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しずく「卒業旅行の時の話です」
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0001名無しで叶える物語(茸)
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2023/02/08(水) 23:15:20.82ID:yi+F/D7J
地の文多めです
0005名無しで叶える物語(茸)
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2023/02/08(水) 23:19:42.69ID:yi+F/D7J
私達4人がその地を訪れたのは、大体一年前の事でした。

私達は虹ヶ咲学園を卒業後、例年通り同好会の同学年メンバーで卒業旅行に行く事になりました。

行き先を決めるのにはかなら時間を使いましたね、特に栞子さんとかすみさんの希望が中々合わなくて……あの時は苦労しました。
0006名無しで叶える物語(茸)
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2023/02/08(水) 23:20:02.37ID:yi+F/D7J
結局、段取りを決める時間が少なかったり、まぁ他にも色々な理由の末、行き先はエマさん達が卒業旅行の際に訪れた鹿児島にある温泉のある小さな町に赴く事になりました。

エマさん曰く「美味しい料理もあるし日本伝統の面白い話とかもあって楽しかったよ~」とのことでしたので。


まぁこの時にはちょっとおかしかったんですかね。今は知る術もありませんが。
0007名無しで叶える物語(茸)
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2023/02/08(水) 23:20:23.23ID:yi+F/D7J
かすみ「はやくはやく!ほらー!写真撮るよー?」

栞子「ちょっと待ってください!もう少し人の少ない所で……」

かすみ「はいチーズ!」カシャ

璃奈「栞子ちゃん、目つぶってる…」

栞子「私には写真を撮る適正がありません…」シュン

しずく「まぁまぁ、撮り直せばいいだけですから…」

かすみ「じゃあ、もう1回撮るよー!はいチーズ!」
………

栞子「今度はちゃんと撮れました!」パァ

璃奈「かすみちゃん、後で送って」
0008名無しで叶える物語(茸)
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2023/02/08(水) 23:20:54.81ID:yi+F/D7J
しずく「さて、とりあえず旅館に荷物は置くとして、その後はどこから回りましょうか?」

栞子「私少しこの辺りのお店を見て回りたいのですが…ほら、こういう所ってその地にしかない伝統みたいなのあるじゃないですか?」

しずく「あー、確かに私も探してみたいかも。エマさんとかがよく話してくれる話って面白いし」

かすみ「あんまり可愛くはないけど…」

璃奈「この辺り、おいしいパン屋さんがある。多分コッペパンも。」

かすみ「仕方ないですねぇ~このかすみんが付き合ってあげちゃいます!」

栞子「ふふっ、ありがとうございます」
0009名無しで叶える物語(茸)
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2023/02/08(水) 23:21:13.33ID:yi+F/D7J
そういった経緯で私達は旅館の近くを散策しようと言う事になりました。

確か、かすみさんの要望でパン屋で腹ごしらえを済ましてから色々なお店回ったはずです、小さなぬいぐるみ屋さん、雑貨屋さん等ジャンルを問わず、見つけたら入るようにしていたはずです。

何件目のことだったでしょうか。あまり覚えていないのですが、二階建ての小さな施設だったのは覚えています。中身は公民館のような場所でして、一階に交流スペース等があり、二階は小さな図書館のようになっていました。
0011名無しで叶える物語(茸)
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2023/02/08(水) 23:21:45.89ID:yi+F/D7J
かすみさんと璃奈さんは交流スペースで折り紙をしていて、私の栞子さんはその間に伝統的、または民族的な話がないか二階の図書館を散策していました。

カウンターの向こうには三十代程の女性が1人座っており、パソコンをカタカタと動かしており、従業員はその女性1人のようでした。

栞子「あ、ありましたよ!民族の本棚です!」

しずく「こんな隅にあったなんて…そりゃすぐには見つからないよね。」

栞子「とりあえず互いに逆方向から適当に幾つか読んでみて、面白そうな話があれば共有する、ということでいいですよね?」

しずく「そうだね、量はそこまで多くないけど、かすみさん達も待ってるし」

そんなこんなで私達は互いに逆方向から適当に本を読み進める事にしました。
0012名無しで叶える物語(茸)
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2023/02/08(水) 23:22:16.29ID:yi+F/D7J
とりあえず本を手に取ろうと思い、つらつらと視線を動かしていて、確か三段くらいでしたかね、他が埃を被り窮屈に並べられている中、それほど埃を被っておらず、恐らく最近誰かが手に取ったような後がありました。

その1冊には何か別の紙、長方形か正方形か、とにかく、紙のかどの部分が数センチ飛び出ており、くしゃりとしおれていました。

私は栞代わりに何かを挟んだのかな?と思いました。まぁその事もあり私はその本に興味を引かれたんです。

先程言った通り、他が埃を被り、恐らく何年も手に取られていない中、その本だけは誰かが以前に読んでいる訳ですから、どんな事がかかれているか興味が湧きました。
0013名無しで叶える物語(茸)
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2023/02/08(水) 23:22:31.83ID:yi+F/D7J
本棚の前で少し前屈みになり、少し窮屈に詰められている中に指をかけ、少し力をいれて引っ張りました。

ぢぢ、ぢぢ、と擦れる音がして、本棚が引き出せました。さっきまで詰まっていた箇所はぽっかりと穴が空き、その向こうには黒々とした本棚の木目が見えました。

改めて、手に取ったそれを確認します。

題名は◼◼◼◼◼◼異聞録 再録

巻数などの表記がなかった為、単体で刊行されたものだと思います。

例の紙はその本のおおよそ三分の一あたりに挟まれていました。私はまず、その本の目次に目を向けました。
どうやら、この本は全体を通して昔の怪奇譚や妖怪話等を集めた、今でいうオカルト雑誌のようなものでした。
0014名無しで叶える物語(茸)
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2023/02/08(水) 23:22:49.46ID:yi+F/D7J
ただ少し違うのは、怪奇譚と言っても呪いの方向にかなり趣を置いていたようで、昔話やよくあるろくろ首やのっぺら坊のような話はなく、誰かが実際に伝承したような話や、経験談等が多いように感じました。

とりあえず読む前に挟まれた紙を取ってしまおうと考え、そのまま取ろうとしたのですが、その紙はノドと言われる背表紙に近い部分に挟まれていました。

挟まった紙を無理やりとって破いてしまうと二度手間なので、ページを開いてから取る事にしました。左手で本を抱え、右手でページを捲っていく
それは栞のようになっている為すぐにそのページに辿り着きました。

私は挟まれた紙を見て、思わず小さく声をだしました。
0015名無しで叶える物語(茸)
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2023/02/08(水) 23:23:03.52ID:yi+F/D7J
そこで栞子さんが心配してこちらに駆け寄って来て下さり、この紙を見つけるまでの経緯を説明し、面白そうだという理由でそこからは2人で見ることになりました。

それは葉書よりも小さいくらいの再生紙で、画質の悪い写真が印刷されていました。白黒と言っても、古めかしいものではなく、カラーで印刷されたものを更に白黒で刷ったような印象を受けました。

その写真というのは、小学校中学年くらいの女児があどけない笑顔を浮かべて、ピースサインを作っています。

写真の右後ろには恐らく同年代であろう子供が写っていましたが、顔にはモザイクがかかっていました
0016名無しで叶える物語(茸)
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2023/02/08(水) 23:23:18.52ID:yi+F/D7J
「誰かが自分の子供や姪辺りを撮影して印刷したのか」「だとしたらモザイクが入ってるのはおかしいから何かの切り抜きなんじゃないのか。」
そんな話を栞子さんと交え、とりあえず誰かの私物だからカウンターに返した方がいい。
という結論に至り私達はその写真の裏を見ました

そこには、横書きで
ただ三文字。

あえた

と、書かれていました。
それは恐らく鉛筆で非常に薄かったんですが、凄く整っていたように感じました。
0017名無しで叶える物語(茸)
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2023/02/08(水) 23:23:37.59ID:yi+F/D7J
正直かかれた文字の意味は分かりませんし、改めてそれが挟まっていたページに目を落としました。とりあえず私達は少し本の内容に目を通そうという話になり、何処かの椅子にでも腰をかけ、本を見ました。

そして、それを見た時。
私達は声を出す事もできず、ただ息を飲みました

その見開き一ページ分に詰まった、たくさんの文字の羅列の中、”の”というひらがなだけが、すべて、さっきも見たような薄い鉛筆で、とても丁寧な丸が何度も何度も書き込まれていたんです。

その意図と、理由も、全く分かりません。
分からないんですけど、その光景が、ただひたすらに不気味で、ほぼ反射的にページを捲りました。
0018名無しで叶える物語(茸)
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2023/02/08(水) 23:23:58.25ID:yi+F/D7J
そこも同じでした。
びっしりと並んだ文章の中、”の”という文字にだく丸が書き込まれている。
得体の知れない不快感の中、どこか冷静に
ああ、目次は漢字ばかりだったから気づかなかったんだ。と思いました。

静かな、とても静かな図書館の隅で本を抱えている。その本が、というより、その状況が私達にはとても恐ろしいものに感じました。

なんていえば良いんでしょうか、この本を読んでいる、この書き込みに気づいている、ということに気づかれてはいけないような、そんな予感がしましたから。
0019名無しで叶える物語(茸)
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2023/02/08(水) 23:24:21.69ID:yi+F/D7J
…………そこで私達は後ろを振り向く。
目の前にはカウンターにいた筈の女性が立っていて、無表情に私達を眺めていました。

もはや動くことすらままならない私達に向かって、その女性は
「それ、元のページに戻しておいてくださいね」
淡々と、そう言いました。

あの後私達はすぐに本を閉じて、一階でコーヒーを飲んでいてかすみさん達を半ば強引に引き連れその施設を出ました。

あの紙は多分同じところに戻したはずです。
本棚に空いた穴の中に、本を詰め直す時。
一瞬だけその向こうに何かの顔が覗いていたようにも見えましたが、もうそんなことはどうでもよかったんです。
0020名無しで叶える物語(茸)
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2023/02/08(水) 23:24:58.14ID:yi+F/D7J
その後旅館に戻り、疲れを取るために、その嫌な記憶を消すために私達は温泉や料理を楽しみました。

かすみさんがサウナで倒れたり、璃奈さんがクレーンゲームの景品を総取りしたりと色々あり楽しい思い出ができたと思います。

あれは確か栞子さんとお土産を物色している時でした。色々とこの地の物産品やおすすめのもの等を教えてくれていた四十代に見える従業員の方と雑談をしていた際に、ふとあの施設の話をした時です。

それまでは笑顔で明るいトーンで話していたその女性も少しばかりトーンを落とし、
0021名無しで叶える物語(茸)
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2023/02/08(水) 23:25:16.66ID:yi+F/D7J
「ああ、あの人ですね。
まぁ、なんて言うんだろう。
ええっと、娘さんがいたんです、けど。
ちょっと前に、病気…事故だっけな、まぁ、なんにせよ亡くなっちゃって、娘さんが。
それで参っちゃって、ちょっとこうね。
まぁお仕事は続けるって言ってたから。
ほら、何かこう、困ったことされるよりはいいじゃないですか。」

さっきまでとはうってかわり、歯切れの悪い口調で彼女は言いました。
写真の事は言わずに、小学生くらいの女の子ですか?と尋ねると、小さくこくりと頷き、
やこちゃんって言うんですよ。ほんとに可愛い子でね。
そうぽつりと呟きました。
0022名無しで叶える物語(茸)
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2023/02/08(水) 23:27:43.35ID:yi+F/D7J
私達はそこで何か申し訳ない気持ちになり、ごめんなさい。と小さく言ったのを覚えています。


今思うと、謝る必要なんてなかったのかもしれませんね。
私の話はここまでです。

それでは。

以上は「実録!スクールアイドルの語るこわ~い話 第八弾」の取材の際に桜坂しずくさんから聞いた話になります。
0024名無しで叶える物語(しうまい)
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2023/02/08(水) 23:32:12.27ID:szCkwAcK
0027名無しで叶える物語(もも)
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2023/02/09(木) 12:18:56.31ID:4SPpBkdW
元ネタはSCPのやこえ、って話か
やこちゃんの話も入れないと尻切れトンボに終わっちゃってよく分かんないような
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