千砂都 「マンマルは今日も可愛いねぇ〜」マンマル 「……」
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
マンマルは思った。
このご主人(かのん)の親友である千砂都は、私が可愛いからここまで可愛がってるのではなく、単にふくよかで丸いから可愛がってるのではないかと。
それは少し癪だったマンマル。
なんと翌日。 かのん 「!?」
マンマル 「……」 キリッ
かのん 「マンマルが四角形になってる!?」
千砂都 「そ、そんなぁぁぁぁぁーーーー!?」 ショボーン
案の定落ち込んでいる。
やはり丸にしか興味がないらしい。
ショックである。 恋 「ほぉ、四角形ですか」
すみれ 「恋?」
恋 「こんなに魅力的な四角形、久しぶりに見ました……!」 キラキラ
なんと葉月恋。
そのきっちりした真面目な性格から、大の四角形好きだったのである! 恋 「パンは必ず食パン」
恋 「大好きないちごもできるだけ四角に近い形のいちごを」
恋 「線を引くときは必ず定規で」
恋 「図形の問題は必ず満点」
恋 「そんなわたくしの心に、なんともドンピシャな四角形です……!!」
しかし、マンマルから見れば、この葉月恋。全然今までは自分に興味がなかったくせに、四角くなった途端に懐くなど……都合が良すぎる! と少し癪であった。
なので翌日。 ありあ 「!?」
マンマル 「……」 キリッ
ありあ 「マンマルが三角形になってる!?」
千砂都 「丸くないマンマルぅ……」 シクシク
恋 「わたくしのマンマルがぁ……」 シクシク
案の定落ち込んでいる。
マンマルとしては、やっぱり自分自身を可愛がって欲しい。なのに丸だとか四角だとか、そんな特徴で態度を変えて欲しくないものである。 すみれ 「……」
すみれは思った。
一昨日は丸、昨日は四角、今日は三角。
こんなにも形が変わる動物が今までいただろうか。
すみれ 「もしかしてマンマルの映像をSNSで流せばバズるんじゃ……」
彼女は数字を欲しがる傾向がある。
彼女自身が評価されなきゃ意味はないはずだが、日々の練習の大変さもあり、思考が多少弱っていた。 すみれ 「マンマル!! あんたの動画を今から撮ってバズらせるわよ!!!!」 ピシッ
マンマル 「ピィ!!?」
すみれ 「やるったらやるわ!!」
かのん 「ちょっと!? うちのマンマルに何するつもりなの!?」
かのんはSNSに自分の写真を流そうとした千砂都たちを窘めたこともある。
つまり、同じようなピンチに落ちた可愛いペットを助けてくれるはずなのだ!
ありがとう、ご主人!
すみれ 「マンマルがバズったらこの店にお客さんたくさん来るんじゃない?」
かのん 「……たしかに」
流されやすいのもご主人らしい。 すみれ 「そうよ! あんたせっかくだから逆三角形にはできないの? スタイル抜群ってネタで投稿できるし……」
そもそも、丸とか四角とか三角とか以前に、コノハズクなんだから体が細くなるやつを撮影しろよ。と思うが、人間語は話せないのでその意思を伝えられなくどうしようもない。
というか、このすみれという人は普通に動物に話しかけてるが言語が通じるとでも思ってるのだろうか……いやまぁ実際になぜか分かるんだけども。
マンマル 「……」 キリッ
すみれ 「おおっ! すごい! 逆三角形になったわ! 早速撮影しましょう!」 マンマル 「〜♪」 ユラユラ
すみれ 「しかもなんか鳴き声出しながら左右に動き始めたわよ! これはシャービジネスの世界でもバズるはず!」
かのん 「ん?」
すみれ 「どうしたの? かのん?」
マンマル 「〜♪」 ユラユラ
かのん 「この音程にこの動き……もしかして」
すみれ 「へ?」 かのん 「……」
すみれ 「……」
?? 『グソクムシ〜♪ グソクムシ〜♪』 ユラユラ
すみれ 「グソクムシじゃないのっ!?」
かのん 「マンマルにまでグソクムシ流行ってるんだね!! さすがすみれちゃん」
すみれ 「ば、ば、バカにするなぁぁぁ〜〜〜〜!!!!!」
マンマルなりの仕返しである。 そして翌日。
マンマルは悩んでいた。
マンマルはこの世界の図形を四つしか知らない。それは、丸と四角と三角とバツ印である。かつて澁谷家にはプレイステーションがあった。そのプレイステーションの四つのボタンでマンマルは図形というものを知ったのである。
マンマル 「……」
かのん 「丸でも四角でも三角でもない……」
ありあ 「なんというか微妙な形だね……」
しかし、あと一つ残ってるバツ印は、普通に考えてコノハズクでは表現できない。
体の毛を無理やり外から押し付けない限りは。
そんなところにちょうどいい人が来た。 可可 「……マンマル?」
マンマルは必死に念じた。
そして首をくいくいとバツの形に何度も動かすことで、なんとか可可へ自分の願望を伝えようとしたのである。
可可 「さっきから首をやたら動かしてマスガ……もしかしてバツマーク?」 キョトン
マンマル 「!」 コクコク
可可 「おおっ! 合ってるのデスネ!!」
これは伝わるか!?
マンマルは必死にジェスチャーを行い、可可へお願いする。 可可 「ソウイエバ、最近マンマルは形を変えることが趣味デシタネ……もしかして今度はバツマークしたいノデスカ?」
マンマル 「!!」 コクコク
可可 「しかし、流石に何も道具は使わずバツマークは無理ダト」
マンマル 「!!!」 コクコク
可可 「分かりましたっ!! この可可に任せてクダサイネ!!」 ニコッ
そして爽やかなスマイルをした後、なんと可可はマンマルのために何かを作ってくれているではないか。さすがご主人の才能を見出した人、話が分かるっ! 可可 「完成シマシタ!! バツマークの鎧デス! これを着れば毛を抑えられマンマルもバツマークにナレマス!!」
カチャ
マンマル 「……」 キリッ
かのん 「おおっ!? マンマルが変なものを纏ってる!?」
ありあ 「ついにバツ印かぁ……」
ウィースッ!
かのん 「あ、ちいちゃんたちが来た!」 すみれ 「って今度はバツマークになってるわよ!?」
恋 「やはり四角形ではないのですね……」 ショボーン
千砂都 「マンマル……だけどまんまるじゃない」 ショボーン
可可 「どうデス! 可可の発明デスヨ!!」
かのん 「これ可可ちゃんがやったの?」
可可 「マンマルから頼まれたノデ!」
かのん 「マンマルから頼まれた?」
ありあ 「というかバツ印って言うより、ふふ、まるで手裏剣みたい……」
マンマル 「?」 手裏剣。
マンマルはその言葉を知らなかったが、知ってる者からすればもうマンマルの姿は手裏剣にしか見えなかった。そう! 通称!
_人人人人人人人人人_
> マンマル手裏剣 <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄ 恋 「そういえばすみれさんはアンパンマンの中で好きなキャラクターはいますか?」
すみれ 「唐突ね。えっと、メロンパンナちゃんとか? ちなみに恋は誰が好きなの?」
恋 「カレーパンマンですね!」
すみれ 「そこは食パンマンじゃないの?」
こうして、今日も日常が始まる。
しかし、鎧を装備してもなお、可愛がってくれるご主人には心から感謝しつつも。
昔からあんなに撫でてくれた千砂都が丸じゃなくなった途端に振り向いてくれなくなったことに、少し寂しさを感じるマンマルであった。 ガラガラ
かのん 「あっ、いらっしゃいませー……ってひぃぃぃ!?」
タカ 「久しぶりだな、マンマル……!」(鳥語)
マンマル 「タカ!? なぜお前がここに!?」(鳥語)
かのん 「ひぃぃぃやぁぁぁぁぁーーーーー!!! 店の中にタカが入ってきたよぉぉぉ〜〜!!」 ガクガク
すみれ 「と、とりあえず! 店の外に出さなくちゃいけないんじゃない!?」
恋 「なぜタカがこんな街中に!?」
千砂都 「かのんちゃん!? 大丈夫!?」 タカ 「お前はずっと良きライバルだった……! しかし人に拾われた後、流れ着いた先がこんな暖かい部屋の平和ボケした世界とはな……。ライバルとして実に恥だ」(鳥語)
マンマル 「そ、そんなことのために、わざわざ街中まで来たのか!?」(鳥語)
タカ 「野生の頃……お前と戦った日々が一番輝いてた気がする。今度こそ、お前に勝たなければ気が済まないのだ!」(鳥語)
すみれ 「ちょ、ちょ、ちょっと可可……? あんた何するつもり……?」
可可 「箒で外に追い返してやるデス!」 ブンブン
かのん 「タカなんて凶暴な鳥を怒らせちゃダメだよ! 可可ちゃん!」 タカ 「こいつら邪魔だな……まずはこいつらを店から追い出してやろう」(鳥語)
マンマル 「な!? やめろタカっ!!」(鳥語)
タカ 「キィィィィーーーーー!」
かのん 「こ、こっちに来た!? うぎゃぁぁぁぁぁーーーーーーーー」
千砂都 「危ないっ! かのんちゃん!」
恋 「ってかのんさんを庇っても今度は千砂都さんが怪我をしてしまいますよ!?」
すみれ 「二人とも避けてっ!!」 マンマルは思った。
たしかにかつて、タカと獰猛に戦った日々は楽しかったのかもしれない。
しかし、マンマルはこの場所で、澁谷家と出会ったことで平和を知った。安心を知った。撫でてくれる優しい掌を知ったのだ。
今、そのご主人が泣いている。そして、ご主人と同じくらい大切な、千砂都がタカに攻撃されかかっている。それを見ているだけなんてできるだろうか!?
マンマル (いやできない……! タカ、お前には悪いが、今はここが大切な場所なんだ……!) (鳥語)
マンマル 「!」 ピッ
可可 「……!」
マンマルからのアイコンタクトに気付いた可可は、瞬時にマンマル手裏剣を握って、投げた!! 可可 「くらえデスっ!! マンマル手裏剣っ!!!」 ブンッ
その光景はシュールだった。
バツ印の姿をしたマンマルが、目を見開きながらくるくる回り、タカに飛んでくるのだ。
そして、タカに攻撃が当たると、タカは怖気付いたのか、再びドアから外に出て、その場を去った。
マンマルも床に手裏剣が刺さったことで、怪我もせず、かのんも千砂都も助かった。
誰も怪我することなく、この戦いは終わったのだ。
かのん 「助かったの……?」
千砂都 「良かったぁ……ありがとう、かのんちゃん……そしてマンマル」 ギュッ
マンマル 「ピィ!?」
千砂都 「マンマル……最近形を変えてたのは、きっと、私が丸いからマンマルが好きだと思っただからだよね。でも違うよ」
かのん 「ちぃちゃん……」 チビ千砂都 『うぇぇーーーん……かのんちゃーん! 助けてぇーーー!』 ポロポロ
カラス 『カァーカァー!』
?? 『ピィィィーーーー!!』
カラス 『カァ!?』
バサバサ
シーン
チビ千砂都 『……あれ? カラスの声が聞こえなくなった?』
マンマル 『ピィ!』
チビ千砂都 『あ! マンマル!』 パァァ
チビ千砂都 『良かったぁぁぁーーーーー! 怖かったよぉぉぉーーーマンマルぅぅぅーー!』 ポロポロ
マンマル 『ピィピィ!』 キリッ ちぃまんssはここにあるって聞いたんですが…ここであってますか? 千砂都 「たしかに丸いマンマルが一番好きだけど、ずっと小さい頃から……私が道でカラスに吠えられていた頃から、ずっーと、マンマルは私を助けてくれた。そして今回もまた助けてくれた。だからね、マンマルを大切にしてるのは丸いからじゃないんだ。いつも、ありがとう、マンマルっ!」 ニコッ
マンマル 「ピィ!」
撫でられながらマンマルは思った。
この数日間はきっと、遅れてやってきた反抗期のようなものだったと。自分が、ずっと痩せることなくまんまるであり続けたのは、この子が喜んでくれるからだと。
だからマンマルは、自分が丸いことを嬉しく思いながら、素直に撫でられていたのであった……。
おわり ありがとうございました。
スーパスターでは三作目のssです。
やっぱりマンマルのあの丸さは和みますよね。
前作
希 「真剣な相談なんだけども」 真姫 「どうしたの?」
前々作
恋 「チビ、どうしてそんなに大きくなっちゃったんですか?」 >>38
あ〜あのチビのSSの作者さんでしたか。
あれも面白かったよ! のぞえりラジオガーデンでくっすんのビヨビヨを聞かせたフクロウが長細くなってそれは恐怖の表れって話あったからちぃちゃんは怖がられてると思う 今ならマンマルがちぃちゃん怖がってる理由がよくわかる ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています