侑「私の勝率の高そうな相撲を見つけたんだ」歩夢「とりあえず一回聞くね」
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歩夢「勝てそうな相撲とそうじゃない相撲があるんだ」
侑「そうなんだよ。いろいろ調べてみたんだ」
侑「そしたら結構いろんなジャンルがあるって知って」
歩夢「相撲の種類をジャンルって言う人は初めて見たなあ」
侑「歩夢」
歩夢「うん」
侑「一回聞いて?」
歩夢「そうだった。ごめん。続けて?」
侑「でまあ、相撲、腕相撲、引き相撲、尻相撲、片足相撲とかあったんだけど」
侑「結局いちばん勝てそうなのは指相撲かなって」
歩夢「指相撲かぁ」 侑「なんでそう思ったかって話なんだけど」
歩夢「うん」
侑「さっき挙げたやつのなかで、指相撲以外は大抵フィジカルがモノを言うところあるじゃん?」
歩夢「引き相撲は初めて聞いたけど、まあそうだね」
侑「引くやつはこう……一回立って」
歩夢「はーい」ガタッ
侑「で、ちょっと離れて向かい合って、右足を出す。お互い足の側面同士をくっつける感じで」
歩夢「うん」
侑「右手同士を出して、腕相撲っぽく組んで」ガシッ
侑「腕を引き合ったりあえて力をすかしたりして、相手の左足を動かしたら勝ち」
歩夢「こう?」グッ
侑「オワゥッ!?」グラッ 侑「歩夢!」
侑「まだはっけよいものこったもしてないよ!」
歩夢「ご、ごめんね?」
侑「なんか喉から変な音でちゃったよ。なに『オワゥッ』って」
歩夢「それは分からないけど」
侑「歩夢」
歩夢「ごめんねって」
侑「のこった前の相撲開始は重罪だよ」
侑「フライング! 禁じ手! レッドカード!」
歩夢「いろんな競技の反則が混ざっちゃってるね」
侑「上の原はここで退場です」
歩夢「分かった」トコトコ
侑「待って待って出ていかないで」ガシッ 歩夢「ふふっ、冗談だよ」
侑「心臓に悪いなぁ」
侑「で、話逸れたけど指相撲の話ね」ストン
歩夢「あんまりフィジカルは関係ないの?」ストン
侑「大抵の相撲はさ、素人でもどこを中心に鍛えれば良いかってなんとなく分かるでしょ?」
歩夢「それはまあ」
侑「体幹、下半身、背中。腕相撲なら腕とか」
歩夢「うん」
侑「でも指相撲ってよく分かんなくない?」
歩夢「あー、言われるとそうかもね」
侑「私が『指相撲強くなるために体幹鍛えたよ!』って言ったらさ」
侑「絶対歩夢『はぁ?』って言うでしょ」
歩夢「さすがにそうは言わないよ」 侑「じゃあなんて言うの?」
歩夢「うーん……」
歩夢「『なんで?』か『良かったね』だと思う」
侑「一つめは良いとして二つめがきついね」
歩夢「そう?」
歩夢「なんにせよ体幹は鍛えて損はないと思うんだけど……」
侑「そうだけど指相撲的には遠回りじゃん」
侑「私の過ちに気づいたら正してほしいな」
歩夢「でももしかしたら指相撲に体幹も関係あるかもしれないし」
侑「完全に無関係ではないんだろうけど」 歩夢「手の先だから握力とかじゃないの?」
侑「押さえた後に10数える間は有利かもしれないけど、そこまでの過程にはあんまり関係なさそうじゃない?」
歩夢「あー……」
歩夢「そうだね。抜けるときも握る力っていうより開く力が大事そうだし」
侑「でさ、その場合、どこの筋肉をどう鍛えたら良いかってよく分からなくない?」
歩夢「確かに」
侑「分かったとしても、じゃあ指相撲のためにトレーニングするか! って人はそうそういないじゃん」
歩夢「相撲だと力士はハードに稽古するし、アームレスリングの人は腕が丸太みたいだったりするけど」
歩夢「指相撲用に指をムキムキにしてる人は見たことがないね」 侑「私はそこに目をつけたんだ」
歩夢「……まあ、まあとりあえず聞くね」
侑「世の中広しだから、もしかするとガチ勢がいるかもしれないけど」
侑「少なくともニジガクやら同好会においてはいないわけで」
歩夢「……いないのかな」
侑「え」 歩夢「指相撲同好会……」
侑「……」
歩夢「……ないのかな?」
侑「……」
歩夢「うちには流しそうめん同好会があるんだよ?」
歩夢「ワンダーフォーゲルは同好会じゃなくて部としてあるんだよ?」
侑「……」
侑「……えー……」
侑「スクールアイドル同好会にはいないわけで」
歩夢「うん」 いつも思うけどこういう冷めた会話を2人はしないと思う 侑「そこでピアノで鍛えた指ってわけだよ」
歩夢「始めて数ヶ月くらいだよね?」
侑「だとしてもほら、指を鍛えてるわけじゃないみんなと比べたらほら、ね?」
歩夢「まあ……そうかも?」
侑「仮にそうじゃないとしても、他に比べたら勝てそうな感じしない?」
歩夢「……」
侑「歩夢?」
歩夢「普通の相撲での勝利の見積もりに対して、返す言葉が見つからなくて」
侑「そう?」
侑「逆にいつも鍛えてるみんなに対して、急に私が勝つのも変な感じしない?」
侑「たぶんそうなったら、私はドーピングしてるね。良くないよ」
歩夢「健康的にたくましくなるのが一番だね」 侑「まあそれで、指相撲ならいけるかもって話をしてるわけで」
歩夢「そうだね。その話をしよう」
侑「とはいえこれ以上そんな説明することもないんだけど」
歩夢「うん」
侑「いろいろコツとか戦略とか調べてきたんだ!」
歩夢「思ってたより力の入れかたがすごいね」
侑「せっかくなら出来ることはやりたいなって」
歩夢「そういうのが侑ちゃんのいいところだよね」
侑「という訳で」
歩夢「うん」
侑「やろ?」
歩夢「うーん……」
侑「なんで!? さっきまで話聞いてくれてたじゃん!」 歩夢「聞くのとするのは別っていうか」
侑「ダメだよ。私たちはもう戻れないところまできてるんだから」
歩夢「初耳だけど……」
侑「だって……どうする?」
歩夢「どうするって?」
侑「このまましなかったら、私はただ指相撲のコツを知ってるだけの人になっちゃうよ」
歩夢「話のネタになるんじゃない?」
侑「試した結果もあった方が話広がるじゃん!」
歩夢「うーん」
侑「知識だけあって試してなかったらコツも正しいか分かんないし」
侑「こんなモヤモヤした感じ、絶対良くないって……!」
歩夢「そこまでモヤモヤするかなぁ」 侑「お願いお願い! 一回だけでいいから!」
歩夢「どうしようかなぁ?」
侑「お頼み申す! お頼み申す!」
歩夢「フッ」
侑「上原殿! お手合わせ願う!!」
歩夢「な、何キャラなの……あははっ!」
侑「一騎討ちを! いざ尋常に上原殿!!」
歩夢「分かった、分かったからそれやめて……」プルプル
侑「やった」
歩夢「ゴリ押しはずるいよぉ」
侑「感謝致す」
歩夢「フフッ……く、くるしゅうない」 侑「それじゃあ手を組んで」グッ
歩夢「うん」グッ
侑「レディー……」
歩夢「……」
侑「……ファイッ!」
侑「っ!!」ヒュッ
歩夢「……」スッ
侑「っと……」スィー
歩夢「わ、っつ……」ヒュ
侑「……」ジッ
歩夢「……」ジリジリ… 侑(構造上、親指は自分の手の甲側へは動かしにくい)
侑(組んでるのは右手だから、私から見て左側へプレッシャーをかけていく!)ジリ…
歩夢(な、なんか指が動かしづらい……っ!)
侑(更に追加で……)
侑「……」シュルッ
歩夢(片方だけ髪を解いた……?)
サイドアップテール侑「……」
歩夢(えっ、なに?)
歩夢(どんな意味が……?)
サイドアップテール侑「……」カミファサッ ファサッ
歩夢「!?」
歩夢(ど、どういうこと……?)
侑「……」ヒュパッ
歩夢「……っ」サッ 侑「……」ヒュッ
歩夢「!」スッ
侑「……」ジリ…ジリ…
歩夢「……」ユラ…ユラ…
侑「……」ッスゥー……
歩夢「……?」
侑「マカロン!」
侑「クッキー!」
侑「ぬいぐるみ!!」ヒュンッ
歩夢「!?」 侑「ピンク! かわいい服! 甘い卵焼き!!」シュッ
歩夢「なになになに!?」
侑「小動物! フレンチトースト! 裁縫!!」ヒュバ
歩夢「怖い! なんで急に私の好きなもの言い出したの!?」
侑「っ! 今!!」グッ!!
歩夢「あっ!」
侑(押さえるのは指の第一関節!)
歩夢「ぬ、抜け出せなっ……」グググ
侑「いちにーさんしーごーろくななはちきゅーじゅう!」
侑「……勝った!」
歩夢「え……」
歩夢「……え?」 侑「ふーっ……熱い勝負だったね」
歩夢「ちょっ、ちょっと待って」
侑「いやぁ、歩夢にこういうので勝つのっていつぶりだろう」
歩夢「こっちは全然それどころじゃないんだけど……」
侑「どうしたの?」
歩夢「そんな不思議そうな目されるとは思わなかったよ」
歩夢「えっ、なに? なん……なんだったの? 今の」
侑「作戦勝ちってやつだね」
歩夢「いやもう、侑ちゃんが勝ちなのはそれでいいんだけど」
歩夢「急に髪ほどいたり単語を並べ出したり……」
侑「気が散ったでしょ?」
歩夢「ものすごーく」
侑「それが狙い!」
歩夢「大成功だね」 歩夢「あの……侑ちゃん」
侑「なに?」
歩夢「もう一回やろ?」
侑「歩夢も案外負けず嫌いなところあるよね」
歩夢「だ、だって、侑ちゃんだけコツ知ってるなんてフェアじゃないもんっ!」
侑「分かった。もう一回ね」クスッ
歩夢「それじゃあ手を組んで」グッ
侑「よーし、勝つぞー!」グッ
侑「レディー……」
歩夢「……」
侑「……ファイッ!」 歩夢「っく……!」ググッ
侑「ん、っぐ……」ヒュバッ
歩夢「あぶなっ……」シュパ
歩夢「……」スッ
歩夢「……」オダンゴホドキー
侑「!?」
侑(ウソでしょ!? 私のと違って歩夢のお団子は結うのに10分くらいかかるんだよ!?)
歩夢「!」ビュッ
侑「うわ!?」サッ!
侑(間違いない、本気だ)
侑(結び直してなかったせいで私はもう同じ手が使えない)
侑(単語を並べまくるのも不意打ちだから効いたわけで……) 侑「……」スッ
歩夢(左手を頭の上に?)
侑「……」スゥッ
侑「ハジメマシテ! ユウピョンダピョン!!」
歩夢「んん!?」 侑「ユウピョンハ! ユビズモウガトクイナ ウサギダピョン!!」
歩夢「アフッ……ちょ、侑ちゃ」
侑「もらった!!」グッ
歩夢「あっ!?」
侑「いちにーさん──」
歩夢「……まだっ」
歩夢(さっきされて分かった。第一関節が押さえられるとかなり不利になる)
歩夢(今もそう。上下や斜め上方向には相当動かしづらい……なら)
歩夢(手首ごと返すイメージで、斜め下へ指をずらす!)
歩夢「っ!」スルッ
侑「抜けた!?」
歩夢「……」 歩夢「わ……」ヒュンッ
侑「……っ」ササッ
歩夢「私だって『れんぞ』くで負けられてら『れんぞ』ー!」
侑「!!!」
歩夢「相撲が終わったらきちんとや『すもう』!」
侑「ァフッ……ふ、ふぅ、っふふふ」プルプル
歩夢「勝ちかたを『検討』したから『健闘』できてるかも!」
侑「ヒッ……ぅあふ、はっ、はーっ、はーっ……!」プルプル
侑(まずいまずいまずい! 吹き出したら弾みで絶対負ける!)
侑(幸い歩夢はダジャレに不慣れ、次が来る前にどうにか……!)
侑「……」
侑「ウエハラドノォ! オヤメクダサレダピョン!!」
歩夢「!?」 侑「セッシャハァ! マケヌピョン!!」
歩夢「っふ、ま、混ざっちゃった」
歩夢「うさぎと武士が混ざっちゃった……」プルプル
侑「ユウピョンザムライダピョン!!」
歩夢「ふっ、ふ、ふふふふっ……だめ私これ、これダメ」
侑「スキアリ!!」グッ!
歩夢「そ、そこはぴょん付けしないんだ……」
侑「いちにーさんしごーろくなな……全然抜けようとしないね?」
歩夢「むり、力が入んない」フルフル
侑「そう? 8、9……10!」
歩夢「負けでいい、これだけやられたら負けでいいよ」
侑「大丈夫? 突っ伏しちゃってるけど」
歩夢「無理やり笑うのこらえてたからお腹痛い……」
侑「私もかなりやられたよ」 侑「いやー白熱した……とはいえ」
歩夢「うん」
侑「さっきの、ふたりともなにしてたんだろうって感じはすごいね」
歩夢「勢いで熱くなりすぎちゃった……」
侑「戦略を知った者同士だとあれだね、指相撲じゃなくて妨害対決になる」
侑「面白くはあったけど」
歩夢「今度また侑ぴょん侍やって?」
侑「気に入ったの?」
歩夢「侑ちゃんって普段あんまりああいうことしないでしょ」
侑「うーん、言われてみればそうかも」
歩夢「意識がグーってなってるところに、口調と普段しないのと不意打ちとで何重にも面白くなっちゃって」
侑「じゃあ良い具合のタイミングがきたらまたやるね」
歩夢「やったぁ」 侑「全力で勝ちに行くと、同じ相手と再戦するときにさっきみたいなことになりかねないのが指相撲の欠点だね」
歩夢「そんなことはないと思うよ」
歩夢「私たちが変なテンションになっちゃってただけで」
侑「久々にああいう感じになったねえ。小さいころ以来じゃないかな」
侑「という訳で、何戦してもちゃんと戦える相撲を考えたんだけど」
歩夢「うん……うん?」 侑「こうなったら次は紙相撲かなって。今度コマと土俵作ってこようかな」
歩夢「そこまでいくと侑ちゃんの一人相撲になっちゃわない?」
おわり @cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ 三 *˶ˆ ᴗ ˆ˵リ 紙相撲対決はー!? スジモノの人と喧嘩すると相手は
「ごめんなさい」とか「もうしません」とかいいながら殴りかかってくる
ってなんかの漫画が言ってたな 確かにニジガクのキャラはこんな会話するイメージ全くないからなんか違うわ 俺にはあるから脳内再生できるぜ。俺の方が得してるな こういうほのぼのとした感じ、とても好き
いつもありがとう ジャージを肩かけにしたままやればぽむの気を更に散らせそう ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています