四季「差し入れ日和」
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
科学室――
メイ「差し入れ?」
四季「うん、恋先輩がくれた。家にあったものだから、遠慮なくどうぞって」
メイ「ってことは高級品だろ。いいのか、私が貰っても」
四季「2個くれたから大丈夫。きっとメイの分」 メイ「そういうことなら、ありがたくご馳走になろうかな」
四季「お湯も沸かしてある。お茶でいい?」
メイ「ああ。便利だよな、科学室って。火を使うのに困らない。でもこれ、部室の私的な利用ってやつにならないのか?」
四季「お茶も立派な科学。問題はない」 メイ「よく言うよ、ほんと」
四季「ちゃんと記録を取ってレポートにしてる。れっきとした愛好会の活動」
メイ「ええ、マジかよ」
四季「書類は上手く書いたもの勝ち」 メイ「しっかりしてるって言うか、ちゃっかりしてるって言うか」
四季「流石に経費には計上してない。心配は不要」
メイ「ならいいか。それにしても、ふふっ」
四季「どうかした?」 メイ「いや、なんか似合ってるからさ。標本や化学式に囲まれて、白衣でお茶入れてる姿が」
四季「そう?」
メイ「ああ、妙に絵になってる。お茶の淹れ方が上手だし、家庭的だよな、四季って」
四季「…」 メイ「あれ、どうかしたか?」
四季「なんでもない」
メイ「なら、どうして急にそっぽ向いてんだ」
四季「作業に集中してるだけ。こっち見ないで」 メイ「さては、褒められたからって照れてるな」
四季「…っ」
メイ「えーっと、あの鏡のやつはどこにあったかな」
四季「手元が狂うからやめて」 メイ「恥ずかしがることないのに」
四季「からかうなら、メイにはお茶淹れてあげない」
メイ「良いって言ってるだけなんだけどなー」
四季「メイっ」 メイ「はいはい、この辺にしとくよ」
四季「もう…」
メイ「それより、お茶はやくー」
四季「足ぶらぶらしないの。はい、どうぞ」 メイ「お、待ってました」
四季「お茶とどら焼き、人生を楽しむ準備は整った」
メイ「大袈裟な言い回しだな。気に入った」
四季「早速食べよう」 メイ「おう、いただきまーす」
四季「いただきます」
メイ「あむっ…おい四季、大変だ」
四季「どうしたの」 メイ「このどら焼き、餡子が全部栗になってる!」
四季「あむっ…本当だ、栗餡がぎっしり」
メイ「栗餡って言うのか。栗どら焼きって言うから、ごろっとした栗が入ってるものかと思ってたけど、こういうタイプもあるんだな」
四季「すごく美味しい。栗の優しい風味と濃厚な甘さが口の中いっぱいに広がる。まさに逸品」 メイ「コメント上手だな、さらに美味しく感じるよ」
四季「やはり、和菓子と言えば栗どら焼き」
メイ「美味しいけど、代表格扱いするにはマイナーじゃないか」
四季「そんなことない。思うに、栗はすごい。そのまま食べても美味しいし、和菓子にも洋菓子にも使える」 メイ「まあ確かに。お茶とかもあるよな」
四季「栗拾いも楽しいし、猿かに合戦でも大活躍。場所を選ばぬ無双ぶり、まさにパーフェクト」
メイ「目の付け所が独特すぎだろ。んん、お茶も美味しい」
四季「茶葉はすみれ先輩からのお裾分け」 メイ「これまた先輩の御用達か」
四季「お茶好きが選んだこだわりの茶葉、物の良さに間違いはないし、甘いものとの相性は抜群」
メイ「なるほどな、美味いわけだよ。四季の淹れ方もいいしな」
四季「…今日のメイはやけに褒めてくれる」 メイ「え、そうかな」
四季「そう」
メイ「そっか。まあ、これでもご機嫌なんだよ」
四季「どうして?」 メイ「さぁな。四季の言葉を借りれば、人生を楽しんでるからってとこじゃないかな」
四季「あ…」
メイ「だろ?」
四季「…ふふっ、ミートゥー」 ……………………………………
四季「ご馳走様。とても美味だった」
メイ「ごちそうさま。本当に美味かったなぁ、お茶もどら焼きも最高だった」
四季「一味違う、贅沢なひととき」
メイ「満喫したよ。さーて、そろそろ行こっかな。誘ってくれてありがとな」 四季「こちらこそ、楽しかった」
メイ「またそのうちお茶しに、じゃなかった、科学愛好しに来るよ」
四季「うん、待ってる」
メイ「へへっ、じゃあな!」 ……………………………………
数日後、四季の部屋――
四季(練習がない休日って久々な気がする。久々すぎて、何をしようか迷ってしまうくらい、Liella!やスクールアイドルが今の私の生活の多くを占めている。科学室や教室で一人静かに過ごしていたころが、遠い昔のことのよう)
四季(それだけに、今日は何をすればいいか…そうだ、たまにはキャンプ用品でも見に行こう。キャンプする機会は少なくなったけど、実際に用品を手に取って、あれこれイメージを膨らませるのは、休日の過ごし方として悪くない。よし、早速準備をして――)
〜♪ 四季「電話…メイから?」
ピッ
四季「もしもし。うん、大丈夫。家にいる」
四季「これからメイの家に?わかった。すぐに行く」 ――――――――
メイの部屋――
四季「わ…」
メイ「おまちどお様。って言っても、そんなに大したものじゃないけど」
四季「モンブラン。どうしたの、これ」」
メイ「ただの気まぐれだよ。さっきコンビニに寄ったんだけど、有名パティシェとコラボとかやってて、ふと気になってさ」
四季「うん」 メイ「たまにはいいなと思って手に取ったんだけど、なんか気付いたら2個買ってた」
四季「それが誘ってくれた理由?」
メイ「この前、どら焼きご馳走になったしな」
四季「嬉しい」 メイ「えへへっ。さ、人生を楽しむ準備は整った。食べようぜ」
四季「うん。ねえ、メイ」
メイ「ん?」
四季「お願いがある。栗、貰いたい」 メイ「仕方ねーな。ほら、あ、あーん…」
四季「あーむっ」
メイ「どうだ?」
四季「ふふっ、至福」
メイ「そりゃなにより。四季って本当に栗が好きだよな」
四季「それはもう。一番美味しいところだから」
終わり ありがとうございました。科学室でお茶する四季メイでした。
宣伝となり恐縮ですが、下記は四季メイの過去作です。よろしければ併せてお願いします。
四季「可愛いところを目一杯」
https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1660973648/
ありがとうございました。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています