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栞子「お見合い、ですか?」
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0001名無しで叶える物語(たこやき)
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2021/10/05(火) 21:39:51.96ID:UwGBDVgn
しおぽむss

初心者ですがよろしくお願いします。
0975名無しで叶える物語(茸)
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2022/07/03(日) 18:24:30.30ID:LJQhEt0J
しお
0984名無しで叶える物語(たこやき)
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2022/07/08(金) 00:50:37.74ID:ObwQ2DKp
思わず栞子ちゃんと手を取り合って喜びを分かち会おうとしたところで、お義母さんの言葉にふと違和感を覚えた。

栞子「歩夢さん?どうかしましたか?」

私が急に真顔になってしまったからか、栞子ちゃんが戸惑った表情をしている。

歩夢「ううん、私の気にしすぎかな…。ええと…、お義母様の今おっしゃった“お義母様個人としては”というのは…」

感じた不安を解消してくれる答えが返ってくることを期待してそう尋ねる。

栞子ママ「言葉通りの意味です。私個人として二人の仲を認めることはできますが、三船の家としては、難しいのです…」

栞子「そんな…」

歩夢「で、でも、お義母様が許してくださったのに、一体何が問題なんですか?」

栞子ちゃんの話ではご実家を取り仕切っているのは実質的にお義母さんだという。
なのに、そのお義母さん以上の障害があるというのか。

栞子ママ「…上原さん。大きい家には、それだけしがらみが生まれるものなのです」

しがらみ…。
栞子ちゃんの方を見ると、何か思い当たることがあったのか驚いたというよりは困ったという顔をしている。

栞子ママ「栞子は、三船の後を継がねばなりません。つまりは、その妻となる相手は必然的に三船の権力を担う存在になってしまいます」

栞子「…分家の御婆様方ですね」

栞子ちゃんの言葉に頷くお義母さん。
2人にはわかっているみたいだけれど、正直話についていけていない。

歩夢「つまりは…どういうこと?」

栞子「あぁ、歩夢さんには分からないですよね。説明するとですね…」

栞子ちゃんの話は、まるで小説や歴史の本にあるような内容だった。
要約すると、戦前に財閥と呼ばれるほどに成長した三船家は、当主…つまりは系列の正真正銘のトップだけじゃなく、一族で様々な事業を展開してきた。
それがあんまり多岐に渡ってしまっているため、初代当主の子供たちの内長男の家系が大本の事業と全体の系列の統括を、その下の兄妹姉妹が系列の経営をしているんだとか。
まだお妾さんとかが暗黙のもとに許されていた時代だそうで、初代当主の子供は何十人もいてその内当主になれなかった家系の人たちが分家として存在し、財閥解体後も跡継ぎの問題になる度にドロドロな駆け引きを仕掛けてくるらしい…。

歩夢「…ええと、つまりはその分家?の人たちも説得しないといけないってこと?」

栞子「…母の言いたいことはそういうことかと」

それって…あんまりに違う世界の話で、まず何をどうすればいいのかすら分からない。

栞子ママ「…栞子に話した見合いというのがそもそも分家筋から来ているものです」

栞子「それであの日、いつになく強引だったんですね…。その後も…」

そうだったんだ…。
いくら何でも娘に監禁紛いのことをするなんて、と思ってたけれど…。

栞子ママ「それについては、今は悪かったと思っています。ですが、見合い自体を断るだけなら無理は通せても、その代わりにどこからか別の相手を連れてきたのでは向こうは納得しなかったでしょう」

なんだかどんどん話が大きくなってきている。
私はただ、ようやく好き同士になれた栞子ちゃんとご実家にご挨拶をしにきただけなのに…。
話の流れからしてお義母さんは私達の味方をしてくれそうなのだけが救いかな。
栞子ちゃんの話を聞いてきた限りでは、お義母さんも家柄とかを重視するタイプらしいから。
0985名無しで叶える物語(たこやき)
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2022/07/08(金) 00:51:08.27ID:ObwQ2DKp
栞子「今日は出直しましょうか。ここですぐに解決する話でもありませんし」

歩夢「そうだね…。すいません、そろそろ…」

栞子ママ「分かりました。では、車で送らせましょう」

私達が荷物を纏め始めると、そう言ってお義母さんがまた手を叩いた。
すると、またあの女の人が…。
あれ、今度はこない。

栞子ママ「…どうしたのでしょうか。部屋の前に控えているように言ってあるのですが…」

お義母さんは不思議そうな顔でもう一度手を叩いたけれど、今度も誰も来なかった。
その表情に苛立ちの色が見え始める。

栞子ママ「全く…不出来な使用人ですいませんね、上原さん。きちんと叱っておきますから」

そんなことを言われて、「ええそうしてください」なんて言える人間性はしていない。

歩夢「い、いえそんな、きっと忙しいんですよ!あ、それなら私、タクシーを呼ぼうかな!」

栞子ママ「それには及びませんよ…。全く…。表には私の運転手をまだ控えさせています。あの子に送らせましょう」

お義母さんが立つ素振りをみせたので、私は率先して立ちあがって襖を開けた。
こういう点数稼ぎが姑との良好な関係につながるとか聞いたことがある気がする。
初めて来たお家で先頭を歩くのもどうかと思ったので、栞子ちゃんの後ろをついて長い廊下を歩いた。
すると、向こうから何か言い争うような声が聞こえてくる。

「だから!…してって言ってるでしょ!…は…って言ってる…」

「……ません。…ください」

栞子「玄関の方ですね。今日は他にもどなたか来る予定が?」

栞子ママ「いいえ、ありませんが…」

近づくにつれ、声がはっきり聞こえてきた。
言い争っているのは二人で、両方とも女の人の声かな?
というか、片方はさっきお茶やノートパソコンの用意をしてくれた人で、もう一人の声はもっと聞き覚えが…。
栞子ちゃんと顔を見合わせる。

「ああもう、埒が明かない!とにかく、もう上がるよ!」

「お待ちください!薫子様!」

やっぱり…。

薫子「母さんはいつもの部屋でしょ!分かってるから…っと」

ドタドタという足音が近づいてきたかと思えば曲がり角から現れた人影は、先頭に立っていた栞子ちゃんがぶつかりそうになると、慌てて止まった。

薫子「…え?栞子!?…あれ、歩夢ちゃんと…母さんも…?」
0986名無しで叶える物語(たこやき)
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2022/07/08(金) 00:51:29.19ID:ObwQ2DKp
私達は、とりあえず近くにあった応接間に4人で腰掛けた。
薫子さんに会ってから不機嫌な顔を隠そうとしないお義母さんと薫子さんが向かい合ったり隣同士にならないよう、栞子ちゃんと顔で示し合わせて座ると、私の隣が薫子さん、栞子ちゃんの隣がお義母さんになった。

薫子「もう!ランジュのマンションに行っても誰もいないし、歩夢ちゃんも電話に出ないし…心配したんだからね!」

歩夢「え?…す、すいません。着信来てますね…。通信、切ってたもので…」

お義母さんと話している最中に電話が鳴り響いてしまわないようにしていたのが裏目に出たようだ。
結果的に薫子さんとお義母さんが顔を合わせることになってしまった。
そうならないように、二人で来たというのに。

薫子「まぁ、二人とも無事でよかったよ…栞子も、顔を見られて安心した」

栞子「姉さん…。はい、心配をかけました」

栞子ちゃんに言われて連絡をしなかったけれど、やっぱり心配させちゃったみたいだ。
メールはともかく置き手紙でもしてくれば良かったかな。

栞子ママ「薫子…」

そんな心温まる姉妹の再開の場面とは裏腹な冷ややかな声が、斜め前から聞こえる。
ひぃ…、できるだけ二人がお互いを見ずにすむ配置にしたのに、お義母さんは薫子さんをガン見だよ…。

薫子「あぁ、母さん。久しぶり。元気だった?」

栞子ママ「…あなた、追い返した時に私がなんと言ったか、覚えてないのですか?」

薫子「え?…次はお土産持ってこいとか?」

栞子ママ「違います!もう二度と、この家の敷居は跨がせないと言ったはずです!」

見るからに怒っているお義母さんに、いつも通り飄々としている薫子さん。
そんな薫子さんの態度に益々お義母さんもイライラしているみたい…。
2人とも親子なのに、これまで話に聞いてきた通りで仲が悪いというか、相性が悪い感じが私でさえよく分かった。

薫子「あぁ…覚えてるよ。でも、もう跨いじゃったもんはしょうがないじゃん」

栞子ママ「盗人猛々しいとはこのことですね!ではすぐに出て行きなさい!」

薫子「まぁ、待ちなって。もうすぐ母さんが大好きなお土産が到着するからさ」

栞子ママ「要りません!」

薫子「そんなこと言わずにさ。ほら、もう着いたみたいだよ」

詰め寄るお義母さんから目線を逸らすように薫子さんが見たのは玄関の方。
あ、確かにいま戸の先で門の閂を抜く音が聞こえた。
こんなにカンカンなお義母さんを相手に、何のお土産を渡そうとしてるんだろう。
足音が近づいてきて、インターホンが…鳴らず、足音の主は自分でガラガラと三船家の戸を開けた。
そして、まっすぐな足取りでこっちに近づいてくる。

「皆揃って、なにをしているんだい?」

襖をあけて現れたのは、細身で中性的な顔立ちをした凄い美形な男の人?だ…。たぶん。
声も高めなので、「背の高い女の人ですよ」って言われたら納得してしまいそう。
私が男の人だって思ったのは着物が男性向けだから。
もし、男装した女性だって言われたとしても納得してしまいそう。
ことりちゃんあたりに頼んで栞子ちゃんを男装させたらこんな感じかな…背はちょっと足りないかもだけど。

「おや、君は…もしかして、君が上原歩夢さん?」

そんな馬鹿みたいなことを考えていると、その人は私の名前を呼んだ。
…え?誰?どこかで会ったかな…。

「あぁ、ごめんね。三船栞子の父です。娘と仲良くしてくれて、ありがとうね」

必死に私が思い出していると、その人はペコリと頭を下げたので私も反射的に会釈を返す。
…は?今なんて…。

栞子ママ「あ、あなた…」

薫子「お帰りー。到着してすぐで悪いんだけどさ、一緒に母さんを説得してよ」

栞子パパ「え〜?どうせ、また薫子が怒らせたんだろ?」

え、ええ〜…?
0987名無しで叶える物語(たこやき)
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2022/07/08(金) 00:52:08.49ID:ObwQ2DKp
栞子ちゃんがこちらに移動して、私と栞子ちゃん、薫子さんが二人のご両親と向き合う形でソファに座った。
お義母さんもさっきまでの不機嫌をしまいこんで、お義父さんの隣に座っている。

栞子パパ「久しぶりだね、栞子」

栞子「あ、はい。父さんこそ、お元気そうで何よりです」

栞子パパ「うん。まぁ、忙しいのは相変わらずだけどね。そのせいで栞子にも迷惑をかけた…すまない」

栞子「い、いえそんな!それに、歩夢さんと姉さんが色々と頑張ってくださったので…」

栞子パパ「そうだね…。薫子、ご苦労様。上原さんも…」

歩夢「は、はい!」

栞子パパ「栞子のために、動いてくれてありがとう」

歩夢「いえ、そんな!私は、その、当然というか、私のためでもあるというか…」

栞子パパ「…そうか。栞子のことをそんな風に言ってくれる人に、娘が出会えたことを嬉しく思うよ」

そう言ってお義父さんは微笑んだ。
お義母さんの第一印象は冷たい美人、って感じだったけれど、何というかお義父さんは底の知れない感じがする。
話し方も、表情も、温和なんだけれど、それだけじゃないっていうか…。
これが人の上に立つ人の醸し出すオーラ、なのかな?

栞子パパ「…さて、さっさと本題に入ろうか」

栞子「本題、ですか?」

薫子「言ったでしょ?助っ人を呼んでくるって」

歩夢「助っ人…。あ!」

すっかり忘れてた。
薫子さんが言ってた当てって、お義父さんのことだったんだ。
三船家の当主だというお義父さんなら確かに効果的な助っ人だろう。
でも、もうお義母さんとは話しがついていることも、私と栞子ちゃんがお付き合いしていることすら薫子さんとお義父さんは知らないんだ。
それに、また自己紹介をしていないのもマズい。

歩夢「あ、あの!お義父さん!自己紹介が遅れました、実は私、栞子さんと、その、お付き合いさせていただいていまして…今日はそのご挨拶に来たんです」

薫子「ええ!ホントに!?よかったね、栞子!あんなに大好きだった歩夢ちゃんと付き合えて!」

栞子パパ「おや、薫子は二人の仲を知らなかったのかい?私は一目でわかったよ」

薫子「いや〜、私は歩夢ちゃんとの付き合いも長いからさ…逆にね?」

栞子パパ「そうか。でも、ふむ…。君が自ら栞子の恋人だと名乗るなら、助っ人の話は一旦置いておこうか」

薫子「え!なんで!?ここまで来て…」

歩夢「あ、あの、私何か失礼なことを言いましたか?」

お義母さんを説得するための助っ人だから別にいいんだけど、お義父さんに第一印象で嫌われたならマズい。

栞子パパ「ん?ああ、別にそういう訳じゃないし、約束を違えると決めたわけでもないよ。ただその前に私も、親の務めとして見極めなくちゃならない思ってさ。上原さんをね」

歩夢「!み、見極める、ですか?」

栞子パパ「そう。まぁ、話を聞こうと思ってね。薫子からある程度の人となりは聞いたけれど、私自身君とは初対面だ。だから、君の口から直接聞きたいんだ。栞子とのことを、どう考えているのかをね」

歩夢「それは、つまり…」

栞子パパ「ああ、べつに馴れ初めや惚気を聞くつもりはないんだ。これから栞子とどうなりたいのか、それだけ聞かせてほしい」

思わず栞子ちゃんの顔を見る。
信用しています、って言うみたいに頷いてくれる栞子ちゃん。
でも、その瞳には少しだけ不安が揺らいでいた。
それはそうだろう。
だって、私達は昨日初めて想いを伝えあった仲だ。
これまでずっと、ずっと私を好きでいてくれたという栞子ちゃん。
それをずっと、気づかなかった…ううん、きっと気づいてて、でも色んな言い訳をして見逃してきた私。
今更何を言ってもそれは変わらない。

歩夢「わかりました、お話しします。私は…」

でも、だからこそちゃんと、言葉にしないとね。
しっかり栞子ちゃんのことを考えてくれる人たちの前で。

歩夢「栞子さんを、お嫁さんにしたいです!」
0988名無しで叶える物語(たこやき)
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2022/07/08(金) 00:53:32.84ID:ObwQ2DKp
応接間がシン…と静まり返る。
あ、あれ?

栞子「…あ、あの、歩夢さん?」

栞子ちゃんですら困惑顔。

歩夢「わ、私、何か変なこと言ったかな?」

そこで、堪えきれなくなったように薫子さんが吹き出した。
それに釣られるように笑いだすお義父さん。
お義母さんだけが少し困った顔で微笑んだ。

歩夢「え、えー…」

栞子パパ「いやぁ、栞子は面白い子を選んだね」

薫子「うんうん、やっぱり私の妹だ!アハハ!」

そんなに笑われるようなことを言ってしまったのだろうか、真剣だったんだけど…。

歩夢「あ、あの…」

栞子パパ「ふふ、ああ。失礼した。君の言った言葉の意味は、栞子と添い遂げる覚悟と受け取って良いんだね?」

歩夢「は、はい!」

栞子パパ「それはつまり、三船の跡取りと結婚するということだ。それは分かっているかい?三船の妻という立場は、恐らく想像しているよりも大変だよ。実務面だけじゃあない。恥ずかしながら、三船家の中にあるドロドロとしたことにだって、君は立ち向かってゆかなくてはならない」

歩夢「…それはお義母さんから、少し聞きました。ですが、栞子さんとなら、覚悟はできています」

お義父さんは少し意外そうな顔でお義母さんをチラりとみた。

栞子パパ「…そうか、でもそれは、栞子に会えなくても変わらないのかい?」

歩夢「…どういうことですか?」

栞子パパ「…私は、妻を愛している。子どもができても、この歳になってもそれは変わらない。だから仕事がない時必ず家に帰り、家族での時間をとるようにしているんだ。当主になってからもね。けれど…去年の1年で家に帰ってこられたのは1週間にも満たない日数だろう」

そんなに…。

栞子パパ「それだって、家を妻が守ってくれているからこそできることだが…。その上で何も返せない自分を歯がゆく思うよ」

栞子ママ「私は、あなたの妻でいて不幸と思ったことはありませんよ」

栞子パパ「ありがとう…。けれど、大変な思いをさせてしまっているだろう。今回のことだって、私が家にいれば、ここまで大ごとにならなかったろう?」

栞子ママ「それは…。申し訳ありませんでした…」

栞子パパ「いや、君は私を責めるべきだよ。あの日、何があっても君を守ると誓ったのに…私はそれを破ってばかりだ」

栞子ママ「そんな!あなたが何よりも私たちを大事にしてくれているのは痛いほど…」

歩夢「あ、あのー…」

栞子パパ「…コホン、すまない。…とにかくだよ。恋人でいるのと、夫婦になるというのは違うんだ。栞子が相手であれば特にね。それでも、さっきの言葉を後悔することはないと言えるかい?」

お義父さんは、あくまで私を試すというよりは心配するような声色で聞いてくれた。
だから、感情としては「もちろんです」と即答したいところだけれど…。

歩夢「…栞子さんは、凄く責任感の強い人です。私には三船家の当主のお仕事の大きさとか、大変さとかはまだ分からないけれど、それがどんなに辛くてもやり遂げようとする人です」

栞子パパ「…そうだね。薫子とは違った、栞子の強さだと思う。でも、栞子が苦境に立ち向かおうとすれば、それは傍にいようとする君にだって降りかかるだろう」

歩夢「だからこそです。私は…栞子ちゃんの帰る場所になりたいと思っています」

栞子「歩夢さん…」

栞子パパ「ほう…それは、つまり?」

歩夢「どんなに大変なことがあっても、何が敵になったとしても、私だけは栞子ちゃんを守ります。どうしても、私達だけじゃ立ち向かえないものが相手なら、栞子ちゃんを連れて逃げます」

栞子パパ「!…それが、三船家でも?」

スッとお義父さんがこちらを見る目を細めた。
気を悪くさせたかもしれないけれど、今の言葉は私の本心だ。
訂正する気はない。

歩夢「はい!」

私の返事を聞いたお義父さんは元々細めていた目をそのままにっこりと閉じた。
0989名無しで叶える物語(たこやき)
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2022/07/08(金) 00:54:16.91ID:ObwQ2DKp
栞子パパ「…うん、君の言葉、三船家の当主として聞き届けたよ」

薫子「!父さん。それは…」

栞子パパ「うん、良いんじゃないか。上原さんなら、なぁ母さん」

栞子ママ「ええ。私はあなたが帰る前から上原さん、いえ。歩夢さんのことは認めていましたよ」

薫子「え、そうだったの?それならそうと言ってくれればよかったのに」

栞子ママ「あら、だって。お父さんも可愛い末の娘の恋人に、言いたいことがあるみたいでしたから」

栞子パパ「…じゃあ、これで仕舞いだね。二人とも、今日は泊まっていきなさい、薫子も」

お義父さんがお義母さんがしたように手を叩くと使用人の人が何人か入ってきた。
お言葉に甘えるべきかどうか判断しかねて薫子さんを見ると、こちらの視線に気付いた薫子さんは少し悩んだ顔をした後に、お義母さんの顔をちらりと見て頷いた。

薫子「いや、やめとくよ。せっかくの夫婦水入らずなんだし、私達は私達でよろしくやってくるよ」

ね?と薫子さんがこちらにウインクする。
確かにさっきの話しじゃあんまり会えないみたいだし、お邪魔しない方がいいよね。

歩夢「そうですね、いこっか栞子ちゃん」

栞子「はい、歩夢さん」

栞子パパ「おや、そうかい。それじゃあ、お言葉に甘えようか、母さん」

栞子ママ「では、2人を送るよう、連絡をしておきましょう。…薫子も」

薫子「いや。私は乗ってきた車があるし、二人もついでに送るよ」

栞子ママ「もう、あなたはまたそうやって人の好意を…まぁ、良いでしょう」

お義母さんは一瞬眉を上げかけたけれど、一つ溜息をつくとしょうがないな、という顔をして薫子さんの背中をぽんと押した。
0990名無しで叶える物語(たこやき)
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2022/07/08(金) 00:54:50.61ID:ObwQ2DKp
外まで見送りに来てくれたお義父さんとお義母さんにお辞儀をして、薫子さんの車に乗り込んだ。
助手席に薫子さんがさっさと乗ってしまったので、私と栞子ちゃんが後部座席だ。
服装がスーツになっていたので乗り込むまで気づけなかったんだけれど、運転席には栞子ちゃんの救出に協力してくれた女中さんが乗っていた。
会釈を交わし合った後にはスッと前を向いてしまったので会話はなかったけれど、三船家から出奔したようなものだし、お義母さんたちの前であまり目立ちたくないのかもしれない。
車が出たあとも、あまり話してはくれなかったけれど。

薫子「いやー、緊張したね〜。それにしても、母さんにあそこまで気に入られるなんて、やるじゃん歩夢ちゃん」

栞子「そうですよ。歩夢さんのお陰で、全部上手くいきました。やっぱり歩夢さんは凄い人です」

歩夢「も、もう、二人してそんなに褒めないでよ。それに、お義母さんから聞いた分家の人たちのこともあるし、まだ頑張らないと…」

薫子「え、何のこと?」

薫子さんが到着するまでのことを大まかに話す。
お義母さんを説得したときのことを話したら嬉しそうに笑ってたけど、分家の人達の話をしても薫子さんはあんまり暗い表情はしなかった。

薫子「あぁ、それなら大丈夫だと思うよ」

歩夢「え、なんでですか?」

薫子「父さんが言ってたでしょ。“三船家の当主として”って。あれは、二人の仲を認めたってだけじゃなくって、だれにも口出しさせません、って意味なんだよ」

歩夢「ほ、本当ですか!」

薫子「うん。だから、そっちの問題はなんとかしてくれると思う。父さん、結構強権派だし」

それなら、もう私達の仲を邪魔するものはないってこと!?

歩夢「やったね!栞子ちゃん!」

栞子「は、はい!歩夢さん、やりましたね!」

薫子「うんうん。2人は晴れて婚約者同士になれたわけだし、万々歳だね」

歩夢「…え?」

こ、婚約?

栞子「歩夢さん?どうしました?」

こちらを見てきょとんとしている栞子ちゃん。
別に今の言葉には何にも引っかかってないみたいだけど…。

歩夢「あ、あの。婚約って…」

薫子「え、だって、言ってたじゃん栞子のこと『お嫁さんにしたい』って」

…言った。

栞子「あ、歩夢さん、もしかして…」

栞子ちゃんが凄い悲しそうな目でこっちを見ている。

歩夢「あ、いや、違うの!あの言葉には嘘はないんだけど!だって…」

薫子「だって?」

歩夢「だって、プロポーズはもっと、ロマンチックにしたかったから…」

それを聞いた薫子さんは一瞬フロントミラー越しにきょとんとした顔をした後、笑い出した。
あ、女中さんまで!

歩夢「そ、そんなに笑わなくても!」

薫子「だ、だって…ぷ、ふふ。そんなこと、気にしてるなんてさ!」

そんなことじゃないもん!と私が拗ねかけていると、栞子ちゃんが袖を引っ張り私の耳元に顔を寄せて囁いた。

栞子「…今度は、私がプロポーズしますね」
0991名無しで叶える物語(たこやき)
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2022/07/08(金) 00:55:32.47ID:ObwQ2DKp
あのレストランで食事をしてから、荷物があるからとランジュちゃんのマンションの前まで車で運んでもらった。

歩夢「すぐに荷物を纏めてきますね」

薫子「いや、いいよ。とりあえず今日はもう遅いし、また明日迎えにくるね」

歩夢「そんな、二度手間じゃないですか」

薫子「いーの、いーの。それに、いろいろあった日だし、今日はきっと…燃えるよ?」

ニヤリとしながら言う薫子さんに、顔を真っ赤にする栞子ちゃん。
一瞬きょとんとしてしまったけれど、3秒ほどで私も意味に気づく。

栞子「あ、歩夢さんに何を言うんですか!帰るなら、早く帰ってください!」

薫子「ハイハイ…ああ、あと1つ、2人には謝らないといけないことがあるんだよね」

歩夢「…なんですか?」

薫子「実はさ、栞子のお見合いが母さんにバレたの、私のせいみたいなんだよね…」

え?ええと、どういう意味?

薫子「えっとね、調べたら栞子のお見合いの会場代の領収書が実家に届くようになっちゃっててさ。ごめんね。なんか前実家に顔出した時に母さんが滅茶苦茶怒ってたからなんでだろ、とは思ってたんだけど…」

なるほど…そんな経緯があったのか。

歩夢「でも、結果的に、全部上手くいきましたし」

薫子「それは二人の頑張りがあったからだよ。間違いなくね」

歩夢「でも、薫子さんがいなければ、栞子ちゃんとこうはなれなかったと思います」

薫子さんは照れたように「そっか」と言うと、ひらひらと手を振って窓を閉めた。
そのまま車は発進し、マンションの前で栞子ちゃんと二人きりになる。

歩夢「じゃあ、入ろっか」

栞子「は、はい!」

栞子ちゃんの手を握ると、少し強張っていた。
0992名無しで叶える物語(たこやき)
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2022/07/08(金) 00:56:30.06ID:ObwQ2DKp
持って出た荷物はお土産とそれぞれ小さなバッグのみだったので、片付けるものも特にはない。
お風呂を入れてくると、リビングで栞子ちゃんがお茶を入れてくれていた。

歩夢「ありがとう」

栞子「いえ、こちらこそありがとうございます」

歩夢「…ふぅ。今日は疲れたね」

栞子「はい、長い一日でした…。それで、あの…」

歩夢「うん?なに?」

栞子「き、キスしてもいいですか?」

歩夢「え?…うん、いいよ。…ん」

返事をしてすぐに、栞子ちゃんから顔をよせてくる。
受け入れると、少し栞子ちゃんの鼻息が荒かった。
舌を絡めてから、そういえば歯を磨いてないことに気付いたけれどお互い様と思うことにする。
臭うようなものは食べていない気がするんだけど…。

栞子「ぷは…、あ、歩夢さん、脱がせますね?」

歩夢「え?ちょ、ちょっと待って!」

するりと手が裾から入ってきそうになるのを止める。

栞子「え…?」

拒否されたと思ったのか、凄く悲しそうな顔の栞子ちゃん。

栞子「だ、駄目でしたか?」

歩夢「そうじゃないけど…」

栞子「でしたら…」

だって、朝から色々あったし暑い季節じゃないけれど流石に…。

歩夢「シャワー浴びてから、ね?」
0993名無しで叶える物語(たこやき)
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2022/07/08(金) 00:56:54.32ID:ObwQ2DKp
私は別に一緒に入っても良かったんだけど、全裸で向かい合うのはまだ緊張すると言うので栞子ちゃんに先に行ってもらって、その間にベッドを整える。
凄い緊張した顔もちで栞子ちゃんが帰ってきたので寝室で待ってもらって、私もお風呂に入った。
湯舟で疲れを解したあと、どことは言わないが特に念入りに身体を洗う。
パジャマに着替えて戻ると、栞子ちゃんはベッドの上に座っていた。

歩夢「ふふ、なんで正座なの?」

栞子「え、いえ、その…緊張してしまって」

栞子ちゃんのとなりに腰掛けて身体を寄せる。
一瞬強張らせた後栞子ちゃんもベッドから足を下ろし、また顔を寄せた。

栞子「ちゅ…んむ。ふぅ、あ、歩夢さん…一つ、お伝えしたいことがあります」

歩夢「ん…ぷは。…うん、なぁに?」

栞子「それは…やっぱり、後でお話ししますね…ちゅ…」

歩夢「ちゅ…うん、わかった…ちゅる…」

そしてそのまま、何度も口づけを交わす。
そのうちおもむろに、栞子ちゃんの手が服の中に入ってきた。
今度は拒まず、私もボタンを自分で外す。
そして、その手が胸に触れる寸前…インターホンが鳴った。

歩夢「…誰だろう」

栞子「…誰だっていいです。こんな時間にやってくるなんて非常識な人、無視しましょう」

栞子ちゃんにしては珍しい物言いだ。

歩夢「でも、そういう訳にも…」

その内にインターホンがまた鳴った。

栞子「…はぁ。見てきます」

歩夢「わ、私も行くよ!」

カーディガンを羽織り、二人でインターホンの前に行く。
スピーカーをオンにして、「どちら様ですか?」と聞くと…。

「ランジュよ!あら、この声…きゃあ!久しぶりね!栞子!」

私たちは急いで服装を整えて、玄関に向かった。
0994名無しで叶える物語(たこやき)
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2022/07/08(金) 00:57:20.25ID:ObwQ2DKp
ランジュ「あら、栞子。どうしたの、そんなに怖い顔をして。もう、そんなにランジュに会いたかったの?仕事が遅くなったんだから仕方ないでしょ?」

栞子「いえ、何でもありません。こんばんは、ランジュ」

歩夢「あ、アハハ…ええと、ゴメンね、こんな格好で。実はもう、お風呂入っちゃたんだ」

ランジュ「あら、そうなの。じゃあ、ランジュも入ってくるわね」

栞子「と、泊まるんですか!?」

ランジュ「なによぅ、そんなに大きな声だして。ここはランジュのマンションなのよ?」

栞子「そ、そうでしたね…。いえ、すいません、ランジュ。今回は、迷惑をかけました」

ランジュ「無問題ラ!大親友の栞子と歩夢のためだもの!そうだわ、お風呂の後は、パジャマパーティーをしましょ!」

歩夢「うん、紅茶とお菓子、用意しておくね」

ランジュ「それって…もしかして、歩夢の手作り?」

歩夢「う、うん、一応…」

栞子ちゃんを待つ間、暇だったのでクッキーやらを焼いておいたんだ。

ランジュ「それなら、すぐに行かなくちゃ!ちょっと待っててね!」

そう言って浴室に歩いていくランジュちゃん。

栞子「あの、歩夢さん…後で話すと言っていた話なのですが」

それを見送りながら、不意に栞子ちゃんがそう切り出した。

歩夢「え?それって、さっきの…?」

栞子「はい。大事な話なのですが、今日話さないと意味がないことなので…」

歩夢「そうなんだ…分かった、今聞かせて?」

栞子「…歩夢さんは、私をお嫁さんにしたいと言ってくれましたよね」

私は黙って頷く。

栞子「実は、私も…歩夢さんをお嫁さんにしたいんです。だから…」

歩夢「!…そっか。じゃあ、結婚式は、二人ともドレスだね」

栞子「は、はい!それと…ちゃんとプロポーズの指輪、用意しますね?」

歩夢「うん、私も用意する。でも、高いのじゃなくていいからね。ちゃんと栞子ちゃんが選んでくれたなら、どんなのだって私は嬉しいんだから」

栞子「もちろんです。世界一の指輪を用意してみせます!」

歩夢「もう…待ってるね?」

私達は触れるだけのキスをもう一度だけ交わして、お茶とお菓子の用意をしにキッチンに向かった。
0995名無しで叶える物語(たこやき)
垢版 |
2022/07/08(金) 01:00:23.80ID:ObwQ2DKp
あんまり書き込めないので浪人というものを買いました。
次回更新で完結予定でしたが、スレが足りないのでエピローグという形で新しいスレを立てようと思います。
これまで長らくの保守、本当にありがとうございました。
スレは変わりますが、もう少しだけお付き合いください。
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新しいスレッドを立ててください。
life time: 276日 3時間 31分 8秒
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