【SS】歩夢「侑ちゃんが誘拐された……!?」
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侑「何の文字列だろう?」
せつ菜「一人称複数所有格の、OURで良いのでしょうか?」
エマ「他の錨には?」
彼方「ん~、他にはないみたいだね~」
愛「じゃあ、これが暗号のヒント!?」
果林「そうなのかしら……不確かだけど、それ以外になさそうね」
果林「とりあえず、メモはしておきましょうか」
かすみ「よしっ! 一歩前進ですっ! しず子、りな子、ありがとう!」
しずく「いえいえ♪」
璃奈「璃奈ちゃんボード『やったね!』」
しずく「……もしかしたら、この暗号、三文ともこういう像のことを指してるのでは?」
侑「その線はあり得るかも! で、3つとも見れば、この『OUR』の謎も解けるとか」
かすみ「その線で調べましょう! とりあえず、手を洗いたいです……」
愛「りなりー、『台場 像』の跡にさっきの暗号の言葉をくっつけて調べてみて!」
璃奈「あいあいさー」 .
璃奈「えっと、暗号は……」ポチポチ
『①仏は敬愛の念に燃える
②問題解決のプロセス
③船乗りどもが夢の跡』
璃奈「ん~……」
璃奈「特に検索に引っかからない。台場に大仏の像があるって話は聞いたこと無いし」
せつ菜「確かに、私も聞いたことは無いですね」
彼方「彼方ちゃんも~」
果林「でも、この錨と鎖も初めはピンと来なかったし、私たちが知らないだけで地味な仏像があるのかもしれないわ」
歩夢「案外、観光に来てるお客さんの方が詳しかったりして……」
エマ「それはあり得るかも。私、スイスにいたころ、私よりスイスに詳しい外国人さんたくさん会ったことあるよ」
かすみ「なるほど……ちょっと、聞き込みしてみますか!」
愛「楽しそう! やろう!」
果林「……ふぅ、『OUR』か……」ボソッ .
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かすみ「だめでした……」
歩夢「やっぱり、誰もお台場の仏像は知らなかったね……」
愛「うーん、頑張ったんだけどなあ」
かすみ「愛先輩、ファンの子と写真撮ってサインあげてる時間長すぎです!」
愛「いやあ、頼まれたら断れないじゃん?」
エマ「みんなお台場の像は自由の女神くらいしか知らないって言うね」
彼方「あれが一番人気だもんね~」
果林「だめね、私も収穫なしだったわ」
エマ「あ、果林ちゃんトイレ長かったね」
果林「エマ、そういうことは人前では言わないものよ」
しずく「では一応、自由の女神も調べておきましょうか?」
果林「ん~……そうね。観光客に怪しまれない程度に、回りをぐるっと見てみましょう」 .
歩夢「そういえば、いまさらだけど、この自由の女神ってなんでお台場にあるのかな?」
せつ菜「良い質問ですね歩夢さん! デッキの上に説明文があるので、読むと詳しく書いてありますよ」
歩夢「そういえば、読んだことないかも」
侑「じゃあ一緒に見に行こうか!」
歩夢「うん!」
https://i.imgur.com/SRu0ftI.jpg
歩夢「……へえ、これ、ニューヨークの像をもとに日本で勝手に作ったものじゃなくて、」
歩夢「もとは日本とフランスの友好の証として、フランスから送られたものなんだね」
せつ菜「そうです! これも小学生のとき、自由研究で調べました!」
エマ「真面目な小学生だったんだね!」
しずく「……あ! すみません、関係ないかもしれないですけど」
かすみ「ん?」
しずく「フランスって……仏って書きますよね」 面白いが、果林さんが難しい日本語を使うのは不自然かな
ひらめきで推理してたとこは良かったけど .
果林「そうね、じゃあもしかしてあの暗号の仏は……」
愛「フランスのことで、自由の女神像が正解ってこと!?」
かすみ「おお~、嘘から出た実っていうんですかね!」
せつ菜「友好のしるしとして送られたので、『敬愛の念』なんですね!」
彼方「たしかに~」
璃奈「でも、『燃える』の部分が……」
愛「良いんじゃない? 右手にたいまつ持ってるし!」
璃奈「うーん……」
果林「いいえ。きっと惜しいけど、これじゃないわね」
侑「え……どうして?」
果林「これとコンセプトも名前も同じような像を知ってるわ、おそらくそっちよ」
愛「えっ! それ、どこにあるの!?」
果林「ここからでも見えてるわ。あれよ」 とりあえずアニメもまともに見てないんだろうなということがよくわかる .
エマ「……ど、どれ?」
果林「あれよ。あの金色の、細長いやつ」
せつ菜「あっ! 自由の炎像ですね!!」
かすみ「あれ、自由の炎像って言うんですか!?」
彼方「彼方ちゃんも、知らなかった~」
果林「ええ、たしかあれもフランスとの友好の証。しかも、炎の方が燃えるに合ってるわ」
愛「それだ! よし、行ってみよう!」
愛「かすかす! かけっこするよ!」ダッ
かすみ「ええ!? どんだけ元気なんですかあ~」
しずく「うふふ」
彼方「微笑ましいね~」 .
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かすみ「……はあ、はあ」
愛「遅いぞー?」
かすみ「勝てるわけがないじゃないですか……」
愛「説明文見ると確かにこれも日本とフランスの友好の証だけど、」
愛「この像、周りの芝生すら立ち入り禁止で、全然近づけないよ」
https://i.imgur.com/bM4aekd.jpg
かすみ「うーん、もしまた根元に小さく文字が刻まれてるんだとしたら、見つけるのは厳しいですね……」
愛「じゃあ、入っちゃう?」
しずく「だめですよ、たくさん人が見ているんですから」
愛「ありゃ、しずくに怒られちゃった」
かすみ「誰も見てなければ良いの……?」
果林「うーん、近づけないわ、困ったわね」 .
果林「だれか双眼鏡とか、持ってないかしら」
璃奈「さすがに用意してない……家にもあるか怪しい」
歩夢「スマホのカメラのズームとかでなんとかならないかな?」
果林「逆に画質が粗くなっちゃって難しいと思うわ」
果林「どうしようかしら……」
璃奈「そこらへんのオフィスの作業員の制服を奪って来て、業者に見せかけて侵入するのは?」
かすみ「りな子、だいぶサイコパス寄りだよね……」
エマ「……あれ?」
しずく「どうしました?」
エマ「ううん、なんかね、この黒い看板に書いてある説明文なんだけど」
エマ「フランス語の方、たまに下に薄く白い傷がついてる文字があって」
エマ「ただの傷だと思ったんだけど、定規を使ったようにまっすぐ引いてあるんだよね」 .
果林「あら、どれ?」
エマ「例えば、この『b』……次に、この『l』……」
果林「本当ねえ……あと、この『w』かしら。blw……」
しずく「ここの『o』もそのようです!」
果林「え? ……本当だ、光の加減で見えなかったわ」
エマ「偶然かな……」
果林「いえ、とても不自然だと思うわ。人工的な傷と見て間違いないでしょう」
歩夢「じゃあ、これが2つ目のヒント……!!」
果林「エマ、良く気づいたわね」
エマ「うん、スイスは公用語が4つあって、私はイタリア語圏だったんだけど、」
エマ「フランス語圏から来たお友達と仲が良かったから、少しだけ読めるの」
エマ「だから、フランス語の方の説明文を読んでたら、たまたま」
侑「すごーい! かっこいい!」 .
果林「じゃあ、アルファベットの並びが順番通りだとすると……『blow』?」
せつ菜「風が吹くとかの意味の、blowですか?」
侑「『our』と『blow』……ううん、まだ分からないな。あとひとつが無いと」
かすみ「えっと、あとひとつは……」
『①仏は敬愛の念に燃える
②問題解決のプロセス
③船乗りどもが夢の跡』
かすみ「問題解決のプロセス……ですか」
璃奈「これも検索には引っかからなかった」
しずく「これまでの『船乗り』とか『仏』に比べて、着目するポイントも不明ですよね……」
愛「とりあえず、一旦学校に戻っても良い? さっき、足を軽くくじいちゃったみたいで、湿布はりたくて」
かすみ「かけっことか言って急に走り出すからです!」 .
彼方「さんせーい、彼方ちゃんも少しお昼寝したくなっちゃった……」
果林「そうね、少し休みましょうか。先に行っててもらえる?」
エマ「果林ちゃんは?」
果林「またちょっと、トイレに行きたいから、先に駅に向かってて」
エマ「大丈夫? 調子悪いの?」
果林「大丈夫よ、すぐ追いつくから」
エマ「そっか、わかったよー」
果林「…………」
果林「さて、と」 .
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愛「学校前駅、とうちゃーく!」ピョン
かすみ「本当に足くじいてるんですか……?」
愛「しかし、普段注目してなかっただけで、この台場にも知らないことがたくさんあるんだねー」
しずく「そうですね、改めて、地域学習が大切だと感じました」
エマ「昨日今日で知識増えすぎて、覚えきれないよ~」
せつ菜「果林さんはすごいですね? いろんなことを知っていて」
果林「あら、たまたまよ。ちょっとだけ人より興味を持つものが多いだけ」
侑「でも、それってすごいことだと思う! 見習わなくちゃな~」
彼方「そうだね~」
愛「学校のテストにも興味持てると良いね!」
果林「うるさいわね……」
愛「そういえば、あれ! 学校のすぐ近くにも、変なオブジェあるよね」
歩夢「あの、大きな赤いノコギリのこと?」 .
愛「そうそう、地面に突き刺さったノコギリ。あれは何て名前なんだろう?」
https://i.imgur.com/lRwDkzs.jpg
かすみ「りな子、お願い!」
璃奈「お任せあれ」ポチポチ
璃奈「……あれは、saw, sawing って名前の像で、日本語では切っている鋸って名前なんだって」
彼方「もう、そのままだね~」
璃奈「アメリカ人のアーティストが作成したもので、問題解決のプロセスを表現しているらしい」
かすみ「ふーん、芸術家の考えることはよく分かんないね」
かすみ「…………」
かすみ「え!?」
愛「りなりー、今なんて?」
璃奈「問題解決のプロセス……」
かすみ「あれじゃん!! まさしく、あれ!!!」
侑「行ってみよう!」ダッ .
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侑「きっと、これのはず……どこだ……」キョロキョロ
かすみ「あっ! これ、見てください!」
かすみ「一番下の鋸の刃の裏側、英単語がひとつ刻まれています!」
愛「どれどれ!?」
果林「本当ね……ええと、『sixty』」
果林「これが最後のヒントで良いみたいね……」
彼方「おお~」
しずく「3つ目は、あっけなかったですね……」
かすみ「すごい、皆でやればこんなに早く見つけられるなんて」
璃奈「最後のは偶然だったけど」
エマ「でも、璃奈ちゃんがすぐ調べてくれたおかげだね!」
璃奈「璃奈ちゃんボード『エッヘン』」 .
歩夢「でも、まだ、その3つの単語の意味が……」
果林「そうなのよね、これまで見つけた単語を番号順に並べると……」
『blow』 『sixty』 『our』
愛「何が何だか、わけ分からないね」
せつ菜「そうですね……単語の順番を並び替えても、意味が通らないですし」
侑「うーん、やっとここまで来たのに……」
歩夢「どこかの解釈が間違ってたんじゃ……」
果林「ここから振り出しに戻るんだとしたら、さすがに辛いわね……」
果林「とりあえず、学校に入りましょうか」 .
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歩夢「みんなで考えてみたけど、結局分からなかったね……」
せつ菜「さすが、これまで隠されてきたお宝……そう簡単には手に入らないですね」
侑「かすみちゃんのお婆ちゃんが言ってた急げって、どれくらいの期間を指してるんだろうね」
かすみ「うーん、もうちょっと深堀りして聞いておくべきでした」
しずく「でも、焦っても仕方ないよ、私も帰ったらまた考えてみる」
かすみ「うん、ありがとうしず子」
かすみ「と、みなさんも。かすみんの事情で土日を使わせてしまって……」
愛「愛さんは結構、楽しかったよ!」
歩夢「でももう、偽装誘拐はやめてほしいかな……心配しちゃうから」
果林「久しぶりにこんなに頭つかったわ。帰ってゆっくり休みましょう」
璃奈「あっ、英語の宿題してない……」
かすみ「ううっ、嫌なことを思い出させられた」 .
侑「じゃあみんな、また明日!」
璃奈「ばいばい」
かすみ「さようならー!」
彼方「おやすみ~」
果林「…………」
果林「愛、ちょっとだけ良い? Diver Divaのことで、二人で話したいことがあって」
愛「お、なんだろう? 良いよー!」
エマ「果林ちゃん、熱心だね!」
果林「ええ。ライブはライブで、皆に負けてられないから」
果林「だから今日は先に帰っていて、エマ」
エマ「うん、帰り道で迷わないようにね!」
果林「さすがに学校から家までの道で迷わないわよ……」
果林「たぶん」 .
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愛「さて、と」
果林「悪いわね、引き留めて」
愛「ううん、愛さんは全然大丈夫! だけど」
愛「どうしたの? 嘘なんでしょ、ライブの話って」
果林「さすが、よく勘付いてるわね。愛は気遣いのプロよ」
愛「おー、珍しくカリンから褒められた」
果林「実は、さっきの暗号の話なんだけど」
愛「……解けたの?」
果林「たぶんね……」
愛「うお! さっすがカリン! 早く言ってよ!」
果林「でもね、新しい謎が増えちゃったのよ」
愛「んー???」
果林「見つけた3つの単語、『blow』 『sixty』 『our』」
果林「これらのうち、『blow』と『our』には……細工がしてあったわ」 .
愛「細工……?」
果林「ええ、少し違和感を感じたから、後で一人でこっそり確認したんだけど」
果林「最初の錨のオブジェの『our』、これは錨の根元にある文字を下から読んだものだけど」
果林「初めの一文字が、砂で隠されてたのよ……ちょっと砂をどけてみたらわかったわ」
果林「隠れてた文字は『f』……だから本当の単語は、『four』だった」
愛「えっ……!! ourとfourじゃ、全然違うじゃん!」
果林「そして2つ目よ。フランス語表記の説明文の下についていた直線の細い傷」
果林「ひとつだけ、マジックペンのようなもので上書きされて、隠されてたわ」
愛「うそ……」
果林「隠されていた線の上の文字は『e』。だから本当は、~の下という意味の『below』よ」
愛「ちょっとちょっと、愛さんたち、騙されてたの?」 .
果林「そうなるわね。だから、本当のメッセージは『below sixty four』」
果林「これならまだ場所を示す暗号のようになるわ。『64の下』」
愛「64未満ってこと?」
果林「いいえ、私もその可能性を調べたけど、それならbelowでなくてunderが使われるらしいわ」
果林「だから、そのまま64の下。64の意味については、『台場 64個』で検索しただけでそれらしいのが出てきたわ」
果林「問題はこれらの細工を、だれがやったかということよ……」
愛「……だれか愛さんたちの知らない、同じく暗号を入手した人じゃないの?」
果林「愛は優しいわね。私もそう結論付けても良かったんだけど」
果林「砂で隠した文字なんて、数日すれば出てきてしまうし」
果林「マジックペンも、ごく最近書かれたものだったわよ……たぶん……今朝に」
愛「今朝!? じゃあ、つまり……直前に同好会の誰かが先回りしたってこと?」 .
果林「そうね。その誰かも、錨のオブジェと自由の炎像の暗号は気づいた」
果林「でも、ノコギリの像にはたどり着けず、とりあえず初めの2つに細工をしたのね」
愛「なんで!?」
果林「そりゃあ、私たちの邪魔をして、宝を独り占めするためじゃないかしら?」
愛「…………」
果林「で、肝心の、それが誰かということだけど」
果林「私もなんとなくは見当ついてるんだけど、一応、愛がどう思うか聞きたくて」
愛「……わかった」
愛「ちょっと待って……今日の会話、思い出してみるから……」
愛「…………」
愛「あ……」
愛「はあ」 .
果林「聞かせて、くれるかしら」
愛「言っておくけど、愛さんは外部犯の可能性を一番信じてるからね」
果林「そうね、それで良いわ」
愛「ただ、もし、万が一、同好会の中に……犯人がいるのなら……」
愛「それはたぶん――――」
果林「……決まりね。同意見だわ」
果林「今夜もう一度、その人以外に召集をかけるわね。場所はそう、暗号の示す場所」
愛「……人を疑うのほど、気持ちが沈むことは無いよ」
愛「なんでカリンは愛さんにこの話をしたの? もしかしたら、愛さんが犯人の可能性もわずかながらあったでしょ」
果林「それはあなたが、一番他の人の機微をよく理解していて、一番そういう細工をしなそうな人だからよ」
果林「言わせないでよ、照れくさい」
愛「……そっか、ありがと」
果林「じゃあ、また後でね……」 本日はここまで 明日、少しだけやって終わりです
キャラの呼称や性格に関する違和感について、大変失礼しました
ご指摘ありがとうございます、真摯に受け止めてもう一回アニメ見直します 2次創作ですからね
あまり深く考えないで
それはそれとしてアニメは何回も見直そう .
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???「……はあ、はあ」
???「below sixty four……この辺のはず」
???「どこかに、隠し扉が……」
ピカッ
???「っ!!」
果林「こんな時間に、建物の隙間で何をやっているのかしら」
果林「乗り場はこちら側じゃないわよ、お姉さん」
愛「……はあ」
愛「当たっちゃったか……」
かすみ「な、なんで、なの」
かすみ「……しず子」 .
しずく「…………」
しずく「私の演技力も、まだまだですね」
果林「いいえ、さすがの演技力だったわ」
果林「私が疑い深すぎただけ……嫌な女なのよ、私」
しずく「なるほど、確かに、暗号に細工がしてあることがばれていたなら」
しずく「私の言動は怪しかったのでしょうね……」
果林「そうね。どこが怪しかったかのなんて、野暮だから解説しないわ」
果林「below sixty four……64台ある大観覧車の下に、今こうして集まっているんだもの」
https://i.imgur.com/bYC7AFe.jpg
果林「かすみちゃんの曾祖父が描いた世界都市博覧会」
果林「この観覧車を含むパレットタウンがあるのは、その予定地だった場所」
果林「そして、これが2022年8月末をもって閉館する……かすみちゃんのお婆ちゃんが急いだ方が良いと言ったのは、」
果林「取り壊しが始まってしまえば、望まない人の手に宝が渡ってしまうかもしれないからでしょうね」 .
侑「しずくちゃん……」
侑「やっぱり、お金が欲しかったの?」
しずく「……ええ、その動機も、1%くらいはあったかもしれません」
歩夢「残りの、99%は……?」
しずく「……かすみさんです」
かすみ「え……かすみんが?」
しずく「かすみさんが、家族のことで悩みがあったなんて、私知らなかった」
しずく「そして、私を欺くような偽装誘拐まで企画してたなんて……全然気づかなかったよ!」
しずく「私が、かすみさんのこと誰よりも分かってるつもりだった」
しずく「そして、かすみさんも……なんでも私に一番に相談してくれると思ってたのに」
しずく「なんで、侑先輩なの!? 私を、巻き込んでほしかったのに……」
しずく「うう……どうして……」ポロポロ
かすみ「しず子……」 .
しずく「悔しくて悲しくて、昨夜睨みつけるように暗号を見てたら、ひらめいちゃって」
しずく「それで……」
果林「かすみちゃんを困らせたくなって、暗号に細工をしたってことね」
しずく「……私が嫉妬深すぎただけ……嫌な女なんです、私」
かすみ「しず子……ごめん……」
かすみ「でも、私、しず子のこと、ちゃんと大切に思ってるよ」
しずく「うそっ!! きっと、いつか、侑先輩との絆の方が深くなって……私から離れていって……」
侑「嘘じゃないよ、しずくちゃん」
しずく「え……」
侑「かすみちゃんね、私に相談してくれた日、言ってたんだ」
かすみ『本当にお宝があったら、スクールアイドルの記念館と、豪華なライブステージ、あとコッペパン工場も……』
侑『すごいね、夢が広がるね』 .
かすみ『特にライブステージの設計はこだわりたいです!』
侑『ライブはアイドルの命だもんね!』
かすみ『それもですけど……演劇用の舞台としても不便なく使えるような設備を整えます』
侑『演劇用の舞台? もしかして、しずくちゃんのため?』
かすみ『はい! 将来しず子が大女優になったとき、ここで公演をしてもらうためです!』
かすみ『しず子はかすみんの一番の親友なので……これからもずっとそばで、夢を追い続けてほしくて……』
しずく「……かすみさん……!」
侑「それに、親友と思っているからこそ、本当にあるかも分からない不確かな宝探しに」
侑「しずくちゃんを安易に巻き込みたくなかったんじゃないかなあ」
かすみ「かすみんが、しず子のこと、一番に考えてないときなんてないよ!」
かすみ「……でも、本当にごめん、たくさん、迷惑かけたし」
かすみ「知らないうちに、不安な気持ちにさせちゃった」
かすみ「それでも、私なんかで良ければ……これからもずっと……親友でいてほしい」 .
しずく「いる、いるよ……ずっと、親友でいたい」
しずく「かすみさん……私こそ、本当にごめんなさい……!」
しずく「うっ……うわあああああああん」
かすみ「しず子……びええええええええん」
愛「……ふう、一件落着かな?」
彼方「良い同期愛だね~」
侑「アイドル同士の友愛! ときめいちゃう~!!」
歩夢「私と侑ちゃんとも、ずっと親友だよね?」
侑「うん! もちろんだよ、歩夢」
果林「さて、ではお宝のお姿を拝見しましょうか」
せつ菜「よっ! 待ってました!」
エマ「……どこかに隠し扉とかあるのかな?」
果林「そうねえ、観覧車のすぐ下で、人目につかないところと言ったら、こっち側だと思うんだけど……」 .
愛「……ん? なんだろう、コンクリート壁の一部分だけ、質感が違う」
愛「押せるかな?」ポチ
ゴゴゴゴゴゴ……
エマ「うわあ!?」
せつ菜「なんですか!?」
歩夢「地下に続く、道ができた……」
彼方「これが、隠し扉……?」
侑「下りてみよう!」
侑「うう、暗くて怖い……」
歩夢「大丈夫だよ侑ちゃん、手握ってるからね」
果林「何年も人が入った形跡はないわね」
愛「すごい! 大冒険だ!」
璃奈「外国の映画みたい」
かすみ「いよいよ……ドキドキしてきました」
侑「……あ」
侑「見て、扉がある」 .
歩夢「本当だ、開けられる?」
侑「うーん……」ガチャガチャ
侑「だめだ、鍵かかってるみたい」
璃奈「破壊する?」
かすみ「ちょっと待って!」
かすみ「……実は、おばあちゃんから鍵を預かってまして」
かすみ「何の鍵かわからなかったけど、たぶん……ここだと思います」
愛「お! ナイス!」
しずく「かすみさんだけが持つ鍵……じゃあ、私のたくらみは、初めから成功しなかったんですね」クス
かすみ「失礼します……」カチャカチャ
ガチャ
かすみ「! あいた……」
侑「おおー!!!」
かすみ「さあ、開けますよ……」
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- .
----- エピローグ -----
『さて本日のゲストは、デビュー30周年を迎えました、大女優で歌手としてもご活躍されている、桜坂しずくさんです』
パチパチパチパチ……
『ありがとうございます』ペコ
『今年から新たなミュージカル作品の主演をされるということで、内容をご紹介いただけますか?』
『はい、この作品は女性同士の友愛をもとにした作品で、脚本の一部は私自身の経験をもとにしております』
『桜坂さんの、学生時代の親友とのご経験、ということでしょうか』』
『はい、私が高校……虹ヶ咲学園で過ごした時間は、何ものにも代えがたい貴重な時間でした』
『桜坂さんが所属していたスクールアイドル同好会では、他にも著名人がいらっしゃいますね。
NAKASUホールディングスCEOの中須かすみさん、アイドルプロデューサーかつ大人気作曲家の高咲侑さん。
次の都知事選では、中須さんから資金援助を受けた高咲さんが出馬予定とも伺ってます。
そしてマニフェストには、地元お台場での新規事業を多く盛り込むとか……すみません、話がそれましたね』
『いえ、皆さん、一生懸命に夢を追いかけた、本当に素敵な人たちです。私も、まだまだ負けていられないですね』
終 本当にありがとうございました
初めての虹SS書いていろいろ自分としても学ぶことが多かったです
前作はだいぶ昔ですがよろしければ
海未「音ノ木坂連続レズレ○プ事件、ですか」
https://karma.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1473087225/ 面白かった!
よくこんな真面目な暗号考えたね
しかもちゃんとご当地ネタで 面白かった
しずくの失言は錨に犬がオシッコしてるのを知ってたことかな >>180
あと「o」があるって言っちゃったことかな
b l wだと思ったら等間隔で3文字だと思う
でも「o」見つけたなんて言っちゃったから「b low」って状態になってるはずで不自然
「b」をマジックペンで塗り潰すと「low」で結果的に「below」と似た意味になっちゃう
「o」があるって言わなかったり、「o」も塗り潰せばまた違ったかなあと。あとは「bel」とか 面白くて今日一気に読んじゃった
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