【SS】愛 「開花宣言❁嶺上開花」 〜2nd Season〜
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愛 「何言ってるの? 能力があるってことは強いってこと。強いってことは適性があるって事じゃん」
栞子 「……分かっていませんね。ならば教えて差し上げます」
栞子は、空き教室から押収した雀卓を、同好会メンバーの前に置いた。
愛 「…会長さんも打てるの?」
栞子 「えぇ。適性があるのなら、私くらいには勝てますよね?」
愛 「もちろん。それに一対三だよ? 大丈夫なの?」
栞子 「はい、十分です」
愛 「……言ってくれるじゃん」
かすみ 「うぅー…なんだかムカムカしてきました。愛先輩、かすみんも打ちます!」
彼方 「今回は彼方ちゃんにも打たせて。同好会を守るために、頑張っちゃうよ〜」
栞子 「…決まりましたね。それでは始めますか」 《対局開始》
東家:愛 南家:栞子 西家:かすみ 北家:彼方
東一局、愛の親。ドラは❾
愛(よしっ! カナちゃんの向かい側に会長が座った! もう貰ったも同然だね…)
彼方(じゃあ手始め国士無双の夢から……!)
栞子 「……あの、早く切っていただけませんか?」
愛 「えっ、あぁ…ごめん」 打:南
彼方(……えっ? 夢に堕ちない…?)
かすみ(まさか、本当に国士無双を狙ってる? 侑先輩の時みたいに……) 彼方(まさか、ね……。でもみんな、気をつけて)
かすみ(よーし、ならかすみんの炎で一気に決めちゃいますよ!!)
かすみがツモる牌に力を込めるが、火花のひとつすら出ない。
かすみ(…ど、どうして)
愛 「……何かした? 会長さん」
栞子 「……えぇ。これは私の能力」
栞子 「『能力を消す』という能力です」 彼方 「そんな…」
愛 「すっごい能力じゃん。でもそれなら純粋な実力勝負。毎日打ってるアタシたちの方が上手だって!」
かすみ 「そ、そうですよ! 炎に頼らなくても、かすみんは強いんです!!」
栞子 「……だといいですね」
9巡目──。
栞子 手牌
六七七八八678❸❺❻❼❽ ツモ:❹
侑(いい手が入ってる。678の三色か…)
栞子 打:七
しずく(五-八 待ちのテンパイですね。でもリーチはせずダマですか) 次巡──。
栞子 手牌
六七八八678❸❹❺❻❼❽ ツモ:❾
侑(ドラの❾引き。難しいところだけど、待ちを広く受けるなら……)
栞子 打:八
しずく(頭待ちの三面張ですね。❸-❻-❾で、❾が出れば三色のドラドラで満貫……)
次巡──。
栞子 手牌
六七八678❸❹❺❻❼❽❾ ツモ:7
侑(これはツモ切りだね) 能力なしでどれだけ打てるかが大切だよね。いくらこの世界でもほとんどの人は能力ないんだろうし 栞子 「リーチ」 打:❾
しずく(っ、ドラ切りリーチ!? ドラも三面張も捨てて、タンヤオの7単騎……どうしてそんな……)
次巡──。
栞子 「…………。」
侑(ま、まさか……)
栞子 「…ツモ。3000-6000」
栞子 ツモ
六七八6778❸❹❺❻❼❽ ツモ:7
リーチ・一発・ツモ・タンヤオ・三色同順 / 3000-6000 かすみ 「な、なんですかその待ち!? ❾を残せば三面張リーチだったじゃないですか!」
愛 「まさかとは思うけど……積み込み?」
栞子 「そんなイカサマ有り得ませんよ。ただ、あなた方三人の手牌を考えれば、7が一番ツモれると判断したまでです」
彼方 「彼方ちゃん達の手牌を……?」
栞子 「そうですね、まずは愛さん」
栞子 「早めに8を落として迷彩をかけにいきましたね。テンパイ直前に四を切っているので、一見五-八が怪しく見えますが、牌を切った時の勢いの強さから見て、四は最後まで残したブラフ」
愛 「な、何言って……」
栞子 「テンパイの3巡前、手出しの2。ツモった牌は2のあった場所の4つ隣に入れました。ピンズをツモったと判断するべきですが」 栞子 「あなたは4巡目に❺を切っています。ピンズは早々に伸びないと踏んでいます。つまりあのときのツモは5が濃厚。2を切ってを5入れたということは」
栞子 「345の三色、もしくは345の一盃口でしょうか」
愛 「うっ……」
栞子 「つまり早めの四切りや、あなたの性格を踏まえて考えると、待ちはピンズの端か……いやそれよりも、四のスジが濃厚でしょう」
愛 最終手牌
一三四五334455東東東
栞子 「逆にかすみさん。あなたは捨牌が素直すぎます。見え見えの混一色手。問題は待ちだけですが、手出し位置でそれも明白。❸-❻待ち」
かすみ 最終手牌
❶❷❸❹❺❾❾❾南南西西西 栞子は、牌を透かすかのように、全員の手牌の傾向を言い当てた。
栞子 「結局、山に残っているのは❸-❻-❾よりも7。他の全員も、7をツモれば、切るか手を崩すしかありません。ならばあの局面、❾切りリーチが最善手です」
愛 「……そんな…」
彼方(ダメだ……。これ以上打たなくても、感覚で分かる)
──完敗だった。
その対局で、栞子以外の三人のうち一人として、ロンもツモも宣言させて貰えなかった。
栞子の、完全試合だった。 栞子 「……これで分かりましたか? 能力を失えば、この有様。適性がないというのはそういう事です」
栞子 「力があるが故、自然とその力に頼ってしまう。その支えがなくなった瞬間、あとは総崩れです」
歩夢 「…………それでも」
栞子 「…?」
歩夢 「それでも私たちは、麻雀が大好きなんだよ」
栞子 「……。」
歩夢 「たしかに栞子ちゃんの言う通り、私たちは力に頼ってきたかもしれない。それでも……」
歩夢 「私たちは、麻雀を続けたい…」 栞子 「……どうして能力持ちは、みんな同じことを言うのでしょうか」
歩夢 「えっ?」
栞子 「能力は……あなたたち自身まで変えてしまう、恐ろしい力なんです…! あなた達は、今すぐ麻雀を辞めるべきです!!」
侑 「私たち自身を変える…? それ、どういう意味?」
栞子 「…知る必要はありません。もう同好会は廃部になり、あなた方が麻雀を打つことはありませんから」
愛 「…………会長さん」
栞子 「はい?」 愛 「賭け麻雀の犯人が名乗り出て…認めれば、同好会の廃部は無くなるんだよね?」
侑 「…っ!?」
栞子 「…約束はできません。先生方が認めれば、その可能性があるというだけて…」
愛 「可能性があれば十分だよ」
侑 「愛ちゃん、何考えてるの!? そんなことしたら…!!」
愛 「いいんだよ、これで。元はと言えばアタシが全部悪いんだから」
歩夢 「そんな…違う! 愛ちゃんは、皆のことを想って…!」
愛 「理由がどうであれ、これが結果。……ごめんね、迷惑かけちゃって」 栞子 「……認めるんですね?」
璃奈 「愛さん…っ、ダメ…!」
愛 「大丈夫だよりなりー。りなりーのことは誰にも言わないから」
璃奈 「違う…そうじゃない…。私は愛さんにいなくなってほしくない…!」
愛 「…ごめんね。でも、これはアタシなりの恩返しなんだ」
璃奈 「恩返し…?」
愛 「…大嫌いだった麻雀。その楽しさに気付かせてくれた、同好会のみんなへの恩返し。今アタシに出来ることは、これしかないから」
愛は、自分の袖を掴んでいた璃奈を振りほどき、栞子の前へと、大きく一歩を、踏み出した。
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つづく 【キャラクター紹介.7】
近江彼方
『対面に役満の夢を見せる』能力。
役満の夢を見せられた者は、それがどんな手牌であっても、その役満を目指せると錯覚する、あるいは牌そのものが違う牌に見える。
よって捨牌判断が狂い、通常であれば切らない牌でも切ってしまい、手が崩れる上に放銃率も上がる。
発動条件は、彼方と目を合わせること。能力詳細の通り、対面にしか使えない。
対抗策としては、カンするなり場に捨てるなりして、見せられた役満に必要な牌を全て晒し、その役満の可能性をゼロにする。そうすると、夢から覚めることが出来る。
自分を強くする訳でもなく、他人を陥れるだけのこの能力が、彼方はコンプレックスだった。
尚、能力を使うとどんどん眠くなる。
使いすぎると卓の上で三時間くらい寝る。一度寝ると本当に動かないので、その日は三麻しか出来なくなる。 明日は更新お休みさせていただきます
2ed Seasonも最終話です。よろしくお願いします 【最終話】『力ある者、適性なき者』
栞子 「……認めるんですね?」
愛 「うん。……私が…」
「待ちなさい!!!」
愛 「っ!?」
侑 「えっ!?」
突然生徒会室に現れたその人物は、校内中に響き渡るかのような大声で、そう叫んだ。
?? 「…私よ。賭け麻雀をしてたのは」
愛 「え…?」 栞子 「あ…あなた……」
侑 「? 会長さん、知ってる人?」
栞子 「……どうして、ここにいるんですか? ランジュ!!」
ランジュ 「栞子! 久しぶり!」
歩夢 「ランジュ……さん?」
栞子 「どうしてこんな所に……香港に行っていたのでは?」
ランジュ 「事情があってね。日本に帰ってきたの。ミアを連れてね」
ミア 「…Hello」 栞子 「本当に、いつも勝手と言うか……連絡くらいくれてもよかったではないですか」
ランジュ 「ごめんごめん! 同好会の子たちに会いたくて、急いで飛んできたものだから」
しずく 「私達に?」
ランジュ 「えぇ。なのに早々、ピンチな感じだったから。助けに来たのよ」
愛 「あの…なんで自分から罪をかぶりに…」
ランジュ 「言ったでしょ。あなた達に会いに来たって。それなのに愛、あなたが退学になったら意味ないじゃない」
愛 「でも、それであなたが退学になったら…!」
ランジュ 「その点は心配いらないわ。ね、栞子?」 栞子 「……そうですね」
歩夢 「どういうこと?」
栞子 「彼女…ランジュは、この学園の理事長の娘なんです」
かすみ 「えぇっ!?」
ランジュ 「つまり先生方も、賭け麻雀の犯人が理事長の娘となれば、揉み消す方向に動くはずよ」
侑 「そんな、無茶苦茶な…」
栞子 「…ですが事実、そうなるでしょうね。職権乱用と言えばいいのか…」
彼方 「でもでも、これで愛ちゃんの退学はなくなったんだよね!!」
ランジュ 「えぇ! だから安心しなさい!」
歩夢 「ありがとう…って言っていいのかな。でも、どうしてそこまでして私たちのことを?」 ランジュ 「あなた達、ネットに動画をアップしてたでしょ。それで興味を持ったの!」
エマ 「ということは、あなたも麻雀を?」
ランジュ 「こう見えてもかなり上手いのよ。あなた達はまさに、磨けば光る原石! 居てもたってもいられなくって、飛んできちゃったのよ」
しずく 「す、すごい行動力です……」
侑 「でもよかったよ。これで同好会の廃部も免れたし、新しい仲間も……」
ランジュ 「いえ、同好会は廃部よ」
侑 「……え?」 彼方 「どうして? 同好会に入るために来たんじゃ」
ランジュ 「違うわ。ランジュはあなたたちの可能性を磨きに来たのよ。そのために…」
ランジュ 「麻雀部を設立したのよ!」
かすみ 「ま、麻雀部!?」
ランジュ 「そう。そこにプロとして活動してる雀士を呼んだり、最新の設備を配置したりして、あなた達がより麻雀が強くなるようにプロデュースするのよ!」
しずく 「なんだか、すごいですね…」
かすみ 「でもそうなったら、かすみんの部長の座はどうなるんですか!」
ランジュ 「もちろん、部長はかすみのままでいいわよ。あなたは誰よりも才能があるんだから」
かすみ 「えぇっ、本当ですか〜?」 侑 「部になるのかぁ。部費も上がるだろうし、そんな凄い設備を置けるなら、すごくいい話だよね! ランジュちゃん、これからよろし…」
ランジュ 「いえ、あなたはダメよ」
侑 「だ、ダメ?」
ランジュ 「さっきも言ったでしょ。ランジュは才能のある人材を磨きに来たの。才能のない人に割く時間はないの。それに労力の無駄」
歩夢 「無駄…っ!?」
愛 「ちょっと、そんな言い方…!」
ランジュ 「部は、お互いの雀力を磨き合う場にするのよ。麻雀は強さが全て」
エマ 「強さ……」
ランジュ 「麻雀は四人で対戦するゲーム。だけど同時に、全員が卓を成立させる“協力者”でもあるのよ」 ランジュ 「真剣勝負の場を、弱者に乱されたら、堪らないでしょ?」
歩夢 「…ランジュちゃんの言うことも正しいかもしれない。でも私たちは、楽しく麻雀を打つのが一番の目標なんだ」
愛 「そうだよ。強さだけを目標にして、弱い人を排除していくやり方なんて……楽しくない」
ミア 「…ふんっ。“楽しい”なんて感情、勝負の場においては異物だよ」
栞子 「ミアさん…」
ミア 「ランジュが同好会の配信を見せてきたけど、正直腹が立った。勝負を履き違えてる」
侑 「履き違えてるって…?」
ランジュ 「ミアの家は、生粋のギャンブラー一家なの。かつてとあるカジノで、伝説と称された男の血を継ぐ、それがミア」 ミア 「ボク自身も、ある程度名の知れたポーカープレイヤーなんだよ。まぁこんな田舎じゃ、知らない人がほとんどだろうけど」
ランジュ 「小さい頃から勝負の場で育った彼女から、教わることは多いはずよ。あなた達も部に…」
歩夢 「…嫌だ」
ランジュ 「えっ?」
歩夢 「嫌だ。私は部には入らない」
愛 「そうだね、アタシも同じ意見だよ」
ランジュ 「ど、どうして!? 強くなりたくないの?」
彼方 「もちろん、強くはなりたい。でも、彼方ちゃん達とあなた達とでは、目指してるものが違うんだと思う」 ランジュ 「…分からないわ。強くなりたいなら、こっちの環境の方が圧倒的に…」
しずく 「どんなに環境が良くても、みんなで一緒にいられないなら意味がありません」
栞子 「……残念ですがランジュ、これでは部の設立に人数が足りません」
ランジュ 「何人必要なの?」
栞子 「最低でも三人です」
ランジュ 「なーんだ、それなら足りてるじゃない!」
栞子 「足りてる? ランジュにミアさん、二人では…」
ランジュ 「ふふっ、もう一人は既に確保してるのよ」
?? 「……呼んだかしら」 エマ 「…っ! 果林ちゃん…!?」
果林 「私が麻雀部の三人目よ。これで人数は足りたわね」
ランジュ 「遅いじゃない果林! 急いで生徒会室に来てって言ったでしょ?」
果林 「ゴメンなさいね。色々あって……」
ランジュ 「何はともあれ、これで三人。麻雀部の設立、認めてくれるわよね?」
栞子 「……仕方ありませんね」
ランジュ 「そういうわけだから! そして部と同好会で内容が被った以上、同好会は廃部よ」
かすみ 「そんな! 勝手過ぎますっ!!」 ランジュ 「どうしても麻雀が打ちたいなら、麻雀部にいらっしゃい。いつでも歓迎するわ!」
ランジュ 「…………あなた以外は、ね」
ランジュは侑に向かってそう言うと、果林とミアと共に生徒会室から去って行った。
かすみ 「な、なんなんですかあの人っ!! 助けてくれたと思ったら、あんな酷い人だったなんて!」
栞子 「……申し訳ありません。みなさん」
侑 「会長さん…? どうして謝って…」
栞子 「…ランジュは元々、あんな人ではなかったんです」
彼方 「と言うと?」 栞子 「ランジュと私は幼なじみでした。小さい頃のランジュは優しく、思いやりのあるいい子でした」
栞子 「ランジュは父から教わった麻雀を私にも教えてくれて、よく一緒に打っていました」
栞子 「…そんなある日です。ランジュに、ある能力が発現したんです」
愛 「能力って……麻雀の?」
栞子 「…はい。『ツモる牌を意のままに操る能力』です」
かすみ 「なんですか、それ…」 栞子 「言葉のままの意味です。例えば…」
一一七九1289❼❽❾東北發
栞子 「開局時、親番の配牌がこうだったとします」
侑 「純全帯幺三色が見えるけど、カンチャンとペンチャンが多いね」
栞子 「はい。本来なら鳴きを駆使して進める手ですが、ランジュにその必要はありません」
栞子 「彼女が念じれば、思うように牌をツモることができます。つまり……」
一巡目
一一七九1289❼❽❾東發 ツモ:八 打:發
二巡目
一一七八九1289❼❽❾東 ツモ:3 打:東
三巡目
一一七八九12389❼❽❾ ツモ:7 しずく 「…こんなことが、本当に?」
栞子 「三向聴なら三巡。たとえ手が悪く、五向聴だったとしても、五巡あればアガってしまいます」
かすみ 「そんなに強い人だったんですね…」
栞子 「この能力を得てから、彼女は負け知らずでした。それこそ、彼女に麻雀を教えた父にさえも」
栞子 「ですがそんな麻雀が、彼女自身を狂わせ始めたんです」
エマ 「能力が人を…?」
栞子 「ランジュは牌と同じように、人も自分の意のままに動くと思い始めてしまったんです。…事実、彼女の周りの人間は、ランジュの言う通りに動いてましたから、そんな考えになってしまうのも無理もないことかもしれません」
侑 「能力が恐ろしい力だって言ってたのは、それが理由だったんだね」 栞子 「……能力は、呪いなんです」
歩夢 「呪い?」
栞子 「強力すぎるが故、その人自身を歪めてしまう…」
栞子 「あの頃のようなランジュに戻って欲しい。そんな想いが、私の『能力を消す』という能力を開花させたのかもしれませんね」
侑 「栞子ちゃん……」
栞子 「…喋りすぎました。申し訳ありません、私はこれで」
生徒会室から去ろうとする栞子の腕を、侑が力強く掴んだ。
侑 「……栞子ちゃん。私たちに、麻雀を教えて欲しい」 栞子 「…あなた、まだ麻雀を続けるつもりですか?」
侑 「もちろん」
栞子 「聞いていなかったんですか!? 麻雀の能力は、人を歪めるんです! そうならないうちに、あなた達は麻雀から足を洗うべきです!」
侑 「じゃあランジュちゃんを、あのまま放っておくの!?」
栞子 「っ…それは……」
愛 「…会長さん、知ってる? 人って、変われるんだよ」
栞子 「変われる…?」
璃奈 「私と愛さんを変えてくれたのは、他でもない同好会の人たち。きっと、ランジュさんだって変えてくれる」 エマ 「…取り戻したいんでしょ? あの頃のランジュちゃんを」
栞子 「っ……」
侑 「でも今の私たちじゃ、ランジュちゃんにはきっと適わない。だから私たちに、麻雀を教えて欲しい」
歩夢 「お願い、協力して欲しい! 同好会は、大切な場所なの…!」
栞子 「…本当に、取り戻せるんですか? あの頃を」
侑 「私たちならきっとできるよ。やろう、栞子ちゃん!」
栞子 「……っ」
──栞子は、さしのべられた手を、強く握り返した。
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ーー 【エピローグ】
──せつ菜ちゃん、久しぶり。高咲侑です。
今あなたがどこにいるか分からないから、この手紙を送ることは出来ないけど。
なんだか最近色々あったから、今の状況とか、気持ちとか。そういうのを色々整理するために、手紙を書きます。
私たちは今、打倒麻雀部を目指して、栞子ちゃんに麻雀の特訓をしてもらっています。
そんなことまで考えて打ってるの!? と驚いてばかりで、ついていけるか不安な毎日です。
……でも、頑張るよ。
せつ菜ちゃんから受け継いだ、『麻雀の楽しさを広める』、その夢を叶えるために。 だから、見守っていてください。
そしていつでも、あなたの帰りを待っています。
私たちも進み続けます。それぞれの想いを胸に、いつかみんなが楽しく、麻雀を打てるように。
侑 「……リーチっ!!」
──やっぱり私は、麻雀が大好きだ。
ーーーーーー
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ーー 【SS】愛 「開花宣言❁嶺上開花」
〜2nd Season〜
[完] これにて2nd Season、完結です
お付き合いありがとうございました
次回、Final Seasonです。今しばらくお待ちいただければと思います おつおつ!
Final Seasonも楽しみにしてるよ! 栞子ならランジュに勝てるのか?
それとも強さの差で打ち消せないのか 乙乙
全体的に縛りの強い能力が多いし呪いと呼ばれても仕方ないな 侑ちゃんがどうにかして勝ってランジュの目を覚まさせるっていうのが王道だろうけど京太郎ポジで能力目覚めなさそうだしなぁ
最終章をどう締めるのか楽しみ
>>219
歩夢みたく千歌以外は能力持ってるけど隠してそう おつでした。ランジュの登場で驚いたけど、よく考えたら栞子がすでに会長だから出てきてもおかしくないんだった
>>281
能力がなくても麻雀は楽しめるということを示すために、あえて能力ない・使わないままでもいいのかもね
実際登場する能力なんてあっても麻雀自体は全く楽しくならなさそうだしw ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています