幼い頃からずっと大切な人がいた。


前に踏み出す勇気をくれて、いつも私を支えてくれた人。

いつも傍にいてくれた人、私にとって憧れの存在だった人。


それはまるで、物語に出てくるヒーローのようで────

もしかしたら、その時から既に惹かれていたのかもしれない。


そう……だから私は、いつか彼女の隣に立てることを夢見ていた。

彼女に胸を張れる私であれるように、彼女の力になれる私であれるようにと。

やがて来るべきその日のために、何一つ後悔をしないように。


…………


そして、遂に迎えたその日

彼女は自分を取り戻した。


苦難や挫折を味わい、それでも纏わりつく恐怖を振り切ったその姿は

あの時よりも一層、光り輝いて見えた。

ああ……これだ

これが私の知っている、本当の────


でも

その隣に私はいなかった



そう、たったそれだけの話なんだ。