侑「わっ!そこで赤コウラ来る!?」璃奈「ふふふ」
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侑「うぅ…7位まで落ちたかー。璃奈ちゃんやってくれるねえ」
璃奈「侑さんでも手加減なしだよ」
侑「望むところだよ。まだ2周目だから十分逆転狙えるしね」
カチャカチャ…カチャカチャ…
璃奈「侑さん」
侑「なに?」
璃奈「体、傾いてる」 ───
侑「今日、お父さんとお母さんは帰ってくるの?」
璃奈「ううん、今日も一人。職場にお泊まりだと思う」
侑「じゃあ、私が帰っちゃうと一人になっちゃうのか…」
璃奈「心配しないで。ちゃんとメッセも送られてきてるから、寂しくないよ」
侑「本当に?」
璃奈「本当」
侑「じーっ」
璃奈「えっ、あの…璃奈ちゃんボード『あせあせ』从|| ˶˙ - ˙˵ ; ||从」
侑「璃奈ちゃんボードで隠しても分かるよ」
璃奈「な、何が?」
侑「帰らないで、って顔してる」
璃奈「私、無表情だよ…?」
侑「ううん、分かる」 侑「愛ちゃんには及ばないかもしれないけど、私も璃奈ちゃんの素顔を見て、今どんな気持ちなのか、少しずつ分かるようになってきたんだ」
侑「表情を作るのが苦手だからこそ、璃奈ちゃんはいつも正直な気持ちを表に出してくれてるから」
璃奈「うう…」
侑「璃奈ちゃんは自分が思うより、ずっと分かりやすい子だよ」
璃奈「……て、『テレテレ』从||˶>_<˵||从」
侑「と言いつつ、それは照れた素顔を隠すための璃奈ちゃんボードだね?」
璃奈「からかわないで……恥ずかしい」
侑「あはは、ごめんごめん」
侑「話がそれちゃったけど、璃奈ちゃんが良ければ、今日はずっと一緒にいるよ。良いかな?」
璃奈「……うん。いてほしい」
侑「よし!なら今日は、璃奈ちゃんだけのお姉ちゃんになるからね」
璃奈「うん」
侑「一緒にお風呂入ったり、一緒のベッドで寝ようね」
璃奈「うん。侑さんとのはじめてが増えるの、嬉しい」
侑「えへへ。私も!」 ───
サクッ、サクッ
コトコト…コトコト…
侑「わっ!璃奈ちゃんって料理の手際良いね」
璃奈「親が家に居ることが少ないぶん、家事は1人でこなすこと多かったから」
璃奈「……侑さんだって器用だと思う」
侑「璃奈ちゃんに比べたら全然だよ。料理は、歩夢と小中学校でキャンプや調理実習で作った程度だし」
璃奈「でも、1人でお料理するより、ずっと良い」
璃奈「侑さんが居てくれて、助かる」
侑「良かった。玉ねぎもしんなりしてきたし、そろそろ鍋に具を入れて煮込もうか」 ───
グツグツ…グツグツ…
侑「璃奈ちゃんは良いお母さんになれそうだね」
璃奈「そうかな?」
侑「うん。これだけ家事ができて、1人でもしっかりしてるし」
璃奈「だったらいいな」
璃奈「私、結婚したら子供がいっぱい欲しいんだ」
璃奈「いつも賑やかで、温かくて、外からでも笑い声が聞こえてくるようなおうちにしたい」
侑「良い夢だね」
璃奈「『テレテレ』从|| ˶'-'˶||从」
璃奈「中学生の頃ね、ゲームセンターから遅くに帰ることがあったんだけど──」 璃奈「住宅街の明かりのついたおうちや、お隣の部屋から晩御飯の匂いと笑い声がすると、とても羨ましくて──」
璃奈「けど、ちょっとだけ寂しかった」
璃奈「お父さんとお母さんが、私のために頑張って働いてるのは知ってるけど──」
璃奈「私、自分の子供には他のおうちを見ても、自分の家が一番好きって思ってもらえるような家族にしたい」
侑「…璃奈ちゃん」
璃奈「あっ…ごめんなさい。私ばかりいっぱい喋って。『反省』从||。>_<。||从」
侑「ううん。気にしないで」
侑「璃奈ちゃんはやっぱり、愛ちゃんと一番仲が良いイメージあるから」
侑「私にもそういう話をしてくれるほど、仲良くなれたのかなって思うと、嬉しい」
璃奈「侑さん…」
侑「おっ、お湯も沸騰してきたし、そろそろルゥを入れるよ」
璃奈「う、うん」
───
侑「よしっ!クリームシチューの完成!」
璃奈「やった!璃奈ちゃんボード『にっこりん』从|| ˶> ᴗ <˵ ||从」
侑「私がお皿に盛るから、璃奈ちゃんはパンの用意をお願い」
璃奈「『了解』从|| ˶`・-・´˵||从」 ───
侑「それじゃ…」
2人『いただきます!』
パクッ
侑「うん!うま!」
璃奈「おいしい。『ハッピー』从||≧∇≦||从」
侑「あ、これ璃奈ちゃんが切ったにんじんじゃない?」
璃奈「1個だけねこさん型にしたよ。侑さんラッキー」
侑「すっごく可愛い!でも、食べちゃう!」パクッ
璃奈「侑さんの剥いたじゃがいももあるよ」
侑「あはは、皮が中途半端に残ったままでごめんね。不器用でさ」
璃奈「ううん、こういうのがいい」
璃奈「2人の手作りシチューだって分かるから」
侑「璃奈ちゃんはほんと良い子だなあ」
侑「頭なでたくなっちゃうよ」
璃奈「い、今は食事中…」
侑「大丈夫。後でお風呂で思いっきり頭を洗うよ」
璃奈「…うん。楽しみ」 ──お風呂場──
ワシャワシャワシャ…
侑「かゆいところはないですかー?」
璃奈「無いよ」
侑「はーい」
ワシャワシャワシャ…
侑「流すよー」
璃奈「うん」
バシャァ!
侑「あっ。濡れると璃奈ちゃんのくせ毛もぺたんてなるんだね」
璃奈「な、なんか恥ずかしい…」
侑「大丈夫。髪ぺた璃奈ちゃんも可愛いよ」
璃奈「う、うう…」 ───
ワシャワシャワシャ…
璃奈「侑さんの髪、綺麗」
侑「え?そうかな?」
璃奈「つやつやの黒髪と緑、かっこいい」
侑「こないだ歩夢にはモンエナの缶みたい、って言われたよ」
璃奈「あ、ちょっとわかるかも。私、情報処理学科の課題する時、よく飲む」
侑「私も徹夜する時のんでるなあ。美味しいよね、あれ」
璃奈「うん。クセになる」
璃奈「侑さんとは、良い飲み友になれる」
侑「あはは。モンエナ友達?」
璃奈「うん、私たちモンエナで繋がろう」 ────
チャプン…
侑「温かいねえ」
璃奈「うん」
侑「璃奈ちゃんちのお風呂広いね。2人で入っても足が伸ばせて快適だよ」
璃奈「前に愛さんも、同じこと言ってた」
侑「あっ、愛ちゃんとも入ったんだ?」
璃奈「裸の付き合い、って」
侑「私とも裸の付き合いしちゃったね」
璃奈「うん」
侑「お風呂だと璃奈ちゃんボードが無いから、璃奈ちゃんの顔がよく見える」
璃奈「う、侑さん今日、私の顔見すぎ…///」
侑「いやあ、璃奈ちゃんとこんなに近くで一緒に居ること初めてだから──」
侑「ボードで隠せないうちに、いっぱい見ておかないともったいないな、って」ジーッ
璃奈「うう……防水璃奈ちゃんボード…作らなきゃ…///」
侑「顔赤いけど大丈夫?のぼせてない?」
璃奈「し、知らない…」 ───
ブオオオォォ
侑「よし、ドライヤー終わり!」
璃奈「ありがとう」
侑「すごいね、乾いたら速攻で髪の毛跳ねたよ。てっぺんの毛もばっちりだ」
璃奈「璃奈ちゃんボード『きらーん』从||✧ᴗ✧||从」
侑「あはは、すっごく決まってるよ!」
璃奈「今度は私が侑さんの髪、乾かすね」
───
ブオオオォォ
璃奈「髪を下ろしてる侑さんって、新鮮かも」
侑「寝る時以外は基本結んでるからねえ」
璃奈「昔からいつもの髪型なの?」
侑「うん。歩夢が可愛いって言ってくれて、そこから気に入っちゃってさ」
侑「私自身は可愛いか分からないけど、歩夢が喜んでくれるならいいかなって」
璃奈「私も侑さんの髪型、好き」
侑「ありがとう。私も璃奈ちゃんのその髪色、好きだな」
璃奈「ピンク色?目立つから、ちょっぴり恥ずかしい時もあるよ」
侑「むしろ目立つからこそ、すぐ璃奈ちゃんが見つけられるよ」
侑「何より可愛いし!」
璃奈「……侑さんにこんなに可愛いって言われるの、初めて」
侑「そうかな?」 璃奈「いつも歩夢さんやかすみちゃんにばかり言ってるイメージ」
侑「もしかしてちょっとやきもち妬いてる?」
璃奈「……それは…私も、女の子だから、もっと可愛いって言われたい」
侑「──璃奈ちゃん、それは反則だよ」
璃奈「えっ?」
侑「もう可愛いって言えなくなっちゃう」
璃奈「そんな……」
侑「可愛すぎて、言葉が飛ぶくらい可愛い」
璃奈「え、あの…。うう…///」
侑「あれれ?自分でお願いしたのに、照れちゃった?」
璃奈「…!…侑さん、『いじわる』从|| ˶・᷅-・᷄˵ ||从」
侑「あはは、ごめんごめん」 ───
璃奈「やっぱり小さくない?私のジャージ」
侑「気にしないで。パジャマのことすっかり忘れてたし、貸してもらえるだけありがたいよ」
璃奈「でも、丈短いから、ちょっと寒そう」
侑「普段からハーフパンツとTシャツで寝てるし、これくらいどうってことないよ」
侑「いざとなったら、璃奈ちゃんとくっついて寝ればいいしね」
璃奈「……『恥ずかしい』从||˵>ㅿ<˵�||从」
侑「そんな遠慮しなくていいのに」
侑「今日は私が、璃奈ちゃんのお姉ちゃんだから」
璃奈「……从|| ˵>|| _σ从」チラッ
璃奈「分かった….。よろしく、お願いします」
侑「うんうん、そういう素直な璃奈ちゃんのが好き」
璃奈「……ド、『ドキドキ』从||˵ >_< ˵||从」 ───
ゴソゴソ…
侑「あ〜、璃奈ちゃんの手、温かいなあ。はんぺんちゃんの肉球みたいだなあ」
璃奈「……侑さん、はんぺん触ったことあるの?」
侑「こないだ歩夢と学校を散歩してたら見つけてね。もふもふでもちもちだったよ」
璃奈「分かる。本当の白はんぺんみたい」
侑「あっ、もしかして夜食べたシチューの猫さんにんじんのモデルも?」
璃奈「うん。はんぺんを意識した」
侑「璃奈ちゃんは、はんぺんちゃんが好きなんだねえ」
璃奈「あの子、一匹でいたから、なんだか昔の私に似てる気がして」
璃奈「ひとりぼっちは寂しいから、私が守ってあげたくなったんだ」
璃奈「最初は愛さんと私だけだったけど、今は生徒会の人も学校の一員と認めてくれて、侑さんや同好会のみんなも大切にしてくれてる」
侑「ふふ、そういうところも璃奈ちゃんに似てるね」
璃奈「どういうところ?」
侑「たくさんの人に好かれて、大切に思われてるところ」
璃奈「………///」 璃奈「うう…今日は侑さんに、いっぱいドキドキさせられる。从||˵>_<˵||从」
侑「そんなに隠すことないよ。璃奈ちゃんの素顔、もっと見せて?」
璃奈「こ、これ以上私を照れさせるのはダメ。璃奈ちゃんボード『お口チャック』 ∫||V> × <V||ʅ」
侑「むぐ!わ、分かった!ごめん!もう見ないって! 」
璃奈「もう。そんなに私の顔見ても、仕方ないのに」
侑「私は好きだけどなあ」
侑「璃奈ちゃんボードももちろん可愛いけど、それは付ける璃奈ちゃん自身が可愛いからだよ」
璃奈「……またお口チャックされたい?」
侑「あ、あはは。じゃあ、もうしゃべらない」
侑「その代わり…」
ギュッ
侑「今日は寒いから、璃奈ちゃんをぎゅっとしたまま眠らせて?」
璃奈「───うん」
───
─────
───
璃奈「───」 ──ああ、やってしまった。
本当は嬉しいはずなのに、そのまま言葉を受けとるのが恥ずかしくて、
つい侑さんの口を塞いでしまった。
愛さんとは、また違うカタチで、ストレートに気持ちを伝えてくれる。
褒められたときは謙遜しつつも、しっかり受け止めて、ありがとうと言えちゃう。
侑さんのこういうところ、羨ましい。
私もこれくらい、人の厚意をしっかり受け止めて、自分の思いを真っ直ぐ伝えられたらいいのに。
璃奈ちゃんボードはそのための武器だけど、今日は武器と言うより、盾にばかりしてしまってるかも。 侑「……すぅ……すぅ……」
侑さんは、寝ちゃったのかな?
私を抱く腕が、温かくてぽかぽかする。
侑さんと、このぬくもりで繋がってる。
────けど、
侑さんとは、ずっとこうしていられるかな?
侑さんだけじゃない。愛さん、同好会のみんな、焼き菓子同好会のみんな、私を応援してくれるみんな。
みんながいたから──みんなが受け入れてくれたから、高校に入学した頃は想像もつかなかった今がある。
けど、みんながいなくなったら、私、これから先だいじょうぶかな?
卒業とか進路とか、いろんな分かれ道ができて、いずれ離れちゃう日が来る。
一人で歩かなきゃいけないときだって、きっとある。
そうなったら私は───。 ───どうしてかな。
小さい頃から友達が居なくて、お父さんもお母さんも家に居ないことが多くて──
自分は一人で居ることに、慣れてると思ったはずなのに。
私の人生は、一人の時間のほうが、ずっと長かったはずなのに。
今はまた一人になることが、とても怖い。
大好きな人たちの顔を、近くで見られなくなる日が来るのが、いやだ。
璃奈「侑……さん」
目の前で、まぶたを閉じている侑さんの顔を見て、振り返る。
侑さんと過ごした今日の一日、本当に楽しかった。
新しい家族ができたみたいだった。
私にお姉ちゃんがいたら、毎日こんなふうに過ごしてたかも、って思った。
侑さんが、本当の家族になってくれたらいいのに。
そうしたら、ずっと一緒にいられるのに。
あんなに楽しかったのに、
今は、こんなありえないわがままを考えちゃうくらい、寂しくなっちゃった。
侑さんの腕はこんなに温かいのに、私のハートは寒がってる。 璃奈「………」
侑さんの着ているジャージの端を、ぎゅっと掴む。
私、ずっとこうしていたい。
どこにも行かないでほしい。
一人になりたくない。
やっとできた繋がりを、失いたくないよ。
ああ、心の中ばかりおしゃべりになっちゃう。
今の私の気持ち、少しでも侑さんに伝えられたらいいのに。
でも、この気持ち…口に出してしまっていいのかな。
いや、ダメ。
今までお父さんやお母さんにも、わがまま言わずにいたんだから。
これくらい我慢しなきゃ──。
こんな私を見せたら、絶対びっくりさせちゃう。
……………。
でも── 璃奈「侑さん…侑さん……ゆうさん……」
名前を呼んで、その先の思いは言わないように抑えながら、少しずつ声を漏らす。
少しでも何か言葉を口に出さないと、心がパンて破裂しちゃいそうだった。
子供みたいな、恥ずかしいことまで、言ってしまいそうだから。
これでいい。
侑さんには、楽しい思い出だけつくって、帰ってもらえれば良い。
一人の後輩と、一日一緒に遊んだ思い出を。
これで──良いんだよ。
──………。
璃奈「………いやだ」 ───ダメ、それ以上は。
璃奈「行かないで……侑さん」
こんな、わがまま。
璃奈「私、もう一人になりたくない」
恥ずかしい。
璃奈「みんなと──侑さんと一緒にいたい」
私、もう高校生なのに。
璃奈「これからもずっと……私と遊んで」
こんなに、幼い。
璃奈「ずっと……私と繋がっていて」 取り消して。ショートカットキーで元に戻して。
こんな恥ずかしい私──無かったことにして。
──そんなこと、できるわけないよね。
私、機械じゃない。
決められたことだけ、自分が判断したことだけ、表に出すなんて──
そんな器用な真似できない。
侑さん、聞こえてないよね──。
聞こえてたとしても、聞かなかったことにして。
………………。
────────
─────
─── 璃奈「…………」
侑「…………」
璃奈「……………」
侑「…………」
侑「これは、私のひとりごとだよ」
侑「歩夢がね、私と一緒じゃなくなるのはいや、って言ったことがあるんだ」
侑「私は──離れても私たちを繋ぐ思いは変わらないよ、と歩夢を勇気づけたけど──」
侑「いざ音楽科に行ってみると、知ってる人は誰も居ないし、2学期からだから不思議な目で見られちゃうし」
侑「想像していたより、教室でひとりぼっちの時間が寂しかったんだ」
侑「補修授業で同好会に全く顔を出せない日もあるし」
侑「当たり前が当たり前じゃなくなるのって、こんなに辛いんだって」
侑「歩夢にかっこいいこと言ったのに、自分が恥ずかしくなっちゃった」
侑「だから、おこがましいかもしれないけど──」
侑「璃奈ちゃんの気持ち、分かるよ」 侑「けど、時間を見つけて部室に行くと、やっぱりそれまでと何も変わらない日常があった」
侑「歩夢の──みんなの声と笑顔が、私を出迎えてくれた」
侑「周りの環境がどんなに変わっても、どんなに会える時間が減ってしまっても、自分を待っていてくれる人たちがいるんだって、改めて気づかされた」
侑「私にとっては、璃奈ちゃんもその一人」
侑「今日もこうして、一日私に付き合ってくれた」
侑「とっても嬉しかったよ」 侑「その同好会もいつかは変わっていっちゃうだろうけど──」
侑「今日、一緒に遊んだ私たちは、何も変わらないと思うんだ」
侑「ゲームをしたり、ピザを食べたり、シチューを作って、お風呂に入って、一緒にお布団に入る」
侑「同好会の活動以外でも、今日だけでこんなに璃奈ちゃんとの思い出ができたんだから」
侑「この先離れることがあっても、この思い出が、いつだって私たちを繋いでくれるよ」
侑「私だけじゃない」
侑「同好会のみんな、璃奈ちゃんのお友達」
侑「出会ったきっかけはスクールアイドル同好会だったかもしれないけど──」
侑「一緒に遊んだり、ご飯を食べたり、勉強をしたり、普通の女子高生としての時間も、たくさん過ごしてきたじゃん」
侑「そんな繋がりをいっぱい作ってこれた璃奈ちゃんが、また一人になるなんてあるわけないよ」
侑「まだまだ時間はたっぷりあるから、これからその繋がりをもっともーっと強くすることだってできちゃう」
侑「璃奈ちゃんはとても素敵な女の子だから、きっとできるよ」 侑「今日の私は、璃奈ちゃんのお姉ちゃんだって言ったよね?」
侑「もしまだ寂しかったなら、私が璃奈ちゃんの気持ち、全部受け止めてあげる」
侑「───」
侑「───やっぱり長すぎて、寝ちゃったかな?」
侑「ふふっ、可愛い寝顔」ナデナデ
侑「赤いほっぺも、ぷにぷにで温かい」
侑「あはは、聞こえてたら、またお口チャックされちゃってるかも」
侑「ボード無しでもこんなに可愛い顔できるんだから、自信持ってね」
侑「これからもずっとよろしく、璃奈ちゃん」
侑「ひとりごとおわり」 ──────
「……………」
起きてたの、バレちゃってたかな。
それに、侑さんのひとりごと──やっぱり私の声聞かれてたんだ。
うう、恥ずかしい。
暗くても分かるくらい、顔赤くなってるのかな。
きっとそうかも。顔が熱い。
この熱さは、侑さんがくれた温もりだよ。
(───えいっ)
寝ている侑さんのおでこに、そっと自分のおでこを重ねてみる。
侑さんにも私の温もりをお返し。
「ありがとう」 やっと言えた。
思えば、侑さんは私にいっぱい言葉をくれるのに、今日の私はちゃんと言葉を返せてなかった。
璃奈ちゃんボードで、ごまかしてばかりいた。
まだまだ足りない。
どんなふうに甘えたらいいか、私には難しいけど──
今の私の精一杯の言葉で伝えるよ。 「お口チャックしてごめんね」
「恥ずかしかったけど、侑さんの言葉、とっても嬉しかった」
「離れる日が来ても、ずっと一緒に遊んでね」
「今日は本当に楽しかったよ」
「一緒にいてくれて、ありがとう」
「侑さん、好き」 ──あっ、侑さんの顔が、少し赤くなった。
私の思い、伝わったみたい。
今度は侑さんが起きている時に、私の素顔を見てもらいながら、伝えたい。
いつか、そんな日が来るといいな。
その時まで、侑さんとの繋がりを、もっともっと増やさなくちゃ。
さっきの私のひとりごとに、侑さんは気づかないフリをしてくれた。
だから、私もそうしよう。
その照れた顔、今は隠してあげるね。
「璃奈ちゃんボード『おやすみ』」
∫||V˵ᵕᴗᵕ˵V||ʅ 从||˵ᵕᴗᵕ˵||从 おわり おつおつ
素晴らしいりなゆうだった
あまり見なかったけど可能性めちゃくちゃ感じるカプだなぁ りなゆういいね。心が暖かくなった
それはそうとたこやきは早く寝なさい 素晴らしい……前半の楽しく遊んでる感じからの後半のシリアスな雰囲気の落差がめっちゃ好き
りなゆうの可能性を凄まじく感じられるSSでした! ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています