勝手に【ラブライブ 第3期】を作ってみた 〜ダイジェスト 〜
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第1話(1−1)
『音ノ木坂の春』
4月。
新入生を迎える音ノ木坂。
校内は明日に控える入学式の準備が、忙しなく行われていた。
時を同じくして、校舎の屋上には元『μ's』の新2年生3人の姿があった。
進級を機に練習着を新調した彼女たちは、明後日に予定されている『部活紹介を兼ねた新入生歓迎会で披露する曲』の練習をしていた。
「何人くらい入部するのかにゃ」
「雪穂ちゃんと亜里沙ちゃんは確定として…」
「10人くらい?」
「そんなに来たら、部室に入りきらないでしょ」
「確かに」 (1−2)
「そうしたらさ、屋上(ここ)に屋根をつけて、新しく部室を作ろうよ!」
『明日の準備』を終えた穂乃果たちが合流した。
「わぁ、素敵!雨の日も練習できるネ!」
「そんなお金がどこにあるのですか!」
海未が呆れて、穂乃果とことりに言う。
「!!」
一瞬の間をおいて、5人が真姫の顔を見た。
「ヴェ〜…何それ!?意味わかんない」
彼女のリアクションに一同が笑った。
練習を終え、部室に戻り、ポスターやチラシを手分けして作成する6人。
それぞれが去年のことを想い出しながら作業している。
「あれから、1年経ったのですね」
そう呟いた海未に、5人は感慨深げに頷いた。 第2話(2−1)
『2人…だけ?』
入学式が終わり、1年生の教室。
「絢瀬亜里沙です」
ひときわ目立つ金髪碧眼の美少女の自己紹介に、クラスメイトがざわついた。
「ひょっとして…絢瀬って…あの?」
「はい。宜しくお願い申し上げます!!」
無邪気に微笑む亜里沙。
どよめく一同。
一方…
「高坂…雪穂です…」
眼鏡を掛けた彼女は控えめに言ったが、やはりクラスメイトはざわめいた。
「ひょっとして…高坂って…あの?」
「う、うん…まぁ…」
ちょっと困った顔で、返答する雪穂。
どよめく一同。 (2−2)
雪穂と亜里沙は放課後、スクールアイドル研究部の部屋のドアを叩く。
キラキラと眩しく輝く制服姿の2人に、中にいた上級生たちは「おぉ…」と感嘆の声を上げた。
「よっ!有名人!」
穂乃果が茶化す。
「からかわないでよ…」
妹は少し怒った。
『μ'sの絵里と穂乃果』の妹が入学した。
その話は同級生ならず、あっと言う間に上級生にも伝わり、入学初日にして注目の的だ。
廊下を歩くだけでも視線が突き刺さる。
「さすがにちょっと恥ずかしいです」
亜里沙は苦笑した。
「それより、お姉ちゃん、明日の発表会頑張ってよね!」
「皆さん、楽しみにしています!」
「まっかせるにゃ〜!!」
凛が無い胸をドンッと叩く。 (2−3)
翌日。
披露した曲は『これからのSomeday』。
割れんばかりの歓声と拍手。
ステージは大成功に終わった。
勢いそのままに勧誘活動を行う6人。
しかし…
ポスターを眺めたり、部室の前を行ったりきたりする者はいるものの…3日経っても入部希望者が来ない。
「う〜ん…誰も入ってこないねぇ…」
1年前のファーストライブが穂乃果の脳裏によぎった。 第3話(3−1)
『ゆきあり勧誘大作戦』
雪穂と亜里沙は、自分たちしか入らないなら、それはそれでいいと思っていた。
気心が知れてる2人だけの方が、やりやすい。
しかし、姉たちが落ち込んでいる姿を見ると、いたたまれない気持ちにもなる。
μ'sの人気がない…というのも納得がいかなかった。
そこで取り敢えず、クラスメイトに片っ端から声を掛けてみた。
結果、数人、興味がありそうな者を見つける。 (3−2)
まずは勧誘のポスターをガン見していた、黒髪ショートボブの『倉田桃子(くらたとうこ)』。
「アイドルの知識なら負けないけど…表舞台に立つ柄じゃないから…見ているだけで充分」…という、どこかで聴いたようなセリフを発する。
身長も『にこ』より低そうに見え、そこにコンプレックスを持っているようだった。
次にセミロングの黒髪と、フレームレスのメガネが印象的な『二階堂和香(にかいどうわか)』。
彼女は、穏やかそうな外見とは違い、趣味はヒップホップ…だとクラスの自己紹介で述べていた。
「踊ることは好きだけど、ジャンルが違うし…それに…「『見ゅ』の看板が大きすぎて…一緒にステージに立つなんて畏れ多い」と言った。 (3−2)
そして、部室の前で何度か見掛けたことのある、明るい色の髪を緩く三つ編みにしており、かなり長身の『北見奈美(きたみなみ)』。
「スクールアイドル研究部ねぇ…興味はあるわ。でも…あなたたちが入るとなると話は別よ。想定外。どう見ても私は引き立て役になるじゃない…」と『偉大なる姉を持つ2人』に、拒否反応を示す。
確かに…μ'sメンバーの…関係がごくごく近い者たち以外…は、穂乃果と絵里に妹がいたことなど知る由もない。
ましてや、音ノ木坂に入学して…さらにはスクールアイドルを始めようとは…思いもよらなかったことだろう。
それを聴き、頭を悩ませる6人と2人…。 (3−4)
入部に躊躇している同級生に、雪穂と亜里沙の必死の勧誘活動が始まる。
まずは「μ’sは特別な存在ではない」と力説した。
(にこと花陽は別として)みんな、スクールアイドルの知識などなく、全員が素人だったこと。
ラブライブの優勝は、周囲の協力と本人たちの努力で手に入れた優勝だったこと。
その話を聴いて、驚く彼女たち。
そして、次に『いかに姉がダメダメか作戦』を展開。
『穂乃果や絵里のポンコツ、グダグダエピソード』に、彼女たちは徐々に心を許していく。
最後に…「自分たちもゼロからのスタート」「挑戦者」…だと語った。
その成果が実り、体験入部を経て、ついに更なる3人と…
なりゆきで…桃子の家にホームスティしているブラジルからの留学生…日本のアニメ大好きな褐色の肌を持つ『デルフィナ ダ シルバ』…が入部することになった。 第4話(4−1)
『禁止を禁止』
「どうしたの!!」
一同は桃子を見て驚きの声を上げた。
彼女の黒髪は一部ピンク色に染められていた。
インナーカラーというヤツだ。
「自分を変える為の…決意の現れです!」
「お、思い切ったことをしたね…」
「はい!今日からはこれを機に『ケイティ』って呼んでください!」
「ケイティ?」
「私、桃子って書いて『とうこ』って読むんですけど『ももこ』って呼ばれることが多くて…。私はとうこです!って意味で、倉田のKと桃子のTで…」
「ケイ…ティ…」
「あ、なるほど…」
(ちょっと、にこちゃんっぽいところがあるなぁ…)
穂乃果たちは、みんなそう思った。
そんなこんながあって、12人での練習が始まった。 (4−2)
練習は常に騒がしい。
「お姉ちゃん、もう少し、優しく教えてよ」
「えぇ!?これくらいのこと、わかるじゃん」
「お姉ちゃんのバカ!」
「海未ちゃん、雪穂がバカって言ったよ」
「そういうことは家でやってください」
「だって、雪穂が…」
「穂乃果さん!海未さんに迷惑を掛けちゃだめですよ。ですよね?」
「は、はい…その通りです…」
「ぷぷぷ…亜里沙に怒られてる…」
「雪穂!あとで覚えてなさいよ!」
…と一事が万事、この調子である。 (4−3)
雪穂も亜里沙も、身内であるが故に上級生を『さん付け』で呼ぶ。
いや、これまでのμ'sの取り決めは『先輩後輩禁止』であったのだから、その呼び方は間違ってはいない。
だが、あとから入った4人は…さすがにそうもいかず『〇〇先輩』と呼んでいる。
最初は…彼女たちのやり取りを微笑ましく見ていたメンバーも…さすがに度が過ぎると感じるようになっていた。
上級生も、そこは気になっていた。
どうしても、自分たち『μ's』の話が主体となってしまう為、雪穂たち2人をつい『身内扱い』しがちで、無意識のうちに『ほか4人』と区別して接することが多い。
これは良くない。
意を決した花陽はある決断を下す。 (4−4)
「今日から『先輩・後輩禁止』を『禁止』です。みんなといるときは…雪穂ちゃんは穂乃果ちゃんのことを『お姉ちゃん』じゃなくて『穂乃果先輩』と呼んでね」
「は、はい!」
「私たちも、亜里沙ちゃんと雪穂ちゃんを特別視しないから…」
「はい!」
「穂乃果ちゃんも…学校では妹としてではなく、後輩として接してください!」
「うん、わかったよ」
「あ、改めまして…宜しくお願いします。穂乃果先輩」
「うん、雪穂ちゃん」
「…」
「…」
「うひゃあ…気持ち悪い!!」
2人の声がシンクロした。
音ノ木坂の屋上に、大きな笑い声が響く。
兎にも角にも、こうしてスクールアイドル研究部は、上下関係の厳しい部活へと生まれ変わったのだった…。 第5話(5−1)
『怖がらなくてもいいじゃない』
真姫は悩んでいた。
「そこはもっと、のびのびと歌って!」
「何回も同じこと言わせないの!そこのアクセントを直して」
あの口調、あの性格が災いして、後輩と上手く接することが出来ないからだ。
海未も練習の時は鬼と化すが、普段は穏やかだ。
『彼女の本来の姿(?)』を知らない者からすれば、文武両道の大和撫子。
下級生から憧れの存在として、ファンも多い。
もちろん亜里沙もその一人。
そして『日本文化オタク』であるデルフィナも、海未の事を好いてるらしい。 (5−2)
それに比べて私は…。
部員以外の1年生からは『孤高のピアニスト』と呼ばれていると聴いて、苦笑した。
「カッコいい!凛もそういうあだ名が欲しいにゃ」
凛はそう言うけど…つまり、それは『ひとりぼっち』って意味でしょ?
気にしない素振りはしてるけど、内心、傷ついているのよ。
どのように接したらいいか悩んでいるのは、1年生も同じだった。
必要最低限なこと以外喋らない真姫に対して、雪穂と亜里沙でさえ自ら話し掛けることができない。 (5−3)
このままじゃいけない…。
真姫は思い切って、絵里に電話をした。
「私の場合は…先輩後輩を禁止して距離を縮めたけど…それは花陽がやめたっていうし…」
「あったとしても変わらないわよ」
「そうかしら…でも…そうね…無理をしなくてもいいんじゃない?いずれ、時が解決するわ」
「そういうもの?」
「自分を信じなさい。私は見ゅに入って変わったわ…真姫はどう?」
「…」
「あなただって1年前の真姫じゃないでしょ?まずは挨拶から初めてみたら」
「挨拶…ね…」
「お、おはよう…」
次の日の朝、後輩に会った真姫は先に声を掛けた。
彼女たちは驚いた顔をしたが、すぐ、にこやかに「おはようごうざいます!」と返事があった。 (5−4)
「真姫ちゃんが、先に挨拶なんて…熱あるにゃ?」
「ないわよ」
「それじゃあ、雪でも降るのかにゃ」
「どうしてそうなるのよ!花陽、凛が虐めるの…何とか言って」
「ふふふ…凛ちゃん、そんなこと言っちゃダメだよ」
「にゃ?真姫ちゃんは、かよちんといるとすぐ甘えんぼさんになるにゃ」
顔を赤らめる真姫を、凛が冷やかす。
「ちょっと凛!」
「ひょえ〜真姫先輩も、あんな表情するんだね」
「…デレる真姫先輩…なんか意外な一面を見た気がする…」
「そういえば…花陽先輩といるときの真姫先輩って、すごく穏やかな顔をしてるよね」
「ナルホド、ナルホド」
「なにが、なるほどなの?」
「ツマリ真姫先輩ハ、花陽先輩ノコトガ…」
「あっ!」
デルフィナの言わんとすることを理解した一同。
イチャつく2人を想像して顔がにやける。
「なぁんだ、真姫先輩も可愛いところあるじゃん」
真姫の意図とは少し違ったようだが、どうやら後輩との距離は少し縮まったようだった。
「くちゅん!」
「ほら、真姫ちゃん、風邪ひいたんじゃない」
「だから、違うってば!」
先を歩く3人の姿を、ぼーっと見つめる雪穂。
「どうかした?」
「!!…ううん、なんでもない…さ、行こう!」 第6話(6−1)
『わかってるにゃ』
「だいたい、穂乃果はいつだって、いい加減すぎるんです!」
「部屋に入ってくるなり騒がしいわね、一体何したのよ」
「あはは…生徒会の書類の上に、ジュースをこぼしちゃってさぁ…」
「穂乃果ちゃんらしいにゃ」
「らしい…で済まされる話じゃありません!!そもそも…」
「海未ちゃん、海未ちゃん…あんまり雪穂ちゃんの前で、怒るのは良くないと思うよ…」
「そうだよ!ことりちゃんの言う通り!一応、穂乃果にだって姉の威厳というものがあるんだから」
「あっ…それは失礼しました」
「ねっ?前に言ったでしょ?高坂穂乃果はみんなが崇め立てるようなスターじゃないんだって…」
雪穂の言葉に同級生がクスクスと笑った。 (6−2)
「そういう凛ちゃんも、職員室で先生に怒られてたよね?」
「にゃ?…テストの点数が少しだけ足りなくて…ゴメン!かよちん、今日の夜、勉強教えて欲しいにゃ…」
「えっ…あっ…うん…じゃあ、ご飯食べたら行くね?」
「ちょっと、いい加減にしなさい。人にばっかり頼らないの!そんなんじゃ1年生もついてこないわよ…」
「わ、わかってるにゃ…」
「花陽も甘やかすのやめなさいよ。あなただって部長を任されて、いっぱいいっぱいなんでしょ?」
「う…うん…それは…まぁ…でも…」
「そんな調子じゃ、また『赤点取ったら活動中止!』なんて言われるわよ…あなたたち1年生も…勉強はちゃんとやりなさい」 (6−3)
真姫ちゃんのバカ!
凛が悪いのはわかってるにゃ…。
わかってるけど…さ…。
1年生の見てる前で言わなくてもいいと思うんだけどなぁ…。
凛は落ち込んだ。
悩みに悩んだ末、希に電話した。
「凛、かよちんに迷惑かけないようにしたい。このままじゃ、かよちんに嫌われちゃうにゃ…あと、後輩にバカにされないようになりたいにゃ」
「バカにはしてないんやない?」
「でも今度の1年生、みんな頭良さそうなんだよ」
「こればかりは、自分が頑張るしかないと思うんやけど…」
「魔法のおまじないみたいなのはない?」
「ウチはにこっちやないからなぁ…魔法使いは始めてないんやけど」
「?」
「いや、別に…まぁ、神頼みしても…努力しない人には応えてくれないと思うよ」
「うにゃ…」
「う〜ん…そうしたら、朝一、神社のお掃除なんてどうやろか?ウチが紹介するよ」
「えっ?」
「昔から早起きは三文の徳…っていうやろ。自分の心を清めるつもりで、朝練の前に行ってご奉仕する。そういう習慣を付ければ、自ずとやるべきことがきちっと出来るようになるんやないかなぁ」
「凛には無理だにゃ」
「やらないうちから、諦めたらいかんよ!相手は神様やん。頑張る姿はちゃんと見てくれるよ」
「…」 「あれ?凛ちゃん、今日は早いね!」
朝練をしにきた花陽が驚く。
「そう言う、かよちんこそ」
「わ、私は…ほら…朝ごはんの準備があるから、早起きなだけで…」
「凛、知ってるよ…かよちん、毎日、夜遅くまで練習日誌を書いてるよね?」
「ん?それは…ほら、趣味みたいなもので…」
「それなのに凛、何もしないで…勉強教えてだなんて…」
「真姫ちゃんの言葉なら気にしなくて…」
「それじゃダメなの!凛がダメなの!」
「凛ちゃん?」
「あのね…かよちん…今までゴメンにゃ…」
「へっ?」
「凛…やるにゃ!かよちんに捨てられたくないから」
「捨てる?凛ちゃんを?」
「な、何でもない!さぁ、ストレッチを始めるにゃ!!」
継続は力なり…や!
がんばれ、凛ちゃん!
ジョギング途中と思われる、フードを被ったパーカー姿の胸が大きい女性は…境内の木の陰から、そっと呟いた。 第7話(7−1)
『部長SOS』
今年も昨年同様、オープンキャンパスが開催されることとなり、穂乃果たちに「ライブをやってほしい」と理事長から声が掛かった。
ところが…二つ返事で快諾したものの2年生と3年生は、なかなかパフォーマンスが上がらない。
理由は明らかだ。
μ'sとして過ごした、1年間があまりにも濃密だった故の…燃え尽き症候群。
にこ達が抜け、後輩を迎えての活動を再開した6人であったが…ライブに向けて気持ちを高めていくことが、これほど大変だったとは…。
3年生は生徒会の活動で抜けることも多い。
また1年生が6人となったことで、2年生負担も(昨年の穂乃果たちと比べれば)単純に倍である。
こうなると…曲と詞はストックがあるものの…衣装やセット、機材の制作や準備などまでは手が回らなくなる。
「こんな中途半端な状態でライブなんて…」
後輩がいないところで、彼女たちはうなだれていた。 (7−2)
「頼ってみたら?」
花陽がにこに相談すると、彼女は即座にそう答えた。
「えっ?」
「放送部とか美術部とか…もちろん、アイツらだってヒマじゃないだろうけど…『自分たちの作品を発表する場がひとつ増える』と思ったら、手伝ってくれるんじゃない?」
「そう上手くいくかな…」
「アタシと違って…アンタなら大丈夫よ」
「にこちゃん…」
「μ'sのキャッチフレーズは?」
「みんなで叶える物語…」
「わかってるじゃない!その『みんな』に『アイツら』も入れてあげなさいよ」
「う、うん…」
「さぁ、そうとわかったら電話急げよ」
(善は…だけどね…)
花陽はスマホの向こうの先輩にツッコミを入れた。
次の日…
にこのアドバイスを受けたスクールアイドル研究部の部長は、各部室を走り回ったのだった。 第8話(8−1)
『感謝、感激、あおぞライブ』
初めは冷たくあしらわれた花陽であったが、その熱意が実を結び、各部の協力を取り付けることが出来た。
校庭に組む巨大なセットは美術部が、衣装は手芸部がそれぞれ手掛けることとなった。
そして、それをネット中継するのは、放送部と新聞部。
各部が学校をアピールする為、力を合わせる。
「そうだ!この気持ちだ!」
久々に味わう…心をひとつにしてステージを作り上げていく高揚感。
『12人揃ったステージの初披露』に向けて、やる気が湧いてきた。
ところが…今度はそれと反比例するように1年生のテンションが落ちていく。
上級生たちが本気を出せば出すほど、パフォーマンスの差が開いていく。
彼女たちの本気に圧倒された雪穂は「やっぱり『高坂穂乃果』って凄いんだ…」と改めて姉の存在感の大きさに驚き、自分の力の無さに落ち込む。 (8−1)
そんな彼女に、花陽が声を掛ける。
「穂乃果ちゃんはやっぱり凄いねぇ。あの眩しさは、誰にも真似できないよ」
「普段、あんなにいい加減なのに…ズルいと思いませんか?」
「あはは…でも、それが穂乃果ちゃんだから」
「なんか悔しいんですよね…」
「お姉ちゃんとして見ちゃうから…だよね?…正直、私には姉妹(きょうだい)がいないから、その気持ちはわからないけど…雪穂ちゃんは雪穂ちゃんとして頑張るしかなんだよ。だって、高坂雪穂はこの世に1人しかいないんだから」
「…先輩…」
その言葉に力をもらい、雪穂は自分を取り戻した。 (8−2)
迎えた当日。
各部の協力と『縁の下の力持ち(ヒフミトリオ)』の活躍…そしてなによりも1年生たちの練習の成果もありライブは無事終了。
観客の評価も上々だった。
協力してくれた各部に、穂乃果たちは饅頭を配りながら礼を言って回った。
「その替わり、私たちが困ったときには、助けてくれよな」
「もちろんだよ!なんでも言って!」
だが…ネットでの反響は、なかなか手厳しコメントが並んだ。
「仕方ないですね。私たちに求められる基準はμ'sなのですから」
海未の言葉に頷く部員たち。 (8−3)
「花陽…あんた何を見てきたの?」
こっそり観に来ていたにこが、スマホ越しにダメ出しをした。
「ダンスは良かったわ。歌も上手だった。初めてにして上々の出来だったと思うわ」
「あ、ありがとう…」
「でも…アタシからは合格点があげられない。彼女たちに笑顔がなかったわ!必死に歌って踊った!ただそれだけ…素人なら、それだけでも凄いと褒めてもらえるかもしれないけど、アンタたちはスクールアイドルなのよ!あれじゃあ、お客さんを笑顔にはできないわ」
「た、確かに…」
「魔法の言葉を忘れてない?」
「魔法の言葉?」
「いい?これからの練習に、必ず『にっこにっこに〜』を入れなさいよ!」
冗談めかしく彼女は言ったが、その通りだと花陽は首を縦に振った。 第9話(9−1)
『違うけど、一緒』
屋上での練習。
「これくらいで根をあげているようでは、まだまだです!!特に亜里沙と雪穂!あなたたちが1年生を引っ張らないと」
海未が鬼教官と化す。
「情けないなぁ…もう少し出来ると思ってたのに…」
「μ’sの曲の振付けは全部完コピしたのに…マネと本気は違うってことか…」
亜里沙と雪穂が嘆く
「まぁまぁ…私たちだって最初から出来たわけじゃないんだし…」
「あんまり厳しくするのもどうかと思うよ」
「それはわかっていますが…」 (9−2)
「先輩!もう1回お願いします!」
和香が海未に直訴した。
「大丈夫ですか?少し休んでもいいのですよ?」
「私、負けたくないんです!雪穂にも!亜里沙にも!先輩たちにも!そして…」
「そして?」
「あ…いえ…」
「私もです!私も…自分を変える為に入部したんです!ちょっとのことで逃げちゃダメなんです!」
桃子が呼応した。
「私も同じです!」
「私モデス!」
奈美とデルフィナも、海未に主張する。。 (9−3)
「勝ち負けって…私たちは運動部じゃないんだから」
穂乃果が苦笑した。
「いえ、それでも…先輩たちと一緒に踊るなら、同じレベルにならないと…先輩たちの足を引っ張るわけには…」
「ふふふ…まるで1年前の花陽を見てるようですね」
「海未ちゃん…」
「花陽に限らず、μ'sって負けず嫌いの集まりだったわ」
「真姫ちゃんもにゃ」
「うるさいわねぇ…」
「ちゅんちゅん!」
亜里沙と雪穂はお互いの顔を見る。
「そんなこと言われたら…」
「やらない訳にはいかないでしょ」
2人は「せ〜の…」で立ち上がり、再び、ステップを踏み出した。
(負けたくない…か…そうね…アイツには絶対…)
和香が心の中で呟く。
(負けたくない…うん!そうだよ。私はお姉ちゃんとは違うんだから!)
奈美は拳を固く握った。 先輩になったまきりんぱながどんな風に後輩に接するのか想像が膨らむよな スレ立ったんだね
サブタイトルだけで内容気になってたから嬉しいよ
旧3年の使い方が上手いな
続き楽しみにしてる >>32
変わらないで欲しいとこと…
少しずつ、成長していく姿と…
そんなのを表現できたら。
ここには書いてないですけど、髪型なんかも、ちょっと違ってたりしてね。 >>35
ありがとうございます。
SSではないので、細かい描写はしておりませんが…
私の演出だと、希たちは『声だけ』の出演になってます。 第10話(10−1)
『夏だ!海だ!合宿だぁ!』
夏休み。
昨年に続き、西木野家が所有する海辺の別荘で合宿をすることになった。
はしゃぐ部員たちに「学業は疎かにしないように」と理事長が釘を刺す。
「わ、わかりました」と穂乃果と凛は目を伏せながら答えた。
さぁ『ラブライブの一次予選突破』と『秋の文化祭』に向けて、地獄の特訓(?)の開始です!
※海未が立てた初日のスケジュール
前泊からの朝6時起床。
日が高くなる前に砂浜をランニング
続いて発声練習
その後朝食
休憩のあと、自由時間
昼食&お昼寝
14時から16時まで勉強
16時から18時まで4人ずつに分かれてのソフトバレーボール大会
A班…海未、花陽、和香、桃子
B班…穂乃果、真姫、亜里沙、奈美
C班…ことり、凛、雪穂、デルフィナ
18時から日没まで筋トレ
(砂浜で1時間耐久2ステップ大会あり)
休憩のあとクールダウン
夕食(バーベキューです♡)
シャワータイム
ゲーム大会
花火
就寝 >>41
本当は、もっと細かい設定とかしてあって、色々書きたいんですけどね…。
でもそれだと、超長編になってしまうので…その辺は追々、紹介出来ればと。 (10−2)
ブラジルからの留学生、デルフィナ。
元々身体能力は、1年生の中でも『群を抜いていた』が、ランニングでは海未に負けない持久力と、凛に負けない瞬発力を見せつけ、改めて一同を驚かせた。
ただし、その後の自由時間で『泳げない』ことが判明し「名前はデルフィナ(スペイン語でイルカの意味)なのに?」と弄られる。
ソフトバレーボール大会では海未と和香、穂乃果と奈美、凛とデルフィナがポイントゲッターとなり、白熱した展開に。
初日の夕食はバーベキュー。
※花陽は飯盒でご飯を炊く。
※凛は鍋でインスタントラーメンを似る。
※真姫はトマトを焼いている。
※海未は花陽の炊いたご飯で、チャーハンを作る。
※穂乃果は焼きそばをパンに挟み、例の台詞を言う。
※ことりはレアチーズを焼いて、ベイクドチーズケーキにしようとしている…。
ゲーム大会は『恒例のトランプ』。
お約束の如く、後輩にもババ抜きで負ける海未。
それならば…と『UNO』に挑むも、敢え無く撃沈。
どうやら彼女は、勝負事の才能が全くないようだ…。 >>44
誤→ラーメンを似る
正→ラーメンを煮る
あと、ちょいちょい『μ's』の表記が『見ゅ』になってたりします。
すみません。 >>43
ここで書くとすれば、気合いを入れないと、すぐに落としそうですね。 >>48
わちゃわちゃした雰囲気を感じ取ってもらえれば幸いです。 第11話(11−1)
『サプライズは初心者マークと共に』
2日目には、思わぬゲストがやってきた。
希の運転する車に乗って、にこと絵里が彼女たちの合宿先に電撃訪問したのだ。
手には差し入れのアイス。
『伝説のレアキャラ』に沸く1年生4人。
「私は毎日会ってるけど…」と亜里沙は、みんなのあまりの興奮ぶりに困惑している。
改めて1年生が自己紹介をする。
「初めまして…二階堂和香と申します」
「初めまして…絢瀬絵里です。妹がいつもお世話になってます」
「そして、アタシが…かの有名な宇宙ナンバーワンアイド…」
「ウチは東條希…よろしくなぁ」
「うぉ〜い!最後まで言わせなさいよぉ!」
お約束の展開に、あははは…と笑いが起こる。
「倉田桃子です。ケイティって呼んでください♡」
「にこっちの親戚?」
「違うわよ!」
「私ハ ブラジル カラ 来タ デルフィナ デス。ヨロシクオネガイシマス」
「えりちより日本語上手やん」
「そうね…って…さすがにそれはないんじゃない?…」
そして…
「北見奈美です」
彼女が自己紹介した途端、OGの3人は顔を見合わせ「えっ!?」と驚きの声を上げた。
「北見…って…まさか…あの北見…の」
「…はい…」
にこはその返事を聴いて絶句した…。 迂闊にも…
もうひとつのスレを落としてしまいました。 (11−2)
「にこちゃん、知り合い?」
「知り合いも何も…アタシと一緒にスクールアイドルをやってた北見千代の妹だって…」
「えぇ!?」
「にこちゃん、気付かなかったの?」
「わかる訳ないじゃない!北見に妹がいたのは知ってたけど…まさか入って来るなんて思ってないし…顔も似てないし…姉貴よりデカイし…そんなの言われなきゃわからないわよ」
「奈美ちゃんも、どうして今まで教えてくれなかったの?」
「皆さんに余計な気を遣わせちゃうかと思って…」
「いや…でもそこはさ…」と言って、穂乃果は言葉を詰まらせた。
「いや、だからどうして…アンタが…」
替わりに、にこが問う。
「姉は…矢澤先輩のこと、尊敬してます。『私は途中で逃げちゃったけど、矢澤は最後までやり抜いたから、あのステージに立てた』って」
「尊敬?恨まれてるのかと思ったわ。あれから話したことなんか一度もなかったし」
「初めはそうだったかもしれません…でも…今は…。『私がやめたからこそ、最高の仲間に巡り合えてたんだ』って言ってます」
「…」
「でも…もちろん、本心じゃないと思います。やっぱり、悔しかったんだろうな…って。それで…私は…姉が果たせなかった夢を実現させたいと…」
思いもかけない告白に驚く一同。
「私が入っていいのかどうか…葛藤もありました。だけど雪穂たちが誘ってくれて…」
「確かに…ずっと部室の前をウロウロしてたもんね?」
「矢澤先輩…私、ここにいてもいいですか?」
「そ、そんなこと…好きにすればいいじゃない」
にこは少し涙ぐみながら答えた。
「にこっちは素直やないなぁ」
「本当ね」
「うるさいわねぇ」
「そっか…そうだったんだ…」
「うん、よし、頑張ろう!一緒に頑張ろう!」
花陽と穂乃果が、彼女の想いに頷いた。 (11−3)
「なんだか青春してるわね」
「そうやね」
穂乃果や花陽たちの成長を、喜ぶ絵里と希。
そして…その仲間に加われない寂しさ…も感じたのだった。
落ちる夕日を見ながら絵里が呟く。
「若いっていいなぁ…」
「いや、ウチらもまだ19歳やし…昔を懐かしむのは早過ぎないん?」
「そうよ!勝手におばさん扱いしないでよ!」
「ふふ…そうね…」
「まぁ…気持ちはわからなくもないけどなぁ」
「はいはい!真夏のこの時期に、なに、湿っぽいことを言ってるのよ!アタシたちはアタシたち!今を精一杯生きるのよ!」
「さすが、にこね!」
「さぁ、それじゃ帰ろうか」
『みんな、頑張ってね!』
3人は車内から、遠くに消えていく後輩の姿に向かって手を振った。
「それで…私たちはいつ、家に帰れるのかしら?」
「そうやねぇ…いつやろ?」
「いつやろ…じゃなくて…カーナビくらい付けておきなさいよ!!」
「仕方ないやん…そこまでの資金がなかったんやから…いや、そもそも…えりちが曲がるとこを間違えて教えたのが悪いんよ」
「だから、最初に言ったじゃない…地図は苦手って…」
「お腹空いた…」
「暗いわ…怖いわ…」
「あぁ!うるさい!!そんなん言うならワシワシして静かにさせるでぇ」
「あっ!バカ!」
「希!ハンドル!ハンドル!」 なんと言う因果なのか。でも、にこの心が晴れてよかった 毎回、よく考えてるなと思う。
えりまき、のぞりん、にこぱな回も悪くなかったけど、今回は最後の3人のコントも含めて特に良かった。
ただ姉妹の名前が
来た道よ
北 南
なのは、ふざけてるなと思った。 第12話(12−1)
『止まない雨』
「1年生だけでストリートライブ?」
「可愛い子には旅させろ!…的な?」
「うん!ここまで1年生のステージは、オープンキャンパスの時だけだったでしょ?ラブライブの予選に向けて、少しでも場数を踏んだ方がいいと思うんだ」
そう提案したのは花陽だ。
「確かに…私たちはなんだかんだで数回行ってきましたからね」
「場数って言うけど…海未や花陽と違って、1年生は結構堂々としてるじゃない」
「痛いところを突いてきますね…」
「でも、予選となると、緊張感は別物にゃ」
「そうだね」
「よし、やらせてみよう!」
こうして1年生の単独ストリートライブが決定。
披露する曲と衣装は『昨年使ったもの』を手直しして流用することとした。 (12−2)
当日。
天気は良くない。
今にも降り出しそう…とは、こんな空模様を言うのだろう。
1年生はお揃いの衣装を着て、街角に立った。
初めから用意された舞台でパフォーマンスを行うのではない。
忙しなく行き交う人たちに、自分たちの存在をアピールしなければならない。
「今からライブをします!良かったら観ていって下さい!」
だが現実は厳しい。
4人、5人は足を止めても、それが大人数になることはなかった。
注目されすぎるのプレッシャーだが、素通りされて見てもらえないのも、それはそれで虚しい。
そんな気持ちが焦りに繋がり…声が出なくなったり、歌詞やフリを間違えたりするなどして…結果は散々だった。
拍手より、失笑の方が多く聴こえた。
少なくとも彼女たちには、そう感じられた。
そんな様子を、遠巻きにUTXの生徒が数人眺めていた。
「あれは…和香?…」
ひとりがポツリと呟いた。 (12−3)
翌日は…昨夜から降り続く雨の為、屋上での練習は中止となり部室での活動となった。
ネットを見ると、昨日のライブは酷評の嵐。
やはりと言うべきか…姉たちの活躍を知っているファンからの…亜里沙と雪穂への風当たりが強い。
「どうしても、お姉ちゃんと比較されちゃうのね…」
「叩かれることは覚悟してたけど…こうストレートに書かれると、結構ヘコむなぁ」
それだけではなかった。
容姿に対する誹謗や中傷も見られた。
「ヒドイデス」
「まぁ、上手くいかなかったのは事実だから…それは仕方ないにしても…」
「デカすぎるとか、肌の色がどうだとか…そんなことは関係ないじゃない」
「本当に!ムカつく」
怒りを露にする1年生たち。
「気にしない、気にしない。ネットの書き込みなんてこんなものだよ」
「練習するしかないにゃ。練習して、上手くなって、そいつらを見返してやればいいんだよ!」
「そうね。大丈夫、あなたたちなら出来るわ」
「そんな簡単に言わないでください。私は先輩たちとは違うんです!!」
噛みついたのは桃子だった…。 (12−4)
「私が…私が足を引っ張ってるのはわかってるんです…」
「桃子ちゃん?」
「ケイティ?何ヲ言ッテルノ!?」
「ごめん…私から誘っておいて…だけどさ…私みたいに歌もダンスも下手で…おまけにチビがやっていけるほど甘くはなかったんだよ…あはは…妄想だけにしておけば良かった…」
そこまで言って、いきなり彼女は部室を飛び出した。
「ケイティ!!」
「桃子!」
慌ててデルフィナたちが追いかける。
虚を突かれた上級生は、出遅れた。
「デルちゃん!」
「雪穂ちゃん!」
「任せたわよ!」
走りゆく背中に2年生が叫んだ。
雨は夕方過ぎには止む予報となっていたが、暗くなっても、まだ降り続いている。
どれくらい経っただろうか。
雪穂から連絡が入り、花陽たちは…状況を聴き駆けつけた穂乃果たちと共に…1年生の荷物を持って『彼女の居場所』へと向かった。 第13話(13−1)
『ほんの少しの勇気』
桃子は公園にいた。
ブランコに座り泣きじゃくる彼女を、デルフィナが差し出した傘が覆っていた。
「自分を変えたい」
髪を染め、ケイティと呼んで欲しいと言い…必死に過去の自分と抗ってきた桃子。
しかし、ネットでの評価を見て、ふと『本来の自分の姿』を思い出してしまったのだろう。
「私は和香ちゃんみたいにダンスも得意じゃないし、デルみたいに運動神経も良くないし…奈美ちゃんみたいにスクールアイドルに思い入れもない。やっぱり、興味本位で入っちゃいけない世界だったんだ…」
「ソンナ事ナイヨ!アノ時、ケイティハ、ミンナニ負ケナイッテ練習頑張ッタデショ!」
デルフィナはそう言った。 (13−2)
(でも…やる気がない…って言ってる人と、私はこれから一緒にやっていけるの?…)
(お姉ちゃんも、こんな感じだったのかな…だとしたら…私が止めても説得力がないかも…)
自分たちに彼女を止める権利があるのだろうかと悩む和香と奈美。
2人の考えは「続けるべき」「辞めるべき」の間で揺れ動いている。
そうしているうち…自分たちもどう話せば良いのか、わからなくなっていた。 (13−3)
静寂を嫌うかのように、雪穂が語り掛けた。
「あのさぁ…あなたたちは知らないかもしれないけど…お姉ちゃん…一度、μ'sを辞めてるんだよ…」
「えっ?」
「こんな雨の日だった…。次の日にライブがあるっていうのに、夜、走りに行って…結局熱を出して…ステージは途中で中止になってさ」
「穂乃果先輩が?」
雪穂と亜里沙以外は、初めて聴く話だった。
「バカは風邪ひかないっていうのにね…。それが原因でμ'sはバラバラになって…1回はラブライブの出場を諦めたんだ…」
「私のお姉ちゃんが…そうした方がいいって…」
「絢瀬先輩が?」
「うん…体調を崩してまで…スクールアイドルをやる意味があるのかな…って」
亜里沙は、その時を思い出しながら話した。 (13−3)
「…そして、部員は一時、にこさんと今の2年生だけになったの。私は正直悔しかったよ。普段はいい加減で、どうしようもないお姉ちゃんだけど…μ'sの高坂穂乃果は眩しいほど輝いてたから。これで終わるのはもったいない!!って思ってた」
「私も…お姉ちゃんが、あんなに楽しそうに歌ったり、踊ったりするの初めて見たから…その姿がもう見られないのかなって思ったら、涙が出ちゃって…」
「でも、みんな戻ってきた!みんなでひとつになって…A-RISEに勝って…ラブライブで全国優勝した」
「だから…頑張って続けようよ。頑張って続けて、みんなをアッと言わせようよ」
熱く語る2人。
溢れる想いに、言葉が止まらない。
しかし、桃子には届かない。
「私は先輩とは違…」
「甘ったれんじゃないわよ!」
桃子が言い訳をしようとした瞬間、彼女たちの後方から大きな声が聴こえた。 >>64
無印1期では『廃校と存続』『先輩と後輩』『μ'sと生徒会』など常に対立関係が軸に物語が進みましたが、今回はそういう要素が出しづらかった為、『各々の成長』をテーマにしています。 >>65
あまり『ご都合主義的な展開』にはしたくなく、極力『リアルなストーリー』を意識してみました。 >>67
3期の最終話です。
まったく気にされてはいないと思いますがタイトルを『始まったばかり』から変更しました。 >>74
ありがとうございます。
コメント感謝です。 (13−5)
「矢澤先輩!!」
振り替えると、そこに、にこがいた。
「どうしてここに?」
「偶然通りかかったのよ…どこかで見た顔がいるな…と思ったら、アンタたちで…驚かそうと思って、そうっと近づいたら、くだらない話をしてるから、イライラしてきて…」
「クダラナイ話ジャナイデス!!」
デルフィナが噛みつく。
「くだらないわよ!やらなくて後悔するくらないら、やって失敗する方が、よっぽどマシだと思わない?」
「やらなくて後悔するより、やって失敗…」
「合宿で奈美のアネキの話を聴いたでしょ?」
「!!」
「そういう事よ。いい?アタシたちが何の努力もしないでやってきたと思ってるの?…そんなわけないじゃない!みんな必死に努力したわよ!アタシと凛なんて、川に落ちて死にかけたんだから」
「それ…関係あります?」
雪穂が冷たくツッコんだ。 (13−6)
「ま、まぁ…それはそれとして…アンタは自分を変えたいと思って、入部してきたんでしょ?ここでやめたら何も変わらないわよ!」
「…」
「そのメッシュは飾りなの?昔の自分からの脱却を誓った証じゃないの?歌うことが、踊ることが…スクールアイドルが嫌いならやめればいいわ。でもそうじゃないなら頑張りなさいよ!上手いとか上手くないとか…そんなのは二の次よ!ニ・ノ・ツ・ギ!もちろんラブライブに出て優勝するには、実力が大事だけど…でもそれだけじゃないわ」
「情熱…ですね…」
「亜里沙の言う通りよ。アンタの中に…もっと楽しく歌いたい、踊りたい!みんなと頑張りたい!…その気持ちがあるなら、辞めるなんて軽々しく言わないことね」
「先輩…」
「わかったら、今日は帰りなさい。バカ穂乃果みたいに風邪ひくわよ…」
その会話を遠巻きに見つめる穂乃果たち。
「さすが、にこですね」
「いやいや『バカ穂乃果』はどうかと思うよ」
「私たちの出る幕、無くなっちゃったね♡」
「あとは…桃子ちゃんがどうするか…だにゃ」
「そうね…あとは彼女の気持ちの問題ね…」
「…そうだね…」
「明日は雨、上がるかな?」 (13−7)
彼女たちは、先日ストリートライブを行った場所にいた。
6人が楽しそうに歌って踊る姿を見て、徐々に人が集まってくる。
ひとしきりパフォーマンスが終わると、拍手が沸き起こった。
それをUTXの学生が遠巻きに見ている。
「あのロングヘアが『おりお』の友達だっけ?」
その中のひとりが、仲間に問う。
「友達?…違うわ…単なる『裏切り者』よ…」
おりお…と呼ばれた少女は不機嫌そうに言い放つと、くるりと向き直って人ごみの中に消えて行った。
少し離れて6人を見守っていたのは、2人の女性。
その片方が、もうひとりに語りかける。
「…妹を宜しく頼むな…」
彼女の唇は、そう動いた。
「それはアイツらに言いなさいよ!アタシは、こう見えて、ヒマじゃないんだがらぁ」
かつての宇宙ナンバーワンアイドルは、穂乃果たちに視線を送る。
「なんだかんだありましたが、雪穂は姉と違って、しっかりと1年生を纏めています」
「海未ちゃん…『姉と違って』は余計だよ」
「そうだよね!穂乃果ちゃんがこうだから、雪穂ちゃんがああなったんだよ」
「ん?…ことりちゃん、それって誉めてる?」
「ちゅん?」
「まぁ、なんにせよ…良かったじゃない。上手くいって」
「もうあんな思いはしたくないもんね!…ね?かよちん!」
「うん!」
…
「それでは…今日はもう1曲やります!一生懸命歌うので聴いてください!」
「『Oh,Love&Pease!』」
勝手に【ラブライブ!】3期のタイトルを作ってみた。
〜完〜 【登場人物紹介】
二階堂和香(にかいどうわか)/T158p/B79W57H81/O型
黒髪のセミロングで、普段はひとつに束ねている。
学校ではフレームレスのメガネを掛けていて、外見は文学少女風。
3代続く老舗呉服店の娘で、入部後、園田家と付き合いがあることが判明する(当人同士は初対面)。
古風な家柄に反発しており『和風文化』に拒否反応を示すことがある。
穂乃果が『ほむまん』を差し入れしたところ「和菓子は苦手で…」と断りを入れたところ、彼女から「気持ちはわかるよ」と同調されたこともある。
海未とは似たような家庭環境で育ってきたにも関わらず、上記理由から趣味が合わない為、度々、意見が対立する。
趣味はヒップホップダンス。
普段はB系のファッションを好んで着用していて、通学時とはイメージが180°変わる。
また格好がそうさせるのか、口調も若干荒くなる。
家柄に縛られずスクールアイドル活動をしている(と思っている)、海未と真姫にシンパシーを感じていたが、前者とは先述の通りの関係となり、徐々に後者へ傾倒していく。。
しかし、彼女が心を許している相手は花陽だと知ると、嫉妬する場面も…。
入部の理由は「他に入れそうな部活がなかった」からとしている。
一人称は私。
メンバーからの呼び名は入部当初は『二階堂さん』。
以後…穂乃果、ことり、花陽、凛が「和香ちゃん」。
海未、真姫、雪穂、亜里沙、奈美、桃子が「和香」。
デルフィナは「和香サマ」。 面白かったわ乙!
第4期も勝手に作ってまたスレ立てしてくれ >>81
ありがとうございます。
やっぱ、このまま続けるより、スレ建てた方がいいのかな? >>82
ありがとうございます。
第4期も宜しくお願い致します。 【登場人物紹介】
北見奈美(きたみなみ)/T163/B86W61H83/A型
明るい茶色の腰まであるロングヘアで、普段は緩めの三つ編みにしている。
密かに、にこを尊敬しており、プライベートでは彼女のグッズを買うなどをしている。
練習時には『25』と書かれたリストバンドを着けており、上級生から不思議がられていた。
凛に至っては「どうしてそんな演技の悪い番号付けてるにゃ」とまで言われた。
入部の理由は「スクールアイドルに興味があった」からだったが、実は(かつて『にこ』と一緒に活動していて、途中で脱退した)姉『千代』の、夢を替わりに果たす為だった…と合宿時に判明する。
以降、彼女へのリスペクトを隠すことはしなくなったが、逆に凛や真姫から「神格化しすぎ」と度々、注意されている。
本人曰く、千代よりも背が高い為、よく『自分が姉』だと間違われるとのことで、現3年と一緒にいても、先輩だと思われることがある。
趣味はイラスト。
オープンキャンパスのライブでは、ことりと花陽と共に、ポスターの制作をしていた。
一人称は私。
メンバーからの呼び名は入部当初は『北見さん』。
以後…穂乃果、ことり、花陽、凛が「奈美ちゃん」。
海未、真姫、雪穂、亜里沙、和香、桃子が「奈美」。
デルフィナは「ナミィ」。
μ'sファンからは『卒業した絵里』に勝るとも劣らないスタイルをしていることから『ナミーチカ』と呼ばれるようになる。 【登場人物紹介】
倉田桃子(くらたとうこ)/T149/B73W53H75/AB型
黒髪のショートボブだが、入部と同時、前髪をピンクに染めた(インナーカラー)。
左目の下に泣き黒子(ぼくろ)がある。
下の名前は『とうこ』だが『ももこ』と呼ばれることが多く、本人はこれを嫌っている。
入部の理由は「内気な自分を変えたい」から。
上記の通り、容姿や内向的な性格にコンプレックスがあり、その反動からか趣味は『妄想』。
特に『もしも自分がスーパーアイドルだったら』という設定がお気に入りで、それを基に暴走することが多い。
入部後、(妄想時の主人公)『ケイティ』と呼んで欲しいと要請するが、実際にそう呼んでくれるのはデルフィナのみである。
合宿で彼女の様子を見た希が「にこっちと花陽ちゃんを足して『2で割らない』ような娘やね」と評し、μ'sメンバー全員が納得していた。
ただし、本人は先輩(特ににこ)のことをよく知らないので)ピンときていない。
アイドルの知識は豊富だが、花陽には及ばず、彼女を師匠と仰ぐようになる。
また、同じような体格ながら(?)抜群の運動神経を持っている凛に対して、尊敬の念を抱いている。
一人称は私、ケイティ。
メンバーからの呼び名は入部当初は『倉田さん』。
以後…呼び名は穂乃果、ことり、花陽、凛が「とーこちゃん」。
※穂乃果は時折「ももちゃん」と呼ぶ。
海未、真姫、雪穂、亜里沙、和香、奈美が「とーこ」。
デルフィナは「ケイティ」。 >>87
ありがとうございます。
でも雪穂と亜里沙は情報不足で、よくわかりません。 【登場人物紹介】
デルフィナ ダ シルバ /T167/B83W63H88/B型
ブラジル人。
ウルフカットの銀髪で、褐色の肌をしている。
幼い頃から日本のアニメを見て育ち、それがきっかけで日本文化オタクとなる。
向こうでは日本語教室に通ってい為、日常会話は普通にできる。
交換留学先に、日本…特にアニメの聖地であるアキバに近い『音の木坂』を見つけ、来日。
現在は桃子の家にホームスティしている。
趣味はスポーツで、なんでも器用にこなす。中でも(御多分に漏れず)サッカーが得意。
しかし、名前は(スペイン語でイルカという意味にも関わらず)泳ぎは苦手だと合宿にて判明した。
陽気な性格で、嬉しいとサンバを踊り出す。
上記のように『和風』が大好きである為、その代表のような海未(とその実家)に強く惹かれ、積極的に距離を詰めていき、弓道部へも見学に度々顔を出している。
その様子に『海未推し』を自認してきた亜里沙と、火花を散らす場面が散見される。
因みに日本の風習、諺などはデルフィナの方が詳しい。
もっと言えば…穂乃果や凛より上…。
一人称は私、当方、拙者、小生など。
※他に手前ども、貴殿、お主…。
メンバーからの呼び名は入部当初は『ダ シルバ』さん。
以後…穂乃果、ことり、花陽、凛が「デルちゃん」。
海未、真姫が「デルフィナ」。
雪穂、亜里沙、和香、奈美が「デル」。
桃子は「デルフィー」。 >>90
ありがとうございます。
SSを書く時もそうですが、ある程度その背景も考えておかないと、伏線が張れなかったり、矛盾が生じたりするので…極力、煮詰めてから作るようにしています。 >>92
イラストも描けなくないですが、ここへの載せ方がよくわかりません。 いつもは自宅からスマホで書き込んでいますが、今日はPCからにしたら『しうまい』ではなく『筆』になりましたw
ちなみにWi-Fiを入れ忘れたときは『光』になりました。 >>103
外国人枠は亜里沙がいるんですけどねw
ロシア、スイス(欧州)、アメリカ、中国(東アジア)。
これらと似たような地域は避けたいと思ったので、残るは中東、アフリカ、中南米。
中東ってのは色々(宗教とかの問題で)設定が難しいし、アフリカも(特にキャラの作画が)難しい。
でも肌の色の違う人種も入れときたい…と思ったら、南米しか残らなかった…って感じです。
ブラジルは日本からの移民も多い為…デルフィナは2世、3世、4世ではないですが…日本文化に馴染む土壌はあって、物語的にも違和感なく入ってこれる国かと。
なので『カレーは飲み物』みたいな外国人的ボケは亜里沙に任せ、逆に彼女は常識人として振る舞ってもらうことにしました。
日本被れで、時折、おかしな言葉は使いますがw >>106
自分で書いておいて何ですが…このスレが所謂SSと言う形式にはしてないので、キャラを活かしきれていないですね。
もっとメンバー同士の掛け合いをさせたかったのですが。 【その他の設定】
『部室』
にこの卒業に伴い『彼女の私物』が大幅に減ったことで、入って左側の棚全部と、右側の棚の3分の1が撤去されている。
右側の空いたスペースを利用して、優勝旗が飾られている。
左側の壁はμ’sのポスターに貼り替えられている(9人×1枚、学年別×3枚)。
昨年までは『机の片側に4人(両側で8人)』と『お誕生日席に1人』で座っていたが、部員が12人となったことにより『窓際のパソコンデスクに2人』と、『新しく増やしたイス(お誕生日席の向かい)に1人』が座ることで対応している。
ただし、生徒会で忙しい穂乃果たち3年が部室にいないことも多く、フルに席が埋まることはあまりない。
その為『新しく増やしたイス』は、普段折りたたまれており、右側の壁に立てかけてある。
席順はランダム。
基本的には入室した順に奥から座っているようだが、上級生に気を遣ってか、流石に1年生がパソコンデスクとお誕生日席に腰を下ろすことはない。
多くの場合『雪穂と亜里沙』『桃子とデルフィナ』が横並びに座る為、和香と奈美はその組のどちらか隣…というパターンが定番となっている。 【スレ主】
永らくご覧頂きありがとうございました。
ひとまず、これで終わりたいと思います。
設定としては、新入生ひとりひとりの制服の着こなし方とか、部員の練習着とか…そんなことも作ってあったりします。
また前にも書きましたが、一応、自分が演出するならこんな感じ…というイメージはあって…。
例えば第1話なら…冒頭は『SUNNYDAY SONG』を踊った解散ライブの俯瞰映像 → それを見る観客(モブ)…の中のひとりに和香 → 自室のPCでライブを観る桃子 → ライブが終わったあとアイドルショップでμ'sのグッズを買う客…の中のひとりに『にこの商品』を手にする奈美…とか。
彼女たちは第2話Aパート(入学式や自己紹介のシーン)でも、完全にモブとして登場。
話数が進み、あとあと振り替えってみると「あぁ、確かに第1話に居たわ」「そう言えば、にこのグッズ買ってた!」的な…人知れず張った伏線をこっそり回収するような…。
そんなのもここで書いていこうかと思ったんですが…まぁ、難しいですね。
…と言うわけで『第4期』も無事スレが建ちましたので、今後はそちらに集中したいと思います。
では、また。 乙でした。aqoursとかリエラでも、そういうのを考えてみるのも楽しそうですね µ’sは実質終了してるのに、これだけ思いつけるのはすごい >>115
…というか…
μ'sしか書けないのです。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています