを?」

恋「スクール……」

すみれ「……」

恋「アイドルを……」

すみれ「……」


すみれ「いや、やらないけど」
0159名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:51:54.38ID:FO0yL1bR
恋「っ」

千砂都「あー!せっかく恋ちゃんが勇気出したのにー!」

すみれ「興味ないし。それに昨日のサニパって人達が揃って明日の大会に出るっていうから私はリベンジしたいだけだし」

千砂都「負けず嫌いだなぁ」

すみれ「明日は絶対勝つし、だからそれで終わりよ」

千砂都「絶対か〜」

すみれ「千砂都、あんたはどうなのよ?」

千砂都「え?」

すみれ「昨日『ひとりじゃないからこれからも一緒にやってこう!』みたいな事言ってなかった?」

恋「千砂都さんっ」

千砂都「だからあれは、求められればサポーターとして力を貸してあげるって意味で、正式にメンバーになるっていう意味じゃないってば」

恋「っ」

すみれ「なによ、昨日はこれからも一緒みたいな言い方してたのに」

千砂都「いや、一緒ではあるけどそれは裏方的な意味で言ったんであって」

恋「……」シュン

すみれ「おちこませてんじゃないわよ」

千砂都「ええ?私だけのせい?」



メイ「ううっ、私はあの二人をどういう目で見ればいいんだぁぁぁぁぁ!」

きな子「……」

メイ「一旦とはいえあの二人はスクールアイドルになった。たしかに昨日は負けたけど私達の心に残る最高のパフォーマンスをしてくれた。あの二人はまぎれもなくスクールアイドルだ!でも、これまでの関係性もあるし。正式なメンバーじゃないみたいだし。でも、一時的だったとはスクールアイドルだったのは事実で……」

きな子「メイちゃん、うるさいっす」
0160名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:53:00.58ID:FO0yL1bR
ブウウウウウンッ



千砂都「あっ!かのんちゃん達の車来たよ!ほら、お出迎えしよう!」

すみれ「ふーん、話しそらすのね」

千砂都「昨日は負けちゃったから、たこ焼きは仲良く分け合おうね!」

すみれ「いらないけど」


かのん「あー、つかれた」

夏美「こっちの台詞ですの。昨日はあのまま迷子になるし散々でした」

かのん「ふん、なにそれ。そもそも誰かさんが言い出したんじゃん『観光でもしますの〜』って」

夏美「はぁ?」

かのん「私は最初気分じゃないって言ったのにさ」

夏美「ふーん、気分じゃなかったわりに随分楽しんでたようですけどぉ???」

可可「いつまでやってるデスか。はやく降りてください。こっちは早くレンレンに会いたいんデス」

四季「メイときな子ちゃんがいる。元気そうでよかった。なんかメイが騒がしくしてるけど」

夏美「だいたい、昨日はかのん先輩が責任者だったんですから。年下をちゃんとリードしてくれないと困りますのー」

かのん「ふん、昨日はずいぶんかわいげがあったのに一日経つとこうも変わるんだね〜??」

夏美「はぁ?私には可愛げしかありませんけど??」

かのん「かわいくないし」

夏美「かわいいですのっ♡」

かのん「かわいくない」

夏美「それに引き換えかのん先輩は可愛げもないし頼りにもならないし、ほんとダメなおねぇちゃんですのー」

かのん「はぁ?こんな生意気な妹、出来た覚えないんだけど??」

夏美「それはこっちの台詞ですの、べぇ〜っだ」

かのん「ふーん」ガシッ

夏美「ちょっ、離してください!オニナッツのかわいいお手てがっ!」

かのん「ほんとちっさいんだから。ちょっと力入れたら折れちゃいそう」

夏美「ちょっ、す、すみれ先輩っ!!!!たすけてー!!!かわいい後輩が暴力を振るわれそうになってますの!!」


すみれ「はぁ、相変わらず騒がしいわね」

千砂都「でも、なんかうれしそうだね?すみれちゃん」

すみれ「ふん、別に」
0161名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:54:16.92ID:FO0yL1bR
可可「レンレン!!」

恋「可可さんっ」

可可「大丈夫デスか?レンレン。昨日は他の参加者にいじめられたりしてませんよね?」

恋「あっ、えーとっ、はい!大丈夫です!」

可可「ならよかったデス!」

恋「ただ……」

可可「?」

恋「ごめんなさい……私、負けてしまって……」

可可「レンレン……?」

恋「可可さんの期待に応えられず……」

可可「なにいってるデスか!勝つ事だけが全てじゃないデス!レンレンは頑張ったんですからククがたくさん褒めてあげますよ!」

恋「可可さん……」

可可「それにククもですねっ」

恋「?」

可可「ふがいない負け方をしてしまいましたから……」
0162名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:55:09.27ID:FO0yL1bR
かのん「ちぃちゃん!」

千砂都「かのんちゃん!大丈夫だった?」

かのん「うん!大丈夫!」

千砂都「よかったー」

かのん「はい、これお土産ね」

千砂都「わぁ〜、たこやきだぁ」

すみれ「ほんとに買ってきてるし」

千砂都「じゃあ皆で食べよっか?」

すみれ「まちなさいよ。これいつ作ったやつ?変なもの食べるとお腹壊すわよ」

千砂都「たこ焼きは変なものじゃありません〜」

かのん「大丈夫だよ。冷凍のやつで昨日は冷凍庫に入れてたし、車ではさっきまでクーラーボックスにいれてたから」

千砂都「じゃあ、安心だね!このまま食べちゃおう!」

すみれ「は?このまま?」

千砂都「きっとアイスみたいでおいしいよー♡」

すみれ「なにバカみたいな事いってんのよ。はい、没収ね。これ」

千砂都「ああ!たこ焼きアイスが!」

かのん「普通のたこ焼きだよ」

すみれ「ほんと、まともな子がいないんだから」
0163名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:55:50.34ID:FO0yL1bR
夏美「いててですの……」

きな子「あー!夏美ちゃん!四季ちゃん!」

四季「うん」

きな子「ふたりとも元気そうでよかったっす!」

夏美「私はおもいっきり負傷してますけど」

四季「きな子ちゃんも元気そうでよかった」


メイ「スクールアイドルがスクールアイドルじゃなくなったとして、じゃあそれはファンから見てもスクールアイドルではなくなったといえるのか?例えば卒業したとして、それでスクールアイドルじゃなくなる?いや、スクールアイドルだった事実は変わらないんだから、ファンの心の中にはスクールアイドルである彼女が残り続けるわけで」


四季「あっちはなんか元気過ぎ」

きな子「あはは、いろいろあったっすからね」

四季「そっか」

夏美「まぁ、とりあえず」


夏美「お疲れ様ですの」
0164名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:56:48.82ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


夏美「さて、明日がこの遠征最後の日。ばっちり決めますの!」

かのん「そうだね。最後くらいはばっちり決めて欲しいよね?」

夏美「なんですか、その嫌味っぽい言い方は」

かのん「べっつに〜」

夏美「明日の大会は昨日より大規模ですの。それにとても凝った大会ですの」

可可「凝った大会?」

夏美「その名もミステリーライブですの!」

恋「なんですかそれ?」

すみれ「ミステリーツアーみたいなものかしら?」

夏美「そうですの!各チームが迷宮のような施設に放り込まれて脱出する新感覚ライブ!至る所に謎解きやアトラクションがあって競い合うんですの」

千砂都「うーん、ライブ要素あるのかな?」

夏美「それは行ってみるまでわかりません」

すみれ「ふーん、結局あんたも詳しくしらないのね」

かのん「最後まで頼りにならないなぁ」

夏美「もしかしたら脱出したチームだけがライブが出来るとかそういうのかもしれませんの!レースで1等を取ったらセンターでライブが出来る的な!」

すみれ「まぁ、どういうルールでも負けないけどね」

かのん「え?」
0165名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:57:37.41ID:FO0yL1bR
千砂都「おー、さすがすみれちゃん」

すみれ「あんたもやるんでしょ」

千砂都「まぁ、乗りかかったからねー」

かのん「??」

恋「千砂都さん、すみれさん。こっちに来てください。改めて可可さんに紹介したいです」

千砂都「そんなかしこまらなくてもいいのにー」

すみれ「そうよ、一時的な助っ人みたいなもんなんだから」

かのん「???」

恋「可可さんっ!」

可可「はい?なんですかレンレン。そんな大きな声出して」

恋「こほんっ、それはですね」

可可「?なんでそのふたりはやけにレンレンにくっついてるんですか?」

千砂都「ふふっ、ねとられってやつだねー?可可ちゃん♪」

可可「はい?」

すみれ「やめなさい。変な言葉教えるの」

恋「千砂都さんとすみれさんについて大事な話があります」

可可「?」

かのん「????」

きな子「あははは〜、さっきから状況についていけてないかのん先輩おもしろいっす」

夏美「あなたはいいですね。なんでもお見通しで」

恋「実は昨日、千砂都さん達と大会に出たんです!!」


かのん「ええええええええええ!!!!!!」
0166名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:58:17.81ID:FO0yL1bR
すみれ「うるさいわよ、かのん」

かのん「ど、ど、どういうこと!?」

すみれ「今あんたには話してないから黙ってなさい」

かのん「え?出たの?すみれちゃんが!?ちぃちゃんが!?」

すみれ「しずかにして」

恋「それで、なんといいますか……この二人も明日の大会に出て欲しくて」

可可「はい、いいデスよー♪」

千砂都「おおっと!あっさりオッケーもらっちゃったー!」

すみれ「ずいぶん軽いわね」

可可「だってレンレンがそうしたいなら拒む理由がありませんし。それにレンレンからかしこまってお願いなんてほとんどありませんからね。いい加減な理由ではないのでしょう」

恋「可可さん……」

可可「そんな事より!!そこのおふたり!貴方達にもスクールアイドルへの情熱があったんデスね!!そうなら早く言ってくださいよ!!なーんで隠してるデスかー♪」

すみれ「いや、別にそういうわけじゃないけど……」

千砂都「しーっ、話あわせておこ?」

恋「あの、ごめんなさい……可可さん」

可可「何がデス?」

恋「一人で頑張るって約束したのに。一人じゃなくて」

可可「ふふっ、そんな事ですか。いいんですよ助けてくれる人がいるっていうのは人望という、いってみればスキルですからね。それもレンレンのちからというやつデス!」

恋「そうでしょうか……」

可可「それに、ククも……ひとりじゃありませんでしたし」

恋「え?」

可可「実はいろいろあって、かのんさんにほとんど歌ってもらいまして」


千砂都「ええええええええええ!!!!!!」
0167名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 03:59:03.89ID:FO0yL1bR
すみれ「うるさいわよ、千砂都」

千砂都「だって!かのんちゃんあれなんだよ!知らないの?」

すみれ「知ってるわよ」

千砂都「じゃあなんでもっと驚かないのっ!!すみれちゃん!!」

すみれ「つめてこないでってば」

可可「ええっと、これが……ねとられってやつデスね!千砂都!」

千砂都「」

可可「この言葉はこういう時使うのであってます?」

かのん「いや、わたしもわかんないし」

千砂都「……が、がーん!とられちゃったよー!あははははっ」

すみれ「おちゃらけてるけど、本気で動揺してたわね」

千砂都「そっか、歌ったんだかのんちゃん……」

すみれ「……」

千砂都「そっか、歌えたんだ。……えへへ」

すみれ(でも、誰よりも嬉しいのね)

可可「でも、いきなりメンバー増やしても大丈夫デスか?ナッツ〜」

夏美「別に問題ありませんよ。明日の大会は誰でも何人でも参加していいみたいですからね」

すみれ「ずいぶんいい加減な大会ね」

夏美「いいえ、これは表に出る人間だけじゃない。裏側でスクールアイドルを支える人達も参加出来る形にすることで彼女たちの絆を確認し合うためなんですの」

すみれ「まぁ、そういうと聞こえはいいわね」

夏美「ですの!裏方にも優しくしてるところを見せつけて好感度を上げる最高のエンタメショーですの!」

すみれ「たった今、台無しになったけど」

夏美「じゃあ、私達一年は先輩のためがんばってるとこアピールしまくりますのでやさしくしてくださいね?でーすの!」

すみれ「はいはい」

夏美「じゃあ、よろしくですの!!」
0168名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:00:11.95ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


かのん「……」

可可「かのん」

かのん「……可可ちゃん」

可可「どうかしましたか?ずっと考え事してる顔デス」

かのん「ちょっとね」

可可「ふたりの事ですか?」

かのん「うん。まさか、ふたりが大会に出たなんて思わなかったから、ちょっとびっくりして」

可可「それはどうしてですか?」

かのん「そんな事するようなタイプじゃないと思ってたし」

かのん「だから先越されちゃった……みたいな事も思ったり?」

可可「?」

かのん「ふたりともほら、いつも余裕そうにしてるじゃん」

かのん「だから、そんな子の側にいると。無気力な私も、ちぃちゃんやすみれちゃんみたいに凄い力を秘めてるんだぞ〜と思えてきて」

かのん「がんばらなくてもいいんだって、夢なんてなくていいんだって思えてきて……」

かのん「でも、今日会った二人はなんか輝いてて。目標が出来たみたいな?」

かのん「ちぃちゃんは前に目標をもって留学しちゃったんだけど、なんかその時よりもやる気満々にみえた」

かのん「まるで自分が心からやりたい事が決まったみたいに」

かのん「でも、私にはなにもない」

可可「なにもなくなんてないデスよ」

かのん「え?」
0169名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:00:56.94ID:FO0yL1bR
可可「かのんにはとっても素敵な歌声があります!クク、感動しました。あの日ふたりで歌えてゾクゾクしましたもん!今でも鮮明に思い出せるんデスよ?」

かのん「でも、私は……歌えないから」

可可「歌えないのにククのために歌ってくれました。それはとてもすごいことでは?」

かのん「……っ」

可可「自分をもっと褒めてあげてください。貴方は素晴らしい人デス!」

かのん「……私もね」

可可「?」

かのん「可可ちゃんと歌えて、凄くたのしかった」

可可「おー!おそろいデスね!」

かのん「また一緒に歌いたいくらい」

可可「……そうですか!」

かのん「でも、もう……」

可可「ねぇ、かのん」

かのん「?」

可可「一緒にやりませんか?スクールアイドル」

かのん「え?」

可可「うん!一緒にやるデス!かのんの友達もいるんですから絶対楽しいデスよ!」

かのん「でもっ」

可可「歌えなくてもいいデス」

かのん「……なんで?」

可可「歌えなくたっていいじゃないですか!一緒にやってても!」

かのん「それじゃ、何の役にも立たないよっ!」

可可「いいえ。例えあの日、かのんは歌えなくても、同じステージに立ってククの隣にいて助けてくれたはずです。だから、歌えなくたって何の役にも立たないなんて事はありえません」

かのん「でも……」

可可「それに貴方に恩返しがしたいんデス。押し付けかもしれませんけどね」

かのん「え……?」

可可「暗い顔してるかのんが笑顔になれるように、最高の景色をみせたいんデス!クク達がいつも見てる景色を」

かのん「なにそれ?」

可可「ふふっ、それは一緒にやってからのお楽しみデス!」

かのん「一緒に……」

可可「例え歌えなくても踊れなくても、一緒にステージに立てなくても構いません。貴方と一緒にやりたいんです」

可可「素敵な世界を知って欲しい。最高の景色を見て欲しい。それはステージからでも例えステージじゃなくても見える輝きです」

可可「だから、一緒にやりましょう?」
0170名無しで叶える物語(しうまい)2023/02/19(日) 04:01:42.95ID:sdhDtVY7
寝る前に凄い長編を見つけてしまった
まだ読んでる途中でもう終わってるのかもしれんが、進行中なら頑張ってくれ後で必ず読む
0171名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:01:51.07ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


千砂都「そっかぁ、歌ったんだぁ」

すみれ「……」

千砂都「歌えたんだぁ」

すみれ「うるさいわね。さっきから」

千砂都「だって嬉しくないの?かのんちゃんが歌えたんだよ?」

すみれ「私はあんたみたいにかのんに大きな幻想を抱いてないのよ」

千砂都「えー!?そんな人いるのぉ!?」

すみれ「逆にあんただけよ。そんなのは」

千砂都「はぁ、でも聴きたかったな〜かのんちゃんの歌」

すみれ「そうね」

千砂都「そういえばすみれちゃんは聴いた事あるの?かのんちゃんの歌?」

すみれ「……どう思う?」

千砂都「え?」

すみれ「もしかしたら私達、千砂都のいないうちに一緒にカラオケとか行ってたりしてね?」

千砂都「」

すみれ「……っふふ」

千砂都「な、なに急に笑い出して」

すみれ「別に、ただあんたもからかいがいがあるのねって思って」

千砂都「あー!やったなぁ?」

すみれ「たまにはあんたが慌てるのもいいものね」

千砂都「むむむ」

すみれ「ふふっ」

千砂都「……それでどうなの」

すみれ「なにが?」

千砂都「あるの?」

すみれ「……さぁ、どうかしら?」
0172名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:02:54.18ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


かのん「……」

夏美「こんなとこで黄昏て何やってるんですの?」

かのん「別に、ぼーっとしてるだけだけど」

夏美「ふーん、ですの」

かのん「……」

夏美「……かのん先輩も一緒にやるんですか?可可先輩と」

かのん「なんで?」

夏美「すみれ先輩と千砂都先輩に触発されて、あなたもやるのかなーと思って」

かのん「……さぁ、どうしよっかなって」

夏美「やめた方がいいですの」

かのん「いきなりずけずけと切り捨ててくれるじゃん」

夏美「向いてないですの。やめとけやめとけですの。ぜったいやんない方がいいですの」

かのん「なんかむかつくなぁ」

夏美「かのん先輩のために言ってるんですのー、ほんとに向いてないからやめとけですの」

かのん「やっぱむかつく。ねぇ、怒らせたいの?」

夏美「かのん先輩」

かのん「?」
0173名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:03:44.88ID:FO0yL1bR
夏美「私は本気で言ってるんですの。だからやめてください」

かのん「なに、急に」

夏美「ステージで歌うかのん先輩はたしかに凄かったです。皆の心を奪ってました」

かのん「ほんとになんなのよ、急に」

夏美「けど、そのたびにあんなことになるならやらない方がいいです」

かのん「……なんで」

夏美「私が見たくないからですの」

かのん「……なにそれ」

夏美「……」


夏美「かのん先輩を苦しめる役目は私なんですの。だから勝手にひとりでなにかやって苦しまないでもらいたいですの。動画に出来ないだなんてもったいないですの」

かのん「はぁ?結局それ?ほんとこの子はっ」

夏美「だからぜっっったいやっちゃダメですの!認めませんから!」

かのん「どういう立場で言ってんのさ」

夏美「とにかくダメですからね!べーっだ」

かのん「あっ、ちょっと」

夏美「ぜったいだめですのーー!!」


かのん「なんなのよ。まったく」
0174名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:05:15.58ID:FO0yL1bR
─────翌日。


可可「ついに最後の試練デスね!レンレン」

恋「はいっ!」

すみれ「さぁ、さっさと片付けて帰るわよ」

千砂都「いや、そんな簡単には片付かないと思うよー?」

かのん「すっごいね。ほんとにここでやるの?」

きな子「なんか古代遺跡みたいっすね。都会の真ん中にアンバランスっす!」

四季「その中央に電波塔みたいなタワーが建てられてる。これはアンマッチ」

メイ「そもそもスク−ルアイドルというのはアイドルという訳で、ただのアイドルになったとしたらそれは元スクールアイドルの」ブツブツ

夏美「まーだ言ってるんですの?いい加減にするですの」


悠奈「あー!いたー!!」


可可「はっ!!!???」


摩央「今日は勢揃いね」

悠奈「賑やかでいいね!たのしそう!」


可可「あわわわわわわっ悠奈サン摩央サンっ……ゴニョゴニョゴニョ」


すみれ「なにあれ」

恋「あぁ、可可さんは二人の前だとこうなってしまうんです」

すみれ「致命的な弱点じゃない」

千砂都「あははー、照れててかわいいね」

きな子「幸せって気持ちが流れてくるっす〜♪」

すみれ「まったく、しっかりしてよ。今日は勝ちに来たんだから」

悠奈「おおっ、凄い自信だね!この子は手ごわそう!」

摩央「ええ、でしょ?執念深いのよ。こういう子は」

すみれ「ふん、負けると思って戦う子なんていないでしょ?」

悠奈「あー!たしかに!」
0175名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:06:19.39ID:FO0yL1bR
???「ふん、くだらない馴れ合いに興じてるわね。Sunny Passion」


夏美「はっ!!」


ウィーン「だから、一昨日の大会に負けたのよ。この私に。でも、そういったら『一昨日はひとりだったから』だとか言い訳するのかしら?ふん、見苦しいわね。どうして素直に負けを認められないのかしら」


夏美「ひぃぃっ!!!またやべーやつが入り込んでますの!またひとりでペラペラ喋ってますの!」


摩央「悠奈、あの子が昨日いってた子?」

悠奈「そだよー」


可可「むっ……貴方は」

ウィーン「あら、私に負けた人じゃない。こんにちわ。名前も知らないけど」

夏美「ひっぃ!!!話の輪に入ってきましたの!どんだけアクティブなタイプのやべーやつなんですの!」

千砂都「だれ?」

恋「さぁ?すみません、私も初めて会う方なので……」

すみれ「ここにいるってことはこの子も敵でしょ?それだけわかってれば十分よ」

ウィーン「あら貴方……」

すみれ「?」

ウィーン「なんだ違ったわ。綺麗な髪の毛をしてるから私達と一緒かと思ったけど、よく見るとこてこての日本人じゃない。華がない顔してるもの」

すみれ「は?」

ウィーン「でもいいチョイスよ。その髪色は。私達に憧れて、私達にコンプレックスを感じてるのよね。そういう子を見ると愛しくなって抱きしめたくなっちゃう」

すみれ「ここで潰すのってルール違反かしら?まだ始まってないからこそセーフだと思うんだけど」

千砂都「おもいっきりアウトだと思うよ」

恋「喧嘩はやめましょう?ね」
0176名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:07:08.60ID:FO0yL1bR
ウィーン「とにかく今日はわざわざ集まってくれてありがとう?全員私に負けるためにね」

摩央「ふふっ、おもしろい子ね」

悠奈「でしょでしょ?」

可可「今日勝つのはクク達デス。貴方の出番はありませんよ」

ウィーン「おもしろいジョークね。私の足元にも及ばないくせに」

可可「そうやって言ってるといいデス。足元をすくいやすくなりますからね」

ウィーン「そう?辿り着く事さえ出来ないと思うけど、まぁそれもすぐにわかることよ」


ウィーン「……」チラッ

かのん「……?」

ウィーン「澁谷かのんっ!!」ギリッ!

かのん「えぇっ!?」


ウィーン「ふん」スッ


千砂都「あ、行っちゃった」

すみれ「なにやったかしらないけど、よくやったわ。かのん」

かのん「え?なにもしてないよ!わたし」

夏美「やっべー奴にフルネームで覚えられてますの!!完全に目つけられてますの!!」

かのん「なんでっ!!?」



『はーい、そろそろ締め切りまーす。まだの方はお早めにエントリーを済ませてくださーい』



悠奈「あっ!はじまっちゃうよ!みんな!」

夏美「もうそんな時間ですの?余裕をもってきたはずなのに」

すみれ「変なのに絡まれたからよ」

恋「とにかく急ぎましょうか!」

可可「はいデス!」
0177名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:08:17.18ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


悠奈「間に合ったねー☆くぅくぅちゃん!」

可可「はいデス〜!」

すみれ「デレデレしちゃって、緊張感のない」

恋「大丈夫です。可可さんは始まればスイッチの切り替えが出来る人ですから」


『それでは開催します。第一回ミステリーライブ』


すみれ「ふーん、第一回なんだ」

千砂都「という事は何が起きるかほんとにわからないね」

恋「大会というものは回を重ねるごとにルールを見直され洗練されていきますからね」

可可「混沌とした大会になりそうデス!」

かのん「ひぃ……、中は薄暗くてなんか不気味だなぁ」

夏美「ほんとびびりですのー、かのん先輩は」

四季「先輩たちをサポートする。今日こそは」

メイ「そもそもアイドルってなんだ?どこから生まれてどこにきえてくんだ?私はなにも知らないじゃないか」ブツブツ

きな子「メイちゃん始まるっすよ」


『それでは始まります!お怪我などしないよう気をつけてくださいませ』


かのん「怪我?」
0178名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:09:06.29ID:FO0yL1bR
バンッ!


かのん「え?」

千砂都「あれ?床が」

すみれ「なくなったわね」

四季「私達、落ちてる」

夏美「ひいっ!なに冷静に言ってるんですの!」

恋「あわわわわわっ!」

メイ「うわぁ!!!!なんだこれ!どうして私はこんな所に?てかどこだここ?てかなんでおちてるんだぁーーー!!!」

きな子「あははははっ!深いっす〜」

可可「みなさんっ!!!しっかりするデス!!!」






ヒュウウウウウウウウン ドス!
0179名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:09:43.57ID:FO0yL1bR
かのん「いてて、……っていいたいけど何故か痛くない。なんで?」


かのん「……まぁ、いっか無事なら。それで」


かのん「それよりどうなったの?私達」

すみれ「……どうやらバラバラになったみたいね」

かのん「あっ!すみれちゃん!大丈夫?」

すみれ「ええ、なんとかね」

かのん「他の皆は……」

すみれ「はぐれたというか分断されたというべきかしらね」
0180名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:10:22.20ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


メイ「……っは。わ、わたしはいったいどうなって?」

千砂都「あー、気が付いた?メイちゃん」

メイ「えっ?」

千砂都「ふふ♪」

メイ「ちちちちちちちさと先輩っ!!すみません!先輩を下敷きにして寝ちゃってて!」

千砂都「いいよー、怪我がなくてよかったよかった♪私がクッション代わりになれたのかな?」

メイ「私のやろーなんてことを!こんな小さい先輩をクッション代わりにするなんて!この野郎っ!このっ!このっ!」ドス!ドス!

千砂都「こーら、メイちゃん。自分の事殴らないの」
0181名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:11:06.98ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


可可「レンレン!大丈夫デスか?」

恋「はい、なんとか」

可可「よかったデス!」

恋「不思議とあんなところから落ちたのに怪我ひとつありません」

可可「衝撃を吸収するやつという事でしょうか?」

恋「なるほど四季さんが車に使っていた素材ですね」

可可「しかし、めちゃくちゃしますねこの大会。おかげでみんなとはぐれちゃったじゃないデスかー!」
0182名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:11:58.46ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


四季「この材質、すごい」

きな子「そうなんすか?」

四季「あんなところから落ちても私達、怪我してない」

きな子「四季ちゃんがつくったあのくるまさんよりもっすか?」

四季「凄い。いったいどうなってるか調べたい」

きな子「でも、皆の事も気になるっすよ」

四季「うん……でも、これも後々のために役立つから気になる」

きな子「……う〜ん、あっ!じゃあ調べながら探せばいいじゃないっすか?」

四季「?」

きな子「きな子は道民っすから炭鉱はおてのものっすよ〜掘りながら探すっす!」
0183名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:12:49.62ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ウィーン「ふん、なるほどね。これがこの国の言うおもてなしってやつかしら?ずいぶんなことしてくれるじゃない」

夏美「……」ボーゼン

ウィーン「これが粋ってやつなのかしら?くだらない。ほんとに何をやらせてもくだらない事しか出来ないのね。貴方達は」

夏美「ひぃ〜!!なんでこんな人とふたりっきりなんですの!!」

ウィーン「貴方達のセンスってほんと独特よね。これはもちろん悪い意味でいってるのよ?わかるかしら?」

夏美「誰か来てですのっーーー!!!」
0184名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:13:49.71ID:FO0yL1bR
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かのん「分断?」

すみれ「そう。私達はあえてバラバラにされた」

かのん「なんでまたそんな事を」

すみれ「夏美が言ってたわよね。ゴールしたチームだけがライブが出来るんじゃないかみたいな事」

かのん「でも、あれはあの子の予想だし」

すみれ「いいえ、きっとあってたのよ。でも、厳密には少し違ってる」

かのん「?」

すみれ「チームじゃなく生き残ったメンバーでだけってこと。つまりここから抜け出せたメンバーでのみライブが出来るって事よ」

かのん「ってことは」

すみれ「全員揃うかもしれないし私一人で歌わないといけないかもしれない」

すみれ「この迷宮を脱出させる目的は、ふるいにかけて人数を減らし、体力も減らす事で個々のコンディションを下げる事」

すみれ「つまり不完全な状態でもライブをやりきれるのか?そういうのが見たいんじゃない?そしてやりきれたチームのみが優勝できる」

かのん「スクールアイドルってそんな過酷な競技だったの?」

すみれ「知らないわよ。でもまぁ、運営の魂胆はわかったわ。おもしろい、やってやろうじゃない」

かのん「ううっ、肝が据わってるんだから。すみれちゃんは」
0185名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:14:30.62ID:FO0yL1bR
すみれ「ほら、いくわよ。まずはここから出ないと話にならないんだから」

かのん「待ってよ!ひとりにしないで〜!」

すみれ「早く来なさいってば」

かのん「うぅ、ここって地下だよね?薄暗くておどろおどろしくてほんと不気味。なんか出てこない?出てこないよね?」

すみれ「さぁね」

かのん「出ないっていってよ!!!」

すみれ「耳元でうるさいわね。こんなに騒がしくしてたらおばけもでてこれないんじゃない」

かのん「おばけっ!!!??きゃあああああああっ!!!!」

すみれ「いや、おばけって言っただけじゃない……びびりすぎよあんた」

かのん「すみれちゃん!私から一ミリも離れないでよ!離れたらどうなるかわからないから!」ギロッ

すみれ「はいはい、あんたがね」

かのん「ね?ね?あれ顔に見えない?見えるよね?」

すみれ「こういう時、あんたとは一番一緒になりたくなかったわ」
0186名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:15:20.18ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


メイ「千砂都先輩は絶対私が守りますからね」

千砂都「おー、頼もしいー♪ナイトだねぇメイちゃん」

メイ「千砂都先輩は御二人のコーチで友人で、スクールアイドルだ!この命に代えても守るぞ!」

千砂都「ふふ、たよりにしてるねー」

メイ「しかしなんだこの迷宮は、さっきから同じところをぐるぐるまわってる気がするぞ」

千砂都「まるみたいに?」

メイ「もしかしたら隠し通路でもあってそこからじゃないと出れないんじゃないだろうな」

千砂都「隠し通路かぁ〜あっ、あそこのでっぱり怪しくない?」

メイ「どれですか?」

千砂都「これこれ、なんか見るからに押して欲しそうだよ」

メイ「罠っぽくないですか?」

千砂都「うーん、でもこういう時恋ちゃんなら押すと思うなぁ」

メイ「そうかもしれませんけど……って何押してるんですか!」

千砂都「成功も失敗もやってみないとわからないからね〜」

メイ「んな事いってる場合じゃ」


ドドドドドドドドドドッ


メイ「なななな何の音だ?」

千砂都「うーん、あっ!あれじゃない?」

メイ「っ!!!!???」

千砂都「おおきなまるがこっちに転がってくる音♡」
0187名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:15:56.43ID:FO0yL1bR
メイ「うおおおおおおおおっ!!!!!」



千砂都「わー、メイちゃんって大胆だね。私を小脇に抱えて走り出しちゃうなんてさ」

メイ「先輩がぼーっとしてるからだろ!」

千砂都「うーん、だってまるに潰されるならそれも本望かなって……♡」

メイ「なにいってんだよ!!」

千砂都「ほーら、早く走んないとぺちゃんこになっちゃうよ」

メイ「このぉぉぉぉっ!!!」

千砂都「でも疲れちゃったら私の事離しちゃっていいからね〜」

メイ「絶対離すかっ!このやろうっ!!!」

千砂都「あははははっ!がんばれがんばれー」
0188名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:16:44.48ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜




可可「う〜ん、この不自然に置かれてるブロックは?」

恋「謎解き要素ですね!」

恋「ゲームでもよくあります!突然の謎解き要素!」

恋「それはたいてい考える必要もないくらい単純なものでゲームのテンポを著しく悪くしてる要素のひとつです!」

可可「最近なんのゲーム始めたんですか?レンレン」

恋「これも考えるまでもありませんよ。このブロックをそこのくぼみまで移動させればいいだけの話です」

恋「すごく単純ですね。可可さん、これを謎解きと呼んでいいと思いますか?」

可可「知らないデス」

恋「私はよくないと思いますね」

可可「タネがわかっているなら早くやっちゃいましょうよ。レンレン」

恋「そうですね。いたずらに時間を費やすものでもありません。こんなものに」

可可「じゃあ、押しますよー」

恋「はい」

可可「せーのっ」


可可&恋「んんっ!?」
0189名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:17:22.39ID:FO0yL1bR
可可「お、おもいっ、重いデスこれ!」

恋「はぁ、はぁ……っ!」

可可「ちょっと……これは、クク達だけでは無理ですね」

恋「……なるほど」

可可「こうなったら誰かと合流しましょう。人数が多い方がいろいろと有利ですし」

恋「そういうアイテム。もしくは技が必要なんですね」

可可「はい?」

恋「ゲーム上に設置された動かせそうな岩。とおせんぼするようになっていて、それをどかせば向こう側にいけるのにと私達をもやもやさせます」

恋「でも、ある程度物語を進めるとそれをどかす事ができるようになるんです!」

恋「その時の世界が広がった感じときたらほんとに感動して」ウットリ…

可可「むぅ、レンレンってば自分の世界に入り込んじゃって、まったく子供なんデスから」

恋「はぁ、ゲームとはいえ自分に出来る事が増えるのはどうしてあんなにも快感なんでしょう!それが現実で出来るなんて!」

可可「ふふ、でも、レンレンが楽しそうならククも幸せデス!」
0190名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:18:13.06ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


きな子「えっほ、えっほ」

四季「なるほど、合成樹脂に一定の空間を作る事で衝撃を吸収してるんだ」

きな子「えっほ、えっほ」

四季「その空間はハチの巣上になってる。虫たちの知恵を借りてるんだね」

きな子「虫さんっすか?」

四季「そう、やっぱり昆虫の世界は凄い。学べることがたくさんある」

きな子「えー?四季ちゃんみたいな賢い人がわざわざ虫さんから学ぶんすか?」

四季「……きな子ちゃん、こんな話がある」

きな子「なんすか?急に」

四季「ある国にとても聡明な人がいて皆から尊敬されていました。でも、そんな凄い人でも虫の知恵を借りる事があるの」

きな子「へぇーどんな時にっすかね」

四季「山の中で迷って飲み水に困った時」

きな子「それは大変っす。水がなきゃ人間は一週間も生きれないっすよ〜」

四季「そんな時、その人は蟻の知恵を借りました」

きな子「ありさんっすか?」

四季「蟻にも飲み物は必要。だから蟻塚の真下には水脈がある。なのでその人は蟻の巣を掘り当てて飲み水を得ました」

きな子「おーっ」

四季「どんなに凄い人でもこうやって小さな存在に助けを乞う事がある。ほんとに頭のいい人は虫でも鳥でも動物でも、自分より下等な生き物と見下さずに、素直に学びを乞える人の事をいうの」

きな子「なるほど、……でもそれって虫さんから直接教えてもらったわけじゃないっすよね」

四季「?」
0191名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:18:59.70ID:FO0yL1bR
きな子「それを調べた人がいてだから蟻さんの巣の下はそうなってるって知識があっただけっす」

四季「……」

きな子「だから虫さんたちに教えてもらったわけじゃないっすよそれ。やっぱり凄いのは人間っ」

四季「その人もきな子ちゃんみたいに動物の気持ちがわかったの」

きな子「えええ!ほんとっすか?」

四季「ほんと、まじ」

きな子「きな子はさすがに虫さんの気持ちまではわからないんすけど、その人はわかったんすかね?」

四季「うん、絶対そう」

きな子「わ〜!すごいっす〜!」

四季「だからきな子ちゃんも尊敬してね。虫のことを」

きな子「はいっす!」
0192名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:20:11.77ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ウィーン「ふん、ここはヨーロッパの古代遺跡を意識して作られたって所かしら?日本人ってほんと私達の先祖が好きなのね?」

夏美「……」

ウィーン「オーストリアって国はね?ヨーロッパの中央に位置してるの。世界の中心であるヨーロッパのさらに中心。あら、それを知って目の色が変わったわね?そうよ、今貴方の前にいるのは本物のヨーロッパ人なの」

夏美「ほんとこの人うるさいですの……聞いてもない事べらべらと……」

ウィーン「ほら、貴方達の憧れてる白人が目の前にいるわよ?握手してあげましょうか?」

夏美「憧れてねーですの……まったく。……ん?ここは」

ウィーン「あら、行き止まりね」

夏美「げ〜、ここまできたのに引き返すんですの?」

ウィーン「ふん、節穴ね。日本人の目は。あれを見なさい」

夏美「?あれは……」

ウィーン「そう趣味の悪い絵。これが貴方達の日本人のセンスを表してるわ」

夏美「パズルですの!9×9のパネルを動かして正しい絵にかえるやつですの!これを解けば脱出できるんじゃっ……!」

ウィーン「ぐちゃぐちゃでまるでどこかとどこかが入れ替わってるみたい。貴方達はどういう神経でこんな絵を描いてるの?信じられない。精神鑑定を受ける事をおすすめするわ」

夏美「だからパズルだって言ってるですの!そんなもんそっちが受けてろですの!」
0193名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:21:31.80ID:FO0yL1bR
ウィーン「あぁ、貴方達の大好きなIQクイズってやつかしら?意味のない数字にすがってるのね」

夏美「ええっと、この模様がここと繋がるからこれとこれをスライドさせて」

ウィーン「あんなものがいくら高くてもね。何をしてるかが重要なのよ。貴方はその数値に自信があるのかしら?だとしたら今やってる事はなに?バカみたいに趣味の悪い絵を動かして、それって意味のある行動なのかしら?頭のいい人間がする行動?知能があってもね、知識がなければバカと一緒なのよ。そんな絵を変えれても偉人のように世の中を変えることは一生できないわ」

夏美「あー、これが邪魔ですの!これがなきゃこれを向こうにやせて完成するのに!」

ウィーン「ほんとにマヌケね。貴方達って」


バキッ!!


夏美「ちょっ、何やってるんですの!?」

ウィーン「こんなもの壊して作り変えた方が早いでしょ?回りくどい事して。貴方達ってどうしてそんなに効率の悪い事を好むの?」

夏美「そんななんでもありが許されるわけないでしょ!ばかなんですの!あなた!」

ウィーン「あははははっ!おもしろい冗談を言うわね。私達、白人に向かってバカだなんて」

夏美「ほんと話しになんないですの!もう向こう行けですの!」


ゴゴゴゴゴゴゴゴッ


夏美「ん、な、何の音ですの!?」


サーッ


夏美「なっ!床が沈んでいきますの!この下は、砂っ!?きゃあああっ!!?どんどん沈んでくですの!蟻地獄ですの!」

ウィーン「貴方達ってほんとこういうトラップが好きよね。流砂だとか底なし沼だとか。そういう性癖なの?そういうのはまって落ちていきたいのかしら。そういえば何かに熱中する事を最近は沼にはまるって言うらしいじゃない。どんだけ好きなのよ落ちていく事が」ズブブブブブッ

夏美「ひぇっ……!沈みながらしゃべってるですの!眉1つ動かさずに……!」
0194名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:22:22.86ID:FO0yL1bR
ウィーン「まぁ、たしかに落ちていく快感、沈んでく快感というのあるかもしれないわ。でもそれって諦めって気持ちの裏返しじゃない?もうなにもかも諦めてしまいたいという願望からそういうのに快楽を見出してるのよ。倒錯ってやつね。毎日奴隷みたいな人生を過ごしてる事への諦め。そこから抜け出せないのならいっそ沈んでしまって楽になりたいという気持ちからなんでしょう?」ズブブブブブッ

夏美「なにやってるんですの!さっさと這い上がるですの!しんじゃいますよ!」

ウィーン「でも諦めたいなんてくだらない願望よね。いい?人間には諦めないといけない時なんてないの。環境のせい時代のせい、そんなの全部言い訳だわ。だって全部ぶち壊してしまえばいいだけじゃない。回りくどい事を好み過ぎてバカになってるんじゃない?自分の進む道に邪魔なものなんてね。全て壊してしまえばいい。そうやって全部ぶち壊せばね。諦めなきゃいけない状況なんてやってこないのよ!」ズブブブブブッ

夏美「諦める諦めない以前にあなたは動き出しなさい!ほんとにしんじゃいますよ!ほら、手を掴んで
っ」

ウィーン「あらなんだ、やっぱり握手がしたかったんじゃない。そうよね、この世にいる全人類は私達白人に強い憧れを抱いているものね」ズブブブブブッ

夏美「ほんとむかつく!こんな奴たすけたくねーですの!!あなたっ!一度でいいから助けを乞いなさい!そしたら助けてやるですの!」

ウィーン「助けを乞う?誰が誰に?まさかとは思うけど白人である私が日本人である貴方にではないでしょうね?」ズブブブ…ブブッ…

夏美「あーもうっ!命乞いをしろですの!そしたらこっちも助けてやろうって思えるんですの!だから早くっ」

ウィーン「夢みたいなことはまぶたを閉じてから宣いなさい。わかりやすくいうなら寝言は寝ていえってやつかしっ……ごぼ、ごぼぼぼぼぼ」

夏美「あっ…ちょっと……!」

ウィーン「ごぼ、ごぼっぼごぼぼぼぼぼぼっ」

夏美「沈んでいってるのに、まだなんか喋ってるですの……どうかしてるんじゃないですのっ……!」



ゴボボボボ……



夏美「………………」
0195名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:24:42.39ID:FO0yL1bR
夏美「し、しずんじゃったですの!見殺しにしちゃったですの!」


夏美「わ、わ、わたしが……こ、ころした……?」


夏美「……はぁ……はぁ……はぁ」


夏美「ち、違いますの!勝手にあいつが沈んでいっただけですの!わたしは関係ないですの!」


夏美「だいたいそうですの!あいつはとってもいやな奴でした。そんな人が沈んでいっても何も感じないですの!いい気味ーってやつですの!」


夏美「あんないやなやつ!世の中いない方がいいまでありますの!だったらどこまでも沈んでしまえばいいんですの!そ、それが世の中のためですの!」


夏美「そうっ、これはスカッとする系の出来事ですの!悪い人が懲らしめられただけですの!にゃはははははっ!!!!」


夏美「それに私は助けようとしました!なのにあいつが意味の分からないことをずっとぺらぺら喋ってるからでっ……」


夏美「だから、わたしは悪くないですのっ!!!!」


夏美「……はぁ……はぁ……はぁ」


夏美「…………っ」



ウィーン『私って見ての通り。由緒正しい音楽一家の生まれなのよ?』

ウィーン『ほら、貴方達の憧れてる白人が目の前にいるわよ?握手してあげましょうか?』

ウィーン『あらなんだ、やっぱり握手がしたかったんじゃない。そうよね、この世にいる全人類は私達白人に強い憧れを抱いているものね』



夏美「ううううっ!!ろくな思い出がないですのっ!!ぜったい助けたくないですのっ!!!」


夏美「っ…………」


夏美「でもっ…………でもっ!!!」


夏美「あーーーっもうっ!!!」



バッ ズボッ ボボボボボボ……
0196名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:25:52.61ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


かのん「ちょっと!離れないでっていったよね?どういうつもりなのすみれちゃんって?」

すみれ「ちょっと数ミリ離れただけじゃない。うるさいのよあんた」

かのん「一ミリも離れないでっていったよね?なんで私のお願い聞いてくれないのかな!!」

すみれ「あー、ほんとめんどくさい」

かのん「きゃああああああああああっ!!!!」

すみれ「なによ」

かのん「びっくりした!よく見たらすみれちゃんの影じゃない!あんま好き勝手させてんじゃないよ!」

すみれ「はいはい、私の影、お願いだからおとなしくしててね」

かのん「ばかじゃないの!影になんか話しかけて。今そんなふざけてる場合じゃないってわかってるよね?」

すみれ「いい加減怒るわよ」

かのん「もうっ!早くこんなとこ抜け出してよ!」

すみれ「今やってるでしょうが」


ガンガンガン


すみれ「?」


ガンガンガン


かのん「ひぃっ!な、何の音!?」


ガンガンガン


すみれ「……近づいてくるわね」


ガンガン、ガンッ!!!


かのん「ひぃっ!!!」



きな子「でたっす〜」



かのん「きゃああああああああああっ!!!!」

すみれ「ちょっと!引っ張るんじゃないわよ!!!」

かのん「でたああああああああああっ!!!!!」
0197名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:27:26.05ID:FO0yL1bR
きな子「?」

四季「どうしたの」

きな子「なんか先輩たちに会えたけど逃げられたような?」

四季「そう。どっちに行ったか分かる?」

きな子「あっちっす!」

四季「じゃあ、追いかけよう」

きな子「はいっす!」



かのん「でたっ!でたっ!でたぁ!!!きな子ちゃんがでたぁ!!!」


かのん「って、出てきたのきな子ちゃんじゃん!!」

かのん「きな子ちゃん相手になに逃げてんの?ほんと信じらんないっ!いい加減にしないとぶん殴るよ!」

すみれ「やってみなさいよ。そしたらこっちもやっと手が出せるわ」



きな子「いたっす!」

四季「うん、いたね」

きな子「でも、なんか険悪っすけど」

四季「そうだね」

きな子「どうするっすか?」

四季「触らぬ神に祟りなし」

きな子「わかったっす!落ち着くまでここで眺めてるっす」

四季「うん」



かのん「すみれちゃんがしっかりしないからっ!」

すみれ「はぁ?全部こっちの台詞なのよあんた」

かのん「だいたいすみれちゃんっていっつもそうっ!」

すみれ「なによ」

かのん「なにさ!」

すみれ「ふん」

かのん「ぐぬぬぬっ……いつもそうやってスカしてぇ!」
0198名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:28:38.08ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


可可「レンレンのいう、そのアイテムというのはどこにあるんですかねー」

可可「そもそもほんとにあるんでしょうか」

恋「ありますよ。ゲームのお約束なんですから」

可可「あるといいデスけど」

恋「この先にいくとなにかありそうな気がします!」

可可「ほんとデスかー?」

恋「ほら、ここに!」

可可「……なにもない行き止まりデス」

恋「……まぁ、最初に行き止まりを引くのはあたりですからね。この手の探索ゲームでは」

可可「はーい、じゃあ、さっきの分かれ道戻りますよー」

恋「あっちの道が正規ルートなんでしょうね。きっとその道すがらにあるんでしょう。そういう必須アイテムは」

可可「あるといいデスけど」

恋「さぁ、いきますよ!可可さん」

可可「先にいかないでください。危ないデスよ」

恋「このツタをくぐって……今度こそ、ここにはっ!」

可可「……こっちも行き止まりデス」

恋「………」

可可「レンレン」

恋「詰みましたね」
0199名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:29:51.96ID:FO0yL1bR
可可「ほら、諦めないデス。さぁ、誰か探しますよ。そっちの方が手っ取り早いですから」

恋「とはいっても、うまい具合に誰かと会えるでしょうか」


コッチニイッテミヨー ソウネ


可可「そのうまい具合があるものデスね!向こうから人の声がしますよ!レンレン」

恋「ほ、ほんとですね……!なんてタイミングのいい」

可可「どこのどなたかわかりませんが助けてもらいましょう!ちょっとーそこのおかたー」

恋「うーん、でも聞いたことがある声のような……?」

可可「助けてデ─────」


悠奈「うーん?」

摩央「あら」


可可「あ、あ、あ。悠奈サン、摩央サンではありませんか、ホンジツハオヒガラモヨク…」

悠奈「あー!くぅくぅちゃんっ!また会えたね!」

摩央「無事だったみたいね」

可可「は、はい、おかげさまで、スコヤカナイチニチヲスゴサセテモラッテ」

恋「悠奈さん?摩央さん?」

悠奈「やっほー!そっちもふたり一緒だったんだ☆」

摩央「私達とおなじね」

悠奈「ライバル同士が勢揃いだー!」

摩央「出会ったからにはここで勝負でもする?」

可可「えええ!?今ここで勝負ですか?」

恋「お引き受けしたい所ですが、今はやめましょう」

悠奈「えー?つれないなー」

恋「だって、お互いここを出てからした方が面白いと思いまして」

摩央「お互い……ね。という事はもしかして、今から協力を持ちかけられるのかしら?」

恋「はい」

可可「ちょっとレンレン!そんな厚かましいお願い失礼デスよ!」

悠奈「わー!楽しそう!そーだよね。一緒にクリアして正々堂々と戦った方が面白いもんね!」

摩央「ふふ、いいわね。それ」

可可「ええっ!!いいんですか!!」

可可「そんなっ、おふたりとご一緒出来るなんてクク夢みたいデスっ♪」

悠奈「あははは〜、くぅくぅちゃんかわいい〜」

可可「や、やめてくださいっ!からかうのは!顔が熱くなっちゃいマスっ!!!」


恋「もう、可可さんは……」


悠奈「じゃあ、せっかく協力するなら円陣でも組んじゃう?」

可可「え、えぇ!?いいんデスかぁ〜」デレデレ


恋「……ふふっ、でも、可可さんが楽しそうなら私も幸せです♪」
0200名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:31:24.82ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


夏美「げほっげほっげほっ!!!」


夏美「あー、ひっどい目に遭いましたの……!」


夏美「でもまさか砂の下にこんな空間が広がってるとは……」


夏美「これならほっといても助かってたですの。あーあ、こんな人助けようとして飛び込まなきゃよかったですの」


ウィーン「ふん、自分から飛び込んだくせにずいぶん被害者面するじゃない」

夏美「誰のせいですの!こっちは貴方を助けようとしてっ!」

ウィーン「助けてあげた……ね。貴方達ってそうやって恩を売る事でしか、私達に対等に見てもらえないと思ってるわよね。それってなんて言うかわかる?自信のなさの表れっていうのよ。自分に魅力がないがないから、そういう形でしか好きになってもらうきっかけがないと思ってるんでしょう。まぁ実際その通りなんだけれど」

夏美「ほんとになんでこんなのためにっ……!」

ウィーン「日本人は皆、自分に自信がないのね。命をかけないと誰かに好きになってもらえないって本気で思ってる。まぁ、貴方が私の事をそんなにも好きなのはわかったけど」

夏美「はぁ!?ぞっとするような事を言うなですの!!気色悪いっ!」


夏美「あーもうっ、そんな事よりさっさと出るですの。こんなところ」

夏美「落とされた上に更に下にまで落とされたんですからゴールにはかなり遠くなってるはずですの」

ウィーン「ふん、陳腐で単純な発想ね。ご丁寧に地下3階から2階1階と経て地上に出れるとでも?これは迷宮。いわば立体的な迷路なのよ?地上へのゴールが地下1階にあるとは限らない。もしかしたら地下2階にあるかもしれないし3階にあるかもしれない。ちゃんとゴールしたければそういう固定観念は捨てる事ね」

夏美「ぐぬぬ、ムカつきますが一理あります。確かにそうですね。でも、急にまともな事をいうなですの!」

ウィーン「でも、その単純な貴方達日本人が作ったものだからそんな複雑に作られてるわけないかしら?ふふっ、そうよね所詮は貴方達が作ったものですもんね。今言った事は忘れて頂戴」

夏美「前言撤回ですの。やっぱりこいつは何一つまともじゃないですの」
0201名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:33:02.42ID:FO0yL1bR
ゴゴゴ…


夏美「?……この音は?」


ゴゴゴゴゴゴゴゴッ


夏美「っ!も、もうっ!今度はなんですの!」


アハハハハハ〜!イケイケ〜!


夏美「はい?なんですかこの声は……」


メイ「うおおおおおおおっ!!!!」


夏美「メイッ!?」


千砂都「わたしもいるよー」


夏美「ていうかその後ろ!」

ウィーン「大きな岩が転がってきてるわね。ふん、実に安直な展開。こういう場所でピンチといえばこういう展開しか思いつけないのかしら?天井が落ちてくるとか槍が降ってくるとかいろいろあるでしょう?大蛇に襲われるとかいうのもあるわよ。どう?この白人の発想力。何をとらせても貴方達より秀でているでしょう?」

夏美「やっばいですの!こっちくるなですの!」

メイ「別に行きたくて行ってる訳じゃねぇよ!」

夏美「きゃあああっ!くるなですの!」

ウィーン「ふん、ほんと日本人って逃げてばっかりね」

夏美「あなたも!いつまでもくだらない事言ってないで逃げるですの!」

ウィーン「いいえ、逃げないわ」

夏美「もうっ!ほんとこのひとはっ!」

ウィーン「だって、言ったでしょう?全部壊せばいいって」

夏美「はぁ?」

ウィーン「私の『本当の歌』は全てを破壊する─────」

夏美「ばかは死ななきゃ治らないというのはほんとなんですね。なにが『全てを破壊する─────』ですの!じゃあ一生歌でもうたってろですの!ばーか!」

ウィーン「いいわよ。そんなにいうなら聴かせてあげる。さっきのお礼にね?」

夏美「は?お礼?」
0202名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:33:56.61ID:FO0yL1bR
ウィーン「─────」スゥ…


千砂都「っ!メイちゃん!あの人の後ろに滑り込んで!」

メイ「ええ!?」

千砂都「いいからはやく!」

メイ「あーっ、よくわかんねぇけどこうなったらやけだっ!おらぁ!!!」


ウィーン「─────♪」


千砂都「セーフ!!」

メイ「なんだ?あいつ急に歌い出してって……っ」


メイ「なんだこいつの歌っ、ナイフみたいに心に刺さってくるっ!!」ゾクッ…


千砂都「おー!スクールアイドル大好きメイちゃんだからこその感受性の高さだね」


夏美「……?」


千砂都「おおっと!こっちは感受性ゼロだー!」(両手でまる!)


ピシッ


メイ「なっ!歌で、岩にヒビが!」

千砂都「すごいねー」

夏美「はぁ?そんなバカな事……」


バァァァンッ!!!!


夏美「……」

メイ「っ!」

千砂都「おー!」パチパチパチ


ウィーン「ふん、だから言ったでしょ?」


ウィーン「全部壊してしまえばいいって」
0203名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:35:02.26ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


かのん「きな子ちゃん達と合流出来てよかったぁ〜、こっちはすみれちゃんと一緒だったから不安で仕方なかったよぉ」

すみれ「こっちの台詞なんだけど」

かのん「ほんとこういう時、頼りにならない人って嫌だよね」

すみれ「……」イラッ

きな子「ど、どんまいっす、すみれ先輩っ」

四季「どんまい」

すみれ「どうも」

かのん「ふぅ、やっと落ち着いてきた」

すみれ「これで足を引っ張る子もいなくなってくれたって事でいいのかしら」

きな子「でも、どうするっすか?こっから」

かのん「皆で協力して早く出口見つけようよー」

きな子「そうは言うっすけど、きな子達は今自分がどこにいるのかもわからない状態っすよ」

すみれ「誰かさんがビビって連れ回してくれたおかげで余計にね」

四季「こういう時は、風の吹く方向に進むのが吉」

かのん「なにそれ。占い?」

四季「ううん、科学的なこういう時の抜け出し方」

きな子「でもこんな地下で風なんか吹かないっすよ」

すみれ「いえ、出口があるという事はそこから空気が入り込むはずよ」

四季「そう、つまり風を感じてその方向に進んでいけばいつかは出口に着く」
0204名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:37:16.30ID:FO0yL1bR
きな子「風を感じる……でも、どうやって感じるっすか?じっとしてても風なんて感じないっすけど」

四季「微量な風じゃ感じづらい。けど、肌が濡れてると風を感じやすいでしょ?」

きな子「なるほど、濡らすんすね。丁度きな子水持ってるっすよ」

四季「ううん、水は貴重になるかもしれない。それよりもっとちょうどいい事に、かのん先輩汗だく」

かのん「さっきから冷や汗かきまくりだからね」

四季「しばらくじっとしててください。そしたら冷たい風を感じるはずです」

かのん「うん、わかった……休憩したかったしちょうどいいや」


かのん「ふぅ……」



…………



すみれ「そういえばあんた達どっから出てきてたのよ」

きな子「あー、きな子達は壁の中を掘り進んでたんすよ」

すみれ「へぇ、次からは出禁レベルの事やってるじゃない」

四季「でも、おかげで次の発明の参考になった」

すみれ「ふーん、よくわかんないけど調べてたのは振動を吸収する素材ってやつ?」

四季「そう、この迷宮の素材は私が開発したものより高性能」

すみれ「あんたが作ったあの車も十分すごいと思うけどね」

きな子「四季ちゃんは向上心の塊なんす」
0205名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:38:26.84ID:FO0yL1bR
すみれ「ていうかよくそんなの掘れたわね、衝撃は吸収されるんじゃないの?」

四季「吸収といっても緩衝材として肩代わりしてもらうだけ。ダメージというものを無くすことは出来ない。人体に達する前に無にする事は出来てもそれは衝撃エネルギーをたくさんの身代わりで減らしてるだけ」

きな子「だから同じところを何回も叩けば削れちゃうんすよね」

すみれ「なるほどね。あるものはゼロにはできないと」

四季「あの車だって傷だらけになってた」

きな子「あはは、あの時めちゃくちゃ文句言ってたっすよ、くるまさん」

すみれ「車が文句……?」



かのん「きゃあああああっ!!!!」

きな子「な、なんすか?」

すみれ「はぁ」

かのん「ひんやりしたっ!今ひんやりしたって!!絶対冷たい手の人に触られたっ!!」

四季「落ち着いて。それが風です」

かのん「おばけに触られたぁっ!!!いやぁああああっ!!!!!」

きな子「あっ、かのん先輩、走ってどっかいっちゃったっす」

四季「ひとりで騒がしい人」

すみれ「……ふーん、あの方向に逃げたって事はその逆方向から風が吹いてきたってことね。なら私達はそっちに行きましょうか」

きな子「え」

すみれ「いくわよ。きな子、四季」

四季「はい」

きな子「は、はいっす」
0206名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:39:03.57ID:FO0yL1bR
きな子「……いいのかな?かのん先輩置いていっちゃって」

すみれ「大丈夫よ」

きな子「そうっすか?」

すみれ「だってほら」

きな子「?」

すみれ「どうせほっとくとあんな風に戻ってくるから」


かのん先輩「ちょっとー!!!私置いてどこ行くのよっ!!!」


すみれ「ね?」

きな子「あ、ほんとっす」

すみれ「だからさっさと行きましょう」

きな子「はいっす!!」


かのん「もうっ!!!いい加減にしてよっ!私を置いてくなんてどういうつもりなの?ねぇ!すみれちゃん!!!」
0207名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:40:31.38ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


摩央「これ?ふたりだけじゃ動かせなかったブロックって」

可可「そうデス」

恋「私達だけでは、びくともしませんでした。でも4人がかりなら動かせるはずです」

悠奈「うーん」

摩央「そうはいってもね」

恋「なにか問題でも?」

摩央「このブロックのサイズ的にふたりで押すのが限界じゃない?」

恋「……たしかに、言われてみれば」

可可「はっ!無我夢中でそういう細やかな点に気付きませんでした……ごめんなさいせっかく来てもらったのに」

恋「ならば、押してるふたりの背中を押しましょうか」

可可「そ!そそそそんな失礼な事出来ないですよっ!」

摩央「あまり得策ではないわね。その押し方だと力が分散するわ」

恋「力の効率ですか。考えてませんでした。たしかに、女性4人が集まってそんな押し方をしても非効率かもしれませんね」

悠奈「あんま無茶な事して怪我とかしたくないしねー」

恋「では、どうしましょう……」

摩央「ねぇ?一回、私達だけで押してみましょうか」

悠奈「あー、なるほど」

可可「えっ?でもすごく重かったですよ?ほんとにククとレンレンじゃびくともしなかったんですから」

摩央「別に信じてない訳じゃないわよ。ただ、そんなに言うなら私達の力を試してみたくなってね」

悠奈「うん、いいね!ちから比べだー!」

恋「あの不動さはちょっと鍛えれば動かせるような代物じゃなかったですよね……」

可可「はい、クク達も鍛えてますけどビクともしませんでした……」

悠奈「じゃあ、セーノでいくよー!」

摩央「ええ、せーのっ」
0208名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:41:19.21ID:FO0yL1bR
グッグググググ……


可可「!!!」

恋「う、うごきました……」

可可「凄いです!さすがサニパですっ!!!」

悠奈「やったー!特訓の成果だね」 

可可「い、いったいおふたりはっ、どのような特訓をなされているのデスか?凄すぎますっ!!」

悠奈「ふふっ、ないしょ〜♡」

可可「あぁっ〜!ナイショにされてしまいましたぁっー!!」

摩央「さて、貴方達の読み通り。そこの窪みに落としたら扉が開いたわね」

可可「あっ、本当デス!」

摩央「じゃあ行きましょうか」

恋「……摩央さん」

摩央「なにかしら?」

恋「どこかでそういうアイテムを拾ったのですか?それともそういう技を伝授してもらったとか」

摩央「?」

可可「レンレンっ!自分の事をあまり知らない方にそういう部分見せないでください。引かれますよ」

悠奈「あはは〜、れんちゃんも面白い子だねっ!」

恋「私の知識ではこういう時、『ぱわーぶれすれ』っとだとか『ひでんわざ』だとかが必要なのですが……」ブツブツ…

可可「と、とにかくありがとうございました!おふたりのおかげで先に進めマス!!」

摩央「いいのよ」

悠奈「私達も先に進めるしね」

摩央「ええ、じゃあ先に進みましょうか」

可可「はいデス!!」

恋「そういえば近所の力自慢のおじさんにどかしてもらうという展開もありましたね。どこかにそういったおじさまが配置されていたのでしょうか?それとも摩央さん達がそのおじさま……」

可可「レンレンっ!!失礼なこと言ってないでいきますよ!」
0209名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:43:04.18ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


千砂都「凄いねー。あんな大きな岩壊しちゃうなんて」

メイ「いったいどういう原理だ?」

夏美「手品みたいなものでしょう。歌なんかでものが壊せるわけありませんもの」

千砂都「いや、そうとも言い切れないよ」

夏美「というと?」

メイ「どういう事ですか?」

千砂都「世の中にはさ。音だけでガラスを割れる人がいるらしいじゃん。ということはウィーンちゃんは歌でそれをやってみせたんじゃないかな〜って」

夏美「ガラスと岩じゃ全然違いますの」

メイ「でも、実際に見せられちまったからなぁ」

ウィーン「貴方達、いつまで無駄話をしてるの?さっさと進むわよ」

夏美「無駄話のテーマは貴方なんですけど」

千砂都「でも、たしかにそうだね。いつまでもこんなところで感心してても仕方ないし先に進もう」
0210名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:44:02.01ID:FO0yL1bR
…………



千砂都「おっ、なんか大きい部屋に出た!」

メイ「なんだここは?」

夏美「広いですの!狭苦しい通路ばかりで息が詰まりそうだったのでちょうどいいですの!すぅ……はぁ〜……ですの」

ウィーン「ふん、大広間ね。だだっ広いだけで無駄な空間。大方、迷宮を作っては見たけれど通路ばかり作るんじゃ手間も費用もかかるから、こういうので楽しようって魂胆でしょ?貴方達のやりそうな浅知恵なんて私達にはお見通しよ」

夏美「あー、うるさい!そんなの私に言うなですの」

千砂都「…………?」

メイ「どうかしましたか?千砂都先輩」

千砂都「……あー、なんかきそうだなって思って」

メイ「なんか?それっていったいなんですか……って、うわっ!!!」


ヒュンヒュンヒュンヒュン!


夏美「な、なんですの!!!」

ウィーン「ふん」

千砂都「おおっ!なんか吹き矢みたいなのが私達のおでこに刺さっちゃったぁ!」

メイ「なんだこれ!!」

千砂都「でも先っぽは吸盤になってて全然痛くない!」

ウィーン「くだらない、子供騙しもいいところだわ。本物を使えば私達を始末出来たのに。何を考えてるの?これを作った日本人は」

夏美「貴方こそ何考えてるんですか。本物なんか使えるわけないでしょうがこのバカ」

メイ「なんだこれ?矢に紙がくくりつけられてる?」

千砂都「なんだろうねー?とりあえず皆それぞれの紙広げて見てみようか」
0211名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:45:10.55ID:FO0yL1bR
スルッ… ペラッ…


千砂都「えーと?『この紙に選ばれし者、この世の真理を捧げよ』だって」

メイ「私は『命をかけられる物を捧げよ』って書いてる」

夏美「『この世で最も価値のあるもの』でーすの」

ウィーン「ふん」ペラッ

千砂都「えーと?ウィーンちゃんのは『親愛なるもの』だって」

ウィーン「親愛?何よそれ。ほんと貴方達って何々愛みたいな薄っぺらい言葉が好きよね。愛って言葉に頼り過ぎなんじゃない」

夏美「静かにしろですの。謎解きパートでのおしゃべりは日本では禁止されています」

メイ「謎解きなのかこれ?単純に書いてある通りの事をすればいいだけだと思うんだが」

千砂都「うーんとね。親愛っていうのは例えば家族のこととかー」

ウィーン「家族……ふん、私をこんなところに島流ししてくれた人達ね」

夏美「あら、家族に捨てられたんですの?ぷぷ、かわいそーですのw」

メイ「こら、そういう事言うなよ。なんか理由があるんだろ」

千砂都「恋人とかー」

ウィーン「恋人?そんなのいないわ。でも、強いて言うなら音楽が恋人かしら」

夏美「ならさっさと音楽でも掲げてみろですの。その両手に持って。ほら、ほらっ」

メイ「そいつとなんかあったのか?お前そこまで性格悪くなかっただろ」
0212名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:46:08.00ID:FO0yL1bR
千砂都「あとはそうだなぁ、友達とか?」

ウィーン「ともだち……?」

夏美「ぷっ、友達という概念すら理解してないですよ、この人w」

メイ「友達って日本語の意味がわからないだけだろ。こいつ外国の人みたいだし」

夏美「こんな余計な事ばかりぺらぺら喋ってる人に今更知らない言葉なんてある訳ないでしょ。困惑してるんですの。友達なんていたわけがないですからね。悲しきモンスターですの」

千砂都「友達っていうのはねー。うーんと、困った時助けてくれたり。話を聞いてくれたり。笑ってくれたりする相手の事かな」

ウィーン「……」


ウィーン「……」ジィッ… 

夏美「は?なに私を見てるんですの」

千砂都「ほうほう」

メイ「なるほどな」

夏美「どういう事ですの」

メイ「きっとお前に助けてもらったり話聞いてもらったり笑ってもらったりしたんだろうな」

千砂都「そっかそっか♪夏美ちゃんが友達か」

夏美「はぁ?」

メイ「よかったな。私達以外に友達が出来て」

夏美「笑えない冗談はやめてください」

千砂都「よし!お題はわかったみたいだし、とりあえず捧げてみようか!」

夏美「私はこんな奴に捧げられませんよ」
0213名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:47:38.81ID:FO0yL1bR
千砂都「じゃあ私からね!この世の真理……それは、これだよ!!」(両手でまる!)


ガガガガ…


メイ「なんか音がしたな」

千砂都「きっと鍵が開く音だね。4つすべて捧げたらあの扉が開くんじゃないかな」

夏美「ああ、あの奥にある仰々しい扉ですか」

メイ「ていうか捧げるってあれでいいのか……?」

千砂都「いいんです!だってまるはこの世の真理だからね!」

メイ「まぁ、それでいいなら別にいいけどさ。じゃあ次は私な」

千砂都「さぁ、メイちゃんの命をかけられるものはなんだろうね!」ワクワク!

夏美「ふん、どうせあれでしょう」

メイ「私はやっぱりスクールアイドルだな。んで、これは可可先輩と恋先輩の隠し撮り写真。特にこの御二人のためならなんだってするぜ。私は」

千砂都「なんでもするだって!かっこいい!メイちゃん!」

夏美「捧げてる写真がその真逆を象徴してますの。ていうか2人の前に自分の欲望のためになんだってしちゃってますの」


ガガガガ…



メイ「お、これでよかったみたいだな」

夏美「ちょろあまですの」

千砂都「いいね!命をかけられるものがあるって!メイちゃんはまるだよ!まんまる!」

メイ「や、やめてくださいって、褒められるの慣れてないんすから」
0214名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:48:48.24ID:FO0yL1bR
夏美「はいはい、じゃあ次は私ですの」ピラッ

千砂都「んー?それは?」

夏美「千円札ですの」

メイ「金かよ」

千砂都「うんうん、お金は大切だもんねっ!」

メイ「お前ってほんとブレないな」

夏美「なんですの?『それは友情ですの!』とでもいって貴方たちの手でも握ればよかったですか?」

メイ「いや、それはいいよ。なんか気持ち悪いし」

夏美「気持ち悪いとはなんですか失礼な」

千砂都「じゃあ次、ウィーンちゃんお願い!」

ウィーン「……ん」

夏美「はぁ?なんですか手なんか出してきて」

千砂都「なんか幼稚園児みたいで可愛いねー」

メイ「ほら、早く捧げられろよ」

夏美「メイ、あなたね?時代が時代ならとんでもない薄情な事を言ってますよ。友達に生贄になれっていうんですか?」

メイ「別に捧げたもんなくならなかったしいいだろ。どうせ減るもんじゃないってやつだ、お前の好きな言葉じゃなかったっけ」

夏美「そんな言葉好きじゃねーですの!だいたい減らないのは大前提。好きなのは増える事ですの」

ウィーン「ん」

夏美「催促するなですの!こっちはいやだって言ってるんですの!」

メイ「夏美」

千砂都「夏美ちゃん」

夏美「たしなめるみたいに名前呼ぶなですの!私が駄々こねてるみたいでしょうが」

メイ「実際そうだろ。お前だけが今この状況で足引っぱってんだぞ」

千砂都「あんまりイジワルしちゃダメだよ?夏美ちゃん」
0215名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:49:43.30ID:FO0yL1bR
夏美「ぐううううううっ!2人はこの女の本性をまだ知らないから私を悪者に出来るんですの!」

メイ「外国の人だから日本語で上手く気持ちが伝えられないんだろ。それで感じが悪く思われてるだけだ」

千砂都「メイちゃんも誤解されやすいタイプだもんね……ほんとはこんなに優しくて可愛いのに」

メイ「っ!だから可愛いっていうのやめろっ!!」

夏美「いちゃいちゃするなですの!ほんと鬱陶しい人しかいませんね!」

ウィーン「ねぇ?早くしてくれない?貴方達ってなんでそんなに決断が遅いの?だから長い過渡期を抜け出せずにいるのよ。これってマラソンでビリ走ってるようなものなんだけど恥ずかしくないのかしら?」

夏美「人にものを頼む態度じゃないですね。貴方たち今の聞きました?私はムカついたので絶対協力してやらないですの」

メイ「ほら、やっぱり伝えるのが苦手なんじゃないか。不器用なとこわかってやれよ」

夏美「おめでたい頭してますね。バリバリ嫌味いってきてるじゃないですか。どこを切り取っても炎上しますよこんなの」

千砂都「……ねぇ、夏美ちゃん?」ニコニコ…

夏美「え、笑顔で『早くしろ』と威圧するなですの……!それ後輩が先輩にやられて一番怖いやつですの……」

ウィーン「……」

メイ「……」

千砂都「……」

夏美「ちょ、私を囲んで無言になるなですの……!」


夏美「……っ」


夏美「あーもうっ、わかりましたよっ!やればいいんでしょ!やれば!もう好きにしろですの!ふんっ!」
0216名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:51:03.83ID:FO0yL1bR
ウィーン「ん」スッ

千砂都「はーい、これがウィーンちゃんの親愛なるものでーす!」

夏美「……」ムッスゥ…


…………


ウィーン「開かない」

夏美「当然ですの!だって友達じゃないんですから!」

ウィーン「壊れてるのかしらね」

夏美「どうしてそういう発想になれるのか疑問ですね。該当してないから以外にないでしょ」

千砂都「うーん、おかしいなぁ……夏美ちゃんはウィーンちゃんの親愛なる人のはずなのに」

夏美「改めて言葉にするなですの!!かわいい私のお耳がおぞましい言霊にびっくりしてますの!」

メイ「お前がそんな態度だから開かないんじゃないか?」

夏美「まーた、貴方は私を悪者にしようとしてるんですの?」

ウィーン「はぁ、もういいわ。くだらない事に時間を費やしてる場合じゃないものね」

夏美「はぁ?」

ウィーン「やっぱり私の理屈は正しわね。改めて確信したわ。邪魔なものは壊した方が早い。そうでしょう?」

夏美「ふん、また手品ですの?」

千砂都「まぁ、確かにそっちの方が早いかー」

メイ「そんな今までの事全部否定するような……」

ウィーン「私の歌は『本当の歌』神様から授かったこの力で私は本物である事を証明し続ける。だってどんな障害も障壁も破壊する力なんだから、それを振るって本物である事を証明しろって神様がいってるようなものでしょ?」

夏美「まーたなんかお喋りが始まりましたの」

ウィーン「だから私は感謝して歌うわ。私にこの歌を授けてくれた、音楽の神様に」


ガガガガ…


ウィーン「?」

千砂都「あれ?遅れて扉が開いちゃった」

メイ「不具合でも起きてたのか?」

千砂都「うーん」
0217名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:52:08.46ID:FO0yL1bR
千砂都「もしくは……ウィーンちゃんにとって親愛なるものは音楽の神様だったって事かも??」

メイ「あー、なるほど。別に捧げるのは千砂都先輩のまるみたいに思うだけでもいいんだもんな」

千砂都「……」

メイ「……」

夏美「は?なんですの……私の事見て」

千砂都「どんまい。夏美ちゃん」

メイ「まぁ、これからもっと仲良くなって行こうぜ」

夏美「うううっ、なんかとてつもない屈辱を味わってますのっ!!なんで私が選ばれなかったみたいになってるんですの!!!」

ウィーン「ほら、早く行くわよ」

夏美「仕切るなですの!こうなったら一刻も早くゴールしますよっ!もうこの組み合わせは耐えられないですの!」

千砂都「やる気いっぱいだね!夏美ちゃん」

メイ「こいつはへこんでる時こそ頑張れる奴なんだ」

千砂都「なるほど!ウィーンちゃんにいいとこ見せるぞ!ってなってるんだね」

メイ「ああ、きっとそうだ」

ウィーン「ふーん」

夏美「あーもうっ!!早く私を地上に出すですのぉーーー!!」
0218名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:53:00.58ID:FO0yL1bR
〜〜〜数時間後〜〜〜



かのん「あー、やっと、出てこれた」

すみれ「もう、あんたとはごめんよ。こういう場所ではね」

きな子「ふー、助かったっすね四季ちゃん」

四季「うん、でも皆は?」

恋「呼びました?」

かのん「あっ恋ちゃんっ!」

四季「恋先輩っ」

すみれ「先に出てたのね」

恋「はい、強力な仲間がいましたので」

悠奈「やっほー」

摩央「こんにちわ」

かのん「あっ、ど、どうもです」

すみれ「……仲間?」

恋「はい、一時的ですが出るために協力関係を結んでました」

すみれ「それであんなデレデレしてんのね」

可可「えへへへへ」

恋「はい!」

すみれ「まったく」
0219名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:54:59.21ID:FO0yL1bR
夏美「ぜぇ、ぜぇ、……っ」

四季「あっ」

きな子「夏美ちゃんっす!」

メイ「出口か?ここ」

四季「メイ。よかった、無事で」

夏美「や、やっと……やっと出てこれたっ……!」

千砂都「うんうん、皆がんばったねー。まるあげよう!」

かのん「あああああ!ちぃちゃんっ!!!」

千砂都「あーかのんちゃん!あちゃー先越されてたかー」

かのん「うぇぇぇぇんっ!!」

千砂都「あらまーあらまーどうしたの?」

かのん「こわかったよぉぉぉぉっ!!!」

千砂都「おーおー、こわかったねー。よしよーし」

すみれ「怖いのはこっちの台詞よ」

ウィーン「感動の再会というやつかしら?まぁそれも一時の幸せだけど。だってこれから貴方達は私にねじ伏せられるんですから。私の『本当の歌』でね。だからせいぜいこの平和な瞬間をかみしめてるといいわ」

夏美「あーもうっ!私にばっかり話しかけるなですの!いい加減ノイローゼになりそうですの!」

かのん「出てこれたのは……」

千砂都「うん、私達3グループだけみたいだねー」

すみれ「でも、誰も欠けなかったわ」
0220名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:55:40.80ID:FO0yL1bR
『生還おめでとうございます』



夏美「生還って、ころすつもりだったんですの!?」

メイ「流石にそんなわけねーだろ」



『無事、脱出できた御三方には特別ライブをご用意しました』



すみれ「やっと本題ね」

千砂都「ここまで長かったねー」



『この頭上に用意した天空ステージで存分に歌ってください』



四季「っ!電波塔からステージが展開していく」

きな子「すごいっすね〜ハイテクっす!」



『最高のライブ期待してます』



可可「もっともっと期待していいデスよ!応えてあげますから!」

恋「私達があそこでライブをっ、なんだかそわそわしますねっ」





かのん「…………ライブかぁ」
0221名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:56:46.29ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


恋「ここが内部ですか。凄いですね。なんだかゲームの終盤にピッタリのステージです!」

可可「天空ダンジョンはファンタジーゲーム終盤の基本デスよね」

千砂都「わー!ずいぶんたっかいなぁ!かのんちゃん大丈夫?」

かのん「う、うん……」

可可「東京を一望出来ます!」

すみれ「ふーん、こんな凄い舞台に立てるんだ。スクールアイドルって……」ソワソワ…

千砂都「あれ?めちゃめちゃ嬉しそう?」

すみれ「え?べ、別に……」

可可「しかし、本番はこれから。この4人でのライブは初ですし気合いをいれなければ!」

千砂都「練習する暇もなかったもんね」

すみれ「まぁ、やったところで付け焼刃よ」

恋「私もそう思います。千砂都さんとすみれさんには応用力がありますから、私達にその場その場であわせてもらったほうが結果的にいいパフォーマンスになる気がするんです」

千砂都「すみれちゃんは器用だからねー」

すみれ「あんたもね」

可可「なんだかワクワクしますね!」

恋「え?」
0222名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:57:48.93ID:FO0yL1bR
可可「この新しいことをする感じがデスよ!」

恋「ふふっ、そうですね。可可さんとスクールアイドル始めた頃みたいです」

可可「なにもかも手探りで」

恋「でも、とっても楽しかった、あの頃みたい」

可可「そうですね。いつからか勝つことにこだわり過ぎてたのかもしれません。勝っても負けてもただレンレンとアイドルをやれていただけでとっても楽しかったのに」

恋「可可さん……」

可可「よーし、初心に戻れてわくわくしてきましたよー!」

すみれ「楽しんでどうすんのよ」

可可「ちっちっち、楽しむ事が一番重要デスよ?クク達が笑顔じゃなければ見てる人を笑顔には出来ません!」

すみれ「笑顔ね……」

かのん「……」

千砂都「かーのんちゃんっ♪さっきから浮かない顔してどうしたの?」

かのん「え?……あ、そんな顔してた?」

千砂都「うん、してたよ」

可可「どうかしましたか?かのん」

かのん「ええっと、なんだろう。なんか、なんていったらいいかわからない気持ちで……」

恋「なにかお悩みですか?」

かのん「そういうんじゃなくて……ちぃちゃんや、すみれちゃん達を見てると……私、今のままでいいのかなって」

千砂都「どういうこと?」

かのん「あははは、なんかうまくいえないや」

すみれ「……」


すみれ「……ねぇ、かのん」

かのん「え?……なに?」

すみれ「あんた、私と初めて喋った日、覚えてる?」

かのん「……えっ、覚えてるよ。すみれちゃんこそ覚えてたの?忘れたとか言ってたのに」

千砂都「えー?なになに?なんかあったの?」

すみん「別になにもないわよ」


すみれ「なにもなさ過ぎて、特別なくらいね」
0223名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:58:40.84ID:FO0yL1bR
〜一年前〜



かのん「……」

すみれ「……」


チュンチュン チュン


かのん「……」

すみれ「……」


かのん「なんかさ」

すみれ「……」

かのん「最近だるくない?」

すみれ「……」

かのん「……だるいよねー」

すみれ「……?」


すみれ「……」キョロキョロ


すみれ「え、私に言ってるの?」

かのん「夏休み明けだからかな?五月病っていうのはあるけど七月八月病っていうのはあるのかな?あるんだったらきっとこの状態の事だよね」

すみれ「……し、しらない」
0224名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 04:59:17.05ID:FO0yL1bR
かのん「すみれちゃんって留学とかって興味ある?私の友達がさ、行ったんだぁ留学。急にだからびっくりしたよ、ほんと」

すみれ「……そう」

かのん「でも海外で暮らすって凄いよね。勇気があるよ。私だったら絶対したくないなぁ」

すみれ「ふーん」

かのん「そういえば昨日なに食べた?わたしはねー?ハンバーグ!うらやましい?」

すみれ「うらやましくない」

かのん「とかいって、うらやましいんでしょ。わかってるよそんなことは」

すみれ「なんなのあんた」

かのん「ちょっと、すみれちゃん。私にはかのんって名前があるんだよ。ちゃんと名前で呼んであげて」

すみれ「私達、今日まで話した事あったかしら?」

かのん「ないよ」

すみれ「なら、いきなりおかしいでしょ」

かのん「そうだよね。初めて話す相手にあんたはないよね」

すみれ「あんたよあんた」

かのん「あー!」

すみれ「……なんかめんどくさい子に絡まれたわね」

かのん「同じクラスメイトなんだから仲良くしよう?ね?」

すみれ「普通に話しかけられたら仲良くできたけどね」

かのん「普通に話しかけたじゃん」

すみれ「友達じゃない相手にする普通じゃないでしょ」

かのん「友達じゃない!??」ガーン!

すみれ「なんなのよ。この子」
0225名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:00:02.18ID:FO0yL1bR
チュンチュン チュン


かのん「……」

すみれ「……」

かのん「すみれちゃんってさ」

すみれ「なに」

かのん「夢とか希望ってある?」

すみれ「なによ急に」

すみれ「いや、全部急なんだけど……」

かのん「やりたい事とかあるのかなって思って」

すみれ「別に」

かのん「ない?」

すみれ「そうね」

かのん「一緒だぁー、おそろってやつだね。女子高生らしい」

すみれ「それをおそろいとは言わないわよ」

かのん「私もね。夢も希望もやる気もない、人生に絶望した負け犬なんだ〜」

すみれ「私はそこまでいってないんだけど」

かのん「いっしょだね〜」

すみれ「一緒じゃないわよ」
0226名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:00:56.17ID:FO0yL1bR
かのん「……」

すみれ「……」

かのん「すみれちゃんってさ」

すみれ「なに」

かのん「なんかで見た事ある顔してるよね」

すみれ「……」

かのん「よく誰々に似てるとか言われる?なんかテレビで見た覚えがあるんだよね」

すみれ「気のせいよ」

かのん「ほんとかな」

すみれ「えぇ」

かのん「そう、ならあれはすみれちゃん本人だったり?」

すみれ「……」

かのん「あっ、そっか。フルネームで調べてみたらいいのか」

すみれ「やめなさい」

かのん「なんで?」

すみれ「なんでも」

かのん「なんでなんでなんで?」

すみれ「前科があるの」

かのん「……」

すみれ「……」

かのん「……っ」

すみれ「……嘘よ。嘘」

かのん「……ほんと?でもなんか怖いな。調べるのやめとこ」

すみれ「そうしてちょうだい」

かのん「……」

すみれ「……」

かのん「でもやっぱ、あとでしらべちゃおーっと」
0227名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:01:38.15ID:FO0yL1bR
チュンチュン チュン


かのん「……」

すみれ「……」



すみれ「……ねぇ、かのん」

かのん「……」

すみれ「……」

かのん「……?」


かのん「……」キョロキョロ


かのん「わたし?」

すみれ「呼んだでしょ。かのんって」

かのん「すみれちゃんから話しを振ってくるなんて思ってなかったからびっくりしたよ。意外と馴れ馴れしいんだね、すみれちゃんって」

すみれ「あんたには負けるわ。いろんな意味でね」

かのん「で、なに?」

すみれ「ずっと、座ってるのって好きじゃないの。ちょっと散歩するけどあんたも来る?」

かのん「……え?」

すみれ「どうする?」

かのん「……うん、いく!」
0228名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:02:33.64ID:FO0yL1bR
かのん「新設されたばっかだから綺麗だよねーこの学校」

すみれ「そうね」

かのん「うっとうしい先輩もいないしね」

すみれ「そうね」

かのん「あー、はやく来年にならないかな。私達がうっとうしい先輩になりたいよ」

すみれ「……」

かのん「あっ」

すみれ「?」


恋「可可さん、これは?」

可可「ふっふっふ!これは回転する舞台デス!次のラブライブへ出場するための課題。テーマは回転でした!普通の人は自分が回る事、すなわちダンスにおけるスピンを連想するでしょう。で・す・が!クク達は違います!!ステージを回転させることでライバルとの違いをアピールするんデス!!!」


すみれ「ああ、あの子達ね」

かのん「なんだっけ?スクール……」

すみれ「アイドルね」

かのん「それそれ、詳しいの?すみれちゃんは」

すみれ「いいえ、まったく」

かのん「ふーん、私も全然知らないや」



恋「可可さん、このボタンはなんですか?」

可可「あ、それは絶対押しちゃダメですよ。回転速度がマックスになっちゃいますからね」

恋「そうなんですか。すみません、可可さん。もう押してしまいました」

可可「え」
0229名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:03:21.09ID:FO0yL1bR
グゥルゥンッッッ!!!!


恋「あわわわわわっ!!!」

可可「レンレン!!クク、知らないボタンは押しちゃダメっていいましたよねー!!!」

恋「すみません!つい気になって触ってしまうんです」

可可「もうっ!すぐこういう事するんデスから!!」



すみれ「相変わらず騒がしいふたりね」

かのん「でも楽しそうだねー」

すみれ「今のあの状況は楽しんでないと思うけど」

かのん「やっぱ目標があるっていいなぁ〜」

すみれ「かもね」

かのん「私達もなにかやってみようか?」

すみれ「聞くだけ聞いてみてあげる」

かのん「他校と抗争」

すみれ「いいわね」

かのん「え」

すみれ「冗談よ」

かのん「もう、笑えないよ。すみれちゃんってそういう雰囲気出てるんだからさぁ」

すみれ「そう見えてるならたいした度胸してるわね。あんた」
0230名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:04:27.99ID:FO0yL1bR
グゥルゥンッッッ!グゥルゥンッッッ!グゥルゥンッッッ!


恋「なんだかコーヒーカップみたいです!昔お父様と遊園地に行った時こんな速度でまわしてくれました!」

可可「こんな速度出ないデスよ!ククの国の遊園地でも!」

恋「可可さんは私に素敵な思い出を、たくさん思い出させてくれますね!本当にありがとうございます!!」

可可「今、そんな事いうなデス!そんな事言われたら怒れないじゃないですかー!!」



かのん「青春だね」

すみれ「そうかしら」

かのん「……」

すみれ「なによ。あんたもやってみたいの?」

かのん「え?あのアトラクション?」

すみれ「スクールアイドル」

かのん「えー?いいよ、私はああいうのは」

すみれ「そう」

かのん「あー、でもすみれちゃんがやるならやろうかな」

すみれ「ふーん、しないけど」

かのん「隣できゃぴきゃぴしてるすみれちゃんを白けた目で見るの」

すみれ「じゃあ絶対しない」

かのん「たのしそうだな〜」

すみれ「……まぁ、そうね」

かのん「え?」

すみれ「あんたとなにかやるのは退屈しなそうだわ」

かのん「そうかな」

すみれ「ええ」

かのん「じゃあ、お互いなにか始めたらそれを一緒にやるってことでどう?」

すみれ「……いいわねそれ。普通科の生徒らしくて」

かのん「え?なにそれ」

すみれ「ふふっ」

かのん「?」

すみれ「じゃあ、人生に絶望してるもの同士で競争ね」

かのん「え?」

すみれ「やりたい事、先に見つけた方が勝ち」
0231名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:05:01.48ID:FO0yL1bR
〜現在〜



可可「なつかしいですね。時速200キロ回転事件。レンレンのせいでククまで叱られました」

恋「ごめんなさい可可さん……」

千砂都「そんな事件も起こしてたんだねぇ」

かのん「結構事細かに覚えてるね。すみれちゃん。なんか意外」

すみれ「ええ、終始失礼な子だったからね」

かのん「でも、そのおかげで親近感を抱いてくれたんだよね」

すみれ「それで、約束思い出したかしら?」

かのん「え?」



かのん『じゃあ、お互いなにか始めたらそれを一緒にやるってことでどう?』



かのん「まさかっ……」

すみれ「そう」

かのん「……」

すみれ「先に見つけた方が勝ちって約束よね」

かのん「?」

すみれ「私の勝ちだからあんたは一生私の小間使いよ」

かのん「え?」
0232名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:05:36.12ID:FO0yL1bR
〜一年前の続き〜



すみれ「じゃあ、人生に絶望してるもの同士で競争ね」

かのん「え?」

すみれ「やりたい事、先に見つけた方が勝ち」

かのん「勝ち?そんな勝負事みたいな」

すみれ「そう、勝負よ。私が先にやりたい事見つけたらあんたの負け。負け犬だとかチンピラだとか好き放題言ってくれたけどあんたが負けたら私の下って事になるから、その時は正式に私の小間使いにしてあげるわ。よかったはね?やる事が出来て。こきつかってやるから覚悟なさい」
0233名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:06:19.72ID:FO0yL1bR
〜現在〜



千砂都「いや、めちゃくちゃ怒ってるじゃん」

可可「やはり初めて話す相手にああいう態度はよくないですよーかのん」

恋「フランクになり過ぎるのは諸刃の剣ですからね」

かのん「え?え?」

すみれ「というわけで私は迷宮脱出でお腹が空いたの。かのん、下のコンビニに行ってパン買ってきなさい」

かのん「ええ?ここ何階かわからないくらい高い……」

すみれ「ならダッシュで」

かのん「……」

すみれ「お願いね」

かのん「……は、はい」
0234名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:07:29.39ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


千砂都「すみれちゃんは優しいね」

すみれ「なにが?」

千砂都「かのんちゃんが苦しそうだからここから出ていけるようにしたんでしょ」

すみれ「別に」

可可「不器用な優しさですね」

すみれ「ちがうし」

恋「あ、あのー、間違ってたら申し訳ないのですが」

千砂都「なに?」

恋「かのんさんは歌いたかったんじゃないですか?私達と」

可可「……」

千砂都「うーん、それはね。部分的にはそうなんだろうけど……」

すみれ「かのんは今、やりたいけどやる決心がつかない状態にいるのよ」

恋「決心がつかない?」

千砂都「普通なら、そういう決心がつかないなら引っ張てあげたり背中をおしてあげるべきなんだろうけどね」

すみれ「かのんが歌えない理由が理由だけに、他人が決心を強いるべきじゃないわ」

千砂都「自分で決めて、自分で決心しないと。かのんちゃんはまた歌えなくなると思う」

すみれ「だから、進むのも逃げるのもあの子に選ばせるのよ」
0235名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:08:35.75ID:FO0yL1bR
可可「かのんはいい友達に囲まれてますね」

千砂都「だって参謀コンビだからね!私達」

すみれ「なにそれ」

千砂都「切れ者二人の友情コンビだよ!ほら、すっごい頼りになったでしょ?恋ちゃん」

恋「はい、ふたりのおかげで私も成長できました!」

すみれ「私はなにもしてないわよ。恋が他の参加者にいじめられてたから見てられなかっただけ」

可可「なぁっ!!!?い、いじめ!?いじめられたのですか!!レンレン!!どうして黙ってたデスか!いったいどこのどいつに……!!今からそいつの家に怒鳴り込みにいきますよ!!」

恋「い、いえ、そんな大袈裟なものではっ、もうっ!すみれさん!余計な事いわないでください!」

すみれ「はいはい、ごめんなさいね」

千砂都「あははは、怒られてる〜」

恋「でも、本当に頼りになりました。ありがとうございます」

可可「……ククも貴方達を頼りにしてます。だから一緒に頑張りましょう!」

千砂都「おー!任せとけー!」

すみれ「まぁ、努力はするわ」







かのん「……」



かのん「いっしょ……か」
0236名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:10:00.07ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


可可「さぁて、そろそろ始まっちゃいますね!トップバッターはなんとサニーピースですよ!!!きゃあああああ!!」

恋「順番はサニーパッション、私達、そして彼女……」


ウィーン「天空ステージなんて面白いもの作るじゃない。今の安全にうるさい日本でこんな危険で攻めたもの作るなんて、戦後当初でも生き抜いた人が関わってるのかしら?高度成長期並みの建設物ね。少しは楽しませてくれそうじゃない。やはりこういうショーはスリリングじゃないと。けれど芸術的価値ではコロッセオには遠く遙かに劣るわ」

夏美「……」ゲッソリ

ウィーン「バカと煙はなんとやら、高ければいいと思ってるんでしょう?もしくは貴方達日本人が感じている日々の閉塞感から解放されたいという願望からかしら?この広い空を眺めることで社会という牢獄から飛び出したいという強いあこがれを」

夏美「もう勘弁してほしいですの……」




すみれ「ねぇ?この手のライブもトップバッターは不利なのかしら」

千砂都「あー、どうだろう?会場があったまるも何もお客さんがいないしね」

四季「ううん、お客さんはいる」

千砂都「えー?どれ?」

四季「この空に飛んでるドローン。あれにはカメラがついていてリアルタイムで配信されてる」

すみれ「配信?そんな大きな大会だったの?……いや、この規模をみたら当然かしら」

きな子「なんだかテンションあがってくるっすね〜」

メイ「すっげぇな!!この会場!地上から500メートルは上のステージ!そこでアイドル達は360度広い空に囲まれて超開放的なライブが出来る!そして観客はそのステージ下の階層にいて、超大型モニターで見る事が出来るんだぁ!生で見るよりも大きい彼女たちを……!いや、小さくても生で見たいって気持ちも当然あるんだけどな?大画面で大迫力の彼女たちを見れるのもやはりいいもので」

四季「メイは上がり過ぎ」

可可「はっ!!!」



悠奈「やっほー☆おまたせ!!」

摩央「みんな、こんにちは」



可可「悠奈サン!摩央サン!!」



悠奈「 私たち、サニーパッションです!ぱぁ!」

摩央「ふふ」(ぱぁ)



可可「きゃあああああああっ!!!!!生ぱぁですよ!みなさんっ!!!」

すみれ「なにそれ」
0237名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:10:44.43ID:FO0yL1bR
メイ「ああぁぁっ、一昨日の摩央さんもオーラがあって凄かったけど、衣装を着てふたり揃ってこんな壮大なステージで曲を披露してくれるのかと思うと鳥肌が止まらないいいいいいい……」ガタガタガタ

きな子「寒いんすか?メイちゃん」

四季「はい、小型ヒーター」

メイ「そういう事じゃねぇよ!!」

千砂都「どんな踊りを披露してくれるのかなー?わくわーく」

恋「凄いですよ、あの二人は」

ウィーン「ふん、ついにふたりそろったわね。Sunny Passion」ジッ…

夏美「……はっ、関心が向こうにいってる!今のうちに、逃げるですの……この人の相手は、精神がもちませんっ」



悠奈「こんな凄いステージでライブが出来るなんて夢みたいだね!」

摩央「そうね」

悠奈「でも、ここにこれたのも」

摩央「ええ、支えてくれた皆のおかげよ」

悠奈「よーしっ!神津島に届くくらい大きな声で歌うぞー☆」

摩央「ええ、それどころか世界中に私達の声を響かせましょう!」

悠奈「いいね!それ!」

摩央「私達はこの大会に勝って、そして今年のラブライブも優勝する」



ウィーン「ふん、この大会もラブライブも勝つのは私よ」



可可「あああああ!!感激デスぅぅぅ!!!あ、でも、今年のラブライブを優勝するのはクク達ですから」



悠奈「うーん、ライバルの敵意が気持ち良いね!緊張感が出てくるよ!」

摩央「ええ、慢心は罪よ。どんな場所でも全力で挑まなくちゃね」


摩央「じゃなきゃ二連覇は成し遂げられない」
0238名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:11:39.05ID:FO0yL1bR
『チーム名 Sunny Passion 楽曲名 Till Sunrise』


『まもなくはじまります。』


悠奈「……」

摩央「……」


悠奈&摩央「Go with the flow─────♪」



可可「─────っ!!!!!(声にならない叫び)」

すみれ「ちょっと隣で高音波出さないで。可可」

千砂都「……」

恋(千砂都さん、凄い真剣なまなざしです)


メイ「ああああああ……」ガタッ

きな子「なんか膝から崩れ落ちてるっす。東京の人は寒すぎるとこうなるんすか?」

四季「ならない。メイだけ」

メイ(わたしもなんねぇよっ!!!)



かのん「……すごい」

夏美「なにやってるんですのー?こんな皆から離れた所で」

かのん「え?……ああ、なんだ、おちびちゃんか」

夏美「だれがおちびちゃんですの」

かのん「そっちこそどうしたの、こんなところで」

夏美「あの人から逃げてきたんですの!ほんとにいい加減にしてほしいですの!」

かのん「ええっと、ウィーンちゃん……だっけ?」

夏美「知りませんよ名前なんて。覚えたくもない!」
0239名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:12:37.47ID:FO0yL1bR
悠奈「はぁだしになって♡、すなをけぇって♡、こどもみ↑たいに─────♪」



可可「─────っ!!!!!(ここの歌い方良すぎますよねっ!!!)」ブンブンブン!

すみれ「なに?集中したいからおとなしくしててくれる?」

千砂都「これがふたり揃ったサニーパッションかぁ」

恋「千砂都さん?」

千砂都「うーん、これは今回も勝てないかもね」

恋「え」



ウィーン「……ふん、そういうこと」

ウィーン「スクールアイドルは単純に音楽のレベルが高いだけでは意味がないという事ね」

ウィーン「歌と踊りの完成度や正確さだけじゃない、細かい視線の動きや挙動、呼吸するタイミングまで観客は見てる」

ウィーン「そこにメッセージを込めれるものが観客を魅了することが出来る」

ウィーン「スクールアイドルに一番重要なのは表現力」

ウィーン「これが私に足りないものといいたいのね?」



悠奈&摩央「Oh my─────♪」


悠奈「星空のStage light─────♪ このPassionはずっと揺るぎないっ─────♪」



かのん「……」ポケェ…

夏美「なんですの。そんな女児が夢中でテレビアニメ見てるような顔して」

かのん「は?そんな顔してないしっ!」

夏美「してましたのー」

かのん「ふん、ならあんたは女児そのものじゃん」

夏美「は?そんな小さくないですの!」



悠奈&摩央「らぁららららら So nice─────♪」

摩央「じゃれあえば Two step─────♪ 」


可可「─────っ!!!!!(ククもふたりとじゃれあって踊り明かしたいデス!ってそんなことできるわけないじゃないですかーーーー!!)」バシッ!バシッ!バシッ!

すみれ「ちょっ、痛いわね。いい加減にしなさいよ、あんた」


メイ「わ、わたしがっ前見た時よりも、す、すすすすすすすすっ……」

きな子「すすきのっすか?」

四季「スカートが短すぎる」

メイ(すごすぎるっ!!!!)



悠奈&摩央「Till sunrise─────♪」
0240名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:15:11.04ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


可可「あああああ!!凄かったデスね!凄かったデスね?」

千砂都「うん、凄かったねー」

すみれ「……凄かった」

千砂都「おおっと!やけに素直だね?すみれちゃん」

すみれ(……スクールアイドルがこんなにレベル高い世界なんて思ってなかった)

千砂都「もう、すみれちゃんったら神妙な顔しちゃってー。ほっぺでたこ焼き作っちゃうよー」

恋「それよりどうします?今更、作戦会議というわけにもいきませんが、あそこまでの実力差を見せられると……」


可可「─────当然、勝ちますよ。クク達が」


恋「く、可可さん……!」

すみれ「……」

千砂都「おー」パチパチ

すみれ「そうね。やるなら勝たなきゃ意味ないものね」

可可「そうデス!あっ!もちろん楽しむ事が大前提ですけどね!」

すみれ「はいはい、私達が笑顔じゃないとってやつね」

可可「はいっ!!ちゃんと覚えててくれてますね!」

恋「……」


可可『レンレン!当然、勝ちますよ。クク達が!』


恋(貴方は去年もそう言いましたね)

恋(結果は負けてしまいましたが)


可可『大好きな人と全力で戦って、負けるのが、こんなもっくやしいだなんてしりませんでしたぁっ……!』


恋(もう、貴方のあんな泣き顔は見たくありません)

恋(初めての頃の楽しいという気持ちみたいに、勝ち負けに拘りすぎると大切なものを失うかもしれません)

恋(でも、私は今、絶対無理だとしても、絶対勝ちたいですっ……!!)


恋「千砂都さん」

千砂都「なに?れーんちゃん」

恋「やるからには本気でお願いしますね」

千砂都「えー?」

恋「私も全力で臨むんですから諦めるのはなしです」


千砂都「……」


千砂都「うん、いいよ♪」
0241名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:16:25.14ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


かのん「……うたってみたいなぁ」

夏美「……」

かのん「……」

夏美「……」


夏美「は?」


夏美「なんていったんですの?」

かのん「うたってみたい」

夏美「気は確かですか?」

かのん「うん」

夏美「これは重症ですね。医務室に行きましょう。あるかわかりませんけど早急に診てもらわなければ」

かのん「歌えてた頃の気持ちにね。戻れそうなの」

夏美「?」

かのん「あの頃はなにも考えずに歌えてた。誰かに見られてても、間違えちゃっても、期待を裏切っちゃっても。何も感じないで歌えてた」

かのん「でも、いつからか。歌うことを意識してた、音程を間違えちゃダメだ、歌詞を間違えちゃダメだ、皆の前で間違えちゃダメだって」

かのん「さっき可可ちゃんが言ってた。勝つ事にこだわりすぎて最初の頃のような楽しむことを忘れてたって」

かのん「私も似たような感じで正しくあろうとして、皆の期待に応えようとし過ぎて、楽しむ事を忘れちゃってたのかもしれない」

かのん「自分が楽しめないのに頑張って、なのに皆を喜ばせようって意識して……凄い歌を披露しようって思って……」

かのん「そうやってなにかを意識してると次第にぎこちなくなって自然に歌を紡げなくなっていく」

かのん「正しくなくちゃダメだって、思い過ぎて……歌うことが苦しくなる」

夏美「……だったら、歌わない方がいいじゃないですの」

かのん「でも、今は歌いたいの」

夏美「なんでまた急に」

かのん「この前、急に歌わないといけない状況に立たされたから」

夏美「……」
0242名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:17:42.24ID:FO0yL1bR
かのん「そして私は歌った。無我夢中で、怖くてとっても苦しかったけど、歌えたの」

夏美「そんなに苦しかったのにまた歌いたいと?」

かのん「うん」

夏美「どうして?」

かのん「その『どうして』がないからだよ」

かのん「だって、歌うのに理由なんかいらないんだよ……?」

かのん「私は今とっても歌いたいの。たしかにステージに立つのは怖い。みんなの前で歌うのだって怖い。でも、さっきの人達みた?あんなに楽しそうに歌ってた。あんなに輝いて歌ってた」

かのん「あんなの見せられたら私もあんな風に歌いたいって思っちゃうよ」

かのん「可可ちゃんやちぃちゃん、すみれちゃんや恋ちゃんと歌いたいって」

夏美「……」

かのん「歌いたい」

かのん「……なのにっ」ゾクッ…

かのん「皆のところに飛び込みたいのにっ」

かのん「こんなにも歌いたいって思ってるのに」

かのん「なんであの場所にいけないの……?」

夏美「……無理するなーですの。足が震えてるじゃないですか」

夏美「そんな状態じゃいけませんの。あなたには無理ですの」

夏美「それにほーらっ、これを見てください」

かのん「……っ!」

夏美「どうやらこのライブ、全世界に配信してるようです」

夏美「何千何万という人が見てるんですよ」

夏美「私があげてる動画みたいにモザイクも加工音も入りません」

夏美「しかもこれは配信ですからね。カットも出来ません。かのん先輩が失敗してもずっとその様子が配信され続け、リアルタイムに視聴者のざわめきコメントが流れていきます」

夏美「あなたの一番苦手な環境ですの」

夏美「だから、できないですの。かのん先輩には」

かのん「……でも」

夏美「でももへちまもありません。かのん先輩はここでおとなしく先輩たちの活躍を見てればいいんですのー」

かのん「ここで歌わなかったら、一生歌えない気がするのっ!」

夏美「歌えなくたっていいじゃないですの!」

かのん「よくないっ!」
0243名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:19:21.93ID:FO0yL1bR
夏美「……出来ない事が、そんなに悪い事なんですの?」

かのん「……そうは思わない」

夏美「だったら」

かのん「でも、出来てた事がずっと出来ないままなのは苦しいのっ!!」

夏美「……そんなの私にはわかりません。私は最初からなにも出来ない人間ですからね」

かのん「……」

夏美「だから、出来ないスペシャリストとして忠告してあげるんです。出来ないなら諦めた方がいい。出来ないなら無理なんかする必要ないんですの」

かのん「……なんで、そんなに引き留めるの」

夏美「先輩に恥をかかせないための後輩の優しさです」

かのん「……」

夏美「あなたは恥ずかしがりやなんですから、ひっこんでるべきですの!」

かのん「そうだね、……それでも行きたいの」

夏美「っ……!」

夏美「なら、さっさといけばいいじゃないですの!」

かのん「……っ」

夏美「どうせいけないくせにっ!うたえないくせにっ!」

夏美「私はそれがわかってるからわざわざ止めてあげてるんですよ!」

かのん「いくもんっ、だってわたしは、大丈夫だから……っ!」

夏美「大丈夫じゃないですの!!!」

かのん「……っ!!」

夏美「貴方はちっとも大丈夫な人なんかじゃないっ!!!」

かのん「だいじょうぶじゃ……ない……?」



『かのんちゃん、大丈夫?』


うん!へーきだよ!


『かのん、大丈夫?』


へーきだってば、もう!


『かのんさん、大丈夫?』


はい。大丈夫です。



かのん(大丈夫だって言い続けてた。歌えなくなっても大丈夫だって。人前に出るのが苦手になっても大丈夫だって。音楽科に落ちても大丈夫だって)

かのん(でも、実際は不服そうに学校に通って、やさぐれたように学校生活を過ごしてて、歌えない事にこんなに苦しんで、なんにも大丈夫じゃないじゃん……)
0244名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:20:06.36ID:FO0yL1bR
かのん「……そっか」

夏美「……っ?」

かのん「大丈夫じゃない……か。わたしは」

夏美「……で、ですのっ」

かのん「大丈夫だって思ってた」ポロッ…

夏美「せんぱい……?」

かのん「でも、ほんとは……大丈夫だって思われようとしてたのかな」

かのん「なにもへーきじゃないのにね、あはは」

夏美「……な、なに笑ってるですの」

かのん「ありがとね」ポンポン

夏美「?」

かのん「……」


かのん「行ってくる」
0245名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:21:16.34ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


可可「クク達が観客を圧倒させますから、おふたりはお膳立てよろしくお願いします」

すみれ「なによそれ」

可可「だってクク達の方がスクールアイドルとして先輩ですからね」

すみれ「それ言われるとなんにも言えないじゃない」

千砂都「ずるい先輩だねー」

恋「もう出番ですよ、みなさん。そろそろ行きましょう」



かのん「うん!行こう!一緒に」バッ!!



千砂都「へ?」

すみれ「……は?」

可可「かのん?」

恋「か、かのんさんが私達を追い抜いて、ステージに飛び出してしまいました……」

千砂都「」

すみれ「……なにその反応?感激?」

恋「ど、どうしましょう?」

可可「……ふふっ、追いかけるデスよ!!」





かのん「……!」バッ!!




きな子「あれ?かのん先輩が出てきたっす」

メイ「な、なにやってんだあの人?これから恋先輩たちの舞台だぞ?」

四季「……」



摩央「あの子?」

悠奈「そう!すごかったんだよ!あの子の歌声」



ウィーン「澁谷かのんっ……!やはりでてきたわねっ!」
0246名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:23:02.44ID:FO0yL1bR
かのん「……」

すみれ「ちょっと、かのん」

かのん「すみれちゃん」

すみれ「どういうつもりよ。勝手に飛び出して、舞台まであがっちゃって」

かのん「歌いたくなっちゃった」

すみれ「あんた、そんな軽いノリでね……」

可可「ふふっ、また、かのんと歌えるなんてククは果報者デス!!これは絶対勝ちましたよ!」

かのん「可可ちゃんってば、おおげさ」

千砂都「かのんちゃんっ」

かのん「ちぃちゃん」

千砂都「……こんな急に来ると思わなかったっ」

かのん「うん、いきなり飛び出しちゃったからね」

千砂都「……ううん、そうじゃないよ」

かのん「……」

千砂都「ずっと夢みてた。この日が来るって」

かのん「……うん、わたしも!」

恋「大丈夫なんですか?かのんさん」

かのん「あはは、全然大丈夫じゃない」

恋「ええっ!?」

かのん「でも、やっとそれがわかったから楽になれたの」


かのん「心につっかえてたものがとれたみたいでっ」


かのん「自分がもう大丈夫じゃないってわかったから、大丈夫であろうとしなくてよくなったから、もう自分に嘘つかなくてよくなった!」


かのん「かっこいいところが見せられなくても、かわいいところが見せられなくても、失敗したってへーきなんだってわかったから!」


かのん「もう繕わなくたっていい!わたしは自分が楽しみたいって気持ちだけで歌っていいの!」


かのん「だからやっとわたしはっ!!!!」


かのん「自由に歌えるんだぁ──────────♪」



悠奈「おおっ!紹介も待たずにいきなり歌い出した!」

摩央「ふふ、たしかに悠奈のいってた通りの歌声ね」


摩央「まるで心に響かせるように旋律を奏でている」
0247名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:23:54.57ID:FO0yL1bR
きな子「なっ─────!!?」カオムギュウッ…!

四季「きな子ちゃん、変な顔しない」

メイ「うううううぅぅぅぅぅぅっ、なんだこのうたぁぁぁぁはっ、かのんのうたごえはぁ!!なぜだかなけてくるぅっ!」ポロポロポロ

四季「メイは感受性豊か過ぎ」


四季「……でも、私も。初めて聞いた時心を奪われた」



すみれ(これが、かのんの歌)

すみれ(ふーん)

すみれ(やるじゃない)


恋(なんでしょう、この気持ち)

恋(かのんさんの歌を聴いてるとさっきまでの緊張がなくなってる)

恋(勝ちたいって気持ちは残ってるのに、それ以上の感情が押し寄せてくる)

恋(かのんさんが自由な気持ちで歌ってるから?私も自由な気持ちでアイドルをしようと思っている……?)

恋(なんだか懐かしい感じ……)

恋(これは、可可さんに手を引かれスクールアイドルを始めた時の高揚感と同じ?)

恋(自分を未知の世界に連れ出してくれるわくわくとどきどきっ……)

恋(─────っ)

恋(そうか、わたくしはっ、すでに可可さんから教えてもらっていたんだ)

恋(ぜんぶが初めて過ぎてわからなかったっ)

恋(次第に可可さんの後についてくのに必死になり過ぎて忘れていたっ)

恋(でも、やっと思い出した、やっと気付けた……)

恋(これが、お母様の言ってたっ……)

恋(『さいこう』って気持ちっ……!)
0248名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:25:39.08ID:FO0yL1bR
千砂都(夢にまでみたこの日がきたっ!)

千砂都(この日のために生まれてきたんだって本気で思えるくらいに)

千砂都(今、幸せをかみしめられてるっ)

千砂都(全部が報われるような)

千砂都(……でも、もうかのんちゃんばなれしないとね)

千砂都(だって、これからはかのんちゃんの、みんなの前を歩いていきたいってやっと思えたんだから)

千砂都(隣じゃなくて、私は前に行く。やっとそう思えたんだっ!)

千砂都(誰の意思でもない。私の意思でっ)


可可(ふふっ、かのん)

可可(やっぱり貴方の歌は素敵デス)

可可(ククを助けてくれた歌。でも、今はあの時と違う)

可可(貴方がほんとうに心から楽しんで歌を奏でている)

可可(そんな貴方と、今ここで一緒に歌えることを幸福に思います)

可可(でも……)

可可(流石に好き勝手やり過ぎデス)

可可(だって、今はまだ、ククとレンレンのスクールアイドル部なんですからね!)


可可「レンレン!!」

恋「っ!」

可可「私達も負けられませんよ!」

恋「え?え?」

可可「サニパにもっ!あいつにもっ!かのんにもっ!他の誰にも絶対!私達は負けません!!!」

恋「可可さんっ……!」

千砂都「ふふっ、いいね!それ。みーんなライバルだ!」

可可「そうです!ライバルです!だからみなさん競い合う事を楽しみましょう!」

可可「勝つ事だけに拘るんじゃなくて、こんな凄い人たちと競える事に!」

可可「だってそれが青春なんですから!!!」
0249名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:26:41.36ID:FO0yL1bR
メイ「─────っ!!!!!(みんながそれぞれ競い合うように歌ってる!踊ってる!なんだこれ!こんなライブみたことないっ!!!)」ブンブンブン!

四季「快音波出さないでメイ」

きな子「」クルクルクルクル




夏美「せいしゅん……」


夏美「それ、わたしが適当に言った事ですの」


夏美「……本気にしなくていいですのに」




すみれ(みんな、凄いやる気になっちゃって、私も本気出さなきゃいけないじゃない)

すみれ(まぁ、最初からそのつもりだったけどね)

すみれ(カッとなったとはいえ恋を助けるために本気になっちゃった、なのに負けっぱなしなんてダサ過ぎるでしょ)

すみれ(遠く及ばない実力差を見せられても勝つ気で挑む)

すみれ(でも、可可達には悪いけど今でもスクールアイドルに興味はないわ)

すみれ(けどね、そのおかげでやっと自分が本気で演じたいものが見つかった)

すみれ(だから演じてみせるわ)

すみれ(最高のスクールアイドルを)



メイ「─────っ!!!!!(おい、すみれ先輩を見ろ!!なんだあれっ!!!あの人あんな顔するのかよっ!!ていうかあんな顔見せられて私はこれからどうやってすみれ先輩と接すればいいんだぁぁ)」バンバンバン!

四季「メイ、いたい」

きな子「……ばたんきゅーっす」トテッ




かのん(うわぁ、すみれちゃん……なにその顔……)

かのん(これって約束通り白けた目で見た方がいいのかなぁ……?)
0250名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:27:38.39ID:FO0yL1bR
かのん(……でも、みんなすごいっ……!向こう側で見てるだけじゃわからない。同じステージに立つ事でわかる凄さがあるんだ)

かのん(……これが可可ちゃんのいってた最高の景色?)

かのん(そうかもしれない、でも違うかもしれない……でもこの先に続く景色がまだあるような気がする)

かのん(今は私はまだ歌うことしか出来ないけど、いつかその最高の景色をみんなで見たいっ!)

かのん(……歌うことしか出来ない?)

かのん(あはは、不思議だな。今まで歌うことだけが出来なかったのに)

かのん(でも、それがとても嬉しい)

かのん(今ここでみんなみたいに踊れなくたって、歌えるだけで心の底から嬉しいの)

かのん(やっと、出来ていたことが、もう一度出来るようになったんだからっ)

かのん(もうっ絶対、はなしたくないって心から思える!!!!)



かのん「─────♪─────♪」



ウィーン「っ……あの子に苛立つ理由はそういう事ねっ」

ウィーン「私にないものをもってるからっ」

ウィーン「歌における表現力、それは聴く人の脳内に世界を創造する事っ」

ウィーン「それは全てを破壊する歌と対極する存在っ!!」

ウィーン「なるほどね。これが真に私に足りない、私に必要なものっていいたいのね」


ウィーン「ふざけないでっ!!!!」


ウィーン「そんな私の歌を、全て否定するような事するわけないでしょうっ!!」

ウィーン「全てを破壊する私の歌を否定するような真似するわけないでしょうっ!!」

ウィーン「……こんな歌は認めない」


ウィーン「『本当の歌』は私の歌よ」





夏美「かのん先輩……」


夏美「ふんっ、ですの……」


夏美「勝手に遠くに行ってろでーすの」


夏美「なつみがバカでした」


夏美「あなたは私とは全然違う人ですもんね」
0251名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:29:27.98ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


かのん「─────。」


かのん「……う、うたいきった」

千砂都「かのんちゃんっ!!」

可可「かのんっ!!!!」

バッ!

かのん「うわっ、ちぃちゃん!可可ちゃん!」

恋「かのんさん、あなたのおかげで気付けていなかった大切な事に気付けました」

かのん「え?なんの話?」

恋「ありがとうございますっ!」

かのん「?」

すみれ「かのん、そんな事より焼きそばパンはどうしたのよ?あんた」

かのん「え?え?」

すみれ「私に逆らうなんていい度胸してるわね」

かのん「ちょ、だからそういう冗談やめてってば、洒落になんないんだよすみれちゃんがやると」


ウィーン「─────本物の歌は『私の歌』よ」


かのん「……え?う、ウィーンちゃん?」

すみれ「……ふん、こっちもいい度胸してるわね。私達がまだいるのにノコノコステージに上がり込んでくるなんて」

可可「貴方、ほんっとうに礼儀知らずデスね!」
0252名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:30:11.86ID:FO0yL1bR
ウィーン「私の歌は全てを壊してくれる」


千砂都「おー、なんかただ者じゃないオーラをまとってるように見えるね。実際ただ物じゃないんだけど」

恋「RPGで見ました!同じサイズだったはずなのに戦闘が始まったら私達より大きくみえるやつです!」


ウィーン「この力を持って生まれたって事は、その力によって本物の未来に辿り着けって事なのよ」



きな子「……はっ!気付けば先輩たちのライブがおわってるっす」

メイ「ううううっ!!余韻に浸りてぇ!けど、なんか乱入者が出てねぇか?」

四季「……あの人、なにをするき?」



ウィーン「だから、私の未来に邪魔なものは全て壊して、壊し続けてあげる」



きな子「なんかあの人、物騒な事言ってるっすね」

メイ「だけど、笑って聞き流せねぇな。こっちは岩をぶっ壊すとこ見せられたからよ……」

四季「あの雰囲気、なんだかよくない感じがする」



ウィーン「たとえその結果、この世界がなにもない、空っぽになったとしても……」



夏野「なんですの。歯切れの悪い。いつもみたいにぺらぺら喋ってみろですの」



ウィーン「私は、破壊し尽くすっ──────────♪」



悠奈「おおっ!こっちも紹介待たずに歌い出した!」

摩央「…………たしかに、悠奈のいう通りね」


摩央「あの子の歌は危険だわ」
0253名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:31:10.43ID:FO0yL1bR
きな子「ひぃっ!なんか怖いっすよ!あの人の歌ぁー!」

メイ「くっ、やっぱり聴いてるだけで苦しくなってくるっ!」

四季「……!」

メイ「どうした!?」

四季「あの人の歌でこのステージにダメージが入ってる」

メイ「はぁ!?」

四季「ほんとに全部壊すつもりだ」




かのん「っ!!」ゾクッ

千砂都「あははー、だいじょーぶ?かのんちゃん?」

すみれ「なんであんたはそんな余裕そうなのよ」

千砂都「えー?すみれちゃんも余裕そうじゃん」

すみれ「なんともないよう装ってるだけよ。私は役者なの」

千砂都「やくしゃ?」




恋「っ!!ステージに亀裂が!」

可可「ちょっと!この礼儀すらずのあんちくしょー!なにやってるデスか!!今すぐ歌うのをやめなさい!!」

恋「可可さんっ!これあれですよ!よくある踏むと足場が抜けるギミックですよ!」

可可「なににテンションあがってるんデスか!レンレン!!」




夏美「……みんな歌ひとつにぎゃーぎゃーうるさいですの」


夏美「私はなーにも感じないですのー」
0254名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:32:00.25ID:FO0yL1bR
四季「き、きな子ちゃん、くるまさんとテレパシー出来る?」

きな子「え!?今っすか?まぁ、出来なくはないっすけど」

メイ「なんだよ!あの車に迎えに来てもらうつもりか?」

四季「ううん、あの車に12人乗せるのは違反になる」

メイ「ここにきてそんな事いってる場合かっ!!!」

四季「大丈夫、私にいい考えがある」

メイ「ほんとかよっ!」

四季「きな子ちゃん、くるまさんにテレパシーした?」

きな子「は、はいっす!」

四季「じゃあ衛星と通信してもらって」

きな子「うぬぬぬぬ……はいっ!し、してもらったっす!!」

四季「じゃあ、つぎはっ」


千砂都「あははは、落ちちゃった〜」


メイ「っ!!!やべぇぞ!千砂都先輩が崩壊するステージから落っこちてる」

四季「めいっ」

メイ「いわれなくてもいくよ!!!!」




夏美「はぁーあ、歌ひとつでほんと大袈裟ですの」

夏美「歌そのもので建物が崩壊するわけないでしょうに」

夏美「つまりこれはライブ機材等の振動ごときで崩壊する建物だったって事ですの」

夏美「つまりこれは建築法違反ですの」

夏美「つまりこれは動画のネタ。スキャンダルですのー!!」
0255名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:32:48.47ID:FO0yL1bR
かのん「あわわわわわっ!ちぃちゃんが落っこちゃったよー!!どーしよー!!!」

すみれ「まぁ、あの子は大丈夫でしょ」

かのん「って!すみれちゃん!すみれちゃんの足元もどんどん下がっていってるよ!」

すみれ「あら、ほんとうね」

かのん「なんでそんな余裕なの!」

すみれ「慌てても仕方ないでしょ」

かのん「だからって!」

すみれ「ていうか、かのん、あなたも落ちてってるわよ」

かのん「え??」


かのん「いやぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」




千砂都「ふふっ、メイちゃんってばこんな所で大胆だなぁ〜私をお姫様だっこだなんて」

メイ「こんな時までからかうなっ!!!ただキャッチしただけだ!」

千砂都「なんだかロマンチックだね。こうして崩壊してくステージの中、ふたり静かに抱き合うなーんて♪」

メイ「抱き合ってねぇ!もうっほんとこの人はっっ!」

千砂都「あー!あれ見て、かのんちゃんが落っこちてるよ」

メイ「なっ!!ていうかすみれ先輩もっ!」

千砂都「メ−イちゃん♪ふたりとも助けてあげて?お姫様のお願いです」

メイ「こんな時でもふざけんなっ!私はあんたほど余裕ねぇんだよっ!!」

千砂都「でも、いってくれるんだねー」

メイ「あたりまえだろ!!!」




きな子「はぁ……はぁ……」

四季「だいじょうぶ?きな子ちゃん」

きな子「はい、なんとかっ……頼まれたとおりにやったっすよっ……」

四季「なら、絶対、大丈夫」

きな子「ううううぅ……」バタン

四季「大丈夫だから休んでて」

きな子「あぁ、四季ちゃんのふとももムチムチっす」

四季「きな子ちゃん」
0256名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:33:28.12ID:FO0yL1bR
メイ「ぜぇ……ぜぇ……」

千砂都「おー、すごいすごい」パチパチ

かのん「あ、ありがとうっ……」

すみれ「ご苦労様、メイ。よくやったわ」

メイ(っすみれ先輩の顔っ、さっきの見せられてから近くで見るとやばいっ!)

すみれ「なによあんた、そんな目でじろじろ見ないでくれる?」

メイ(うぅっ、めちゃくちゃ塩対応だっ……!!)

メイ「ほ、ほんとあんたらはっ、もうちょっと取り乱したりしろよな……」

すみれ「ふーん、取り乱して欲しいの?なら、かのん」

かのん「な、なに?」

すみれ「下みてごらんなさい」

かのん「え?」


かのん「─────っ!!!!!!!!!」


かのん「きゃあああああああっ!!!!高いたかい高いたかいっ!!!!!おろしておろしてっおろしてよぉっ!!!!」

メイ「ちょっ!暴れんなバカ!」

千砂都「あははは、かのんちゃんかわいい〜」

すみれ「ほら、よかったわね。取り乱してもらって」

メイ「あんたなぁ〜!!!」
0257名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:34:16.19ID:FO0yL1bR
恋「あわわわわわっ、どんどん足場がなくなっていきますっ」

可可「レンレン!こっちにくるデスよ!」

恋「はいっ!」

可可「だ、だ、だいじょうぶデス!シキシキがなんとかしてくれますからっ」

恋「そうですねっ四季さんはいつも助けてくれます」

可可「だから、おおおおびえなくていいいいいですよっレンレン!」

恋「く、可可さんっ……」

可可「あ、あわわわわ。れんれんっだいじょぶですからねっ!」

恋「……」

可可「ククの側にいればへーきですからねっ!怖くないデス!だから、はなれちゃだめデスよ!ずっと一緒なんですからっ!!!」

恋「……はい、大丈夫です。あなたと一緒なら」

可可「……?れ、れんれん?」

恋「だって、あなたが側にいてくれるんですから。なにも怖くないですよ」

可可「れんれん……」

恋「可可さん。いまさらですけど、私と出会ってくれてありがとうございます」

可可「なっ!それはこっちの台詞ですよ!ククこそありがとです!レンレンに会えてありがとうデス!!!」

恋「貴方に出会えて、ほんとうによかったって、さいこうだって、わたくしはこころのそこからっ……おもってますっ!」

可可「っ!ククもデスっ!!くくもですよっ、れんれんっ……あなたに出会えて、ほんとうにしあわせでしたっ」
0258名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:35:18.08ID:FO0yL1bR
千砂都「あー、メイちゃんあれみて」

メイ「今度はなんだよ……っておい!あれは!」

千砂都「うん、可可ちゃんと恋ちゃんが今生の別れみたいな事してる」

メイ「そっちじゃねぇ!そっちも気になるけどっ、もっとやばい事が起こってるじゃねぇか!」

すみれ「……あれなに?隕石?」

メイ「おいっ四季!!!!あれ、お前が作ったやつだろ!!見覚えある人工衛星じゃねーか!ジンコーエーセイ!!」

四季「うん、引き寄せてここに落とそうとしてる」

メイ「はぁ!?なに考えてんだ!お前ー!!」

四季「大丈夫、このまま落ちたら私達死んじゃうけど。この地下には迷宮がある」

メイ「なんのはなしだよっ!?」

四季「あの人工衛星に落っこちてきてもらって、地下迷宮まで穴をあけてもらうの」

メイ「だから、そんなことして今なんになんだよっ!!!」

四季「そうしたら私達はそこに落っこちればいい。だって地下迷宮になら落っこちても私達平気だったでしょ?」

メイ「なっ!そんな簡単にいってるけどなっ!そんなうまくいくわけっ」

四季「いく。大丈夫。きっと。たぶん」

メイ「自信なくなってってんじゃねぇか!!」

四季「みんな無傷は難しいかも。でも、いまさら後には引けないし覚悟を決めるしかない」


四季「それにもう衝突する」




すみれ「……」


すみれ(なんか……)


すみれ(ハリウッド映画に出てる気分……)キラキラキラ




ズゴォォォォォォッ!!!!!
0259名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:36:49.36ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


夏美(……う、ううっ)

夏美(……ここは?どこですの……まっくらですの……)

夏美(いや、違う……これは私のかわいいかわいいおめめが開いてないだけですの。これは中途覚醒ってやつですの)

夏美(意識だけ目覚めてて体の方はまだおやすみ中のやつです)

夏美(なんでこんな状態になってるんですの?……ええっと、なにがあったんでしたっけ)

夏美(たしかライブをやってて、みんながたかが歌ごときに慌てふためいてて、違法建築したステージが崩壊し始めて……)

夏美(その後、何かが衝突してきて、途端に凄い衝撃が襲ってきて、それで気を失って)


???「─────、─────。」


夏美(ん?だれかの呼ぶ声……?)


???「─────、─────?」


夏美(だれですの?四季?すみれ先輩?)


???「─────、──────────。」


夏美(それとも、かのん先輩……?)
0260名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:38:25.45ID:FO0yL1bR
…………………………



ウィーン「ほんと、めちゃくちゃな事してくれるわね。私が歌っているステージに人工衛星なんて落っことしてくるなんて。貴方達のやる事は本当に理解に苦しむわ」


夏美「ああっ!!!よりによって一番見たくない顔ですの!」

ウィーン「貴方達ごときが白人である私達の邪魔をするだけでもありえないっていうのに、さらにありえないことをやってくれるなんてね。そういえば貴方達に礼儀知らずだとかなんとか言われたけれど、貴方達の方がよっぽど礼儀を知らないんじゃない?」

夏美「ううっ、体が動かない!逃げたいのに逃げれないですの!意識と顔の感覚だけありますけど他が全部おねむのまま!これならもう全部眠っててもらったほうがましですの!!」

ウィーン「まったく、遥々こんな所に来させられて受ける仕打ちがこれなのかしら?よくも私の未来を邪魔してくれたわね……」

夏美「……はぁ?未来?」

ウィーン「でも、再確認したわ。やはり破壊こそが正義。破壊に対抗できるのは破壊だけ。表現や創造じゃないってね……だから、私の歌こそが本物っ……!」

夏美「……ふん、なんでそんな全部ぶっこわそうとするんですの」

ウィーン「それは私が本物であることを証明するためよ」

夏美「本物って、そんなものいったいどう証明するんですの?質屋にでも出すんですの?」

ウィーン「簡単な話よ。一番になればいい、ただそれだけ。逆にそんなこともわからないのかしら?」

夏美「いちばん……」

ウィーン「一番優れているものこそがこの世で唯一絶対のもの。唯一のものとは本物しか存在しないという事よ。そして本物になるには一番になるしかないっ……!」

夏美「……ふん、あなたもですの?」


夏美「……一番にコンプレックスを抱いてるかわいそーな人は」ボソリ
0261名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:39:05.22ID:FO0yL1bR
ウィーン「なにか言ったかしら?声が小さくて聞こえなかったわ」

夏美「なにも言ってないですのー」

ウィーン「ほんと、貴方達日本人ってそういう思わせぶりな言動が好きよね。電車が来てるタイミングで告白したり、友達としての好きとしか捉えなさそうな相手に中途半端な告白したり、そういうのってどうしてかわかる?断られたくない、でも気持ちは伝えたいっていう一番ダサい身勝手な感情からきてるのよ。ほんと自己中なのね。貴方達って」

夏美「あー!もう、うるさいですね!1人でペラペラペラペラ喋るなですの!」

ウィーン「とにかく私は本物である事を証明したいだけよ。だから一番以外は価値がないの。だから、それを邪魔するものは全て破壊する」

夏美「……ま、理解できなくはないですの」

ウィーン「……?」

夏美「たしかに、一番になれなきゃやる価値ねぇーですの」

ウィーン「ふーん、わかってるじゃない。貴方」

夏美「一番に……一等になれなきゃなんの意味もありません」

ウィーン「えぇ、その通りよ」

夏美「でも、世の中そうじゃない人ばっかですの」

ウィーン「?」

夏美「一番になれなくても挑戦し続ける人、そもそも順番なんか気にしてない人、ただそうしたいという理由だけでやってる人。どうやらそういうのが普通の人らしいですの。やる事に価値があるか意味があるかなんて考えない人の方が多数なんですの」

夏美「だってそんなの考えたら、人生の大半は意味も価値もないものですからね」

夏美「だからそれが普通の人の価値観なんですの」

ウィーン「……普通ね」
0262名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:40:26.65ID:FO0yL1bR
ウィーン「その普通の人というのは貴方達日本人にのみ当てはまるものの事?普通だなんて言葉を偉そうに使っているけれど、この世界で普通を語っていいのは私達だけなのよ?人生の大半は意味も価値もないっていうけど、それは貴方達日本人の人生であって私達白人の」

夏美「あーっ、もううるさいですの。静かにしろですの」

夏美「私は貴方と同じく一番以外は意味がないと思ってますの。一番になれなきゃやる意味がないと。価値がないと。だから私はお金稼ぎになること以外やる気が出ないんですの。それが私に出きる事で唯一意義を見出せるものですから」

ウィーン「そう、なら貴方はいい価値観を持ってるわ。私と一緒でね。これは光栄な事よ?私と同じ価値観を所有しているんだから」

夏美「あー、はいはい、そうですね。一緒ですの、一緒ですの」

夏美「そうやって自分の思い通りにならなそうなら全部ぶっ壊そうとしたり、……決心しようとしてる先輩の邪魔をしようとしたり。あなたは私と同じ幼稚なクソガキ仲間ですの」

ウィーン「……くそがき?」

夏美「それにあなたも私とおなじで一番になれませんでしたね。だったら、貴方にも価値がないってことですの。これも私と一緒ですの」

ウィーン「……なんですって?」

夏美「だって、貴方は負けたんですから」

ウィーン「はぁ?なにを寝言を言ってるの!私の歌はSunny Passionにも!貴方達にも勝っていた!確実にっ!!」

夏美「うたぁ?そんなもん知りませんの。そんなふわふわしたものでどう競うんですの?鐘の数でも競うんですの?売れたCDの枚数ですの?私が言ってるのはコレですの」

ウィーン「?」

夏美「この惨状を見てみなさい。これはおそらくうちの四季が巻き起こしたものですの。これがどういうことかわかります?」

ウィーン「知らないわね。そんなこと」

夏美「ふん、なら教えてあげますの。あなたは歌で全部をぶち壊すっていいました。破壊こそが正義だと。でも、現実はこれです。歌なんてちっぽけなものじゃこんな惨状は引き起こせませんの。あの高くそびえたってた塔は消え、そこにこーんな大穴が空き、這い上がるのも不可能な奥底にまで落っことされ、力尽きた私達は奈落の底から物欲しそうに月を見上げる事しか出来ません。貴方の歌でここまでの事ができますか?所詮は人を怯えさせるだけですの。この圧倒的絶望と孤独は引き起こせない。つまりあなたの歌なんてぜんぜんちっともこれっぽっちも凄くなんてないって事ですの!」

ウィーン「…………」

夏美「どーしたですの!いーかえしてみろですの!」

ウィーン「……んんっ、……けほっけほ」

夏美「?」

ウィーン「……もういいわ」

夏美「は?」
0263名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:41:32.45ID:FO0yL1bR
ウィーン「今日は貴方のせいで……声を使い過ぎた。喉は大切にしないとね。だって私の喉は……『本物の喉』だから」

夏美「なーにが『本物の喉』ですの!バカバカしい!」

ウィーン「もう疲れたの。静かにして」

夏美「あーっ!!むかつきますの!この人に静かにしろだなんて言われるなんてっ!!!」

ウィーン「……はぁ」

夏美「ため息なんかつくなですの!あなたみたいな人は他人にため息つかれる側の人間ですの!皆の目の上のたんこぶであれですの!」

ウィーン「…………」フッ…

夏美「アンニュイとした顔するなですの!儚さとかそういう部分一切出すなですの!」

ウィーン「…………」スッ…

夏美「目なんか閉じて、うんざりしてるみたいな感じだすなですの!さんざんうんざりさせられたのはこっちなんですの!!」

ウィーン「…………」

夏美「静かにするなですの!あんだけ騒ぎ立ててたぶんざいで!あーっ!ほんとむかつくですの!この人はっ!きーっですの!」


グラッ…ガガガガッ……


夏美「……ん?」


ガガ ガガガッ……!!


夏美「ちょっ!!あれはっ!が、瓦礫が落ちてくるですの!!」

ウィーン「……え?……あぁ」

夏美「余裕かましてんじゃないですの!のんびりしてないでさっさと私担いで逃げるですの!」

ウィーン「静かにしてっていったでしょ……」

夏美「命令するなですの!あなたが私の言うこと聞いてろですの!あなたとこんなところで心中なんてごめんですからね!いいから早くってにゃああああっ!瓦礫が落っこちてくるですのぉっ!!!!!」

ウィーン「……うるさい」

夏美「これがうるさくせずにいられますかぁっ!!!あなたも少しは騒げですの!だいたいですねっ!」

ウィーン「─────♪」

夏美「!!?」


バァァァン!!!!


ウィーン「……ほら、これでいいでしょ」


パラパラパラパラ……


夏美「………っ」


夏美「あ、あなたみたいな人が、人のためになにかするなですの!しかも私なんかのために!」

ウィーン「なんなのよ。助けろと言ったり、するなと言ったり」
0264名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:42:17.60ID:FO0yL1bR
夏美「……」キョロキョロ


夏美(……よく見たら、私達のまわりだけを避けたような形で瓦礫が積まれてますの)


夏美(雨の中、そこにだけ傘がさされてたみたいな………)


夏美(まさかっ─────)



ウィーン『今日は貴方のせいで声を使い過ぎた』



夏美「あなたっ、ずっとわたしをっ」

ウィーン「……静かにして、いい加減」

夏美「は、はぁ???なーにうんざりしてんですのっ!かっこよく決めてるつもりですの?あなたみたいな身勝手な人が!まったく余計な事してくれて!絶対感謝しませんからね!」

ウィーン「…………」フゥ…

夏美「疲れ切ったみたいに空なんか見上げるなですの!だいたい意味不明ですの!なんでわたしなんかをっ!理解不能ですの!」

ウィーン「……月が綺麗ね」

夏美「っ!日本人相手にそういう事いうなですのっ!!!気色悪いっ!!」

ウィーン「……?」

夏美「はぁ……はぁ……」

ウィーン「…………」

夏美「……もう」

ウィーン「…………」

夏美「……わたしも疲れましたの」

ウィーン「…………」

夏美「はぁ……」
0265名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:42:56.12ID:FO0yL1bR
ブルルルルル


夏美「?」


ブルルルルルルルルッ


夏美「へ、ヘリコプターですの!救助に来てくれたですの!見てみるですの!」

ウィーン「…………すぅ」

夏美「なーに子供みたいな寝息立ててるんですの!さっさと起きてその本物の喉とやらで情けなく私達日本人に命乞いしやがれですの!!!」

ウィーン「…………」

夏美「はやく大声出しやがれですの!この本物の白人とやらっ!!好き勝手言われて悔しくないんですの?それとも白人には悔しいって感情がないんですの?」

ウィーン「…………」

夏美「もうっ!あんだけぺらぺら喋って疲れたらおねむですか!どこまでも自分勝手な!わたしの番も回せですの!そしてこんどはあなたがノイローゼになれですの!」

ウィーン「……」

夏美「振り回されっぱなしですの……わたしは振り回す側なのにっ」


夏美「もう、あなたとなんか二度と関わりたくないですの!ふんっ!」
0266名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:44:00.58ID:FO0yL1bR
─────翌日。
0267名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:44:53.44ID:FO0yL1bR
かのん「ううぅっ、夏休み始まって数日で病院送りだなんて……」

すみれ「たまっていた本が読めてラッキーだわ」

かのん「全然ラッキーじゃない!だいたいそんなの入院してなくても読めるじゃん!」

すみれ「環境って大事なのよ?入院中は暇だからどんどん読み進められる」

かのん「なんだって急に読書なんてしてるの?そんなのするキャラだったっけ?」

すみれ「別に本くらい読むでしょ。あんたの前では読んでなかったけど。こんな風に話しかけてくるから」

かのん「人を邪魔者みたいにいって」

すみれ「そういったんだけど」

かのん「ちぃちゃん!すみれちゃんがいじめるぅっ!!」

千砂都「ごめんね、すみれちゃん。うちのかのんちゃんが迷惑ばかりかけて」

かのん「もうっ!ちぃちゃんまでぇっ!!」

千砂都「でも、よかったよねー。あんな大事故に巻き込まれたのに今日1日安静にしとけば明日退院出来るってさー」

かのん「まぁ、それは不幸中の幸いなのかもだけどさ……」


可可「みなさん元気してるデスかー?」

恋「お見舞いにきましたよ」

かのん「あー!可可ちゃん恋ちゃんのずるいものコンビだ!」

恋「なんですかそれは?」

かのん「だって、ふたりは入院してないじゃん!」

恋「あぁ、それは……」

可可「だってクク達の事はシキシキが完璧に助けてもらえましたからね!」

かのん「ずるいっ!私達も完璧に助けて欲しかった!もしくは可可ちゃん達も私達と入院するような事態に陥って欲しかったよ!」

可可「なんてこと言うデスか!かのん」

かのん「だってぇ〜!」

恋「はいはい、果物を持ってきましたのでそれを食べましょうね」

かのん「うぅ、それは食べるけど」

すみれ「いいわね。ちょうど小腹が空いてたのよ」

恋「はい、千砂都さんのためにまるい果物も持ってきましたよ」

千砂都「れんちゃんっ!さすがだね!まるあげる!まるっ!」

すみれ「貰うのはあんたでしょ」

可可「ああ、そうそう。ついでに御三方に書いてもらいたいものがあります!」

すみれ「?」

千砂都「んー?」

かのん「え、なに?」

可可「これデス!!!」
0268名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:46:08.12ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


四季「たまにはこういうのも悪くない」

メイ「入院するのがか?」

四季「うん」

メイ「私はごめんだよ」

四季「そう。きな子ちゃんはどう思う?」

きな子「あ〜日向ぼっこ気持ち良いっす〜」

四季「ふふ、よかったね。窓際のベットで」

きな子「っす〜♪」

メイ「まったく、呑気なんだからよ。きな子は」


夏美「はーい、鬼塚商店のものがお見舞いにきてあげましたよ〜」


メイ「おう、お前か」

四季「夏美ちゃん」

きな子「っす〜」

メイ「お前はいいよな頑丈で」

四季「夏美ちゃん、ほとんど無傷でよかった」

夏美「ま、まぁ、私の日頃の行いのおかげってやつですの……」

きな子「なるほど、鶴の恩返し的な事があったんすね〜」

夏美「なっ!あんなもんツルじゃありませんの!」

メイ&四季「?」

夏美「それよりほら、お見舞いにうちの売れ残りもってきてあげましたよ」

メイ「いや、ほとんどガラクタばっかじゃないか」

夏美「なんてこというんですの。メイ」

四季「そう、ガラクタなんてない。なんでも改造すれば使える」

メイ「頼むから変なもん作らないでくれよ。入院中くらい静かにさせてくれ」

夏美「ちゃんとお菓子もありますの。みんなで食べるですの!」

きな子「わーいっす!」

夏美「あ!おまけのカードはもらいますね」

メイ「売るつもりだろ、お前」

夏美「この車のカードが入ってるお菓子は特に激熱ですの!この青いスポーツカーが出たら10万はくだらないですの!」

メイ「お前な、そんな事言ったら、もし出たとしても誰も渡さなくなるぞ」

夏美「げげっ、そうですの……ってそんなわけないですよね?だって私達友達なんですから!ね?ね?」

メイ「ほんと調子良い奴」

きな子「……はっ!!!」

四季「どうしたの、きな子ちゃん」

きな子「忘れてたっす!約束!!」

メイ「は?約束?」

きな子「くるまさんを青くしてあげないといけないんすよ!約束したっすからね。退院したらすぐやるっすよ!」

四季「それ、私も手伝う。私が作った車だし、傷だらけのままはかわいそう」

夏美「塗装仕事ですか?う〜ん、では時給1500円ってところで私も手伝ってあげるですの!」

メイ「しょうがねぇな。病み上がりで怪我でもしたら大変だから私も手伝うよ。友達3人で仲良くやろーぜ」

きな子「わーいっす!」

夏美「って!私を仲間外れにするなですの!」

四季「ふふ」
0269名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:46:41.56ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


悠奈「みんな大丈夫だったかな〜」

摩央「大丈夫よ。彼女たちなら」

悠奈「急にあっちこっち崩れてくから先に脱出しちゃったけど」

摩央「仕方ないわよ。スクールアイドルという過酷な世界にいるんだから、ああいう緊急時は咄嗟に体が動いてしまうわ」

悠奈「これが強くなり過ぎたものの代償……悲しき定め、だね☆」

摩央「救助のヘリも呼んだし、きっと大丈夫よ。だからまた近いうちに会えると思うわ」

悠奈「そうだね!だってまだあれが残ってるんだから!」

摩央「そうよ、だから悠奈」

悠奈「なぁに?」

摩央「もっと強くなるわよ」

悠奈「ふふ!それ、いいね☆」
0270名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:47:58.37ID:FO0yL1bR
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夏美「あーあ、結局10万のレアカードは出ませんでしたのー」

夏美「他のお菓子でレアなのは出ましたけど……」


きな子『わー!これキラキラしててすごいっすー!』


夏美「なんてきな子がはしゃぐもんだから、もらえなかったですの」

夏美「……あれ、いくらくらいしたんでしょう?」


恋「あら、夏美さん」


夏美「ん?あぁ、恋先輩ですの」

恋「こんな所で奇遇ですね」

夏美「そうでもないですの。全員同じ病院に送られたんですから」

恋「夏美さんもお見舞いですか?」

夏美「ですの、四季たちは私がいないとダメダメですからねー」

恋「ふふ、そうですか。私も今かのんさんたちを見てきたんです」

夏美「かのん先輩……」

恋「それで今から四季さん達の方も見ようかなと思って。あっ可可さんも来てるんですけど、今お手洗いで。すぐ追いついてくると思いますけど」

夏美「ふーん、それは四季が喜ぶですの。ふたりのことが大好きですからね。ついでにきな子も喜ぶですの。騒がしいのが好きですからね。メイは死ぬかもですの」

恋「えええ!?そんなに悪いんですか!!」

夏美「まぁ、見てあげてくださいですの。みんな喜びますから」

恋「……夏美さんはこれからかのんさんのところに?」

夏美「……いや、他に用事があるんでそれをしに行くところですの」

恋「そうですか」

夏美「……」

恋「夏美さん」

夏美「なんですの?」

恋「りんご食べますか?剥いてあげますよ?」

夏美「なんですの急に。私は病人じゃないですの」

恋「そうですか」

夏美「……でも、そんなにいうなら食べてやるですの」

恋「ふふ、ありがとうございます♪」
0271名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:51:07.29ID:FO0yL1bR
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かのん「あー、暇だぁー」

すみれ「……」

かのん「ひまだよー」

千砂都「そうだねー」

かのん「ひ、ま、だ、よ!」

すみれ「……千砂都、かのんに静かにしてって言って」

千砂都「わかったー、かのんちゃん静かにしよ?」

かのん「直接言ってよ!感じ悪いなぁ!」

すみれ「あんたこそ、かまって欲しいからってうわごとみたいに暇ヒマ言うのやめて」

かのん「わかった、はっきり言うね。すみれちゃんトランプしよ」

すみれ「いやよ」

かのん「─────っ!!!」バンバンッ

すみれ「千砂都とふたりでやりなさい」

かのん「ふたりで出来るのなんて限られてるじゃん!」

すみれ「スピードとかあるでしょ」

かのん「ちぃちゃんそういうのめちゃくちゃ強いんだよ!」

千砂都「強くてごめんねー」

かのん「だいたいなんで読書なんてしてんの!せっかく友達と入院してんだよ?もったいないと思わないの?」

すみれ「何がせっかくなのよ。だいたいいつも一緒にいるんだからこんな時くらい私の好きにさせてよ」

かのん「真面目に本なんか読んで、あんなの何の役に立つんだろうね?ちぃちゃん」

千砂都「本をよく読む人は言葉がすらすら出てくるようになるらしいよー」

かのん「ふーん、そんなの何の役に立つんだか。私達と遊ぶ方が百倍有意義でしょうが!」

すみれ「ほんとうるさいわね」

かのん「だってだってぇー!!」

すみれ「あーもう、じゃあ、あと1時間だけ待って。そしたら読み終わるから」

かのん「そしたらやってくれるの?!」

千砂都「よかったねー!かのんちゃん」

すみれ「ええ、一試合だけやってあげるわ」

かのん「けちっ!!」

千砂都「あはははは!」
0272名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:51:39.97ID:FO0yL1bR
すみれ「……あ、そういえば大事な事思い出した」

かのん「?」

すみれ「あんたいい加減、焼きそばパン買ってきなさいよ」

かのん「え」

千砂都「あー、そういえばそうだ」

すみれ「ほんとかのんは、お使いの一つも満足に出来ないんだから」

かのん「え?ほんき?」

すみれ「あたりまえでしょ。こんなの冗談として成立しないじゃないの。ね?」

千砂都「うん、しない。冗談として意味わかんないもん」

かのん「わたしのためについた優しい嘘なんじゃなかったの?」

すみれ「意味わからない。そんな嘘存在しないわよ。ね?」

千砂都「うん、しない。そんなの優しい嘘になりえないもん」

かのん「え?え?」

すみれ「というわけで、かのん」

かのん「……」

すみれ「ダッシュで……」

かのん「……」

すみれ「おねがいね?」

かのん「……はい」
0273名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:52:49.72ID:FO0yL1bR
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かのん「はぁ〜、こっちは入院中なのにパシリにするなんてほんとすみれちゃんってばヤンキーなんじゃないの?」

かのん「病院の売店って何売ってるんだろ。きっとたいしたもん売ってないよね」

かのん「う〜ん、一階にあるって言ってたけどどこにあるんだろう?」

かのん「えーと、……あっ、ここかな?」


夏美「いらっしゃいませですの〜」


かのん「……」

夏美「……」

かのん「なにやってるの」

夏美「バイトですけど」

かのん「ふーん」

夏美「……」モグモグ

かのん「なに食べてるの」

夏美「りんごですの」

かのん「接客中に?」

夏美「はい」

かのん「炎上するよー」パシャ

夏美「させようとしないでください」

かのん「で、この仕事は勝手にやってるのかな?」

夏美「勝手にやってるわけないでしょう。ちゃんと店員さんに話して交代という形で手伝わせてもらってるんですの。時給880円ですの。都の最低時給を大きく下回ってますの。足元を見られましたの。でもやらないよりましですの」

かのん「ふーん、よくそんな交渉が出来るよね」

夏美「なんでも行動してみないとわかりませんからね」
0274名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:53:35.65ID:FO0yL1bR
かのん「それで、せっかくお見舞いにきたんだからついでに売店でもバイトしたいなって?」

夏美「はい、あなた達が病院送りにされたのでひと笑いしに来ましたけど、ただ見て帰るだけじゃ勿体ないと思いこうなりました」

かのん「ふーん、相変わらず現金な奴」

夏美「世の中マニーですからね」

かのん「まぁ、そっちがなにしてようと勝手なんだけどさ」

夏美「ですの」

かのん「……そんな事よりさ、焼きそばパンある?」

夏美「え?そこにパンの売り場があるのでそこ見てください」

かのん「いや、なんも置いてないから聞いてんだけど」

夏美「そこになければないですの」

かのん「感じ悪っ、奥から出してきてよ」

夏美「奥なんか見ても焼きそばパンなんてありませんよ。パンなんて日持ちしないのに大量にストックしてるわけないじゃないですか」

かのん「えぇ〜?どっかにない?」

夏美「ありません。ああいうのはその日搬入の人が持ってきてくれた分で終わりですの」

かのん「じゃあ持ってこさせてよ」

夏美「来る時間が決まってますの。なので今呼んだって来ません」

かのん「はぁ〜、さっきから使えないバイトだなぁ」

夏美「かのん先輩の要求はバイトの領分を超えてます」

かのん「じゃあなんか代わりになりそうなのない?」

夏美「うーん、じゃあ、カップ焼きそばでも買えばいいんじゃないですか」

かのん「あぁ、なるほど。それをなんかパン的なもので挟めばいいか」

夏美「デザート売り場にワッフルがありますの」

かのん「うげぇ……じゃあそれでいっか」

夏美「リアクションと言ってることが噛み合ってませんよ」

かのん「私が食べるわけじゃないし」

夏美「ふーんですの。で、買いますか?」

かのん「あっ、そうだ。先輩後輩の関係なんだからさ、あれやってよ」

夏美「?」

かのん「レジ通したふりしてくれるやつ」

夏美「そんな事するわけないでしょ」
0275名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:55:01.29ID:FO0yL1bR
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恋「皆さんおかげんはよろしいでしょうか?」

可可「ククとレンレンが来ましたよ!大事な後輩のためにっ!」

四季「可可先輩っ、恋先輩っ」

可可「シキシキー!会いたかったデス!」

きな子「あー、先輩たちっす!」

メイ「あっ、あわわわわわっ!」プシュー

きな子「あ、メイちゃんが病室という逃げ場のない環境で先輩たちと対面し、脳がショート状態っす!」

恋「みなさんの大変な事に巻き込んでしまって申し訳ありませんでした」

四季「ううん、私達が勝手に手伝いに行っただけ。先輩たちのせいじゃない」

きな子「大変だったっすけど、それ以上に楽しかったっす!また先輩たちのライブみたいっす!」

可可「ほんとですか?ならこれからもいっぱい見せてあげますよ!」

恋「メイさん。体調が悪いと伺ったのですが大丈夫でしょうか?」

メイ「あ、あのっ……は、はいっ……そ、そ─────」

きな子「ふたりに会えてよくなったっていってるっすー」

恋「そうですかっ、よかったです♪」

メイ「─────!」ドキッ…!

きな子「メイちゃんこれ心臓止まっちゃうんじゃないすか」

四季「そうなっても大丈夫なようさっき心臓マッサージ機作った」

可可「シキシキ、きなきな!今回の旅、ほんとうに手伝ってくれてありがとうございました!」

きな子「どういたしましてっす」

四季「私が手伝うのは当たり前。だってふたりが必要としてくれるから」


四季「それに私も、ふたりと一緒にいたいし……」


恋「四季さんっ」

可可「あぁ〜!なんて可愛いんでしょう!シキシキは!こんな後輩一生大事にしますよ!ね?レンレン!」

恋「はい!」

四季「……えへへ」
0276名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:56:08.99ID:FO0yL1bR
可可「そしてメイさん!」

メイ「!!!」ドキッ

可可「ファンとして応援し続けてくれた貴方が今回スタッフとして活躍してくれた事、とても感謝してます」

メイ「あっ……あ……」パクパク…

きな子「メイちゃんの心拍数、もう限界っす」

四季「破裂されるのは困る、それは心臓マッサージ機じゃ治せない」

恋「それで話あったのですが、メイさんも四季さんと同じように私達をこれからもサポートしてくれませんか?」

可可「はいっ!クク達には貴方が必要です!スクールアイドルが好きな貴方には部活にひとりはいなければならないデータキャラとしてっ!一緒に活動してもらいたいのデス!」

恋「でーたきゃら?そういうキャラが部活には、なくてはならない存在なんですか?」

可可「はい、そうデス!」

恋「知りませんでした!そうだとするならメイさん!改めてお願いします!私達を支えてくださいっ!!」

可可「いやだっていっても先輩命令使っちゃいますからね!なのでこれからよろしくデス!メイメイ!」


メイ「っ!!!!!!」


きな子「あっ、メイちゃんが気絶しちゃったっす」

可可「?こうしないとメイメイは素直になってくれないとナッツに教わったのですが」

四季「大丈夫。十分口説き落とされたから」

きな子「四季ちゃん、メイちゃん心拍停止っす。あの世まで落っこちちゃうっすよ」

四季「それは困る、じゃあこれ使おう」

きな子「はいっす!」

可可「おぉ?お医者さんごっこですかー?ほんとに1年生はみんなかわいいデスね!」

恋「ふふ、そうですね」

可可「あっ、きなきなもよかったらクク達の事手伝ってほしいデス!」

きな子「きな子もっすか?別にいいっすよ。四季ちゃん達と一緒なら楽しそうっす♪」

可可「わー!嬉しいです!ついでにいうならスタッフじゃなくてみなさんもスクールアイドルを目指してもいいんですよ?というか一緒にやりませんか?うん、やりましょうアイドル!」

きな子「いや、それは遠慮しとくっす」

四季「うん」

メイ「─────(私にはあいどるなんて……柄じゃねぇ……///)」

可可「そ、そうですか……」ガーン

恋「……ざ、残念ですね、可可さん」

可可「で、でもでも、へーきです!だってククたちの元には五つの星が揃ったのデスから!」

恋「そうですね!これからどうなるか、楽しみですっ」

可可「はい!」

きな子「いつつの?」

四季「ほし?」

メイ「─────(あぁ、お星さまが見える……)」キラキラ…
0277名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:56:56.23ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜


すみれ「遅いわねかのん」

千砂都「1時間経っちゃったね」

すみれ「そうね」

千砂都「あーあ」パタパタ

すみれ「……」

千砂都「……」

すみれ「じゃあ、やりましょうか」

千砂都「え?」

すみれ「トランプ」

千砂都「かのんちゃん抜きで?」

すみれ「だって、あんた暇そうだし」

千砂都「ふーん、私とはそういう理由でやってくれるんだ」

すみれ「かのんは甘やかすとつけあがるからね」

千砂都「厳しいお母さんだぁ、でも私もこれからは見習わないとねー」

すみれ「それで、やるの?」

千砂都「でもふたりで出来るのなんてスピードくらいだしなぁ」

すみれ「それでいいじゃない。強いんでしょ?あんた」

千砂都「まぁ、反射神経はいいと思うよ」

すみれ「私も負けないわよ」

千砂都「おー!負けず嫌いのすみれちゃんに勝負挑まれちゃった。これは長くなりそうだなぁ」

すみれ「なに自分が圧勝する前提で話してんのよ。初戦で私が勝って終わりよ」

千砂都「ふーん、そんなことさせないもんねー。よーし!じゃあ今日は徹夜でスピード対決だぁ!」

すみれ「まぁ、私に勝ち続けたらね?」

千砂都「やってやるぞー」

すみれ「ふん、きなさい」

千砂都「ふふ、なんかライバルみたいでいいね私たち!」

すみれ「かもね」
0278名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:57:50.21ID:FO0yL1bR
〜〜〜〜〜〜〜〜〜




かのん「ふわぁ〜、いい天気だなぁ〜」

夏美「ふわぁ〜ですの」

かのん「やっぱり日向ぼっこは最高だよ」

夏美「お年寄りみたいな事言わないでくださいですの」

かのん「ていうか、いいの?抜け出してきて」

夏美「別に病院の売店なんて店員がいてもいなくてもどうでもいいでしょう」

かのん「どうでもいいわけないと思うけど」

夏美「セルフレジがありましたし問題ないですの。それに都の最低賃金を下回ってる環境で働くのはやはり不服ですの」

かのん「まぁ、なにしようとそっちの勝手だけどさ」

夏美「ですの」

かのん「そういえば、ウィーンちゃんはどうしたの?」

夏美「は?誰ですのそれ」

かのん「いや、ずっとあの瓦礫の中を一緒にいたって聞いてるけど」

夏美「知らないですの」

かのん「私達と同じ病院にいるの?」

夏美「……一眠りした後、私は本物の医療以外受けないのとか言ってどっかいきましたよ」

かのん「ふ〜ん、そっか」

夏美「ですの」

かのん「残念だね。せっかく友達が出来たのに」

夏美「は?だーれがあんなの友達ですか!」

かのん「でも、また会えるよ。私達と一緒にいれば」

夏美「もう結構ですの」

かのん「照れちゃってさ」

夏美「照れてません」

かのん「はいはい」
0279名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:58:44.83ID:FO0yL1bR
夏美「…………」

かのん「…………」

夏美「……あの」

かのん「なに?」

夏美「ということはあなたもやるんですね。スクールアイドル」

かのん「……うん、やる」

夏美「そうですか」

かのん「また反対しないの?」

夏美「別に、かのん先輩の勝手にすればいいですの」

かのん「ふーん、素っ気ないなぁ」

夏美「勝手にどこにでも行ってろですの」

かのん「どこにでも行かれたら寂しいくせに」

夏美「はぁ?そんな事ないですの」

かのん「素直じゃないね」

夏美「別に素直ですもん」プイッ

かのん「……でもまぁ、ありがとね」

夏美「……お礼を言われるようなことは何もしてませんけど」

かのん「こんな旅に出るはめになったのも、私が歌うはめになったのも、そこから歌いたいってまた思えるようになったのも全部そっちのせいだからね」

夏美「せいって、悪いことみたいに言いますね」

かのん「結果オーライなだけで、一歩間違えれば全部とんでもない事になってたからさ」

夏美「結果オーライじゃありませんの。ぜーんぶ私の計画通りなんですから!」

かのん「はいはい」

夏美「なんですの!適当に聞き流して!」

かのん「でもまぁ、感謝はしてるから」

夏美「……」

かのん「だから、まぁ、ありがとね、……夏美」

夏美「………ですの」
0280名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 05:59:17.59ID:FO0yL1bR
かのん「わー、なんか照れてるこの子」

夏美「照れてませんっ!」

かのん「う〜ん、これなら、ちょっとはかわいい後輩って思ってあげてもいいかなー」

夏美「なっ!わ、わ、私は最初からかわいいですの!今更気付いたんですの!?」

かのん「はいはい、そうだね」

夏美「っ!そ、そうですの!」

かのん「じゃあ、これからもよろしくね。かわいい後輩さん」

夏美「……はい、ですの」
0281名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 06:00:23.62ID:FO0yL1bR
─────翌日。




かのん「このクソガキっ!!」

夏美「にゃははははっ!」

すみれ「もう、あんた達。これから退院なのにやめなさいよ」

かのん「だって、この子がっ!」

夏美「にゃっはーw 毎度毎度騙されるかのん先輩がおまぬけなんですのー!」

かのん「なんだとぉーっ!」

千砂都「あはは、騒がしいね。いつもこんな感じなの?」

すみれ「ええ、いつもこんな感じよ」

かのん「ねぇ聞いてよ!ちぃちゃん!この子ったらね!」

夏美「かのん先輩が悪いんですのー!」

かのん「はぁ!?私になんの非があるっていうの!ふざけないで!」

すみれ「とりあえず落ち着きなさいよ」

千砂都「これじゃあ、なにがあったのかわかんないよー?」

夏美「ちょっとした夜の病院で行われるホラー企画ですの!夏のドッキリ動画ですの!それでかのん先輩がぷっつんしちゃっただけですの。ヤンキーはすぐキレるから毎度の事ながら質が悪いですのーww」

かのん「毎度毎度質が悪いのはそっちでしょっ!!」

千砂都「あはは、楽しそうな動画撮ってるね♪」

かのん「たのしくない!」
0282名無しで叶える物語(あゆ)2023/02/19(日) 06:00:58.55ID:FO0yL1bR
すみれ「またそんな動画撮って、ほんと懲りないわねあんた達」

かのん「あんた達!?だから私をその中に含めないでってば!」

夏美「にゃはははっ!かのん先輩はわたしと、いっ・しょ。ですの♡」

かのん「ふんっっ!!」ガシッ

夏美「きゃー!服掴むのは反則ですのー!逃げれないですの!ぅっー!たすけてー!追剥にあってますー!!」

すみれ「やめなさいってば」

千砂都「いじめちゃダメだよーかのんちゃん」

夏美「でーすの!こんなかわいい後輩いじめちゃダメですの!」

かのん「別にかわいくないし」

夏美「かわいいですの♡」

かのん「かわいくない」

夏美「かわいいっ!」

かのん「かわいくないっ!」

夏美「でも昨日、かわいいていったですの」

かのん「っ……」

すみれ「へぇ、あんたがね?」

千砂都「あはは、よかったー。やっぱり仲良しでー♪」

かのん「仲良しじゃないもんっ!もう、余計な事をっ!」

夏美「にゃはははっ!にーげろっですの!」

かのん「あっ、待て!このぉっ!」

夏美「にゃははははww」

かのん「あんたはほんとに毎回毎回っ!!」


かのん「もうっ、今日という今日は絶対っ」


かのん「ぜーったい、ゆるさないんだからぁっ!!!!!!」






おしまい。
0283名無しで叶える物語(しうまい)2023/02/19(日) 06:09:36.12ID:HrDcse6r
乙!面白かった!
0284名無しで叶える物語(もんじゃ)2023/02/19(日) 06:34:58.59ID:7+xFoOT8
長いー
0285名無しで叶える物語(光)2023/02/19(日) 07:01:20.52ID:/oZMhwlU
ぶっ通しでの投下おつ!!
滅茶苦茶面白かった!世界観に引き込まれて夢中で読んでたわ
0286名無しで叶える物語(もんじゃ)2023/02/19(日) 07:46:15.13ID:CQuipdkQ
これもう正史だろ
0287名無しで叶える物語(たまごやき)2023/02/19(日) 07:52:44.62ID:pIlyJsRj
おつ

かのなつ
恋クゥ
すみちさ

本編で見れない組み合わせいいね
全体の話としても面白かったわ
0289名無しで叶える物語(しうまい)2023/02/19(日) 08:24:18.69ID:bkY2t0Ap
「は、働くことも出来ない、美容室に行くことも出来ない、コンタクト店に行くことも出来ない僕にだってなぁ!!」
https://i.imgur.com/ca4PhoA.jpg

「いつか必ず、だいちゅきならぶらいぶ!のせいゆーしゃんと結婚するって夢があるっちゃ!!!涙」
https://i.imgur.com/z4E4ph2.jpg

「ママも応援してくれてるっちゃ!馬鹿にする奴はゆるしゃないっちゃあああ!!!」
https://i.imgur.com/Fb55gKm.jpg



https://i.imgur.com/OWygFvE.jpg
0293名無しで叶える物語(はんぺん)2023/02/19(日) 12:28:15.93ID:13+L6epP
完走乙

冬の決戦時には東京がメガテン世界になるかもしれない
0300名無しで叶える物語(たまごやき)2023/02/19(日) 17:31:51.23ID:mkdOFhkO
キャラそれぞれの個性も掘り下げててすごく面白かった
自動運転が名古屋走りに弱いとかのネタも好き
0302名無しで叶える物語(もも)2023/02/20(月) 01:03:15.93ID:dIndGPdR
かのんと夏美の絡みめちゃくちゃ好き
面白かった、乙!
0303名無しで叶える物語(もも)2023/02/20(月) 01:38:11.90ID:P72HRmZs
メチャクチャ良かったやで
このss読むだけで日曜が潰れたけど後悔はない
0306名無しで叶える物語(ほうとう)2023/02/20(月) 06:03:09.63ID:SDtFX3IP
めっちゃ面白かった!
0308名無しで叶える物語(SB-iPhone)2023/02/20(月) 12:05:56.24ID:UPHf9Vc/
この人が昔かいたちかよしss好きすぎて今でも時々見返す
0309名無しで叶える物語(もんじゃ)2023/02/20(月) 23:22:58.20ID:92NL+Ahn
長編マジで助かるわ
0311名無しで叶える物語(もんじゃ)2023/02/22(水) 05:57:53.62ID:WNFiwH4a
落とすな
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