プロローグ。

体がまるで燃えているようだ。

目の前にいる、2メートルはある漆黒の化け物にさっきまで臆していたのに、今は怖くない。

全身の血液は燃えたぎるように勢よく循環しているのが分かる。

頭の中で誰かが語りかけている。

すぐ近くで倒れている歩夢を守るように化け物の目の前に立ち、私は着ている服を掴む。

額に汗が滲み出て、滴る。
だが、眼光は強く鋭く刺すように化け物へと向いている。

・・・汝は我、我は汝。

侑「歩夢、大丈夫!私が・・・なんとかする」

力いっぱい服を引っ張ると私のどこにそんな力があったのかと疑問に思うぐらい簡単に破け、避けた服を宙に投げる。

侑「・・・ペルソナ」

なぜこの言葉が自然と出たから分からない。
だが言わなければならない気がした。

それよりも。

普通ならば私は下着姿になるはず、アニメのヒーローの変身シーンのように光が私を包み、収まり。
私はスーツ姿に。

そして、宙を舞う服は人の形になり。
服から形成されたそれは完全に形をなし、胸に大きく描かれている旭日旗を輝かせていた。

・・・ヒューペリオン。

脳内で告げられた名前だ。