【SS】果林「わからないわね」
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果林『愛』
果林『誕生日、欲しいものあるかしら』
愛『それ、フツー本人に聞く?』
果林『教えて頂戴』
愛『いやでーす』
愛『誕生日までに考えてきてくださーい』
果林「……」
果林「わからないわね」 果林「なんてやり取りがあったのよ」
璃奈「そうなんだ」
果林「でもね、愛とは卒業式以来会ってないのよ」
璃奈「……」
果林「そんな私に愛が欲しいものなんてわかるはずないでしょう?」
璃奈「そうとは限らない」
果林「そうかしら?」
果林「でも私にはわからないのよ」
果林「だから今日は愛と仲の良い璃奈ちゃんに聞こうと思って」
璃奈「食事に誘ってくれたんだね」 璃奈「つまり私は、愛さんの好みを探るためだけの都合のいい女」
果林「ち、違うわ!今日は璃奈ちゃんに会いたくて来たの!」
璃奈「ほんと?」
果林「ほんとよほんと!」
璃奈「嬉しい。なら今日は果林さんに奢ってもらうね」
果林「え……」 璃奈「私は都合のいい女……しゅん……」シュン
果林「奢る!奢るわ!」
璃奈「やった」ニヤリ
果林「なっ!やってくれたわね……」
璃奈「何のこと?はてな」キョトン
果林「……」
果林「表情、豊かになったわね。璃奈ちゃん」
璃奈「そう?嬉しい。にやり」ニヤリ
果林「それは腹立つからやめて」 璃奈「みそカツパン1つ、たっぷりたまごのピザトースト1つ、ドミグラスバーガー1つ。それからシロノワール1つ、クリームでら盛りで。あと、アイスココア」
果林「……」
果林「あの、お金は良いけど量は大丈夫?」
果林「残したとしても、私はあまり食べられないわよ」
璃奈「問題ない。私は育ち盛り。むんっ」
果林「そう……」 璃奈「さて、本題に移ろう。果林さんは愛さんが欲しいものは何だと思う?」
果林「それがわからないから璃奈ちゃんに聞いてるのよ」
璃奈「大体でいいよ」
果林「大体……そうね……」
果林「愛はオシャレが好きだから、例えば服をあげたら喜ぶんじゃないかしら」
璃奈「そうだね」
璃奈「愛さんはオシャレが好きだし、服をあげたら喜ぶ」
果林「でしょ?」
璃奈「でも、本当にそれが最適解?」
果林「どういうこと?」
璃奈「……」モグモグ
璃奈「確かに、好きなものが欲しいものであるという方向性は正しい」
璃奈「だけど、愛さんがもっと好きなもの、他にあると思う」 果林「んー……」
果林「愛がもっと好きなもの……」
果林「もんじゃとか」
璃奈「愛さんは食べ飽きてそう」
果林「それはそうね」
璃奈「……」モグモグ
璃奈「ものって言い方が良くなかったかも。物品から離れた方が良いかもしれない」 果林「もの以外って例えば何になるのかしら」
璃奈「……」モグモグ
果林「例えば、体験とか」
璃奈「……」モグモグ
果林「言葉とか」
璃奈「……」モグモグ
果林「そんなものかしら」
璃奈「……」ゴクン
璃奈「一気に良くなった」
果林「そうなのね」
璃奈「もっと掘り下げてみよう」 果林「……いえ、これ以上は」
果林「……」
果林「わからないわね」
璃奈「……」モグモグ
璃奈「そう」
璃奈「なら私から1つ提案」
璃奈「果林さんじゃないとさせてあげられない体験」
璃奈「果林さんじゃないとかけられないような言葉」
璃奈「みたいなのが良いと思う」
果林「……」
果林「一口、いいかしら」
璃奈「どうぞ」
果林「……」モグモグ
璃奈「……」モグモグ 果林「璃奈ちゃんは」
果林「璃奈ちゃんは、何をプレゼントするの?」
璃奈「私は全裸になって」
果林「え」
璃奈「自分の体にリボンを巻いて」
果林「ちょっとちょっと」
璃奈「プレゼントは私って言う」 璃奈「冗談」
璃奈「そんな顔しないで」
璃奈「冗談だから」
璃奈「ごめんなさい、果林さん」
果林「笑えないわ……」
璃奈「……」モグモグ
璃奈「なんで笑えないの?」
果林「え」
璃奈「今のは結構面白い冗談だった」
璃奈「侑さんなら笑ってた」
璃奈「果林さんはなんで笑えないの?」
果林「それ、は……」
璃奈「……」モグモグ
果林「わから」
璃奈「わからないは禁止」 果林「うっ……」
璃奈「……」モグモグ
果林「……」
璃奈「……」モグモグ
果林「璃奈ちゃんに自分のことを大切にしてほしいから……」
璃奈「捻り出してきたね。もっともらしい理由」
果林「いじわるな言い方しないでよ」
璃奈「ごめんなさい。でもね果林さん」
璃奈「私が私を誰にあげようと勝手。そうでしょ?」
果林「……」
果林「それはそうね……」
璃奈「そしてそれは、果林さんも同じ」
果林「……」ピクッ
璃奈「……」
果林「一口、いいかしら」
璃奈「どうぞ」
果林「……」モグモグ
璃奈「……」モグモグ ──────
璃奈「今日は楽しかった。そろそろ帰るね」
果林「待って璃奈ちゃん。まだ愛へのプレゼントが決まってないわ」
璃奈「いや、もう決まってる」
果林「え?」
璃奈「答えは果林さんの中にあるはずだよ」
果林「……」
果林「私の、中……」
璃奈「……」スクッ 璃奈「……」
璃奈「あんまり愛さんを待たせないであげて」
果林「!」
果林「……」
果林「善処するわ」
璃奈「そう。ならいい。ごちそうさまでした」
果林「ん……」
果林「……」
果林「……」チラッ
果林「めちゃめちゃ残してるじゃない!」 果林『今日、璃奈ちゃんと遊んだわ』
愛『そうなんだ』
愛『愛さんとは』
愛『会わないくせに』
果林『ちがうわ』
愛『りなりーとは』
愛『あっさり』
愛『あっさりなりー』
果林『ちがうの』
果林『愛への』
果林『誕生日プレゼント』
果林『の話してた』
果林『のよ』 愛『そっか』
愛『そんなに焦って弁明するんだね』
果林『だったら何よ』
愛『なんでもない』
果林『何なのよ』
愛『なんでもないって』
愛『それよりりなりー』
愛『なんて言ってた?』 果林『愛が欲しいものは』
果林『私の中にある』
果林『らしいわ』
果林『合ってる?』
愛『おおー』
愛『正解』
果林『やったわ』
愛『当てたのはカリンじゃないでしょ』
果林『璃奈ちゃんすごいわ』
愛『りなりーはすごい』 果林『でも見当がつかないのよ』
果林『ヒントを頂戴』
愛『だから』
愛『本人に聞かないでよ』
愛『考えてきてって言ったじゃん』
果林『お願い』
果林『確信を得たいの』
愛『確信を得たらどうなるのさ』
果林『愛が欲しいものを完璧に渡せるわ』
愛『言ったな?』
果林『えぇ』
果林『朝香果林に二言はないわ』 愛『じゃあヒントあげる』
愛『カリンの中にあるっていうのはちょっと違うかも』
愛『厳密には中ってわけじゃない』
果林『じゃあ私の外?』
愛『外でもない』
果林『中でも外でもないなら何なのよ』
愛『要するにカリンの中の80%とか、外を含めて120%とかじゃなくて』
愛『カリン100%ってこと』
愛『つまりカリンそのもの』
愛『ごめ』
愛『やっぱ』
愛『今のナシ』 果林『なるほど』
果林『わからないわ』
愛『なんで』
愛『今ので』
愛『わからないの』
果林『むずかしい数学使うから』
愛『算数だっつーの』 果林『でも大体』
果林『わかったわ』
愛『マジ?』
愛『ほんとにわかってる?』
愛『そしたらそのテンションで』
愛『メッセできなくない?』
果林『そう言われると』
果林『自信無くなってきたわ』
果林『やっぱり』
果林『わからないことに』
果林『していいかしら』 愛『ふざけんな』
愛『ぜったいよこせ』
果林『口が悪いわよ』
愛『まちがってたら』
愛『おこる』
愛『わたさなくても』
愛『おこる』
愛『だから』
愛『にげないで』
果林『厳しいわね』 果林『じゃあ』
果林『合ってるかは自信ないけど』
果林『渡しに行くわ』
果林『5/30』
果林『会いに行くから』
果林『放課後空けときなさい』 果林「……」
果林「返事、来ないわね……」
ブー
果林「!?」
果林「……」
果林「すぅー、はぁー……」
ピッ
果林「……もしもし、愛?」 愛「カリン!!」
果林「どうしたのよ」
愛「誕生日空けとけってどういうこと!?」
果林「そのままの意味よ。愛に会いに行くから空けときなさい。誕生日プレゼントも渡しに行くわ。あ、愛に会いにってダジャレね。評価はどう?」
愛「ちょ……ちょまっ!情報量多すぎるからぁ!ちょっと待ってぇ!」
果林「えぇ、待つわ」
愛「うーん、うーん……」
果林「ふふふ……」
愛「なに笑ってんの……」
果林「いえ。久々に愛の声を聞いたから。かわいいなって」
ドンガラガッシャン!! 果林「凄い音がしたけど大丈夫?」
愛「だ……だいじょぶ……あのさ……放課後空けとくよ……」
果林「あら、ありがと」
愛「……」
果林「じゃあ、切るわね」
愛「ま、待ってよ!なんかあるでしょ!」
果林「なんかって何よ」
愛「どうして急に会うなんて言ってきたの!?」
果林「プレゼントを渡すなら会わなきゃいけないじゃない」 愛「それは……そうだけど!例えば他の人に代わりに渡してもらうとか!」
果林「え……愛の欲しいものって他の人に預けられるものなの?やっぱりわからなくなってきたわ……」
愛「ち、ちがっ!カリンにしか渡せない!絶対絶対カリンにしか渡せないもの!」
果林「そう。なら安心したわ。でもね?もう一つ良いかしら?さっきの愛の言い方だと、本当は私と会いたくないみたいに聞こえるわよ」
愛「違うって!」
果林「だってそうじゃない。他の人を間に挟めるならそうしたいんでしょ?」
愛「あーもう!違う!愛さんが言いたいのは!!」 愛「とにかく会いたかったの!!カリンに会いたくて会いたくてしょうがなかったのーー!!」
果林「あら」
愛「はぁ、はぁ……!!」
果林「あらあらあらあら」
愛「んだよぉ……!!」
果林「ふふ、ふふふ。言わせてしまったみたいでごめんなさいね?」
愛「なんか納得いかない!!カリンも愛さんに会いたかったんでしょ!?違う!?」
果林「ソウネ。ワタシモアイニアイタカッタワ」
愛「カーリーンー!!」 果林「冗談よ、冗談。私も愛に会いたかった。私も愛に会いたくて会いたくて仕方なかったのよ」
愛「どーだか……」
果林「酷いわ。本当のことしか言ってないのに……」
愛「……」
果林「……」
愛「ね、カリン……卒業式でのこと、気にしてる?」
果林「!」 >>42
すまん、ここから先は書き溜めがないので睡眠推奨 愛「あのとき、変な雰囲気になっちゃって」
果林「……」
愛「アタシはずっと気になってた」
果林「……」
愛「それで、誘いの1つもできなくなっちゃってさ。情けないよね。ごめんなさい」
果林「……それは、私もだから。気にしないで」
愛「そっか……」
果林「……」 愛「あのさ……愛さんたち、前みたいに戻れないかな?」
果林「……」
愛「ユニット組んでた頃みたいに、さ。気軽な関係の方が、カリンだって……」
果林「変わらない関係なんてないわよ」
愛「!」
果林「私たちはもうDiverDivaじゃない。あの頃にはもう戻れない」
愛「……」
果林「だから、前に進むしかないのよ。たとえ傷付くことになったとしてもね」 果林「私は前に進む覚悟を決めたわ」
果林「だから、誕生日……愛の欲しいものを渡しに行く」
果林「貴女も覚悟を決めて、受け取って頂戴」
愛「……」
果林「……愛?」
愛「カッコつけすぎなんだよ!ばーーか!!」
果林「ば、ばか!?」 愛「さっきさ!欲しいものと違ったら怒るって言ったけど!もしホントに違ったら、愛さんたぶん泣くかんね!うわーーん!!」
果林「うるさっ!?」
愛「だからそのときは!慰めるくらいはしてよねっ!!」
果林「!」
果林「もちろん、それくらいするわよ」
愛「……ならオーケー!槍でも隕石でも持ってこーーい!!」
果林「そんなものは持っていけないわよ」
愛「うるさい!ばーかばーか!おやすみ!」
果林「……おやすみ」 ──────
「うわああああん!!かりん……そつぎょうしないでよぉ……!!」
「ちょ、ちょっと!愛!」
宮下愛──私の相棒、後輩。そして……最愛の人。
三年生の卒業の日。
皆の前で陽気にふるまっていた彼女は、私と二人きりになるなり、抱きついてきてわんわんと泣き始めた。 私は愛のことが好きだった。
いつからかはわからない。
初めて会ったときからなのか、それともユニットを組もうと提案してくれたときからなのか。
どんなところを好きになったのかもわからない。
私の全力をぶつけられる好敵手としての一面に惹かれたのか。
自然と周囲を明るくする太陽のような輝きに惹かれたのか。
あるいは私に甘えてくるときの猫のような愛くるしさに惹かれたのか。
ただ一つだけわかっていたのは、私はどうしようもなく愛が好きで、愛の全てが欲しくて欲しくてたまらないということだった。
だけれど、愛の気持ちはわからなかった。
愛は私だけでなく、皆に優しかったから。
愛は私をどう思っているの?
私はずっと、それを聞きたくて仕方がなかった。
もし愛と両想いだったら、どんなに幸せなことだろう。 しかしそれと同時に、そんな感情はステージに持ち込むべきではないとも思った。
彼女はあくまで尊敬すべき競争相手であり、それ以上の目で見てはいけない。
彼女とはあくまで同じユニットの先輩と後輩であり、それ以上の関係を望んではいけない。
まるで愛への本当の気持ちから目を逸らすかのように、私はDiverDivaの活動に打ち込んだ。
でもその姿勢でいられる期間はそう長くはなかった。
私は卒業して、相棒でも先輩でもない、ただの友達になる。
愛の内面に踏み込もうとしてこなかった、そのツケを払う日が来たんだ。
良き友人でいることに努めよう。
私は愛と特別な関係になることを諦めていた。
けれど。
あの日の愛はそうさせなかった。 「泣き止んだ?」
「うん……」
「そう。ならそろそろ離してくれないかしら?」
「やだ……」
「……」
「カリン……」
愛は私に抱きついたまま一向に離れようとしなかった。
私を見上げる愛の瞳は潤んでいた。
まるで、何かを訴えるような目だった。
もしかしたら、愛も私と同じ気持ちなのかもしれない。
ふと、そう思った。
愛も私と同じように、私のことがどうしようもなく大好きで、私の全てが欲しくて欲しくてたまらなくて。
愛も私と同じように、気持ちを押し殺してユニット活動に打ち込んできて。
愛も私と同じように、これから先、ただの友達ではなく、特別な関係になりたがっているとしたら?
……今、キスしたら、受け入れて貰えそうな気がした。 ……でも、もし間違っていたら?
ただ、ユニットの相棒で仲の良い先輩が卒業するから、いつも以上に甘えてきているだけかもしれない。
いえ、きっとそうだわ。
愛が私のことを好きなんてあり得ない。
気付けば私は愛を引き剥がしていた。しかし──
「あ……」
愛の、今まで一度も見せたことのないような、悲しげな表情──
それを見たとき、私は取り返しの付かない過ちを犯したことに気が付いた。
待って、愛。やり直させて。
そう言いたかった。でも、声は出なかった。
黙って走り去る愛を、私はただ呆然と見つめることしかできなかった。 あの日に戻ってやり直したい。
私は何度も何度も後悔した。
愛には連絡できなかった。
愛の方も連絡してこなかった。
友達以上になれたはずの私たちの関係は、友達未満になってしまった。
ああ。やり直したい。
そうこうしているうちに、2ヶ月が過ぎた。
愛の誕生日が近付いていた。
この2ヶ月間、愛と会えないのは辛かった。
せめて友達に戻りたい。
そんな思いから、何か彼女が欲しがっているものを贈ることにした。
でも、璃奈ちゃんや愛自身から話を聞くうちに──いや、もしかしたら話を聞く前から──愛の欲しいものは、あの日から変わっていないことに気が付いた。
だから私は── 愛の欲しいものがわからない?
そんなわけないでしょ。
あの日の時点で私はわかってたんだもの。
間違えるのが怖くて、ずっと見ないふりをしていただけ。
やり直すには遅すぎるかもしれないけれど。
もうわかってるから。
──あの日渡しそびれたものを、渡しに行くわ。 愛「鳴らない電話を気にしてイラつくのは、もうやめる。」 果林『愛』10:00
果林『16時に屋上で会いましょう』10:01
果林『ごめんなさい』15:55
果林『道に迷ってしまって』15:56
果林『10分ほど遅れるかもしれないわ』15:57
果林『虹ヶ咲学園ってどこにあるんだっけ』16:38
果林『地図を見ても』16:47
果林『わからないわね』16:48
愛『かえれ』16:48 草果林「愛!」タッタッ
愛「……」
果林「久しぶりね!良かった、元気そう……で……?」
愛「一発殴らせて。マジで」
果林「な、何よ。そんなに怒らなくていいじゃない。1時間遅れたくらいでしょ?」
愛「今18時。2時間遅れ」
果林「……なるほど。ニジガクに2時間遅れ、虹だけにってことね。なかなか上手いじゃないの」
愛「……」コキコキ
果林「落ち着きなさい、愛。そんなことをしても失った時間は帰ってこないわ」 果林「それよりも感動の再会を祝福しましょうよ」
愛「愛さんも感動するつもりで来たんだよ。まさか怒りで満ちることになるとは思わなかったよ」
果林「怒りは美容に……」
愛「……」ツカツカ
果林「たっ!タンマタンマ!」
愛「……」ギュッ
果林「えっ?」
愛「プレゼント、あるんでしょ……」 愛「ちゃんと、渡してよ」
果林「えぇ、わかってるわ」
愛「……」
果林「……」
愛「そんなに強く抱きしめられると照れる……」
果林「間違っていたかしら?」
愛「間違ってない……」
果林「そう」 愛「……」
果林「……」
愛「あの、目逸らせないの、超恥ずかしいんだけど……」
果林「間違ってる?」
愛「間違ってない……」
果林「そう」 愛「……」
果林「……」
愛「なんか言ってよ……」
愛「ここから先、わからない?」
果林「いえ、わかっているわ」
果林「わかっているけど、踏み出せないのよ」 愛「……だったら、もう……」
果林「……」ググッ
愛「何で、離してくれないの」
果林「待ちなさいよ」
果林「人には人のペースってもんがあるのよ」
果林「何でもかんでも模範解答ってわけにはいかないの」
果林「だからもう少しこの体勢でいなさい」
愛「わ、わかったよ……」
愛「だけど、愛さんの心臓が破裂する前にお願いね……」
果林「善処するわ」 果林「あ」
果林「できそう」
果林「照れてる愛がかわいいから」
愛「なっ!?ば、ばか!!」
果林「あ」
果林「やっぱり無理」
果林「よく考えたら卒業式の愛だってかわいかったのに、できなかったものね」
果林「かわいさだけでは無理なのかもしれないわね」
愛「もー!もー!なんなん!?」ジタバタ
果林「ちょっと、抵抗なんかさせないわよ」ググッ
果林「私が渡すまで大人しく待ってなさい」
愛「この空間無理なんだってぇ……!!」 果林「……」
愛「ね、ほんとに答えわかってるんだよね?」
果林「わかってるって言ってるでしょ、今日までどれだけ考えてきたと思ってるの」
愛「じゃあ早くしてよ……」
果林「わかってるわよ」
果林「今勇気ゲージを貯めてるのよ」
愛「それいつ貯まるの?」
果林「……未定」
愛「もー!!」 果林「ところで、勇気とやる気って似ているわよね」
愛「何の話!?」
果林「知ってる?やる気があるから行動するんじゃなく、行動してからやる気が出るんだって」
愛「じゃあ早く行動してよ……」
果林「別に、このまま顔をほんの少し前方に近付けて、事実を先に作ってもいいのだけれど」
果林「そんな事務的な感じでしていいの?」
愛「やだ」
愛「ちゃんとして」
果林「ほら」 果林「ふと思ったのだけれど、愛の方からするという手もあるんじゃない?」
愛「あ……アタシは誕生日だし……」
果林「そうだったわ」
果林「貰う側は気楽で羨ましいわね」
愛「なっ!?そんな言い方ないでしょ!?」
果林「なら……もし私の誕生日が先だったら、私がプレゼントして貰える側だったのかしら?」
愛「してたよ!」
果林「へぇ、愛は私の欲しいものわかってるの?」
愛「わ、わかってるし!」
果林「あら、そう」
果林「でもね愛……わかってたら簡単にあげられるなんてことは」
愛「あげられるよっ!」
果林「口で言うだけならかんた……」 愛「あーもううるさい!カリンはヘタレすぎ!」
果林「はい??」
愛「愛さんだったらカリンみたいにウジウジしないもんっ!」
果林「だ、誰がウジウジですって……!?」
愛「お前だよっ!大体カリンは遠回りすぎるんだよっ!愛さんの欲しいものなんて、ずっと前からわかってたんでしょ!?」
果林「それは私なりの気持ちの整理が……!」
愛「うるさいっ!とにかく、カリンを見てるとムカムカするのっ!」
果林「ムカムカって……!こっちの気も知らないで……!」
愛「うるさいうるさいっ!全部わかってんだからちゃんと決めてよ!ばかっ!」
果林「」 愛「はぁー、はぁー……」
果林「そうですか」
愛「そうだよっ!」
果林「そうですか、そうですか」
愛「そうだって言ってんでしょ!?」
果林「全部わかってるのに言い訳ばかりして、ムカつかせて、悪かったわね」
愛「ほんとだよっ!」
果林「そんな人は黙らされても仕方ないわよね」
愛「え?まあ、うん、そうだね……」
果林「言ったわね……」ズイッ
愛「え、な、なに!?」 果林「いけるわ」
愛「え?」
果林「いける」
果林「私も愛にムカついたから」
愛「え、えっ?」
果林「ひとまず塞ぐ」
愛「や、ま、まって……!」
ズザッ……
グイッ!!
愛「ご、ごめんって……!ほんと、ちょっとまっ……」
果林「待たない」
ググッ……
チュッ
愛「ん……んんーっ!?」 愛「んんっ♡んーっ……♡」
ヘナッ……
グイッ↑↑↑
チュッ
愛「んっ!?♡んうぅ♡」
モジモジ
チュッチュッ
グイッ→→→
愛「んっ♡んっ♡んんんっ♡」
ドサッ……
チュウウウウ
モゾモゾ
愛「んーっ!♡んんんーっ!♡」 果林「……ぷはっ!」
愛「はぁっ……♡はぁっ……♡」
果林「どう?これでもう文句なんて言わせないわよ」
果林「これが私からの誕生日プレゼント」
果林「愛の欲しいもの、ちゃんとわかっていたでしょう?」
果林「でもね、本番はここからなんだから……♡」
プチプチ……
愛「だ、だめーーっ!!///」
グイッ↑↑↑
果林「えっ……」 愛「あっ……」
果林「やっぱり私、間違ってた……?」
果林「ど、どこから間違っていたの……?まさか、最初から……?」
果林「わ、私……なんてことを……」サーッ
←←←ダッ!!
ギューッ!!
愛「待って!合ってる!合ってるからぁ!」
果林「離して!死ぬわ!飛び降りて死ぬわ!」 愛「待って!ホントに合ってるの!合ってるから止まって!」
果林「そ、そうなの……?でも……」
愛「え、えと……まず……カリンは愛さんのこと、好きってことでいいんだよね……?///」
果林「えっ!?そ、それは……」
愛「ちゃんと言ってよ……///」
果林「そ、そうね……おほん」
果林「す……」
果林「すっ……!す、す……」
果林「好きよ……///」
愛「そ、そっか……///」
愛「そっかぁ……えへへ……///」
果林「な、なんなのよ……///」
愛「その……愛さんもカリンのこと、好きだよ……///」
果林「そ、そう……///」 このssを読んでいて湧いてくる尊い感情は筆舌しがたい 愛「あのね……愛さん、カリンが好きって言ってくれて、キスしてもらえたら最高のプレゼントだなーって思ってたんだけど……カリンがその……え、えっちなことを……///」
果林「そ、そうだったのね……」
愛「き、キスも……あんなにされるとは思ってなかった……///」
果林「ご、ごめんなさい……!」
愛「い、いや!謝るのは愛さんの方だよ!カリンとだったら全然嫌じゃないからさ!ちょっとビックリしただけなんだ!だから、カリンが望んでるなら……!」 果林「焦らないの」
愛「!」
果林「雰囲気に流されて身体を許すなんて駄目よ。それは今の貴女が本当に望んでること?」
愛「ううん……カリンのことは好きだけど、そういうことは考えてこなかったから……よくわからないや……」
果林「そう。なら今日はやめておきましょ」
愛「ごめん……」
果林「こーら。そんな顔しないの」
愛「あ、あのね!カリンのこと好きなのはほんとなんだよ!でも、ほんのちょっとだけ怖くて……」
果林「わかってる。愛が自分からしたいと思う日が来るまで、気長に待つわ」 愛「あのさ、カリン……」
果林「なぁに?」
愛「好きっていっぱい言ってほしい……」
果林「えっ……///」
愛「おねがい……」
果林「わ……わかったわ……」
果林「す……好きよ……///」 愛「愛さんのこと、いつから好き?」
←ズイッ
←タジッ……
果林「き、急に何よ……」
愛「教えてよ……」
果林「い、いつからって言えるものじゃないわよ……一緒にいるうちに惹かれていって……」
愛「惹かれていって?今は?」
←←ズズイッ
←←タジタジッ……
果林「め、めちゃくちゃにしたいくらい好き……///」
愛「そ……そうなんだ……///」 すまん、今日こそ完結させる予定だったんだが、かりあいちゃんのイチャイチャが止まりそうにないのでまた明日…… なぜ…続きを見せてくれないんだ…
あいかりの続きを… おい保守SIM!もう諦めろ、いつまでやっても更新されんぞ
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