千砂都「もうすぐホワイトデーかあ」 恋「早いですねえ」
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
千砂都「まあ考えてみればさ、バレンタインの一月後に来るんだからそりゃ早いよねって」
千砂都「一週間を4回だよ、4回過ぎたらすぐにやってくるんだよ?」
恋「何を当たり前のことを言ってるんですか」
千砂都「一度常識を見返してみるのって大事なことだと思うけどね。私は」
恋「正論ですね、確かに」
千砂都「そうでしょうとも」
恋「それで」
千砂都「うん」
恋「そのことで何かお悩みでもあるのでしょうか」 千砂都「なにが?」
恋「ホワイトデーの話ですよ」
千砂都「あー、分かっちゃう?」
恋「なんとなくですけどね」
千砂都「そこは言い切ってほしかったよ」
恋「すみません、癖みたいなもので」
千砂都「全く、せっかくバレンタインに特別なものを贈り合った仲だっていうのに」
千砂都「かなしいよ私は」
恋「言い方に少し語弊がありませんか?」 千砂都「え、事実でしょ?」
恋「確かに間違って無くはないですけど」
千砂都「じゃあそれでいいじゃん」
恋「いいんでしょうか……どうにも腑に落ちませんが」
千砂都「細かいこと気にしないの」
恋「結構大きめな問題だと思いますけどね」
千砂都「さーて、どうだか」 恋「…もういいです、なら話を戻させてもらいますが」
千砂都「うん」
恋「千砂都さんの抱えている悩みとは?」
千砂都「普通にお返しだよ、何にすればいいかなあって」
恋「私のですか?」
千砂都「いいや、恋ちゃんのはもうとっくに決まってるんだ」
恋「そうでしたか」
千砂都「真っ先に考えたからね」 恋「そこまではっきりと言われると少し恥ずかしいですね」
千砂都「えー照れないでよー、こっちまで恥ずかしくなるじゃん」アハハ
恋「全くそんな素振りが見えないのですが…」
千砂都「そう?」
恋「はい。あ、そういえば私も千砂都さんへのお返しは一番最初に思い浮かびましたよ」 千砂都「へえ〜、そうなんだ」
恋「一緒ですね、私たち」ニコ
千砂都「……ああ、言われる側になると確かに。だね」
恋「でしょう?」
千砂都「意地悪いよ、恋ちゃん」
恋「ふふっ、ごめんなさい」 恋「しかし、ということは他の皆さんから頂いたお返しになるのでしょうか?」
千砂都「そうなるね、これがなかなか難しくてさ」
千砂都「私一人じゃ選べないままかもなあ、なんて思ったり」
恋「付き合いましょうか?」
千砂都「いいの? わー、助かるなあ」
恋「……」
千砂都「どしたの恋ちゃん」
恋「上手く誘導されたような気がしまして」
千砂都「まさか、気のせいだよ」 千砂都「さて、そうと決まれば早速出かけようか。もうあまり時間もないし」
恋「いいですよ、でもその代わりに私からも一つお願いが」
千砂都「なに?」
恋「明日は私の買い物に付き合ってください」
千砂都「……へえ、決めかねているものでもあるのかな」
恋「実を言うと私も皆さんへの贈り物に迷っていまして」
千砂都「いいよー」
恋「千砂都さんならそう言ってくれると思っていました」 千砂都「それどういう意味?」
恋「そのままの意味ですよ」
恋「付き合いがいいですから、千砂都さんは」
千砂都「なーんか上手く誘導された気がするなあ」
恋「一緒ですね、あなたと」 千砂都「なんでも揃えればいいってもんじゃないと思うよ恋ちゃん」
恋「かもしれません、でも」
恋「合わせてみたくなるじゃないですか、どこか一つでも隣り合う部分があるのなら」
千砂都「隣り、ねえ」
恋「はい、それがいいんですよ」
千砂都「…まあ、そういうことなら」 千砂都「はい」スッ
恋「?」
千砂都「行かないの? 買い物」
恋「……いえ」クスッ
恋「是非ご一緒させてください」ギュッ
千砂都「なんでもいいけど、もうちょっと砕けた言いかた出来ないの」
恋「そんな細かいこと、今気にしないでくださいよ」
……
…
それから数日後……
千砂都「いやー無事終わったね、ホワイトデー」
恋「皆さんに喜んでいただけたようで良かったです」
千砂都「二人で選んだ甲斐もあったってものだね」
恋「ですが、やはり千砂都さんの言った通り、一週間を4回は間隔として短いですね」
恋「おかげで予想以上に懐が寂しくなりました」
千砂都「やっぱりそう思うよね?」
恋「はい、大いに思います」 千砂都「で、そんなすっからかんの恋ちゃんは私のために何を用意してくれたのかな?」
恋「お金に余裕がない人みたいに言わないでください、これです」
千砂都「これは、キャンディ?」
恋「飴玉です」
千砂都「名称は別にどっちでもいいよ」
恋「ポップで可愛らしいものを選んでみました」
千砂都「うん、かわいいねーこれ」 千砂都「そうだ、キャンディといえばさ。ホワイトデーで」
恋「はい」
千砂都「……あ、いや違った。今の聞かなかったことにしておいて」
恋「分かりました」
千砂都「とにかく、ありがとうねお返し」
恋「いえいえ、私も千砂都さんから貰いますから」
千砂都「食いつくねえ」
恋「それなりに待っていたものですから」 千砂都「だからそこは言い切ってほしいんだけどね」
恋「嘘です、ずっと待っていました」
千砂都「ん、じゃあどうぞ」スッ
恋「これは……なんですか?」
千砂都「私もさ、色々と考えたんだよ」
千砂都「バレンタインで恋ちゃんが私に花を贈ってくれたから、私もちょっと変わったお返し出来ないかなあってね」 千砂都「というわけで」
恋「はい」
千砂都「恋ちゃん宛の手紙を書いてきました」
恋「手紙……ああ成程、そういうことですか」
千砂都「どうかな?」
恋「とっても嬉しいです」
千砂都「中身もその期待に応えられたらいいけどね」クルッ
恋「もう帰るんですか?」 千砂都「だってそれ今読むつもりなんでしょ?」
千砂都「だったらとてもじゃないけどここに留まる気にはなれないってば」
恋「千砂都さんは私のことなどお見通しなんですね」
千砂都「それなりにはってやつだよ」
恋「なんですかそれ、私にはああ言っておきながら……」
恋「千砂都さん、あなたという人は…」
千砂都「ごめんごめん、今日のところは大目に見てよ」
千砂都「じゃあね恋ちゃん、また今度」 恋「ちょっと待って……もう、仕方ありませんね」
恋「ならせめて、問い詰める代わりにこちらの拝読を……」
恋「…………」
恋「……はあ」
恋「なんといいますか」
恋「回りくどいのか、それとも正直者なのか、これでは分かりませんね」
恋「でも、とても千砂都さんらしいです」
そして……
かのん「ねえちぃちゃん聞いた? 恋ちゃんが新曲出すって!」
かのん「しかも期間限定で!」
千砂都「知ってるよ、直接聞いたもん」
すみれ「けどいつの間に作ったんでしょうね、恋ったら」
可可「レンレン、抜け目ないデス……」
千砂都「さあ、いつからだろうね?」 かのん「でもどんな曲になるんだろう、やっぱり静かで落ち着いた雰囲気かな」
すみれ「案外アップテンポなやつとか?」
可可「ギャップ狙いでロック調!」
かのん「ね、ちぃちゃんはどう思う?」
千砂都「私? 私は、そうだなあ……」
『千砂都さん、お願いがあるのですが』
『この言葉、歌詞として使っても宜しいでしょうか?』
千砂都「……」クスッ
かのん「ちぃちゃん?」
千砂都「いや、ああ見えて恋ちゃんは結構乙女だからねえ」
千砂都「だから……どんな雰囲気になるのかはまだ分からないけど、テーマなら───」
千砂都「ラブソングだよ、きっとね」
あらあらかしこ
葉月 恋
ちなみに今回の話ですが、一応こちらのssの続きとなっています
千砂都「そろそろバレンタインだけど」 恋「はい」
https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1644290471/
もし宜しければ前回のほうも読んでいただけると嬉しいです 乙、
いい雰囲気の二人でとてもよかった
前作も読んだよ
会話の空気感がいいね 前作も読んでたから続き来てくれて嬉しいわ
今回のちされんもめっちゃよかった乙
あとホワイトデーにわざわざキャンディを贈る恋ちゃんはさぁ…直接言葉にはしてないのにちゃんとアピールしてるとこホントにすき ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています