千砂都「ね、夜更かしの練習してみない?」 恋「はい?」
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恋「夜更かしというのは12時を過ぎても寝ずにそのまま起き続けるというアレのことでしょうか?」
千砂都「そうそう」
千砂都「ほら、恋ちゃんって真面目だしお嬢様だし、そういうのやったことないんじゃないかなあって」
恋「…お嬢様かどうかって関係あります?」
千砂都「なんていうか、イメージ的に」
恋「成程、世間一般からはそんな風に見られているんですね」
千砂都「いやいや、いち女子高生の言葉をそこまで大層なものにしなくても」
千砂都「けど今聞いた感じだと実際経験したことはなさそうだね」
恋「まあそうですね、いつもは9時か10時頃にはもう寝てしまうので」
千砂都「うわあ優等生だ」
恋「……あまり褒められてるように聞こえないのは私の気のせいでしょうか」
千砂都「そんなことないよー褒めてるよー」 恋「しかし、どうしてまた突然そんな話を」
千砂都「って思うじゃん? でもね、意外とそうでもないんだよなーこれが」
恋「と言いますと?」
千砂都「日にちの問題ってこと、最近でいうならクリスマスだね」
千砂都「あのイベントも昨日で終わっちゃってさ、だから今年も残すところあと僅かでしょ?」
恋「そうですね、確かに。なんか……あっという間の一年だった気がします」
千砂都「私も」
恋「千砂都さんたちのおかげです、本当に充実した一年でした」
恋「あらためて、ありがとうございます」 千砂都「私はそんな、お礼を言われるほどのことなんて」
千砂都「恋ちゃんのことだって、ほとんどかのんちゃんがやったようなものだし」
恋「なにかの功績ではなく、ずっと一緒にいてくれたことについて話してるんです!私は!」ギュッ
千砂都「わっ」
恋「それに大切な人にありがとうと言うのは当然のことじゃありませんか!」ズイッ
千砂都「……」
恋「千砂都さん! 聞いているんですか?」
千砂都「…えーっと……いや、聞いてるよ? うん、恋ちゃんの気持ちは分かったし、嬉しいんだけど」
恋「なんですか」
千砂都「その、ずいぶん情熱的だなあって」
恋「え?」 千砂都「人の手握って、顔近づけて、大切な人だなんて」
千砂都「いやー、恋ちゃんってたまに思いもよらないことするよねー」
恋「……あっ……!!」ササッ
千砂都「わざとらしー」
恋「違いますっ! これは本当に違いますから!」
千砂都「うんまあ分かってるけど」
恋「…なら、からかうようなことを言うのはやめてください」
千砂都「あはは、ごめんごめん。でも恋ちゃんも人のこと言えないからね?」
恋「そうでしょうか?」
千砂都「本気で言ってるならある意味凄いけどねそれ…」 恋「だって先程のは私としましては」
千砂都「いや、いいよもう。キリがなくなりそうだから」
恋「千砂都さんってたまに雑ですよね、私のことなどどうでもいいのでしょうか」
千砂都「恋ちゃんはたまに解釈が面倒くさいほうに行くよね、ある意味一つの信頼だよこれは」
恋「成程、信頼でしたか。それならば全然……」
千砂都(ちょろいなあ)
千砂都「そうそう、友情の形なんてほら、一つじゃないんだから」
恋「はい」
千砂都「それは会話いっこ取ってもそうで……じゃなくて!」
恋「はい?」
千砂都「いや私が話したかったのはこういうのじゃないんだよ」
恋「違うんですか?」
千砂都「恋ちゃん絶対気付いてて言ってるよね? 最初に言ったやつからかなり話が逸れてるんだけど」 恋「ああそういえばそうでしたね、では続きをどうぞ」
千砂都「……わざとらしい」ボソッ
恋「なにか?」
千砂都「なにも。それで……えーっと、どこまで話したんだっけ」
恋「今年も残り僅かしかない、というところまでですね」
千砂都「やっぱり聞いてるんじゃん」
恋「……で、それと夜更かしすることに何の関係があるんですか」
千砂都「もう確信犯じゃん」
恋「……」
千砂都「別に、もういいけどさあ。あーっとだからつまりね?」
千砂都「恋ちゃんと一緒に年越し出来ないかなあ…っていう話でして」
恋「…私と? ご家族とかではなく?」
千砂都(恋ちゃんが言うと重いんだよなあ……) 千砂都「もちろん大晦日に家族と一緒に過ごすのはそうなんだけど、せめてほら、その」
恋「?」
千砂都「明けましておめでとうの一言くらいは言いたいし」
恋「朝になってから言えばいいのでは? という提案は野暮でしょうか?」
千砂都「野暮だね、無粋だね」
恋「やっぱりですか……でも、私にも何となく千砂都さんの言いたいことが分かってきましたよ」
恋「つまり千砂都さんは翌年の元旦に日付が変わるそのときまで、私を起こしていたいわけですね」
千砂都「うん。恋ちゃんって大晦日でも夜になったらすぐ寝てそうだし」
恋「眠っていますね。ああ、だから夜更かしの練習がどうと」
千砂都「正解。っていうかここに来るまで結構時間かかったけど」
恋「それはこの際置いておきましょう」
千砂都「私の台詞取らないでよ恋ちゃん」 恋「しかし成程、となれば千砂都さんは」
千砂都「ん?」
恋「私の生活リズムを崩したいと」
千砂都「一応好意で動いてるつもりなんだけどね、私は」
恋「ごめんなさい。ほんの冗談です」
千砂都「冗談でも言ってる内容が合ってるのって何気に反応に困るよね」
恋「でも練習とはいえ、具体的にどうすればいいのでしょうか」
千砂都「普通に遅くまで電話とか? あとはお互いの家に泊まってみるとか」
恋「それでいきましょう!」
千砂都「え? えっ、どっちのほう?」 恋「お泊りのほうです」
千砂都「ふーん、そんなに私と一緒がいいんだ?」
恋「それもありますが」
千砂都「サラッと返されちゃったよ」
恋「千砂都さんの家に関しては今までお見かけしたことがなかったので」
千砂都「あぁー言われてみればそうだね、気になる?」
恋「はい、とても」
千砂都「恋ちゃんは素直だねえ、じゃあそうしよっか」
恋「よろしいんですか!?」
千砂都「いいよー」 千砂都「なら早速だけど明日にでも来る?」
恋「順応が早いですね」
千砂都「だって大晦日まで時間ないし」
恋「ではそうしましょうか」
千砂都「即決だね」
恋「長引かせるのもどうかと思いまして」
恋「それでは明日のお泊りの準備もありますので、そろそろ私はこの辺りで」
千砂都「はーい、また明日ねー」
千砂都(……なんでこのやり取りだけこんなにテンポ良く進むんだろう)
恋「物事が早く決まるのは良いことだと思いますが?」
千砂都「私の心の中を覗かないでよ恋ちゃん」
翌日
千砂都「どうぞ、上がっていって」
恋「お、お邪魔します……」
千砂都「そんなに畏まらなくても、普通の部屋だよ」
恋「……」キョロキョロ
千砂都「どう? 感想は」
恋「〇に溢れてますね」
千砂都「…まあ、そんな感想になるんじゃないかなーとは思ってたよ」
恋「千砂都さんらしい、いい部屋じゃありませんか。あっ、このクッション可愛いです」
千砂都「おっ、恋ちゃんお目が高いね。それ私も気に入ってるんだ」 千砂都「ま、ゆっくりしていってよ」
恋「あんまりのんびりしていると眠ってしまいそうですけど」
千砂都「あはは、確かに」
恋「でも、頑張って乗り越えたいと思います」
千砂都「そんな決意表明みたいに」
恋「あ、あと……その……」
千砂都「?」
恋「ギュってしてもいいですか……?」
千砂都「…なにが?」
恋「クッションです」 千砂都「あ、ああそれね。どうぞご自由に」
恋「ありがとうございます! わあ、ふかふかで可愛いです……」ギュゥ
千砂都「…不意にくるよね、恋ちゃんはね」
恋「なんの話ですか?」
千砂都「いや、今の恋ちゃん可愛いからみんなに撮って送れないかなーって」
恋「なっ、ばら撒くつもりですか!?」
千砂都「言い方。別に本気でやろうとは思ってないよ」
恋「ほっ……そうですよね、せっかく二人でいるのですから」
恋「私たちだけの秘密にしたいです」
千砂都「…とりあえずツーショット写真だけでも撮っとく?」
恋「いいですよ」
パシャッ
数時間後……
恋「…………」ウトウト
千砂都「れーんちゃーん、大丈夫ー?」
恋「だいじょぶです、まだ」
千砂都「ほら、日付が変わるまであともう少しだから」
恋「はい……」ギュゥ
千砂都「…そんなに気に入ったの? それ」
恋「あったかいですから」
千砂都「売ってる場所知ってるから、欲しいなら一緒に買いに行くけど」
恋「これじゃないといやです」
千砂都(また返答に困るようなことを……) 千砂都「えーっと、じゃあさそれはもう恋ちゃんにあげるから」
千砂都「代わりに恋ちゃんはそれと同じものを私に買ってプレゼントしてよね」
恋「いいですよぉ」
千砂都「約束だからね? 後で「私そんなこと言ってません!」とか言うのなしだからね?」
恋「わかりましたぁ」
千砂都「不安だなあ……そもそもさ、どうしてそれに拘るのかちょっと分からないんだけど」
千砂都「なんでなの?」
恋「ちさとさんからもらったほうが、うれしいじゃないですか」
千砂都「…後で恥ずかしい思いをしても知らないからね、私は」
それから2日後
かのん「あのねちぃちゃん、ちょっと話があるんだけどいいかな?」
千砂都「なに?」
かのん「えっと、今日可可ちゃんがみんなで集まってパーティやりたいって言ってるんだけど」
千砂都「また急な話だね、可可ちゃんらしいけど」
かのん「だよね〜……でも私も年内のうちにあと一回くらいは皆に会っておきたくてOKしちゃったんだよね」
千砂都「かのんちゃんって押しに弱いよね、割と」
かのん「うっ……そ、それでちぃちゃんはどうかなーって」
千砂都「私は夕方からなら行けるよ、お昼は恋ちゃんと買い物があるから難しいけど」
かのん「恋ちゃんと? へえー」
千砂都「そんな反応されるほど珍しいことかな」
かのん「ううん、いいと思うよ? 仲良いもんね、二人とも」
千砂都「何か引っかかる言い方だけど、まあいっか」 千砂都「そうだ、ついでに恋ちゃんにも聞いておこっか? パーティのこと」
かのん「ありがとう、そうしてもらえると助かるかな」
千砂都「ん、わかった」
かのん「でも本当に最近よく一緒にいるよね」
千砂都「誰が?」
かのん「ちぃちゃんと恋ちゃん」
千砂都「そうでもないと思うけど」
かのん「何かあったりとかしたの?」
千砂都「何もないよ? したいことならあるけど」
かのん「え、それって……」
千砂都「秘密」
かのん「ですよね〜……」
千砂都「じゃあ私そろそろ行くから、また後でね」 恋「……あっ、千砂都さん」
千砂都「お待たせ、寒くなかった?」
恋「いえ、それほどでは」
千砂都「ふーん。一応飲み物買って来たんだけど、飲む?」
恋「いただきます……すみません、この前のことといい色々とご迷惑を」
千砂都「いや、いいよ。私は気にしてないから、私はね」
恋「何か引っかかる言い方ですね……」
千砂都「で、その後のクッションの使い心地はどう?」
恋「!! ……ごほっ、ごほっ……!」
千砂都「だ、大丈夫?」
恋「なんで急に、そんなこというんですか……」コホッ
千砂都「ごめんね、気になったものだからつい」 恋「……とても良いですよ」
千砂都「え?」
恋「あれを抱きかかえていると、不思議とよく起きられるんです」
恋「千砂都さんが、傍にいるような気がして……」
千砂都「……」
恋「…………」
千砂都「……あのね、恋ちゃん」
恋「はい……」
千砂都「途中で恥ずかしくなるくらいなら自分から言わない方がいいよ、そういうのは」
恋「…気を付けます」 千砂都「でもそっかー、恋ちゃんにとって私はそういう風に思われてるんだ」
恋「もう忘れてください」
千砂都「ならせめて言葉の威力を抑えないとね、恋ちゃんは」
恋「どういう意味ですか?」
千砂都「そのまんまの意味だよ。このまま続けていくといつか勘違いされそうだしね」
(仲良いもんね、二人とも)
千砂都「……ふふっ」
恋「嬉しそうですね」
千砂都「いや、さっきね? かのんちゃんからみんなで集まってパーティやらないってお誘いが来たんだけど……」
恋「それは楽しそうですね、ぜひ私も……」
そして大晦日当日、深夜……
千砂都「そろそろかなあ、いやー案外あっという間だったなー」
「それではみなさんご一緒に!!」
「10! 9! 8! 7! 6! 5! 4!」
千砂都「3……2……1」
「ハッピーニューイヤー! 新年あけましておめでとうございます!!」
〜♪
千砂都「あっグループ通話のメッセージだ。はいもしもしー、明けましておめでとう」
可可『チサトー! 明けましておめでとうデス! 今年もよろしくデス!』
千砂都「うん、こちらこそよろしくね」 かのん『あー先越されちゃった! ちぃちゃん、明けましておめでとう!』
千砂都「明けましておめでとうかのんちゃん! 紅白見た?」
かのん『見てたよー私は紅派だったんだけど可可ちゃんが白応援してて』
千砂都「え、そっちに可可ちゃんいるの?」
可可『はいデス。一人でいるのも寂しいのでお邪魔させてもらいマシタ』
千砂都「えー、いいなあー」
すみれ『なにこの流れ、ひょっとして私が最後?』
かのん『あっすみれちゃん、明けましておめでとう!』
すみれ『明けましておめでとう。悪かったわね、ちょっと色々立て込んでたものだから』
千砂都「そっちは忙しそうだもんね」 すみれ『そ。だからすぐに戻るつもり。一応今全員いるのよね?』
可可『レンレンだけまだ参加してませんけど』
すみれ『あの子は難しいっていうか多分寝てるでしょ』
かのん『恋ちゃん夜に弱いもんね、仕方ないよ』
可可『初詣に行くときに挨拶シマショウ!』
かのん『そうだね、みんなで一緒にお参りにも行きたいし』
千砂都「じゃあ朝にすみれちゃんのとこの神社で現地集合ってことで」
すみれ『はぁ!?』
かのん『うん、わかった』
可可『了解デス!!』
すみれ『ちょまっ……』
プツン
千砂都「さてと……まあもう少しだけ起きてようかな」
千砂都「まだ見たい番組もあるし、それに」
〜♪
千砂都「…はい、もしもし?」
『もしもし、千砂都さん、ですか』
『明けましておめでとうございます』
千砂都「うん、明けましておめでとう」
千砂都「今年もよろしくね。恋ちゃん」
ギュッ
乙!このssと関係無い話で悪いんやがこの前落ちちゃったちぃれんの長編ssの続きが見たい ナポリタンのちぃれんSSは毎回素晴らしいな…
この絶妙な距離感すき ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています