歩夢(一秒が一分に感じるような、一秒が光の速さにも感じるような、不思議な感覚)

歩夢(そっと唇を侑ちゃんの手の甲から、離す。そして無造作に投げられていた手を、そっと侑ちゃんの胸に置く)

歩夢(ほんの少しの惜別。まだ、触れていたい。でも、侑ちゃんを起こさないと)

歩夢(ゆっくりと、ゆっくりと、侑ちゃんの肩を揺らす)

侑「ん……んんぅ……?」

歩夢「侑ちゃん──」

歩夢(言葉に、ありったけの想いを込めて──)

歩夢「おはよう、侑ちゃん」

歩夢(ゆっくりと体を起こし、二回、三回、瞬きする。そして私を見つけた侑ちゃんは目を細めながら微笑んで──)

侑「おはよ、歩夢」

歩夢(できれば、その言葉に、私と同じ気持ちが込められていますように──)