歩夢 「イマジナリーフレンド」
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タッタッ
タッタッ
歩夢 「はぁ、はぁ、ここまで来れば大丈夫かな……?」
菜々 「……この手を離してくれませんか。強く引っ張られると痛いのですが」
侑 「逃げられたら困るからね、それは無理な相談だよ」
せつ菜 「歩夢さん、ロープを解いてくれてありがとうございます。きつく縛ってあって大変でしたよね」
歩夢 「ううん、気にしないで。ハサミを使ったからそこまで大変じゃなかったよ」
菜々 「……想像したものを再現する能力。恐ろしい能力ですね」
侑 「能力は使いようだよ。正しく使えば、それは誰にも恐ろしい思いなんかさせない」 >>832
普段の侑ちゃんは??には見えてなさそうだし、これは失策だな 歩夢 「ねえ、侑ちゃん。侑ちゃんはこの状況を分かってるんでしょ? 説明してほしいな、急に色んなことがあって難しくて……」
侑 「あくまで推測だけど、会長は、『中川菜々に変装させられた優木せつ菜』を演じることで、この場を切り抜けようとしたんだ」
せつ菜 「……菜々さんは大量の私が現れた後、慌てて私の髪を解き、自分の髪を結びました。そして、眼鏡も私から取り変装を戻すことで、一旦でもいい、この状況を止めようとしたんです。しかし、一度ずれてしまったアイデンティティは戻らなかった。大量の私が消えることはなかった」
菜々 「そこに足音が聞こえるものですから、本当に焦りましたよ……この大量のせつ菜ももちろんですが、何より倉庫に閉じ込めたせつ菜の存在が見つかったら、大変なことになる……と」 侑 「それで機転を利かせて、あたかも自分が会長に変装させられ椅子に縛り付けられた『優木せつ菜』であるかのように、振る舞った……」
菜々 「ちょうど格好は戻してましたからね。それに、どうせ格好の違いを無くした中川菜々と優木せつ菜を見分けることなんて誰もできない……そう思ってましたから、『この大量のせつ菜の中に中川菜々が隠れている』という嘘で切り抜けると思ってたんです」
歩夢 「だから能力のことも、生徒会長さんとせつ菜ちゃんが同一人物なことも、あっさり私たちに教えたんだね……」 菜々 「ええ。せつ菜に扮する中川菜々は見つからないまま、そのまま行方不明になったことにさえすれば、『仕方なく優木せつ菜が中川菜々も演じて過ごす』という状況が出来上がりますからね……しかし上手くはいかなかった。なぜ、私が中川菜々だと分かったんです」
侑 「……」
菜々 「やはり、歩夢さんが諦めて帰った後にせつ菜さんの場所を移動させようとしてたのもあって、早めに帰らせたい雰囲気でも伝わってしまいましたかね……演技は完璧だと思ったんですが」
侑 「いや、演技は完璧だったよ。本当にせつ菜ちゃんだと思ってた」
菜々 「では、なぜ……」 侑 「まず、会長さんがせつ菜ちゃんを逃さないように椅子に縛り付けてるにしては、腕も足も縛ってなくて、しかもたった一つの結んだロープも歩夢が手で解けるくらいには緩かったことが気になった。こんなんじゃ簡単に逃げられちゃうよ」
菜々 「……なるほど」
侑 「そして、決め手はさっきのせつ菜ちゃんたちの反応かな。反応が遅い人が生徒会長だって思ってたのに、みんな反応があまりにも早かったから、もしかしたらこの中に生徒会長はいないんじゃないかなって思い至ったんだ。案の定耳を澄ませてみたら倉庫の方からドタバタ聞こえたし」 歩夢 「会長さん……いや、菜々ちゃん。なぜこんなことをしたんですか。同じ自分であるせつ菜ちゃんをロープで縛るなんて!」
菜々 「……歩夢さん。あなたには分かりませんよ」
歩夢 「っ……」
菜々 「私は失敗したことは後悔しても、やったことは後悔してません。せつ菜が手にしたものを、私も手にしたかっただけですから」
侑 「……」
歩夢 「……」
歩夢 (後悔してない……それが本当なら、ここから私たちが説得できることなんて……) 侑 「歩夢、どうする?」
歩夢 「えっ?」
侑 「生徒会長さん……自分を偽ってる、そんな風に見えたから。それなら私たちにできることは、たった一つ。その隠した気持ちを掬いだすことだけ」
歩夢 「侑ちゃん……」
侑 「過干渉かもね。能力の暴走を止めるためであったとしても、その人の悩みまで解決しようなんてね。でも、関わった以上は歩夢にも後悔のない選択をしてほしい。仮に『ときめきを共有して』を使うとしたら、読み取った感情は歩夢とも共有されるから、そこからどうするかは歩夢に任せるよ」
歩夢 「……」 侑 「改めて聞くね。能力を使う? そして、読み取った感情を通して、歩夢はどうしたい?」
歩夢 「……私の気持ちはいつだって変わらない」
侑 「!」
歩夢 「せつ菜ちゃんにも、菜々ちゃんにも、目に映るすべての人に、笑顔でいてほしい」
侑 「……」
歩夢 「侑ちゃん! 能力を発動して!」
侑 「任せて!! 歩夢っ!!」
菜々 「! なにを……!」
侑 「能力『ときめきを共有して』!!」 能力が消えたらどちらかが消えそうだし難しい決断だね
元に戻るだけとはいえ 大変お待たせしました。
保守してくださった皆さま、本当にありがとうございます。
優木せつ菜(中川菜々)編、再開いたします。 —————
———
—
私だってスクールアイドルをやりたい
みんなと一緒に練習をしたい
もっと『大好きなこと』をそのままに
隠すことも誤魔化すこともなく
でもお母さんには笑顔でいてほしい
私も分かってる仕方ないって 大丈夫『私』には『私』の幸せがある
ほら大切な友達がそこに
でもその人すら彼女に奪われる
あなたが羨ましい
あなたが憎い
ごめんなさい
—
———
————— 菜々 「あっ……」 ポロポロ
菜々 「な、なんで、涙が止まらな……」 ポロポロ
歩夢 「うぅ……」 ポロポロ
菜々 「って、なんであなたも泣くんですか……!」 ポロポロ
歩夢 「だって……っ、菜々ちゃんの心が分かるから……!!」 ポロポロ
菜々 「っ……同情ですか!? やめてください!! 私はせつ菜さんを閉じ込めて成り代わろうとしたんですよ!? そんな私に同情なんか」 侑 「……能力を使って少し生徒会長の気持ちを読み取ったよ。そしたら、羨ましいって気持ち。それがすごく伝わってきた」
菜々 「っ! そうです、私はきっと、ずっと羨ましかったんです。それは分離した後に限らず、分かれる前からもずっと……」
せつ菜 「菜々さん……」
菜々 「菜々の姿のときの私は自由じゃない証だったから。そんな私の浅ましい嫉妬。そんなものに同情なんか……っ」
侑 「だけどもう一つ聞こえたんだ」
菜々 「えっ……?」 せつ菜 「『ごめんなさい』」
菜々 「!」
せつ菜 「『ごめんなさい』」
菜々 「今更謝ったって……!」
せつ菜 「いえ、そう聞こえたんです、私にも」
歩夢 「菜々ちゃんは、ずっと苦しかったんだよね。止められない思いもあったんだろうけど、せつ菜ちゃんを傷付ける度、感じる罪悪感もあって……」
菜々 「なっ、言ったでしょう! 私には後悔なんてないんです!! だってこれ以上、私は彼女から奪われたくなかったんだから!! そのために選んだこの道を、間違いだとは思ってません!!」
侑 「ううん、生徒会長さんは後悔してるよ」
菜々 「! 何を根拠に……!」 せつ菜 「もう、嘘をつくのはやめてください……私……っ!」
菜々 「!」
せつ菜 「根拠ならあるじゃないですか。今、何か不思議なものを感じたでしょう。きっとそれが根拠なんです」
菜々 「能力で私の感情を完全に読み取ったとでも!? 後悔なんてしてません!!」
せつ菜 「それに、能力を使わなくたって私には、菜々さんの気持ちが分かります……! 同じ『私』なんですから」
菜々 「っ……」
歩夢 「菜々ちゃん……感情の表面を読み取っただけだけど、それでもたくさんの後悔が見えたよ。『大好き』を我慢しないといけないこと、誰も悲しませたくないこと、そして、Lちゃんのこと……」 菜々 「なぜそこでLさんが出るんですか……!」
歩夢 「だけど、それは後悔しなくて良いんだよっ!!」
菜々 「! どういうことです……?」
侑 「……生徒会長のせつ菜ちゃんに対する嫉妬の中心は、おそらく彼女のことなんだと思う。でもそれなら、生徒会長は嫉妬する必要なんてない。だってこう言ってたから」
歩夢 『会長さんとは友達なんだよね?』
生徒L 『はい! 昨日なったばかりですけど、カラオケにもゲームセンターにも行って、すごく楽しくて……時間なんて関係ない、大切な友達です!』
菜々 「大切な友達……」 侑 「きっと、Lちゃんはせつ菜ちゃんの大ファンだから、彼女もせつ菜ちゃんに奪われるのかと思ったのかもしれないけど、違うよ。『大好きなアイドル』と『大切な友達』そんなの、同じ天秤にかけるものじゃない!」
歩夢 「Lちゃんは『せつ菜ちゃん』のことが大好きだけど、Lちゃんと友達なのは、『菜々ちゃん』だけ……菜々ちゃんだけの特権なんだよ!!」
菜々 「!」
歩夢 「もう嘘はつかなくていい……正直な思いを教えて菜々ちゃん……!!」
菜々 「……」
せつ菜 「菜々さん……」 菜々 「……私は、焦りすぎたのかもしれません。せつ菜さんと比べなくたって、こんなにも幸せなことはあった」
菜々 (……羨ましかった。ずっとあなたが羨ましかった。でも、『私』にも大切なものはあった。あたかも何もないように、思い込んでしまっていただけだった)
菜々 「人と比べるというのは、あまり良くないことですね……自分に無いものばかりが見えてしまう。それこそ適材適所という言葉があるように、『中川菜々には中川菜々の、優木せつ菜には優木せつ菜の場所がある』それぞれの幸せはあったはずなのに」
せつ菜 「……」
菜々 「……」 せつ菜 「……バカみたいですね」
菜々 「えっ?」
せつ菜 「だってお互いがお互い、自分自身に嫉妬してるんですよ。バカみたいじゃないですか」
菜々 「せつ菜さん……」
せつ菜 「私もあなたが羨ましかった。あなたの嫉妬に全く気付かないで。本当バカなものです」
菜々 「……」
せつ菜 「でも、自分自身に嫉妬し合うだなんて、そんな経験をしたのは世界で私たちだけ……そう思うと少し得した気分になりません?」 チラッ
菜々 「……ふふ、ですね」 チラッ せつ菜・菜々 「「っ」」
せつ菜・菜々 「「あはははははは」」
侑 「……仲直りしたのかな」
歩夢 「……分からないよ。きっと、二人のことは二人にしか。でも」
侑 「?」
歩夢 「二人とも笑ってる……それだけで十分だよ」
侑 「……だね」
…
…
… せつ菜 「菜々さん、ごめんなさい。あなたの気持ちをもっと理解するべきでした……『大好き』は二人一緒なのに……」
菜々 「謝るべきなのは私の方ですよ……ありがとう、せつ菜さん。こんな私にそんな優しくしてくれて……」
侑 「……やっぱり分かり合うことは大事だね。でもまだ解決してるわけじゃない」
ワイワイ
ワイワイ
ワイワイ
侑 「……体育館から声がたくさん聞こえる」
歩夢 「! 侑ちゃん!?」 侑 「あのせつ菜ちゃんたちを、暴走した能力を、止めないと、また問題が起きるかもしれない。放っておくわけにはいかないよ」
せつ菜・菜々 「「……」」
せつ菜 「菜々さん、今回のことに関しては、私の責任も大きくあると思います。だから、改めて話し合って、二人とも納得できる道を探しましょう」
菜々 「……二人とも納得できる道?」
せつ菜 「はい。やっぱり能力なんかに頼ってはいけなかったんです。どんなに苦しくても、自分らしさを変えるべきじゃなかった」
菜々 「それって……」 せつ菜 「戻りましょう。『優木せつ菜』が虚構なら、消えても構いません。あなたが私の意志を継いでくれるなら……!」
菜々 「!」
歩夢 「せつ菜ちゃん!?」
せつ菜 「さっき、菜々さんが姿を戻しても、大量のせつ菜は消えることはなかった。和解した今でも消えてない。きっと、このままでは永遠に分離し続ける。能力は暴走し続ける」
歩夢 「それはそうかもしれないけど、だからって……!」
せつ菜 「……今更一人に戻っても、ここまで二人の人格が乖離してしまっては、もう普通には戻れない。そして、アイデンティティの不安定さが能力の暴走を招くなら、どちらかが消えるしかない。それならば」
歩夢 「そ、そんな……」 せつ菜 「『優木せつ菜』が消える、これが正しい選択なんです」
菜々 「せつ菜さん……」
歩夢 「う、嘘だよね? 元々『菜々ちゃん』も『せつ菜ちゃん』も、どちらも欠かせない存在として過ごせてたんだよね? それなのに、いざ戻ろうとしたらどっちかが消えなくちゃいけないんだなんて……」
せつ菜 「歩夢さん、分かってください。私たちは分離した後、あまりにも個々の人格が独立してしまったんです。もはや『中川菜々』と『優木せつ菜』は別人。もう暴走を止めるには、これしか……!」
菜々 「……いえ、消えるなら私です」
せつ菜 「!」 菜々 「今回の騒動の原因は私です。それに、せつ菜さんはこれからも多くの人を笑顔にする役目がある。消える方は明白でしょう」
せつ菜 「そんなこと言わないでください……!!」
菜々 「これがせめてもの、償い。そして、あなたへの恩返しです」
せつ菜 「なっ!? 良い加減にしてください!! あなたにも『大好きなもの』がある!! そうさっき気付いたばかりなんじゃないですか!?」
歩夢 「……」 プルプル 菜々 「っ、だとしても!! 私があなたに嫉妬して成り代わろうとしなければ、こんなことにならなかった!! 責任として私が消えるべきなんです!!」
せつ菜 「大切な友達はどうするんですか!? 生徒会のみなさんはどうするんですか!? 菜々さんを信じてる人たちがたくさんいるのに!!」
菜々 「……せつ菜さんに託します。無責任なのは申し訳ありませんが、あなたが消えるわけにはいかないんです!!」
せつ菜 「っっ、素直になれない頑固者!! あなたはおバカさんです!!」 歩夢 「二人ともバカだよっ!!!」
菜々・せつ菜 「「!?」」
歩夢 「なんでもう諦めちゃってるの!? 菜々ちゃんも、せつ菜ちゃんも、二人とも助かる道がまだあるかもしれないのにっ!!」
菜々 「……」
せつ菜 「歩夢さん……」
侑 「……アイデンティティが完全に分離してしまったから、もう戻れない。でもこの暴走を止めて、大量のせつ菜ちゃんをなんとかするためには、アイデンティティの揺らぎを止めなくちゃいけない」
菜々 「ええ、そうです。だから、どちらかが消えて、アイデンティティを安定させる必要が……」 侑 「なら、心を合わせれば良いんじゃないかな」
菜々 「えっ?」
侑 「元々二人は一人だったんだ。もう一度、心を合わせて強く願えば、もしかしたら」
歩夢 「そ、そうだよ! そうすれば、今とは変わっちゃうかもしれないけど、どっちかが消えることは無くなるよ!!」
せつ菜 「し、しかし……先程から私は分かり合えたつもりでした。それでも戻らないということは不可能なのでは……もしかして菜々さん、心の底ではまだ私のこと怒ってます?」 菜々 「そ、そんなわけありません! もうせつ菜さんを怒ったり、憎んだりしてる気持ちはありませんよ!!」
歩夢 「まだ心の繋がりが弱いのかな……?」
侑 「うーん、だとしたら……どうすれば……」
ボワッ
歩夢 「えっ? 急に黒い霧が?」
侑 「っ、危ない歩夢っ!!」 スッ
ドカーーーンッ
侑 「がはっ!?」 歩夢 「侑ちゃん!?」
菜々 「侑さんが吹き飛ばされた!?」
せつ菜 「いったい何が……ってあのシルエットは……」
せつ菜影 「……」
せつ菜 「なんだか色が暗いですが、あの姿形は私……!?」
菜々 「……もしかして能力がさらに暴走して」
せつ菜 (何か、心が不安になるような、どよめきを感じます。もしかして)
せつ菜 「大量のせつ菜が『菜々さんの優木せつ菜への憧れ』なら、あの影のようなせつ菜は『心の不安』が形になったものなんじゃ……」 歩夢 「侑ちゃん、大丈夫!?」 タッタッ
侑 「うん、大丈夫だよ……でも、あの影、普通の人間が食らったらタダじゃ済まないだろうね……」
歩夢 「そ、そんな……せつ菜ちゃん! 菜々ちゃん! 早くそこから逃げて!!」
せつ菜影 「……」 シュッ
せつ菜 「!?」
菜々 「せつ菜さんっ!!」
せつ菜 (まずい、逃げられないっ!!) 侑 「歩夢!! アイス棒!! ここからぶん投げるから!!」
歩夢 「分かった!」 ムムム
侑 「よしっ、くらえっ!!」 ブンッ
せつ菜影 「!」
侑 「一度使った技はイメージしやすいから、すぐ出せるんだよ!!」
せつ菜影 「……」 スッ
侑 「ええっ!? すり抜けた!?」 菜々 「でも相手が動じてます、せつ菜さん早く!!」 ギュッ
せつ菜 「は、はい!!」 タッタッ
侑 「とりあえず距離は取ったけど……」
歩夢 「すり抜ける相手にどうすれば……」
せつ菜 「しかも先程の攻撃を見るに、あっちからの攻撃は通るようですね……」
ボワッ
せつ菜影2 「……」
菜々 「ってもう一人!?」 侑 「能力の暴走が悪化してるみたいだね……体育館にいるせつ菜ちゃんたちに追いつかれたらどうしようもなくなるし、なんとかして早く決着をつけないと……」
せつ菜影2 「!」 シュッ
せつ菜 「こっちに来ましたよ!?」
侑 「とりあえず私が止める!! 防戦一方なのはしんどいけど仕方ない!」
せつ菜影2 「……!」 タッタッ
侑 「おりゃぁぁぁーーーーー!!! 侑ちゃんガードぉぉぉーーーー!!」 せつ菜影2 「……」 グググ
侑 「って、やっぱりどんどん力強くなるよねぇ……うーん、どうすれば……」 グググ
せつ菜 (私だって何もしないで見てるわけじゃありません!!)
せつ菜 「くらぇぇぇぇぇーーーーー!!! せつ菜パンチぃぃぃぃーーーー!!」
侑 「ええっ!? せつ菜ちゃん!?」
せつ菜影2 「!?」 ドカッ
歩夢 「えっ、よろめいた……?」 侑 「もしかして……! せつ菜ちゃんの攻撃は当たる!?」
せつ菜影 「!」 シュッ
せつ菜 「もう一人いつのまに!?」
菜々 「させません!!」 パンチ
せつ菜影 「!?」 ドカッ
菜々 「……なるほど、どうやら私のパンチも効くようですね」 更新来てた
もしかして一人に戻る以外の展開もあり得るのかな 歩夢 「でもあの攻撃が当たったらタダじゃ済まないんだよね……? 二人を前線に立たせるわけにはいかないよ!」
せつ菜 「それに……」 ガクガク
歩夢 「せつ菜ちゃん!? 震えてるよ!? 大丈夫!?」
菜々 「特撮を見てたとはいえ、やはり戦闘経験がありませんから……怖いのかもしれません」 ガクガク
侑 「ふ、二人とも……」 せつ菜影・せつ菜影2 「「!!」」 タッタッ
歩夢 「侑ちゃん!! 今度は二人同時だよ!?」
侑 「っ、二人は防げるか!? いや、防ぐしか道はないんだ!!」
菜々 「……」
せつ菜 「……」
菜々 「せつ菜さん。分離してから、ずっとお互いの気持ちが分からなかった私たちですが……今のあなたの気持ちは、分かりますよ」
せつ菜 「同じくです。私にも分かります。菜々さんの悔しさ、そして願っているものが」 菜々・せつ菜 ((何もできない自分がもどかしいっ……))
菜々・せつ菜 ((そう、立ち上がれる勇気が欲しい))
菜々 「私たちが勇気を貰うと言ったら、やっぱりあれですよね」
せつ菜 「……はいっ、特撮ですっ!!」
菜々 「侑さん!!」
侑 「えっ!? どうしたの!?」 菜々 「さっき投げたベルト……また出せますか?」
侑 「もちろん、出せるけど……」
菜々 「お願いがあります。それを私たちにください。勇気を貰いたいんです、立ち向かう勇気が!!」
侑 「!」
せつ菜 「お願いします!!」
侑 「……どう転ぶかは分からないけど、なんだか信じたくなったよ。歩夢!」
歩夢 「うん!!」
パァァ せつ菜 「よし、ベルト装着ですっ!」 ガチャ
菜々 「やっぱりせつ菜さんの方が付け慣れてますね。でも特撮好きなら負けませんよ!!」 ガチャ
せつ菜 「では、かっこよく行かせてもらいます!!」
バンッ!
せつ菜 「幻のスクールアイドルは正義のヒーローでもある!! 悪は許さない!! 優木せつ菜!!」
侑 「おおっ、せつ菜ちゃんかっこいい!」
せつ菜 「ほら菜々さんも!」 菜々 「ええっ!? それ私もやるんですか!?」
せつ菜 「時間がありません!!」
菜々 「うぅ……///」
バンッ!
菜々 「眼鏡の奥には燃え上がる熱い瞳!! みんなの笑顔を守るため!! 中川菜々!!」
菜々 「絶対にっ!!」
せつ菜 「負けませんっ!!」 菜々 「……」
せつ菜 「……」
侑 「……すごいよ、二人とも!!」
歩夢 「……まるで本物の特撮を見てるみたいだったよ!!」
菜々 「うぅ……/// 恥ずかしすぎます……///」
せつ菜 「いや意外に乗り気だったじゃないですか! しかも即興の割に凝ってたし、普段から考えてたでしょ!!」 ゴゴゴゴ
せつ菜 「それにしても、なんだか力が湧いてきます……! やっぱり勇気を貰えたんでしょうか!!」
菜々 「これならきっと勝てます!!」
せつ菜 「今度こそくらいなさい!! せつ菜パンチぃぃぃぃーーーーーーーー!!!」
ドカーーーンッ
せつ菜影 「っっ!?」
せつ菜影 「……」 バタンッ ボワッ
歩夢 「消えた……!? 倒せたってこと!?」
侑 「ど、どうして……せつ菜ちゃんの能力は別に身体強化とかではないはずなのに……」
せつ菜 「これこそ、私に秘められた真の力です!! 能力者以前に私は選ばれたヒーローだったんですよ!! 違いありません!!」 ペカー
侑 「いや違う。歩夢が召喚したベルトに私たちの力が込められていて、そのベルトでパワーアップしたんだ。せつ菜ちゃんたちの攻撃しか当たらないなら、これが一番有効な案……」
歩夢 「そこまで考えてたなんて……さすがせつ菜ちゃんだね!!」
せつ菜 「いや……私は選ばれたヒーローで……」 本人がその気になってるんだから冷静に否定せんでもw せつ菜影2 「!」 シュッ
歩夢 「ってせつ菜ちゃん! 後ろ! 影が近付いてるよっ!」
せつ菜 「ふふ、大丈夫ですよ、歩夢さん」
歩夢 「えっ?」
菜々 「……私がいますからっ!!」
ドカーーーンッ
せつ菜影2 「っっ!」
せつ菜影2 「……」 バタンッ
ボワッ なぜからっかせいから、やわらか銀行に表記が変わってますが、気にしないでください。 せつ菜 「……自分を信頼できなければ、何事もできません。背中は任せてましたから」
菜々 「……自分を信頼できなければ、ですか。あはは、耳が痛いですね。でも、頼ってくれてるなら嬉しいです、ありがとう」
歩夢 「とりあえずこれで影は消えたのかな……」
侑 「いや、まだだよっ、歩夢!」
ボワッ
ボワッ
せつ菜影3・せつ菜影4 「「……」」
せつ菜 「仮にどんなに敵が現れたとしても、私たちは負けませんよっ!!」 ゴゴゴゴ
せつ菜 「ん?」
菜々 「なっ! 黒い霧が集まって影たちが……!」
巨大せつ菜影 「!!」 ドンッ
せつ菜 「ちょ、それは反則じゃないですか!! こっちは合体ロボットとかないのにっ!!」
歩夢 「彼方さんのときの巨大ぬいぐるみと言い、私たちってもしかして巨大な敵に縁でもあるのかな……?」
侑 「そんな縁があったら、これからも厳しい戦いが続きそうだね……」 アハハ レス数が900を超えています。1000を超えると表示できなくなるよ。