海未「これより幼馴染集中講義を始めていきます」皇ユズハ「えっ?」
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<1時間目 数学>
ユズハ「あの……一体何が始まるんですか?」
ことり「いきなりでごめんね?」
海未「私たちは今からラブライブシリーズの幼馴染としてふさわしい人間になれるよう、あなたに講義を行います」
ユズハ「断れませんか?それ」
海未「私はその中で数学を教えます園田海未です」
ことり「私は海未ちゃんの幼馴染の南ことりです。よろしくね」
ユズハ「あー……無視ですか」
海未「ではまず、あなたとあなたの幼馴染、椿ルリカさんについて教えてください」
ユズハ「逃れられないんですね。はあ……私は皇ユズハと言います」
ユズハ「そして……ルリカは、椿ルリカは私たちの学校の理事長の娘で、グループのリーダーです」
ことり「理事長の娘……」
ユズハ「あ、でも、「やるぞ!ついてこい!」みたいなリーダではなくて、なんていうかカリスマ?があって周りが自然とルリカに集まってくる……みたいな感じですかね」
海未「カリスマ性ですか……」
ことり「何か気になるとこあった?」
海未「そういうタイプは往々にして周り、とりわけ幼馴染が振り回されますが……」
ユズハ「そうですね。たまに頑固なところもあるので苦労することもありますけど、たいていルリカの方が正しかったり結果正解だったみたいなことの方が多いので……」
ユズハ「あとは単純に慣れっこ、という部分もあるかもしれません」
海未「よくわかります。ありがとうございます」 海未「ことりは何かありますか?」
ことり「う〜んとね……じゃあ一つだけいいかな?」
ユズハ「はい」
ことり「皇さんは何か頑張ってることある?」
ユズハ「えっと……音楽ですかね。昔からアルトサックスをやっていて……」
ことり「うんうん」
ことり「じゃあ、もしそのサックスがみんなからすごいって言われて、留学することになったらどうする?」
ユズハ「留学ですか?」
海未「はい。例えばまず誰に相談するとか……」
ユズハ「親ですね」
海未「それはもちろんそうですが……」
ことり「椿さんには?」
ユズハ「もちろん話しますよ」
ことり「なんで!?」
ユズハ「逆になんで!?」 海未「別に話さないわけではありませんよ?最終的には話しますよ?最終的にはですが」
ユズハ「大切な幼馴染なら、なおのこと話したほうがいいのではありませんか?」
ことり&海未「「……」」
ユズハ「でも……ルリカも好きだけど、サックスも好きだから悩みますね。スクールアイドルもやっていきたいし……」
ことり「行くって選択肢ある?」
海未「もしかして行くんですか?」
ユズハ「いや、まだ行くかどうか……。っていうか、これ“行かない”が正解なんですか?」
ことり「うん。行かないよ」
ユズハ「すっごいピュアな顔と声で言ってきた!」
海未「正確には“幼馴染にはギリギリまで打ち明けず、留学を止めてほしいが為だけに空港まで行く”ですね」
ユズハ「うわぁ……」
ことり「だって離れたくないんだもん」
ユズハ「いや、気持ちはわかりますけど……。なんでギリギリまで黙ってるんですか」
ことり「だって、穂乃果ちゃんラブライブに夢中で……」
ユズハ「もっと方法あったんじゃないんですか?」
海未「お約束の下りぶった切って追撃しないでください」 海未「それに私もことりもそれくらいのことは分かってますから」
ユズハ「それならいいんですけど……」
ユズハ「それより、この授業どの辺が数学なんですか?」
ことり「ことりは学校から空港まで時速50kmの速さで移動しました。穂乃果ちゃんは30分後に時速70kmの速さで空港に向かいました」
ことり「穂乃果ちゃんがことりに追いつくのは、ことりが出発してから何分後でしょうか?」
ユズハ「あ、ちゃんと数学問題だった。数学か?」 <2時間目 国語>
曜「はい!ヨーソロー!!」
ユズハ「よーそろー」
曜「う〜ん、声が小さいかな?ヨーソロー!!」
ユズハ「ヨーソロー!」
曜「もっと!ヨーソロー!!」
ユズハ「ヨーソロー!!」
曜「はい、静かに」
ユズハ「理不尽!」
曜「そういうことで、国語を担当する渡辺曜であります!」
ユズハ「よろしくお願いします」
曜「じゃあさっそく始めていくね」 曜「ユズハさんは兵庫の学校に通ってるんだよね?」
ユズハ「はい」
曜「グループはみんな仲いい?」
ユズハ「そうですね。仲いいほうだと思います」
曜「じゃあさ、もし東京から転校生が来たらどうする?」
ユズハ「えっ?」
曜「その子はね、とてもピアノが上手ですぐにみんなと仲良くなって、グループの作曲も任されるようになるんだ……」
曜「もちろん幼馴染の……」
ユズハ「ルリカです」
曜「ルリカさんもね、すぐにその転入生に夢中になるんだ……」
ユズハ「……」
曜「きっとね、“自分の持ってないものを持ってる”そんなところに惹かれたんだと思う……」
ユズハ「曜さん?」 曜「だから私も自分が得意な体力面でAqoursの、千歌ちゃんの力になろうとしたんだ……」
ユズハ「曜さんの話ですか?これ」
曜「でもね……私が頑張れば頑張るほど千歌ちゃんは曇っていって、逆に梨子ちゃんのほうを向いてったんだ……」
ユズハ「……」
曜「……どうすればよかったのかなぁ……」
ユズハ「いや、そんな深刻な悩みを私に相談されても……。それより国語は?」
曜「私はあの時どうすればよかったのか簡潔に述べよ……」
ユズハ「言っておいてなんですけど、いきなり問題には切り替えられないです。問題が問題すぎるんです」
曜「はあ……」
ユズハ「とりあえず面と向かって話せばいいじゃないですか」
曜「話せばって……」
ユズハ「幼馴染だから話さなくてもお互い通じ合ってる、なんてありえませんよ」
曜「ユズハさん」
ユズハ「幼馴染って言ったって、結局は赤の他人なんですから」
曜「そう……だよね」 ユズハ「逆に幼馴染なんだから、全部さらけ出しても今更引かれませんよ。多分」
曜「ありがとう。なんだか元気出てきた!」
ユズハ「あの……曜さんってその辺を乗り越えてきたから、今先生役になってるんじゃないんですか?」
曜「まあね」
ユズハ「どうしたんですか?実際のところ」
曜「……なんか抱き合った……///」コソッ
ユズハ「はい?すみません。よく聞こえな――」
曜「そ、その通り!ちゃんと本音でぶつかり合ったよ!だからユズハさん正解!!」
ユズハ「すみません、今の回答の解説をお願いします」
曜「恥ずかしくて言えるわけないよー!!」 <3時間目 危機管理>
ユズハ「危機管理って……教科?」
歩夢「はーい。授業始めるよー」
ユズハ「今度はまともそう……かな」
歩夢「私が危機管理を教える、まごころ系スクールアイドルの上原歩夢です。皇さんよろしくね」
ユズハ「はい」
歩夢「突然だけど、幼馴染の危機ってどんなことだと思う?」
ユズハ「えっ!?えっと……テストの結果が悪かったり、悪い人について行ったり……」
歩夢「そう!」
ユズハ「!?」
歩夢「幼馴染っていうのはね、すごい魅力的だからよく悪い虫が寄ってくるの」
ユズハ「なるほど」
歩夢「そういう悪い虫が寄ってこないようにするのも幼馴染の役割なの」
ユズハ「へぇ〜」 歩夢「資料によると、椿ルリカちゃんにもいるね」
ユズハ「えっ!?ウソ!?滝女の誰ですか!?」
歩夢「滝女にも要警戒人物はいるけど、今一番怖いのは北条ユキノちゃんだね」
ユズハ「えっ?ユキノは私たちの後輩ですよ?」
歩夢「皇さん、その後輩が一番危ないんだよ?」
ユズハ「そうなんですか?」
歩夢「ほら、よく見て?北条ユキノちゃんからルリカちゃんに向かって“懐いてる”って矢印が出てるの」
ユズハ「たしかに、ユキノはルリカに懐いてるっていうか……甘えん坊タイプのルリカに唯一甘えてくる存在っていうか」
歩夢「危険……だね」
歩夢「いい?きゃつらは後輩という立場を利用してどんどん私たちの聖域(サンクチュアリ)を侵してくるよ!」
ユズハ「!?」
歩夢「皇さんも聞いたことない?ユキノちゃんがルリカちゃんに「あーん!先輩すきすき♡」って言ってるの」
ユズハ「言ってた、かなぁ……」
歩夢「あと、絶妙にやらしい声で「先輩♡」って誘惑してきたりとか」
ユズハ「それはなさそう……」 ユズハ「それで、どうすればいいんですか?」
歩夢「対策は二つあるよ」
歩夢「一つは幼馴染、ルリカちゃんから常に目を離さないこと」
ユズハ「それって監視……」
歩夢「違うよ。もし後輩が不審な行動に出たら、すぐに対策できるように後をつけるだけだから」
ユズハ「あ、この人ストーカーだ……」
歩夢「ストーカーじゃないよ。幼馴染を守るのも幼馴染の大事な役割だから」
ユズハ「思考がすでにストーカーなんですが」
歩夢「それでね、もう一つの対策は既成事実を作るの」
ユズハ「ごめんなさい、もうお帰りいただいていいですか?」
歩夢「え?ここからが重要なんだけど」
ユズハ「ありがとうございました」 <4時間目 〇>
ユズハ「え?何これ?」
千砂都「ういっす!ういっす!ういっすー!!」
ユズハ「……」
千砂都「う〜ん……。声が小さいなあ……」
ユズハ「それさっきやりました」
千砂都「あ、そう?」
ユズハ「それより、この丸の授業っていうのは……」
千砂都「そうだったね。この授業ではユズハちゃんに〇の素晴らしさを教えるよ!」
ユズハ「幼馴染要素は!?」
千砂都「幼馴染も大事だけどまるも大事だYO!」
千砂都「それにまるを理解した時、それは幼馴染のためにもなるから」
ユズハ「……幼馴染ってヤバいやつしかいないのでは?」 “結ヶ丘”カリカリ
千砂都「私たちが通っている学校はね、『結ヶ丘』っていって【結】って文字が入ってるんだ」
“Liella!”カリカリ
千砂都「そして私たちのグループ『Liella!』も【結ぶ】って意味が込められてるの」
ユズハ「そうなんですね」
“〇”シャッ
千砂都「まる!」
千砂都「言い換えれば『円』って読めるよね?」
ユズハ「はあ」
千砂都「円……つまり……」カリカリ
“縁”
千砂都「縁を意味するんだよね!」
千砂都「頭の良いユズハちゃんなら、もう解るよね?」
ユズハ「!!」
千砂都「【縁を結ぶ】……まるはLiella!を表してるんだよね!」 千砂都「もう一つ、ここでLiella!をよーく見ていくと……」
“☆”
千砂都「星が描かれているよね?」
千砂都「星と丸、まったく別の記号だと思ってるかもしれないけど、実はもう一つの意味があったんだよね」
千砂都「星の頂点の5つは私たち2年生の5人を表してるんだよね」
ユズハ「……」
千砂都「この星に1年生の4人が入ってきたら……」
“☆♢”
千砂都「頂点が9つになったよね?」
千砂都「つまり、星の頂点が増えれば増えるほど星が丸に近づいて行ってるよね?」
ユズハ「!?」
千砂都「つまり、星は丸なんだよね」
ユズハ「これが丸……」
千砂都「信じるか信じないかは、あなた次第です」 <5時間目 思想>
千砂都「さっきので丸がいかに素晴らしいか理解したと思うから、本題に進むよ」
ユズハ「はい……」ポケー
千砂都「うんうん。ユズハちゃんも“マル”が効いてきたかな」
ユズハ「……」ポケー
千砂都「次が最後の講習だよ」
ユズハ「はい」
千砂都「朝ことりちゃん……じゃなかった、ことり先生と海未先生に「もし自分が留学するとしたら」って聞かれたと思うけど」
ユズハ「はい」
千砂都「今度は、ルリカちゃんが留学するとしたらどうする?」
ユズハ「ルリカが……ですか?」
千砂都「そう。ルリカちゃんの歌でもパフォーマンスでも、それが認められて海外の学校に招待されるの」
千砂都「でもルリカちゃんはそのことをなかなか周りに打ち明けられないでいるの」
ユズハ「どうして……」
千砂都「それはまだ解らないね。さてどうする?」
ユズハ「う〜ん……やっぱり話聞きに行きます」
千砂都「うんうん。それで?」
ユズハ「ルリカが行くにするにしても行かないにしても、ちゃんと話聞いてそのうえでルリカの決断を応援します!」 千砂都「よく言った!……と言いたいところだけど、親友同士の間柄なら100点だけど幼馴染としては60点くらいかな?」
ユズハ「低い……」
千砂都「幼馴染は常に最善の選択を取らなければならないからね」
ユズハ「なるほど」
千砂都「この場合の最善手はルリカちゃんが成長できるかどうか」
ユズハ「!!」
千砂都「全ては幼馴染のために!幼馴染がレベルアップするなら留学を推し進める。そこに個人の感情は必要ない」
ユズハ「そこまで……」
千砂都「ただ一緒にいるだけならマンマルでもできる!」
ユズハ「『全ては幼馴染のために』……」
千砂都「これで私の授業は終わり」
千砂都「じゃあ、最後に……」
千砂都「全ては幼馴染のために!」
ユズハ「全ては幼馴染のために!」
千砂都「ジークかのん!ジークかのん!!」
ユズハ「ジークルリカ!ジークルリカ!!」
・・・・・・・・・
海未「教育完了ですね」
曜「ねえ……もしかして私たちはとんでもない怪物を生み出したんじゃ……」 翌日
ユズハ「あのさ、私たちって幼馴染でしょ?」
ルリカ「そうだけど……。何?いきなり」
ユズハ「幼馴染の一番のイベントっていえば、留学だと思うの」
ルリカ「そう?もっとあると思うけど」
ユズハ「だから私今から留学するから、ルリカ止めて?」
ルリカ「えっ?なんで?止めるの?」
ユズハ「だから、私が留学に行くそぶりを見せるから、それを止めてほしいの」
ルリカ「ちょっと何言ってるかわからない。結局留学するの?しないの?」
ユズハ「当日まで黙っててごめんね……」
ルリカ「続けるんだ……。っていうか、留学するならもっと前もって言ってよ」
ユズハ「だってルリカ、ラブライブに夢中で……」
ルリカ「いや、他人のせいにすんなし」
ユズハ「えっ……」
ルリカ「それとこれとは話は別でしょ」
ユズハ「いや……まあ……うん……」
ルリカ「相談もしないで勝手に他人のせいにして留学とか、幼馴染以前の問題だよ」
ユズハ「おっしゃる通りです」
ルリカ「まあ、ユズハが本気で留学するなら私は応援するし、全力でサポートするから」
ユズハ「ルリカ……」 ユズハ「なら逆に、ルリカに留学のオファーが来たらどうする?」
ルリカ「う〜ん……断る」
ユズハ「即答!?」
ルリカ「だって、ラブライブもあるし、私まだこの学校でやりたいことたくさんあるし」
ユズハ「わかった!私も留学に向けて全力でサポートするね?」
ルリカ「話聞いてた!?もう答え出てんのよ!ファイナルアンサーしてんのよ!」
ユズハ「でもルリカが成長できるなら、留学もやむを得ないというか……」
ルリカ「得る得る!」
ルリカ「こういうのって最終的に本人の意思でしょ」
ユズハ「いる?それ」
ルリカ「いるわ!不可欠だわ!」 ユズハ「わかった。留学の代わりに転入生!転入生呼ぼ?」
ルリカ「何の代わりかわかんないけど、転入生?」
ユズハ「そう。助っ人なの。ピアノもできる即戦力みたいな」
ルリカ「それなら、まあ仲良くしていきたいかな」
ユズハ「そうやって私を置いて東京の女とくっつくんだ……」
ルリカ「言い方!別にユズハを放っておくわけじゃないし」
ユズハ「いいの。私も本妻としての意地があるから、サックスのうまさでルリカを夢中にさせるし」
ルリカ「だから言い方!」
ルリカ「せっかく東京から来て私たちの仲間になるんだから、もっと仲よくしようとは思わないの?」
ユズハ「仲間だけど恋敵(ライバル)だから」ドヤァ
ルリカ「ドヤ顔で言わないで。全くかっこよくないから」 ユズハ「まあ、そういう意味ではユキノちゃんも敵だよね」
ルリカ「いやいや!かわいい後輩じゃん!っていうか、ユズハも仲いいじゃん」
ルリカ「ラブライブ……というより滝女に勝たなきゃいけないんだから、仲間内で争わないでよ」
ユズハ「嫌ぁ!」ドッ
ルリカ「痛っ。急に体当たりしてこないで」
ユズハ「よっ……。よっ……」
ルリカ「お願いだから、幼馴染に寄り切りをかけないで」
ユズハ「はあ……はあ……」
ルリカ「もう息上がってんじゃん」
ユズハ「私だけのルリカでいて?」
ルリカ「普通に嫌だし、今日のユズハなんか重くない?」
ユズハ「幼馴染と漬物石は重ければ重いほど良いっていうし」
ルリカ「いや、聞いたことないわ!」
おしまい お付き合いいただきありがとうございました
ユズハも重レズになれ(願望) ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています