【SS】姫乃はカヌーを漕ぐ様です
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姫乃ちゃんがカヌー漕いで八丈島目指すSS
建ったら ザザーン、ザザーン。
波が静かにこだまする浜辺で、姫乃は一人決意をあらわにした。
姫乃「お父さん、お母さん、どうか旅立つ姫乃をお許しください」
少女の片手にはカヌーのパドル、そして傍には一人乗り用のアウトリガー付きのカヌーと食料一式。
少女はカヌーを浜から海に運び入れる。
ザザーン、ザザーン。
姫乃「そして果林さん...今行きますからね!」
穏やかな波の中、少女は一人出港した。 姫乃「ひい、ふう、み...」
姫乃「バイト代と、今月のお小遣い3000円」
姫乃「なな...や...今月も出費が嵩みます」
姫乃「はぁ...衣装代を除いたら、今月使えるのは5000円」
姫乃「行きたかったな。八丈島」
姫乃「果林さんに一緒に行かないかって誘われたけど、旅行費が足りなくて...」
姫乃「フェリー往復最低1万円以上」
姫乃「お父さんにもこの前借りちゃったし、お母さんから毎月貰ってるから、もっと貰う訳には行かないし...」
姫乃「仕方なかった。うん」
姫乃「でもお小遣いは...いつもに比べたら3000円多いから!」
姫乃「....」
姫乃「はぁ...」
姫乃「解ってはいるけど、八丈島行きたかったなぁ」
時計「ぼーんぼーん」
姫乃「あっ、もうこんな時間」
姫乃「勉強しに図書館行かなきゃ」 図書館「勉強頑張りや」
姫乃「ポカーン」
姫乃「...やる気出ない」
図書館「そんな事言わんといて」
姫乃「無理」
姫乃「そうだ、好きな本でも読んでみて、気分を紛らわしましょう」
姫乃「恋愛小説とか?」テクテク
姫乃「恋愛小説...特にモデルさんと女子高校生が恋に落ちるのは、この前新しいのが出ていたはず」
姫乃「えーっと、こっちの棚かな?いやこっちは雑誌の棚か」
姫乃「もしかして、果林さんのも...どれどれ?」
姫乃「あら、残念。もう借りられちゃったか」
雑誌「俺も見てや」
姫乃「こんな所にも雑誌が」
姫乃「ふむふむ」
姫乃「これは八丈島の観光雑誌?」
姫乃「まあ丁度退屈してた所だし、何かの巡り合わせです。読んでみましょう」 雑誌「おいでよ八丈島!」
雑誌「まずは八丈島の地理と歴史について」
雑誌「八丈島は、東京都の本州島側地域の南方海上287キロメートル、御蔵島の南南東方約75キロメートルにある、火山島です。伊豆諸島に含まれます」
雑誌「島の面積は69.11 km²、周囲はおよそ60km。行政区画は東京都品川区に属し、島の人口は約7000人です。くさや・明日葉・ハイビスカス・島焼酎が特産物です」
姫乃「へ〜」
姫乃「あっ、島焼酎は果林さんから一度貰いました。私じゃなくて、お母さん達が飲みましたけど」
姫乃「ふむふむ、八丈島は通年で暖かいと」
姫乃「どこかのお乳マッターホルンの国とは結構違うんですね」
姫乃「日本のハワイと言って昭和の頃は賑わっていたと」
姫乃「今でも魅力的な場所ですが、そんな時期もあったのですね」 姫乃「ふむふむ...」
姫乃「八丈島の歴史は...」
姫乃「ものすごく詳しく書かれていますね、この雑誌」
姫乃「えーっと...」
姫乃「八丈島は約3700年前の噴火で現在の形になりました」
姫乃「八丈島における、有史以前の人類活動は7000から6500年前に遡ります。彼らは、火山活動が続いていた八丈島に入島し、湯の浜に拠点を作りました」
姫乃「湯の浜に住み着いた人の系統は不明です。系統が不明という意味は、どこから来たかわからないという意味です。彼らは一時的に島に住み着きました」
姫乃「一時的に...現在の八丈島の住人の直接的な祖先ではないと」
姫乃「日本から来たかもしれないし、東南アジアの島々から黒潮に乗ってやってきたのかもしれないって補足されてる」
姫乃「行動範囲広過ぎじゃない?」 姫乃「次は、えーっと」
姫乃「次に入島したのは縄文時代前期、今から5,000年前の倉輪人です。遺物の組み合わせより考えると、彼らはたびたび本州の縄文文化とも交易があったとされる...」
姫乃「えっ!?八丈島から本州を船で!?」
姫乃「しかもそんな原始的な昔の人が!」
姫乃「どんな船を使ったんだろう?」
姫乃「縄文時代の舟って、えーっと、あった、まるきぶね...」
姫乃「丸木舟は木をくり抜いた舟の事です。ものすごく簡易的で、原始的で」
姫乃「今で言うカヌーみたいな船で数人で...」
姫乃「縄文人すげ〜」
姫乃「もう一度繰り返すけど、5000年前の人ですよね」 姫乃「あっ、この本なんかもっと詳しく書いてある」
姫乃「どれどれ....」
姫乃「三番目の渡島民は、2,000〜1,200年前まで、東山と西山の間で、干魚・燻製加工を専業にした八重根人です。弥生〜平安時代に活動しました。」
姫乃「彼らもまた、丸木舟や簡易的な組み木船を用いて八丈島へやってきたと考えられます」
姫乃「先史時代最後の渡島民は、火の潟人です。彼らは西山地域の八丈小島側海岸際に生活した平安時代の人達で、製塩業を生業としました」
姫乃「以上現在までに確認された遺跡からそれぞれ名付けられています。(湯浜、倉輪、八重根、火の潟)これらの発掘成果は、八丈島の歴史にとって重要なものです」
姫乃「これ以降の八丈島は、本土の中央政権と関わりを持つ事が、文献の中に八丈島の文字が現れること、陶磁器の流通から分かっています」
姫乃「八丈島に最初に住み着いた人が現代人の直接的な先祖ではなく、本土の人達の入植が度々あったと...」
姫乃「ふむふむ、鳥も通わぬ絶海の八丈島という割には結構人が行き来していたんですね」
姫乃「これは結構勉強になりました!」 姫乃「ちょっとだけ縄文時代とか弥生時代に興味が湧いてきました」
姫乃「ちょうど世界遺産に縄文時代の遺跡が登録された事ですし...」
姫乃「この本とか面白そうですね」
『海を渡った縄文人』
『黒潮の考古学』
『クラの交易』
姫乃「難しい本ですね...」
姫乃「へぇ...アウトリガーっていうカヌーが海洋進出を用意にしたふむふむ」
姫乃「しかし日本国での直接的史料の出土があるわけでも、丸木舟の関わりがあるかも不明」
姫乃「あくまでも机上の理論として考えられているのですね」
姫乃「あと、縄文文化って一括りにされるけど、地域差が激しいので一枚岩ではない、ですって」
姫乃「八丈島は南沙諸島からイースター島、タヒチ島をつなく太平洋の三角形の文化圏で捉えた方がいいどうたらこうたら....」
姫乃「これは難しいですね。とりあえず、南方の影響を受けているって簡単に考えればいいか」
ペラペラ 姫乃「はぁ〜今日は本をたくさん読みました!」
姫乃「面白かったです!図書館さんありがとう」
図書館「そんな事言ってくれて感謝感激雨嵐や」
姫乃「さて、帰りましょう」
姫乃「今日は海が見たい気分なので海岸線を通っていきましょう」テクテク 姫乃「はぁ〜海はいつ見ても雄大ですね...」
姫乃「あっ、旗が立ってる」
いい感じのお兄さん「お嬢さんもやっていきませんか〜?」
姫乃「えっ?私!?」
いい感じのお兄さん「はい!誰でも始められるカヌーだよ!」
姫乃「カヌー、い、いえ、そんな!」
いい感じのお兄さん「そっかぁ、いつでも待ってるからまたおいで〜」
姫乃「は、はい!」 姫乃「さっきのお兄さんいい体格してたなぁ〜じゃ、なくて...」
姫乃「カヌー...」
この時姫乃に電撃が走る!
姫乃「八丈島が日本本土との交流を持ち始めたのは5000年前から...」
姫乃「倉輪人はカヌーの様な丸木舟で...」
姫乃「カヌーの様な...」
姫乃「カヌー!!これです!!」
姫乃「こうしちゃいられません、食料と、さっきのお兄さんの所に!!」
姫乃「今の所持金は5000円」
姫乃「保存食なら3週間分ぐらい買えます!」
姫乃「早速スーパーに向かいましょう!!」 24までいったので一旦ここまで
12時ぐらいにまた来ます 手漕ぎで八丈島とか果南でもそこそこ疲れるレベルだろ 風に流され太平洋のど真ん中でソーシャルディスタンス これは期待
最近のSSのおかげで八丈島に関する知識が増えていく…… 姫乃「お願いします!」
いい感じのお兄さん「えぇ...」
姫乃「そこをなんとか!」
姫乃「土下座でもなんでもしますから!」
いい感じのお兄さん「そこまでしなくても...」
いい感じのお兄さん「わ、わかったから土下座はやめて...」
いい感じのお兄さん「なんかそう言うのに見えるから...」
いい感じのお兄さん「カヌーは貸すから、どれがいい?」
姫乃「ほんとですか!」
いい感じのお兄さん「でも条件があるよ」 いい感じのお兄さん「はじめにGPSなどの衛星通信機をつける事」
いい感じのお兄さん「次にその様子をカメラに納める事」
いい感じのお兄さん「この二つは万が一漂流した時、自分の最後になっちゃった時の為に」
いい感じのお兄さん「機器は貸すから約束できる?」
姫乃「はい!」
いい感じのお兄さん「あと潮流図は覚えた?」
姫乃「はい!スクールアイドルなので完璧に覚えました!」
いい感じのお兄さん「そ、そっか、スクールアイドルってすごいね...」
いい感じのお兄さん「それで、カヌーなんだけど、どれがいい?」
姫乃「アウトリガー付きのがいいです!」 いい感じのお兄さん「アウトリガー付きかぁ...」
姫乃「アウトリガーという添え木をつけると船が安定すると聞きました!」
いい感じのお兄さん「そうやって文献と専門家は言うけど、アウトリガーも横波には弱いからね」
いい感じのお兄さん「横波を受ければアウトリガーも折れる。ちょっとだけ余裕を持たせる程度で考えといて」
いい感じのお兄さん「いい、1番大切なのは船の性能でも、アウトリガーでもない。波を見極める事なんだ」
いい感じのお兄さん「お嬢さんはスクールアイドルだからなんでも出来る訳だけど、それは心に留めておいて」
姫乃「はい!」 ヨットなら普通に有り得そうだけど、カヌーだとどれくらいかかるんだろ いい感じのお兄さんがホントにいい感じのいい人だった >>40
一般人は潮の流れに勝てない
スクールアイドルなら勝てるけど 姫乃(八丈島までカヌーを漕いで目指すには4つの難点があります)
姫乃(はじめに、ここお台場から伊豆半島天城のあたりを目指す事)
姫乃(これは東京湾内からの移動なので、穏やかに波もなく移動できそうです)
姫乃(多分三浦半島のあたりで一泊で、伊豆半島に着くのが二日目ぐらいです)
姫乃(次が難関です。伊豆半島から伊豆大島を目指します)
姫乃(潮流のある所、はじめての外洋になるので、ここで体を慣れさせなければなりません)
姫乃(ここで3泊目)
姫乃(次の難関は神津島から三宅島を目指す事です。神津島から三宅島までは30kmしか離れていませんが、その間には大きな塩の流れがあります)
姫乃(そして最後に...御蔵島から八丈島の90km)
姫乃(これが曲者です) どう考えても思いつきの初チャレンジでやることじゃない なんで昔の人八丈島とか発見出来たのか不思議に思ったけど
肉眼で離れ小島見えるのか
その島たどり着いたらまた別の島が見えるから船作って見に行ったんだろうな
いつか宇宙探索もこんな感じで進んで行くんだろうか カヌーで行く時間でバイトでもすればフェリー代くらい稼げるのでわ… 姫乃(水平線は見える距離に限りがあるのです)
姫乃(人が海水面上に立てたとして、見える距離は5kmほどで)
姫乃(普通の高さ40mの船の甲板、山の中腹に立って、ようやく20kmほどが見えます)
姫乃(実際には島の標高などで水平線の向こうにうっすらと姿を見せるのですが)
姫乃(御蔵島から八丈島までの90km)
姫乃(全く島が見えない状態で、どこに島があるのかわからない状態でカヌーを漕がなければなりません)
姫乃(この間にも潮の流れがあります。横から流れを受けるので...横波、アウトリガーを気にかけないと...) 姫乃(人類がどのようにして八丈島を見つけたのかは良くわかっていません)
姫乃(鳥の渡りであったり、漂流物から島の存在を知っていたんだと思います)
いい感じのお兄さん「お嬢さん、準備はできたかい?」
姫乃「はい!目標は1週間以内で八丈島に着く事です!」
いい感じのお兄さん「船の荷積みもオッケーだね!」
姫乃「水、食料3週間分、万が一の救難信号機、GPS、お父さんの使っていたキャンプセット一式」
姫乃「こんな感じでしょうか」
いい感じのお兄さん「頑張ってね。波が高かったらすぐ引き返してくるんだよ」 ここで場面は冒頭に戻る。
ザザーン、ザザーン。
波が静かにこだまする浜辺で、姫乃は一人決意をあらわにした。
姫乃「お父さん、お母さん、どうか旅立つ姫乃をお許しください」
少女の片手にはカヌーのパドル、そして傍には一人乗り用のアウトリガー付きのカヌーと食料一式。
少女はカヌーを浜から海に運び入れる。
ザザーン、ザザーン。
姫乃「そして果林さん...今行きますからね!」
穏やかな波の中、少女は一人お台場を出港した。 ラ板の2次創作で色物化してる姫乃だけど
the大和撫子な外見な可憐な少女がこのチャレンジしてるのかと思うと草ですね 姫乃「カメラセットできました」
姫乃「皆さん見えてますでしょうか?」
姫乃「出港してすぐに思うことは、東京は船の行き来が以外と多いということです」ギコギコ
姫乃「京葉・京浜工業地帯などに、大型の船が行ったり来たりしています」
姫乃「なので、思ってる以上に船の横波を受けやすい」
姫乃「これはちょっと意外でした。まあ外洋に比べたらなんて事ないですが...」ギコギコ
姫乃「このまま問題なく三浦半島の走り水のあたりまで行けそうですね」 姫乃「只今の時刻11:50」
姫乃「おにぎりをウィダーを飲みました」
姫乃「不思議とトイレに行きたい感じはないです。汗かいているからでしょうか」
姫乃「水分補給は大切ですね。あと、あまりお尻は痛くないです」
姫乃「大型船が横を通過するのを待つ度に、少しパドルを休める様にしていたのですが、流されるみたいです」
姫乃「表面の潮の流れは思ってるよりも早いので、休憩入る時はなるべく護岸に寄ります」
姫乃「漂流物はゴミが多いです。東京だからですね」
姫乃「あと潮溜りみたいな所にクラゲが溜まっていました」
姫乃「潮溜りは遠くから見ると海の色が違うのでよくわかります。なるべく避けていきます」ギコギコ 姫乃「カヌーって思ったよりも早く進みますね」
姫乃「人が走ってるぐらいの速さで進みます」
姫乃「おそらく、スクールアイドルの私が1日で漕げる距離は35〜40kmぐらい」
姫乃「スクールアイドルはなんだってできますが、海の中をカヌーで一人漕ぐのは心細いです」
姫乃「さて、無事海ほたるのあたりまで来ました。半分ちょっとぐらいですね」
姫乃「ここからだと房総半島がよく見えます」
姫乃「ふぅ...一息ついてリフレッシュです」
姫乃「また漕ぎ出しましょう....」 姫乃「川崎から横浜にかけて、人工島が多いです」
姫乃「その分船の往来があるのですが、なるべく遠くに避けつつ、流されないように進みました」
姫乃「この辺りは比較的潮の流れが安定している、かつ波が少ないのでスイスイ進みますね」
姫乃「スイスイ...スイス?」
姫乃「スイス...あなたは今どこで何をしていますか?」
姫乃「果林さんと一緒に八丈島ですか!?羨ましい!」
姫乃「ふるふる!いけません。スイスの事を思い出してしまうなんて!」
姫乃「八丈島はまだ先です。今日は走水を目指す事を目標に」ギコギコ
姫乃「人工島がだんだん見えなくなって、リアス式海岸に変わっていきます」
姫乃「横須賀が近いですね」ギコギコ 姫乃「八景島シーパラダイスを横目に先程見ました」
姫乃「只今の時刻、17:50分です」
姫乃「目の前に走水の港が見えました!」
姫乃「今日はここで野営をします」
姫乃「シャワーは海の家で借りて、夜ご飯はインスタントカレーを食べようと思います」
姫乃「今、漁港に入りました」
姫乃「釣り人の皆さんが怪訝そうにこちらを眺めています」
姫乃「あっ、私は怪しい人じゃないです!」
姫乃「スクールアイドルです!」
姫乃「スクールアイドルで、カヌーで八丈島を目指しています!」
姫乃「わかってくれましたでしょうか?」
釣り人「おけまる水産」
姫乃「ふぅ...通報されずに済みました」
姫乃「さて、船を岸に付けて」じゃぶじゃぶ ガコン
姫乃「晩御飯食べましょう」 その日、夢を見ました。
カヌーよりも大きな、でも簡素な船に乗っています。
暴風雨の中、私は古代の卑弥呼様〜って感じの格好をしていました。
目の前に男の人がいます。なぜかその人を私は兄と認識しているのです。
姫乃「兄様!この暴風雨は海神の怒りなのです」
姫乃「この怒りを沈めなければ、兄様は!」
兄?「いや、海神などいない!」
兄?「海神の子孫である我々が、なぜ祝福を受けないのか?」
兄「これは呪いである!蝦夷の民の呪いぞ!」
姫乃「海神への貢物が必要なのです。それなら、私が贄となりましょう」
兄「や、やめるのだ橘姫」
姫乃「兄様、さようなら...」
そう言って私は海の中へ落ちていきます。
すると、先ほどまでの暴風雨はどこへやら...嵐は止み、空は晴れ渡って行ったのでした... 姫乃「....」むくり
姫乃「変な夢」
姫乃「...ふわぁ〜それよりも二日目ですぅ!張り切っていきましょう」
姫乃「今日は相模湾横断です」
姫乃「走水から静岡県の伊東を目指します!」
姫乃「今日も頑張っていきましょう!」
姫乃「えいえいおー!」
姫乃「あっ、そういえば、ここの近くに神社ありましたね」
姫乃「願掛けがてら寄っていきましょう」 走水神社はヤマトタケルとオトタチバナヒメを祀ってるからね ガランガラン パンパン
姫乃「うまく行きますように...」
姫乃「へぇ...ここの神社こんな神様祀ってるんだ...」
姫乃「おと“たちばな”姫...」
姫乃「あっ、夢の....」
この神社の由来
ヤマトタケルが東征を行った際に、今の浦賀水道を船で渡ろうとしたとき、ヤマトタケルは、「なんて小さな海なんだ。飛び上がって渡れそうだ!」と軽口を叩きました。すると海神は怒り狂い、海は荒れ、前へ進めなくなってしまいました。
オトタチバナヒメは、「これは海神の怒です」と言い、自分の命でヤマトタケルが助かるのならばと入水しました。
すると、波は収まり、海を渡れるようになったと言います。それ以降、ここは走水と名付けられ、この神社ではオトタチバナヒメを祀っています
姫乃「ん?」
姫乃「いやいやいやいや」
姫乃「夢だよね、あくまで夢だよね...」
姫乃「きょ、今日も頑張るぞ〜えいえいおー」棒読み カヌーで八丈島までいけば俺もスクールアイドルになれる説 ビデオに残しているのがメタ的に見て不穏
いや、カヌーで外洋へ航海ってそういう覚悟のものなんだけどね >>64
姫乃「ふるふる!」 可愛い
それはそうとスクールアイドルってすげえ 姫乃「二日目です」ギコギコ
姫乃「只今の時刻、9時30分」
姫乃「相模湾横断開始します」
姫乃「相模湾の海岸沿いには、南から北へ流れる潮の流れがあります」
姫乃「うまく乗れば、ペースを上げて横断できると思います。ですが初めに城ヶ島まで出ないといけません」
姫乃「この辺りは潮の流れの変化が激しいです」
姫乃「少し大変ですが、私はスクールアイドルです」
姫乃「どうにかなるでしょう」ギコギコ 姫乃「金田湾のあたりにはたくさんボートが浮かんでいます」
姫乃「これは釣りの人たちでしょうか...」
姫乃「外海といっても、まだまだ波は穏やかな方です」
姫乃「ここをぐるっと回ると三浦に」
姫乃「海岸沿いは打ちつける様な波に遭うので少し沿岸は避けます」
姫乃「なんとか潮に流されないでうまく行きましたね」
姫乃「ここからは、海岸船を沿う様にいきましょう」ギコギコ
姫乃「かと言って海岸に寄りすぎると戻されてしまうので、慎重に慎重に」 姫乃「もう鎌倉です」ギコギコ
姫乃「関係ないけど、私、江ノ島って鎌倉市だと思ってた時期がありました」
姫乃「これしずくさんの前で言ったら怒られそうですね」
姫乃「ふぅ...目の前に江ノ島が見える...」
ボート「ブオオォォォ」
姫乃「わっ、ボートだ。避けなきゃ」左へ回転
ボート「ブオオォォォ」左へ回転
姫乃「わっ、ボートもこっち来た。今度は右に」ギコギコ
ボート「ブオオォォォ」
姫乃「わっ、もしかしてついてきてる?」
ボート「ブオオォォォ」 ボート「ちょっと君、いいかな?」
姫乃「は、はぃい!?」
ボートもとい海上保安庁「ここカヌー禁止だよ!」
姫乃「はっ、はいすみません!」
海上保安庁「君さっきあっちの方に居たよね?」
海上保安庁「鎌倉の方から知らないできたんでしょ?」
海上保安庁「今なら注意で済ませてあげるから、早く戻りな」
姫乃「は、はい!すみませんでした!!」
海上保安庁「ここの先っちょカヌーに引っ掛けて」ガサゴソ
姫乃(どうしよう...鎌倉戻らないと...伊東に行けない...)
姫乃(あっ、沖に島が見える...ん?島?)
姫乃(あれは伊豆大島....?)
この時2度目の電流が姫乃に走る! 海上保安庁「じゃああっちは行っちゃダメだからね〜」
姫乃「はーい」
姫乃「...これは屁理屈ですが」
姫乃「そっちに行っちゃダメなら、直接伊豆大島を目指せばいいんです!」
姫乃「鎌倉から!伊豆大島へ!」
姫乃「いざ!」ギコギコ 思いつきで行動するのは…
と思ったけどこのカヌー突撃も思いつきだからなんとかなるかもしれない 結果として、伊豆大島への強行突破は成功しました。
スクールアイドル関係なく、これは運だったと思います。
私は、この時勘違いをしていました。
これが自分の力によって達成されたのだと...
姫乃「本来なら伊東の方へ向かうはずでしたが、潮流を横断する形で伊豆大島へ向かいます」
姫乃「鎌倉から伊豆大島まで約60km」
姫乃「私の出せる速度では少し遅いのでペースアップです」
姫乃「それでもおそらく日中には付きません。夜になってしまうでしょう」ギコギコ
姫乃「海を渡る原理はとても簡単です。私の様に実践できるかはまた別問題ですが...」
姫乃「はじめに目的となる島をよく見ます。それから、1番標高の高い山に船の舳先を向けて漕ぐ」
姫乃「これだけです」 こんなに計算してるのに無理という結論に至らないの草 姫乃「伊豆大島や伊豆七島の人類の痕跡は、八丈島よりさらに古く、2万年前に遡ると書いてありました」ギコギコ
姫乃「これもまた、八丈島と同じく、島の資源を利用するために入島し、定住した訳ではないので、2万年前の人類が直接的な祖先とは言えないのだそうですが...」
姫乃「昔の人は黒曜石と言うガラスの様に割れる石材を求め、ものすごい範囲を行き来していた様で」
姫乃「佐賀県の腰岳、長野県の星ヶ塔・星糞峠に並ぶ、黒曜石の産地、それが伊豆諸島、神津島」
姫乃「2万年前の人々は、本州から黒曜石を求めて船で伊豆諸島を行き来していたみたいです」
姫乃「伊豆大島、伊豆半島、房総半島には、この黒曜石の“水揚げ”の遺跡があって」
姫乃「この事から伊豆半島、房総半島から伊豆大島へ向かう事は事実上可能だと思われます」
姫乃「私は今回伊豆半島のルートを参考にしたかったのですが、問題がありましたね」
姫乃「2万年前...」
姫乃「2万年前の人が可能なら、現代の私だって可能です!頑張れ姫乃!負けるな姫乃!」 姫乃「潮流の問題があるので、少し西向きに航路をとります」
姫乃「陸地がどんどん、どんどん離れていきますね」
姫乃「先程までは東向きの風が吹いていましたが、沖に出たら西向きに変わりましたね」
姫乃「つまり追い風。このままいけば、伊豆大島の岡田港付近に到着する事になると思います」
姫乃「流されない為に、休憩はしてられません」
姫乃「パドルの動きに緩急をつけて、右手と左手を休ませます」ギコギコ 伊豆大島と伊豆半島間は地金目鯛の漁場だから黒澤組の息がかかってたり淡島原人が潜って獲ってそう 姫乃「外海ではありますが、陸地がうっすら見えると言うのは安心感がありますね」ギコギコ
姫乃「いくらスクールアイドルの私といえど、疲れて来ました」
姫乃「カメラ、チェック、チェック」
姫乃「皆さん、今の時刻は16:40分ぐらいです」
姫乃「うっすらと夜が降りてきています。今は8月下旬なので、日の入りは7時ごろ」
姫乃「距離はようやく3/4ぐらいと言うところでしょうか?」
姫乃「GPSを確認します」チラッ
姫乃「よかった、流されてはない様です」
姫乃「着くのは8時過ぎぐらいだと思います。島の灯台と灯りを目指して、漕いでいきます」ギコギコ 姫乃「カメラ見えますか?」
姫乃「すっかり暗くなってしまいました。しかし島の明かりがあるので進めそうです」ギコギコ
姫乃「こっからが踏ん張りどころです。暗くて陸が見えないからと言ってパニックになってはいけません」
姫乃「一曲歌いましょう。果林さんへの愛を込めて」
姫乃「瞳に焼き付けて〜」
姫乃「炎の様に踊る〜」
姫乃「ルルルルル〜」
姫乃「ふふふふふふふん〜」
姫乃「細部が思い出せないです...」
姫乃「まあいいです。進むしかないです...」ギコギコ 姫乃「このコンクリートの護岸!」
姫乃「ついに!ついに着きました!」
姫乃「岡田港に着いたんです!」
姫乃「時刻21時50分ごろ」
姫乃「思ったよりも時間がかかってしまいましたが...今日はここに野営します」
姫乃「確かあっちに公営のシャワールームが...」
姫乃「クタクタなので今日はよく寝れそうです」
姫乃「さて、船を港につけて...」じゃぶじゃぶ ゴリゴリ
姫乃「今日はここに野営しましょう」
姫乃「あっ、あそこに自動販売機がありますね」
姫乃「あったかい紅茶でも」ピッ ガコン
姫乃「ゴクゴク....」
姫乃(暖かい...液体が喉を流れるのがこんなにも心地よいなんて)
姫乃「程よい甘さが疲れを流してくれますね」
姫乃「今日はよく眠れそうです...」 2万年前は今より海面100mくらい低かったらしいから陸の部分が多かったのか
現代の方がハードなんだな
八丈島に興味がもてたし勉強になる草 姫乃「カメラ、カメラ」
姫乃「今は夜22時、シャワーも軽く浴びました」
姫乃「私は今、伊豆大島岡田港付近にいます」
姫乃「鎌倉から約60km、漕ぎ終えました」
姫乃「あはは、流石に疲れますね」
姫乃「明日は余裕を持って利島へ向かいます」
姫乃「利島にはシャワーはありますかね?それがすごい気になります」
姫乃「ふわぁあ...疲れたなぁ」
姫乃「それでは、おやすみなさい」ピッ 今日はここまで
神津島の黒曜石の流通は、海水面が現在ぐらいになった海進後も続きます
スタンドアップパドルやカヌーで本土から伊豆大島まで漕いで行ってしまう人はちらほらいる様です
きちんとした経験を踏み、能力が有れば八丈島まで実際に行くことが可能だそうです 3日目の朝
姫乃「ふわぁ〜皆さんおはようございます」
姫乃「カメラバッテリー交換よし」
姫乃「今日も果林さんへの愛を叫びつつ、カヌーの旅頑張っていきましょう!」
姫乃「一日の計は朝にありといいますが、私は毎朝お父さんのキャンプセットでご飯を炊いています」
キャンプセット「グツグツやで」
姫乃「キャンプ用カセットコンロとメスティンって言う四角いお弁当箱みたいな食器があれば10分程度で炊けます」
姫乃「あとは水筒にお水と粉末のスポーツドリンクを混ぜて」シャカシャカ
姫乃「お昼ご飯はこれで完成です」
姫乃「たまには新鮮な野菜とお肉が恋しくなりますね...」
姫乃「まあ利島に行けば何か売ってると思います」
姫乃「朝ごはん食べたらカヌーで出かけましょう」パクパク 姫乃「...」ギコギコ
姫乃「今日は伊豆大島から利島の約束30kmを漕ぎます」
姫乃「ここは西から東へ突き抜ける強い潮流があります」
姫乃「初日にあげた、第三の難関です」
姫乃「今回も流れとは逆を行くので、少し西向きに舳先を向けましょう」ギコギコ
姫乃「外洋だからでしょうか、波が三角形でカヌーの浮き沈みが激しいです」
姫乃「朝食を少し少なめにしたのは正解でした。少し酔ってきたかも」ギコギコ 姫乃「カメラチェック、チェック」
姫乃「朝の8時過ぎに港を過ぎて、現在11時過ぎぐらいです」
姫乃「波がだいぶ強くなってきましたが、漕げない程度ではありません」
姫乃「少し手を止めて、おにぎりを食べましょう」
姫乃「ぱくっ、はむっ」
姫乃「梅干しのしょっぱさが身に沈みますね」
姫乃「お水も飲んで...」ゴクゴク
姫乃「さて、漕ぐのを再開しましょう」
姫乃「特に話すことがないので、縄文時代の航海と利島に着いてお話ししようと思います」 姫乃「利島は東京から南に約140kmに位置しています。りしま、ではなくとしま、と読みます」
姫乃「島の周囲は約8km、住民は300人ほど」
姫乃「八丈島に比べると随分と小さいですね」
姫乃「主な特産物は椿油、富士火山帯に属する火山島で、ゴツゴツした断崖に囲まれています。砂浜はありません」
姫乃「今回目指しているのが、島で唯一の港、利島港です」
姫乃「昔は近くて遠い利島村とも言われていたそうです。波が酷いと、利島を通り過ぎて新島に行くしかなかったそうです」
姫乃「今は大きな港が整備されていますので大丈夫」 姫乃「さて、縄文人の航海についてですが」
姫乃「この辺りには平均時速4kmぐらいの黒潮の分流が流れています」
姫乃「抜け出す為には、これ以上の速さ、約5〜7kmぐらいの速さで抜け出さなくてはなりません」
姫乃「現代のカヌーの名手やスクールアイドルでも時速7kmぐらいを維持するのは至難の業です」
姫乃「私は約5〜6kmぐらいを維持していると思いますね」
姫乃「5000年前の縄文人は、5〜7mに及ぶ、大きな丸木舟で数人の漕ぎ手がいたと思われます」
姫乃「彼らは太陽の位置と星の位置から島を割りだし、航海していたと考えられます」
姫乃「民族事例などでは、手を使って角度と距離を測るそうです。縄文人も同じことをしていたと考えられます」
姫乃「日没間際などでは、手を使うとあと何分で日が沈む〜と言うのは今日実際にやってみましょう」
姫乃「水平線に小指を合わせて、太陽までの本数を測ります。1本が15分です。4本で1時間」
姫乃「いちに、さんし、ご」
姫乃「日没まであと5時間ちょっとです」
姫乃「このペースを守れば日が暮れたちょっと後ぐらいに着くと思います」
姫乃「無心で漕ぎましょう」ギコギコ >>72
録画は自然に場面説明できる万能演出だから多少はね? 姫乃「カメラあそこ見えますか?」
姫乃「漂流物がたくさん溜まっている場所がありますね」
姫乃「あれが潮目です。遠くから見ると、青い海の中に、別の青い筋がはっきりと見えています」
姫乃「近づいてみます」ギコギコ
姫乃「おそらくですが、私たち側の色の濃いのは黒潮の分流でおくの色の白いのが普通の潮流だと思います」
姫乃「その境界線を越えれば、私は黒潮分流を脱した、つまり漕ぐのが楽になると言うことです」
姫乃「楽になる為、今一度パドルを固く握り直しました」
姫乃「おーえすおーえす」ギコギコ
姫乃「ちょうど境界のところに!」
姫乃「おーえすおーえす」
姫乃「潮の色が変わりました。無事越えられたと言うことです」
姫乃「流されなくなったので、進路を元通りに、舳先を利島の最高峰へ向けます」
姫乃「あとはひたすら漕ぐべし...漕ぐべし...」 姫乃「ここが利島港...思ってたよりも大きいです」
姫乃「カメラチェック」
姫乃「只今の時刻、18時40分ぐらいです」
姫乃「日の入りちょうどぐらいにさっきつきました」
姫乃「まだいくつかの民宿やダイビングショップがやってるらしいので、シャワーを借りたのですがそこでなんとお魚と明日葉とナスをいただいちゃいました!」
姫乃「スープ鍋とコンソメを元々持っているので、何か作りたいと思います」
姫乃「何作ろっかなぁ...ふふっ楽しみ!」
姫乃「それではカメラの前の皆さん、先におやすみなさい」
姫乃「私はいい感じのご飯作ったら寝ます!」 丸木舟を並列に10台くらい並べて木か丈夫な縄で固定出来たらイカダより安定した船に近い乗り物になりそう
想像力を刺激される素晴らしいSS 姫乃「皆さんおはようございます」
姫乃「いい朝ですね。昨日私はアジのコンソメ煮を作って食べました」
姫乃「美味しかったです。久しぶりにお野菜も食べれましたし」
姫乃「今日も頑張っていきましょう♪」
姫乃「時刻は8時30分ぐらいです」
姫乃「今日は利島から新島の約18kmを漕ぎます」ギコギコ 姫乃「利島と新島の間には、鵜渡根島と言う無人島があります」
姫乃「明治の頃に一度だけ移住がなされたそうなのですが、その後は廃墟になっています」
姫乃「この鵜渡根島は魚介類の宝庫なので、今は釣り人が時々上陸するそうなのですが...」
姫乃「実はこの辺りの潮流が厄介で、荒れに荒れます」
姫乃「こう言ってる間にも、波が上下してきました」
姫乃「波に合わせる様にパドルを漕ぎます。無理をしたり、横波を受けるとアウトトリガーが壊れてしまうので、要注意です」
姫乃「それにしても...これはちょっと酔っちゃうかも」 姫乃「オーエス、オーエス」
姫乃「こんな今こそ、果林さんへの愛を叫ぶ時じゃないでしょうか?」
姫乃「果林さーん!見てますか!!」(見てない)
姫乃「八丈島へ必ず!必ずたどり着いて見せますからね!!」
姫乃「オーエス!オーエス!」
姫乃「果林さんに会う為ならば、三千里でも海の壁でもなんでも乗り越えていきますからぁ!!」 これだけ逞しかったら卒業後どの業界でも生きていけそう 姫乃「おっとこんなに波が激しいのに、雲模様が悪くなってきました」
姫乃「レインコート、レインコート」ゴソゴソ
姫乃「ポツポツと降ってきましたね。おそらく通り雨ですが、体温を奪われてはならないので」
ザー ザー
姫乃「通り雨のはずですが、思ってる以上に強いです」
姫乃「カヌーにも浸水してしまうので、雨があがったら水を掃いてあげないと...」
姫乃「雨は厄介ですね」
姫乃「オーエス オーエス」ギコギコ 姫乃「カメラ見えますか?」
姫乃「あれが鵜渡根島です」
姫乃「鵜渡根島も切り立っていて、砂浜が見えませんね」
姫乃「伊豆諸島は火山島の集まりだから、砂浜が形成されにくいって事を聞いたことがあります」
姫乃「その後の、因果とか、なぜを聞き逃してしまったので、詳しくはないですが」
姫乃「まだまだ雨が降り注いでいます」
姫乃「寒くはないですが、蒸れますね」
姫乃「袖口や襟などから雨が少しずつ侵入しているので不快感もあります」
姫乃「とにかく止んでほしい限りです」 ポツポツ
姫乃「だいぶ雨が止んできました」
姫乃「新島まではあと少しですが、相変わらず波が激しいです」ザパザパ
姫乃「雨が上がった後の海ってとっても蒸し暑いです」
姫乃「水飲まなきゃ」
姫乃「レインコートは着ていたのですが、予想通り少し濡れてます」
姫乃「先程言った通り、蒸し暑いので、濡れてると不快感がありますね」
姫乃「はぁ...でも新島まで後もうちょっと!」 姫乃「新島が真正面にみえています」
姫乃「舳先を新島の山頂に固定し、後は漕ぐだけ」
パシャん!
姫乃「へ?何か跳ねた?」
姫乃「わっ、背鰭だ、三角の背鰭がカヌーを囲んでる!」
姫乃「もしかして...サメ?」
姫乃「早く漕がなきゃ!」
パシャン!
姫乃「はっ、跳ねた!」
姫乃「あの大きさとシルエットはサメじゃない、イルカだ!」
姫乃「イルカがカヌーについてきてます!」
イルカ「キュイキュイ」
姫乃「これって野生のイルカですよね?こんなに人懐っこいなんて」
姫乃「癒されるなぁ」
イルカ「キュイキュイ」 イルカ「キュイキュイ」
姫乃「ふふふ」
姫乃「なにかと一緒にカヌーを漕ぐって楽しいですね」
姫乃「キュイキュイなーんて」
イルカ「ピャーwww」
姫乃「今何か別の声した様な」
姫乃「まあいいです。イルカさん、ありがとうね」
姫乃「私は島に用事があるからここでさようなら」
イルカ「キュイキュイ」
姫乃「さて、新島ですが、この島は伊豆諸島には珍しく海岸線があります」
姫乃「そこに船を泊めましょう」ギコギコ 壮大なファンタジーだけど目的が「八丈島に行く」なのなんか草 東京からだとまだ半分くらいなのね
がんばれ姫乃ちゃん この辺の地域の歴史に興味湧いてくるわ……
図書館とかで探してみようかな 姫乃「新島の前浜海岸に近づくにつれて波が穏やかになってきました」
姫乃「海水浴場を避けて、端の方に泊めましょう」
姫乃「あそことか良さそう」ギコギコ
姫乃「さて、到着です。カメラ見えてますか?」
姫乃「12時16分、新島到着です」
姫乃「時速3〜4kmを維持して...少し遅めのペースでしたが、なんとか着きましたね」
姫乃「さて、カヌーを浜にあげて」
姫乃「潮の満ち引きも考慮して、結構丘にあげましょう」うんしょよいしょ
姫乃「ふぅ....では改めて...」
姫乃「新島到着です!」 姫乃「ではまずは近くのシャワーが借りれる所を確認しましょう」
姫乃「メモではこちらの民宿が15分300円で貸してくれるって書いてありますね...」
姫乃「どれどれ....」
姫乃「ん...石像がある」
姫乃「この石像、どこかで....」
姫乃「...あーっ!スイスの中の人っぽいモヤイ像!しかも道沿いに沢山置いてある!」
姫乃「注釈ついてる...どれどれ?」
姫乃「澁谷と蒲田とお台場にあるモヤイ像は新島から贈られたものです」
姫乃「島の言葉で、モヤイは団結や協力を意味します」
姫乃「一致団結、協力の精神、を伝えるとともに、都会の人へ新島のアピールする為作られました。石材は新島特産の抗火石で作られています...だって」
姫乃「でもぶっちゃけモアイのぱ...いやなんでもないです」 姫乃「ふぅ...民宿でシャワーも借りれましたし、スッキリできていい気分です」
姫乃「そういえば私がどの様に野宿をしているのか話していませんでしたね」
姫乃「基本的にはお父さんのキャンプセット、クッカーとガスコンロとシュラフとテント、あとエアマットを使用しています」
姫乃「テントはワンタッチのを」
姫乃「クッカーはなんか雪のつくいいブランドのだって言ってました」
姫乃「野宿に大切なのは場所選びです」
姫乃「なるべく窪地は避け、周りよりも一段高い場所を選びます」
姫乃「これは雨が降った際に水が溜まるのを避けるためです」
姫乃「野営地を水の確保が容易だからといって、川の側や中洲に作ってはいけません!後で痛い目みます」
姫乃「後は風を防げる場所がいいです」
姫乃「一昨日は防波堤のすぐ側でした」
姫乃「雨風は防げるのですが、釣り人の皆さんに不思議な目で見られるのでお勧めはしないです...」 姫乃「実はこの新島は八丈島へ向かい際の重要な島です」
姫乃「今回航路を設定するにあたり、縄文時代中期(5,500年前 - 4,400年前)の伊豆七島における黒曜石の流通ルートを参考にしています」
姫乃「このルートでは、新島から神津島へ向かいます。しかし今回は、ここから航路が分かれて、三宅島から御蔵島、そして八丈島へと向かいます」
姫乃「倉輪人(5,000年前)の使っていた丸木舟に似たカヌーで、しかも耐久性と安定性はこちらの方が上なので頑張れば着くと思いますが...」
姫乃「ちょっと心配ですね」 姫乃「考え事していたらお腹減っちゃいました」
姫乃「いつもはインスタントラーメンですが、今日はちょちょだけ豪華なものを」
姫乃「はじめに本土から持ってきたパスタ!次にミートソース!最後に島の人からもらったトマト!」
姫乃「これでパスタを作ります!」 レトルトだけだと酸味とか足りないからね、仕方ないね 姫乃「実はクッカーは三種類あって、蓋つきの丸いものが二つ。四角いのが一つです。四角いのはメスティンというらしいです」
姫乃「今回は丸型のを使用します。お水を注いで、折ったパスタを入れてバーナーにかけます」
姫乃「バーナーは一つしかないで、ちょっとここで裏技を」
姫乃「パスタは少し短めに茹でたのち、湯切りをしないでそのまま放置します」
姫乃「予熱で温めてあげる作戦です」
姫乃「パスタを茹でている間にトマトをカットします。半分は生で食べて、もう半分はパスタの中へ」
姫乃「パスタの分はサイコロ状に少し小さく」
姫乃「空いてるバーナーともう一つの丸型クッカーでソースを温めてあげましょう」
姫乃「...待ち遠しですね」 姫乃「さて、出来上がりました」
姫乃「パスタの上にミートソースをかけて...トマトを散らせば」
姫乃「完成でーす!」
姫乃「早速いただきましょう」パクっ
姫乃「トマトの酸味がアクセントになって美味しいですね」
姫乃「半分残した生のトマトも...」パクっ
姫乃「ん〜、みずみずしいですね」
姫乃「固形物から水分を摂取できるってすごく貴重なのですね」
姫乃「今回の体験でよく分かりました」
姫乃「こんなに簡易的な料理でも、状況が変わるとミシュランみたくなりますね」
姫乃「美味しいです!」 姫乃「さて、歯を磨いて」
姫乃「今日は星がよく見えます」
姫乃「東京から約150kmも離れた新島...」
姫乃「私、こんな所まで来ちゃいました」
姫乃「そんなに離れてるんだもん。星も綺麗だよね...」
姫乃「あれがデネブ、アルタイル、ベガ」
姫乃「夏の大三角形。ここだと綺麗に見えるなぁ....」
姫乃「あの三角形、私達みたい」
姫乃「果林さん、スイス...」
姫乃「必ず八丈島に行って見せますからね」
姫乃「..........」
姫乃「寝よう」
姫乃「おやすみなさい」 姫乃「皆さんおはようございます」
姫乃「5日目です。頑張っていきましょう」
姫乃「今日は新島から三宅島を目指します」
姫乃「距離にして約40kmです」
姫乃「今日はカヌーを少し早めに漕ぎます」
姫乃「時速4〜6kmぐらいを維持し、9時間以内に着ければいいなと思います」
姫乃「今回の航路も新島〜三宅島間に黒潮の分流が流れているため、抜け出すのに時間がかかるかもしれません」
姫乃「ですが私はスクールアイドルなので大丈夫だと思います」
姫乃「それでは張り切っていきましょう!」 姫乃「今回も航路を少し西に取り、GPSを1時間に一度確認します」
姫乃「新島からだと水平線の向こうの先にうっすら見えるぐらいです」
姫乃「本当ならもっと見えるのだと思いますが、水面と同じ距離から眺めているので、あんまり見えないんですよね」
姫乃「みなさんは三宅島と聞いたら何を思い浮かべますか?」
姫乃「私は三宅島といえば火山を思い浮かべます」 姫乃「私が生まれる少し前のことです」
姫乃「2000年に大規模な噴火が発生しました。これにより、以降4年と5ヶ月て全島民が島外で避難生活を余儀なくされました」
姫乃「2000年の噴火は、6月26日の夕方に群発地震がかんそくされた事に始まります。翌朝9時には海底噴火が発生し、7、8月に火山活動が活性化、8月の終わりに低温火砕流が発生したことなどがきっかけで、9月2日から全島民が避難を開始しました」
姫乃「三宅島は活火山です。60年周期で噴火を繰り返していますが、周期外で小規模の噴火を起こす可能性だってあります」
姫乃「同じ伊豆諸島の島、伊豆大島、新島、神津島、三宅島、御蔵島、八丈島、そしてベヨネース列石は火山島です」
姫乃「なぜこんなにも伊豆諸島に火山島が集中しているのか、今からそれを考えていきましょう...」 姫乃「はじめに、皆さん知っての通り、地球はいくつかの層に分かれています」
姫乃「地球は内部に液体の満たされたボールの様なものと想像すればいいでしょうか?本当はちょっと違うんですけど」
姫乃「はじめに表面の地殻。これはボールの皮の部分に当たります。皮のごく表面に私達は暮らしています」
姫乃「地殻をさらに詳しくいうと、地球物理学的には地殻は地上または海底からモホロビチッチ不連続面までの層を指します」
姫乃「ホモのちくびではありませんよ。モホロビチッチです」
姫乃「地殻の下にはマントルが対流しています」
姫乃「地球を掘り進めていけばドロドロのマグマにぶち当たると想ってる方もいるでしょう」
姫乃「実はマントルとマグマはちょっと違います」 姫乃「マグマとは岩石が熱くなってドロドロに溶けたものです」
姫乃「岩石が溶けて液体状になったものや、そこから出てきた気体、さらに岩石そのものが入り混じって“ドロドロと流れる性質”を持つもの、が、マグマ」
姫乃「ケイ素,マグネシウム,鉄を主成分とするかんらん岩で構成される“個体”がマグマです」
姫乃「マグマはマントルの一部であるのです。マントルが融けるとマグマができます」
姫乃「さて、長くなりましたね。次にいきましょう」
姫乃「この様な個体で熱いマントルが二重に分かれています。それぞれ上部マントル、下部マントルと言います」
姫乃「このさらに中心にあるのが核と呼ばれる地球の中心部分」
姫乃「これも外核と内核に分けられ、それぞれ液体金属と個体金属に分かれていると言われています」
姫乃「熱すぎて間接的に観測した事例しかありません」
姫乃「実際は別のものがあったり〜地球が静止する〜なんて取り上げられるのはこの辺りですね」 姫乃「話は地殻とマントルに戻ります」
姫乃「プレートテクニクスとか、プレート境界型地震とか聞いたことはありますか?」
姫乃「プレートとは、地殻とマントルの最上部を合わせた事を言います」
姫乃「このプレートというのは、一枚で形成されているのではなく、いくつかに分かれています」
姫乃「プレート同士がぶつかりあって、山になったり、谷になったり。日本海溝とかって聞きますよね。これはぶつかりあったプレートが地球の内部に沈み混んでいる場所の事です」
姫乃「実はこの海溝が伊豆諸島を理解する重要な鍵になります」
姫乃「今まで説明が長かったです。ようやく本題に入ります」 姫乃「プレート同士が沈み込むというのは、それだけ圧力と熱が発生する事を意味します」
姫乃「つまり、“岩石”が溶けて“マグマ”ができます」
姫乃「地図を参照してみましょう」
姫乃「伊豆小笠原海溝付近に火山が点在していますね」
姫乃「ズバリ、火山が多いのは、プレートが沈み込む場所だからです」
姫乃「前置きは長かったのですが、結論はあっさりしてしまいました」
姫乃「あはは」
姫乃「そういえば私は今船を漕いでいる最中だったのにこんなに語ってしまうとは...」
姫乃「口より手を動かすべきですね...」 姫乃「カメラチェック」
姫乃「見えていますか?現在お昼12時ぐらいです」
姫乃「GPSを確認しました」
姫乃「少し東へ流されすぎてしまっている気がします」
姫乃「思っていたよりも潮流が早いですね」
姫乃「もうすこしペースを上げた方がいいと思います」
姫乃「さて、三宅島ですが、先程よりは大きく見えて来ました」
姫乃「ですが何が上下に大きく揺れはじめました。うねりって言えばいいんでしょうか?」
姫乃「うねりが大きくならないうちに早く三宅島につきたいです」
姫乃「おーえす、おーえす....」 >>169
かんらん岩で構成される個体がマントルの間違いです
>>172
ご指摘ありがとうございます >>170
テクニクス→テクトニクス
>>173
何が→波が
>>175
ありがとうエマさん
ご指摘ありがとうございます >>169
個体→固体
>>177
ありがとうございます
誤字がどんどん出てくる
ちょっと休憩します... 姫乃「オーエス、オーエス」
姫乃「カメラ見えますか?」
姫乃「三宅島がもっとはっきり見えてきました!」
姫乃「うねりは相変わらずですが...」
姫乃「ここまで漕いでみて、気づいた事が一つあります」
姫乃「それは船の往来が意外と激しい事です」
姫乃「八丈島への定期便以外にも、いろいろな船を見ます」
姫乃「おそらくですが、東京からポリネシアミクロネシアの方に向かう便なのかな?」
姫乃「タンカーなど、バリエーションがありますね」
姫乃「船の起こす横波は厄介です。横波を受けてしまうとアウトリガーが折れてしまうので、気をつけて...」 姫乃「まあ多少の横波ならへっちゃらなんですけどね」
姫乃「ここでようやくアウトリガーの役割について説明したいと思います」
姫乃「アウトリガーは別名サイドフロートとも言います」
姫乃「細長いカヤックやカヌーは縦の揺れには強いですが、横の揺れには弱いです」
姫乃「そこで横転しないために考えられたのがアウトリガーだと言われています。自転車の補助輪の様なもの、と考えればいいでしょうか」
姫乃「補助輪は地面への設置点を増やす事によって安定させます。それと同じ様に、水面への設置点を増やす事でカヌー、カヤックを安定させるのです」
姫乃「過信はできませんが、多少のうねりなら大丈夫です」 姫乃「安定性を増す為のアウトリガーにも、デメリットはいくつかあります」
姫乃「はじめに設置点が増える事によって摩擦もその分増えます。これはカヌーを漕いだ時のスピードが落ちることを意味します」
姫乃「ここからは憶測なのですが、この船、一人で漕ぐより複数人で漕いだ方がいいのでは?」
姫乃「まぁスクールアイドルは一人で十人ぶんの馬力がありますから、そんなの関係ありませんが」
姫乃「二つ目に万が一横転した際に戻すのが非常に難しい点です」
姫乃「丸木舟や単体のカヌーなら、くるっとできます。しかし平面的なアウトリガーカヌーは何か取っ掛かりがないとできません」
姫乃「海には島以外とっかかりはありませんからね...」
姫乃「最後に、強い横波を受けた際に、アウトリガーの柄が折れやすい事です」
姫乃「私はこれを一番心配しています」
姫乃「安定性を失う事はカヌー素人にとって死も同じです」
姫乃「ゴミも出ちゃいますしね」 姫乃「さて、そんなこんなを話していると、三宅島はもうすぐです」
姫乃「ちょっと流されてるみたいなので、三池浜に泊めます」
姫乃「只今の時刻、17時ちょっと過ぎぐらいです」
姫乃「9時間漕ぎっぱなしでしたね」
姫乃「漕ぎっぱなし、座りっぱなしにもだいぶ慣れました」
姫乃「適応してる自分が恐ろしいぐらいです。三宅島では確か公営のシャワールームがあった筈です」
姫乃「今日はどんな星空が見れるんでしょうか。昨日よりも、はっきり見えるのでしょうか...」
姫乃「後もうちょっと、オーエス、オーエス」 姫乃「カメラバッテリー交換よし」
姫乃「さて皆さん、私は今、三宅島について今まさに寝ようとしています」
姫乃「私の身の回りについて、寝る前に少しだけお話しを」
姫乃「着替えはどうしてるの?と言う疑問が湧いている淑女の皆さん」
姫乃「着替えは毎日しているのでご心配なく」
姫乃「実は漁港や公園の蛇口をお借りして洗っています」
姫乃「乾かすときはテントの中でしています」
姫乃「偶に生乾きで気持ち悪い時もありますが....」
姫乃「都心に比べたら少し早く乾くと思います」
姫乃「ああ、でも問題があって」
姫乃「柔軟剤を使用できないので、タオルと服がパリパリしていますね」
姫乃「八丈島に着いたら、果林さんに会う前に、服を洗ってお風呂に入りたいですね...」 地図で見ると海の色が濃くなってる所がプレートの沈み込みなんだろうけど、伊豆、小笠原諸島が太平洋プレートがフィリピン海プレートに沈む場所よりも奥にあるのは摩擦でマグマになるまで時間がかかるからか SSで早くもこんなバリエーションが出てくる八丈島の懐の深さ 姫乃「ふわぁ...おはようございます」
姫乃「今日は三宅島から御蔵島の約20kmを漕いで行きます」
姫乃「時速5kmを維持すれば4時間ですね。休憩と潮の流れを考慮すると5時間ぐらいでしょうか?」
姫乃「只今の時刻は8時30分ぐらいです」
姫乃「御蔵島には14時目安に着きたいですね」
姫乃「次の御蔵島〜八丈島間の90kmを考えると、朝の4時ぐらいに出発しないといけないので、なるべく早く着いて体を休ませておきたいのです」
姫乃「さて、カヌーを海に連れ出して...」
姫乃「果林さん...後もうちょっとで会えますね」
姫乃「これまでの航路や体験を果林さんにお話しできる事が楽しみです」ギコギコ 姫乃「御蔵島は、周囲17km、面積は20.5平方km程の小さな島です」
姫乃「船かヘリコプターで三宅島島から行く事ができます。ただし、船で行く際は注意が必要です」
姫乃「なぜなら、船の就航率、つまり港に着ける率がものすごく低いのです」
姫乃「御蔵島には港が一箇所だけあります。とても無防備な、外洋に突き出しただけのそれは、状況によっては船が着岸できない事が多々あります」
姫乃「年間を通した着岸率は6割ほど」
姫乃「冬の時期は1割を切ることもあるそうです」
姫乃「今日は天気もいいし、昨日ほどうねりが大きくないので大丈夫だとは思うのですが...」
姫乃「港に着く事が定かではない為、御蔵島への寄港を『条件付き就航』としています」
姫乃「これは、港につけるかわからない事を条件に船に乗ってください、と言う意味です」
姫乃「では船が寄港できなかった場合、どうなるのでしょうか?」 姫乃「着岸できなければそのまま終点の八丈島へ向かいます」
姫乃「復路もダメだったら、そのまま東京本土の竹芝港、東海汽船乗り場へ戻されます」
姫乃「この場合、運賃は払い戻されるそうです」
姫乃「ちなみにヘリコプターで向かう場合、船よりは値段が高いです。船よりは確実な手段です」
姫乃「ですが、1ヶ月以上前から予約が必要なのと、一度に輸送できる人数が6〜8人ほどです」
姫乃「時間にして10分ぐらいであっという間についてしまう様です」
姫乃「私よりも早く着けて羨ましいです」ギコギコ
姫乃「御蔵島...小さいながら侮れませんね!」 姫乃「さて10kmぐらい漕いだでしょうか?」
姫乃「ちょっと休憩を」おにぎりパクパク
姫乃「流石に6日連続で白ごはんは飽きますね」
姫乃「おにぎり好き、白米が好きという方も世間にはいらっしゃるのと思いますが...」
姫乃「...水分も」ごくごく
姫乃「はぁ...目の前に御蔵島が見えます」
姫乃「....」ギコギコ
姫乃「姫乃は漕ぐよ船を〜 ハレルーヤ♪」
姫乃「替え歌って恥ずかしいですね、やめましょう」 姫乃「三宅島とは逆に、島に近づくにつれてうねりが出てきました」
姫乃「早く港に...港に...」
姫乃「港に入ってしまえば、こっちのもんです!」
姫乃「今は幸いにも縦波です」
姫乃「このまま波に直角に向かっていけば、なんとか...」
姫乃「うぷっ...」
姫乃「ぐわぐわして気持ち悪い...」
姫乃「ここが踏ん張り所です。果林さんへの愛を、スイスへの冷やかしを叫びます!」
姫乃「うをおお!果林さーん!大好きでーす!」
姫乃「そしてスイス!冷えてますか〜??」
姫乃「今海の上は涼しいですけど、私の体は情熱にあふれています!」
姫乃「オーエス!オーエス!」 地図見たら確かに点々と島があるから海の上で1泊しなくてもここまでは来れるんだな 八丈島と聞くとウィキペディア記事の「八丈小島のマレー糸状虫症」を思い出す 姫乃「ぐわんぐわんですね」
姫乃「こういう時はパドルの使い方、カヌーの重心の掛け方が大切です」
姫乃「幸い激流に身を委ねているわけではないので」
姫乃「波を一つづつ超えていく事を意識します」
姫乃「一つ、また一つと超えていくうちに御蔵島港につきました」
姫乃「やった!」
姫乃「なんとか危機を乗り越えられました」
姫乃「時間を確認しましょう」
姫乃「14時15分。大体目安にしていた時間ぐらいですね」 姫乃「さて、野宿先を探しましょう」
姫乃「御蔵島〜八丈島間は下手をしたら寝ずの強行になるかもしれないので、十分な休息を取る必要があります」
姫乃「御蔵島は断崖絶壁に囲まれていますね」
姫乃「あれは、ヘリポート...」
姫乃「さっき言った観光客を運ぶ為の物ですね多分」
姫乃「...あっ」
姫乃「なんか棒がたくさん立ってる」
姫乃「それに土がこんもり置かれてて...これ、お墓?」
姫乃「土が盛られてるって事は土葬?」
姫乃「島が小さいから、塵芥処理場もないんだ。だから土葬なんだ...」
姫乃「...って感心してる場合じゃないです!」
姫乃「早く野宿先を見つけないと!」 お湯「グツグツやで」
姫乃「あの後、断崖絶壁の上の方に野営する事ができました」
姫乃「そういえばカップヌードルの蓋止めシールがなくなってしまうんですってね」
姫乃「私は好きでしたよ、蓋止めシール」
姫乃「あんまり粘着力がない事とか...」
姫乃「カップヌードル、まだかなぁ...」
姫乃「実質最後の...って言いようは悪いけど、明日になったら、果林さんにも会えるし美味しい新鮮な食事も取れる」
姫乃「海流に流されなければの話ですが...」
姫乃「明日は朝の3時起きです」
姫乃「さて、早く食べて早く寝ましょう」
姫乃「カップヌードル、まだかなぁまだかなぁ」 姫乃「ズルズル....」
姫乃「美味しい」
姫乃「二日目に60km漕げたんだから、90kmだっていけますよね!」
姫乃「だってスクールアイドルですもの!」
姫乃「謎肉美味しく」パクっ
その時までは、私は勘違いしていたのです。
海の怖さをこれっぽっちも知らずに舐めていたのです.... 伊豆諸島には独特の文化があってwikipedia見始めると止まらなくなるよな
どれも環境の過酷さが裏打ちされているからなんだけどそれでも今も人が住んでいる不思議 姫乃「おはようございます」
姫乃「今は朝の4時です」
姫乃「まだ夜明け前で真っ暗です」
姫乃「今日が最終日になるといいのですが...」
姫乃「ご飯は今さっき食べました」
姫乃「すぅ...はぁ...」
姫乃「これから御蔵島から八丈島の90kmをカヌーで漕いで行きたいと思います」
姫乃「お父さん、お母さん、私は遂にここまで来ました」
姫乃「そして果林さん。あと13時間、半日の辛抱です」
姫乃「それでは、いざっ!」
人っ子一人いない、夜明け前の暗闇の中、姫乃はカヌーを漕ぎ出した。
月が東に煌々と輝いている。
あたりには荒々しい波の音が響いていた。 東京駅から箱根湯本駅くらいか…
歩くのでもやばそう 月明かりが船体を明るく照らす中、姫乃はカヌーを漕ぐ様です。
姫乃「ただ暗いだけだったら、私は不安に溢れていたでしょう」
姫乃「ですが、今の私には文明の利器、GPSというものがあります」
姫乃「今は、御蔵島の沖5kmほどです」
姫乃「流されてはいませんね...」
姫乃「行先には大きな月...」
姫乃「都会で暮らしてる時は、月を眺める機会はなかったと思います...」
姫乃「さて、この辺りから黒潮の分流に入ります」
姫乃「時速6〜7kmのハイペースを維持しないと日のある内には着きません」
姫乃「大自然に挑む時は、いつでも本気を」
姫乃「ステージに挑むのと同じぐらい、自分を出し切ります!!」 姫乃「御蔵島から八丈島間、いや、新島から小笠原にかけての航路は謎に包まれています」
姫乃「遺跡、遺物...例えば人骨という物的証拠は出ていても、それを繋ぐ船などの証拠がでないからです」
姫乃「立証できない理由は簡単です。論理は立てられても、実際にカヌーで行く人は誰もいないからです」
姫乃「船はこの前見ました」
姫乃「帆船で八丈島目指す番組がやってましたが、残念ながら漂流という形に終わっていましたが...」
姫乃「私はそんな中、八丈島横断の第一人者になろうとしています」
姫乃「では逆に、八丈島から本土を目指した人はいるのか?それを歴史的に見てみましょう」 姫乃「八丈島に通年的に人が定住し始めたのが平安あたり、歴史的文献に八丈島の文字が現れるのもそのあたりという話を1日目にしました」
姫乃「日本史に詳しい方は既に知っているかもしれません。文献に現れるあたりから八丈島もとい伊豆諸島は流刑地として使われる様になります」
姫乃「流刑というのは、何か悪いことをした罪人を辺境や島に送る追放刑の一種です」
姫乃「島流しという方が一般的かも」
姫乃「これは死刑に次ぐ重罪です。放火や重度の博打や喧嘩、殺人などを犯した人が処されたとされています」
姫乃「八丈島の流人は、慶長11(1606)年の宇喜多秀家主従が最初と言われていますが、それ以前にもいた事でしょう」
姫乃「記録が残っていないので、個人を特定できないだけなのです」
姫乃「その後、明治4(1871)年まで続き、約265年間に約1900人が島流しにされたそうです」
姫乃「ですが、八丈島歴史民俗資料館によると、大島に約150人、利島に約10人、新島に1333人、神津島に83人
三宅島に約2300人、御蔵島に50人、青ヶ島に6人と記されています」
姫乃「一見、数が合いませんね。これにはある事情があって、流刑者とその付き添いが含まれる様なのです」
姫乃「流刑者と同じぐらいの人が付き添いとして一緒に流された様ですね」 姫乃「さて、これほどの流刑者がいるなら、当然八丈島を抜け出す人も出てきます」
姫乃「1722年〜1873年のおよそ150年間に八丈から船による脱出が行われた回数は、八丈島まで来る途中の事件が6件、島からの事件が18件」
姫乃「このうち成功した例は一件だけ」
姫乃「うち有名な事件と、成功した事件をおはなししたいとおもいます」
姫乃「はじめに、元文2年、1737年に起きた佐野新蔵事件です」
姫乃「当時、八丈島はものすごい飢饉に襲われており、佐野新蔵はひそかに他の流人たちと徒党を組み、水夫をだまして船を奪う計画を立てていました」
姫乃「計画は途中までは上手くいきましたが、流人の星野次郎八郎の内訴により露呈します」
姫乃「結局捕らえられて佐野新蔵と計画に加担した3人は、三根村の宇右衛門ヶ嶽から突き落としの刑となりました」
姫乃「次にお話するのは、唯一本州にたどり着けた例です」 姫乃「天保9年、1838年に唯一成功した脱走例があります」
姫乃「脱走事件のリーダーは佐原喜三郎という賭博で島流しにされた人でした」
姫乃「佐原喜三郎は島流しにされている間、島の気象や海流をよく観察しました」
姫乃「そして天保9年7月3日、7人の仲間と船出します」
姫乃「7人の中には、吉原から流れてきた花鳥と言う女性がいました。彼女は放火の罪で島流しにされたと言われています。花鳥は当時25歳でした」
姫乃「花鳥は喜三郎の恋人だったそうです」
姫乃「帆をおられながらも、7月9日、鹿島灘・荒野浜に漂流」
姫乃「6日だけの遭難でしたが、生還者は、喜三郎、花鳥、百姓の九兵衛の3人のみだったそうです」
姫乃「流刑地からの脱獄は当然有罪です」
姫乃「その後彼らは喜三郎と花鳥は江戸で捕らわれ、花鳥は斬首、喜三郎は牢名主になりました」 姫乃「つまり、大きな船を使う以外で八丈島から脱出した人は、歴史的に見ても少ないと...」
姫乃「ですが、近年、ものすごい記録が打ち立てられました。八丈島からカヌーで鎌倉への旅を成功させた人がいます。八幡暁(やはた さとる)さんです」
姫乃「八幡さんはシーカヤックで八丈島から鎌倉間を6日かけて単独漕破しています」
姫乃「それ以前にも、神奈川〜沖縄間2,250kmを単独漕破していたりするすごい方です」
姫乃「当時の航海記録についてはウェブから読むことができます。この航海では、八幡さんのルートも多少参考にしています」
姫乃「多くのテレビ番組にも出演なさってるとか」
姫乃「カッコいい方ですね!」 姫乃「さて、長々とお話していたら夜明けです」
姫乃「月は東に日は西にとはよく言ったものですね」
姫乃「夜明けを見ながら月を見る...なんだか不思議な感覚です」
姫乃「出発は4時で今夜明け...あれから1時間ぐらいで、私は今10kmそこそこに出てきたという事ですね」
姫乃「おそらく、黒潮に乗っかった頃です」
姫乃「ここからが本番です。シャキッとさせる為に、水分をとります」んくんく
姫乃「ぷはぁ...」
姫乃「まっててくださいよ八丈島!」 姫乃「多少うねりは出ていますが、なんとか漕げるぐらいですね」
姫乃「90kmと数字に表すと、どうしても気が引けてしまいます」
姫乃「こう言う時のメンタルケアはどうするかと言うと、私はひたすらそれが済んだ後に何をやるかを考えます」
姫乃「まずはじめに、上陸したら八丈島の温泉に浸かって」
姫乃「次に民宿で洗濯機を貸してもらって」
姫乃「柔軟剤のいい香りのする洋服を着て、果林さんに会いに行く」
姫乃「これだけです」
姫乃「あっ、そういえば...」
姫乃「果林さんのお家って島でいうどのあたりなんでしょうかね?聞くの忘れてました」
姫乃「まあ着いたらでいっか」 スクールアイドルに聞いちゃいけないかもだけど、カヌーでのおトイレってどうしてるんだろうか 姫乃「むっ!これは来ますね」
姫乃「レインコート、レインコート」モゾモゾ
姫乃「通り雨だといいんですが...」
姫乃「伊豆大島にいた頃に比べて、海水面の気温が暑くなってる気がします」
姫乃「ここで雨だと蒸れて気持ち悪いです」
姫乃「それでも、漕ぐしかないですね」
姫乃「でも後1日だけだし、着いたらふかふかタオルが待ってるから...」 姫乃「はっ!」
姫乃「電波を受信しました」
姫乃「トイレはどうしてますか?」
姫乃「....んっん!」
姫乃「こういう話って言っていいんですかね?カメラの電源は一応切って」
姫乃「外洋でカヌー乗ってる人は私だけだから独り言という形で」
姫乃「基本的には我慢しています。我慢する、というより、自然に尿意がないっていうのが正しいかな?」
姫乃「とった水分と体の水分は、汗になって自然と蒸発するみたいです」
姫乃「ほかは朝済ませているので問題ありません」
姫乃「はい、独り言終わり...カメラの電源つけて...」 姫乃「マイクチェック」
姫乃「今は朝の8時ぐらいです」
姫乃「黒潮の分流に乗ったからでしょうか?」
姫乃「だんだん船の進みが悪くなってきました」
姫乃「この辺りは海底火山の影響で潮の流れが複雑だと聞きました」
姫乃「ですが、それはまだまだ先のはず」
姫乃「うねりも酷くなってきました」
姫乃「少し心配です」 姫乃「カヌーを漕ぎ続けるという事は、腕と手にものすごく負担がかかります」
姫乃「正直、50kmぐらい漕ぐと、腕がもうクタクタで、手の握ってる感覚もないです」
姫乃「アドレナリンで誤魔化し誤魔化ししてますが、それがどこまで続くか、ですね」
姫乃「ですが私はスクールアイドル。意地って奴で漕破してみましょう!」
姫乃「黒潮なんてなんのその!」
姫乃「かかってこい!」 姫乃「30kmを超えると御蔵島も八丈島も見えない水平線の恐怖が私を襲います」
姫乃「果たしてこれは近づいているのか、それとも遠ざかっているのか...」
姫乃「海洋のど真ん中にポツンとカヌーでいると、左右ですらもよくわからなくたってきます」
姫乃「左右という概念はとてもあやふやなものです」
姫乃「私がクルッと後ろを向いてしまったら、左右は逆になってしまいますから」
姫乃「さて、左右よりも確実なもの」
姫乃「それは方位です」
姫乃「果林さんのオフィシャルグッズである方位磁石を使う時が今やってきた様です」 >>230
あの方位磁石、磁力弱すぎて使い物にならないんだが… 姫乃「果林さんのコンパスは、指摘がある通り、少し磁力が弱いです」
姫乃「そんな時はN極を磁石で擦ってあげるといいです」
姫乃「磁力が戻ってきます」
姫乃「さて、北はどちらでしょう...」
姫乃「あら、カヌーの舳先が200°ぐらいを向いていますね」
姫乃「少し西に航路を取りすぎました」
姫乃「さて方位の読み方ですが」
姫乃「よくアニメやゲームなどで、6時の方向や9時の方向という言い回しを聞いたことありますよね?」
姫乃「基本的にはあれと読み方が一緒です」
姫乃「北を0°として、東が090°、南が180°、西が270°です」
姫乃「カヌーのへさきは約200°、南南西あたりでしょうか」
姫乃「八丈島は確か東経139°だったので...」
姫乃「ここから南東を目指します」
姫乃「実際にはGPSと一緒に距離や方位を測るのですが、カヌーではそんな余裕はないので方位だけ確認します」 姫乃「オーエス、オーエス」
姫乃「少し手の感覚がなくなってきました」
姫乃「痺れるまではいきませんが、だいぶ疲労が溜まってきたのだと思います」
姫乃「GPSが示すところでは、御蔵島から約60km...」
姫乃「そろそろ八丈島が見えて来る頃です」
姫乃「ここから先は黒瀬と呼ばれるゾーンです」
姫乃「これは先程お話した、海底火山のことです」
姫乃「この下には、とても大きな海底火山があるそうです。そしてそれが海流の流れを阻害しているそうなのです」
姫乃「そのため、海流の流れが不安定で、停留しやすい」
姫乃「小さな船ではこの海流から抜け出すことが困難で」
姫乃「八丈島から島抜けする際の大きな難所だったとか」 姫乃「むむっ...」
姫乃「あちらこちらに潮溜りがあります」
姫乃「漂流物が多いですね、この辺りは」
姫乃「潮の流れが停滞しているので無理に漕いではいけません」
姫乃「漂流物の流れを見て、弱い流れのところを縫うように向かいます」
姫乃「その前にちょっとお水を」
姫乃「ふぅ...」
姫乃「わっ、大きな波...」
この時、水に気を取られて、パドルを軽く握りすぎていました。
姫乃「あっ...!」
波に揺られたと同時に、私は疲れからパドルを離してしまったのです。
パドルはどんどん、どんどん流されていきます。 姫乃「待って、待って!」
パドルは流されていきます。
カヌーをこぐものはパドル、動きもせず、潮に流されていきます。
姫乃「待って!待って!」
流されていくパドルとパニックになる私。
姫乃「やっ、そんなのないよ!」
ここで飛び込むわけにもいきません。
飛び込んでしまったら、カヌーを手放してしまうからです。
海流の前に私は無力でした。 姫乃「カメラ...チェック...」
姫乃「み、みなさん見えてますか?パドルが流されてしまいました」
姫乃「一応、GPSは無事です...」
姫乃「この先、私はどうなってしまうんでしょうか...」
姫乃「このままっ、漂流...」
姫乃「このまま流されて、銚子まで目指したいと思います...あはは」
姫乃「...ぐすっ」
姫乃「誰かぁ...助けてください...」 姫乃「むむっ...」
姫乃「あちらこちらに潮溜りがあります」
姫乃「漂流物が多いですね、この辺りは」
姫乃「潮の流れが停滞しているので無理に漕いではいけません」
姫乃「漂流物の流れを見て、弱い流れのところを縫うように向かいます」
姫乃「その前にちょっとお水を」
姫乃「ふぅ...」
姫乃「わっ、大きな波...」
この時、水に気を取られて、パドルを軽く握りすぎていました。
姫乃「あっ...!」
波に揺られたと同時に、私は疲れからか、不幸にも黒塗りの高級車に追突してしまう。後輩をかばいすべての責任を負った三浦に対し、車の主、暴力団員谷岡が言い渡した示談の条件とは…。 姫乃「私がいつどうなってもいい様に、記録を残しておきます」
姫乃「カメラはカヌーに固定されているので、カヌーと一緒に漂着して、何があったのかを記録してくれる事を望みます」
姫乃「今、GPSは八丈島沖36kmを指しています」
姫乃「ゆっくり、ゆっくり流されています」
姫乃「潮が停滞している所なので、余計に...真綿で首を絞められている様な...」
姫乃「あはは、ようやく島が見えてきて、果林さんも...近くにっ、来れたのに...」
姫乃「はっ...うぅ...」
姫乃「誰かぁ...誰かぁ...」 姫乃「このカヌーは、夜を過ごせる様に改造してるわけではないので...」
姫乃「水も...3日分ぐらいでしょうか」
姫乃「....」
姫乃「泣いていても、仕方ないですね」
姫乃「私は過信していました」
姫乃「スクールアイドルだとか、伊豆大島まで漕いで行けたとか...」
姫乃「あれ、全部まぐれだったんですね」
姫乃「あぁ、神様、もう一度だけ...」
姫乃「もう一度だけでいいから、土を踏ませてください」 姫乃「海って嫌ですね」
姫乃「右も左も何もない...」
姫乃「漂流物だらけです」
姫乃「.....」
姫乃「........」
姫乃「............」
姫乃「助けて助けて....」
姫乃「....うぷっ、吐き気が....」 Aqoursの誰かが見ていれば水ゴリラかシャイニーヘリが来てくれるはず 姫乃「漂流物を数えて、一つ、二つ」
姫乃「三つ、四つ...」
姫乃「プラスチックが多いですね。海洋プラスチックが問題になってるんでしたっけ?」
姫乃「わぁ...こんなに多いんだ」
姫乃「....ここは潮溜りですね」
姫乃「沢山の道具が漂流しています」
姫乃「カヌーもそっちに引き寄せられています」
姫乃「あっ」 これスイ八も日本が向かってること知らないんだよな… 姫乃「これは、木材?」
姫乃「どこからきたんだろう」
姫乃「大きさは1mぐらいかな」
姫乃「こんな板っぱ流れてくるんだ....」
姫乃「.....」
姫乃「........」
姫乃「............」
姫乃「ちょっと待ってください」
姫乃「これはいけるかもしれない!」
姫乃「いや、行くしかないんだ!」
溺れる者は藁をも掴むと言います。
私は咄嗟に板を手に取っていたのです。 板を見た瞬間思ったのです。
この状況を打破するには、これしかないんです!!
姫乃「オーエス!オーエス!」
私の心の中で、中島みゆきの地上の保証が流れていました。
風の中のスバル
砂の中の銀河
姫乃「果林さん、スイス、私を、私を忘れないでください!」
みんなどこへ行った 見送られる事もなく
姫乃「お父さん、お母さん、姫乃は!ここでくたばりません。必ず生きて帰ります」 なんで地上であることにお墨付きが必要なんだよwww 地上にある星を誰も覚えてはいない
姫乃「私の事を、私が海に出たということを誰も覚えていないかもしれませんが!」
姫乃「私は果林さんとスイス、そして感じの良いお兄さんを覚えています!」
姫乃「うをおっっっおおおおお!」
ツバメよ高い空から
教えてよ地上の星を〜
姫乃「今まで...この七日間、たしかに私はまぐれだったかもしれません」
姫乃「でもそれでもいいんです!だって過去だから!」
姫乃「結果は変えられないけど、今これから起こる事は変えられます!」
姫乃「私はっ!」
姫乃「漂流するという運命から抜け出して!」
姫乃「八丈島に行くんだっ!」 >>251
地上の星です
間違えちゃった てへぺろ パドルを取りに行くとかじゃなくてそのまま八丈島に向かうのか
ワイルドだな 中島みゆき→銀の龍の背に乗って→ドラゴン田中→ホモ 姫乃「はぁ...はぁ....」
姫乃「あと、もうちょっと」
私の体力は限界を超えていました。
ですが、それ以上に闘志に燃えています。
姫乃「ツバメよ...高い空からぁ...」
気づけば歌詞を呟いています。
しんどい時、いつだって歌はそばにいます。
私が目指していたスクールアイドル像も、辛い人に寄り添える、そういう人を目指して。
辛い時、乗り越えなければならない時は今です!
姫乃「はぁ...はぁ....」
姫乃「底土港が見えてきました!」
姫乃「あと一歩です!」 果林「展望台はどうかしら?」
エマ「うん、とっても眺めがいいね。底土港を見通せていいね」
エマ「あれっ?向こうからカヌーが来るよ」
果林「本当ね。単体で来るなんて珍しいわね」
果林「誰が乗っているのかしら?」
果林「望遠鏡で見てみましょう」ヒョイ
望遠鏡に映る姫乃「はぁ...はぁ...」
果林「えっ?ちょっと待って!」
果林「あれ、姫乃ちゃんよ!」
エマ「えぇ!?どういう事!?」
果林「とりあえず港を目指すわ!」
エマ「う、うん!?」 姫乃「底土港に、あともうちょっと...」
姫乃「オーエス、オーエス...」
果林「姫乃ちゃーん」
姫乃「えっ!?」
エマ「姫乃ちゃーん!がんばれー!!」
姫乃「果林さん!?それにスイス!?!?」
姫乃「私は、夢でも見てるんでしょうか?」
果林「後もうちょっとよ!ほらっ、頑張って!」
姫乃「はっ、はいぃ!」 姫乃「はぁっ、はぁっ、はぁっ...」ガコン
姫乃「今、ようやくつきました!」
姫乃「東京のお台場から八丈島まで... 286 kmを漕ぎ切りました!」
姫乃「7日間...長かった...」
果林「な、なんだか分からないけどお疲れ様」
エマ「姫乃ちゃん、休んだ方がいいよ」ギュッ
姫乃「あっ、ナイスおっぱい」
姫乃「ちょっと休ませてください...」スヤァ
エマ「寝ちゃった...」
果林「それだけ長い戦いだったのよ。休ませてあげましょう」
エマ「そうだね...」 姫乃「あの後、私は18時間泥のように眠っていたそうです」
姫乃「思っていたよりも疲労が蓄積していたそうで...」
姫乃「いい感じのお兄さんにデータを送ったら、たいそう驚かれました」
姫乃「かいべ?ようすけ?の与那国西表がどうやらこうやらってなんだかよく分からない事言ってました」
姫乃「まぁいいです。八丈島で少しゆっくりしていきます」
姫乃「海...母なる海...」
姫乃「一度は嫌いになりかけましたけど、それもまた人生です」
姫乃「はぁ...八丈島っていい所だなぁ...」 エマ「果林ちゃーん、果林ちゃーん」
姫乃「スイス、果林さんの名前をそんなに呼んでどうしたのですか?」
エマ「朝から果林ちゃんがいないの。朝からって駄洒落じゃないよ」
姫乃「そういえば見てないですね。お家の裏とかは?」
エマ「家の裏にもいなかったよ」
〜その頃の果林〜
果林「姫乃ちゃんが八丈島ー東京間を漕破出来たのなら、わたしにも出来ると思ったんだけど、ここどこかしら?」
果林「あっ、看板があるわ...」
看板「Genfer See, Schweiz 」
看板「C'est le lac Léman en Suisse」
果林「うーんよく分からないわ。どこなんでしょう?」
おしまい 読んでくださった方、保守してくださった方、途中でコメントをくださった方ありがとうございます
よくわからないssですが完結できてよかったです
ありがとうございます 次は「エマちゃんのお乳で学ぶ世界遺産」か姫乃ちゃんと果林ちゃんのスイス紀行を書こうと思います
最後にもう一度ありがとうございました! おつおつ
やはりスイス領八丈島の人だったか、相変わらず知識量が凄い……
次作候補どっちも気になるな…… >>267
地中海から川を上っていったのか
スクールアイドルはいい感じのお兄さんがいなくてもそんな長旅ができるんだなあ…
八丈島に行きたくなる話はすでにあったが今回ばかりは真似できないな
楽しかった 素晴らしい日本をありがとう、毎回楽しみだったよ
勿論解説も含めてね あなたのおかげで八丈島知識が謎に増えてしまった
にほスイ最高 乙
俺なら10分で泣き入れる自信ある
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