サヤ「おじょーさまー。今日のごはんはなんですか?」恋「今夜は鯖の煮付けです」
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サヤ「えー。昨日も鯖だったじゃないですかー」
恋「昨日は焼き鯖だったでしょう。鯖は安くて美味しくて栄養満点なんですよ」
サヤ「え~。学校も上手くいってるし旦那様からの仕送りもあるんですよね?」
サヤ「すこしは豪勢に行きましょうよ~」
恋「ダメです。少し軌道に乗ったくらいで気を緩めてはいけません。質素倹約は大切です」
恋「ちなみに明日は鯖の竜田揚げですよ♪」 サヤ「えぇ~っ! お肉食べたいですお肉~」
恋「文句があるなら食べなくて良いのですよ」
サヤ「わ、ヤダヤダ! 食べたいです!」
恋「まったく……暇なら貴女も何か手伝って下さい」
サヤ「……良いんですか? 私が料理しても?」
恋「……チビのごはんの用意でもしてて下さい」
サヤ「はーい」 サヤ「チビ~。ごはんの時間だよ~」
チビ「わう!」
サヤ「今日はどのごはんがいい?」
チビ「わふぅ」
サヤ「これか。ちょっとまってて」
チビ「わふ!」 カラカラカラ
サヤ「よし、準備オッケー」
チビ「はっはっはっ」
サヤ「チビ。stay」
チビ「……っ」ピタッ
サヤ「sit」
チビ「……」スッ
サヤ「ok」
チビ「はぐっ、はぐっ」カリカリポリポリバクバク
サヤ「美味しそうに食べるねぇ。そんなに美味しいのかな? そう言えばこのごはんっ
てどれも1kg2000円以上するんだっけ。こっちは一尾200円の特売の鯖だってのに
こやつは……」
チビ「わふ?」
恋「サヤさーん! 食事の用意できましたよー!」
サヤ「やった! ごはんだ! それじゃあチビ。また後でね!」 サヤ「わ~美味しそ~」
恋「さっきまで文句を言っていたくせに」
サヤ「それはそれ。お嬢様の作るごはんはどれもとっても美味しいんですもん!」
恋「まったく……調子が良いのですから。ほら早く席について下さい」
サヤ「はーい」
恋「それでは」
恋、サヤ「いただきます」 サヤ「お嬢様それ取ってください」
恋「はいどうぞ」
サヤ「ありがとうございます」
恋「あんまりマヨネーズを摂りすぎると身体に悪いですよ」
サヤ「大丈夫ですよ。まだ若いから」
恋「……最近ちょっとふっくらしてきたんじゃありません?」
サヤ「や、やだなぁそんな事ないですよ!」
恋「いま体重どれくらいなんです?」
サヤ「じょ、女性に体重を聞くなんて失礼ですよお嬢様!」
サヤ「まったく非常識なんですからお嬢様は」
恋「…………」イラッ 恋、サヤ「ごちそうさまでした」
サヤ「あー美味しかった~」
恋「そうですか。ふふ」
サヤ「それじゃあ食後の紅茶を淹れますね!」
恋「はいお願いします」 サヤ「どうぞ、お嬢様」
恋「はい、いただきます」
くぴっ
サヤ「どうですか~お嬢様~」
恋「ええ、とっても美味しいですよ」
サヤ「へへへ~」
恋「そう言えば明日は……」
サヤ「ああ! 部活の方々がいらっしゃるんですよね」
恋「はい……それで」
サヤ「大丈夫です! ばっちりメイクしておきます!」
恋「いや、普通でいいです」 サヤ「美容院にも行っといた方がいいかな? 予約なくても大丈夫かな?」
恋「だから普通で良いですって」
サヤ「でも衣装の製作とかもするんですよね? ちゃんと着こなせる様に準備しとか
ないと」
恋「なんで貴女が着るつもりなんですか?」
サヤ「動画配信もするんですよね? あードキドキしちゃうなー」
恋「動画配信はしないし、しても貴女の出番はありません!」
サヤ「ちゃんと自己紹介の練習しとかなきゃ」
恋「話を聞きなさい!」 恋「は~まったくもう。貴女と言う人は……」
恋「いいですか! 明日は私の後輩が初めて家にくるのです! そこで貴女が奇行をさ
らせば先輩として、そして生徒会長としての私の沽券に関わります!」
サヤ「え~、そんな見栄を張ってもしかたないですよ~。自然体の方が絶対いいです
って。どーせきっと後輩ちゃんたちにもお嬢様が意外とポンコツな所があるって
事もとっくにバレて……」
恋「サヤさん……?」ギロッ
サヤ「ひゃい……なんでもないです……」
恋「コホン。とにかく普通にしておいてくれれば良いんです普通に」
サヤ「はーい」
サヤ「あ、そうだ。クッキーでも焼いておきましょうか?」
恋「それだけは絶対やめて下さい」
サヤ「じょ、冗談ですよぅお嬢様……ヤダ目が怖いです」 恋「紅茶ごちそうさまでした」
サヤ「はい。じゃあ後片付けはやっておきますから。お嬢様は先にお風呂に入って下
さい」
恋「はい。ではお言葉に甘えて……お願いしますね」
サヤ「はーい」 サヤ「ふんふんふ~ん」
サヤ「よし、洗い物終了!」
サヤ「……なんか甘いもの食べたいな」
サヤ「冷蔵庫になんかないかな……デザート」
ガサゴソ
サヤ「あ! 冷凍庫にいちごアイス発見!」
サヤ「……これお嬢様のだよね。食べたら怒るよね」
サヤ「…………」 恋「ふぅ……良いお湯でした」
恋「さてと……お風呂上がりの楽しみに取っておいたアイスを早速♪」
恋「…………」ガサゴソ
恋「あ、あれ……?」ガサゴソ
恋「…………」ガサゴソ
恋「…………」ゴミバコチラッ
恋「…………」
恋「サーーーヤーーー!!!」 翌朝ちゅんなぁ(・8・)
サヤ「い、いってらっしゃいませお嬢様……」
恋「…………」
サヤ「あ、あの……」
恋「…………」ギロ
サヤ「ひ、ひいぃ……」
チビ「わふぅ…」
サヤ「そ、そろそろ機嫌直して下さいよぉ~。ほ、ほら! チビも怯えてますよ!」
恋「…………」
サヤ「今日いちごアイス買っておきますからぁ~」
恋「当然ですっ!」 サヤ「そ、そうだ! 苺のケーキも買ってきますから! もちろん私のお金で!?部活
の皆さんにお出しする分も! ね! ね!?」
恋「……分かりました。じゃあそれでお願いします」
サヤ「はい! 任せてください!」
恋「では行ってきます」
サヤ「いってらっしゃ~~い」
チビ「わふぅ!」
恋「…………ケーキ。いちごのケーキ。ふふ♪」 昼前
サヤ「よーし、トイレ掃除終わり! ピッカピカになったぞー!」
サヤ「廊下も埃ひとつなし! リビングも玄関も完璧! これで安心してお客様をお迎
え出来るね!」
サヤ「掃除だけは昔から得意なんだよねー。いや~いい仕事したなー」
サヤ「おっと、もうこんな時間か。そろそろお昼ごはんにしようかな~」 サヤ「今日のお弁当はなんだろ」
サヤ「あ、やったー! タコさんウインナー入ってる!」
サヤ「あ、こっちは昨日の鯖の残りだ。お嬢様手抜きしたな。まあ美味しいからいいけど」
サヤ「あとはポテトサラダとブロッコリーか。彩りはまあまあかな」
サヤ「あ、朝ごはんの味噌汁まだ残ってだよね。あっためよ」
サヤ「よし! それじゃあいただきまーす」 サヤ「ごちそうさまでしたー」
サヤ「ふー、美味しかった~」
サヤ「さーて、食後の紅茶でも淹れますか~」
サヤ「ふんふふんふふ~ん♪」 サヤ「さて紅茶がはいりましたよ~」
サヤ「うーん、良い香り。さすが私!」
サヤ「テレビでも観ながら飲もうかな~」 サヤ「へぇ~こんな料理あるんだ~。いいな~美味しそうだな~。今度お嬢様に作っ
てもらおうかな~」
サヤ「……ってあれ? もうこんな時間か。のんびりしてたらお嬢様帰ってきちゃう
よね。そろそろケーキとアイス買いにいこ」 サヤ「お財布よし。カバンよし。チビの散歩セットよし」
サヤ「チビー! チビー、come!」
チビ「わふ!わふ!」ダダダダダ
サヤ「よしよし良い子だねチビ」
チビ「わふ!」
サヤ「これからお買い物に行くよ! ケーキ屋さんとコンビニ」
チビ「わう」
サヤ「まずはケーキ屋さんに行く。ほら何回か行ったから場所は分かるよね?」
チビ「わう」
サヤ「そんで帰る途中でコンビニ寄ってアイスを買う! アイスはうちの近くで買わな
いと溶けちゃうかもしれないからね。私ってば賢い!」
チビ「わふぅ」
サヤ「ケーキ屋さんはちょっと遠いからね。しっかり道案内よろしくね」
チビ「わん!」 ーーー
サヤ「よし、ケーキ屋さんに到着! 道案内ご苦労様チビ」
チビ「わん!」
サヤ「それじゃあご褒美あげないとね」
チビ「はっはっ」
サヤ「チビ。stay」
チビ「はっ」スッ
サヤ「sit」
チビ「……」スッ
サヤ「down」
チビ「……」スッ
サヤ「OK」
チビ「はっはっ」ガツガツ
サヤ「よしよし。良い子だねチビ。それじゃあ私はケーキ買ってくるからここでちょっ
と待っててね」
チビ「わう!」 店員「いらっしゃいませー」
サヤ(わぁ~美味しそうなケーキがたくさん)
サヤ(苺のケーキって言っても色々あるよな~)
サヤ(どれにしようかな~)
店員「お客様。良かったらこちらのケーキはいかがですか?」
サヤ「え?」
店員「本日からの期間限定商品。和栗のモンブランです」
サヤ(き、期間限定! 和栗のモンブラン! すごく美味しそう!) 店員「旬の栗をたっぷり使ったケーキです。おすすめですので是非!」
サヤ(旬の栗を……そうだよね秋と言えばやっぱり栗だよね! 数も……ちょうど10個
ある!)
サヤ「ではこちらのモンブランを全部いただけますか?」
店員「かしこまりました。少々お待ち下さい」 サヤ「チビ、おまたせ~」
チビ「わう」
サヤ「美味しそうな和栗のモンブランを買ったよ~。ちょうど今日からの販売だったん
だって! ラッキーだな~」
チビ「わふぅ!?」
サヤ「あ~食べるの楽しみだな~」
チビ「わ、わふ! わふ!」
サヤ「どーしたのチビ? あ、チビもモンブラン食べたいの? ダメだよ~チビに人間
のお菓子は身体に毒だから。そのかわり美味しいおやつあげるからね~」
チビ「わ、わふぅ……」
サヤ「じゃあ、お買い物も済んだし……おうちに帰ろっか!」
チビ「わふ!?」
サヤ「さあ、ほらほら。おうちまで案内して。早く帰らないとお嬢様たち来ちゃうよ」
チビ「わふぅ……」 帰り道、コンビニ前
サヤ「ふぅ……やっぱり10人分のケーキはけっこう重いなぁ」
サヤ「でもとっても美味しそうだったしね。これくらいは我慢がまん」
サヤ「あー早く帰ってモンブラン食べたいな~」
チビ「わ、わふ! わふ!」
サヤ「え、どうしたのチビ。そんなに引っ張って……コンビニ寄りたいの?」
チビ「わふ!」
サヤ「えー、なんでまた……今日は荷物が多いからまたこんど……あっ!」
チビ「わふぅ!」
サヤ「そうだ! 今日はあの雑誌の発売日だった!」
チビ「わふぅ!?」
サヤ「そっか、それを教えてくれたんだね! ありがとうチビ! それじゃあ買ってくる
からちょっと待っててねチビ!」
チビ「わふぅ……」 サヤ「ただいま~」
チビ「わふぅ……」
サヤ「どうしたのチビ? なんだか元気ないねぇ。疲れちゃった?」
チビ「わふぅ」
サヤ「ほらほら。道案内のご褒美あげるから元気だして」
チビ「わふ」
サヤ「少しお部屋で休んでな。私はお茶の準備とかしてくるね」
チビ「わふ」 メイ「こ、ここが恋先輩の家……」
きな子「きな子の実家のログハウスより大きいっす……」
四季「𝑮𝒓𝒆𝒂𝒕……」
夏美「ま、マニーですの……ビッグマニーの匂いがしますの……」
千砂都「あはは、すごいよねぇ」
かのん「私達も初めて来た時はびっくりしちゃった」
恋「そ、そんな見かけだけで大した事は……そんな事より早く入りましょう。どうぞこ
ちらへ……」 きな子「お、お邪魔しますっす……」
メイ「中もすげぇ……」
夏美「高級そうな家具がたくさんありますの……」
サヤ「おかえりなさいませお嬢様」
恋「はい。ただいま帰りました」
メイ「おい! メイドさんだぞ!」
四季「うん。本物のメイドさんなんて初めて見た」 サヤ「お友達の皆様もようこそおいで下さい
ました」
サヤ「さぁどうぞお上がり下さい」(完璧メイドスマイル)
恋(昨日、自然体がどうのこうの言ってたくせに……)
かのん「お邪魔します」
チビ「わん!」
かのん「あ、チビ! 久しぶりだね!」
チビ「わふん!」
きな子「わぁ! おっきいわんこっすね! チビちゃんって言うんすか?」
メイ「ひぃ!? なんだよあのでっかい犬……大丈夫か!? 食われないか!?」
四季「落ち着いてメイ。大丈夫、とてもおとなしそう」
きな子「いい子っすねーチビちゃん」ナデナデ
チビ「くぅん」 きな子「あれ? なんかちょっと元気がないっすね。なにか心配事がある様な……」
夏美「そんな事わかるんですの?」
きな子「はい。なんとなくっすけど……」
恋「まぁ。どうしたのでしょうね。サヤさん、なにか心当たりがありますか?」
サヤ「今日はすこし遠くまで散歩に行きましたのでちょっと疲れた様でしたね。でも
帰ってからしっかりオヤツも食べていましたし体調は大丈夫だと思いますよ」
恋「そうですか……」
きな子「もしかしたらきな子達が大勢でやってきて驚いちゃったのかも知れないっす
ね。ゴメンねチビちゃん」
チビ「わふぅん」 サヤ「チビの事は私がよく見ておきますから。あとはお任せ下さい。お嬢様達は大事
なご用事があるのでしょう?」
恋「そうですか……わかりましたサヤさん。それではわたくし達は部屋に行きますので
チビの事はお願いします」
サヤ「かしこまりました。では後ほどお茶とお菓子をお持ちしますね」
恋「はい。では皆さん。行きましょうか」
8人「はーい」 きな子「はぁ~。サヤさんってカッコいいっすね~」
かのん「だよねだよね」
千砂都「そうそう! 凛っ! としてて。クールで知的って言うか」
かのん「正に完璧なオトナの女性!って感じで! 憧れちゃうよね~」
恋「はは……」
恋(ほんと、外面だけは立派なんですよねぇあの人は)
恋「そ、そんな事より部屋に着きましたよ。どうぞお入り下さい」
千砂都「はーい。しつれーしまーす」 かのん「わぁ~やっぱり恋ちゃんのお部屋は広くて素敵だね」
レン「うわ! 天蓋付きのお姫様ベッド……しゅてき……」
夏美「どれもこれもお高そうな物だらけですの……」
すみれ「ここに荷物置いちゃっていい?」
恋「はい。上着はこちらにどうぞ」
きな子「これが恋先輩のミシンっか? すごいっす……立派なミシンっす……」
恋「そんな……母が使っていた物なので古い物ですし……そんな大した物じゃありませんよ」
可可「トンデモないデス!これならステキな衣装が作れそうデス!」 恋「それは良かったです。他にも色々道具は揃ってますし、生地等も少し
ですがいくつかありますのでご自由にお使い下さいね」
夏美「うわっ! この生地とか結構高いんじゃないんですの!? こんなのス
クールアイドルの衣装に使って良いいんですの!?」
恋「もちろんです。箪笥の肥やしにしておいてももったいないですし」
四季「他の道具も良いものがそろってる。恋先輩のお母さんもこれを使って衣装作りを
してたんですか?」
恋「ふふ、そうかも知れませんね」
可可「あの、ミナサン……スミマセン、皆さんに衣装作りのお手伝いをさせてしまっ
て……。衣装作りはククの仕事デスのに……」
すみれ「何言ってるのよ。大まかな所はもう貴女一人で作ってくれてるじゃない」
かのん「うんうん。私たちこそ可可ちゃんだけにここまでやってもらちゃって申し訳
ないくらいだよ」
千砂都「そうだよ。メンバーも増えて衣装作りの負担も増えてるんだし。仲間で力を
合わせるのは当たり前だよ」
メイ「わ、私もかわいい衣装を作るのは興味があったし……あんまり自信はないけど
一生懸命がんばります」
可可「ミナサン……ありがとうございマス」
恋「ふふ。それじゃあ間もなくサヤさんがお茶の用意を持ってきてくれるはずですか
ら。ひと休みしてから作業を始めましょうか」
かのん「うん!」 千砂都「……ねぇねぇかのんちゃん」
かのん「なぁにちぃちゃん?」
千砂都「恋ちゃんって今日は朝からなんだか凄く機嫌が良くない?」
かのん「そうかな?」
千砂都「うん。なんかずっとニコニコしてるし」
かのん「……そう言われればそうかも? みんなで衣装作りするのが楽しみだったと
か?」
恋(ケーキ♪ いちごのケーキ♡)ウキウキ コンコン
恋(来た! いちごのケーキ!)
恋「どうぞ」
サヤ「失礼いたします。お茶とお菓子をお持ちしました」
恋「ええ、ありがとう」
四季「わぁ。モンブラン」キラキラ
メイ「おお、四季の大好物だな。よかったな四季」
四季「うん」
可可「トッテモ美味しそうデス~」
恋「……え?」
恋「……………………え?」 サヤ「こちらはお店の方におすすめされた期間限定の商品なんですよ」
千砂都「へぇ~そうなんだ」
すみれ「見た目も可愛くてとっても素敵ね! 写真とっちゃお」
夏美「あ、私も撮りますの! これは映えそうですの~」
恋「あの……サヤさん?」
サヤ「はい?」
恋「アノ…………コレ…………」
サヤ「?」
恋「……………………」
サヤ「………………………………」
サヤ(あっ!!!) 恋「…………」獲物を狙う殺し屋の目
サヤ「……それでは私はこれで失礼いたします」完璧メイドスマイル
かのん「あ、はい。ありがとうございます」
サヤ「では……」
扉パタン
サヤ「やっちゃったよ~~~~~っ!!!!!」 サヤ「なんでモンブランなんて買ってんのわたし~!? 苺のケーキ買いに行ったんで
しょ~が~!!!」
サヤ「てかアイス買うのも忘れてた! さっきコンビニ寄った時になんで教えてくれな
かったのよチビぃ~~~!!!」
チビ「わふぅん……」
サヤ「あーどうしよ~~~! お嬢様めっちゃキレてたよ~!!! この
ままじゃクビだよ~~~!!!」
サヤ「どうする!? 今からケーキ買いに行くか!? で、でもお客様がいらっしゃる
時に勝手に家を空ける訳には……でもお嬢様に会うのも怖いし……あ~~~!!!」
サヤ「でもこのままじゃお嬢様に殺される! あぁ~~~!!!」 恋「……………………」ブスッ!ブスッ!
かのん(恋ちゃん……ひと針ひと針が何か憎しみをぶつける様に縫ってる……)ヒソヒソ
千砂都(さっきまであんなにご機嫌だったのに……どうしたんだろう……)ヒソヒソ
すみれ(あんな荒んだ目の恋……初めて見るわ……)ヒソヒソ
きな子(き、きな子気づかないうちに何かソソウをしちゃったっすかねぇ!!?)ヒソヒソ
メイ(私も……さっきチビの事ビビっちゃったから気分悪くしたんじゃ……)ヒソヒソ
四季(そんなことは無い……と思うけど……)ヒソヒソ
夏美(動画撮影の機会があるかもと思って準備してたけど……とてもそんな空気じゃな
いですの)
恋(あのバカメイド……よくも……よくも……)ブスッ!ブスッ! 千砂都(かのんちゃん……何か声かけてみてよ)ヒソヒソ
かのん(わ、私ぃ!? ムリムリ! 無理だよぅ! すみれちゃんお願い!)ヒソヒソ
すみれ(なぁんで私なのよ!?)ヒソヒソ
可可「あ、あの……レンレン?」
かのすみちぃ(可可(ちゃん)いったぁ!?)
恋「え?……あ……はい。なんでしょう?」
可可「やっぱり……ゴメイワクでしたか? 衣装作りのお手伝いをさせてしまって……」
恋「え? いえ、そんな事ありませんよ!?」
すみれ「でもアナタ凄い顔してるわよ? 殺し屋みたいな」
恋「え? あ、えぇ!?」
恋(わ、私ったらいったい……)
千砂都「一年生たちもみんな怯えてるよ……?」
きなメイ四季ナッツ「…………」ビクビク
恋「あ……」
恋(私ったら……たかがケーキの事でこんな……皆さんを困らせてしまうなんて……) 恋「あ、あの、大丈夫です! 迷惑なんて思ってません! ただ、その、針仕事をする
のが久しぶりだった物で少し緊張してしまって……」
千砂都「な、なぁんだそっか~」
かのん「だ、だよね~。私もお裁縫とか家庭科の授業くらいしかしなかったから結構緊
張しちゃって~。わかるな~」
可可「デモ……」
恋(あぁ……最悪です。こんな空気にしてしまって……) すみれ「そ、それにしても。さっきのケーキも美味しかったけど、紅茶もとっても美味
しかったわよねぇ」
かのん(すみれちゃんナイス! 話題を変えた!)
千砂都「だ、だよねぇ~! この前にお邪魔した時も思ったけどこの家で出てくる紅茶
って凄く美味しいよね~!」
かのん「うんうん! ウチのお店でも紅茶は扱ってるけどここの紅茶はなんだかレベル
が違うよ~。これってダージリンだよね?」
恋「ええ。ダージリンティーは私の好物でして」
かのん「そうなんだ! いやぁダージリンって一言で言ってもここまで美味しくはなか
なか淹れられないよ。これはサヤさんが淹れてるんだよね?」
恋「……えぇ」 数年前ーーー
花「恋。紅茶美味しい?」
恋「はい! とっても美味しいです!」
花「そう! 良かったわねサヤ」
サヤ「わーい、やったー!!!」
恋「え? どうしてサヤさんがよろこんでいるのですか?」
花「実はこの紅茶ね。サヤが淹れてくれたのよ」
恋「ええ!? サヤさんが!?」
サヤ「はい!」
恋「玉子焼きを作ると言っては黒炭を作ったサヤさんが!?」
サヤ「はい!」
恋「味噌汁を作ると言ってドブみたいな臭いを放ち、毒々しい色をした怪しい液体を作
ったあのサヤさんが!?」
サヤ「はい! このサヤがです!」
花「フフフ……あの時は家中を換気しても全然臭いが取れなくってまいったわね……」 恋「すごいですサヤさん……でもどうして」
花「サヤったらね。お料理で失敗ばかりして恋にガッカリされて……でも、せめて恋の
大好きな紅茶くらいは美味しく淹れられる様になって恋に喜んでもらいたいって。こ
この所必死で紅茶を淹れる練習してたのよ」
恋「サヤさんが私の為に……」
サヤ「えへへ……」
花「そう……本当に努力してたわ。何回も何回も失敗してとんでもないお
茶を淹れて……本当、よく頑張って根気よく教えたわ私……ふふふ……」
恋「ありがとうサヤさん」
サヤ「えへへ……お嬢様! 私もっともっと腕を磨いて! もっともーっと上手に紅茶
を淹れられる様になって!これから一生、お嬢様に美味しい紅茶を淹れて差し上
げますね!」
恋「はい」
ーーー サヤ「チビ! 私やっぱりアイスだけでも買ってくる! そこのコンビニまでさっと行
ってすぐに帰ってくれば……」
恋「お客様がいらっしゃるのにどこへ行こうとしているのですか?」
サヤ「お、お嬢様!?」 サヤ「お嬢様……あの、その、えっと……ごめんなさい! どうかクビだけは……」
恋「お客様が紅茶のおかわりを所望ですよ。貴女の淹れた美味しい紅茶を」
サヤ「え……」
恋「私も……もっと飲みたいです。サヤさんの淹れた紅茶」
恋「私の為に一生美味しい紅茶を淹れてくれるのでしょう?」
サヤ「……はい! 心を込めて最高の紅茶をご用意いたします!」
恋「ふふ、それじゃあお願いしますね」 それから数日後の休日ちゅんなぁ(・8・)
サヤ「おじょーさまー! お庭の掃除終わりましたー!」
恋「ご苦労様ですサヤさん。それじゃあお昼ご飯にしましょうか」
サヤ「わーい、やったー! もうお腹ぺこぺこですよ~」 サヤ「わわわ! どーしたんですかこれ!? お肉じゃないですかお肉!!!」
恋「さっき買い物に行った時にたまたまセールをやっていましたので。まぁ、たまには
少し贅沢をしてもいいかと」
サヤ「だからってお昼からステーキなんて! 贅沢すぎやしませんか!? もしかして
借金が膨らみすぎて学校が廃校に!? 最後の思い出に贅沢を!?」
恋「縁起でも無いこと言わないで下さい! ほら、馬鹿な事を言ってないで冷めないう
ちに食べますよ」
サヤ「はーい! おっにくーおっにくー♪」
恋「ほらチビも。たっぷりお食べなさい」
チビ「わふ!」 サヤ「ごちそーさまでした! あー美味しかった~。幸せだな~」
恋「まったく大袈裟ですね」
サヤ「お嬢様! 食後の紅茶はいかがですか! お肉でパワー満タンですからなん百
杯でも淹れちゃいますよ!!!」
恋「なん百杯もいりません! 一杯だけお願いします」
サヤ「はーい! 最高の一杯をご用意します!」 サヤ「お待たせしましたお嬢様!」
恋「ありがとうございます」
サヤ「今日はどの様に飲まれますか? ストレート? それともミルクをいれます?」
恋「そうですね……今日は久しぶりにジャムをいれてロシアンティーにしましょうか」
恋「以前作ったいちごジャム。とても美味しく出来たのでひとつだけ残して楽しみに
とっておいたんですよね~♪」
恋「たしかこの棚に……あれ?」 サヤ「……どーしましたお嬢様?」
恋「たしかにここにまだジャムがあったはず……サヤさん、ここにあったジャム知り
ませんか?」
サヤ「えー、ジャムですか~? 私は知らな……………………あ」
恋「あ?」 ー数日前ー
サヤ「ふぅ。お仕事ひと段落ついたな」
サヤ「ちょっと小腹が空いたな~。お嬢様が帰ってくるまでまだまだ時間あるしなにか
おやつになる物ないかな~」ゴソゴソ
サヤ「あ! いちごジャム発見! これでジャムトースト作ろ!」 チーン!
サヤ「焼けた焼けた! トーストくらいは私にも作れますからね~」
サヤ「ん~香ばしい良い匂い! これにジャムをたっぷりのせて~……」
サヤ「ん! うまい! 甘くて酸味もちょうど良くてサイコー!」
サヤ「……ジャムまだ余ってるな。よし、もう一枚焼いちゃおう!」
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー サヤ「…………」
恋「……サヤさん?」
サヤ「…………」メソラシ
恋「……サヤさん」
サヤ「…………」アトズサリ
恋「サーーーヤーーーーーっ!!!!!」
サヤ「ひぃ~~~、ごめんなさいゴメンナサイ!!! チビたすけて~~~!!!」
チビ「わふぅ……」
おしまい
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