すみれ 「ギャラクシー!?」 宇宙 「」ゴゴゴゴゴ
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せつ菜 「よく見てください、あのロボ。手がピコピコハンマーみたいな素材でできています……きっと璃奈さんも、ここまでくる人は他人ではないと想定して、足止めはしても、怪我はしないように設計されてるのでしょう」
愛 「にしてはゆうゆ、大ダメージじゃない?」
歩夢 「侑ちゃん!! なんで……なんで……! なんでクソ雑魚フィジカルなのに最前線なんかにっ!!」 ポロポロ
侑 「歩夢ぅ……お願い、三人は私を置いて前に進んで……あのロボは、私が絶対食い止めるから……」 歩夢 「侑ちゃん……」 ポロポロ
侑 「ね? 歩夢?」
歩夢 「……」 ポロポロ
ゆう 『ねぇ、あゆむ!』
あゆむ 『どうしたの、ゆうちゃん?』
愛 「なんか突然回想が始まったんだけど」
せつ菜 「幼馴染の特権ってやつですね」 ゆう 『もし、もしものはなしなんだけどね』
あゆむ 『?』
ゆう 『もしあゆむがきけんに巻き込まれたら、ぜったいにあゆむを助けるから……わたしのいのちにかけても……!』
あゆむ 『……』
ゆう 『きのうの夜に、こわいえいがを見たんだ……すごくこわくなっちゃった。でも、もしも、ふたりそんなきけんになっても、ぜったいにあゆむは助けるから……』 あゆむ 『うぅ……』 ポロポロ
ゆう 『ええっあゆむ!?』
あゆむ 『私はゆうちゃんがいないとやだよぉ……』 ポロポロ
ゆう 『そ、そんなこといったら、私だってあゆむがいないと……ううっ』
あゆむ・ゆう 『うわぁーーーーーん!!』 ポロポロ 侑 「あれから随分経って、相変わらず私は弱々しいけど、でも、心は強くなった。そして一番大事なことは一度もぶれたことがないよ。歩夢、私は自分の命を賭けても、歩夢を守りたい。もちろん同好会のみんなも」
歩夢 「でも、私は侑ちゃんが……侑ちゃんがいないと……」 ポロポロ
侑 「分かるでしょ、歩夢。誰かが犠牲になってでも、世界を救わないといけないんだ。もう、歩夢と私だけの世界じゃないんだよ」 歩夢 「……」 ポロポロ
歩夢 (二人だけの世界じゃない……)
せつ菜 「大丈夫ですか、二人とも!?」
愛 「ゆうゆ、立てる……? あのロボ、愛さんたちを通すつもりはないみたい、こうなったら四人で束になって……」
歩夢 (そうだ、同好会のみんなが……) 侑 「ダメだよ、愛ちゃん。あのロボットは決して強くはないかもだけど、頑丈そうには見えるよ。四人で束になってかかっても、壊すまでには相当時間がかかっちゃうと思う。だったら、一人が食い止めてる間に他のみんなが研究室に行くのが一番効率がいいよ」
愛 「なら愛さんが……!」
侑 「大丈夫、ここは私が頑張るから! ここから先まだセキュリティがあるかもしれない、そんなとき、必要なのは愛ちゃんやせつ菜ちゃん、歩夢であって、私じゃない。お願い、私に格好つけさせてよ」
せつ菜 「侑さん……!」 歩夢 「……」 ポロポロ
侑 「頼んだよ、歩夢」 ニコッ
歩夢 「……行こう、みんな」
せつ菜 「! ですが侑さんが」
歩夢 「行こう」
せつ菜 「!」
愛 「……覚悟には覚悟を、だね」
侑 「じゃあみんな!! 今私が止めるから全力で走って!! いいね!?」
歩夢 「うん……!」 侑 「おりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーー!!!」
璃奈ロボ 『標的再確認』 ビューーン
侑 「ぐはっ!?」 ポニョ
侑 「ぐへっ!?」 ポニョ
侑 「がはっ!?」 ポニョ
愛 「! よし今だっ!」 タタタッ
せつ菜 「絶対に帰ってきますから……侑さん!!」 タタタッ
歩夢 「……侑ちゃん」 タタタッ
侑 (歩夢、みんな、頼んだよ……)
…
…
… かのん 「……」
かのん (ここの部屋にだけ人の気配がある……)
かのん 「可可ちゃん、私なんだけど……」
?? 「クー」
かのん (クー?)
かのん 「えっと、カー?」
ガチャ 可可 「会いたかったデスゥゥーーーー! かのんーーーーー!!」 ダキッ
かのん 「うおっ、可可ちゃん?」
璃奈 「お疲れ様。かのんさん」 カタカタ
かのん 「璃奈さんと可可ちゃん……本当に恋ちゃんとは、はぐれちゃったんだね……」
可可 「そんなこと言ったらかのんだって悠奈サンとはぐれてるじゃないデスカ! 悠奈サンは一体どこに……」
かのん 「……悠奈さんは私を守ってくれた」
可可 「! マサカ……」 かのん 「私は二人のためにも、頑張らなくちゃいけない。だから璃奈さん、私に出来ることがあったら言って」
璃奈 「……分かった」 カタカタ
璃奈 (そうか……悠奈さんまで……。ありがとう……悠奈さん……)
璃奈 「今、できることは限られてる。それは受信塔の設置が必要だから」 かのん 「……? 受信塔ならもう私たちが設置したはずじゃ」
可可 「実はかのん、少しややこしいことになってるのデス」
ゴニョゴニョ
可可 「……という感じデシテ」
かのん 「ええっ!? あと三つも必要なの!?」
璃奈 「多くの人に協力してもらってる。そして、場所的にも私たちは任せることしかできない。だから強いて今の私たちができることを挙げるとしたら……恋さんと合流すること」
可可 「!」 かのん 「そうだよ! 今もどこかで恋ちゃんはきっと私たちを探してるはず! 合流場所を連絡しないと!」
可可 「しかし連絡と言ってもどこにいるかすら分からないデスシ……って連絡? すっかり忘れてマシタ! 電話すれば良いんデスヨ!?」
かのん 「恋ちゃんは携帯料金の節約で携帯じゃなくて矢文で連絡してるから……」
可可 「ソウデシタァ……!」 ピコンッ!
ピピピ
璃奈 (なにかの通知?)
かのん (えっ電話?)
璃奈 「これって……!?」
かのん 「えっ!? サヤさん!? どうしたんだろう、出てみよう」
サヤ 『こんにちは、かのんさん。すいません、今大丈夫ですか』
かのん 「大丈夫です。サヤさん、どうしたんですか?」 可可 「なんでかのん、レンレンのメイドサンと連絡先を交換してるのデス?」
かのん 「サヤさんとは紅茶仲間なんだ」
サヤ 『……よろしいですか? かのんさん?』
かのん 「あっ、すみません、大丈夫ですよ!」
サヤ 『実はお嬢様から矢文が先程届きまして』
かのん 「ええっ!? 恋ちゃんから矢文が!?」 サヤ 『お屋敷に誰も使ってない部屋があるのですが、その部屋の窓が急に割れた音がしたので、慌てて向かってみると矢文があったのです。そこにはお嬢様の今いる場所と、かのんさんたちの現状、そしてかのんさんたちに連絡をしてほしいという旨の言葉が書いてありました』
可可 「ナルホド……! レンレンは可可たちの居場所は分からなくても、自分の家の位置は分かる……だからメイドサンを通して連絡してきたのデスネ!!」
かのん 「それで恋ちゃんの居場所は……」
サヤ 『……という場所です』
かのん 「そこって……」
璃奈 「ちょうどここと、愛さんたちがいる場所の中間地点あたり……」 かのん 「ここから合流できるのかな」
璃奈 「私たちはここから動けないから、会うにしてもそちらから来てもらうしかない」
可可 「そういえばさっき璃奈サン、なにかの通知を受け取ったようデスガ……」
璃奈 「……研究所の最後のパスワードを確認するところまで、愛さんたちは突破したらしい。最後の関門のパスワードを間違えたら私のところに連絡が来るようにしてある」
可可 「ええっ!? 声認証も突破したってことデスカ!?」
璃奈 「うん。どんな手段を使ったかは分からないけど、突破したみたい。でも、流石に最後のパスワードはヒントなしでは難しい。一体どうすれば……」
かのん 「!」 かのん 「サヤさん! サヤさんも確か恋ちゃんと同じくらい弓が得意でしたよね!?」
サヤ 『……ええ。流石にお嬢様ほどの正確なコントロール技術はありませんが』
かのん 「ならそこから矢文で恋ちゃんに返信を送ることはできますか!?」
サヤ 『お嬢様がこの記してある場所から移動していないとしたら、この場所へ矢文をすることは可能ですが……。ただ飛距離的にはここまでが限界ですね。おそらくお嬢様も飛ばせる距離は同じくらいでしょう』
かのん 「それなら今からあるパスワードを、サヤさんに電話で伝えるのでそれを矢文で恋ちゃんに届けてくれませんか」
璃奈 「……」
璃奈 (かのんさん、もしかして……!) サヤ 『分かりました。届けるのはそのパスワードだけでよろしいのですか?』
かのん 「えっと、あとはこのパスワードを届けるべき場所を……」
璃奈 「かのんさん」
かのん 「!」
璃奈 「研究所の設計図は持ってないけど、間取りは覚えてる。私に電話代わってくれるかな」
璃奈 (……ど忘れを何度かしてしまったけど、もうはっきりと思い出した今なら、間取りだって正確に言える) 璃奈 「間取りをちゃんと把握しないと建物に矢を飛ばせても、上手く届かない可能性があるから」
かのん 「でも間取りを教えても、そこからサヤさんが恋ちゃんにどうやって伝えるかが難しいかも……」
サヤ 『その点に関しては大丈夫ですよ。私、建築士の経験もあるので設計図が書けますから』
かのん 「ええっ!?」 サヤ 『ですからその方と代わってくれませんか。安心してください、お嬢様の矢文で分かりました』
かのん 「!」
サヤ 『みなさんが世界を救うために必死に頑張ってくれていることを……。なのにおそらくこの中では最年長の私が頑張らなくてどうするのですか。全力を尽くしましょう、安心して私を頼ってください』
かのん 「サヤさん……」
璃奈 「かのんさん」
かのん 「! サヤさん、今代わりますね」 璃奈 「……はじめまして。天王寺璃奈と言います。建物の構造なのですが、口頭で説明できる限り頑張ります。よろしくお願いします」
サヤ 『任せてください!!』
かのん 「……」
かのん (良かった。これで恋ちゃんとも連絡が取れるし、研究室にも無事入れる……)
かのん 「ってあれ? 可可ちゃんがいない……?」 キョトン
…
…
… かのん 「可可ちゃん? どこにいるの〜」 トコトコ
かのん (本当にもぬけの殻だなぁ……ここは結構部屋が多いし、もし可可ちゃんが迷っちゃったなら見つけ出すのは難しいかも……)
グスグス
グスグス
かのん (……泣き声?)
かのん 「この部屋から聞こえる……」 グスグス
グスグス
かのん 「耳を当てたらちゃんと聞こえるかな……盗み聞きしちゃってごめん!」 コソッ
?? 「千砂都……」 ポロポロ
?? 「悠奈サン……」 ポロポロ
かのん 「!」
?? 「可可を置いていかないでくださいデスヨ……」 ポロポロ ガチャ
可可 「へっ?」 ポロポロ
ダキッ
可可 「……かのん?」
かのん 「……こっちを見なくてもいいよ、可可ちゃん。でも、もし今の表情が泣き顔だったら」
可可 「……」 ドキッ かのん 「我慢しないで泣いてほしい。そうだよね、仲間と憧れの人が、同時にいなくなっちゃったんだもん。そりゃあすごく悲しいよ」
可可 「……」 ポロポロ
かのん 「私も悲しい。悲しいよ」
可可 「うぅ……」 ポロポロ
かのん 「一緒に泣こう。可可ちゃん」
可可 「かのん……っ」 ポロポロ かのん 「……」
かのん (こんなに悲しい思いをしている……でもきっと、私たちだけじゃなくて、世界で同じ思いをしている人はたくさんいる。だから、負けちゃダメなんだ。成功させなきゃいけないんだ。絶対に……)
可可 「千砂都……悠奈サン……」 ポロポロ
かのん 「……」 グスッ
…
…
… 恋 「大丈夫でしょうか……」 ソワソワ
恋 (合流することもできず、かのんさんたちの居場所も分からず、今の私が唯一思い浮かんだ術が、家に矢文を飛ばしサヤさんに連絡してもらうことでした)
恋 「たしかサヤさんは紅茶仲間としてかのんさんと連絡を度々取り合っていたはずです」
恋 (これでうまくかのんさんたちと連絡が取れるといいのですが……) 恋 「しかしそれにしても、いくらわたくしの現在位置と家の方向を確認するためとはいえ、無人の店から地図を持ち出してしまったことは心苦しいです。お金は置いときましたが……無人販売所でもないのに勝手に持っていくなんて」
恋 「ですが、連絡を取り合うためには仕方なかったのです。うぅ、言い訳ばかりしてしまいます……」 ショボーン
恋 (そもそもとても遠い距離で目標も目視できないこんな状況で、ちゃんと矢文が届いてるかも不安ですし……)
恋 「心が暗くなってしまいます……無事サヤさんの元へ届いてるでしょうか……よく考えたら今も屋敷が残ってる可能性自体決して高くないのでは……」 ソワソワ ヒューーーン
恋 「ん? なんでしょう、この音は……」
恋 (! あれは矢!)
ピキーーーン
恋 「綺麗に地面に刺さってますね……紙が結ばれて……これは手紙と地図? それに建物の設計図でしょうか?」
恋 (良かったです……無事サヤさんに矢文が届いたんですね……!)
恋 「なるほど……かのんさんたちは現在〇〇公民館にいて、愛さん? という方にパスワードを届けなくちゃいけないと。そこでわたくしにこの地図のここにある建物に矢文で伝えて欲しいということですか」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています