きな子「あ、赤点!?」
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
キーンコーンカーンコーン
「授業を始める前に、この前の小テストを返却します」
きな子「!!」
ハイ、オニヅカサン。モウチョットガンバリナサイ
アリエマセンノ〜!
きな子(こ、この前の…小テスト…)ドキドキドキドキ 「桜小路さん」
きな子「は、はいっs……はい!」
「……」
きな子「せ、先生?」
「……うん。次、頑張ろう」スッ
きな子「えっ」
きな子「……」チラッ
きな子「!?」
きな子(あ、赤点!?) ──放課後
千砂都 「はい、ワンツースリーフォーワンツースリーフォー」パンパンパンパン
すみれ「とっ、とっ、ほっ」
千砂都 「すみれちゃん、ちょっとテンポ走り気味だよー。もう少し抑えて」
すみれ「ん、りょーかい。…さすがよく見てるわね」
千砂都 「あ、それとかのんちゃん。今の所の振り付けなんだけど、もう少し動きを大きくこう─」
かのん「ふむふむ…」 きな子「……」ボーッ
きな子(赤点……人生で初めて取っちゃった…)
きな子(小学校の時からフツーに授業を聞いて、人より多くも少なくもない量の勉強をして、良くも悪くもない成績を収めてきたのに…)
きな子(嗚呼──このままいけば補修? 追試? 留年? 退学?)
きな子(お母さん、お父さん、親不孝者のきな子を許して下さい…) 千砂都 「!? きな子ちゃん!!」
きな子「え!?」
ドンッ! きな子「わっ!?」
可可「哎哟!」
千砂都 「わわっ、ストップ! 一旦ストップ!」
かのん「二人とも、大丈夫!?」
きな子「ご、ごごご、ごめんなさい! きな子がぼーっとしてたから……可可先輩!」
可可「ククはへーきデス。きな子の方こそケガしてないデスか?」
きな子「は、はいっす」 すみれ「もう、ビックリさせないでよね」
恋「千砂都さん、一度休憩にしませんか?」
千砂都 「じゃあ10分休憩にしよっか。そのあと筋トレとランニングと精神統一と遠泳と─」
かのん「ち、ちぃちゃん? どこを泳ぐ気?」 きな子「……」ハァ…
可可「? きな子、やっぱりどこか痛むデスか?」
きな子「! あ、いえ! 大丈夫っす!」
きな子「あ、教室に飲み物忘れてきたっす! ちょっと取りに行ってきます!」ダッ
可可「あ…」 かのん「……きな子ちゃん、なんか元気なさそう?」
恋「ええ、私にもそのように見えました」
千砂都 「うん。今日の練習中、イマイチ集中しきれてなかったね」
すみれ「そうなの?」
千砂都 「考え事に気を取られてるっていうのかな…そんな感じ」
すみれ「練習にはついてこれるようになってきたトコロよね。何か悩み事、とか?」
可可「……」フム… バシャバシャバシャ!
きな子「…プハッ!」
きな子「もう! こんなんじゃダメっす!」ブンブン
きな子「せっかく先輩達の練習についていけるようになってきたのに!」
きな子「勉強の事に気を取られて練習で失敗するなんて!」
きな子「しっかりするっす、桜小路きな子!」 きな子「……」
きな子「……とは言うものの」
きな子(赤点を取った理由は)
きな子(先輩達に追いつこうって、朝早くからランニングしたり、夜遅くまでステップの確認をしたり─)
きな子(今まで勉強にあててた時間を、Liella!の一員になるために使ったから…)
きな子(……でも、自主練の時間を減らして勉強にあてれば、先輩達との実力差は離れるばっかり) きな子「……って、何考えてるっすか!」ブンブン
きな子(それじゃあ赤点をLiella!のせいにしてるみたいっす!)
きな子「赤点なんて、きな子がしっかりすればいいだけの話!」
きな子「練習をしっかりこなした上で、勉強もバッチリ頑張る! これだけっ!」
きな子「よーし、きな子はやるっすよ〜!」オー
可可「……」コソッ ──翌週
キーンコーンカーンコーン
「はい。まずはテストの返却から始めます」
きな子「……!」
ハイ、オニヅカサン。ウン…ガンバリナサイ
ドウガヘンシュウガンバリスギマシタノ…
きな子(……)ゴクリ… 「桜小路さん」
きな子「は……はい!」ガタッ
「……」
きな子「せ、先生?」
「……悩み事とかあるなら、いつでも相談してね?」スッ
きな子「えっ」
きな子「……」チラッ
きな子「!?!?!?!?」 ──放課後
きな子「……」ズーーーン…
かのん(く、空気が重い……!)
恋(きな子さんの周りだけ黒雲に覆われているようです……!)
すみれ(何なのよったら何なのよ……!) きな子「……すいません、千砂都先輩」
千砂都 「うん?」
きな子「今日は練習、お休みさせて欲しいっす…」
千砂都 「そっか、調子悪そうだもんね。うん、お大事に」
きな子「すいません、ありがとうございます…」
きな子「じゃあ皆さん、お疲れさまです…」
ガラッ
ピシャッ すみれ「ちょっと! 一体あの子に何があったのよ!?」
かのん「わ、分かんないよ! 落ち込んでるのだけは分かるけど!」
恋「理由を聞こうにも、あまりにも深刻そうですし…そっとしておいた方がいいんでしょうか」
千砂都 「うーん、ダンスの悩みなら力になれると思うんだけど」
可可「ふっふっふ」
可可「きな子の事はククに任せるデス!」 すみれ「? なに、アンタ事情知ってるの?」
可可「当然デス。すみれの節穴で見抜けないこともククには分かりマス」
すみれ「あぁん!?」
かのん「すみれちゃんストップストップ。可可ちゃん、ホントに事情知ってるの?」
可可「はい。きな子がこの前独り言言ってるの聞いてたデス」
すみれ「ただの盗み聞きじゃないのよ!」 恋「では、きな子さんの事は可可さんにお任せしましょうか」
千砂都 「うん、先輩が一度に押しかけても萎縮しちゃうかもしれないしね」
可可「お任せあれデス! 泥舟に乗ったつもりで!」
すみれ「大船に乗せなさいよ!」
かのん「あ、あはは。よろしくね可可ちゃん」 きな子「……」ドヨーン…
きな子「ダメだったっす…」ボソッ
きな子「テスト受けてる時からダメな感じはしてたっすけど…まさか─」
『桜小路きな子 6点』
きな子「1ケタとは思わなかったっす…」 きな子「嗚呼……今度こそ終わったっす…」
きな子「補修…追試…留年…退学…」ブツブツ
きな子「逮捕…裁判…懲役…前科…」ブツブツ
きな子「お父さん、お母さん、先立つ不幸をお許しくださいっす…」ウゥ…
可可「全くもう、なーにを訳の分からない事言ってるデスか」
きな子「!? 可可先輩…」 可可「やっぱり落ち込んでるのはテストの点数のことデシタか」
きな子「! 聞いてたっすか…」
可可「先週の時はまだ様子見しようと思ってマシタが、その分だともっとヒドイ点数を取ったみたいデスね」
きな子「……はい」 きな子「きな子が一番練習頑張らなくちゃいけないのに」
きな子「こんな事が原因で落ち込んで、練習お休みしちゃって…」
きな子「本当にごめんなさいっす」
可可「……」
ムギュッ
きな子「ふぐっ!?」 可可「えいっ、えいっ」ムギュギュギュ
きな子「ふ、ふぅふぅへんはい!? ほ、ほっへひっはらないへほひいっす〜!」
可可「お仕置きデス。おもちみたいにもちもちにしてやるデス」ムギュギュギュ
きな子「か、かんべんしてくださいっす〜!」 ──
きな子「うぅ、ホントにごめんなさいっす…」ヒリヒリ
可可「きな子、ククが何に怒ってるか分かりマスか?」
きな子「え…練習休んだことじゃないんすか?」
可可「もう! 違いマス!」
可可「誰にも相談しないで、自分一人で何とかしようと背負い込んでたからデス!」
きな子「!」 可可「何のためのグループで、何のための先輩で、何のための仲間デスか?」
可可「おたがいが困った時に助け合うためではないんデスか?」
きな子「……」
可可「ククも他の皆も、きな子の事は大事な後輩だと思ってマス」
可可「だからこそ──困ってる時にはちゃんと相談しなさい!」
可可「……デス」 きな子「……でも、先輩達にご迷惑がかかるっす」
可可「またほっぺムギュムギュするデスよ?」
きな子「ひぃっ!?」
可可「きな子は遠慮しすぎデス。すみれみたいにもっと図々しさを学ぶべきデス」
きな子「すみれ先輩が聞いたら怒りそうっす…」
可可「とにかくっ」
可可「勉強の悩みなら、ククに任せるデス!」 きな子「えぇっ!?」
可可「何を驚いてるデスカ。ククがきっちり教えマスから、安心するといいデス」
きな子「そんなの可可先輩に申し訳な…」ハッ
可可「…」ジトーッ
きな子(これ、断ったらほっぺムギュムギュされるやつ…!) 可可「きな子、ククに言うべき言葉、分かりマスネ?」ニコッ
きな子「うー……」
きな子「よ、よろしく、お願いします?」
可可「ふふ、それでいいのデスヨ♪」 ──1年生の教室
アッヒャァァァァァァ!! ナゼココニクゥクゥサンガァァァァァァァ!?
メイ、カオガコワイ…
可可「そうと決まれば、さっそく始めるデスヨー!」オー
きな子「すいません、練習休んだ上にわざわざ1年生の教室まで来てもらって」 可可「むー!?…きな子、勉強を教える前に一つ言っておくデス」
きな子「は、はいっす」
可可「次から『すいません』と言う度にほっぺムギュムギュの刑デス」
きな子「えー!?」 可可「えーではありマセン! さっき遠慮しすぎって言ったばっかりデス!」プンスカ
きな子「でも可可先輩に時間割いて貰ってるのは事実ですし…」
可可「ククがいいって言ってるんだからいいんデス!」ムギュッ
きな子「!? ま、まだすいませんって言ってないっす〜!」
可可「今言ったデス!」ムギュギュギュ
きな子「そんな〜!」 ──
可可「さてと。じゃあそろそろ勉強始めるデス」
きな子「うぅ…はいっす」
可可「前のテストは何の教科だったデスカ?」
きな子「数学っす。元々あんまり得意でもなかったんすけど…」
可可「フムフム。……問1は3x、問2は2y、問3はwxyデスネ」
きな子「!?…ぜ、全問正解…!」 きな子「可可先輩スゴイっす! 途中の計算式も書かずに解いちゃうなんて!」
可可「ふっふ、言った通りデショ? 勉強のことならククにお任せデス!」
きな子「どういう風に解くのか教えて欲しいっす!」
可可「もちろん、まず問1は─この数字をモギュッとして」
きな子「?」 可可「するとこの数式がチュンチュンてなるので」
可可「あとはここをハラショーすれば──」
可可「問1の答えは3xになりマス!」ドヤァッ
きな子「……」
きな子「……?」
きな子「と、問2は?」 可可「問2はもっと簡単デス。まずはこの図形をヨーソローして」
可可「するとここの角度がハグッ、こっちがピギィッ、ここがシャイニー度」
可可「──で、問2の答えは2yになるという訳デス」ドヤァッ
きな子「……」
きな子「……??」
きな子「?……??」
きな子「と、問3は?」 可可「問3なんて説明要らないくらいデス」
可可「まぁざっくり説明するとこんな感じで─」カキカキカキ
『トキメキ×スヤピ÷ボーノ/スカーレットストーム+リナチャンボード-カスカス=ᶘイ^⇁^ナ川』
可可「なんやかんやで最終的な答えはwxyになりマス」ドヤァッ
きな子「…………」
きな子「?????????」 可可「ふふ、分からない部分があったら何でも聞くといいデス」ドヤァッ
きな子「……」
可可「まぁ、今のプァーフェクトな説明で分からない部分なんてないと思いマスが」ドヤァッ
きなこ「……」
可可「?」ドヤァッ
きな子(可可先輩……)
きな子(感覚派すぎるっす……!!) 「長門有希ちゃん」がこのタイプだったな
数学、だったと思う、が得意過ぎて説明が日本語になってない奴 このスレでの更新は今ので最後で後日別のスレで~とかそんな感じ? 可可「……きな子、まさか分からないデスカ?」
きな子「え!?」ギクッ
可可「…」ジーッ
きな子「わ、分かるっす! 可可先輩の教え方すごく分かりやすいっす!」ダラダラ
可可「ふふ、そうデショウそうデショウ! では、さっそく解いてみまショウ!」
きな子「!!」
可可「?」
きな子「……すいません嘘ついたっす! 正直全然分からなかっす!」
可可「!?」ガーン 可可「そんな…そんなバカなことが…」ワナワナ
可可「で、では問4デス! これは……コットンをキャンディしてエイエイオーすれば…」カリカリカリ…
可可「で、なんやかんや答えはこのようになりマス!」バン
きな子「……🌝」
可可「こ、これも分からないと言うのデスカ…」
きな子「本当にすいません…」
可可「……」 ムギュッ
きな子「ふぇ!?」
可可「言ったはずデス。すいませんと言ったらほっぺムギュムギュの刑だと」ムギュ~
きな子「ふ、ふぇぇ…」
可可「きな子が謝る必要なんてどこにもありマセン。これはククの教え方の問題デス」
可可「……うん。決めマシタ!」
きな子「?」 可可「今日からきな子の家に泊まり込みマス!」
きな子「え」
きな子「……えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!?」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています