璃奈「できた。食べると私のことが恋愛的に好きになるチョコ」
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
璃奈「出来は完璧。璃奈ちゃんボード《大満足》」
璃奈「ほんとはバレンタインデーに向けて作るはずだったけど、開発は遅れに遅れ、気づけばホワイトデーも1ヶ月前。ちょっと悔しい」
璃奈「でも、科学に遅れは付き物。完成したことは間違いなく素晴らしい」
璃奈「あとはこれを食べさせるだけ。念のため普通のチョコも作ったけど、見た目は全く同じだし大丈夫」
璃奈「実験対象はかすみちゃん。理由は単純。かすみちゃんのことが好きだから」《>///<》 かすみさんは私のことがだ〜い好きなので無駄ですよ💙 璃奈「かすみちゃんにあれこれアピールしたけど、うまくいかなかった。かすみちゃんの鈍感」
璃奈「だから強行手段。このチョコ食べさせてかすみちゃんには好きになってもらう。かすみちゃんが悪いんだから」
――。 《空き教室》
ガラッ
かすみ「りな子ー?かすみんに何のようですかー?」
璃奈「あ、かすみちゃん。実はかすみちゃんに食べてほしいものがあって」
かすみ「ん?チョコ?」
璃奈「バレンタインの時、チョコ手作りできなかったから頑張って作った。せめてかすみちゃんだけにでも食べてほしくて……」
かすみ「本当?!かすみん、ちょっとお腹空いてたから助かったよ〜!」ヒョイ
璃奈「……」 璃奈(これでかすみちゃんは私のこと好きになる。よかった、よかったんだこれで――) かすみ「う〜ん!りな子おいしいよこれ!」
璃奈「ありがとう。そう言ってくれると嬉しい」
かすみ「もう1つ貰っていい?」
璃奈「うん。と言うかこれかすみちゃん全部食べていいよ」
かすみ「いいの?!やった!じゃあありがたく!」ヒョイ
璃奈「……」
かすみ「うん!おいしい!」
璃奈(あれ、何も変化無いような……) 璃奈「かすみちゃん、食べて何とも無い?」
かすみ「ん?なんとも無いよ?まさか、りな子変なもの入れた?!」
璃奈「そ、そう言う訳じゃない。ちゃんと確認はしてる」《オロオロ》
かすみ「まありな子なら大丈夫か!」
璃奈「……私も食べていい?」
かすみ「りな子が作ったんだから、かすみんは大丈夫だよ?」
璃奈「ありがとう」パクッ
璃奈(……これ、もしかして)
璃奈「うん、大丈夫。かすみちゃん残り食べて大丈夫だよ」
かすみ「ありがとう!」
璃奈「じゃあ私、先に部室戻ってるね」
かすみ「え、りな子もう戻っちゃうの?」
璃奈「うん。やること思い出したから」
かすみ「そっか……じゃ、また後でね」
璃奈「うん」
ガラッ 《璃奈の家》
璃奈「あった。冷蔵庫の中に」
璃奈「念のため作った普通のチョコ。あれと取り違えたかもしれない……」
璃奈「とりあえず食べてみないとわからない」パクッ
璃奈「……」 璃奈「……」スタッ
[鏡]
璃奈「……」
璃奈「私、かわいい」
璃奈「私のことを見るとなんだかドキドキする」
璃奈「まず見た目が幼い。身長は低い。手足が細い。胸もぺったんこ。こんな幼い見た目で落ちる訳がない」
璃奈「そこから出るのは抑揚の無い無感情な声。そして変わらない表情。最高に最高を重ねている」
璃奈「だめ、こんなの見たら、私……もう……」
璃奈《♡》
――。 璃奈「失敗した失敗した失敗した失敗した」ズーン
璃奈「自分で自分のことを好きになるチョコ食べた時のことをよく考えてなかった。危うくナルシストになるところだった」
璃奈「解毒剤の場所思い出せてよかった……」
璃奈「私が好きなのはかすみちゃん、私が好きなのはかすみちゃん……」ブツブツ 璃奈「このチョコをどうにかしないといけない。私が食べるのはもう無理。だけど、かすみちゃんにもう一度渡すのはさすがに変」
璃奈「どうしよう……」
璃奈「……そうだ。チョコを溶かして別物にすれば解決」
璃奈「必要なものは……うん、これでばっちり」
璃奈「買いに行ってこなきゃ」 ――。
璃奈「できた。チョココッペパン。渾身の出来」
璃奈「かすみちゃんはコッペパン好きだからこうするのが一番」
璃奈「これをかすみちゃんに渡せば喜んでもらえる。そして……」
璃奈「……ごめんね、かすみちゃん。今度こそ私のこと好きになってもらう」
璃奈「勝負は明日。これを食べさせれば。まあうまくいくはず」
璃奈「璃奈ちゃんボード《頑張る》」 《部室》
璃奈(今日は珍しくかすみちゃん以外はすぐにはこない)
璃奈(渡すなら今しかチャンスは無い)
ガラッ
かすみ「お疲れ様でーす!あれ、りな子だけ?」
璃奈「うん。あの、かすみちゃん」
かすみ「ん?」
璃奈「これ、チョココッペパン作ったから、食べてほしい」
かすみ「ありがと、りな子!」
璃奈(これで、今度こそ――)
かすみ「でも……」
かすみ「かすみんは今ちょっと受け取れない……」
璃奈「……え?」 かすみ「実はかすみん、ちょっと体重増えちゃって。ちょっと間食抑えなきゃいけなくなって……」
璃奈(あっ……)
璃奈「……そっか。ごめんね」
かすみ「うん……作ってもらって申し訳ないけど」
璃奈「いや、勝手に作った私もよくなかったから……」
璃奈(考えてみたら、元々かすみちゃんをこんな無理やりな形で好きにさせようとした私が悪い)
璃奈(これは私に対する罰。こんな悪いことしちゃったから……)
かすみ「……」 かすみ「……ごめん、やっぱりそれ食べる」
璃奈《!?》
璃奈「だ、だめ!かすみちゃん間食抑えるって言った!」
かすみ「食べるって言ったら食べる!」
璃奈「だめだってば!」
かすみ「いただき!」
璃奈「あっ!」 かすみ「にしし。じゃあ、いただきまーす!」
璃奈(だめ、だめ……)
パクッ
かすみ「うーん……おいしい!」
璃奈「……」
かすみ「いやあ、やっぱりかすみんが一番大好きなりな子が作ったものは別別!うんうん!」
璃奈「かすみちゃん……」
かすみ「えっ……あっ」
璃奈「ごめん、これ飲んで」
かすみ「んむっ?!」
璃奈(念のため解毒剤持ってきてよかった。これでいいんだ、これで……) かすみ「なにするの、りな子?!」
璃奈「ごめんね」
かすみ「そうだよ、本当になんで「そのコッペパン」……」
璃奈「……私のことを好きになるチョコ混ぜてた。私、かすみちゃんのことが好き。だから、かすみちゃんに食べさせようと思った。かすみちゃんに、好きになってもらおうと思った……」
かすみ「……」
璃奈「でも、かすみちゃんがいらないって言った時に気づいた。こんなことしても偽りだって。意味がないって。だからやめようと思った」
璃奈「でも、かすみちゃんが急に気が変わってびっくりして!そのまま食べちゃったから、止めないとって必死で解毒剤飲ませた……」
かすみ「……」
璃奈「ごめんなさい、ごめんなさい……」 璃奈(私はもう、かすみちゃんのことは好きになれない。かすみちゃんに嫌われて同然だから。でも、もうこれで――)
かすみ「りな子」
璃奈(怒られる。私はこれからかすみちゃんに……)
かすみ「だったらチョコも解毒剤もかすみんには効いてないよ」
璃奈「……え?」 璃奈「嘘……あれは間違いなく練り込んである。そんなはずは」
かすみ「だって、かすみんはその、えっと……りな子のこと好きだから……///」カアア
璃奈(嘘。こんなの嘘。そんなはず無い。かすみちゃんがそんなはずは)
璃奈「やっぱり解毒剤がきちんと……」
かすみ「むぅ!りな子こっち向いて!」
璃奈「なn
――チュッ
璃奈「んむっ?!」
かすみ「これでも嘘だって思う!?」
璃奈(……本当だって思いたい。でも、信じられない)
かすみ「あーもう!」 かすみ「解毒剤全部飲む!」ゴクッ
璃奈「?!」
かすみ「にっっっっが!……でもこれでかすみんがりな子のこと好きってことは本物で間違いなくなった!」
璃奈「……そこまでするんだ」
かすみ「……だって、りな子のこと好きなのに、りな子がわかってくれないんだもん」
璃奈「……ごめん」
かすみ「……かすみんの話も聞いて」
璃奈「うん」 かすみ「りな子がね、食べ物持ってきてくれるの嬉しかったよ」
璃奈「……」
かすみ「チョコくれたでしょ。あれかすみんだけに作ってくれたんだって嬉しかった」
璃奈「……でもさっき」
かすみ「あれは、その……間食控えてって怒られたばかりだったから」
璃奈「……」
かすみ「でも、りな子が悲しくなってるの見たら食べなきゃダメだって思って……」
璃奈「そっか」
かすみ「うん」
璃奈「……」
かすみ「……」 かすみ「りな子」
ギュッ
璃奈「……!」
ドクッドクッ――。
璃奈(かすみちゃん、すごくドキドキしてる……)
かすみ「かすみん、こんなにドキドキしてるんだよ?なんでだかわかるよね?」
璃奈「……」
璃奈(かすみちゃん、あったかい。私もドキドキしてるけど、なんだか嬉しくなる)
璃奈「……うん」
璃奈(私も、かすみちゃんのことを抱きしめた――)
――。 璃奈「あのチョコを元々私を好きな人に食べさせると何も起こらない、よくわかった」
かすみ「実験だったら失敗だね」
璃奈「でも、もう作らない。かすみちゃんとこうして、恋人になれたから。璃奈ちゃんボード《嬉しい……///》」
かすみ「もうりな子ってば///」
璃奈「かすみちゃん、好き。今度は私からキスしたい」
かすみ「えっ」
璃奈「さっきかすみちゃんからしてきた。だから」
かすみ「りな子、恋人になったら急に強気になった?」
璃奈「私がアピールしたのに、かすみちゃんがなかなか反応しなかった。だから、相思相愛なのがわかったこれからは強気でいく。かすみちゃんヘタレだから」
かすみ「それはそうだけど…///」 > 璃奈「あのチョコを元々私を好きな人に食べさせると何も起こらない、よくわかった」
つらい 璃奈「じゃあするね」
かすみ「うん…/// ……あっ、りな子」
璃奈「何、かすみちゃん」キョトン
かすみ「あれ」
璃奈(かすみちゃんの見てる方を見ると、入口の窓から誰かの頭がハミ出てる。あっ)
璃奈「ここ、部室だった……」
かすみ「遅刻って言ってたのに、かすみんとりな子以外に誰も来てなかったのはそう言うことですか……」 かすみ「どうする、りな子?」
璃奈「こっそり覗き見してたのは許されない事実。本当は文句1つ言いたい。でも」
かすみ「でも?」
璃奈「んっ」チュッ
かすみ「んっ……」
璃奈「まずかすみちゃんにキスするのが先。見せつけるのも悪くない」
かすみ「……へへへ///」
璃奈「じゃ、行くよ。懲らしめに」ギュッ
かすみ「うん!」
この後、懲らしめるどころか、しばらく弄り倒されることになるのはまた別の話。
《おわり》 ナルシストりなりーで行ったバージョンも見たい(わがまま >>1
乙です!
たしかに自分大好きりなりーも興味あるかも
かすみんは張り合うのか戸惑うのか心配するのか そっかあのチョコレートは自分で食べて自分を好きになったってことは、自分のことを好きではない(必ずしも嫌いってことではない)ってことになってしまうのかそこがなんか切ねえ
それと無事ハッピーエンドで良かったわおつおつ 読みたかったやつ
ありがとうございますやでほんまに つってもかすみんだって迷いなく自分が好きってわけではないでしょう
好きでありたいとは思ってるだろうけど おつ
不安になる度にかすみにチョコ食べさせようとする激重りなりーください チョコを渡すのは寂しいのサインという暗黙の了解が出来たりなかすください ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています