【スポ根SS】侑「公式ドッジボール?F」〜開幕! 都大会(春)〜
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注意
・虹メンバーだけアニメ時空
・μ'sやAqours、その他グループも登場
・中学生時代などのオリジナル設定あり ※※※
ポジション(簡易版。詳細は第1話を参照)
内野アタッカー
内野からアタックを撃つ。基本は右・左・センターの3人。
元外野
試合開始時の外野。最もボールに触れる機会が多いため、チームの司令塔的存在。
カット
公式ドッジボールでは守備時、基本的に一列に並び、常にボールと一定の距離を保つ。カットはこの時、ラインから離れて自由に動き回り、相手のパス回しを妨害する。
必然的に狙われる確率も上がるため、最も運動神経と動体視力が求められる。 ジャンパー
試合開始時のボールの支配権は、ジャンプボールによって決定される。ジャンパーはその名の通り、ジャンプボールを行うポジション。
レシーバー
守備時、外野とカット以外は全員がレシーバーとなる。パスカウントをコールしてアタッカーに伝えたり、パスの取りこぼしを防ぐなど、攻撃にも参加する。
大砲
ボール支配権移行後の一発アタック専門のポジション。球は速いが、コントロールに難がある選手が起用される。 ※※※
ルール(簡易版)
オーバーライン
線踏んじゃだめよ。
ホールディング
相手コートに転がってるボール取っちゃだめよ。(空中はセーフ)
アウトプレー
内外野の移動はコートの外を通ろうね。移動中はボールに触っちゃだめよ。
ダブルタッチ
当たった後、外野に出るまでボールに触っちゃだめよ。 ダブルパス
内野同士、外野同士でパスしちゃだめよ。
フライングスロー
試合が一回止まった後はボールを頭の上に上げて、審判が笛吹くの待とうね。
ファイブパス
パスは4回までね。
キープフォーファイブ
5秒以上ボール持っちゃだめよ。 ヘッドアタック
頭部はセーフ。当てられた方のボールになるよ。
イリーガルスロー
バレーみたいに弾いたり、サッカーみたいに蹴ってパスやアタックしちゃだめよ。
イリーガルキャッチ
アタックを意図的に一度弾いて捕っちゃだめよ。
ワンタッチ・ノータッチ
外野はパスを逸した時、手の平で触れようね。触れられなかった時や手の平以外に当たって出たら相手ボールよ。 ジャンパーアタック・ジャンパーキャッチ
ジャンパーは1球目プレーに参加できないよ。
ボールデッド
コート外にボールが出たら、最後に触れたチームじゃないほうに支配権が移るよ。
タッチザボディ
相手選手に触っちゃだめよ。 〜開幕! 都大会(春)編〜
『
虹ヶ咲学園避球同好会
1 優木せつ菜 中@ 78` Jアタック84`
2 上原歩夢 外 72`
3 朝香果林 右 78`
4 エマ・ヴェルデ 砲 86`
5 中須かすみ 左 75`
6 近江彼方 受 76`
7 桜坂しずく 受 80`
8 宮下愛 中A・跳・切 82`
9 天王寺璃奈 受 64`
』 果林「結局ほとんど変わってないわね」
侑「まあね。でも、都大会と全国大会はどっちも連戦続き。疲労防止のために、試合ごとにオーダーは変えていくよ」
侑「例えばかすみちゃんを元外野にするとか、しずくちゃんをアタッカーにするとかね」
せつ菜「それにしても、皆さんかなり球速が上がりましたよね!」 侑「そうだね。これなら全国のチームにも引けを取らないと思う!」
かすみ「全国の前に、まずは都大会ですよぉ」
しずく「そうですよ。なんたって今年の東京には、夏の王者があるんですから」
エマ「A-RISERSも復活したしね〜」 彼方「それに……」
歩夢「どうしたんですか? 彼方さん」
彼方「……ああいや、これは確かな情報じゃないから〜」アセアセ
歩夢「?」
彼方「彼方ちゃんたちなら大丈夫だよ〜! 絶対優勝しようね」
「「「おー!!!」」」 ※※※
都大会当日
侑「予選リーグは3戦全勝で1位通過。良いスタートだねっ!」
果林「優勝を目指しているんだもの、当たり前よ」フッ
璃奈「予選は当たりが良かった。他のリーグは……」サッ
愛「どれどれー?」
Cリーグ
千歳橋ウェイターズ ×△×
A-RISERS ○○△
Y.Gタイタンズ △××
アメジスト ○△○ しずく「強豪校が3つも! でも……」
歩夢「アメジストだけ聞いたことないよね?」
かすみ「あのA-RISERSと引き分けだなんて、どんなチームなんですかぁ!?」プルプル
彼方「……やっぱり」
せつ菜「彼方さん、何か知っているんですね?」 彼方「結構前の話なんだけどね。私たち、最近音ノ木坂や東雲、藤黄みたいな強豪と試合してないって話してたじゃない?」
せつ菜「はい……」
彼方「彼方ちゃんもね、侑ちゃんたちが言うとおり、どこのチームも思惑があって敢えて戦わないんだと思ってたんだ。でも」
侑「……?」
彼方「遥ちゃんたちは……東雲は、違った」
果林「どういうことよ?」 彼方「東雲って8人丁度だったよね。公式戦に出場できるギリギリの人数」
彼方「……怪我人が出たんだ。全治するのに3ヶ月はかかるような大怪我した子が」
せつ菜「そんな!」
侑「東雲は、人数が足りなくて大会に出てこなかったってこと……?」
しずく「大江戸杯と違って、普通は人数が揃わなくてはエントリーできない大会がほとんどですからね……」 彼方「それで遥ちゃん落ち込んじゃってて……そんな時ね、あの子……藤黄の、ええっと〜……綾小路姫乃ちゃん? がね」
しずく「ま、まさか……!」
璃奈「……アメジスト」
愛「漢字で書いたら、たしか……」
愛「――藤雲石、だっけ?」
「「「!!!」」」
彼方「A-RISERSと引き分けたのも頷けるよ〜、だってアメジストは……」
エマ「藤黄ヴィクトリーと東雲フェニックスの」
果林「合同チーム……!?」 アメジストって漢字でそう書くのか。おしゃれなネーミング ※※※
遥「予選リーグ1位通過、おめでとうございます」
姫乃「……そんな他人事のように言わなくても良いじゃないですか」
遥「A-RISERSと勝ち点が並んで、内野人数差で1位通過……藤黄の守備力のお陰です」
姫乃「遥さんたちがアタックを決めないと、そもそも勝ち点すら得られなかったんです。チームってそういうものでしょう?」
遥「はい……」
姫乃「……」 姫乃「……やはり、本当は東雲単独で出たかったんですよね?」
遥「!」
遥「……それはそうですけど……」
遥「も、もちろん、大会に参加できるようになったのは藤黄の皆さんのおかげです! とっても感謝してるんですよ?」
姫乃「こちらもカラーコート以外の結果は許されませんから、合同チームの案に乗っていただいて感謝しております」 姫乃「何しろ前回優勝チームなんです。なにがなんでもあそこに戻る義務が、私たちにはあります」
遥「……」
姫乃「あ、もうすぐ決勝トーナメントが始まりますね。抽選結果を見に行きましょうか?」
遥「……はい」 ※※※
『
決勝トーナメント抽選結果
アメジスト
青藍闘球物語
レッドスワローズ葛西
略
紫苑DBC
神楽坂パピヨンズ
虹ヶ咲Passions
略
音ノ木坂ミューズ
MOMIJI-CLUB
東池袋ソルジャーズ
略
ちょろんG
ワンチーム御徒
A-RISERS
』 穂乃果「A-RISERS……!」キラキラ
海未「たしか、穂乃果がドッジボールを始めるきっかけになったチームでしたよね」
ことり「準決勝までいけば戦えるんだね!」
穂乃果「うん! ワクワクしちゃう!」 〜
遥「勝ち上がれば、また準決勝でお姉ちゃんたちと……」
――――
――
彼方「次は、決勝戦で戦いたいね」
遥「うんっ……うん!」メソメソ
彼方「……帰ろっか」
遥「……うん」
――
―――― 遥「……」
遥(次は決勝でって、約束したのに)
遥(今年の東京は2位までが全国大会にいける。準決勝で当たるということは、私かお姉ちゃん、どちらかは全国大会にいけないってこと……)
姫乃(私か果林さん、どちらかは全国大会にいけないわけですね……) おつです。組み合わせだから仕方ないけど、運がないね ※※※
決勝トーナメント2回戦
【アメジスト 7:1 青藍闘球物語】
【虹ヶ咲Passions 6:2 紫苑DBC】
【音ノ木坂ミューズ 7:3 東池袋ソルジャーズ】
【A-RISERS 8:0 ちょろんG】
エマ「やった〜!」
せつ菜「快勝でしたね!」
かすみ「ひとまずベスト8進出ですぅ!」
侑「次の試合すぐ始まるから、メイン会場に移動しよう!」 仁美「ひぐ……っ、うっうぅ……」ポロポロ
さゆり「仁美、泣くのは止めるであります。後輩たちの前で……」
仁美「だって……急に3年間のことを思い出してしまって……!」ゴシゴシ
仁美「ずっと嫌がってるフリをしてたけど……。この可愛らしいユニフォーム、大好きだった……!」
咲良「仁美先輩……」
侑「……」 歩夢「あの人たち、さっき対戦した紫苑DBCの選手だよね……?」
かすみ「そっか……」
しずく「かすみさん?」
かすみ「ここからは、全部の試合が3年生にとって引退試合になるかもしれないんだよね……」
「「「……」」」
彼方「……そうだね」 果林「敢えて言わないようにしてたんだけど」
エマ「負けたらおしまいか〜」
愛「ねね、円陣組もうよ!」
璃奈「良いと思う」
せつ菜「こんなところでは、絶対に引退させませんからね!」
歩夢「うんっ! 果林さん、掛け声お願いします!」
果林「え、ええ……」 果林「……他のチームには他のチームの物語があって、この会場にいる全選手が主人公だったわけね」
果林「きっとさっきみたいな涙が、ここで何百何千と流れてきたんでしょう?」
果林「……でも、それよりも圧倒的に少ないだろうけれど、いくつもの喜びが、感動が、コートには満ちていると思うの」
果林「私は、最後に笑っていたい」
果林「――絶対に勝つわよ!」
「「「おー!!!」」」 ※※※
決勝トーナメント準々決勝
【アメジスト 7:4 ヒューチャーガジェットラボ】
【虹ヶ咲Passions 5:3 友枝キャプチャーズ】
【音ノ木坂ミューズ 6:4 豊ヶ崎ヒロインズ】
【A-RISERS 6:2 さよなら小石川】
準決勝
【アメジスト VS 虹ヶ咲Passions】
【音ノ木坂ミューズ VS A-RISERS】 遥「全国大会、どっちかしかいけなくなっちゃったね……」
彼方「うん」
遥「私ね、最初はお姉ちゃんに譲ろうかななんて考えちゃったの。お姉ちゃんは3年生で、今回が最後なんだし」
彼方「遥ちゃん……?」 遥「大丈夫、もうそんなこと考えてないから。だって、うちにだって3年生の先輩たちはいるんだもん」
遥「私たちが勝つよ……お姉ちゃんっ」ニコッ
彼方「……!」
彼方「んふふ、彼方ちゃんたちだって負けないよ〜」
彼方(……良かった)ホッ ドッジボールはプレーできる環境が多くなさそうだから、卒業がそのまま競技引退になる子も多そう 〜
果林「また会えたわね? 姫乃」
姫乃「ひゃっ?!/// ひゃい!」
果林「大丈夫? 顔赤いわよ? 熱でもあるんじゃ……」
オデコピトッ
姫乃「!」
姫乃「……きゅう」
果林「あら大変、どんどん熱くなっていくわ」アセアセ 姫乃「だだだ大丈夫ですぅ! これは勝負の前で気持ちが昂ぶっているというか、燃え上がってるー! って感じなだけでして!」
果林「そうなの? ならいいんだけど……」
果林「前に姫乃も同じことを言っていたけど、私たちも全力のあなたたちにリベンジしたいの。頼むわね?」
姫乃「……はい!」 おつでした。アメジストはチームがかなり変わってそうだから戦い方がどうなるのか楽しみ ※※※
準決勝
【オーダー】
虹ヶ咲Passions
1 優木せつ菜 カット
2 上原歩夢 レシーバー
3 朝香果林 左アタッカー
4 エマ・ヴェルデ 大砲
5 中須かすみ 元外野
6 近江彼方 右アタッカー
8 宮下愛 センターアタッカー・カット・ジャンパー
9 天王寺璃奈 レシーバー
ベンチ 桜坂しずく 侑「ここからは最大6セットの連戦! まずはこれでいくよ!」
果林「エース温存なんてしてる余裕あるのかしら?」
エマ「全国大会出場がかかった準決勝なんだし、ここで全力を出した方が良いんじゃ……」
侑「私たちが目指してるのは、ただ全国大会に出場することじゃないからね」
かすみ「?」 侑「優勝して、『東京都代表』としてカラーコートに行くんでしょ?」
彼方「そうだね〜」
璃奈「燃えてきた」
愛「もちろん優勝するよ! 侑勝ってね!」
侑「ぷふっ」
歩夢「もうっ」
侑「もちろんしずくちゃんの出番もあるから、しっかり準備しててね!」
しずく「はい!」グッ
せつ菜「さあ、行きましょう!」 ※※※
試合開始
アメジスト
1 クリスティーナ センターアタッカー
2 支倉かさね 右アタッカー・カット@
3 吉川瑞希 左アタッカー・ジャンパー
4 門田剣 カットA
5 桐原優香 レシーバー
6 綾小路姫乃 レシーバー
7 白瀬小雪 カットB
8 近江遥 元外野 侑「アメジストのポジションは……」
しずく「遥さんが元外野、クリスティーナさん、かさねさん、瑞希さんが内野アタッカー。これは夏と同じですね」
侑「うん。ただ……」
姫乃「ジャンプボールは恐らく取られます! 皆さんあらかじめ守備位置についておいてください!」 侑「残り4人は綾小路さんたち藤黄のレシーバー陣。都内最速の攻撃と最硬の守備が一つになってる。こんなの反則だよ……!」
しずく「もう一つ違うのは、姫乃さんの守備位置が端から真ん中に変わったこと。より効率良く指示を出すためですかね?」
侑「しずくちゃんの声真似対策も兼ねてるだろうね」
愛「ほいっ」ピョンッ
エマ「やった〜!」パシッ しずく「先攻、取りましたね!」
侑「うん。流石愛ちゃん、ジャンプボールの通算勝率9割超えてるよ……」
侑「ちょっともったいない気がするけど、ここは先手必勝!」スッ
エマ「よ〜し」ブォンッ
ギュルルルルッ 姫乃「はいっ」サッ
ダンッ!!
剣「よっと」パチッ
剣「……あ!」ダッ
主審「ボールデッド! 虹ヶ咲内野ボール!」 しずく「弾きました!」
侑「ワンバウンドしてもあの威力……! エマさんまた一段とパワーが増したね!」
侑「……でも、藤黄のわざと間を空けて、確実に捕れるボール以外は後ろのカットに処理させるフォーメーションは健在。となると次は……」
果林「それっ」ブンッ
かすみ「」パシッ
かすみ(……愛先輩、早速アレいきましょう)スッ
愛「……」コクッ 遥(愛さんの武器は高い身体能力とリズム感から繰り出すランニングアタック……でもどうして……?)
かすみ「愛先輩!」ブンッ
遥(どうしてジャンプボールを飛んだまま、センターライン際から動かないの?)
愛「私だって……」
ピョンッ
愛「――飛べる!」パシッ
ギュンッ
バチッ
主審「3番アウト!」ピッ 外野
○虹ヶ咲
かすみ
○アメジスト
遥・瑞希
エマ「決まったよ〜!」
せつ菜「ナイスアタックですっ!」
愛「さいっこー!!!」
遥(その場でジャンピングアタック!? 敢えて自分の強みを消した技……!)
侑「……いいね!」
かすみ「やりました!」グッ ――――
――
バタッ
愛「あいてっ!」
かすみ「何やってんですかぁ」タッタッタッ
かすみ「ほら、大丈夫ですか?」オテテサシノベ
愛「サンキューかすみんっ」ニギッ
かすみ「だからかすかすじゃなくて……はぁ?」 愛「あはは、今のはちゃんとかすみんって呼んだよ!」
かすみ「かすみんをハメましたね?」
愛「自分で勝手に勘違いしたんでしょー」アハハー
かすみ「ぐぬぬぬぬ……」
愛「一旦休憩する? 何回もパス出して疲れたでしょ?」
かすみ「私は大丈夫ですけどぉ……」 かすみ「愛先輩こそ、何十回も走って跳んで平気なんですか?」
愛「へーきへーき! それに、せっつーは何百回、いや、何千回も跳んできたはずだから!」
かすみ「そんなにジャンピングアタックを覚えたいんですね」
愛「うん! だってジャンピングアタックを決めた時のせっつーの顔、とってもキラキラしてるんだもん!」
かすみ「ジャンピングぺかぺかせつ菜ちゃんってやつですね」 愛「それそれ! この間ゆうゆが呟いたんだよね、とっても語感が良くってさー!」
かすみ「そうですよねぇ」イヒヒ
かすみ「ああそれより、ジャンピングアタックですよっ」
愛「そうだった」
かすみ「まずは、その場で跳んで捕って投げるところからやってみるのはどうでしょう?」
愛「わかった!」
――
―――― かすみ(まさかあれがそのまま必殺技になるとは思わなかったですけど)エヘヘ
しずく「ジャンピングアタックの身体を大きく見せられるというメリットを残したまま、難易度を下げたわけですね」
侑「体重の乗り方が軽いから球威も落ちるけど、捕球から投球に移るのが格段に速い! かすみちゃんに任せて良かった!」
しずく「かすみさんはホントによくみんなの魅力を引き出してくれますよね」
侑「うんうんっ!」 相手が反応する前に狙える感じか。ジャンプのアイシールド21のキッドみたいな 遥(前の虹ヶ咲とは違うってことか……。でも、それなら私たちだって!)
遥「瑞希さん!」
瑞希「うん!」ダッ
パシッ ブンッ
パシッ ブンッ
しずく「速い!」
侑「当てれば当てるほど攻撃力が上がる……。東雲の武器もちゃんと残ってるね」
しずく「そうですね……」
しずく(……でも) バンッ
主審「1番アウト!」ピッ
せつ菜「くっ……!」
外野
○虹ヶ咲
かすみ・せつ菜
○アメジスト
遥・瑞希
【残り時間:2分10秒】 侑「あちゃー……」
しずく「そういえば、せつ菜さんがカットだなんて珍しいですよね?」
侑「うん。もし歩夢が当たった時のために、生存率を上げようと思ってついてもらってたんだけど……」
しずく「生き残ることに専念すれば、カットは中々当たりませんからね」
侑「うん。残念ながら当たっちゃったけどね」 遥(カットつぶしはうちの十八番ですからね。けど……)
瑞希「ふんっ!」ブンッ
愛「よっ」ヒョイッ
クリスティーナ「ちょこまかと!」ブンッ
愛「それっ」ピョンッ
遥(なんて動体視力! 同点のこの場面でわざわざ挟まれに来て、全てのアタックを避けきってる……!) 剣「……!」ブンッ
剣「あっ」
瑞希「うわ!?」ウシロソラシー
主審「ボールデッド! 虹ヶ咲内野ボール!」
愛「ラッキー!」
侑「よしっ!」
侑「避け続けて相手のミスを誘発! すごいよ愛ちゃん!」 しずく(たしかに愛さんのファインプレー。だけど、きちんと連携がとれていれば起こらないミス……)チラッ
剣「はぁ……はぁ……」
しずく(アタッカーがアウトになった時、ほとんどの場合はレシーバーから代わりのアタッカーが前に出てくる)
しずく(瑞希さんの代わりに出てきた藤黄の剣さん、東雲の高速パス回しに追いつけてない……?) かすみ(パスカウント3……。ここは落ち着いてゼロコース※を……)ブンッ
※相手内野ラインの両端。アタックの定義上、間だけでなくここを抜いてもパスカウントをリセット出来る。パスカウントは主審が数えるので、副審側のゼロコースを抜くとリセットしやすい。
ダンッ
彼方「よーし、パスカウント0だね〜」パシッ
エマ「彼方ちゃん! 4だよ!」
彼方「へ?」チラッ
主審「……」
彼方「な!?」 しずく「厳しいですね、あの主審」
侑「パスカウントは完全に主審のさじ加減だから。展開が停滞するのを嫌う主審は、結構ああいうことするね」
しずく「この試合はそれも考慮して攻撃をしなくちゃいけないですね……」
侑「もちろんそれはお互い様。審判の正確・動きも戦術の一要素だって気付けたのは、この間のかすみちゃんたちの作戦のおかげだね」
彼方「お、おりゃー!」ブンッ
姫乃「」パシッ
侑「カウント4、ラインギリギリまで下がられてるから流石に決まらないよね……」 レフェリーの匙加減が大きくなる競技はそれを考えてプレーしないとな。未来はAIになってそんなこともなくなるかもだけど 数日空けてしまってすみません。最近現役復帰してモチベは上がっているので、明日こそ更新します。 コーチに復帰じゃなくて選手として復帰ということかな。怪我に気を付けてがんばってください >>84
選手の方です。
固定回線の調子が悪いので、今日はやわ銀で更新します。 〜
外野
○虹ヶ咲
かすみ・せつ菜・果林・エマ
○アメジスト
遥・瑞希・小雪
【残り時間:0分40秒】 侑「あの後お互い1人ずつ当てて4:5の劣勢……。中々攻撃が通らないね」
しずく「はい。守備はかなり頑張ってると思うんですが……」
しずく「最速の攻撃と最硬の守備……」
しずく「……もしかして、それが弱点なのかも」ボソッ
侑「え?」 彼方「アタックを撃てる子が、愛ちゃん以外全部外野に出ちゃったね〜」
璃奈「相手のラインもかなり前に出てきてる。内野からプレッシャーをかけないと、外野からアタックを決めるのは難しい」
歩夢「愛ちゃん!」
愛「任せて!」 かすみ「愛せんぱーい!」ブンッ
ピョンッ
愛「――よしっ!」パシッ
ギュンッ
優香「」サッ
姫乃(不意をつかれると確かに驚異的なアタックですが、来るとわかっていれば何ということはありません。レシーバーが避けてカットが捕る。いつものうちのパターンで容易に攻略でき)
かさね「あっ!」バチッ
姫乃「!?」 主審「2番アウト! ボールデッド、虹ヶ咲内野ボール!」ピッ
外野
○虹ヶ咲
かすみ・せつ菜・果林・エマ
○アメジスト
遥・瑞希・小雪・かさね
【残り時間:0分15秒】 侑「同点!」
しずく(……やっぱり)
歩夢「愛ちゃん、私から始めさせてくれないかな?」
愛「え? う、うん……?」スッ
歩夢「へへっ。ありがと」ニコッ
璃奈「歩夢さん?」 歩夢「失敗しても愛ちゃんがいる。私たちならVポイント取れるよっ」
彼方「何か秘策があるようですな?」
歩夢「秘策ってほどじゃないけど……」アハハ
歩夢(……せつ菜ちゃん)チラッ
せつ菜「……」コクッ しずく「歩夢さんがボールスタートなんて珍しいですね?」
侑「そうだね。残り時間的にこれがラストアタック。カウンターも怖いから、本当にギリギリで撃たなきゃ」
侑(それよりも……せつ菜ちゃん、どうしてあんなに外野の隅っこの方にいるんだろ? ほとんどラインギリギリの角なんて……)
侑(……! まさか!)
ピッ ラストアタックを志願していくとはこのコンビも成長してるな 歩夢(愛ちゃん、飛べるようになったんだね)ギュッ
歩夢(でもね。私のエースは――)
歩夢「それっ!」ブンッ
ギュルンッ
歩夢(――せつ菜ちゃんだけだよっ!)
せつ菜「うおおおぉぉぉおおお!!!」ダッ
ピョンッ パシッ 侑「外野コートの端から真横に走って……」
しずく「パスを垂直に捕球!? でたらめすぎます!」
ブゥンッ
遥「……うそ」
姫乃(外野がジャンピングアタック!?)バッ
ギュルルルルッ
――ドガッ 主審「……」
主審「1番アウト! ゲームセット! セットカウント1-0!」
ザワザワ……
……ワアァァァアアア!!!
1セット目
【虹ヶ咲Passions 5:3 アメジスト】 ※※※
ベンチバック(ハーフタイムのようなもの)中
せつ菜「やりました!!!!!!」
歩夢「おかえりっ」
せつ菜「まさか一発で成功するとは!!!」
愛「な、なんなのあれ……」 せつ菜「かねてより、私は外野に出た後戻って来られないのが課題でした」
侑「そうだね」
せつ菜「どうにかして外野でもジャンピングアタックが撃てないものかと考えていたんです」
かすみ「外野の幅って、たった3メートルしかないんですよ……?」 せつ菜「はい。だからなんとか走れないかと考えた末……」
せつ菜「果林さんのY字アタックを参考にさせてもらったんですっ」
果林「私の?」
璃奈「たしかに。せつ菜さんは味方内野から見て左サイドの角から反対側へ走って行ってた」 せつ菜「果林さんのY字アタックを参考にさせてもらったんですっ」
果林「私の?」
璃奈「たしかに。せつ菜さんは味方内野から見て左サイドの角から反対側へ走って行ってた」
璃奈「体の右側へ垂直に飛んでくるパスを受けて、助走の勢いを乗せて投げるには、Y字アタックを使う必要がある」
せつ菜「正直腰が痛いので連発は出来ませんが、これで外野でも飛べます!」ペカー 侑「すごいすごい! 私、ときめいちゃった!」キラキラ
エマ「せつ菜ちゃんが走ってくる方向にいたから、私にアタックを撃つのかと思ってどきどきしちゃったよ〜」
果林「正直怖かったわよね」
かすみ「かすみんはつい『どこいくねーん!』ってツッコんじゃいましたよぉ」
「「「あはははは」」」 侑「そう言えばしずくちゃん、さっきアメジストの弱点がどうとかって」
しずく「あ、はい」
しずく「弱点というほどでもないのかも知れませんが……」
侑「?」 ※※※
準決勝 2セット目
【オーダー】
虹ヶ咲Passions
1 優木せつ菜 カット
2 上原歩夢 レシーバー
3 朝香果林 左アタッカー
4 エマ・ヴェルデ 大砲
5 中須かすみ 元外野@
6 近江彼方 右アタッカー
7 桜坂しずく 元外野A
8 宮下愛 センターアタッカー・カット・ジャンパー
ベンチ 天王寺璃奈 かすみ「しず子、頼んだよっ」
しずく「まかせて!」
璃奈「勝負どころだね」
侑「うん。しずくちゃんが言ってたとおりならこれで……」 ――――
――
しずく「私、団体競技はいかに強い個人を揃えられるかの勝負だと思っていたんです」
侑「間違いではないと思うよ」
しずく「ええ、今でもある程度はそうだと思っています。ただ、それは最終的な結果の話。いくら強力な選手を集めても、チームとしての練度が足りなくては本当に強くはなれないんだと気付いたんです」
果林「つまり?」 しずく「アメジストの弱点は、都内トップの攻撃と守備が組んだことそのものだったんです」
しずく「試合を見ている限り、戦力は単純に足し算されるわけではない……」
しずく「現に先ほどの試合では守備に難のある東雲の方がアウトになりやすかったですし、藤黄の選手は誰もアタックを決めていませんよね?」
歩夢「たしかに……」
璃奈「結果的に東雲としては攻撃力が落ちて、藤黄としては守備力が落ちてるってことだね」
しずく「そうそう」 かすみ「これまでの東雲なら、仮にメインのアタッカー陣を全員外野に出しても内野からアタックを撃ってきてましたからね」
エマ「逆に前の藤黄は誰を狙っても当てるのが難しかったよね〜」
彼方「……」
侑「連携がとれていないなら、あれが有効だろうね。しずくちゃん、次のセット出れる?」
しずく「は……はい!」
――
――――
しずく(まずは……) ※※※
【音ノ木坂ミューズ 0:1 ARISERS】※セットカウント
ベンチバック中
穂乃果「ふああああぁぁぁあああ!!!」バターン
ことり「穂乃果ちゃん!?」
海未「大丈夫ですか?」
穂乃果「……」スクッ
海未「……?」 穂乃果「すっごーい!!!」
花陽「?!」ビクッ
穂乃果「すごいすごいすっごーい!」
穂乃果「やっぱり強いねARISERS! 私たち、本当にあのARISERSと戦ってるんだ!」
穂乃果「ワクワクしない!?」
凛「するにゃー!」ワーイ
海未「……はぁ」
真姫「バカね」
にこ「バカよ」フフッ
絵里「……ふふっ」
花陽「あははー……」ニガワライ 希「いいことやん? やっぱり強敵との戦いはこうやないとね♪」
穂乃果「1セット取られちゃったけど、次勝てば3回もARISERSと試合ができるんだよ!」
ことり「素敵な発想だねっ」ニコニコ
海未「決勝戦もあるというのに、穂乃果には温存の『お』の字も無いようですね」
穂乃果「えへへ〜」 真姫「その言い方、海未も負ける気は全く無いのね」
海未「? 当然です。私たちは勝ちますよ、絶対に」キリッ
絵里「その意気よ」
パチパチパチパチ
「――良い雰囲気だわ。見に来てよかった」ニコニコ
ことり「お母さん」
絵里「……理事長」 ことりママ「ことりが急にベンチに入ってくれって言い出した時は、何事かと思ったわ。……次の試合も楽しませてもらうわね」
穂乃果「はーい!」
花陽「……にこちゃん」ボソッ
にこ「なによ?」
花陽「ごめんね、勝手なことして」
にこ「……良いわよ。私のためにしてくれたんでしょ?」 花陽「うん。にこちゃんのドッジボール愛、私が1番よく分かってるつもりだから……」モジモジ
にこ「はっ。思い上がらないでよ。私には私のドッジボールとの付き合い方があるのっ」
花陽「……ご、ごめん……」シュン
にこ「うっ……」
にこ「……顔上げなさい。2セット目始まるわよ」
花陽「……うん」 にこ「……」
にこ「ああもうっ!」
にこ「……ええっと、その……」
花陽「?」
にこ「……ありがと」モジモジ
花陽「……!」
花陽「にこちゃん!」
にこ「あーうるさい! 早くいきなさいっ!」
花陽「えへへ〜」ニコニコ 日付変わってますが、一旦ここまでです。今夜で準決勝の決着がつくと思います。
>>103
現状6人元外野とダイヤモンド以外は現実で見たことがある技と戦術です。 なるほど。色んな戦術を考えて実際に試すチームがたくさんある競技なんだな ※※※
侑「隣のコートも盛り上がってるみたいだね」
璃奈「うん。どっちが決勝に来るのか、楽しみ」
侑「さて……」
外野
○虹ヶ咲
しずく
○アメジスト
遥・瑞希・かさね・クリスティーナ
【残り時間:1分30秒】 璃奈「しずくちゃんの言ってたとおりだったね」
侑「そうだね。いくら個人の能力が高くても、アメジストは守備の連携がまだとれてない」
璃奈「元外野を二人にして、しずくちゃんの声真似で撹乱。あとはかすみちゃんと愛さんの連携で東雲メンバーを狙い撃ちする……」 ――――
――
しずく「当てれば当てるだけ攻撃力を増す東雲。でも、内野に藤黄だけ残したら?」
果林「なるほどね。得意の連携は使えなくなるわ」
かすみ「戦力は、足し算じゃない……」
せつ菜「私と歩夢さんはかけ算ですね!!!」ペカー
歩夢「う、うんっ」アハハ
侑「むっ……」
――
―――― 侑「ここまで計画通りに進むなんてね」
侑「東雲メンバーを当てきったタイミングでかすみちゃんが帰還。残り1分半でこの3点差は大きいよ」
璃奈「あとはラインを内野に寄せて、外野からの攻撃さえ止められればいい」
姫乃「……」ドクンッドクンッ 姫乃(負ける……負ける負ける負ける負ける)
姫乃(夏と同じように。司令塔の私が何もできないせいで)
姫乃(……)
姫乃(――中学3年生の冬。大会を見に来ていた、当時藤黄2年の先輩にスカウトされた) 『来年うち、本気で全国制覇狙ってるんだよね』
『だけどなんだかなー。試合中レシーバーの動きにまとまりが無くってさ』
『そうだ。ねえキミ、うちにおいでよ! 藤黄は実力主義だから、キミくらい上手かったらきっとみんなをまとめれるよ!』
姫乃(そして、去年。私たちは本当に全国制覇を成し遂げた……) 『姫乃ー!』ダキッ
『ありがとう! 姫乃がいてくれたからここまでこれたんだよ!』
姫乃(正直、私は大したことはしていない。先輩たちが当てて、先輩たちが捕っていただけ。でも……)
姫乃(――嬉しかった) 『来年はもちろん2連覇だね!』
『藤黄の伝統、姫乃に託すよ』
姫乃(その言葉で、気が引き締まった)
姫乃(……同時に)
姫乃(――それは、私にとって呪いの言葉だった) ――――
――
姫乃「先輩からLINE?」スマホタプタプ
『ODAIBA残念だったねー』
姫乃「……」
姫乃『東雲にすごい上手い1年生が入って……。ほとんど彼女にやられてしまいました』
『そうなんだ。きっと、去年他のチームも姫乃のことそういう風に思ってたんだろうね』
〜
『大江戸杯、また決勝で東雲に負けちゃってたね』
『予選で戦ってた虹ヶ咲ってどんなチームだったの?』
姫乃「……勝たなきゃ」 〜
『夏は3位。ま、私たちもそうだったからね。春に勝てば良いんだよ』
『今年の東京は大変みたいだね〜』
姫乃「……勝たないと。絶対に、絶対に勝たないと……」
姫乃「……先輩方のために……!」
――
―――― 姫乃(……そして、私は遥さんに合同チームをもちかけた)
姫乃(そんなことしてまでこの体たらく。先輩に見られたら……)
「――姫乃!」
姫乃「!」クルッ
姫乃「……せん……ぱい?」
「諦めちゃダメだよ!」
姫乃「……」 侑「? 観客席から何か叫んでる人がいるね?」
璃奈「藤黄の卒業生じゃないかな」
侑「ひょっとして、去年の全国制覇メンバー!?」
璃奈「多分」
侑「おお〜!」
侑「なんて言ってるんだろう?」
璃奈「ここからじゃ聞き取れない」 「ごめんね! もしかしたら私、姫乃にプレッシャーかけてたのかもしれない!」
「でも、そんなつもり無かったの!」
「ねえ! 姫乃!」
「今の藤黄は姫乃たちのチームだよ! 自分の好きなドッジボールをやってみて!」
姫乃「!」
姫乃「私の好きなドッジボール……」 剣「姫乃」ポンッ
姫乃「剣さん?」
剣「うちの攻撃だよ。前出たら?」ニコッ
姫乃「……はい!」
ピッ
姫乃(私の好きなドッジボール。それは……) 姫乃「うわあああぁぁぁ!!!」ダッ
虹ヶ咲「「「!?」」」
ブンッ
バチッ
主審「2番アウト!」ピッ
姫乃(――常に全力! 真っ向勝負のパワードッジ!) 外野
○虹ヶ咲
しずく・歩夢
○アメジスト
遥・瑞希・かさね・クリスティーナ
【残り時間:0分40秒】
侑「綾小路さんがアタック!?」
璃奈「ラインを前進させてたとはいえ、中々良いアタックだった」
侑「残り40秒。外野からで同点か……」
璃奈「落ち着いてパスを回せば大丈夫。うちが有利なのは変わってない」
侑「そ、そうだね……」 しずく「2点差……。でも、歩夢さんが外野に来てくださって助かりました。私に外野の経験はないので……」
歩夢「えへへ……」
歩夢(時間の使い方。それならかすみちゃんに沢山教えてもらった。今の私なら出来るはず!)
しずく「私もサポートしますね!」
歩夢「うんっ。よろしくね」ニコッ
しずく(とは言ったものの……)チラッ
姫乃「……」ザッ
しずく(姫乃さんだけが一歩前に出て、他の3人は通常の位置通りのポジション)
しずく(カットもラインに入って、間を詰めてますね) 璃奈「アメジストは時間を使い切られたら終わり。ああやってパスカウントをゼロに戻せないようにしてるんだ」
侑「やっぱり内野が藤黄だけになると、これ以上当てるのは難しそうだね」
璃奈「うん」
歩夢(準決勝からは実動制※。時間稼ぎも簡単じゃないけど……)
歩夢(決勝戦のことを考えたら、絶対にこのセットで決めないとっ)
※実動制
ボールデッド時に毎回タイマーが止まる方式。通常時(ランニングタイム制)は止まらないので、意図的に外野がワンタッチをして時間を稼ぐことが出来る。 〜
主審「ファイブパス! アメジスト内野ボール!」
歩夢「うぅっ……」
しずく「そういえば、あの主審はパスカウント厳しかったですね……」
【残り時間 0分10秒】
姫乃「ラストアタックにかけるしかありません!」
剣「誰にパスするの?」
姫乃「それはもちろん……」ブンッ
遥「!」パシンッ
姫乃「――エースです!」 トーナメントの途中で時計の方式が変わる競技って珍しい気がする。セット数とかはあるけど クリスティーナ「遥さん!」
かさね「いっけええええ!!!」
遥「うおおおぉぉぉおおお!!!」ブンッ
ギュルンッ
遥(勝つんだ!)
遥(私はまだ、クリスティーナさんたちとドッジボールがしたい!)
遥(勝って、カラーコートに行く!)
彼方「――ごめんね、遥ちゃん」サッ
バシンッ
――ピッピー…… 主審「ゲームセット! セットカウント2-0!」
【虹ヶ咲Passions 6-4 アメジスト】
虹ヶ咲Passions、決勝戦進出――。
――全国大会出場決定。 >>141
1チームあたりの試合数が多いので、途中まではランニングタイム制じゃないと進行がおすんですよね。
他に地方予選とかだと途中から審判の人数増える大会もあります。 急造チームの脆さが出ちゃったか。かといって準備期間があれば上手くいったとは限らないのがチーム競技の難しいところだけど
>>145
なるほど。時間制じゃない競技は色んな部分で工夫していかないと、どんどん長時間化しちゃうしね せつ菜「……」ポロポロ
せつ菜「……あれ?」ゴシゴシ
せつ菜「嬉しいはずなのに……」
かすみ「なに泣いてるんですかぁ……。まだ決勝戦が残って……うぐっ……」
せつ菜「かすみさんだってぇ……」
果林「……行けるのね、私たち」
エマ「カラーコート……!」
しずく「決勝戦の相手は……」 ※※※
【音ノ木坂ミューズ 1:1 ARISERS】
※セットカウント
3セット目
【音ノ木坂ミューズ 4:4 ARISERS】
Vポイントゲーム ツバサ「新旧王者対決も、これで終わりだね」
穂乃果「とっても楽しかった! もう終わっちゃうのが悲しいよ……」
ツバサ「私も」フフッ
主審「ジャンプボール!」 〜
侑「フルセット、Vポイントゲームで音ノ木坂ミューズが上がってきたね」
かすみ「いよいよですね!」
歩夢「せつ菜ちゃん」
せつ菜「はい! 必ずあのお二人を超えた、私たちのジャンピングアタックを見せましょう!」
歩夢「うんっ」
エマ「楽しみ〜」 侑「璃奈ちゃん、音ノ木坂のデータは?」
璃奈「直近の大会や練習試合を見に行って、用意してきたよ」
侑「さすが!」
愛「愛さんも手伝ったんだよー!」
侑「ありがとう」ニコニコ 璃奈「まず、ことりさんと穂乃果さんが2人でセンターアタッカーをしてるみたい」カサッ
侑「うちと同じ、ローテーションアタッカー?」
璃奈「うん。穂乃果さんの負担軽減のためかな」
璃奈「キャッチ率が低いのは絵里さんと花陽ちゃん。この二人を当てて逃げ切るのが良いかも」
侑「なるほどね」 ※※※
穂乃果「おつかれさまー!」
希「どこ行ってたん?」
穂乃果「ちょっと外にね」
ことり「雪、きれいだったねっ」
海未「雪?」 穂乃果「うんっ! 入り口のとこでARISERSの人たちと話してたんだけどね、途中から雪が降ってきて」
絵里「2月半ばの雪……まあ、珍しくもないかしら……?」
希「気になる?」
絵里「べ、べつに? 今は試合に集中よ!」
希「ふーん?」ニヤニヤ 穂乃果「でねでね! ここは気分転換も兼ねて、この間の大会で使ったコールでいこうよ!」
真姫「いいんじゃない?」
花陽「あ、あの……」
穂乃果「?」
花陽「ミーティング始めてもいいかな?」
穂乃果「……忘れてた! ごめんごめん!」
にこ「はぁ……」 〜
花陽「……以上が、虹ヶ咲のデータだよ」
にこ「上出来よ。よく調べたわね」
凛「さすがかよちんだにゃー!」
真姫「いつもありがとう」
花陽「好きでやってることだから」エヘヘ
にこ「それじゃ、決勝戦のオーダーを発表するわよ!」
花陽「あ、そのことなんだけど……」
〜
にこ「……はぁ!?」 ※※※
決勝戦
【オーダー】
虹ヶ咲Passions
1 優木せつ菜 センターアタッカー@
2 上原歩夢 元外野
3 朝香果林 左アタッカー
4 エマ・ヴェルデ 大砲
5 中須かすみ 右アタッカー・カット@
6 近江彼方 レシーバー
7 桜坂しずく レシーバー
8 宮下愛 センターアタッカーA・カットA・ジャンパー
ベンチ 天王寺璃奈
音ノ木坂ミューズ
1 高坂穂乃果 センターアタッカー@・カット@
2 園田海未 元外野
3 南ことり センターアタッカーA
4 絢瀬絵里 ジャンパー・カットA
5 東條希 大砲
6 星空凛 カットB
8 西木野真姫 レシーバー
9 矢澤にこ レシーバー
ベンチ 小泉花陽
ことりママ「やっとね」
花陽「はい。わざわざ来てくださって、ありがとうございます」
ことりママ「良いのよ。あの子にはずっと我慢させちゃってたみたいだし……」 ――――
――
ことりママ「私が監督としてベンチに?」
花陽「は、はい! 無理なお願いだってことはわかってるんですけど……」
ことりママ「……なにか、事情があるのね?」
花陽「……」
花陽「きっと、にこちゃんだって試合に出たくてたまらないはずなんです」
ことりママ「矢澤さん? たしかに全国大会ではずっと控えだったわね?」
花陽「あれ、実は控えじゃないんです……」
ことりママ「?」 花陽「公式戦は、ベンチに常に指導者登録をした人が座ってなくちゃいけないんです。にこちゃんは下手だから試合に出なかったんじゃない……」
花陽「……自分以外の全員が出られるように、そもそも選手として登録してなかったんです」
ことりママ「え……?」
花陽「他のチームは学校の先生やマネージャーの子が指導者登録してるんですけど、うちはまだお願いできる人が見つからなくて……」
花陽「本人はわざと下手なふりをして、それを見抜いてる真姫ちゃんたちもにこちゃんの自虐ネタに乗ってあげてますけど……」
ことりママ「……そうだったの」 ことりママ「でも、私はドッジボールのルールも何も知らないわよ?」
花陽「それでもいいんです! 私はただ、最後の春ににこちゃんを試合に出してあげたいんです!」
ことりママ「……」
ことりママ「それは、今のレギュラーが誰か一人控えになるということよ?」
花陽「わかってます」
花陽「……それを含めた作戦を、私は既に立てています」
ことりママ「……へぇ?」ニコッ
――
―――― ことりママ「矢澤さーん!」
にこ「! はい!?」クルッ
ことりママ「あなたの本気を見せてちょうだい!」
にこ「……!」
にこ「はい!」 ※※※
璃奈「……」
璃奈「データと違う」
侑「穴だと思ってた花陽ちゃんはベンチ。絵里さんもカットに出ててラインには入らないんだ……」
璃奈「にこさんは完全にノーマーク。どんなプレイヤーなのか、全く情報がない」
侑「裏をかかれたね」
璃奈「もしかして……」
侑「?」 ※※※
にこ(データっていうのはね。とるとられるだけじゃないわ)
にこ(情報戦を制するためにはね、"とらせる"ことも必要なのよ!)
にこ(ピンク髪の子たちが偵察に来てるのは知ってた。だからあえて花陽と絵里をアタックが来やすい内野中央に配置して、うちの守備の穴を晒しておいた)
にこ(その裏で二人にはカットの練習をさせて、本番ではラインから外すプランだったのよ) にこ(私が試合に出ることになったのは計算外だけど、これで十分意表はつけた)
にこ(最後までみんなを試合に出してあげたかった。自分が出るのを我慢できるよう、精神的に強くなりたかった)
にこ(でも、私なんかより花陽はもっともっと強い子だったのね……)
にこ(あの子のためにも、私は……私たちは、絶対に勝つ!) 主審「ジャンプボール!」
虹ヶ咲「「「溢れ出す この気持ち 胸の奥 もう止まらない 虹色Passions! 勇気に染まるColors!〜♪」」」
音ノ木坂「「「届けて切なさには 名前をつけようか"Snow halation" 想いが重なるまで 待てずに 悔しいけど好きって純情 微熱の中ためらってもダメだね 飛び込む勇気に賛成 まもなくStart!!〜♪」」」 いつも勝ってるイメージだけど愛ってジャンプボールで負けたことってあったっけ?
絵里は今までのジャンパーと比べると一番強敵っぽいイメージなのでどうなるか? >>189
東雲との練習試合で一度負けてます。描写されてない分を合わせても、年間通して100試合やって10回も負けてないです
体調悪いので一旦寝て、深夜から早朝に更新するかもしれないです かすみ「ぐっ、かっこいいです……!」
果林「強いわね」
エマ「そういう勝負じゃないでしょ〜」ニガワライ
愛「おりゃー!」ピョンッ
絵里「くっ……」 侑「予選から8連勝!」
璃奈「先攻をほぼ確実に取れるのは助かる。プランが立てやすいし、トーナメントなら引き分けでも勝ちに持っていける」
侑「Vポイントは先攻有利だからね〜」
歩夢(もちろんファーストアタックは……!) かすみ「えいっ」ブンッ
歩夢「せつ菜ちゃん!」パシッブンッ
せつ菜「うおおおぉぉぉおおお!!!」ダッ
ギュルンッ
バチンッ
主審「8番アウト!」ピッ
歩夢「ナイスアタックだよっ!」
外野
○虹ヶ咲
歩夢
○音ノ木坂
海未・真姫
【残り時間 4分40秒】 璃奈「歩夢さんのクイックから、せつ菜さんのジャンピングアタック。かなり完成度が高くなった」
侑「いいよね〜」
璃奈「……?」
璃奈「侑さん、ちょっと機嫌悪い?」
侑「べつに〜?」 海未(素晴らしいですね。それならば、こちらも……)
海未「ことり!」ブンッ
ことり「はーい!」ダッ
ピョンッ
侑「ことりちゃんがジャンピングアタック!?」
璃奈「それはデータにな」
璃奈「……え」 ことり「わー!」サッ
穂乃果「いっくよー!」パシッ
ギュインッ
彼方「!?」ドガッ
主審「6番アウト! ボールデッド! 音ノ木坂内野ボール!」ピッ
外野
○虹ヶ咲
歩夢・彼方
○音ノ木坂
海未・真姫
【残り時間 4分40秒】 侑「なに今の……」
歩夢(ことりちゃんから少し遅れて穂乃果ちゃんがダッシュ。ことりちゃんは僅かに斜めに向かって飛んで捕球するふりをして避けた)
歩夢(そして、隠れていた穂乃果さんがジャンピングアタック。私は後ろから見てたから分かるけど、あの重なり方だと正面からじゃ……)
愛「全く気付かなかった……」
しずく「息ぴったりでしたね」
かすみ「不意打ちとはいえ、彼方先輩が序盤で当たっちゃいました……」 侑「まるでバレーボールの時間差攻撃みたいだったね」
璃奈「真正面から来るパスに対して走るから、下手したらもっと難しいかも」
侑「穂乃果ちゃん本人も直前までパス見えてないだろうしね」
璃奈「うん。あれをやるには、相当な練習量と、信頼関係が必要」
璃奈「ローテーションアタッカーはこの伏線だったのかも」 ことりママ「すごいわね〜。決勝戦まで使ってなかったけど、隠してたの?」
花陽「隠してたわけじゃないです。隠す必要も無い技なので……」
花陽「でも、穂乃果ちゃんがせっかくだから新技は決勝戦で最初に使いたいって」
ことりママ「ふふっ、あの子らしいわね」ニコニコ
ことりママ「それより、『隠す必要が無い』というのは?」
花陽「分かってても防げないからです」 花陽「ことりちゃんはパスを受け取るフリをして避けた後、穂乃果ちゃんと全く同じタイミングで、アタックを撃つ素振りをします」
花陽「この技の利点は、相手の視界を大きく揺らせることです。キャッチが上手い子ほど、ことりちゃんの動きに反応して穂乃果ちゃんへの対応が遅れます」
花陽「それは意思とは関係ない反射レベルの話なので、何回でも同じ手が通じます……はいっ」
ことりママ「むしろ回数を重ねて集中すればするほど、相手の目線はことりを追ってしまうのね」
花陽「そ、そうです!」 璃奈「――そういう仕組みなんだと思う。ゲームで言えば、防御無視かつ相手の防御力に比例して威力が上がる技みたいな」
侑「それで彼方さんがあんな簡単に……」
侑「最初の予定が崩されちゃったね……」
璃奈「うん。情報戦では、完全に上をとられた。ごめんなさい」シュン
侑「そんな! 璃奈ちゃんは悪くないよ」
侑「まだ同点、しっかりみんなを応援しよ?」
璃奈「……うん」 実際に来るとわかってても防げないものなのかな。こういうのはプレー経験のある人じゃないとわからなさそうだね すみません。アーカイブ周回したり2期発表に発狂したりでなかなか続き書けてません…… 私生活忙しすぎて全然書けてないですすみません
完結までの流れは考えてあるので、もうしばらくお待ち下さい ふと思いついたのだが、ドッジボールには始球式は存在するのだろうか? 保守
>>279
何かの大会で一度だけ見たことがあります 始球式、どのようでしたか?
ジャンプボールの球を投げ上げる型?
それともどこかからコートへボールを投げ入れる?
まさかその偉いさんか何かが内野選手にアタックしてその内野選手は避けも受けもしてはいけないとか!? >>281
ジャンプボール上げる係を偉い人がやる感じです。 最近私生活が忙しく、じわじわ書き進めてはいますがまだ更新できるほどの書き溜めがありません。おまたせして申し訳ないです。 保守だけの文字書き込めなくなってるよね
運営のやつ規制しやがったのかな そら何ヶ月も保守だけでもってる無駄スレを減らすためよ 侑(――しかし、その後も穂乃果ちゃんたちの新技を前に、私たちは手も足も出なかった)
侑(早々にせつ菜ちゃん、愛ちゃんを外野に出され、内野からの攻撃も薄くなって……)
【虹ヶ咲 2-5 音ノ木坂】
かすみ「ぐぬぬぬぬぬ」
彼方「ごめんよ〜」
侑「仕方ないよ。あれは簡単には捕れないって」
果林「でも――」 果林「あれを止めなきゃ私たちに勝ち目はない、でしょ?」
侑「それは……」
璃奈「現状あのアタック――仮にダミーアタックと呼ぶとして……攻略法はほぼ無いと思う。原理は私たちのシンクロアタックと同じだけど、穂乃果さんが普通のジャンピングアタックも混ぜてくるから止めるのが難しい」
エマ「何か作戦は?」
しずく「うーん……」
侑「……なし……かな?」
「「「???」」」 歩夢「侑ちゃん?」
せつ菜「作戦無しって……?」
愛「あきらめるってこと!?」
侑「違うよ!」
侑「私たちの攻撃が全く通じていないわけじゃない。きっと、これまでの練習に意味はあった」
侑「だから、作戦無し。下手に小細工をするよりも、今の私たちの全力をまっすぐぶつける方が、良い勝負出来るんじゃないかな?」
かすみ「そんな」
せつ菜「燃えてきました!!!」
かすみ「ええ……」 〜
にこ「ふぅ……」
花陽「にこちゃん生き残ったね!」
にこ「えへっ……あ! あったりまえよ!」
花陽「ふふふ」
にこ「それより、花陽は出なくていいの? 決勝戦なのよ?」
花陽「決勝戦だからだよ。私はあんまりキャッチが得意じゃないし、今の虹ヶ咲には全力でぶつからないと勝てないから」
にこ「ぬぅ……」
にこ(実戦経験の無い私が出るよりも、花陽が出た方がうちの全力と言えるんだけど……) 穂乃果「海未ちゃん! 今日もばっちりだよ!」
海未「28m先の的を射るのに比べたら、10m先の穂乃果にパスするなど造作もないです」
ことり「かっこいいー!」ギュウッ
海未「ひゃ!? い、いきなり抱きつかないでくださいっ!」
ことりママ「うふふっ」
ことり「!」
サッ
ことり「ご、ごめんね……?」カオマッカー
真姫「相変わらず締まりのないチームね」
希「うちららしくてええやん?」ニコニコ
絵里「ええ。今となっては、この雰囲気が心地良いわ」
凛「そうにゃそうにゃ!」 【第2セット】
璃奈「お互いメンバーは変わらず、だね」
侑「ごめんね」
璃奈「ううん、大丈夫。私もこれがベストメンバーだと思うから」
璃奈「相手の投げるコースを先読みする私と、ダミーアタックの相性はかなり悪い」
侑「反応が良すぎるのも考えものだね」
璃奈「うん。だからそれを逆手に取る」ジッ
しずく「……」
しずく「……!」ピクッ
かすみ「どうしたのしず子?」
しずく「いや……。今、薄っすらと誰かに馬鹿にされたような……?」
かすみ「へ?」
しずく「な、なんでもないよ!」 今日まで保守していただいた皆様ありがとうございます。短いですが、少しだけ書き溜めた分です。
またお待たせするかもしれませんが、よろしくお願いします。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています