きな子「あ、赤点!?」
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キーンコーンカーンコーン
「授業を始める前に、この前の小テストを返却します」
きな子「!!」
ハイ、オニヅカサン。モウチョットガンバリナサイ
アリエマセンノ〜!
きな子(こ、この前の…小テスト…)ドキドキドキドキ 「桜小路さん」
きな子「は、はいっs……はい!」
「……」
きな子「せ、先生?」
「……うん。次、頑張ろう」スッ
きな子「えっ」
きな子「……」チラッ
きな子「!?」
きな子(あ、赤点!?) ──放課後
千砂都 「はい、ワンツースリーフォーワンツースリーフォー」パンパンパンパン
すみれ「とっ、とっ、ほっ」
千砂都 「すみれちゃん、ちょっとテンポ走り気味だよー。もう少し抑えて」
すみれ「ん、りょーかい。…さすがよく見てるわね」
千砂都 「あ、それとかのんちゃん。今の所の振り付けなんだけど、もう少し動きを大きくこう─」
かのん「ふむふむ…」 きな子「……」ボーッ
きな子(赤点……人生で初めて取っちゃった…)
きな子(小学校の時からフツーに授業を聞いて、人より多くも少なくもない量の勉強をして、良くも悪くもない成績を収めてきたのに…)
きな子(嗚呼──このままいけば補修? 追試? 留年? 退学?)
きな子(お母さん、お父さん、親不孝者のきな子を許して下さい…) 千砂都 「!? きな子ちゃん!!」
きな子「え!?」
ドンッ! きな子「わっ!?」
可可「哎哟!」
千砂都 「わわっ、ストップ! 一旦ストップ!」
かのん「二人とも、大丈夫!?」
きな子「ご、ごごご、ごめんなさい! きな子がぼーっとしてたから……可可先輩!」
可可「ククはへーきデス。きな子の方こそケガしてないデスか?」
きな子「は、はいっす」 すみれ「もう、ビックリさせないでよね」
恋「千砂都さん、一度休憩にしませんか?」
千砂都 「じゃあ10分休憩にしよっか。そのあと筋トレとランニングと精神統一と遠泳と─」
かのん「ち、ちぃちゃん? どこを泳ぐ気?」 きな子「……」ハァ…
可可「? きな子、やっぱりどこか痛むデスか?」
きな子「! あ、いえ! 大丈夫っす!」
きな子「あ、教室に飲み物忘れてきたっす! ちょっと取りに行ってきます!」ダッ
可可「あ…」 かのん「……きな子ちゃん、なんか元気なさそう?」
恋「ええ、私にもそのように見えました」
千砂都 「うん。今日の練習中、イマイチ集中しきれてなかったね」
すみれ「そうなの?」
千砂都 「考え事に気を取られてるっていうのかな…そんな感じ」
すみれ「練習にはついてこれるようになってきたトコロよね。何か悩み事、とか?」
可可「……」フム… バシャバシャバシャ!
きな子「…プハッ!」
きな子「もう! こんなんじゃダメっす!」ブンブン
きな子「せっかく先輩達の練習についていけるようになってきたのに!」
きな子「勉強の事に気を取られて練習で失敗するなんて!」
きな子「しっかりするっす、桜小路きな子!」 きな子「……」
きな子「……とは言うものの」
きな子(赤点を取った理由は)
きな子(先輩達に追いつこうって、朝早くからランニングしたり、夜遅くまでステップの確認をしたり─)
きな子(今まで勉強にあててた時間を、Liella!の一員になるために使ったから…)
きな子(……でも、自主練の時間を減らして勉強にあてれば、先輩達との実力差は離れるばっかり) きな子「……って、何考えてるっすか!」ブンブン
きな子(それじゃあ赤点をLiella!のせいにしてるみたいっす!)
きな子「赤点なんて、きな子がしっかりすればいいだけの話!」
きな子「練習をしっかりこなした上で、勉強もバッチリ頑張る! これだけっ!」
きな子「よーし、きな子はやるっすよ〜!」オー
可可「……」コソッ ──翌週
キーンコーンカーンコーン
「はい。まずはテストの返却から始めます」
きな子「……!」
ハイ、オニヅカサン。ウン…ガンバリナサイ
ドウガヘンシュウガンバリスギマシタノ…
きな子(……)ゴクリ… 「桜小路さん」
きな子「は……はい!」ガタッ
「……」
きな子「せ、先生?」
「……悩み事とかあるなら、いつでも相談してね?」スッ
きな子「えっ」
きな子「……」チラッ
きな子「!?!?!?!?」 ──放課後
きな子「……」ズーーーン…
かのん(く、空気が重い……!)
恋(きな子さんの周りだけ黒雲に覆われているようです……!)
すみれ(何なのよったら何なのよ……!) きな子「……すいません、千砂都先輩」
千砂都 「うん?」
きな子「今日は練習、お休みさせて欲しいっす…」
千砂都 「そっか、調子悪そうだもんね。うん、お大事に」
きな子「すいません、ありがとうございます…」
きな子「じゃあ皆さん、お疲れさまです…」
ガラッ
ピシャッ すみれ「ちょっと! 一体あの子に何があったのよ!?」
かのん「わ、分かんないよ! 落ち込んでるのだけは分かるけど!」
恋「理由を聞こうにも、あまりにも深刻そうですし…そっとしておいた方がいいんでしょうか」
千砂都 「うーん、ダンスの悩みなら力になれると思うんだけど」
可可「ふっふっふ」
可可「きな子の事はククに任せるデス!」 すみれ「? なに、アンタ事情知ってるの?」
可可「当然デス。すみれの節穴で見抜けないこともククには分かりマス」
すみれ「あぁん!?」
かのん「すみれちゃんストップストップ。可可ちゃん、ホントに事情知ってるの?」
可可「はい。きな子がこの前独り言言ってるの聞いてたデス」
すみれ「ただの盗み聞きじゃないのよ!」 恋「では、きな子さんの事は可可さんにお任せしましょうか」
千砂都 「うん、先輩が一度に押しかけても萎縮しちゃうかもしれないしね」
可可「お任せあれデス! 泥舟に乗ったつもりで!」
すみれ「大船に乗せなさいよ!」
かのん「あ、あはは。よろしくね可可ちゃん」 きな子「……」ドヨーン…
きな子「ダメだったっす…」ボソッ
きな子「テスト受けてる時からダメな感じはしてたっすけど…まさか─」
『桜小路きな子 6点』
きな子「1ケタとは思わなかったっす…」 きな子「嗚呼……今度こそ終わったっす…」
きな子「補修…追試…留年…退学…」ブツブツ
きな子「逮捕…裁判…懲役…前科…」ブツブツ
きな子「お父さん、お母さん、先立つ不幸をお許しくださいっす…」ウゥ…
可可「全くもう、なーにを訳の分からない事言ってるデスか」
きな子「!? 可可先輩…」 可可「やっぱり落ち込んでるのはテストの点数のことデシタか」
きな子「! 聞いてたっすか…」
可可「先週の時はまだ様子見しようと思ってマシタが、その分だともっとヒドイ点数を取ったみたいデスね」
きな子「……はい」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています