璃奈 「すべり台……楽しい、好き」 スッーー
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璃奈 (こないだかすみちゃんと、エマさんと、彼方さんで来た公園……久しぶりにブランコやすべり台を使ってみたけど)
璃奈 「……なんだか楽しい」 スッーー
璃奈 「特に、この螺旋型のすべり台は、ジェットコースターほど怖くないし、かといってスリルがないわけでもない、絶妙な面白さがある」 スッーー
璃奈 「そのときは着地するときにエマさんに抱きついたことで、転ばずに済んだけど、今回は一人で来てる。気を付けないと……!」 スッーー スッーー
スッーー
スッーー
璃奈 (……何かおかしい?)
璃奈 「たしかそんなに長いすべり台じゃない。せいぜい二回回るくらいの螺旋……なのに全然地面に着かない……!?」
璃奈 「どうして……!?」 歩夢(イメージ) 「それはね、璃奈ちゃん」
璃奈 「! 心の中の歩夢さん!」
歩夢(イメージ) 「このすべり台にとある女性の怨念が取り憑いてしまったからだよ」
璃奈 「怨念……幽霊ってこと?」
歩夢(イメージ) 「ううん、幽霊じゃなくてね、生き霊に近いかな。誰かの強い思いがすべり台に取り憑いたんだよ」
璃奈 「誰かの強い思い……! いったい誰の……」 歩夢(イメージ) 「とあるJKなんだけどね」
璃奈 「とあるJK……」
歩夢(イメージ) 「身近に14歳の高校三年生が現れて、なぜかテンション上がってるんだよ」
璃奈 「う、うん……」
歩夢(イメージ) 「でも、その子には、元々大切な人がいて、どちらを選ぶこともできなかった。そこで迷いに迷った思いは怨念となり、その大切な人たちを閉じ込める力を得てしまったんだよ」
璃奈 「そ、そんな……。そもそも14歳の高校三年生なんて、ミア・テイラーさんしか知らない。他にもいるんだね、そんなすごい人……」 歩夢(イメージ) 「しかも無意識に怨念を発動するものだから、ここで璃奈ちゃんが特殊空間に閉じ込められてるのも知らないだろうね。無自覚が一番厄介だよ」
璃奈 「どうすれば……!!」
歩夢(イメージ) 「とりあえず、良いアイデアが思い付くまで、せっかくだからすべり台を楽しんでおけばどうかな?」
璃奈 「そんな悠長なことを言ってる場合じゃない……! 歩夢さん、何か良い考えはない!?」
歩夢(イメージ) 「私は璃奈ちゃんの想像だから、璃奈ちゃんが思い付かなきゃ思い付かないよ。頑張ってね」
璃奈 「っ!」 スッーー
スッーー
スッーー
璃奈 (皮肉にも、ウォータースライダーを遥かに超える長さのすべり台にテンションが上がっていた)
璃奈 「すべり台……楽しい、好き」
璃奈 (でも、ここにずっと閉じ込められていたら、みんなきっと心配する。愛さんなんて泣きながら探し回るかもしれない……) 璃奈 「どこの誰かは分からないけど、愛さんを泣かせるかもしれない事態を招くなんて、やめてほしい……っ!」
璃奈 「許せないっ!!」
スッーー
スッーー
スッーー
璃奈 「……でもすべり台は楽しい」
璃奈 (歩夢さんも言ってたし、時間はまだある。ここから抜け出す方法を考えよう) 璃奈 「……」 スッーー
璃奈 「……」 スッーー
璃奈 「……」 スッーー
璃奈 「!」
璃奈 (そうだ!! このすべり台はおそらく永遠に続いてる……でも、後ろは違うかもしれない。マナーは良くないけど、手すりを掴んで逆向きに登れば、すべり台から階段で降りれる!)
璃奈 「今だっ!」 ギュッ 璃奈 「えっ!?」 パッ
璃奈 (あ、熱い……っ!! 手すりを掴めない!)
璃奈 「すべり台を何周もしてるから、とんでもない速さになってるんだ……!」
璃奈 「このスピードじゃブレーキをかけられない……手で掴んで上に登るなんてもってのほか……!」
璃奈 (この作戦はダメだ)
璃奈 「どうすれば……」
スッーー
スッーー
スッーー
璃奈 「……大変な事態だけど、それはさておき風が心地いい」 歩夢(イメージ) 「璃奈ちゃん、大きな壁に当たってるみたいだね」
璃奈 「! 心の中の歩夢さん!」
歩夢(イメージ) 「人生はクソゲーだよ。クソゲーに例えて物事を考えるの」 ニコッ
璃奈 「クソゲーに例える……?」
歩夢(イメージ) 「うん。そうすれば自ずと道は開かれるよ!」
璃奈 「本当に?」
歩夢(イメージ) 「それは分からない。クソゲーだからね」 璃奈 「……私の中の歩夢さんはクソゲーの説明書くらい親切じゃない」
璃奈 (いったいどうすれば……考えるんだ私! 考えるんだ!!)
璃奈 「……」 スッーー
璃奈 「……」 スッーー
璃奈 「……」 スッーー
璃奈 「!」
璃奈 (そうだ!! 確かポケットにスマホが入ってたはず! 電話で誰かに助けを求められれば……) 璃奈 (この特殊空間で電波が届くかは分からないけど、だからってやらないは無し!)
璃奈 「まずはポケットから取り出すっ!」
璃奈 (もはやおしりが熱い……すべり台の加速はどんどん増してる……! もしかしたらスマホはすり減ってるかもしれない……)
璃奈 「でも最近のiPhoneは丈夫。シャワーしても壊れない場合もある。だからきっと大丈夫!」 スッ
璃奈 「よしっ! スマホを取り出せた! 画面は……うん、大丈夫、点くね」
璃奈 「かけるのは……まずは愛さんにしよう」 プルルルル
璃奈 「お願い……出てっ!」 プルルルル 愛 『りなりー!? 今どこにいるのさ!?』
璃奈 「愛さん!」 パァァ
愛 『りなりーが全然戻ってこないから、今みんなで協力して探してるんだよ! どこにいるの!?』
璃奈 「エマさんに伝えて! あそこの公園にいるって! すべり台に恐ろしい怨念が取り憑いてて、不思議な空間に閉じ込められてる」
愛 『すべり台!? 怨念!? どういうこと!?』 璃奈 「……調べたところ、身近に14歳の高校三年生が現れて、なぜかテンション上がってるとあるJKによるものだと発覚した。本人は無自覚らしい」
愛 『そ、それは、なんというか、変わってるね……』
璃奈 「とりあえず怨念が関わってるから、お坊さんや巫女さんに助けを求めた方がいいかも!」
愛 『ラジャーー! 巫女さんなら、神社にいるはず! すぐ連れてくるからね、待っててりなりーー!!』 璃奈 「愛さん、ありがとう……」
愛 『お礼なら探してくれてるみんなに言って! じゃあ着いたらかけ直すから!』 ピッ
スッーー
スッーー
スッーー
璃奈 「すべり台は楽しいけれど、どんなことも終わりがあるから今を楽しめる」
璃奈 「もう、このすべり台から降りる時が来たんだ……!」 歩夢(イメージ) 「私のアドバイスが役に立ったみたいだね」 ニコッ
璃奈 「! 心の中の歩夢さん!」
歩夢(イメージ) 「クソゲーあるある、海外ゲームの日本語翻訳がおかしい。それを浮かべたことで、すぐ辿り着けたんだよ」
璃奈 「……どういうこと?」
歩夢(イメージ) 「翻訳ミスによって駄作に変わる……つまりコミュニケーションが大事で、連絡を取るのが解決策ってことを意味してたんだよ」
璃奈 「無理があると思う」 プルルルル
璃奈 「! もしもし、愛さん!?」
愛 『りなりー!! 大丈夫!?』
璃奈 「うん、今のところは大丈夫。愛さんは今どこにいるの?」
愛 『今、公園! 巫女さんを連れてきた! しかも二人も!』
愛 『りなり……絶対助けるからねっ!!』
…
…
… エマ 「このすべり台のことだと思うけど……あれ、璃奈ちゃんいない?」
愛 「特殊空間に閉じ込められてるって言ってたから、もしかしたら愛さんたちからじゃ見えないのかも……」
?? 「たしかに、このすべり台はいわくつきみたいやね」
?? 「大変ったら、大変ね」
愛 「巫女さん!! お願いします、りなりーを、愛さんの親友を助けてください!!」 希 「もちろん、ウチに任せとき!」
すみれ 「事態は思ったよりも厳しいけど、やれることをやるわ」
希 「……」
希 (たしかに事態は厳しい。しかも)
希 (その怨念は明らかに、この子から発してるんやけど、まあそれは言わなくても良いかな)
すみれ 「見えるわ……とんでもない怨念がっ!!」
すみれ (やばいわ……全く見えないわ……巫女とか雰囲気でやってたし……ガチの仕事が来るとは思わないじゃない!) 希 「そこの君」
愛 「えっ? 愛さんのこと?」
希 「くれぐれも独占欲の管理には気を付けてな」
愛 「? は、はい!」
希 (しかもこの怨念……二方向に分かれてるし……もう一人どっかに閉じ込められてそうやね) エマ 「巫女さん……璃奈ちゃんはなんですべり台に閉じ込められたんですか!?」
すみれ 「この場所は、昔は広い森だった……でも、いつからか森は無くなり、公園になってしまった」
すみれ 「そして、そこに住んでた神様は人間を強く恨み怒り狂ってしまわれた……その復讐に偶然巻き込まれたってところね」
愛 「そ、そんな……!」
エマ 「璃奈ちゃんは悪くないのに……!」
希 (何言ってるんやろ、この巫女) 自分の中の歩夢のアドバイスということはすべり台のことは璃奈の推測なのかな 東雲公園は埋め立て前まで海の底だったんだよなぁ…
ポンコツすみれ可愛い すみれ 「でも強く祈れば、きっと助けられるはずです。そこのあなた、お互い頑張りましょう」
希 「そ、そうやね」
すみれ (お願いしますっ!! 私何にもできないんです!! あなたに懸かってます!! 頑張ってくださいーーー!!)
希 「じゃあ早速始めようか」
すみれ 「ええ、期待してるわ」
希・すみれ 「「……」」 グググ 希 「りんがべーぷわぷわーお……」 ブツブツ
すみれ 「!」
すみれ (なんか謎の言葉の羅列を言い始めたわよ!?)
すみれ (いや、きっと祈りの呪文とかなんだわ……全く知らないけど合わせるしかない!)
希・すみれ 「「まつおばしょうなかがわにもそまれ……」」 ブツブツ
希 (今だっ!)
希 「はっ!!!!」
すみれ 「これでどうよっ!!!!」 バチバチ
バチバチ
バチバチ
愛 「! 何か不思議な空間が見える……?」
希 「結界を破ることに成功したみたいやね。でもまだ完璧じゃない。それに……」
希 (このままここだけ破ってしまうと、もう一人の行方が掴みにくくなる。それならば!)
希 「もう一人もここに連れてくるっ!!」 グググ
すみれ 「おりゃぁぁぁぁーーーーーー!!!」 グググ
すみれ (もうやけくそにそれっぽく叫ぶっ!!) …
…
…
ゴゴゴゴ
ゴゴゴゴ
ゴゴゴゴ
璃奈 「!」
璃奈 (もう一つすべり台がある!?)
?? 「Why Japanese parkっっっっ!?」 スッーー
璃奈 「あなたは!?」 ミア 「ん? キミは? 確か同好会にいた……」
璃奈 「あなたもこの無限すべり台を滑ってるの……!?」
ミア 「まあね……はぁ、ほんといったい、何があったらこうなるんだ! 日本の公園はこんなにもCrazyなのか!?」
璃奈 「日本のすべり台全てがこんな特殊なわけじゃないよ。ここは怨念によって作られた特別な空間」
ミア 「怨念? おいおい、日本の映画はいくつか見たけど、テレビもないのに幽霊が出てくるのかい?」 璃奈 (まさかミアさんと会うだなんて……)
ゴゴゴゴ
ゴゴゴゴ
ゴゴゴゴ
ミア 「って向こう見て! 二つのすべり台がくっついてる!」
璃奈 「レールが合流する!?」
ミア 「このスピードで衝突したら……!」
璃奈 「大丈夫!! 僅差で避けるっ!」
スッ ミア 「あれ? 璃奈はどこに?」
璃奈 「後ろだよ」
ミア 「!」
璃奈 「無事合流できたみたい。あとは愛さんがなんとかしてくれるのを待つだけ」
スッーー
スッーー
スッーー
ミア 「……こうただ滑ってたら、気持ち良くてcoolなのに。はぁ、無限だなんて最悪だ」
璃奈 (そういえば……) 璃奈 「ふと思ったんだけど、ミアさんもこうなってるってことは、すべり台を滑ろうとしてたってことだよね」
ミア 「なっ!?」
璃奈 「ふふ、ミアさんも、すべり台滑るんだね。璃奈ちゃんボード『14歳年相応!』」
ミア 「うるさいっ!」
バチバチ
バチバチ
バチバチ
璃奈 「!? あれは……!」
璃奈 (すべり台の終点が見える……それにあそこにいるのは……!) 璃奈 「愛さん! エマさん!」 パァァ
愛 「りなりーー! 会いたかったよーー!!」
エマ 「本当に良かった……それにもう一人はミアちゃん?」
スッーー
スッーー
スッーー
璃奈 「!」
ミア 「おいおい、このスピードですべり台のゴールに着いたら……」
璃奈 「遠くに吹っ飛ばされちゃう……!」 エマ 「させないよっ!!」 ギュッ
ドカーーーーンッ
すみれ 「けほけほっ……どうなったの!?」
愛 「砂埃で全然見えない……!」
モクモク
モクモク
モクモク
ミア 「……あれ、ボク生きてる?」
璃奈 「ありがとうエマさん……!」
エマ 「ふふ、おかえりなさい。二人とも♪」 ダキッ 希 「ふっ!」 パァァ
希 (すべり台にあった怨念は全て消した……。あとはあの子たち次第やけど)
愛 「無事で良かったよぉぉ〜!!」 ギュッーー
璃奈 「愛さん、少し痛い……でも心配してくれてすごく嬉しい」
希 (まあ、あの子たちなら、同じ過ちは繰り返さないだろう)
希 「素人なのによく頑張ったやん、お疲れ様」 ポンッ
すみれ 「!? な、な、なんのことかしら!?」 ミア 「……さっきは慌てて呼んでしまったが、名前は璃奈で合ってるよな、えっと璃奈!」
璃奈 「ミアさん?」
ミア 「ありがとう。さっきはあんな強気に見せたけど、本当は永遠のすべり台がすごく怖かったんだ……でも途中でキミと会えたから……耐えられた」
璃奈 「……」
ミア 「えっと、ボクが勝手に感謝してるだけだから別に気にしなくても」
璃奈 「こちらこそ、ありがとうミアさん」
ミア 「!」
璃奈 「これからも仲良くしてくれたら嬉しい」
ミア 「……ああ、もちろんだよ!」 愛 「おおっー! 二人が友達になってくれて嬉しいよっ!!」 ダキッ
璃奈 「愛さん?」
ミア 「ちょ、抱きつくな、暑苦しいだろ!」
愛 「りなりーの友達なら、愛さんの友達でもあるからさ!」
エマ 「とにかくみんな無事で良かったよぉ……それにしてもまさかすべり台がこんなことになるなんて、不思議なこともあるんだね」
すみれ 「森を守ったりとか、なるべく神の怒りは買わないことね」
希 「……まあ今回は神というより、人の思いやけどね」 ボソッ
璃奈 「すべり台はしばらく乗らないでおく。璃奈ちゃんボード『ちょっとトラウマ』」 エマ 「じゃあ、あそこのブランコを漕ごうよ! せっかく友達が増えたんだから!」
ミア 「なっ、ボクはそんな子供の遊具なんか」
璃奈 「……ミアさんがいないと、寂しい」
ミア 「うっ……分かったよ、ちょっとだけだぞ」
コギコギ
コギコギ
コギコギ
エマ 「四人で並んで漕ぐブランコは楽しいね!」
ミア 「こんな子供騙しで楽しむなんて、ふん、お子ちゃまだね」 愛 「でも君も楽しそうに見えるけど?」 ニヤニヤ
ミア 「うるさいっ!!」
コギコギ
コギコギ
コギコギ
璃奈 (……何かおかしい?)
璃奈 「ブランコから降りれない……それにどんどんブランコの勢いが上がってるような……」
璃奈 「まさか『無限ブランコ』……!?」 愛 「ええっ!?」
ミア 「また怨念!?」
エマ 「……」
エマ 「みんなは私が守っていかなくちゃ」 ゴゴゴゴ
すみれ 「ってなんか、また四人とも焦ってるように見えるけど……」
希 「……あはは、まだまだ巫女さんの仕事はありそうやね」
おわり 面白かったよ、乙
スッーーっていう擬音?擬態?がなんかツボでジワってたわ ありがとうございました。
すべり台を降りる璃奈ちゃんに和んでたら、このssのアイデアが降ってきました。
勢いで誤魔化してます。
前作
璃奈 「恋愛感情を発生させる装置を作ってしまった」侑 「えー?」歩夢 「すごいね」
https://itest.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1649149518/ すみれを呼んだ愛さんが悪い
いや、実はすみれのおりゃーが良い方向へ導いたのでは なんか滑り台を頭から滑ったらボットントイレの中みたいな狭くて身動きまともに取れない異空間に閉じ込められる怪現象思い出した
なんだっけなあれ
それはともかくSS面白かった
最初は?で出てたのにすぐ名前出る巫女で草 すべり台を降りる璃奈ちゃんに和んでていて何があったらすべり台から降りられなくなりヒントをクソゲーに求める璃奈ちゃんを創造するんだ… 無限すべり台ってネタは面白かったし、
無限ブランコていうオチもいいね! ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています